本ガイドラインの概要

はじめに

2011 年,日本癌治療学会G‒CSF 適正使用ガイドライン改訂ワーキンググループが設置され,G‒CSF 適正使用ガイドライン2001 年版1)を全面改訂する形で,G‒CSF 適正使用ガイドライン2013 年版が作成された2)。同ガイドラインは,2015 年以降2018 年まで,年1 回の部分改訂を重ね,2018 年には「2013 年版ver. 5」が公開された。もともと,5 年ごとに全面改訂が行われる予定となっていたこともあり,2018 年10 月に新しい「G‒CSF 適正使用ガイドライン改訂ワーキンググループ」が組織され,全面改訂の作業が始まった。新たなガイドラインは,「Minds 診療ガイドライン作成の手引き2014」3),「Minds 診療ガイドライン作成マニュアル2017」4)に準拠し,システマティックレビューに基づいて作成した。

本文中における「本ガイドライン」は,本書のことを指し,前版については,「本ガイドライン2013年版ver. 5」と表記している。また,G‒CSF 適正使用に関する海外の主なガイドラインとして,ASCO ガイドライン,EORTC ガイドライン,NCCN ガイドライン,ESMO ガイドラインがあり,本ガイドラインでも頻繁に言及されているが,特に記載のない限り,それぞれのガイドラインの2022 年10 月時点での最新版のことである。すなわち,「ASCO ガイドライン」は2015 年版5),「EORTC ガイドライン」は2010 年版6),「NCCN ガイドライン」は2022 年版ver. 17)を指す。ただし,ESMO ガイドラインについては,G‒CSF のガイドラインとして出された2010 年版8)と,FN のガイドラインとして出された2016 年版9)があるため,両者を区別し,「ESMO ガイドライン2010 年版」「ESMO ガイドライン2016 年版」と記載している。

G‒CSF は,がん薬物療法によって生じる好中球減少症やFN を防ぐために用いる支持療法薬である。G‒CSF を適切に使用することで,FN 等の合併症やそれに伴う死亡を予防し,QOL を向上させ,OS を延長することが期待できる。また,G‒CSF の適正使用は,がん薬物療法を適切に実施することにもつながり,これによって,がん薬物療法による益を高めることが期待できる。一方で,G‒CSF には,疼痛等の有害事象,通院等の負担,薬剤コストといった「望ましくない効果」もあり,益が明確でない場合には使用を控えるべきである。

G‒CSF は,がん薬物療法の支持療法薬の一つにすぎないが,患者のOS やQOL を左右する,診療上重要度の高い医療行為であり,その適正な使用のために,患者と医療者の意思決定を支援するためのガイドラインが必要である。G‒CSF は,様々ながん種で使用されるため,疾患ごとのガイドラインではなく,G‒CSF の適正使用に特化したガイドラインを作成するのが妥当である。

日本の医療現場では,FN 発症予防というG‒CSF の本来の目的での使用ではなく,好中球数が下がったとき,あるいは,FN が生じたときに,好中球数を増加させるための「治療投与」が広く行われてきた歴史があり,好中球が減少する前,あるいは,FN を発症する前に用いる「予防投与」はあまり浸透していなかった。その一因として,日本では,多くのG‒CSF の「用法・用量」が,「好中球数1,000/μL 未満で発熱あるいは好中球数500/μL 未満が観察された時点から投与する」となっている事実がある。添付文書の改訂に向けた取り組みも必要であるが,長年にわたって改訂がなされていない状況も鑑みて,ガイドライン作成を通じて適正使用を求めていくことが重要だと考えられる。本ガイドラインが浸透することにより,G‒CSF の添付文書が適正な形に改訂されることも期待される。

1.本ガイドラインの目的

本ガイドラインの目的は,G‒CSF が適正に使用されることにより,患者のOS とQOL を改善することである。G‒CSF は適切な患者に,適切な方法で用いることにより,がん薬物療法によるFN 等の合併症を予防し,がん薬物療法の効果を高め,その結果,OS の延長やQOL の向上が期待されるが,益が期待できない状況においては,疼痛等の害があるため,使用は控えるべきである。益と害のバランスをエビデンスに基づいて評価することを通じて,患者と医療者の意思決定を支援することを意図して本ガイドラインは作成された。

2.本ガイドラインが対象とする利用者

本ガイドラインが対象とする主な利用者は,がん薬物療法に関与する医療従事者(医師,薬剤師,看護師等)である。その他の医療従事者,および,がん薬物療法を受ける成人患者やその家族にも参考となる情報を提供する。

3.本ガイドラインが対象とする患者

本ガイドラインが対象とするのは,がん薬物療法を行う予定のある,あるいは,がん薬物療法を受ける成人患者である。合併症を有する患者や高齢者を含むが,小児は対象としない。

4.利用上の注意

本ガイドラインは,あくまでも,標準的な治療を行うための指針であり,診療方針や治療法を規制したり,医師の裁量権を制限したりするものではなく,患者の状態や希望,施設の状況等によってはガイドラインの記載とは別の選択が行われることがありうる。また,本ガイドラインは医療訴訟などでの参考資料となることを想定しておらず,治療結果に対する責任の所在は直接の治療担当医にあり,本ガイドライン策定に携わった学会および個人にはない。

5.Question の区分と呼称について

本ガイドラインにおけるQuestion の区分と呼称は表1 のとおりとした。

表1 本ガイドラインにおけるQuestion の区分・呼称

6.診療ガイドライン作成方法

(1)ワーキンググループ

本ガイドラインの作成に当たったのは,日本癌治療学会「がん診療ガイドライン作成・改訂委員会」のもとに設置された「G‒CSF 適正使用ガイドライン改訂ワーキンググループ」である。同ワーキンググループは,本ガイドライン2013 年版作成のために2011 年に組織されていたが,2018 年10 月に,一部委員を変更・追加し,同ワーキンググループメンバーで,本ガイドラインの作成作業が開始された。なお,ワーキンググループ委員の選定にあたっては,日本臨床腫瘍学会および日本血液学会からの推薦を受けた。

(2)作成基本方針

「Minds 診療ガイドライン作成の手引き2014」「Minds 診療ガイドライン作成マニュアル2017」に従い,Question ごとにシステマティックレビューを行い,その結果に基づいて推奨を決定する方針とした。本ガイドライン2013 年版作成時に前提としていた「FN 発症率20%をカットオフとする考え方」は,明確な根拠に基づくものではないため,本ガイドラインではそれを踏襲せず,G‒CSF 使用の有用性等について,エビデンスに基づいて益と害のバランスを評価する方針とした。

「一次予防投与」と「治療強度増強」に関しては,がん種ごとにQuestion を立てて検討する方針とした。本来,がん薬物療法のレジメンごとに評価を行うのが理想であるが,G‒CSF の有用性を評価したエビデンスが豊富にあるわけではないことから,がん種ごとにまとめて評価を行うこととした。すべてのがん種をまとめて評価を行う方法も考えられたが,多くの臨床研究ががん種ごとに行われていること,がん種ごとに標準治療が確立していること,本ガイドラインの読者が現場で臨床疑問に直面する際には,特定のがん種についての回答を得たいと考えるであろうことなどを考慮し,がん種別に評価を行うのが妥当と判断した。なお,がん種別に検討する中で,特定のレジメンに限って推奨を行う必要があると考えられた場合には,該当するレジメンを,推奨文の注釈として記載する方針とした。注釈に記載していない場合でも,レジメンごとの検討内容について,解説文で記載する方針とした。

「二次予防投与」と「治療投与」に関しては,エビデンスも限られていることから,がん種をまとめて評価する方針とした。

多くのG‒CSF の添付文書において,予防投与ではなく治療投与を想定した効能・効果,用法・用量が設定されているが,本ガイドラインでは,添付文書の記載に縛られることなく,あくまでも科学的に適正な推奨を行う方針とした。

(3)スコープ作成

ガイドラインの作成にあたっての方向性を示すためにスコープの草案を作成し,ワーキンググループで議論を行い,2018 年12 月26 日の会議で承認を得た。その後も必要に応じて部分改訂が行われた。

重要臨床課題としては下記のものが挙げられた。

  1. G‒CSF の一次予防投与は,どのような場面(疾患,治療法)で有用か(○○がんのがん薬物療法において,G‒CSF の一次予防投与は有用か)
    ※がん種ごとに検討する
    ※治療強度増強の有用性についても検討する
  2. がん薬物療法を受けてFN を発症した固形がん患者に対して,G‒CSF の二次予防投与は有用か
  3. G‒CSF の治療投与は有用か
  4. 血液がんにおけるG‒CSF の適切な使用法
  5. G‒CSF の使用に影響を与えるFN 発症のリスク因子
  6. G‒CSF 製剤の使い分け(製剤別の違い,バイオシミラーと先行バイオ医薬品,連日投与製剤とペグ化製剤)
  7. 放射線療法中のG‒CSF の使用について
  8. G‒CSF の有害事象対策(疼痛など)
  9. G‒CSF の適切な用法・用量
(4) CQ・FQ・BQ 作成

重要臨床課題に基づき,ワーキンググループで議論しながらQuestion を作成した。ワーキンググループ委員を,担当疾患領域ごとに9 チーム(乳腺,呼吸器,消化器・頭頸部,婦人科,泌尿器,肉腫,リンパ腫,白血病,全般)に分けて作業を行い,ワーキンググループで決定した。重要臨床課題1 に対応するQuestion として設定された「○○がんのがん薬物療法において,G‒CSF の一次予防投与は有用か」「○○がんにおいて,G‒CSF 一次予防投与を前提に増強したがん薬物療法を行うことは有用か」については,各チームで,「○○がん」の部分に記載する対象がん種を検討した。それ以外の重要臨床課題については,がん種ごとに検討するのではなく,全がん種まとめて検討を行うこととした。

改訂作業開始時点ではすべてのQuestion をCQ として設定していたが,Question によってはエビデンス不足等によりシステマティックレビューを完遂できないものもあり,エビデンスに基づいた推奨提示に至らなかったQuestion についてはFQ として,システマティックレビューを完遂し,エビデンスに基づいた推奨が提示できるCQ とは区別した。また,基本的な知識(臨床的特徴,疫学的特徴,診療の全体の流れ)や広く実臨床に浸透している内容と言えるQuestion はBQ とした。

(5)文献検索と採択基準

文献検索は,聖隷佐倉市民病院図書室,国家公務員共済組合連合会中央図書室,国立がん研究センター図書館,埼玉石心会病院図書室所属の司書によるチームに依頼した。検索期間は,1990 年1 月1日~2019 年12 月31 日とし,PubMed とCochrane Library と医中誌の検索を行った。

検索された文献にハンドサーチで得られた文献を加えた上で,2 回のスクリーニングを行い,システマティックレビューに含む文献を採択した。

個々のQuestion における文献検索式については,日本癌治療学会が運営する「がん診療ガイドライン」ホームページ上(http://www.jsco-cpg.jp/)で公開予定である。

重要臨床課題1に対応するQuestionについては,下記の採択基準に則ったスクリーニングを行った。

  1. 「G‒CSF あり群」と「G‒CSF なし群」を比較したRCT があれば,優先的に採択する。
  2. ①が存在しないか少ない場合には,「G‒CSF ありの患者集団」と「G‒CSF なしの患者集団」のデータの抽出が可能な非RCT,コホート研究,症例対照研究も採択する。
  3. G‒CSF あり群とG‒CSF なし群の比較ではない,レジメンを比較するようなRCT で,調査対象のレジメンについて,「G‒CSF ありの患者集団」と「G‒CSF なしの患者集団」のデータ抽出が可能な場合は,採択を検討する。
  4. 原則として,症例報告や症例集積研究は採択しない。
  5. 二次資料(総説,システマティックレビュー,メタアナリシス,診療ガイドライン等)は採択しない。

⑤の二次資料については,スコーピングサーチの際にG‒CSF の一次予防投与の有無を比較する重要な二次資料が検索されなかったこと,および,既存の診療ガイドラインは,FN 発症率に基づいて推奨を決定しているものがほとんどで,本ガイドラインで採用している作成基本方針とは合致しないことから,重要臨床課題1 に対応するQuestion について,二次資料を採択対象から除外する方針とした。ただし,検索の過程で見つかった二次資料や,既存の診療ガイドラインについて,本ガイドライン作成の際の参考にすることはあった。

他のQuestion についても,これと同様の方針を設定してスクリーニングを行った。

(6)システマティックレビュー

ワーキンググループにおいて,各Question における「益」と「害」のアウトカムを抽出して,その重要度を点数化し,システマティックレビューで検証するアウトカムを設定した。アウトカムとしては,「全生存期間(OS)」(益),「発熱性好中球減少症発症率(FN 発症率)」(益),「感染による死亡率」(益),「生活の質(QOL)」(益),「疼痛」(害)などが設定されたQuestion が多かった。

ワーキンググループとは別にシステマティックレビューチーム(SR チーム)を組織し,ワーキンググループ委員と同様に,担当疾患領域ごとに8 チーム(乳腺,呼吸器,消化器・頭頸部,婦人科,泌尿器,肉腫,リンパ腫,白血病)に分かれてシステマティックレビューを行った。SR チーム委員については関係者名簿に記載した。一部SR チーム委員は,ワーキンググループとの兼任となっている。

文献検索およびハンドサーチによって得られた論文を対象に2 回のスクリーニングを行い,採択された個別研究のエビデンスについて,バイアスリスク・非直接性等の各項目を評価した。さらに,個別研究のエビデンス評価の結果をもとに,アウトカムごと,研究デザインごとにエビデンスを統合して,エビデンス総体としての評価を行ったのち,定性的システマティックレビュー,メタアナリシスを実施して,SR レポートを作成した。

(7)推奨草案作成

システマティックレビュー結果に基づき,ワーキンググループ委員がCQ に対するアウトカム全般に関する全体的なエビデンスの確実性(強さ)を判定し(表2),望ましい効果(益)と望ましくない効果(害と負担など)のバランス,患者の価値観・好み,コスト・資源等を総合的に考慮して,推奨草案を作成した。患者の価値観・好みについては,エビデンスに基づく評価が十分にできていないが,FN 発症率を低減させるなどの望ましい効果や,疼痛などの望ましくない効果の受け止め方は,患者ごとに異なると考えられるため,各チーム内での議論やワーキンググループでの議論を通じて慎重に検討を行った。本ガイドラインの作成段階において,患者や一般市民の直接的な関与はなかったが,今後の改訂においては,患者の視点を反映させる方法(患者のワーキンググループや外部評価への参加,患者へのインタビュー,患者の価値観,希望,経験に関する文献調査など)を検討する必要がある。

表2 アウトカム全般のエビデンスの確実性(強さ)

図1 推奨文の記載

表3 推奨の強さとエビデンスの強さの種類

また,コスト・資源についても,エビデンスに基づく評価は十分にできていないが,G‒CSF 使用によってコストがかかることを考慮し,G‒CSF 使用によって得られる益が,コストや資源に見合ったものであるかどうか慎重に検討を行った。

FQ やBQ については,推奨草案の代わりに,「~において~の有用性は明らかではない」といったステートメント案を作成した。

(8)推奨決定

ワーキンググループ委員が作成した推奨草案をもとに,推奨決定会議を開催した。合意形成方法はGRADE Grid によるWeb 投票とし,特定項目への80%以上の得票集中をもって合意形成がなされたものとして,推奨を決定した。1 回目の投票で80%以上の合意水準に達しなかった場合は,協議を行って2 回目の投票を行った。2 回目の投票でも合意形成に至らなかった場合は「推奨の強さは決定できない(Not graded)」とし,その経過や結果の要約を解説に記載することとしたが,本ガイドラインにおいて該当するCQ はなかった。

推奨文は原則,推奨の方向性(2 方向)×推奨の強さ(2 段階)の組み合わせで記載し,推奨の強さ,合意率,エビデンスの強さを併記した(図1表3)。ただし,Q43 とQ45 については,推奨作成の過程で,比較する2 つの介入のいずれか一方のみを推奨するのは適切ではないと判断されたため,2 つの介入を対等に並べた上で,「いずれも弱く推奨する」という推奨となっている。

FQ およびBQ については,推奨の強さやエビデンスの強さの記載はせず,ステートメント案の採否をワーキンググループ委員による投票で決定した。

7.外部評価

(1)日本癌治療学会,日本臨床腫瘍学会,日本血液学会でのパブリックコメント

日本癌治療学会ホームページにガイドライン草案を掲載し,日本癌治療学会,日本臨床腫瘍学会,日本血液学会に依頼してパブリックコメントを募集した。本ガイドライン改訂ワーキンググループは得られたコメントへの対応を討議し,本ガイドラインへも反映した。パブリックコメントおよびその対応については附録で公開している。

(2)日本癌治療学会がん診療ガイドライン評価委員会による外部評価

本ガイドラインは,日本癌治療学会がん診療ガイドライン評価委員会(委員の氏名・所属は関係者名簿に記載)によるAGREEⅡ評価を受けた。改訂ワーキンググループでは評価結果について検討し,可能な限り,各種意見を反映した。外部評価結果およびその対応については附録で公開している。

8.本ガイドラインの普及と改訂

本ガイドラインの出版後,引き続き本ガイドライン改訂ワーキンググループでの活動を継続し,内容の検討・広報・普及活動などを行う。

本ガイドラインWeb 版は書籍版刊行の約半年後に公開する。また,日本癌治療学会機関誌「International Journal of Clinical Oncology(IJCO)」への英訳版の投稿を行う。

また,本ガイドラインの普及活動の一環として,本ガイドラインの重要な推奨について「Quality Indicator(QI)」を設定し,その推奨がどの程度適用されているかの評価を経時的に行う。本ガイドラインにおいて,推奨の強さが「1(強い)」となっているのは,Q1「乳がんのがん薬物療法において,G‒CSF の一次予防投与を行うことを強く推奨する」とQ44「がん薬物療法において,ペグ化G‒CSF 単回投与を行うことを強く推奨する」の2 つのみであり,このうちQ1 について,「乳がん周術期薬物療法としてTC 療法(ドセタキセル+シクロホスファミド)を実施する際のG‒CSF 一次予防投与実施率」等のQI を設定して調査を行う予定である。また,予防投与と治療投与に関するQI も設定して調査することも検討する。

本ガイドラインは4~5 年後に全面改訂を行う予定とし,2026 年頃改訂作業を開始する。ただし,全面改訂の作業以外でも,本ガイドライン改訂ワーキンググループとして最新のエビデンスの情報収集に努め,日常診療に重大な影響を及ぼす新知見が確認された場合等には,部分改訂を行い,速やかに公開することを検討する。

9.利益相反(COI)

(1)利益相反申告

本ガイドライン改訂ワーキンググループ委員およびSR チーム委員は,日本癌治療学会の定款施行細則第4 号(学会の事業・活動における利益相反に関する指針運用規則)に則り,利益相反の自己申告を行い,利益相反委員会が自己申告された利益相反の状況を確認した。

⇒「G-CSF 診療ガイドライン」の利益相反状況の開示についてCOI公開準備中

(2)利益相反申告に基づく推奨決定会議における議決権の制限

本ガイドライン改訂ワーキンググループの委員が推奨作成の根拠となる論文の著者である場合(学術的COI),関連する薬剤や医療機器製造・販売に関与する企業または競合企業に関するCOI を有する場合(経済的COI)には,日本医学会『診療ガイドライン策定参加資格基準ガイダンス』の基準に則って,各委員の自己申告により,推奨決定会議における投票を棄権することとした。本ガイドライン作成においては,学術的COI,経済的COI のいずれにおいても,投票棄権の対象者はいなかった。

(3)本ガイドラインの独立性

本ガイドラインの改訂・出版に関する費用はすべて日本癌治療学会が支出し,特定企業からの資金提供は受けていない。また,すべてのQuestion における推奨決定に日本癌治療学会は直接関与していない。

【参考文献】

1)
曽根三郎,佐々木常雄,赤座英之,他.G‒CSF 適正使用ガイドライン.Int J Clin Oncol. 2001;6 Suppl:1‒24.
2)
日本癌治療学会編.G‒CSF 適正使用ガイドライン2013 年版.金原出版,2013.
3)
小島原典子,中山健夫,森實敏夫,他編.Minds 診療ガイドライン作成マニュアル2017.公益財団法人日本医療機能評価機構.
4)
福井次矢,山口直人監修,森實敏夫,吉田雅博,小島原典子編.Minds 診療ガイドライン作成の手引き2014.医学書院,東京,2014.
5)
Smith TJ, Bohlke K, Lyman GH, et al. American Society of Clinical Oncology. Recommendations for the use of WBC growth factors:American Society of Clinical Oncology Clinical Practice Guideline Update. J Clin Oncol. 2015;33:3199‒212.
6)
Aapro MS, Bohlius J, Cameron DA, et al;European Organisation for Research and Treatment of Cancer. 2010 update of EORTC guidelines for the use of granulocyte‒colony stimulating factor to reduce the incidence of chemotherapy‒induced febrile neutropenia in adult patients with lymphoproliferative disorders and solid tumours. Eur J Cancer. 2011;47:8‒32.
7)
NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology. Hematopoietic Growth Factors Version 1. 2022.
8)
Crawford J, Caserta C, Roila F. ESMO Guidelines Working Group. Hematopoietic growth factors:ESMO Clinical Practice Guidelines for the applications. Ann Oncol. 2010;21 Suppl 5:v248‒51.
9)
Klastersky J, de Naurois J, Rolston K, et al. Management of febrile neutropaenia:ESMO Clinical Practice Guidelines. Ann Oncol. 2016;27(suppl 5):v111‒8.