クリニカルクエスチョン・推奨一覧

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子宮頸部前癌病変とⅠA期の主治療

総説

No. クリニカルクエスチョン 推奨 グレード
CQ1 円錐切除術で診断したCIN 3 とAIS に対して推奨される対応と治療は?
  1. 摘出標本断端陰性のCIN 3 には,円錐切除術を最終治療とすることが推奨される。
A
  1. AIS には,単純子宮全摘出術が推奨される。
B
  1. 摘出標本断端陽性で遺残病変のあるCIN 3 には,再度の円錐切除術もしくは単純子宮全摘出術が考慮される。
C1
  1. 摘出標本断端陰性で遺残病変を認めないAIS で妊孕性温存希望例には,厳密な管理の下で子宮温存が考慮される。
C1
CQ2 子宮温存治療後に再発したCIN 3 に対して,どのような治療が推奨されるか?
  1. 円錐切除術を再度施行することが推奨される。
B
  1. 十分な精査の上で浸潤癌が否定される場合には,単純子宮全摘出術も推奨される。
B
CQ3 ⅠA1 期に対して推奨される治療は?
  1. 脈管侵襲が認められない症例に対しては,単純子宮全摘出術が推奨される。
B
  1. 脈管侵襲がある場合には,単純子宮全摘出術あるいは準広汎子宮全摘出術に骨盤リンパ節郭清の追加が考慮される。
C1
  1. 妊孕性温存を強く希望する症例に対しては,円錐切除術の摘出標本で脈管侵襲がなく断端が陰性で,かつ子宮頸管内掻爬組織診が陰性であれば,子宮温存も考慮される。
C1
CQ4 ⅠA2 期に対して推奨される治療は?
  1. 骨盤リンパ節郭清を含む準広汎子宮全摘出術が考慮される。
C1
  1. 診断的円錐切除術で詳細な病理組織学的検索が行われた結果,脈管侵襲のみられない症例についてはリンパ節郭清の省略を考慮できる。
C1
CQ5 単純子宮全摘出術後にⅠB 期またはそれ以上と診断された場合,推奨される治療は? 放射線治療あるいは同時化学放射線療法(CCRT)の追加が考慮される。 C1

ⅠB期とⅡ期の主治療

総説

No. クリニカルクエスチョン 推奨 グレード
CQ6 ⅠB1・ⅡA1 期扁平上皮癌に対して推奨される治療は?
  1. 広汎子宮全摘出術あるいは根治的放射線治療が推奨される。
B
  1. 根治性を損なわない範囲内での骨盤神経温存術式が考慮される。
C1
CQ7 ⅠB2・ⅡA2 期扁平上皮癌に対して推奨される治療は? 広汎子宮全摘出術(+補助療法)あるいは同時化学放射線療法(CCRT)が推奨される。 B
CQ8 ⅡB 期扁平上皮癌に対して推奨される治療は? 広汎子宮全摘出術(+補助療法)あるいは同時化学放射線療法(CCRT)が推奨される。 B
CQ9 ⅠB・Ⅱ期扁平上皮癌に対して術前化学療法(NAC)は推奨されるか? 腫瘍の拡がりや大きさによっては術前化学療法(NAC)を組み合わせた治療が考慮される。 C1
CQ10 ⅠB・Ⅱ期に対して腹腔鏡下手術,ロボット支援下手術は推奨されるか? 腫瘍径の小さなⅠB・Ⅱ期を対象とした腹腔鏡下手術,ロボット支援下手術は,手術手技に十分習熟した婦人科腫瘍専門医により,あるいは内視鏡技術認定医と婦人科腫瘍専門医の協力体制の下で施行されることが考慮される。 C1
CQ11 子宮温存術式の適応は? ⅠA 2 期または腫瘍径が2 cm 以下のⅠB 1 期症例に対しては,広汎子宮頸部摘出術(radical trachelectomy)が妊孕性温存治療の選択肢として考慮される。 C1
CQ12 センチネルリンパ節生検によるリンパ節郭清の省略は推奨されるか? センチネルリンパ節生検は病理医の協力体制の整った施設で,手技に習熟したチームにより試験的位置付けで行われるべきであり,十分に精度と安全性が確認された施設においてはセンチネルリンパ節転移陰性例でのリンパ節郭清の省略が考慮される。 C1
CQ13 広汎子宮全摘出術の場合に卵巣温存は推奨されるか?
  1. 年齢,組織型,進行期などにより症例を選択した上で卵巣温存が推奨される。
B
  1. 卵巣を温存する場合,骨盤照射野外への移動固定が考慮される。
C1
CQ14 ⅠB・Ⅱ期に対する傍大動脈リンパ節郭清・生検の意義は? 傍大動脈リンパ節転移のリスクが高い症例では,傍大動脈リンパ節生検・郭清が考慮される。 C1
CQ15 ⅠB・Ⅱ期腺癌に対して推奨される治療は?
  1. 広汎子宮全摘出術(+補助療法)が考慮される。
C1
  1. 同時化学放射線療法(CCRT)も考慮される。
C1

ⅠB 期とⅡ期の術後補助療法

総説

No. クリニカルクエスチョン 推奨 グレード
CQ16 推奨される術後補助療法は?
  1. 再発高リスク群には同時化学放射線療法(CCRT)が奨められる。
B
  1. 再発中リスク群にはリスク因子の数・程度によって,放射線治療あるいは同時化学放射線療法(CCRT)が考慮される。
C1
CQ17 術後補助放射線治療を施行する場合,推奨される照射方法は? 全骨盤照射が推奨される。 B
CQ18 傍大動脈リンパ節領域への予防照射の適応は?
  1. 画像検査または病理学的検査で傍大動脈リンパ節転移陽性と診断された症例で考慮される。
C1
  1. 画像検査で傍大動脈リンパ節転移を示唆する所見がなく,傍大動脈リンパ節転移に関する病理組織学的検索がなされていない症例では推奨されない。
C2

Ⅲ期とⅣ期の主治療

総説

No. クリニカルクエスチョン 推奨 グレード
CQ19 Ⅲ・ⅣA 期に対する初回放射線治療では,放射線治療単独と同時化学放射線療法(CCRT)のいずれが推奨されるか? 同時化学放射線療法(CCRT)が推奨される。 B
CQ20 Ⅲ・ⅣA 期に対して同時化学放射線療法(CCRT)を施行する場合,推奨される薬剤は? シスプラチンを含むレジメンが推奨される。 A
CQ21 Ⅲ・ⅣA 期に対して主治療前に施行する化学療法は推奨されるか?
  1. 放射線治療前に施行する化学療法は推奨されない。
C2
  1. 手術療法前に施行する化学療法は推奨されない。
C2
CQ22 Ⅲ・ⅣA 期に対して初回手術療法は推奨されるか? 手術療法は推奨されない。 C2
CQ23 ⅣB 期に対して推奨される治療は?
  1. 全身状態が良好かつ臓器機能が保たれている症例に対しては,全身化学療法が考慮される。
C1
  1. 全身化学療法を行う際には,ベバシズマブの併用が推奨される。
B
  1. 腫瘍関連合併症に伴う症状が強ければ,その原因となる病巣に対する緩和的放射線治療が推奨される。
B
CQ24 Ⅲ・Ⅳ期腺癌に対して推奨される治療は?
  1. Ⅲ・ⅣA 期腺癌に対しては同時化学放射線療法(CCRT)が推奨される。
B
  1. 主要臓器機能が保持されているⅣB 期腺癌に対し化学療法を施行する場合には,プラチナ製剤単剤もしくは同剤を含む併用療法が考慮される
C1
CQ25 TNM 分類のT3,T4 で傍大動脈リンパ節転移のある症例の治療は?
  1. 年齢,全身状態,臓器機能,既往歴,予測される有害事象等を検討し拡大照射を用いた同時化学放射線療法(CCRT)が考慮される。
C1

再発癌の主治療

総説

No. クリニカルクエスチョン 推奨 グレード
CQ26 前治療として放射線治療が施行されていない場合,骨盤内に限局した再発に対して放射線治療は推奨されるか?
  1. 放射線治療が推奨される。
B
  1. 同時化学放射線療法(CCRT)も考慮される。
C1
CQ27 照射野内再発に対して推奨される治療は?
  1. Best supportive care(BSC)を考慮する。
C1
  1. 症状緩和を目的とした化学療法も考慮される。
C1
  1. 腟断端,子宮頸部の中央再発に対しては,骨盤除臓術や子宮全摘出術も考慮される。
C1
  1. 再照射は推奨されない。
C2
CQ28 照射野外再発,あるいは放射線治療を施行していない場合の骨盤外再発に対して推奨される治療は?  傍大動脈リンパ節転移  
傍大動脈リンパ節に限局した再発に対しては,放射線治療あるいは同時化学放射線療法(CCRT)が考慮される。 C1
脳転移  
  1. 単発性脳転移に対しては,定位放射線照射±全脳照射,あるいは腫瘍摘出術+全脳照射が推奨される。
B
  1. 2〜4 個の多発性脳転移に対しては,定位放射線照射±全脳照射,あるいは全脳照射が推奨される。
B
  1. 5 個以上の多発性脳転移に対しては,全脳照射が推奨される。
B
骨転移  
  1. 疼痛除去目的に,単回あるいは分割照射法による放射線治療が推奨される。
B
  1. 症状緩和にビスホスホネート製剤の使用が推奨される。
B
  1. 塩化ストロンチウムは,薬物療法による症状緩和が無効な多発転移に対して考慮される。
C1
肺転移  
肺に限局した1〜3 個の転移巣に対しては,手術あるいは定位放射線治療が考慮される。 C1
CQ29 再発癌に対して全身化学療法を行う場合,推奨されるレジメンは?
  1. プラチナ製剤もしくは同剤を含む2 剤併用療法が推奨される。
B
  1. ベバシズマブを含むレジメンが推奨される。
B
  1. 再発腺癌に対し化学療法を施行する場合,プラチナ製剤単剤もしくは同剤を含む併用療法が考慮される。
C1

妊娠合併子宮頸癌の治療

総説

No. クリニカルクエスチョン 推奨 グレード
CQ30 妊娠中のCIN 3・AIS に対して推奨される対応は?
  1. 生検組織診がCIN 3 であり,細胞診とコルポスコピー所見が一致している場合は,分娩後まで円錐切除術を延期することが推奨される。
B
  1. 生検組織診が上皮内腺癌(AIS)の場合は,妊娠中に診断を目的とした円錐切除術が考慮される。
C1
CQ31 妊娠中にⅠA 期が疑われる場合の対応は? ⅠA 期が疑われる場合は,診断確定のために妊娠中に子宮頸部円錐切除術が推奨される。 B
CQ32 妊娠中のⅠB・Ⅱ期に対して推奨される治療は?
  1. 胎児の子宮外生存が可能な妊娠週数に診断された場合には,胎児娩出後に標準治療を行うことが考慮される。
C1
  1. 胎児の子宮外生存が不可能な妊娠週数に診断された場合には,進行期・妊娠週数等を加味した上で,患者や家族の意向を踏まえて症例ごとに検討する。
C1
  1. リンパ節転移陽性例やⅡ期以上の進行症例では速やかに妊娠を終了し標準治療を行うことが考慮される。
C1
  1. 抗悪性腫瘍薬は胎盤を通過するため,1st trimester での投与は奨められない。
D

治療後の経過観察

総説

No. クリニカルクエスチョン 推奨 グレード
CQ33 治療後の経過観察として推奨される間隔は?

標準的な経過観察間隔の目安を以下に示す。

1〜2 年目 :1〜3 カ月ごと
3 年目 :3〜6 カ月ごと
4〜5 年目 :6 カ月ごと
6年目以降: 1 年ごと

C1
CQ34 治療後の経過観察において留意すべき項目は?
  1. 触診・内診・直腸診,細胞診,血液・生化学検査,腫瘍マーカーや,画像検査などを適宜行うことを考慮する。
C1
  1. 手術療法や放射線治療,化学療法に伴う合併症の発生も考慮する。
C1
CQ35 治療後のホルモン補充療法は推奨されるか? 個々の症例において,そのメリット・デメリットを十分に説明した上で行うことを考慮する。 C1