肝がん 〜診療ガイドライン

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目次:

第1章 予防

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はじめに

肝細胞癌は,その8 割がB 型肝炎ウイルス(HBV)やC型肝炎ウイルス(HCV)感染由来で発生する。最近では,脂肪肝または非アルコール性脂肪肝炎(NASH)が増加し,肝細胞癌の成因に関与していると考えられるが,大多数が肝硬変を合併していることが特徴である。そこで,ウイルス性肝炎由来の場合には,原因となっているHBV の増殖を抑え,HVC を排除することによって肝発癌を予防することが可能である。この対策による肝発癌抑制効果のエビデンスを十分把握して,根拠のある対策を講じることが重要である。本邦では1985 年にHBV の母子感染防止対策が功を奏して,若年者のHBV キャリアが激減している。また,1992 年以降は輸血によるHCV 感染がなくなり,C 型肝炎の新規感染は極めて限定的になっており,一次予防が成功しつつある。10 年以上先には,本邦ではHBV やHCV キャリアが根絶できるようになる可能性があり,肝細胞癌の発生が低下することが期待される。

しかし,すでにHBV やHCV に感染している患者では,肝発癌のリスクがある。肝細胞癌の二次予防として,慢性肝炎や肝硬変患者に対する抗ウイルス療法を推奨するエビデンスを明示することが重要である。HCV に対しては,直接作用する抗ウイルス製剤の急速な開発がみられ,ウイルス排除を達成できる症例が増加している。現段階では,インターフェロンを投与することによって,肝発癌を防止するエビデンスを提示しておく必要がある。今後,インターフェロンによらず経口内服製剤のみでウイルス排除が可能になることが期待されるが,肝細胞癌の発生がどの程度減少するのかを検証していく必要がある。

B 型慢性肝炎や肝硬変では,核酸アナログ製剤の投与によって肝線維化の進展が防止され,肝細胞癌発生の低下につながると考えられるが,エビデンスに基づく情報提示が必要である。今後,肝発癌に関わるマーカーを明らかにして,肝細胞癌の発生を抑える対策を講じることが急務である。

肝細胞癌の成因に脂肪肝が関与している可能性が指摘されているが,詳細なエビデンスが示されるには至っていない。脂肪肝のなかで肝発癌リスクになる要因を明らかにして,肝細胞癌の発生を防止していくことが今後の重要な検討課題である。


第1節 インターフェロン療法

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CQ 1
インターフェロンは,C 型慢性肝疾患からの発癌予防に有効か?
推奨

C 型慢性肝炎・代償性C 型肝硬変患者の発癌予防には,インターフェロンを中心としたウイルス駆除療法が推奨される。 (グレードB)

【背 景】

C 型慢性肝炎・肝硬変は,本邦における肝細胞癌の最大の高危険群である。インターフェロン療法がC 型慢性肝疾患からの発癌を減少させるかを検討した。

【サイエンティフィックステートメント】

インターフェロン療法は,C 型慢性肝炎・代償性C 型肝硬変からの発癌リスクを減少させる。2 つのメタアナリシスにおいてC 型慢性肝炎・代償性C 型肝硬変に対するインターフェロン療法は,有意に発癌リスクを減少させた(L3F005221) Level 1a においてリスク比:0.49,L3F009212) Level 1a においてリスク比:0.44)。Miyake らは,3 編のランダム化比較試験(RCT)と6 編の前向きコホート研究についてメタアナリシスを行い,C 型慢性肝疾患に対するインターフェロン療法は発癌リスクをリスク比0.45(95%信頼区間:0.31〜0.65)減少させると報告している(p<0.00001)。発癌抑制効果は,ウイルス学的著効(SVR)例に主にみられることが明らかとなっている一方,前回治療ペグインターフェロン・リバビリン併用療法無効例におけるペグインターフェロン少量長期療法の有効性に関しては,肯定的,否定的なエビデンス両者が存在する。

【解 説】

今回の改訂においては前回同様に推奨グレードをB とした。これはC 型慢性肝炎進展例・肝硬変に対するインターフェロン療法のうち,特に前回治療ペグインターフェロン・リバビリン併用療法無効例におけるペグインターフェロン少量長期療法のRCT 3 編について,2 編は発癌抑制が有意とならなかったためである。一方,多くの報告でSVR が得られれば発癌率が低下し生存率が向上することが明らかとなり,ウイルス背景(genotype・ウイルス量・ウイルス遺伝子変異)や宿主因子(IL-28B など)の条件が良い場合は,SVR を目指し積極的にインターフェロンを中心とした抗ウイルス療法を施行することが推奨される。

肝細胞癌とインターフェロン療法,C 型肝炎をキーワードにC 型慢性肝炎および肝硬変における発癌率を検討した10 編の原著論文と2 つのメタアナリシスについてアブストラクトフォームを作成した。このうち,2 つのメタアナリシスとインターフェロン非投与群が設定されている9 編の原著論文を採択した。メタアナリシスではいずれもインターフェロン投与は,肝細胞癌の発生を抑制するという結果であった(L3F005221) Level 1a,L3F009212) Level 1a)。これらの研究は,C 型慢性肝炎および代償性C 型肝硬変患者を対象に行われており,非代償性C 型肝硬変患者に対してインターフェロンが発癌を抑制するというエビデンスはない。

近年,抗ウイルス療法の進歩により通常型インターフェロン単独療法の時代からペグインターフェロン・リバビリン併用療法,そしてDAA(direct acting antivirals)併用療法へと治療法が変化している。一方,本邦のC 型慢性肝疾患はgenotype 1 型高ウイルス量・高齢・線維化進展例(いわゆる難治例)が多いという特徴がある。前回治療ペグインターフェロン・リバビリン併用療法無効例に対するペグインターフェロン少量長期療法のRCT 3 編はいずれも欧米からの報告であり,2008 年にDi Bisceglie らが発表したHALT-C study では,1,050 例のRCT(517 例がインターフェロン群,533 例が無治療群,試験期間3.5 年)では非肝硬変・肝硬変ともに両群の発癌率に有意差はなく,非肝硬変ではペグインターフェロン群は無治療群に比し有意に死亡率が高かった(5.0% vs. 1.9%,p=0.04)(L3F003753) Level 1b)。しかしその後,HALT-C study の観察期間を延長した結果(観察期間中央値6.1年),Lok らは肝硬変ではペグインターフェロン少量長期投与群はコントロール群に比して発癌が有意に抑制された(ハザード比:0.45,95%信頼区間:0.24〜0.83)と報告している(L3F005094) Level 1b)。一方,非肝硬変症例ではペグインターフェロンによる発癌抑制効果は認められなかった。観察期間の延長で肝硬変例においてペグインターフェロンの発癌抑制効果を認めた理由として肝癌発生数が53 例から88 例増加したことがあげられている。Bruix らの研究では,C 型肝硬変626 例(インターフェロン投与群311 例,コントロール群315 例,観察期間中央値2.5 年,発癌例63 例)の同様なRCT の結果としてペグインターフェロン・リバビリン併用療法無効例に対するペグインターフェロン少量長期投与は発癌抑制効果を認めなかった(L3F003375) Level 1b)。Shiffman らは,HALT-C study のlead-in であるペグインターフェロン・リバビリン併用療法において4 log 以上HCV-RNA が減少した症例は肝細胞癌発生を含む肝疾患イベントが有意に抑制されたが(p=0.003),その効果はlead-in後ペグインターフェロン少量長期療法の施行の有無には関係しなかったと報告した(L3F005876) Level 1b)。以上より,SVR が得られない症例でのペグインターフェロン少量長期療法の発癌抑制については現時点では確固たるエビデンスはない。

インターフェロンを中心とした抗ウイルス療法を施行し,ウイルス陰性化が得られたSVR 例の臨床経過として,Morgan らはSVR 140 例,インターフェロン無効例309 例,生化学的著効例77 例を6 年以上経過観察し,肝細胞癌発生頻度についてSVR 群は無効群と比べ,ハザード比0.19(95%信頼区間:0.04〜0.80)に減少し,一方SVR 140 例中3 例に肝細胞癌を認めたことより肝発癌は完全には抑制されないことを報告した(L3F005297) Level 2b)。Hirakawa らは,SVR 後発癌の危険因子として肝硬変・男性・年齢50 歳以上〔ハザード比:12.9(p<0.001),6.45(p=0.012),and 20.2(p=0.004)〕(L3F004148) Level 2b),Hung らは,非肝硬変SVR例において糖尿病が発癌危険因子となることを報告している(L3F057479) Level 2b)。

いずれの論文でも,ウイルス駆除が達成された群では,有意な発癌率の減少を認めており(L3F0042710) Level 2b,L3F0042911) Level 2b),C 型慢性肝炎・C 型肝硬変に対するインターフェロンを中心とした抗ウイルス療法によるウイルス陰性化は有効な発癌予防策であると考えられる。一方,SVR が得られても非若年者や肝硬変例では長期間の定期的な肝細胞癌スクリーニングが必要である。

【参考文献】

1) L3F00522 Miyake Y, Iwasaki Y, Yamamoto K. Meta-analysis:reduced incidence of hepatocellular carcinoma in patients not responding to interferon therapy of chronic hepatitis C. Int J Cancer 2010;127(4):989-96.

2) L3F00921 Zhang CH, Xu GL, Jia WD, Li JS, Ma JL, Ge YS. Effects of interferon treatment on development and progression of hepatocellular carcinoma in patients with chronic virus infection:a meta-analysis of randomized controlled trials. Int J Cancer 2011;129(5):1254-64.

3) L3F00375 Di Bisceglie AM, Shiffman ML, Everson GT, Lindsay KL, Everhart JE, Wright EC, et al;HALT-C Trial Investigators. Prolonged therapy of advanced chronic hepatitis C with low-dose peginterferon. N Engl J Med 2008;359(23):2429-41.

4) L3F00509 Lok AS, Everhart JE, Wright EC, Di Bisceglie AM, Kim HY, Sterling RK, et al;HALT-C Trial Group. Maintenance peginterferon therapy and other factors associated with hepatocellular carcinoma in patients with advanced hepatitis C. Gastroenterology 2011;140(3):840-9.

5) L3F00337 Bruix J, Poynard T, Colombo M, Schiff E, Burak K, Heathcote EJ, et al;EPIC3 Study Group. Maintenance therapy with peginterferon alfa-2b does not prevent hepatocellular carcinoma in cirrhotic patients with chronic hepatitis C. Gastroenterology 2011;140(7):1990-9.

6) L3F00587 Shiffman ML, Morishima C, Dienstag JL, Lindsay KL, Hoefs JC, Lee WM, et al;HALT-C Trial Group. Effect of HCV RNA suppression during peginterferon alfa-2a maintenance therapy on clinical outcomes in the HALT-C trial. Gastroenterology 2009;137(6):1986-94.

7) L3F00529 Morgan TR, Ghany MG, Kim HY, Snow KK, Shiffman ML, De Santo JL, et al;HALT-C Trial Group. Outcome of sustained virological responders with histologically advanced chronic hepatitis C. Hepatology 2010;52(3):833-44.

8) L3F00414 Hirakawa M, Ikeda K, Arase Y, Kawamura Y, Yatsuji H, Hosaka T, et al. Hepatocarcinogenesis following HCV RNA eradication by interferon in chronic hepatitis patients. Intern Med 2008;47(19):1637-43.

9) L3F05747 Hung CH, Lee CM, Wang JH, Hu TH, Chen CH, Lin CY, et al. Impact of diabetes mellitus on incidence of hepatocellular carcinoma in chronic hepatitis C patients treated with interferon-based antiviral therapy. Int J Cancer 2011;128(10):2344-52.

10) L3F00427 Ikeda K, Arase Y, Kawamura Y, Yatsuji H, Sezaki H, Hosaka T, et al. Necessities of interferon therapy in elderly patients with chronic hepatitis C. Am J Med 2009;122(5):479-86.

11) L3F00429 Imai Y, Tamura S, Tanaka H, Hiramatsu N, Kiso S, Doi Y, et al. Reduced risk of hepatocellular carcinoma after interferon therapy in aged patients with chronic hepatitis C is limited to sustained virological responders. J Viral Hepat 2010;17(3):185-91.


第2節 肝庇護療法

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CQ 2
肝庇護療法は肝細胞癌の発癌予防に有効か?
推奨

C 型慢性肝炎患者に対する発癌予防としてグリチルリチン製剤静脈内投与が推奨される。 (グレードB)

抗ウイルス療法不応・困難な活動性C型慢性肝炎・線維化進展例では,瀉血や鉄制限食が発癌予防に有効な場合がある。 (グレードC1)

【背 景】

慢性肝炎からの発癌は,肝炎ウイルスに起因する肝の持続炎症とそれに伴う壊死・再生の結果として起こると考えられる。肝の炎症を抑制することが肝発癌を予防するかについて検討した。グリチルリチン製剤は,抗炎症作用を有し,肝の炎症を抑制し,肝酵素値を減少させる。小柴胡湯は,7 種の生薬を混合した漢方薬で,その作用として細胞膜保護作用,抗炎症作用,肝血流増加作用,肝再生促進作用などが推定されている。これら2 剤は肝庇護目的に本邦で広く投与されてきたが,小柴胡湯については解説で述べる理由により,本ガイドラインの推奨から外れている。また,肝の鉄沈着は肝の炎症を惹起し発癌に関連すると報告され,瀉血や鉄制限食が注目されている。

【サイエンティフィックステートメント】

C 型慢性肝炎患者に対するグリチルリチン製剤静脈内投与は,肝発癌リスクを減少させる(オッズ比:0.40,p=0.044)。インターフェロン療法が無効であったC 型慢性肝炎・肝硬変患者に対するグリチルリチン製剤投与は,肝発癌リスクを減少させる(オッズ比:0.49,p=0.014)。大阪地区の肝硬変患者260 例を対象とした小柴胡湯投与のRCT では,平均41 カ月の観察期間中,投与群130 例中23 例,非投与群130 例中33 例の発癌が認められた。小柴胡湯投与は発癌率を減少させたが,有意ではなかった(p=0.071)。HBs 抗原陰性例に限ると,小柴胡湯投与によって5 年発癌率が39%から22%に減少し(p=0.024),さらに5 年生存率が60%から76%に改善した(p=0.043)。瀉血や鉄制限食でトランスアミナーゼが低下するC 型慢性肝炎線維化進展例では無治療群と比べ5年・10 年発癌率が低下した(オッズ比:0.57,p=0.0337)。

【解 説】

グリチルリチン製剤と肝腫瘍をキーワードに論文検索を行った。RCT はなく,2 編の後ろ向き研究のみが採択された。Arase らは,C 型慢性肝炎非肝硬変患者のうち,グリチルリチン製剤が投与された84 例と非投与の109 例を対象に後ろ向きコホート研究を行い,危険因子で調整した結果,グリチルリチン製剤静脈内投与は,肝発癌リスクを減少させる(オッズ比:0.40,95%信頼区間:0.16〜0.99,p=0.044)と報告している(LF023951) Level 2b)。Ikeda らは,インターフェロン療法が無効であったC型慢性肝炎・肝硬変患者のうち,グリチルリチン製剤が投与された244 例と非投与の102 例を対象に後ろ向きコホート研究を行い,危険因子で調整した結果,グリチルリチン製剤静脈内投与は,肝発癌リスクを減少させる(オッズ比:0.49,95%信頼区間:0.27〜0.86,p=0.014)と報告している(LF103592) Level 2b)。同一施設からの発表であるが,対象および研究期間が異なるため,個別のエビデンスとして採用した。

小柴胡湯と肝腫瘍をキーワードに論文検索を行い,1 編の論文を採択した(LF025573) Level 1b)。上述したように,肝硬変患者に対する小柴胡湯投与は,発癌を抑制する可能性があるが,有意ではなかった。ただし,HBs 抗原陰性例に限ると発癌,予後ともに改善されるという結果となっている。本研究が実施された1985 年にはHCV は発見されていない。その後の疫学統計その他から大多数のHBs 抗原陰性肝硬変がHCV に起因していることが明らかになった点を考慮すると,C 型肝硬変の発癌を小柴胡湯投与が抑制する可能性は高い。しかし,現在本邦では肝硬変に対する小柴胡湯投与は,適応禁忌となっており,その後新たなエビデンスが報告されていないため推奨を行わないこととした。

瀉血と肝腫瘍をキーワードに論文検索を行い,1 編の論文を採択した。Kato らは,インターフェロン療法が困難または無効であった活動性C 型慢性肝炎線維化進展例に対して瀉血および鉄制限食を施行した35 例と無治療群40 例の累積発癌率を比較すると,治療例では全例がALT 60 IU/ml に維持され,5 年・10 年発癌率が無治療群と比べて低下した(オッズ比:0.57,p=0.0337)と報告している(L3F057494) Level 2b)。

【参考文献】

1) LF02395 Arase Y, Ikeda K, Murashima N, Chayama K, Tsubota A, Koida I, et al. The long term efficacy of glycyrrhizin in chronic hepatitis C patients. Cancer 1997;79(8):1494-500.

2) LF10359 Ikeda K, Arase Y, Kobayashi M, Saitoh S, Someya T, Hosaka T, et al. A long-term glycyrrhizin injection therapy reduces hepatocellular carcinogenesis rate in patients with interferon-resistant active chronic hepatitis C:a cohort study of 1249 patients. Dig Dis Sci 2006;51(3):603-9..

3) LF02557 Oka H, Yamamoto S, Kuroki T, Harihara S, Marumo T, Kim SR, et al. Prospective study of chemoprevention of hepatocellular carcinoma with Sho-saiko-to(TJ-9). Cancer 1995;76(5):743-9.

4) L3F05749 Kato J, Miyanishi K, Kobune M, Nakamura T, Takada K, Takimoto R, et al. Long-term phlebotomy with low-iron diet therapy lowers risk of development of hepatocellular carcinoma from chronic hepatitis C. J Gastroenterol 2007;42(10):830-6.


CQ 3  
B 型慢性肝疾患に対する抗ウイルス療法は肝細胞癌の発癌予防に有効か?
推奨

HBV-DNA陽性代償性B型肝硬変に対する発癌予防として核酸アナログ製剤が推奨される。 (グレードA)

インターフェロン療法については一部のB 型慢性肝炎で推奨される。 (グレードC1)

【背 景】

B 型慢性肝疾患に対する核酸アナログ製剤投与やインターフェロン投与は,HBV の増殖を抑制し,肝の炎症を沈静化させ,肝の線維化を寛解させる。抗ウイルス療法がB 型慢性肝疾患患者からの発癌を減少させるかを検討した。

【サイエンティフィックステートメント】

1 つのメタアナリシスにおいて,B 型慢性肝炎・肝硬変に対する核酸アナログ製剤投与は78%発癌リスクを減少させ(リスク比:0.22,95%信頼区間:0.10〜0.50)(L3F005981) Level 1a),また後ろ向きコホート研究では,核酸アナログ製剤(ラミブジン)内服にてウイルス増殖抑制効果が良好な代償性B 型肝硬変患者はコントロール群に比べ累積発癌率が低下した(p=0.005)(L3F003862) Level 2b)。現在,本邦で第一選択とされている核酸アナログ製剤はエンテカビルであり,Yokosukaらの報告(L3H000533) Level 2b)では3 年間での耐性ウイルス出現は3.3%,96 週間でのHBV-DNA 抑制効果(HBV-DNA<400 copies/ml)は83%とウイルス増殖抑制効果は良好である。インターフェロンについては,3 つのメタアナリシスの結果では発癌抑制効果が報告されているが,1 つのメタアナリシスでは効果は認められておらず,人種・HBe 抗原陽性の有無・肝硬変の有無などに強く影響され,普遍的な発癌抑制効果を示す結果は得られてない。

【解 説】

今回の改訂において,前回は推奨グレードB であった核酸アナログ製剤をHBV-DNA 陽性代償性B 型肝硬変については推奨グレードA とした。インターフェロン療法については4 つのメタアナリシスが報告されているため採用としたが,普遍的な発癌抑制効果は認められてないため推奨グレードC1 とした。

核酸アナログ製剤について,本邦で第一選択となっているエンテカビルの発癌抑制効果については文献検索対象年度内には報告はなく,ラミブジンを用いた1 つのメタアナリシス(L3F005981) Level 1a)と後ろ向きコホート研究1編を採用とした。Eun らは,ラミブジンを投与したB 型慢性肝疾患およびヒストリカルコントロール群を比較し,ラミブジン内服にてHBV-DNA が141,500 copies/ml未満に抑制されている代償性肝硬変では,発癌が抑制されたと報告した(L3F003862) Level 2b)。この研究では,非肝硬変および非代償性肝硬変ではラミブジンの治療効果の有無で発癌率に有意差はなかった。Papatheodoridis らは,HBe 抗原陰性B型慢性肝疾患のラミブジン治療例の臨床経過を報告し,ウイルス抑制の有無は発癌関連因子ではなかったと報告している(L3F007754) Level 4)。ただし,この研究はコントロール群がなく,対象症例818 例すべてがラミブジン投与例であった。核酸アナログ製剤内服症例における発癌関連因子は年齢・性別・肝硬変の有無であった。

インターフェロンについては4 つのメタアナリシスを採用した。Miyake らは,B 型慢性肝炎におけるインターフェロン療法は発癌抑制効果を認める(risk difference:-5.0%,95%信頼区間:-9.4〜-0.5,p=0.028)がインターフェロンによる治療効果は人種やHBe 抗原の状態により異なり,特にアジア人のHBe 抗原陽性B 型慢性肝炎で発癌抑制効果が高いことを報告した(L3F005235) Level 1a)。Sung らも,インターフェロンによる発癌抑制効果(リスク比:0.66,95%信頼区間:0.48〜0.89)を報告し,特に肝硬変初期で有用であるとした(L3F005981) Level 1a)。Zhang らは,慢性ウイルス感染者におけるインターフェロンの発癌抑制効果の評価としてHBV およびHCV についてのメタアナリシスを行った。HBV 感染においてはインターフェロンの発癌抑制効果はないと結論づけているが,HBV の採用論文は1999 年の2 編のみであった(L3F009216) Level 1a)。Yang らは,11 論文・計2,082 症例(観察期間4〜7年)のメタアナリシスの結果として,インターフェロン療法は有意に発癌を抑制する(リスク比:0.59,95%信頼区間:0.43,0.81,p=0.001,p<0.05)と報告した(L3F006527) Level 1a)。Shamliyan らは,B 型慢性肝炎に対する抗ウイルス療法のsystematic review のなかで,発癌抑制についてはラミブジン・インターフェロンα2b・アデフォビル長期療法・ステロイド併用インターフェロン療法いずれも有意差を認めなかったと報告しているが,4 編の論文の結果のみであり今回は除外とした(L3F057428) Level 1a)。

B 型慢性肝炎の抗ウイルス療法は今回採択したメタアナリシスの対象文献となったラミブジンや通常型インターフェロンαの時代からエンテカビルやペグインターフェロンへと標準治療が大きく変化している。今後,大規模なRCT やコホート研究,また,それを基にしたメタアナリシスによる新しい抗ウイルス療法の発癌抑制効果の検証が期待される。

【参考文献】

1) L3F00598 Sung JJ, Tsoi KK, Wong VW, Li KC, Chan HL. Meta-analysis:Treatment of hepatitis B infection reduces risk of hepatocellular carcinoma. Aliment Pharmacol Ther 2008;28(9):1067-77.

2) L3F00386 Eun JR, Lee HJ, Kim TN, Lee KS. Risk assessment for the development of hepatocellular carcinoma:according to on-treatment viral response during long-term lamivudine therapy in hepatitis B virus-related liver disease. J Hepatol 2010;53(1):118-25.

3) L3H00053 Yokosuka O, Takaguchi K, Fujioka S, Shindo M, Chayama K, Kobashi H, et al. Long-term use of entecavir in nucleoside-naive Japanese patients with chronic hepatitis B infection. J Hepatol 2010;52(6):791-9.

4) L3F00775 Papatheodoridis GV, Manolakopoulos S, Touloumi G, Vourli G, Raptopoulou-Gigi M, Vafiadis-Zoumbouli I, et al. Virological suppression does not prevent the development of hepatocellular carcinoma in HBe Ag-negative chronic hepatitis B patients with cirrhosis receiving oral antiviral(s)starting with lamivudine monotherapy:results of the nationwide HEPNET. Greece cohort study. Gut 2011;60(8):1109-16.

5) L3F00523 Miyake Y, Kobashi H, Yamamoto K. Meta-analysis:the effect of interferon on development of hepatocellular carcinoma in patients with chronic hepatitis B virus infection. J Gastroenterol 2009;44(5):470-5.

6) L3F00921 Zhang CH, Xu GL, Jia WD, Li JS, Ma JL, Ge YS. Effects of interferon treatment on development and progression of hepatocellular carcinoma in patients with chronic virus infection:a meta-analysis of randomized controlled trials. Int J Cancer 2011;129(5):1254-64.

7) L3F00652 Yang YF, Zhao W, Zhong YD, Xia HM, Shen L, Zhang N. Interferon therapy in chronic hepatitis B reduces progression to cirrhosis and hepatocellular carcinoma:a meta-analysis. J Viral Hepat 2009;16(4):265-71.

8) L3F05742 Shamliyan TA, MacDonald R, Shaukat A, Taylor BC, Yuan JM, Johnson JR, et al. Antiviral therapy for adults with chronic hepatitis B:a systematic review for a National Institutes of Health Consensus Development Conference. Ann Intern Med 2009;150(2):111-24.


第2章 診断およびサーベイランス

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第1節 サーベイランス

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はじめに

本邦において,肝細胞癌患者の約80%は,B 型あるいはC 型慢性肝疾患患者であり,かつその大多数は肝硬変を合併している。近年,ウイルス性肝炎を背景にもたない患者が増加しているとはいえ,肝細胞癌は,高危険群の極めて明瞭な癌であるといえる。

これら高危険群を対象とした肝細胞癌サーベイランスを行ううえで,超音波検査と腫瘍マーカー検査は現在中心的な役割を果たしており,幅広く施行されている。サーベイランスの有効性が示されるためには,早期発見が根治的な治療を受ける機会を増やし,予後の改善に寄与することが示される必要がある。しかし,超音波検査単独や超音波検査と腫瘍マーカー検査との併用によるサーベイランスが,肝細胞癌患者の予後改善をもたらすとのエビデンスは現時点でも不十分であり,主に倫理的な観点から今後もランダム化比較試験(RCT)が行われる可能性は低いと考えられている。また,実臨床では,超音波での描出が困難である場合に,検査間隔を短くしたり,CT・MRI を併用したりするなどして,見落としの危険を低減するということが行われているが,超音波検査や腫瘍マーカー検査の間隔,CT・MRI を併用すべきかどうかについても十分なエビデンスが集積されているとは言いがたい。

このように,すでに肝細胞癌サーベイランスが広く受け入れられており,かつRCT を施行することが困難である現状を考慮すると,推奨はある程度現状を追認する形にならざるを得ない。

この現状を踏まえたうえで,最初に「肝細胞癌の危険因子を有する対象症例」を設定し,続いて,現在得られるエビデンスのなかで適切な肝細胞癌のサーベイランスの方法,間隔を提案することを試みた。


CQ 4
サーベイランスは,どのような対象に行うか?
推奨

肝細胞癌の危険因子は,肝硬変,C型慢性肝炎,B 型慢性肝炎,男性,高齢,アルコール摂取,喫煙,肥満,糖尿病である。その中でもC 型慢性肝疾患患者,B 型慢性肝疾患患者,および非ウイルス性の肝硬変患者は肝細胞癌の定期的スクリーニングの対象として推奨される。 (グレードB)

【背 景】

肝細胞癌は,地域集積性の著しい癌であり,B 型肝炎ウイルス(HBV)およびC型肝炎ウイルス(HCV)の関与と環境因子の影響が大きいとされる。本邦においても肝細胞癌患者の約80%は,B 型あるいはC 型慢性肝疾患患者である(L3H000041))。ウイルス要因以外にも男性,高齢,アルコール多飲,喫煙,アフラトキシン,肥満,糖尿病などが肝発癌の危険因子とされている。これら肝細胞癌の危険因子について検討した。

【サイエンティフィックステートメント】

HBV の持続感染は,全世界規模でみると最も重要な肝発癌の危険因子である。HBVキャリアは,非キャリアと比較し,223 倍の発癌リスクを有している(LF072092) Level 2a)。HBV キャリアのなかでもHBe 抗原陽性者は,HBe 抗原陰性者と比較してより高い発癌リスクを有している(相対危険度:6.3倍)(LF038253) Level 2a,LF071994) Level 2a)。B型慢性肝疾患患者のなかでも肝硬変患者は,さらにリスクが高い。

HBV-DNA 量が多いほど発癌リスクが高まることが,台湾の大規模研究で明らかになった(L3H000415) Level 2a)。同様の報告が本邦からも行われている(L3F062646) Level 3)。ただし,HBV-DNA 量は,経過中に大きく変動するため,変動のパターンにも注目する必要がある。経過中にHBV-DNA 量が減少しつつ高止まりする場合が,最も発癌リスクが高い(L3F065727) Level 2a)。HBV-DNA 量を含む総合的リスク評価システムが3編報告されている(L3F034288) Level 2a,L3F058039) Level 2a,L3F0580410) Level 2a)。

HCV の持続感染も,HBV 感染と並んで最も重要な発癌リスクの一つである。特に,本邦を含む一部の先進国では,肝発癌の第一の原因となっている(LF0720211) Level 4)。C 型肝炎を背景とした発癌の特徴は,そのほとんどが肝硬変を経てから発癌を認める点にある(LF0357512) Level 2a,LF0240413) Level 2b)。C 型肝硬変の発癌率は,国によって違いがあるが,年率3〜8%と極めて高率である。ウイルス側の因子としては,HCV-RNA 量高値とgenotype 1 が危険因子とされる(L3F0580514) Level 2a)。総合的リスク評価システムとして,線維化進展例に対するペグインターフェロン長期投与のコホート研究から年齢,人種,アルカリフォスファターゼ,静脈瘤,血小板数を含むリスクスコアが提唱されている(L3F0578315) Level 2a)。

肝硬変は,HBV・HCV の両ウイルスが陰性の場合でも肝発癌の危険因子となる。原発性胆汁性肝硬変(PBC)においては,Scheuer のⅢ期あるいはW期には発癌が認められるが,T期およびⅡ期においては,極めて稀である(LF0363316) Level 2a,LF0716717) Level 2a)。

肝細胞癌が,男性に多い癌であることは,各国の統計資料からも明らかである。男性に多い原因として,肝炎の罹患率の違い,アルコール摂取量の違い,アンドロゲンの影響などが推定されている。

アルコール多飲,アルコール性肝硬変が肝発癌の危険因子であることを示唆する多くのデータがあるが,量依存性なのか,閾値が存在するのかについては未解決である(LF0720718) Level 3,LF0720419) Level 3,LF0720320) Level 3,LF0719321) Level 3,LF0719422) Level 3)。また,アルコールは,B型およびC 型慢性肝炎・肝硬変においても肝発癌のリスクを増加させる(L3F0577323) Level 2a,L3F0576124) Level 2a)。

喫煙が肝発癌の危険因子になるかについては,肯定する論文と否定的な論文が存在するが,メタアナリシスの結果,喫煙は肝発癌リスクを上昇させることが示された(非喫煙者に対する相対危険度1.51 倍,L3H0004225) Level 3)。

肥満と肝細胞癌との関連を調査した大規模研究が2編あり,デンマークで行われた研究では,非肥満者に比して危険度が1.9 倍(LF1209326) Level 3),米国で行われた前向き研究では,肥満者(BMI>35 kg/m2)における肝細胞癌死亡リスクは,男性で4.52 倍,女性で1.68 倍であった(LF1209427) Level 2a)。本邦では,非代償性肝硬変患者を対象にした分岐鎖アミノ酸(BCAA)製剤の予後改善をend-pointとした研究におけるサブグループ解析でBMI 25 kg/m2以上の患者に肝発癌が多く認められた(LF1209628) Level 2a)。

2型糖尿病と肝発癌の関係について,スウェーデン,デンマーク,北米の糖尿病患者を対象として行われた大規模コホート研究の結果,糖尿病は肝発癌リスクを2〜4 倍にすると報告されている(LF1209729) Level 2b,LF1209830) Level 2b,LF1209931) Level 2b)。本邦では,Matsuo らが九州地区の225 例の患者を対象に行ったケース・コントロール研究で,糖尿病の存在は,年齢・性とは独立した危険因子(オッズ比2.5 倍)である,と報告している(LF1210032) Level 3)。

非アルコール性脂肪肝炎(NASH)と肝発癌の関係について,Marrero らは,105 例の肝細胞癌患者の背景因子について調査し,HCV 関連が51%と最も多く,次いで29%が特発性肝硬変,さらにその半数がNASH であったと報告している(LF1210133) Level 2b)。本邦では,Hashimoto らが247 例の非アルコール性脂肪肝(NAFLD)症例を経過観察し,肝硬変症例中に10 例の肝細胞癌合併を認めた。肝線維化の進行したF3〜4 症例の5 年間の累積発癌率は,20%であった(LF1210234) Level 2b)。

【解 説】

肝発癌の危険因子は,おのおのが独立しており,危険因子が増えるに従って連続的に肝細胞癌の発生率が増加すると考えられる。複数の危険因子を統合的に評価したモデルが,B 型およびC 型肝炎患者を対象にいくつか提唱されているが,十分な検証が行われているものは存在しない。また,スクリーニングを開始すべき年率発癌率の閾値も設定されるべきであるが,これも現在のところ困難である。よって,従来のB 型・C 型慢性肝疾患および種々の原因による肝硬変を肝細胞癌スクリーニングの対象にすることとした。

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CQ 5
サーベイランスは,予後を改善するか?
推奨

定期的な肝細胞癌に対するスクリーニングによって,早期に肝細胞癌が検出され,根治的な治療につながる。また,予後改善効果をもたらす可能性がある。 (グレードB)

【サイエンティフィックステートメント】

肝細胞癌に対する定期的なサーベイランスが,予後改善効果をもたらす可能性を示したRCT が1 編報告されている(LF106251) Level 1)。HBV 感染症例において,6 カ月毎にAFP 測定と超音波検査による定期的サーベイランスを行った群では,未施行群と比較してより小結節の段階で発見され,肝切除可能症例が有意に多く,生存率の改善を認めた。死亡率も37%改善した。

また,RCT ではないが肝硬変症例に限定した前向き研究(LF019822) Level 2a)では,超音波検査とAFP 測定による定期的サーベイランスは生存期間延長効果をもたらし,さらにlead time bias を補正して検討した後ろ向き研究(LF100863) Level 2b,LF108494) Level 2b,LF102745) Level 2b,L3F041636) Level2b,LF120497) Level 2b,L3F060128) Level 2b)でも,定期的なサーベイランスが生存率の改善をもたらしたと報告されており,定期的サーベイランスが予後改善効果をもたらす可能性が示された。

次に,サーベイランスによる肝細胞癌の早期発見が根治的治療の機会を増やすか検討したところ,慢性肝炎症例において,定期的にAFP 測定,超音波検査を用いたサーベイランスを受けて検出された肝細胞癌は,サーベイランスを受けず有症状で検出された肝細胞癌と比べ,肝切除や穿刺局所療法,肝動脈化学塞栓療法(TACE)等の根治的治療が可能である症例が多かった(LF038229) Level 3,LF106251) Level 1,LF100863) Level 2b,LF019822) Level 2a,LF120497) Level 2b,L3F0603110) Level 2a,L3F0601811) Level 2a)。しかし一方で,定期的サーベイランスを施行しても肝切除の機会が増えないとの報告もある(LF0390512) Level 2a)。

【解 説】

肝細胞癌サーベイランスの有用性が真に示されるためには,定期的なスクリーニングで早期発見が可能で,早期発見によって根治性の高い治療が施行でき,さらに予後の改善がもたらされることが必要である。肝細胞癌のサーベイランスにおいて,これらの条件を満たした論文は少数にとどまり,慎重に結論づける必要があると思われる。

慢性肝炎と肝硬変症例の違いによるサーベイランスの有効性を直接比較した論文はなく,またB 型慢性肝炎とC型慢性肝炎の違いや,性別,年齢,アルコール摂取の多寡など危険因子の違いによるサーベイランスの有効性の違いを直接比較した論文もない。それぞれの報告でのサーベイランス対象は少しずつ異なっており,その点を踏まえたうえで解釈することが求められる。肝発癌の年率から検討すると,肝硬変症例が多く含まれていた検討で肝細胞癌発生率が高く,肝細胞癌高危険群に対する定期的スクリーニングによって,肝細胞癌が単発,小結節で検出される頻度が高まり,根治的治療につながるとの報告が多い。

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CQ 6
サーベイランスは,どのような方法で行うか?
推奨

超音波検査を主体とし,腫瘍マーカー測定も用いた肝細胞癌スクリーニングを軸とし,肝硬変症例などの超高危険群ではdynamic CT またはdynamic MRI を併用する。 (グレードB)

3〜6 カ月間隔での超音波検査と腫瘍マーカー測定を軸に,dynamic CT/MRI を併用した定期的スクリーニングを行うと,肝細胞癌が単発の小結節の段階で検出される可能性が高まる。 (グレードB)

【サイエンティフィックステートメント】

肝細胞癌スクリーニングにおいてAFP 測定と比較し,超音波検査が肝細胞癌検出感度は高い(肝硬変患者対象:LF019821) Level 2a,LF026892) Level 2a,HBV キャリア対象:LF037273) Level 2a)が,特異度に明らかな差はなかった(LF026892) Level 2a,LF037273) Level 2a)。また,超音波検査単独と超音波検査+AFP 測定併用によるサーベイランスには検出感度に有意差が認められない(LF037273) Level 2a,L3F041804) Level 2b)とする一方,肝硬変症例における検討では超音波検査単独あるいはAFP 測定単独より両者の併用が肝細胞癌の検出頻度が高まるとの報告もある(LF026892) Level 2a)。

慢性肝炎,肝硬変症例のスクリーニングにおける肝細胞癌の超音波診断の感度,特異度はそれぞれ78〜90%,93〜93.8%と報告され(LF026892) Level 2a,LF037273) Level 2a,LF030695) Level 4),超音波検査で検出されない肝細胞癌は横隔膜下などの死角に存在する場合や,粗造な背景肝を有する症例に多い(LJ034716) Level 1)。肝移植症例の摘出肝を対象とした検討では,超音波検査による肝細胞癌の結節検出感度は20.5〜46%と低く(LF018677) Level 2b,L3F032048) Level 1),特に2 cm以下の結節の検出能が低い(LF018677) Level 2b,L3F032048) Level 1,LF120329) Level 1)と報告されている。2 cm 以下の小結節を対象とした検討で,超音波検査がMRI,CT と比べ小結節性病変の検出能に優れているとの報告もある(LF0223110) Level 1)が,CT,MRI の検出感度は超音波検査より優れている(L3F032048) Level 1,LF120329) Level 1)としている報告が多い。

スクリーニング間隔の違いによる肝細胞癌検出率の違いを検討した初めてのRCT が2011 年に発表された。超音波検査を3 カ月間隔と6 カ月間隔で施行し,肝細胞癌の診断能を比較検討したところ,両群に有意差がなかったと報告している(L3F0659111) Level 1)。また,超音波検査を用いたサーベイランスのメタアナリシスも新たに1つ報告(L3F041804) Level 2b)され,6 カ月間隔での超音波検査は,12 カ月間隔と比較し肝細胞癌を初期のStage で有意に高率に検出できると結論づけており,さらにlead time bias を補正して検討した後ろ向き研究(L3F0416312) Level 2b)でも,同様に6 カ月間隔の超音波検査が12 カ月間隔と比較し有意に早期に肝細胞癌を検出し,根治的治療を受ける機会を増やし,生存期間の延長をもたらしたとしている。

【解 説】

超音波検査と腫瘍マーカー測定による肝細胞癌サーベイランスが,それぞれの単独検査によるサーベイランスより明らかに優れているとの報告はない。少なくとも併用することで感度は改善するため,現在,本邦ではスクリーニングの手段として一般的に用いられているが,診断能の向上につながっているかは明確ではない。

定期的スクリーニングの適切な間隔として,3〜6 カ月間隔で超音波検査を主体とし,腫瘍マーカーを併用した定期的スクリーニングを行うと肝細胞癌が単発・小結節で検出される可能性が高いことから,今回の改訂では3〜6 カ月間隔を推奨する。スクリーニング間隔の違いによる肝細胞癌検出率の違いを検討した初めてのRCT(L3F0659111) Level 1)では,3 カ月間隔と6 カ月間隔検査群において肝細胞癌の診断に有意差を認めていない。しかし,肝細胞癌の診断は2001 年のEASL の診断基準に基づいているため,生検診断を必要としない画像診断のみで肝細胞癌と確定診断となるのは結節径が2 cm 以上に限られる。この検討では,小型の肝内結節は3 カ月間隔検査群の検出率が優れており,EASL の診断基準により肝細胞癌との確定診断を得ることができず,6 カ月間隔検査群と差がつかなかった可能性がある。

画像診断として超音波検査は死角が存在することや,背景肝が粗造なエコーパターンを呈する肝硬変状態では腫瘍の検出能,特に2 cm以下の腫瘍の検出能が十分とはいえないことから,肝細胞癌スクリーニングとして超音波検査だけではなく,CT,MRI などの他の画像検査を併用することで検出能が高まることが期待される。ただし,実際に肝細胞癌サーベイランスにCT またはMRI を併用した検討は少なく,どの程度の間隔でCT,MRI を併用することが検出感度,治療機会の改善,生存率の改善につながるかを検討した研究はない。十分な費用対効果を得られるか不明であるという問題が残されているが,超高危険群に対してはCT,MRI を併用することで,より単発,小結節の段階で検出できる確率を高めることが期待できる。

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CQ 7
Dynamic CT/MRI で典型的所見を示さない肝結節の精査は,何cm以上から行うのが望ましいか?
推奨

動脈相で高吸収域として描出される病変に関しては,1 cm以上から精査を行うことが望ましい。
(グレードB)

【背 景】

典型的画像所見を示さない肝細胞癌をより早期に診断することが,全生存率を向上させるというエビデンスは存在しない。一方で,穿刺局所療法を治療法として想定する場合は,腫瘍径が小さいほど局所根治性が高いというエビデンスが存在する。一般に,結節径が小さいほど悪性である可能性は低くなるため,精査の基準を下げると費用対効果は低下する。効率のよい閾値が存在するかを検討した。

【サイエンティフィックステートメント】

Byrnes らは,肝硬変症例において動脈相で高吸収域として描出されるが,門脈・平衡相で,周囲肝実質と比較して高吸収あるいは等吸収を呈する2 cm 未満の病変161 結節について,病理学的あるいは,経過観察によって良悪性を決定した。その結果,肝細胞癌は16 結節(10%)であり,残りは良性と判断された。そのうち1 cm 未満では,肝細胞癌は111 結節中1結節のみ(0.6%)であったのに対し,1 cm 以上では,50 結節中15結節(30%)であった(L3F028501) Level 1)。

Haradome らは,3 cm 以下の肝細胞癌52症例60結節について3相dynamic CTとGd-EOB-DTPA 造影MRI を比較した。両者のROC 曲線下面積(AUROC)は同等であったが,1.5 cm 以下の病変では,Gd-EOB-DTPA 造影MRI がCT と比較して優位に優れていた。Dynamic CT で偽陰性となった病変は,60 結節中14 結節あり,動脈相で高吸収域に描出されるが,門脈・平衡相でのwashoutを認めないとした結節が,読影者1 で11 結節,読影者2 で10 結節と大半を占めた。そのうち,読影者1・2 ともに3 結節がGd-EOB-DTPA 造影MRI の肝細胞相で低信号と判定された。Gd-EOB-DTPA 造影MRI を行うことによって門脈・平衡相でwashoutを示さない多血性の肝細胞癌を診断できる可能性が示唆された(L3F032632) Level 1)。

【解 説】

Dynamic CT/MRI における肝細胞癌の典型的所見とは,動脈相で高吸収域として描出され,門脈・平衡相で周囲肝実質よりも相対的に低吸収域として描出される結節と定義されている。典型的所見を示さない結節とは,動脈相で高吸収域として描出されるが,門脈・平衡相で,周囲肝実質と比較して高吸収あるいは等吸収を呈する病変か,動脈相で等吸収あるいは低吸収を呈し,門脈・平衡相で等吸収あるいは低吸収を呈する病変を指す。前者では,動脈-門脈(AP)シャント,限局性結節性過形成(FNH),肝海綿状血管腫などが主に鑑別にあがり,後者では,再生結節や異形結節と早期肝細胞癌の鑑別が問題となる。多血性の肝細胞癌でも腫瘍径が小さい場合は,門脈・平衡相のwashout は明瞭でない場合も多い。これら多血性結節の生物学的悪性度は,典型的な所見を示す肝細胞癌に準じると想定されるため,早期診断の利益が存在する可能性がある。一方,乏血性の早期肝細胞癌の場合は,多血性の肝細胞癌よりも生物学的悪性度は低いと想定され,早期診断の利益はより不明確となる。

【参考文献】

1) L3F02850 Byrnes V, Shi H, Kiryu S, Rofsky NM, Afdhal NH. The clinical outcome of small(<20 mm)arterially enhancing nodules on MRI in the cirrhotic liver. Am J Gastroenterol 2007;102(8):1654-9.

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第2節 腫瘍マーカー

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はじめに

腫瘍マーカーの利用法は,診断,サーベイランス,治療効果指標の3 つに大別できると考えられる。進行癌が大多数を占めていた時代には,アルファフェトプロテイン(AFP)は,肝細胞癌の確定診断に用いられていた。しかし,dynamic CT に代表される画像診断の進歩によって,特異度の低いAFPの肝細胞癌診断における重要性は低下した。一方,PIVKA-ⅡおよびAFP レクチン分画(AFP-L3 分画)は,ともに特異度が高い(95%前後)という特徴をもっており,本邦では広く使われるに至っている。

サーベイランスにおいて,腫瘍マーカーは,画像検査を補完する役割で用いられている。この場合,腫瘍マーカーがある閾値以上の値を示したときに,腹部超音波検査でたとえ病変を検出することができなくても,dynamic CT のような,より感度の高い検査を行うかを判断するという状況が想定される。そのような判断に適した腫瘍マーカーには,陽性尤度比(陽性であった場合に検査後確率を上昇させる割合)が大きいことが求められる。

腫瘍マーカーの絶対値は,肝あるいは全身の腫瘍量の総量を代替していると考えることができる。治療前後の腫瘍マーカーを測定することによって,治療による腫瘍量の減少効果を客観的に評価することが可能である。特に,肝動脈化学塞栓療法(TACE)において有用性が高いと考えられている。また,特異度の高い腫瘍マーカーの場合は,陰性化の有無を検討することによって肝切除や局所療法の根治性を検討することも可能であると考えられる。本邦は,これら3種の腫瘍マーカーが保険適用であるという,他に例をみない国である。この分野でのわが国の貢献は著しく,多くのエビデンスが日本発である。


CQ 8
肝細胞癌の診断において2種以上の腫瘍マーカーを測定することは有用か?
推奨

小肝細胞癌の診断においては2 種以上の腫瘍マーカーを測定することが推奨される。 (グレードA)

【背 景】

本邦では,肝細胞癌の腫瘍マーカーとしてAFP,PIVKA-Ⅱ,AFP-L3 分画の3 種が保険適用となっている。

診断目的の腫瘍マーカー測定は,確定診断に用いる場合と,サーベイランスにおいて次のプロセスへのトリガーとして用いる場合に分けられる。画像診断が発達した現在,肝細胞癌の腫瘍マーカーは確定診断に必須ではない。一方,サーベイランスに用いられる場合は,ある閾値を超えたときに検査後確率がどのように変化するかが重要であり,陽性尤度比〔positive likelihood ratio=感度/(1−特異度)〕を指標にすることが望ましい。

【サイエンティフィックステートメント】

5 cm 以下の肝細胞癌を対象とした17 編の論文における感度,特異度,診断オッズ比,陽性尤度比を検討したsystematic review では,AFP の感度は,カットオフ値20 ng/mlで49〜71%,特異度は,49〜86%,カットオフ値200 ng/mlで感度8〜32%,特異度76〜100%であった。統合された診断オッズ比はそれぞれ,4.06,6.99,陽性尤度比は2.45,5.85 であった。PIVKA-Ⅱの感度は,カットオフ値40 mAU/mlで15〜54%,特異度は95〜99%,カットオフ値100 mAU/mlで感度7〜56%,特異度72〜100%であった。統合された診断オッズ比は,それぞれ21.31,6.70,陽性尤度比は12.60,4.91 であった。AFP-L3 分画の感度は,カットオフ値10%で22〜33%,特異度は93〜99%,カットオフ値15%で感度21〜49%,特異度94〜100%であった。統合された診断オッズ比は,それぞれ6.43,10.50,陽性尤度比は4.89,13.10 であった。

2 種類の腫瘍マーカーを組み合わせた場合の診断オッズ比は,6.29〜59.81 と1 種類の腫瘍マーカーのみと比較して向上していた(L3H000401) Level 1)。

上記systematic review 以後の研究では,372 例のC 型肝硬変患者を対象としたコホート研究において,2 年の経過観察中に34 例に肝発癌がみられた。AFP 単独の感度はカットオフ値20 ng/mlで61%であったが,AFP-L3 分画(カットオフ値10%),PIVKA-Ⅱ(カットオフ値7.5 ng/ml)と組み合わせた場合,77%まで上昇した(L3F057722) Level 1)。B 型慢性肝炎患者において106例の肝細胞癌群と100 例の対照群を検討した研究では,カットオフ値はそれぞれAFP 20 ng/ml,PIVKA-Ⅱ 40 mAU/ml,感度は57.5%,51.9%であったが,組み合わせることによって78.3%まで上昇した。一方,特異度は88%,97%から85%への低下にとどまっていた(L3F058363) Level 1)。

小肝細胞癌において2 種の腫瘍マーカーを測定することは,特異度の低下は最小限に抑えつつ,感度を向上させる。

【参考文献】

1) L3H00040 Tateishi R, Yoshida H, Matsuyama Y, Mine N, Kondo Y, Omata M. Diagnostic accuracy of tumor markers for hepatocellular carcinoma:a systematic review. Hepatol Int 2008;2(1):17-30.

2) L3F05772 Sterling RK, Jeffers L, Gordon F, Venook AP, Reddy KR, Satomura S, et al. Utility of Lens culinaris agglutinin-reactive fraction of alpha-fetoprotein and des-gamma-carboxy prothrombin, alone or in combination, as biomarkers for hepatocellular carcinoma. Clin Gastroenterol Hepatol 2009;7(1):104-13.

3) L3F05836 Yoon YJ, Han KH, Kim do Y. Role of serum prothrombin induced by vitamin K absence or antagonist-Ⅱ in the early detection of hepatocellular carcinoma in patients with chronic hepatitis B virus infection. Scand J Gastroenterol 2009;44(7):861-6.


CQ 9
腫瘍マーカーの測定は,肝細胞癌の治療後の指標として有効か?
推奨

治療前に腫瘍マーカーが上昇している症例では,治療後にその腫瘍マーカーを測定することは,治療結果の指標として有効である。 (グレードB)

【背 景】

肝移植および肝切除では,目的とした腫瘍が完全に摘除されたかは,病理学的に評価可能であるのに対して,穿刺局所療法,TACE,分子標的治療薬を含む全身化学療法では,治療効果判定は画像検査によって行われる。また,肝移植・肝切除においても肝外・切除範囲外の遺残癌の評価には,画像検査が用いられる。画像による治療効果判定は,治療の影響による変化のため(AP シャント,リピオドール沈着など),困難な場合も少なくない。腫瘍マーカーによる治療効果判定が,画像による効果判定を補完しうるかについて検討した。

【サイエンティフィックステートメント】

根治的穿刺局所療法(RFA,70.7%)を施行された416 例を対象とした研究では,AFP,PIVKA-Ⅱ,AFP-L3 分画の3 種のマーカーのうち,治療後のAFP およびAFP-L3 分画高値(>100 ng/ml/>15%)が再発を予測する独立した因子であった(LF119061) Level 2a)。RFA で治療された54 例(治療機会72 回)を対象とした研究では,AFP の半減期7 日未満の減少は,画像診断による効果判定と独立した無再発生存の予測因子であった(L3F014342) Level 2a)。

TACE あるいは放射線塞栓療法を受けた125 例を対象とした研究では,AFP の50%以上の減少は,画像による効果判定と独立した全生存の規定因子であった(L3F058023) Level 2a)。

全身化学療法を施行された117 例を対象とした研究では,AFP の20%以上の減少で定義されたAFP responder は,画像上stable disease と判定されたなかでも良好な予後を示した(L3F014342) Level 2a)。全身化学療法あるいは分子標的治療を受けた107 例を対象とした同様の検討では,50%以上のAFP 減少は,良好な予後と関連していた(L3F006294) Level 2b)。

【解 説】

肝腫瘍と腫瘍マーカーをキーワードに論文検索を行い,治療前後の腫瘍マーカーについて検討したコホート研究4編を採択した。

【参考文献】

1) LF11906 Tateishi R, Shiina S, Yoshida H, Teratani T, Obi S, Yamashiki N, et al. Prediction of recurrence of hepatocellular carcinoma after curative ablation using three tumor markers. Hepatology 2006;44(6):1518-27.

2) L3F01434 Tsai MC, Wang JH, Hung CH, Kee KM, Yen YH, Lee CM, et al. Favorable alpha-fetoprotein decrease as a prognostic surrogate in patients with hepatocellular carcinoma after radiofrequency ablation. J Gastroenterol Hepatol 2010;25(3):605-12.

3) L3F05802 Riaz A, Ryu RK, Kulik LM, Mulcahy MF, Lewandowski RJ, Minocha J, et al. Alpha-fetoprotein response after locoregional therapy for hepatocellular carcinoma:oncologic marker of radiologic response, progression, and survival. J Clin Oncol 2009;27(34):5734-42.

4) L3F00629 Vora SR, Zheng H, Stadler ZK, Fuchs CS, Zhu AX. Serum alpha-fetoprotein response as a surrogate for clinical outcome in patients receiving systemic therapy for advanced hepatocellular carcinoma. Oncologist 2009;14(7):717-25.


第3節 画像診断

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はじめに

画像診断は,肝細胞癌の診断において極めて重要な位置を占め,大部分の肝細胞癌は,画像診断のみで確定診断することが可能である。

肝細胞癌の画像診断法として,超音波検査,CT(computed tomography),MRI(magnetic resonance imaging),血管造影,核医学検査があげられる。こうした検査法にはそれぞれ特徴がある。さらに,同一検査法であっても造影剤使用の有無,造影剤の種類と量,その注入速度,撮像タイミング,スライス厚などの撮像条件によって,画像の質には大きな差が生じ,その結果,肝細胞癌の診断能にも大きな差が生じる。また,これらの撮像条件を設定するに際しては,装置自身の性能の差が大きく影響する。

この画像診断装置の性能は近年,急速な進歩をみせている。超音波においてはドプラーやハーモニックイメージングなどの画像構成法の進歩とともに,造影剤や三次元データの活用についても急速に進歩発展をしている。CT では,連続回転式CT(ヘリカル,またはスパイラルCT)から多列式CT(multi-detector row CT;MDCT),さらに肝全体を1 秒未満で撮影できる面検出器CTへと進歩し,スキャン速度と空間分解能が飛躍的に向上しただけでなく,管電圧変更により得られる新たなコントラストの利用も始まっている。MRI 装置も,パラレルイメージング併用高速撮像法による造影剤投与下での動的検査(dynamic study)に加えて,Gd-EOB-DTPA に代表される肝細胞特異性造影剤や拡散強調像の臨床応用が進み,濃度分解能と時間分解能がいっそう向上した。血管造影ではDSA(digital subtraction angiography)の手法を用いた技術が完成度を増し,さらにはフラットパネル検出器を回転させることにより得られる三次元画像やCT 様の画像に新たな可能性が期待されている。核医学の領域では,FDG-PET(fluorodeoxyglucose positron emission tomography)を用いた検査法が悪性腫瘍の検出やステージングにおいて重要な役割を果たすようになり,特にPET とCT が合体した装置の有用性に関する知見が集積されつつある。

これらの画像診断装置の急激な進歩と歩調をあわせて,画像診断を取り巻く環境も多様性を増し複雑に変化している。この環境のなかで,今回われわれは,効率よく,しかも正確に画像診断を適応する方法について検討した。前回以降2011 年までに発表された科学的論文のなかから肝細胞癌の画像診断に関する論文を抽出し,価値が高いと思われる論文について抄録を作成し,それらを基にして,肝細胞癌の画像診断の進め方についての推奨を示した。


CQ 10
肝硬変患者における早期肝細胞癌の検出において,診断能が高い検査は何か?
推奨

肝硬変患者における早期肝細胞癌の検出において,Gd-EOB-DTPA 造影MRI は高い診断能を有する。
(グレードB)

【サイエンティフィックステートメント】

肝硬変患者でAFP が徐々に増加し,超音波で結節を検出された場合に肝細胞癌を疑うが(LF104831) Level 3),肝硬変を背景とした場合,非造影超音波による乏血性高分化型肝細胞癌と異型結節の識別感度は低い(LF018672) Level 1)。造影超音波はスクリーニング目的の非造影超音波検査に引き続いて施行可能であり,リアルタイムに画像を得ることができ,極小血管新生を評価可能である(L3F037633) Level 1)。細胞外液性造影剤を用いたCT/MRI検査では,動脈性濃染と門脈相・平衡相におけるwashout が肝細胞癌の重要な所見である。この動脈相における血流検出感度はdynamic CT や造影超音波が高いが(LF100264) Level 1),造影超音波とdynamic CT はそれぞれ単独で行うよりも併用したほうが結節内血流感度は高いとの報告がある(L3F030805) Level 1)。

一方,dynamic CT の平衡相も小型肝細胞癌の検出にとって重要である(L3F030376)Level 1)。MRI は元来,組織コントラストが高い画像検査であり,非造影検査でも高い腫瘍肝コントラストが得られるものの肝腫瘍の質的診断には限界があり,細胞外液性造影剤・肝細胞特異性造影剤を用いた血流情報およびクッパー機能・肝細胞機能から肝腫瘍の質的診断を行うことが必要である。細胞外液性造影剤を用いたdynamic MRIは,2 cm 未満の肝細胞癌の診断感度が高いとはいえないとの報告があり(LF062007) Level 1),超常磁性酸化鉄(SPIO)造影MRI の造影パターンは異型結節と肝細胞癌の識別に有用であるものの,異型結節と乏血性高分化型肝細胞癌の鑑別は困難な場合もある(L3F030638) Level 1)。SPIO 造影MRI のみでは肝腫瘍の血流情報を得られない弱点があるため,細胞外液性造影剤も併用してdynamic MRI を行い,血流情報も得るようにするダブルコントラストMRI(DC-MRI)という手法が報告されているが,それよりもGd-EOB-DTPA 造影MRI のほうが肝細胞癌検出に有利とされている(L3F029689) Level 1)。Gd-EOB-DTPA 造影MRI は肝細胞癌の診断に優れ(L3F0287910) Level 1),dynamic CTと比べて肝細胞癌の検出に有利である(L3F0293911) Level 1)。肝切除症例において組織学的に早期肝細胞癌と診断された30結節のdynamic CT とGd-EOB-DTPA 造影MRI の診断能に関するROC解析では,Az値,感度,陰性的中率においてGd-EOB-DTPA 造影MRI(0.98〜0.99,94〜97%,96.8〜98.1%)は,dynamic CT(0.87,58〜68%,80.7〜84.4%)より有意に高いと報告された(L3F0338012) Level 1)。

なお,Gd-EOB-DTPA 造影MRI の肝細胞相で低信号を示す小型乏血性結節は確定診断に至らない場合があるが,その一部は多血性肝細胞癌に進展する場合がある(L3F0298913) Level 4,L3F0299514) Level 1,L3F0297715) Level 3)。乏血性結節径が1 cm 以上や脂肪を含む場合,多血化のリスクが高い(L3F0304316) Level 3)。現時点では,Gd-EOB-DTPA 造影MRI を用いて,肝切除症例において組織学的に証明された早期肝細胞癌と異型結節の鑑別を行っている研究は1 つだけであるが,非常に高い識別能を示している(L3F0338012) Level 1)。以上より,Gd-EOB-DTPA 造影MRI は肝細胞癌(特に早期肝細胞癌)や多血化のリスクが高い乏血性結節を高い感度で検出でき,dynamic CT よりも肝細胞癌検出感度も高く,異型結節と早期肝細胞癌の識別も可能であると考えられるため,肝硬変患者における早期肝細胞癌の検出において高い診断能を有する。

【解 説】

肝細胞癌サーベイランスの有効性が示されるためには,定期的なスクリーニングで早期肝細胞癌が発見され,その結果としてより根治性の高い治療が施行され,予後の改善がみられることが必要である。早期肝細胞癌は一般的に2 cm 以下の境界不明瞭な結節型の乏血性高分化型肝細胞癌と認識されることが多く,組織学的には間質浸潤の有無が重要であるとされているが,肝切除症例において組織学的に証明された早期肝細胞癌を対象としたものは現時点で1つだけ存在するのみであり,また画像的な早期肝細胞癌の概念の統一がないため,それぞれの論文を比較することは難しい。

肝細胞癌スクリーニングに通常用いられる画像検査としては,超音波,CT,MRI がある。超音波で結節が検出されれば,dynamic CT/MRI により結節内血流の評価が行われるが,これは肝細胞癌の多段階発育において肝結節と周囲肝実質の間に動脈血流,門脈血流の供給差が生じることを利用している。ただし,高度異型結節は,部分的に細胞密度が周囲肝の2 倍以上を示すか,わずかな構造異型を有する結節で,結節内血流評価による早期肝細胞癌と異型結節の診断にはオーバーラップが存在し,両者の画像診断における鑑別には限界がある。

このような状況下で,平成20(2008)年1 月に肝細胞に取り込まれる肝細胞特異性MRI 造影剤(Gd-EOB-DTPA 造影剤)が臨床応用可能となった。Gd-EOB-DTPA 造影MRI では,dynamic 検査としては細胞外液性造影剤と同じく動脈相や門脈相の血流情報が得られ,肝細胞(造影)相といわれる造影剤注入後10〜20 分後の撮像では,肝細胞機能の差による造影能の違いから早期肝細胞癌を含む肝細胞癌の検出にも有用と考えられている。ただし,肝硬変患者で肝実質性変化(肝細胞機能低下)が著明である場合,肝実質造影効果が不十分となり,肝細胞癌の検出が不良(偽陰性)となることがあるため注意が必要である。MRI 検査はCT 検査と比べるとスループットが悪い(検査時間が長い)ため,Gd-EOB-DTPA 造影MRI は肝細胞癌スクリーニングプログラムとして多数の患者を検査することに限界がある。一方,肝結節内の血流評価とクッパー細胞機能評価を同時に行える画像検査として造影超音波検査(ソナゾイド®やレボビスト®)がある。造影超音波検査では,血管相(動脈相)での肝結節内血流動態,後血管相(クッパー相)における造影剤取り込み程度を評価でき,鋭敏な血流評価およびクッパー細胞機能評価をリアルタイムに行える点で有用性が高いが,検査の煩雑性があり,また術者の熟練度を要するため,現時点で施行可能な施設は限られている。

したがって,早期肝細胞癌の検出のために,まず従来のdynamic CT/MRI を用いた肝結節の血流動態の評価を行い,さらに症例群を絞りこんだうえでGd-EOB-DTPA 造影MRI による肝結節の肝細胞機能性評価を行うことによって,早期肝細胞癌の診断を行うことが効果的であろう。造影超音波は診断のoption として用いることができるが,早期肝細胞癌の検出における有効性については現時点で一定の見解が得られていない。

【参考文献】

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11) L3F02939 Ichikawa T, Saito K, Yoshioka N, Tanimoto A, Gokan T, Takehara Y, et al. Detection and characterization of focal liver lesions:a Japanese phase Ⅲ, multicenter comparison between gadoxetic acid disodium-enhanced magnetic resonance imaging and contrast-enhanced computed tomography predominantly in patients with hepatocellular carcinoma and chronic liver disease. Invest Radiol 2010;45(3):133-41.

12) L3F03380 Sano K, Ichikawa T, Motosugi U, Sou H, Muhi AM, Matsuda M, et al. Imaging study of early hepatocellular carcinoma:usefulness of gadoxetic acid-enhanced MR imaging. Radiology 2011;261(3):834-44.

13) L3F02989 Kumada T, Toyoda H, Tada T, Sone Y, Fujimori M, Ogawa S, et al. Evolution of hypointense hepatocellular nodules observed only in the hepatobiliary phase of gadoxetate disodium-enhanced MRI. AJR Am J Roentgenol 2011;197(1):58-63.

14) L3F02995 Lee MH, Kim SH, Park MJ, Park CK, Rhim H. Gadoxetic acid-enhanced hepatobiliary phase MRI and high-b-value diffusion-weighted imaging to distinguish well-differentiated hepatocellular carcinomas from benign nodules in patients with chronic liver disease. AJR Am J Roentgenol 2011;197(5):W868-75.

15) L3F02977 Kobayashi S, Matsui O, Gabata T, Koda W, Minami T, Ryu Y, et al. Gadolinium ethoxybenzyl diethylenetriamine pentaacetic Acid-enhanced magnetic resonance imaging findings of borderline lesions at high risk for progression to hypervascular classic hepatocellular carcinoma. J Comput Assist Tomogr 2011;35(2):181-6.

16) L3F03043 Motosugi U, Ichikawa T, Sano K, Sou H, Onohara K, Muhi A, et al. Outcome of hypovascular hepatic nodules revealing no gadoxetic acid uptake in patients with chronic liver disease. J Magn Reson Imaging 2011;34(1):88-94.


CQ 11  
肝細胞癌の高危険群において,典型的肝細胞癌の診断に診断能が高い検査は何か?
推奨

典型的肝細胞癌の診断のためにはdynamic CT,dynamic MRI,造影超音波検査のいずれか1 つが勧められる。
(グレードA)

【背 景】

高危険群のスクリーニングに用いられる非造影超音波検査は感度が低く〔60.5%(95%信頼区間:44〜76%)〕,特異度が高い〔96.9%(同95〜98%)〕傾向を示す(LF100921) Level 1)。肝硬変患者で1〜2 cm の結節が超音波検査で検出されたとき,造影剤を用いた超音波,CT,MRI のうち1 つが肝細胞癌に典型的な造影パターンを示せば肝細胞癌と診断可能である(L3F030952) Level 2a)。検索しえた限り,これらの診断能を包括して比較した論文はなく,以下,おのおのの検査の診断能を述べる。

【サイエンティフィックステートメント】

MDCT で,スライス厚5 mm におけるdynamic CT の感度は73%,陽性的中率は69%である。2.5 mm 厚を用いてもその検出感度に大きな改善はない(LF057113) Level 1)。

Gd-EOB-DTPA(EOB・プリモビスト®)を用いた造影MRI では,dynamic study に肝細胞相が付加されることで診断能が向上し(L3F032164) Level 1),dynamic CT(L3F033105) Level 1,L3F031256) Level 1,L3F028797) Level 1),非造影MRI(L3F029398) Level 1)のいずれよりも感度が高い。陽性的中率,陰性的中率,および評価の再現性はGd-EOB-DTPA 造影MRI とdynamic CT に差はないが,1 cm 以下の肝細胞癌についてはGd-EOB-DTPA 造影MRI が優れる(L3F034349) Level 1,L3H0000110) Level 1)。

SPIO のうちフェルカルボトラン(リゾビスト®)を用いたSPIO 造影MRI とdynamic CT を比較すると,1.5 テスラMRI 装置を用いた場合は差がない(LF1004511) Level 1,LF1095612) Level 1)かSPIO 造影MRI がやや優れる(L3H0001313) Level 1)。3.0 テスラMRI 装置を用いた場合はSPIO 造影MRI の感度が高く,これは1 cm 以下の小さな肝細胞癌の検出が優れることによる(L3F0330614) Level 1)。SPIO 造影MRI とGd-EOB-DTPA 造影MRI を比較すると,1.5 テスラMRI 装置での検討でGd-EOB-DTPA 造影MRI がより感度が高く(L3F0331215) Level 1),3.0 テスラMRI 置を用いた検討では同等(L3F0332316) Level 1)である。拡散強調MRI 画像の感度は45〜55%と,単独で診断することは困難であるが,特異度は92〜100%であり(L3F0326417) Level 1),Gd-DTPA 造影MRI(L3F0318618) Level 1)やGd-EOB-DTPA 造影MRI(L3F0335019) Level),SPIO 造影MRI(L3F0335520) Level 1)に追加することで良性病変との鑑別に有用である。

ソナゾイド®造影超音波検査の血管早期相で腫瘍血流を検出できるのは,dynamic CT で早期濃染を示す病変の88%,早期濃染を示さない肝細胞癌の28%である。クッパーイメージングはdynamic CT でwashout を呈した病変の83%を検出しうるが,2 cm 以下の病変や体表から9 cm 以上の位置にある病変の検出率は低下する(L3F0334121) Level 3)。

ソナゾイド®と同じく第2 世代の超音波用造影剤であるSonoVue®(国内未承認)を用いた検討によると,早期濃染とwashout によって肝細胞癌を診断した場合の感度は80%であり,非造影超音波検査29%よりも高く,病変の大きさや存在する深さによらず有用である(L3F0318422) Level 1)。Dynamic CT と造影超音波検査を併用した場合の感度は97%で,dynamic CT 単独(87〜88%),造影超音波単独(71〜74%)よりも優れる(L3F0308023) Level 1)。

【解 説】

病変検出に関する検査間の優劣比較には,感度だけでなく特異度も必要であるが,論文によってその定義が異なっているので注意すべきである。われわれが本来知りたいのは結節単位の感度・特異度であるが,結節単位の検討においてはtrue negative が一意的に定義できないため,著者の恣意的な定義次第でいかようにも特異度が変わってしまうので,客観的な優劣比較は困難である。一方,患者単位の検討は,結節単位の検討よりも感度が高くなってしまうが,特異度を一意的に定義できるので検査間の優劣比較には向いている。最近では,双方の中間に位置するsegment 単位の検討を用いた論文が散見されるが,患者単位の検討より感度は低く特異度は高くなることに注意したい。

近年,CT・MRI ともに質の高いdynamic study を行える装置が普及してきた。本CQ では,dynamic CT はMDCT 装置を,dynamic MRI は1.5 テスラまたは3.0 テスラ装置を用いた検討結果を引用した。典型的,すなわち多血性肝細胞癌に対するdynamic CT,dynamic MRI の検出感度はともに高い。多血性肝細胞癌の診断にはdynamic CT,またはdynamic MRI を用いるべきであろう。MRI とCT の比較では,現状ではほぼ同等,あるいはMRI が優れるとの評価が一般的である。肝細胞癌の患者が繰り返し検査を受けることを想定し,また,両者がほぼ同等の検出能と仮定すれば,X 線被曝のないdynamic MRI が有利である。さらに,同一検査でGd-EOB-DTPA 造影MRI 肝細胞相や拡散強調像が得られ,病変の検出・質的診断における付加価値は大きい。一方,CT には,肝臓以外の臓器の検索や腹水の確認などを同時に行える利点がある。腎機能の低い患者ではヨード造影剤やガドリニウム(Gd)造影剤を使用しにくいので,SPIO 造影MRI にも一定の価値があると考えられる。腹部超音波検査は,肝の全領域をくまなく評価することが困難であるため感度が低いものの,高い特異度を活かした補助的役割を担うことができよう。第2 世代の超音波用造影剤ソナゾイド®は腎機能障害の有無にかかわらず使用でき,重篤なアナフィラキシー様反応の頻度もヨード造影剤やGd 造影剤より少ない(L3F0341124) Level 6)。造影超音波検査はCT,MRI に比べると客観性に劣るが,血流情報と肝細胞機能情報が得られるため,既知の肝内占拠性病変の質的診断に有用である。

【参考文献】

1) LF10092 Colli A, Fraquelli M, Casazza G, Massironi S, Colucci A, Conte D, et al. Accuracy of ultrasonography, spiral CT, magnetic resonance, and alpha-fetoprotein in diagnosing hepatocellular carcinoma:a systematic review. Am J Gastroenterol 2006;101(3):513-23.

2) L3F03095 Sangiovanni A, Manini MA, Iavarone M, Romeo R, Forzenigo LV, Fraquelli M, et al. The diagnostic and economic impact of contrast imaging techniques in the diagnosis of small hepatocellular carcinoma in cirrhosis. Gut 2010;59(5):638-44.

3) LF05711 Kawata S, Murakami T, Kim T, Hori M, Federle MP, Kumano S, et al. Multidetector CT:diagnostic impact of slice thickness on detection of hypervascular hepatocellular carcinoma. AJR Am J Roentgenol 2002;179(1):61-6.

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6) L3F03125 Sun HY, Lee JM, Shin CI, Lee DH, Moon SK, Kim KW, et al. Gadoxetic acid-enhanced magnetic resonance imaging for differentiating small hepatocellular carcinomas(<or=2 cm in diameter)from arterial enhancing pseudolesions:special emphasis on hepatobiliary phase imaging. Invest Radiol 2010;45(2):96-103.

7) L3F02879 Di Martino M, Marin D, Guerrisi A, Baski M, Galati F, Rossi M, et al. Intraindividual comparison of gadoxetate disodium-enhanced MR imaging and 64-section multidetector CT in the Detection of hepatocellular carcinoma in patients with cirrhosis. Radiology 2010;256(3):806-16.

8) L3F02939 Ichikawa T, Saito K, Yoshioka N, Tanimoto A, Gokan T, Takehara Y, et al. Detection and characterization of focal liver lesions:a Japanese phase Ⅲ, multicenter comparison between gadoxetic acid disodium-enhanced magnetic resonance imaging and contrast-enhanced computed tomography predominantly in patients with hepatocellular carcinoma and chronic liver disease. Invest Radiol 2010;45(3):133-41.

9) L3F03434 Akai H, Kiryu S, Matsuda I, Satou J, Takao H, Tajima T, et al. Detection of hepatocellular carcinoma by Gd-EOB-DTPA-enhanced liver MRI:comparison with triple phase 64 detector row helical CT. Eur J Radiol 2011;80(2):310-5.

10) L3H00001 Baek CK, Choi JY, Kim KA, Park MS, Lim JS, Chung YE, et al. Hepatocellular carcinoma in patients with chronic liver disease:a comparison of gadoxetic acid-enhanced MRI and multiphasic MDCT. Clin Radiol 2012;67(2):148-56.

11) LF10045 Kim SH, Choi D, Lim JH, Lee WJ, Kim MJ, Lim HK, et al. Ferucarbotran-enhanced MRI versus triple-phase MDCT for the preoperative detection of hepatocellular carcinoma. AJR Am J Roentgenol 2005;184(4):1069-76.

12) LF10956 Kim YK, Kwak HS, Kim CS, Chung GH, Han YM, Lee JM. Hepatocellular carcinoma in patients with chronic liver disease:comparison of SPIO-enhanced MR imaging and 16-detector row CT. Radiology 2006;238(2):531-41.

13) L3H00013 Hori M, Murakami T, Kim T, Tsuda K, Takahashi S, Okada A, et al. Detection of hypervascular hepatocellular carcinoma:comparison of SPIO-enhanced MRI with dynamic helical CT. J Comput Assist Tomogr 2002;26(5):701-10.

14) L3F03306 Kim SJ, Kim SH, Lee J, Chang S, Kim YS, Jeon YH, et al. Ferucarbotran-enhanced 3.0-T magnetic resonance imaging using parallel imaging technique compared with triple-phase multidetector row computed tomography for the preoperative detection of hepatocellular carcinoma. J Comput Assist Tomogr 2008;32(3):379-85.

15) L3F03312 Kim YK, Kim CS, Han YM, Park G, Hwang SB, Yu HC. Comparison of gadoxetic acid-enhanced MRI and superparamagnetic iron oxide-enhanced MRI for the detection of hepatocellular carcinoma. Clin Radiol 2010;65(5):358-65.

16) L3F03323 Lee JY, Kim SH, Jeon YH, Lee J, Kim MJ, Choi D, et al. Ferucarbotran-enhanced magnetic resonance imaging versus gadoxetic acid-enhanced magnetic resonance imaging for the preoperative detection of hepatocellular carcinoma:initial experience. J Comput Assist Tomogr 2010;34(1):127-34.

17) L3F03264 Hardie AD, Kizziah MK, Boulter DJ. Diagnostic accuracy of diffusion-weighted MRI for identifying hepatocellular carcinoma with liver explant correlation. J Med Imaging Radiat Oncol 2011;55(4):362-7.

18) L3F03186 Xu PJ, Yan FH, Wang JH, Shan Y, Ji Y, Chen CZ. Contribution of diffusion-weighted magnetic resonance imaging in the characterization of hepatocellular carcinomas and dysplastic nodules in cirrhotic liver. J Comput Assist Tomogr 2010;34(4):506-12.

19) L3F03350 Motosugi U, Ichikawa T, Sou H, Sano K, Tominaga L, Muhi A, et al. Distinguishing hypervascular pseudolesions of the liver from hypervascular hepatocellular carcinomas with gadoxetic acid-enhanced MR imaging. Radiology 2010;256(1):151-8.

20) L3F03355 Nishie A, Tajima T, Ishigami K, Ushijima Y, Okamoto D, Hirakawa M, et al. Detection of hepatocellular carcinoma(HCC)using super paramagnetic iron oxide(SPIO)-enhanced MRI:Added value of diffusion-weighted imaging(DWI). J Magn Reson Imaging 2010;31(2):373-82.

21) L3F03341 Mandai M, Koda M, Matono T, Nagahara T, Sugihara T, Ueki M, et al. Assessment of hepatocellular carcinoma by contrast-enhanced ultrasound with perfluorobutane microbubbles:comparison with dynamic CT. Br J Radiol 2011;84(1002):499-507.

22) L3F03184 Xu HX, Xie XY, Lu MD, Liu GJ, Xu ZF, Zheng YL, et al. Contrast-enhanced sonography in the diagnosis of small hepatocellular carcinoma<or=2 cm. J Clin Ultrasound 2008;36(5):257-66.

23) L3F03080 Quaia E, Alaimo V, Baratella E, Medeot A, Midiri M, Cova MA. The added diagnostic value of 64-row multidetector CT combined with contrast-enhanced US in the evaluation of hepatocellular nodule vascularity:implications in the diagnosis of malignancy in patients with liver cirrhosis. Eur Radiol 2009;19(3):651-63.

24) L3F03411 Wilson SR, Burns PN. Microbubble-enhanced US in body imaging:what role? Radiology 2010;257(1):24-39.


CQ 12
肝細胞癌の治療前検査として血管造影は必要か?
推奨

肝細胞癌診断のためには血管造影は勧められない。 (グレードD)

【サイエンティフィックステートメント】

血管造影,CT,MRI における多血性肝細胞癌の病変単位での診断能を比較すると,血管造影における病変検出感度は,33〜77%(LF121031) Level 1,LF004742) Level 1,LF100303) Level 1),大きさ別では>2 cm;100%,1〜2 cm;38%,<1 cm;12%(LF121031) Level 1)であった。

Dynamic CTの検出感度は,53.8〜78.6%(LF020014) Level 1,LF105465) Level 1,LF103716) Level 1,LF100237) Level 1,LF057738) Level 1,LF100519) Level 1)で,ガドリニウム(Gd)を用いたdynamic MRI の感度55〜76.9%(LF0620010) Level 1,LF100237) Level 1,LF105465) Level 1,LF020014) Level 1)とほぼ同様であり,血管造影に比較してやや高い感度を呈した。2 cm 以上の病変についてみると,CT では82〜100%(LF057738) Level 1,LF103716) Level 1,LF100237) Level 1,LF105465) Level 1),MRI は80〜100%(LF0620010) Level 1,LF100237) Level 1,LF105465) Level 1)とともに高い感度であった。1〜2 cm では,CTで33.3〜65%(LF103716) Level 1,LF105465) Level 1),MRIで50〜89%(LF0620010) Level 1,LF105465) Level 1)で,MRI はCT と同等ないしそれ以上の感度を示した。1 cm 以下ではCT で0〜45.1%(LF103716) Level 1,LF105465) Level 1,LF100519) Level 1)とばらつきがあり,MRI の感度(33〜34%)(LF0620010) Level 1,LF105465) Level 1)との比較は困難であった。

【解 説】

近年のCT,MRI の進歩に伴い,dynamic CT やdynamic MRI による多血性肝細胞癌の診断能は血管造影を上回る。そのため血管造影検査の侵襲性を考えると,多血性肝細胞癌の存在診断目的の血管造影は行うべきではないと考えられる。また,術前の血管解剖の把握も最近のMDCTを用いた血管の三次元再構成画像などで容易に可能となっており,血管造影が必要となる場合は稀である。

【参考文献】

1) LF12103 Krinsky GA, Nguyen MT, Lee VS, Rosen RJ, Goldenberg A, Theise ND, et al. Dysplastic nodules and hepatocellular carcinoma:sensitivity of digital subtraction hepatic arteriography with whole liver explant correlation. J Comput Assist Tomogr 2000;24(4):628-34.

2) LF00474 Spreafico C, Marchianò A, Mazzaferro V, Frigerio LF, Regalia E, Lanocita R, et al. Hepatocellular carcinoma in patients who undergo liver transplantation:sensitivity of CT with iodized oil. Radiology 1997;203(2):457-60.

3) LF10030 Steingruber IE, Mallouhi A, Czermak BV, Waldenberger P, Gassner E, Offner F, et al. Pretransplantation evaluation of the cirrhotic liver with explantation correlation:accuracy of CT arterioportography and digital subtraction hepatic angiography in revealing hepatocellular carcinoma. AJR Am J Roentgenol 2003;181(1):99-108.

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6) LF10371 Bhattacharjya S, Bhattacharjya T, Quaglia A, Dhillon AP, Burroughs AK, Patch DW, et al. Liver transplantation in cirrhotic patients with small hepatocellular carcinoma:an analysis of preoperative imaging, explant histology and prognostic histologic indicators. Dig Surg 2004;21(2):152-9.

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8) LF05773 Lim JH, Kim CK, Lee WJ, Park CK, Koh KC, Paik SW, et al. Detection of hepatocellular carcinomas and dysplastic nodules in cirrhotic livers:accuracy of helical CT in transplant patients. AJR Am J Roentgenol 2000;175(3):693-8.

9) LF10051 Kim YK, Kim CS, Chung GH, Han YM, Lee SY, Chon SB, et al. Comparison of gadobenate dimeglumine-enhanced dynamic MRI and 16-MDCT for the detection of hepatocellular carcinoma. AJR Am J Roentgenol 2006;186(1):149-57.

10) LF06200 Krinsky GA, Lee VS, Theise ND, Weinreb JC, Rofsky NM, Diflo T, et al. Hepatocellular carcinoma and dysplastic nodules in patients with cirrhosis:prospective diagnosis with MR imaging and explantation correlation. Radiology 2001;219(2):445-54.


CQ 13
肝細胞癌の治療前検査としてCTAP/CTHAは必要か?
推奨

CTAP/CTHA はdynamic CT やdynamic MRI などの非侵襲的画像検査を上回る病変検出能を有する。微小病変を検出し,より正確なステージングを行いたいときに考慮する。 (グレードB)

【サイエンティフィックステートメント】

経動脈性門脈造影下CT(CTAP)と肝動脈造影下CT(CTHA)の併用検査を,MDCT やSPIO 造影MRI など非侵襲的検査法の組み合わせと比較した論文では,いずれも病変検出能はCTAP とCTHA の併用検査が同等かそれ以上であった(L3F033131) Level 1,L3F034702) Level 1)。特に,1.5 cm 以下などの小病変の検出に限ると,CTAP,CTHA が優っていた(L3F034702) Level 1,L3F035383) Level 1,L3F034944)Level 2a)。しかし,CTAP,CTHA を行うには血管造影検査を施行する必要があり,その侵襲性を考えると微小病変を検出し,より正確なステージングが必要な場合に考慮するべきであるという意見がある(L3F031535) Level 1,L3F030556) Level 3)。

また,nodule in nodule タイプ(多血性Foci含有乏血性結節)の早期肝細胞癌の検出能はCTAP,CTHA の組み合わせが最も優れ,dynamic MDCT がそれに次ぐことから,nodule in nodule タイプの早期肝細胞癌の経過観察にはdynamic MDCT が勧められる(L3F031107) Level 1)。

【解 説】

CTAP とCTHA の併用検査は,MDCT やSPIO 造影MRI など非侵襲的検査の組み合わせと比較して1.5 cm 以下などの小肝細胞癌の検出,nodule in nodule タイプの早期の肝細胞癌の検出能において優っている。しかし,侵襲的検査である血管造影が必須であることから適応を絞る必要性がある。

近年普及しつつあるC-arm CT 機能を有する血管造影装置は,ディテクターが患者の周囲を回転することによりCT 類似の横断画像の撮影が可能な血管造影装置である。C-arm CT を使用したCTHA(L3F032918) Level 1),CTAP(L3F035209) Level 2a)の有用性に関する検討もなされてきている。今後,TACE や肝動注療法などを目的に血管造影を行う際にC-arm CT 搭載装置を使用すれば容易に従来のCTAP,CTHA に匹敵する横断画像を入手できるようになる可能性がある。

【参考文献】

1) L3F03313 Kim YK, Kwak HS, Han YM, Kim CS. Usefulness of combining sequentially acquired gadobenate dimeglumine-enhanced magnetic resonance imaging and resovist-enhanced magnetic resonance imaging for the detection of hepatocellular carcinoma:comparison with computed tomography hepatic arteriography and computed tomography arterioportography using 16-slice multidetector computed tomography. J Comput Assist Tomogr 2007;31(5):702-11.

2) L3F03470 Imai Y, Murakami T, Hori M, Fukuda K, Kim T, Marukawa T, et al. Hypervascular hepatocellular carcinoma:Combined dynamic MDCT and SPIO-enhanced MRI versus combined CTHA and CTAP. Hepatol Res 2008;38(2):147-58.

3) L3F03538 Pugacheva O, Matsui O, Kozaka K, Minami T, Ryu Y, Koda W, et al. Detection of small hypervascular hepatocellular carcinomas by EASL criteria:comparison with double-phase CT during hepatic arteriography. Eur J Radiol 2011;80(3):e201-6.

4) L3F03494 Kim SR, Ando K, Mita K, Fuki S, Ikawa H, Kanbara Y, et al. Superiority of CT arterioportal angiography to contrast-enhanced CT and MRI in the diagnosis of hepatocellular carcinoma in nodules smaller than 2 cm. Oncology 2007;72(Suppl 1):58-66.

5) L3F03153 Tsurusaki M, Sugimoto K, Fujii M, Fukuda T, Matsumoto S, Sugimura K. Combination of CT during arterial portography and double-phase CT hepatic arteriography with multi-detector row helical CT for evaluation of hypervascular hepatocellular carcinoma. Clin Radiol 2007;62(12):1189-97.

6) L3F03055 Ohnishi H, Sakaguchi K, Nouso K, Kobayashi Y, Nakamura S, Tanaka H, et al. Outcome of small liver nodules detected by computed tomographic angiography in patients with hepatocellular carcinoma. Hepatol Int 2010;4(3):562-8.

7) L3F03110 Shinmura R, Matsui O, Kadoya M, Kobayashi S, Terayama N, Sanada J, et al. Detection of hypervascular malignant foci in borderline lesions of hepatocellular carcinoma:comparison of dynamic multi-detector row CT, dynamic MR imaging and superparamagnetic iron oxide-enhanced MR imaging. Eur Radiol 2008;18(9):1918-24.

8) L3F03291 Iwazawa J, Ohue S, Hashimoto N, Abe H, Hamuro M, Mitani T. Detection of hepatocellular carcinoma:comparison of angiographic C-arm CT and MDCT. AJR Am J Roentgenol 2010;195(4):882-7.

9) L3F03520 Miyayama S, Matsui O, Yamashiro M, Ryu Y, Takata H, Takeda T, et al. Detection of hepatocellular carcinoma by CT during arterial portography using a cone-beam CT technology:comparison with conventional CTAP. Abdom Imaging 2009;34(4):502-6.


CQ 14
腎機能および肝機能低下患者における肝腫瘍の診断には,どの検査法が有用か?
推奨

腎機能や肝機能が低下した患者において,拡散強調像を含めた非造影MRI 検査やソナゾイド®造影を含めた超音波検査は,安全に施行できる有用な検査であり,推奨できる。 (グレードB)

腎機能低下患者におけるdynamic CT やdynamic MRI は,eGFRが30〜60 ml/min/1.73 m2ではGd-EOB-DTPA 造影MRI,30 ml/min/1.73 m2未満ではSPIO 造影MRI,透析患者ではSPIO 造影MRI やdynamic CT の施行を考慮してもよい。 (グレードC1)

Child 分類C相当の肝機能低下患者における造影CT/MRI について,検査や造影剤の適切な選択に関する研究は不十分である。

【サイエンティフィックステートメント】

拡散強調像はdynamic MRI を凌駕することはできないものの,一定の有用性が示されている(L3F031611)Level 1,L3F031852)Level 1)。超音波用造影剤であるペルフルブタンマイクロバブル(ソナゾイド®)や肝細胞特異性MRI造影剤であるSPIO(リゾビスト®)は,腎機能に影響を与えず,腎機能低下による副作用増加も知られていない(添付文書参照)。

透析患者におけるGd-EOB-DTPA(EOB・プリモビスト®)のクリアランスは有意に低下するうえに,肝実質の増強効果も低下する(L3F037503)Level 2b)ため,投与は勧められない。腎機能低下患者においてdynamic CT やdynamic MRI の施行を考慮する際,適切な造影剤や検査法の選択を推定糸球体濾過量(estimated glomerular filtration rate;eGFR)に応じて検討した研究は不十分である。

肝機能低下患者では,Gd-EOB-DTPA の肝細胞相における増強効果が低下し(L3F037744) Level 1,L3F038115)Level 3),SPIO のいわゆるクッパー相の増強効果も低下する(L3H000326)Level 3)。Child-Pugh 分類C に相当するような肝機能低下患者における,dynamic CT やdynamic MRI の適切な選択に関する研究は不十分であり,暫定的な推奨も困難である。

【解 説】

腎機能低下患者において,ヨード造影剤やガドリニウム(Gd)造影剤は使用が制限され,肝機能低下患者においてGd-EOB-DTPA やSPIO の増強効果が低下するため,腎機能や肝機能が低下した患者においては検査の制限や診断能の低下が懸念される。

腎機能低下患者にヨード造影剤やGd造影剤がもたらすリスクの各論は本ガイドラインの目的から外れるので,他のガイドラインを引用するにとどめる。eGFR が60 ml/min/1.73 m2未満の腎機能低下患者においてはヨード造影剤投与による造影剤腎症のリスクが上昇する(http://www.esur.org/guidelines/en/index.php)。糖尿病・脱水・うっ血性心不全・痛風・70 歳以上・NSAIDs 服用中などの危険因子が加わると,リスクがさらに高まると考えられている。

腎機能低下患者においては,Gd造影剤による腎性全身性線維症(nephrogenic systemic fibrosis;NSF)発症リスクが上昇する(「腎障害患者におけるガドリニウム造影剤使用に関するガイドライン」http://www.radiology.jp/member_info/guideline/20090904.html)。このため,透析患者,eGFR が30 ml/min/1.73 m2未満の慢性腎臓病,急性腎不全の患者では,原則として細胞外液性Gd造影剤およびGd-EOB-DTPA を投与しない。利益と危険性を検討したうえで,やむを得ずGd 造影剤を使用しなければならない場合には,NSF 発症報告の多いガドジアミド(オムニスキャン®)やガドペンテト酸ジメグルミン(マグネビスト®)を避ける。

腎機能低下患者において,肝臓精査目的のdynamic CT ないしdynamic MRI の施行を考慮する際,適切な造影剤や検査法の選択をeGFR に応じて検討した研究は不十分である。このため,本ガイドラインにおける推奨は暫定的なものにとどまる。eGFRが30〜60 ml/min/1.73 m2では,NSF発症リスクがあまり高くないことを勘案して,診断能の高いGd-EOB-DTPA 造影MRI を推奨する。eGFR が30 ml/min/1.73 m2未満ではNSF 発症リスクが高まるので,Gd-EOB-DTPA 造影MRI とSPIO 造影MRI のいずれを推奨すべきか判断が難しいが,Gd-EOB-DTPA の添付文書に「本剤の投与を避け」との記載があることや頻回投与の可能性が高いことを勘案し,SPIO 造影MRI を推奨する。透析患者では,Gd 造影剤を避け,SPIO 造影MRIないしdynamic CT を施設の事情で選択することを推奨する。腎機能や肝機能が低下した患者においては,拡散強調像やT2 強調像の重要性が通常よりも増加するものと考えられる。

【参考文献】

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CQ 15
肝細胞癌の画像診断において,どのように造影剤を用いるべきか?
推奨

肝細胞癌の多血性の評価には,造影剤を急速注入し至適タイミングで撮像することが推奨される。
(グレードA)

乏血性結節の評価には,肝細胞特異性造影剤の肝細胞相での撮像が推奨される。
(グレードA)

【サイエンティフィックステートメント】

CTHA を用いた研究で,臨床的に悪性とされる肝細胞癌が周囲の肝組織より動脈血流が増加することは,かなり以前から知られている(LF062091) Level 3)。また,CO2 を用いた超音波血管造影で,動脈血流の多い結節では腫瘍容積の倍加時間が平均70 日,動脈血流に乏しい結節の平均は370 日と,乏血性腫瘍の発育が遅いと報告されている(LJ033682) Level 3)。また,CTHA,CTAP を用いた研究では,肝細胞癌の多段階発育を反映するように,異型結節から高分化型肝細胞癌,中ないし低分化型肝細胞癌の組織学的分化度と腫瘍内血流の変化の間の相関が捉えられている(LF062043) Level 2a,LF057244) Level 2a)。これら動脈血流に富む肝細胞癌が診断治療の主な対象になると考えられる。

CT ではヨード造影剤,MRI では細胞外液性ガドリニウム(Gd)造影剤を用いた動的観察(dynamic study)により,多血性肝細胞癌の検出率の向上が得られる。初期の頃の血管造影所見を基準とした研究でも,造影前と動脈相CTの組み合わせで88%が診断されている(LF025385) Level 1)。その後の研究で,動脈相に遅延相を加えることでCTの診断率が上昇する(LF057106) Level 1)ことが判明した。MRI においても,多数の撮像法のなかでdynamic study の有用性が高く,多血性肝細胞癌の検出には動脈相が極めて重要である(LF058397) Level 1)。

動脈相の適切な撮影タイミングの個人差を最小限とするためには,すべての造影剤を注入するのに要する時間を固定するとよい(LF120828) Level 2a)。他に,動脈早期相と動脈後期相を撮像するdouble arterial phase imaging や,ボーラストラッキング法が多血性肝細胞癌の検出率向上に役立つと報告されている(LF062019) Level 1,LF1095910) Level 3)。

平成20(2008)年1 月より日本で使用可能となったGd-EOB-DTPA は,肝細胞に取り込まれる性質をもつため,従来の細胞外液性Gd造影剤で得られていた血流情報に加え,肝細胞機能の情報を得ることができる。Gd-EOB-DTPA 造影MRI における肝細胞相での撮像は,早期肝細胞癌を含む乏血性結節の評価に優れている(L3F0338011) Level 1,L3F0291412) Level 2a)。

MRI で用いられるSPIO は,網内系細胞に取り込まれ肝実質の信号低下をもたらす。腫瘍部分には網内系細胞がなく,信号低下が起こらないことを利用して診断する。このSPIO 造影MRI によって,肝細胞癌の分化度とSPIO の取り込みがよく相関すると報告されている(LF0620213) Level 3)。

海外ではSPIO とGd-EOB-DTPA を同時に投与して撮像するdouble-contrast-enhanced MRI の有用性が報告されているが,日本ではほとんど用いられていない(L3F0162514) Level 3,L3F0208215) Level 1)。

超音波検査においては,マイクロバブルによる造影超音波検査の有用性が示されている。非造影超音波検査に比べ,造影超音波検査は2 cm 以下の肝細胞癌の診断能を有意に改善する(L3F0318416) Level 1)。

【解 説】

早期を除く肝細胞癌の多くは腫瘍内の動脈血流が多く,これを検出するためには,CT,MRI による診断において造影剤使用を欠かすことはできない。造影剤による病変の動的な把握が必須であり,特に動脈相が重要である。遅延相も診断能を上げるのに寄与している。造影前および造影3 相(動脈相・門脈相・遅延相)にそれぞれ撮影するのが一般的であるが,このなかで門脈相の診断的貢献度は低い。これら動的観察(dynamic study)を施行するには,高速dynamic CT あるいは高速MRI 装置を備えることが基礎的環境条件である。また,造影剤の3 ml/秒程度の急速注入のため自動注入装置=インジェクターも同時に備える必要がある。動脈相の画質の個人差を最小限とするためには,体重に応じた造影剤総量を一定時間で注入し,注入終了15 秒後付近をまたぐように撮影するか,大動脈への造影剤到達をトリガーとする仕組みを利用するとよいと考えられる。この造影剤使用にあたっては造影剤アレルギーの発生を考慮し,事前に患者に対する十分な説明と同意を得ることが必要であり,容態急変時の緊急処置の備えも万全でなければならない。

Gd-EOB-DTPA が,平成20(2008)年1 月より日本で使用可能となった。この造影剤では,従来のdyanamic study で得られていた血流情報に加え,肝細胞機能の情報を得ることができる。通常,Gd-EOB-DTPA を静注し20 分経つと,肝細胞に取り込まれたGd-EOB-DTPA により肝実質の信号強度が上昇し,血管内や脾臓とのコントラストが良好となる。この時相を肝細胞相とよび,肝細胞癌の検出感度が高く,有用性を報告する論文が多くみられる。また,MRI の撮像技術の進歩により肝臓のdynamic study における高分解能の3D 撮像が実現したこともGd-EOB-DTPA 造影MRI の有用性に寄与していると考えられる。

肝細胞癌検出能について,Gd-EOB-DTPA 造影MRI は,MDCT によるdynamic study と同等または優れている(L3F0287917) Level 1,L3F0293918) Level 1,L3F0330519) Level 1,L3F0331020) Level 1)。SPIO 造影MRI と比べても,Gd-EOB-DTPA 造影MRI の肝細胞癌診断能は同等または優れている(L3F0331221) Level 1,L3F0332322) Level 1)。また,Gd-EOB-DTPA 造影MRI の肝細胞相は,肝細胞癌と多血性偽病変(AP シャントなど)の鑑別に有用である(L3F0312523) Level 1)。

3.0 テスラのMRI を使用し,パラレルイメージングを併用した場合,SPIO 造影MRI はMDCT によるdynamic study よりも肝細胞癌の診断能が優れ,特に1 cm 以下の肝細胞癌に対するSPIO 造影MRI の感度が高い(L3F0330624) Level 1)。

肝細胞癌の腫瘍栓の検出と質的診断について,造影超音波検査はMDCT によるdynamic study よりも優れている(L3F0337525) Level 1)。肝細胞癌に限らず,肝悪性病変検出能について,造影超音波検査はMDCT によるdynamic study よりも感度や正診率が優れている(L3F0326726) Level 1)。

【参考文献】

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CQ 16
肝細胞癌の病期診断に頭部MRI,胸部CT,骨シンチグラフィー,FDG-PET は必要か?
推奨

肝外転移の危険因子を有する肝細胞癌患者に対して,胸部CT,骨シンチグラフィー,FDG-PET を施行することは推奨できる。 (グレードB)

神経学的所見や肺転移のある肝細胞癌患者に対して,脳転移検索目的の頭部CT/MRI は,施行することを考慮してもよい。 (グレードC1)

【サイエンティフィックステートメント】

肝細胞癌の肝外転移の頻度は初発時点で1.0〜2.3%と低い(L3F059721) Level 2b,L3F007842) Level 2b)が,治療後の経過観察中に肝外転移が出現する頻度は21%にのぼる(L3F059443) Level 2a)。転移先別の頻度は,肺が6〜29%,リンパ節が5〜20%,骨が2〜10%,副腎が1〜10%,脳が0.2〜0.6%である(L3F059443) Level 2a,L3F007842) Level 2b,L3H000044) Level 2a)。肝外転移の危険因子として,肝内病変の進行,門脈内腫瘍栓,PIVKA-Ⅱ≧300 mAU/ml,AFP>100 ng/ml,血小板数≦130×103/μl,食道静脈瘤のないこと,ウイルス性肝炎,が報告されている(L3F059555) Level 2b,L3F059443) Level 2a,L3F040556) Level 2b)。

5 cm 以下単発や3 cm 以下・3 個以下の肝細胞癌について,転移検索目的に胸部CT や骨シンチグラフィーを施行しても新たな転移がみつかることは稀で,むしろ偽陽性による損失が問題となる(LF111467) Level 2b)。

肝細胞癌の骨転移は一般に溶骨性で,転移先のおよそ半数は椎体である(L3F059721) Level 2b)。肝細胞癌骨転移の全身検索には,骨シンチグラフィー(LF105068) Level 1)およびFDG-PET(L3F013719) Level 1,L3F0419310) Level 1)が有用である。FDG-PET は,その他の肝外転移の全身検索にも有用である(L3F0336411) Level 1)が,脳転移の感度は低い(L3F013719) Level 1,L3F0419310) Level 1)。

肝細胞癌の脳転移は頻度が低い(L3F059443) Level 2a,L3F0396812) Level 5,L3F007842) Level 2b,L3H000044) Level 2a)うえに,ほとんどの脳転移は肺転移を合併する(L3F059721) Level 2b)。

【解 説】

肝細胞癌に対する局所的な治療の適応において,肝外転移の有無は重要である。

5 cm 以下単発や3 cm 以下・3 個以下の肝細胞癌について肝外転移を積極的に検索する意義は乏しいが,肝外転移の危険因子を有する肝細胞癌患者について,頻度の高い転移先を局所的な治療の前に検索することは妥当であろう。

肺転移の検索方法としては,胸部CTが標準的に用いられている。腹部dynamic CT に加えて胸部CT 施行すれば,肝内病変の評価に加えて頻度の高い肝外転移のほとんどをカバーすることができる。

肝細胞癌骨転移の全身検索において骨シンチグラフィーは有用だが,肝細胞癌骨転移はときに低集積となる欠点も知られている。骨シンチグラフィーで低集積な骨転移についてはFDG-PET の有用性が期待されている。PET-CT であれば,転移検索とともに圧迫骨折や脊柱管狭窄のリスクも評価できる可能性がある。しかし,肝細胞癌骨転移の診断能を骨シンチグラフィーとFDG-PET とで直接比較した研究は不十分である。FDG-PET は骨転移を含めた肝細胞癌肝外転移の診断能に優れており,腹部病変や肺転移だけでは説明のつかない腫瘍マーカー上昇をみた場合に積極的に施行することは妥当であろう。

症状や神経学的徴候や肺転移のある患者に対しては,脳転移検索目的の頭部造影CTやMRIの施行を考慮してもよい。

【参考文献】

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CQ 17
造影超音波は,肝細胞癌における診断能を改善するか?
推奨

造影超音波は,肝腫瘍の鑑別診断や肝細胞癌の分化度診断および存在診断に有用である。 (グレードB)

【背 景】

日本超音波医学会の「肝腫瘤の超音波診断基準」(L3H000501))の改訂がなされ,肝腫瘤の質的診断にはBモード所見に加えてドプラー所見や造影所見も含めて検討されることを勧めている。

平成25(2013)年1 月現在,国内で臨床使用できる超音波造影剤はソナゾイド®のみである。第1 世代造影剤のレボビスト®(現在は製造中止)は空気をパルミチン酸で被った微小気泡でシェルを有さない。レボビスト®は超音波により容易に崩壊することから,造影手法としては高音圧間歇送信法を一般的に用いたが,観察におけるリアルタイム性に難があった。また,クッパーイメージもpost vascular phase における1 回のsweep scan でしか得られない。一方で,平成19(2007)年1 月から日本で臨床使用が可能となった第2世代造影剤のソナゾイド®は難溶性のガス(ペルフルブタン)をリン脂質のシェルで封入したマイクロバブルである。低音圧超音波では気泡が容易に崩壊しないことから連続送信法が可能であり,観察におけるリアルタイム性が改善された。造影超音波検査では,投与直後に得られる血管イメージとソナゾイド®が網内系細胞に貪食されることよるクッパーイメージを組み合わせることで肝腫瘍診断に応用されている。ただし,海外で使用されているSonoVue®やDefinity®(いずれも国内未承認)は第2 世代造影剤であるが網内系細胞に貪食されないために血管イメージだけでの評価が行われている。

【サイエンティフィックステートメント】

造影超音波による肝細胞癌の診断能は,感度94〜100%,特異度91〜97%であり(L3F053442) Level 1,L3F053453) Level 1,L3F039014) Level 1,L3F053895) Level 1,L3F053976) Level 1,L3F053987) Level 1,L3F030828) Level 1),dynamic CT やdynamic MRI およびSPIO 造影MRI との診断能の比較において造影超音波は遜色ないとされる。さらに硬変肝を有する症例のサーベイランスとして,造影超音波群がB モード単独群,B モード+AFP 計測群と比べて肝細胞癌の診断に有用であったとの報告がある〔正診率について,それぞれ72.0%,90.3%,96.6%(p<0.05)〕(L3F053839) Level 1)。また,ソナゾイド®を用いた術中造影超音波でも肝内病巣の検出と診断に優れており,正しくステージングを行ううえで診断精度が向上した(L3F0533910) Level 1,L3F0534311) Level 2a)。ただし,造影超音波では直径が1 cm 以下の肝腫瘍や深部病変について診断能が低下する傾向にある(L3F0534612) Level 1)。

ソナゾイド®を用いた造影超音波ではDefect Re-perfusion Imaging を活用することができる。Defect Re-perfusion Imaging とは,欠損像を呈する腫瘍をターゲットとして再度ソナゾイド®を投与することにより腫瘍内の血行動態を詳細に観察する方法であり,B モードで同定困難な肝腫瘍の診断に有用であった(L3F0379113) Level 1)。

新たな試みとして造影超音波での三次元(3D)およびリアルタイム3D(いわゆる「4D」)イメージが肝腫瘍の診断および治療ガイドへの応用として報告されている(L3F0540314) Level 1,L3F0333915) Level 1)。

【解 説】

今回の検討では,前版(2009 年版)では検索期間外で対象とならなかったソナゾイド®を含め,第2世代超音波造影剤による研究を対象とした。

造影超音波による肝腫瘍診断において,典型的な血流動態を呈する場合の鑑別は比較的容易であり,特にソナゾイド®を用いた造影超音波においてDefect Re-perfusion Imaging を利用できることは大きなメリットである。しかしながら,乏血性肝細胞性結節とされるlow-grade dysplastic nodule(LGDN),high-grade dysplastic nodule(HGDN)や早期肝癌の鑑別診断は容易でない。早期肝細胞癌でも約2/3 で門脈血流が保たれており,造影超音波よりGd-EOB-DTPA 造影MRI のほうが肝腫瘍の病理学的変化を早期に捉えると考えられている。

3D や4D 造影超音波について画質や演算処理能力などが改善されたとはいえ,解像度やリアルタイム性ではまだ十分とは言いがたい。そのため,臨床的に普及するにはさらなる機器の進歩が待たれる。

【参考文献】

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13) L3F03791 Kudo M, Hatanaka K, Maekawa K. Newly developed novel ultrasound technique, defect reperfusion ultrasound imaging, using sonazoid in the management of hepatocellular carcinoma. Oncology 2010;78(Suppl 1):40-5.

14) L3F05403 Luo W, Numata K, Morimoto M, Nozaki A, Ueda M, Kondo M, et al. Differentiation of focal liver lesions using three-dimensional ultrasonography:retrospective and prospective studies. World J Gastroenterol 2010;16(17):2109-19.

15) L3F03339 Luo W, Numata K, Morimoto M, Oshima T, Ueda M, Okada M, et al. Role of Sonazoid-enhanced three-dimensional ultrasonography in the evaluation of percutaneous radiofrequency ablation of hepatocellular carcinoma. Eur J Radiol 2010;75(1):91-7.


CQ 18
造影超音波は,局所療法やTACE の治療効果判定に有用か?
推奨

造影超音波は,癌遺残部を良好に描出できる点において有用である。 (グレードB)

【背 景】

固形がんの治療効果判定基準としてRECIST(L3H000511),L3H000522))が広く用いられている。しかし,肝細胞癌に対する局所療法やTACE においては根治的治療後も病変部が残存することから治療効果をRECIST で正しく判定することは難しい。そのため,肝細胞癌治療の効果判定については腫瘍の壊死効果を評価に取り入れたmRECIST(L3H000463),L3F004874))が欧米で提唱されている。その一方,日本では『原発性肝癌取扱い規約(第5 版)』(L3H000555))にあわせて,肝癌治療効果判定基準(2009 年改訂版)(L3H000476))がRECICL(L3H000287))として発表された。

【サイエンティフィックステートメント】

今回の検討では,ソナゾイド®を含めた第2世代超音波造影剤を用いた研究を対象とした。

  • RFAの効果判定:

    Ricci らによると,dynamic CT をgold standard とした比較検討についてSonoVue®を用いた造影超音波の感度,特異度,陰性的中率,陽性的中率はそれぞれ92.3%,100%,97.4%,100%であった(L3F033738) Level 1)。

    Kudo らの報告によると,Defect Re-perfusion Imaging の手技を用いれば癌遺残部の指摘が容易であり,dynamic CT で指摘しえなかった小結節についても肝細胞癌と診断し得た(L3F037919) Level 1)。

    RFA 後のB モード像における腫瘍境界の経時的変化の研究(L3F0372410) Level 1)では,RFA 翌日,3 日後,4 日後,5 日後の腫瘍境界の描出率は65.2%,54.3%,43.5%,39.1%であった。RFA で焼灼された腫瘍は経時的に不明瞭になる傾向が示され,最も明瞭に描出された翌日でさえ2/3 の症例にしか腫瘍境界を指摘できなかった。言い換えれば,残りの1/3 の症例においてsafety margin の評価は困難となる。

  • TACEの効果判定:

    造影超音波は腫瘍内のvascularity 残存部を感度よく検出でき,治療効果判定や再発予測に有用である(LF0713011) Level 1,LF1081012) Level 1,L3F0026213) Level 1)。

【解 説】

治療効果判定では,マージンを含む画像評価における客観性や治療対象結節を複数判定する必要性などから造影CT が一般的に用いられる。しかし,放射線被曝がないこと,ヨードアレルギーや腎障害のある症例に対し安全に検査できることは造影超音波の長所であり,患者および腫瘍条件によっては造影超音波が治療効果判定として選択されうる。

造影超音波は,空間・コントラスト・時間分解能がそれぞれ優れていることから,肝細胞癌の小さな遺残部でもhypervascular spot として良好に描出できる。そのため,穿刺局所療法における癌遺残について,CT ではpartial volume effect によって指摘できない小病変を造影超音波では検出できる。さらに追加的に治療する際には造影下で病変を認識しながら穿刺を行うことで効果的な治療として応用できる。また,TACE の効果判定の時期については従来では治療後1 カ月以降とされていたが,造影超音波では治療後1 カ月以内の効果判定も可能である(LF1081012) Level 1,L3F0026213) Level 1)。早期に治療効果判定をできることはタイムロスなく後治療を継続するために重要である。

【参考文献】

1) L3H00051 Therasse P, Arbuck SG, Eisenhauer EA, Wanders J, Kaplan RS, Rubinstein L, et al. New guidelines to evaluate the response to treatment in solid tumors. European Organization for Research and Treatment of Cancer, National Cancer Institute of the United States, National Cancer Institute of Canada. J Natl Cancer Inst 2000;92(3):205-16.

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8) L3F03373 Ricci P, Cantisani V, Drudi F, Pagliara E, Bezzi M, Meloni F, et al. Is contrast-enhanced US alternative to spiral CT in the assessment of treatment outcome of radiofrequency ablation in hepatocellular carcinoma? Ultraschall Med 2009;30(3):252-8.

9) L3F03791 Kudo M, Hatanaka K, Maekawa K. Newly developed novel ultrasound technique, defect reperfusion ultrasound imaging, using sonazoid in the management of hepatocellular carcinoma. Oncology 2010;78(Suppl 1):40-5.

10) L3F03724 Zhou P, Kudo M, Minami Y, Chung H, Inoue T, Fukunaga T, et al. What is the best time to evaluate treatment response after radiofrequency ablation of hepatocellular carcinoma using contrast-enhanced sonography? Oncology 2007;72(Suppl 1):92-7.

11) LF07130 Minami Y, Kudo M, Kawasaki T, Kitano M, Chung H, Maekawa K, et al. Transcatheter arterial chemoembolization of hepatocellular carcinoma:usefulness of coded phase-inversion harmonic sonography. AJR Am J Roentgenol 2003;180(3):703-8.

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13) L3F00262 Xia Y, Kudo M, Minami Y, Hatanaka K, Ueshima K, Chung H, et al. Response evaluation of transcatheter arterial chemoembolization in hepatocellular carcinomas:the usefulness of sonazoid-enhanced harmonic sonography. Oncology 2008;75(Suppl 1):99-105.


第3章 手 術

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はじめに

手術治療は肝切除および肝移植という手法により悪性腫瘍を除去し,局所制御性において最も確実性が高い治療である。第18 回全国原発性肝癌追跡調査(2004〜2005年)(L3H000041))の手術死亡率は0.7%と報告され,安全性も他の一般消化器外科手術と遜色ない状況である。今回のガイドライン改訂では2008〜2011 年に発行された英文論文より肝細胞癌,手術をキーワードに検索した原著論文2,898 編を基にCQ および解説の見直しを行った。表1 に第3 章手術におけるCQ の変遷を示す。

手術適応では,術前肝機能評価が不同のトップバッターであり,障害肝における肝切除の安全性を保証するエビデンスが紹介されてきた。肝切除の術式に関して網羅的観点から標準的肝切除というCQ を新設した。ここでは世界をリードしてきた本邦の肝切除に関するエビデンスを多角的に紹介している。

予後因子では,これまでの改訂においてCQ の修正はなく,肝切除後の長期成績に関するエビデンスが紹介されている。しかし,いずれの推奨もグレードB にとどまっており,本邦発の前向き試験の登場が期待されるところである。

周術期管理では,輸血,出血抑制に加えて腹腔ドレーンの是非についてCQ が新設された。採用されたRCT は海外からの文献が多く,本邦の実情と乖離する部分もある。われわれの臨床環境に応じた試験の実施が期待される。

今回,治療後再発予防に関する第8 章が新設されたことより,本章の補助療法は術前後化学療法に絞って解説した。現在,分子標的治療薬を中心に術後補助化学療法の前向き試験が進行中であり結果が期待されている。

肝移植は,ダウンステージングと適応の2 つのCQ に厳選して解説を行った。従来の予後因子や肝切除との比較に関しては肝移植適応(CQ31)の項に集約された。詳しくは第5 節・肝移植の「はじめに」をご参照願いたい。

ガイドラインは,臨床判断を制限したり強制したりするものではなく,各CQ を参考として適切な治療法が選択されることが望ましい。また,本邦発のエビデンスレベルの高い前向き試験はいまだ十分とはいえず,今後,手術に関する新知見の登場が期待されるところである。

表1 「第3 章 手術」におけるCQ の変遷
  2005 2009 2013
手術適応・術式
術前肝機能評価

小肝癌治療

   
拡大切除

   
切除範囲  

 
再発治療

 
標準的肝切除    

術前腫瘍条件評価    

予後因子
切除後予後因子

切除断端距離

系統的切除

周術期管理
輸血

出血量

ドレーン    

補助療法
術前補助療法

 
術後補助療法

 
術前補助化学療法    

術後補助化学療法    

肝移植
移植前TAE

   
移植前治療  

 
ダウンステージング    

移植適応    

移植後予後因子

 
肝切除との比較

 
再発治療

   
背景肝と移植  

 
【文献の選択】

2008〜2011 年の英文論文より肝細胞癌,手術をキーワードに検索した原著論文2,898 編を基にガイドラインの策定に有用と思われる文献を抽出した。新規に設定されたCQ では,2005 年版および2009 年版と同様に文献の再検索を行い採択した。

【参考文献】

1) L3H00004 工藤正俊,有井滋樹,猪飼伊和夫,小俣政男,神代正道,坂元亨宇,他.第18回全国原発性肝癌追跡調査報告(2004〜2005)(日本肝癌研究会追跡調査委員会).肝臓2010;51(8):460-84.


第1節 手術適応・術式

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CQ 19
肝切除術を行う際の術前肝機能評価因子は何を用いるのが適当か?
また肝機能面からみた手術適応は?
推奨

術前肝機能評価としては,一般肝機能検査に加えICG 15分停滞率を測定することが望ましい。手術適応は,これらの値と予定肝切除量とのバランスから決定するのが妥当である。 (グレードB)

【サイエンティフィックステートメント】

術前肝機能評価としての肝予備能分類として,従来からChild 分類*および,その変法であるChild-Pugh 分類*が世界的に汎用されている。これはもともと胃食道静脈瘤に対する手術適応のため考案された分類であるが,基本的な臨床症状と血液検査から得られる5 項目を点数化し半定量的に肝予備能を評価・分類できる点が優れている。この5 項目のうち,特に腹水は門脈圧亢進症の程度の指標とされ,コントロール不良であれば手術適応とはならない。また,血小板数も従来から門脈圧亢進症の指標とされており,血小板数(術前15 万/μl未満)が術後の合併症や肝不全,術後死亡を予測する危険因子となっているとする報告がある(L3F013851) Level 3)。さらにBruix らは,Child-Pugh 分類A の肝硬変合併肝細胞癌切除例29 例を対象にhepatic venous pressure gradient(HVPG)による術前門脈圧測定を行い,多変量解析の結果,HVPGが術後肝不全に寄与する唯一の因子であったと報告している(LF005142) Level 3)。欧米では,従来からChild-Pugh分類のB,C 症例は手術適応としないのが一般的であったが,さらに彼らはこの結果を鑑み,Child-Pugh 分類A の症例でも門脈圧亢進症を併存する場合は肝切除の適応外とする基準を主張している。なお,この基準は欧米の肝癌治療ガイドラインに採用されている(L3H000183))。これに対しCucchetti らは,門脈圧亢進症の有無別に肝切除後成績を比較した検討を行った結果,術後死亡率,合併症率に差は認めず,門脈圧亢進症は2区域以上(Couinaud 分類による)の肝切除の禁忌とはならないと報告している(L3F013214) Level 2b)。また,本邦の報告においても,門脈圧亢進症を有する肝細胞癌症例でも,ある程度縮小した肝切除術式を選択すれば術後合併症の増加は認められず,適応禁忌ではないと主張している(L3F021745) Level 2b)。

一方,肝切除の定量的な術前肝機能評価法としてガラクトース負荷試験,99 mTc-GSA 肝シンチグラフィー,ICG 負荷試験,アミノ酸クリアランス試験,アミノピリン呼気試験などがあげられる。ガラクトース負荷試験では,肝細胞癌78 例を含む肝切除258 例(術後死亡6 例,2%)を対象にgalactose elimination capacity(GEC)が術後合併症,術後死亡の予測因子として有用であり,肝細胞癌症例に限っても同様の結果を認めている(LF120846) Level 2b)。99 mTc-GSA 肝シンチグラフィーについては,組織学的肝障害の評価においてICG 15 分停滞率よりも優れていると報告されている(LF004577) Level 4)。ICG 負荷試験に関する検討では,術後死亡の予測因子として有用であるとする報告がこれまで数多くなされており,肝細胞癌切除例127 例を対象とした検討では,ICG 15 分停滞率が術後死亡を予測する因子としてアミノ酸クリアランス試験,アミノピリン呼気試験より優れていたと報告されている(LF004418) Level 2a)。また,2 区域以上の広範囲肝切除例を対象にその安全性を検討した報告では,肝硬変症例でICG15 分停滞率14%が入院死亡予測のカットオフ値として有用であったとされている(LF005689) Level 2b)。ICG 15 分停滞率は,日本肝癌研究会による肝障害度評価の際の一因子(LF1208810) Level 5)として採用されており,術前肝機能評価法の標準的な検査となっている。

手術適応基準としてYamanaka らは,ICG 15 分停滞率,肝切除量,年齢から構成される肝不全のprediction score を考案した(L3H0003411) Level 4)。さらに,この基準による自験例での検証を,肝細胞癌376 例,転移性肝癌58例を対象として行い,この基準合致・非合致が,術後死亡を正確に予測したと報告している(LF0063212) Level 2b)。またTakasaki らは,ICG 負荷試験の値ごとに異なる許容肝切除量を設定した基準を提唱した(L3H0003713) Level 4)。さらに,彼らはこの基準を自験例の肝切除例98 例を対象として検証し,基準内の肝切除術後の肝不全と死亡は2%および0%であったのに対して,基準外の肝切除では,これらはそれぞれ23%および1%であったと,その有用性を報告している(L3F0130014) Level 2b)。本邦で広く使用されている幕内基準(LF0185815) Level 4)は腹水,血清総ビリルビン値,ICG 15 分停滞率から肝切除の適応・非適応,さらには切除許容範囲を明示しており,この基準を遵守した自験例1,056 例の肝切除では手術死亡0%と報告されている(L3H0003616) Level 4)。

*:Child 分類と一般にいわれているものは,もともとはChild-Turcotte 分類が正式な名称である。また,Pugh がChild-Turcotte 分類を改訂したものは,Child-Turcotte-Pugh 分類(CTP 分類)が正式な名称であるが,本書では『原発性肝癌取扱い規約』との統一を図るため,Child-Pugh 分類という名称を用いることとした。

【解 説】

肝切除に際しては,他の手術よりもより厳密な肝予備能評価が要求されると考えられ,一般臨床検査による定性的な評価に加え,負荷試験などによる定量的な検査を付加して評価することが重要であると主張されてきた。しかし,定量的な検査を含むいずれの肝機能評価方法も,単独では肝機能を正確に把握したものではなく,多岐にわたる機能を有する肝臓の一側面を評価したものに過ぎない。最終的にはこうした検査に加え,血液臨床所見,画像所見など,すべての情報による総合的な判断が不可欠である。

手術適応を決定する際の術前肝機能評価法としては,血液検査を含め日常臨床上得られる情報に加え,定量的な検査法としてICG 負荷試験に関する報告が多い。実際の肝切除に際しては,こうした評価から推定される肝障害の程度と,肝切除の範囲(肝切除量)のバランスから適応を決定するのが妥当と考えられ,本邦を中心に肝予備能と許容肝切除量の関係を示した基準の提案がされている。これらの基準に対する自験例での検証の報告はあるものの,外的妥当性の評価はされておらず今後の課題である。また,本邦における肝癌切除例の手術死亡率は日本肝癌研究会の追跡調査報告によれば0.8%であるが(LF1208917) Level 2a),DPC(Diagnosis Procedure Combination)データベースによる肝癌54,145 例の解析では肝切除例の在院死亡率は2.6%と報告されている(L3H0003918) Level 2b)。適応基準の検討という観点からは,本邦の肝癌切除術の手術死亡が3%以下であると考えられる状況において,術後死亡をend-pointとして肝機能からみた適応基準を評価・検証することは実務的・倫理的には現実的ではない。なお,上記の報告では,施設の経験症例数(hospital volume)による在院死亡率の差も指摘しており,high-volume hospital の死亡率1.55%に対しlow-volume hospital では4.04%と高い結果を報告しており,施設の経験値も手術適応を考慮する際には加味する必要が考えられる(L3H0003918) Level 2b)。

【参考文献】

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18) L3H00039 Sato M, Tateishi R, Yasunaga H, Horiguchi H, Yoshida H, Matsuda S, el al. Mortality and morbidity of hepatectomy, radiofrequency ablation, and embolization for hepatocellular carcinoma:a national survey of 54,145 patients. J Gastroenterol 2012;47(10):1125-33.


CQ 20
標準的な肝切除術式とは?
推奨

小型の肝細胞癌(5 cm 以下)に対しては,小範囲の系統的切除,あるいは縮小手術としての部分切除(特に肝機能不良例)が選択される。大型の肝細胞癌に対しては2区域以上の拡大切除(片肝切除を含む)が選択される。 (グレードC1)

【サイエンティフィックステートメント】

肝細胞癌の多くは,肝硬変をはじめとする慢性肝疾患を背景として発症する。これによる肝障害のため,許容肝切除量は正常肝の場合に比べて少なくならざるを得ず,左右肝切除等の拡大肝切除は施行できない場合が多い。これを鑑み,肝部分切除(腫瘍核出術を含む)による肝細胞癌肝切除の方法が提唱された(LF009921) Level 2b)。また,肝硬変症例では肝臓が硬く,肝表からの触診では腫瘍が同定できないことが多いため,肝細胞癌に対する肝切除は転移性肝癌等に対する肝切除に比較して困難なことが多い。これに対して術中超音波を使用して,肝内の腫瘍の位置を同定しながら肝切除を行う方法が考案され行われてきた(LF033392) Level 4)。

肝細胞癌では,経門脈的に腫瘍が肝内転移することが知られており,理論的な根治の観点からは,当該の門脈支配領域を系統的に切除することが望ましい。慢性肝障害を有する肝臓に対して小範囲でありながら系統的な切除を行うという目的で開発されたのが,超音波ガイド下に担癌領域の門脈枝を穿刺し色素を注入して肝表における当該の肝領域を同定して切除する術式である(LF009883) Level 4)。さらに,動脈-門脈(AP)シャントや門脈腫瘍栓の存在などにより担癌領域の門脈に対する穿刺・染色が不可能な場合に,隣接する領域を染色(counterstaining)することにより担癌領域を同定して切除する方法(LF067864) Level 5)も考案された。一方,担癌領域の門脈・動脈・胆管枝を含むグリソン鞘を一括して処理してこの領域を同定し,系統切除を行う方法も考案・施行されている(LF008595) Level 4)。この他,肝実質を可能な限り温存する術式としては,下大静脈に直接流入するS6 の肝静脈枝(右下肝静脈)が存在する場合に,この領域を温存しかつ右肝静脈を根部で処理をする肝切除術(LF018616) Level 4),あるいはS2 を温存してS3/4 を切除する術式(LF018607) Level 4)も報告され行われてきている。

尾状葉は肝門板の背側に存在し,ここに存在する腫瘍に対しては通常は腹側の肝実質とともに拡大肝切除をする方法が採用されてきたが,大半の肝細胞癌症例では肝障害を伴うため,この方法は採用できない。これに対して,counterstaining 法を駆使して背側から尾状葉を単独切除する高位背方切除(LF018568) Level 5)や前方から中肝静脈に沿って肝離断を行い単独切除を行う経肝前方切除(LF003349) Level 4)が考案されてきた。

このような,術中超音波を駆使した系統的切除や肝実質温存術式の開発に伴う肝切除術の向上に伴い,従来から知られていた区域切除以上の手術もより洗練されたレベルで行うことが可能になり,中央2 区域切除(LF0091610) Level 4),前区域切除(LF0185911) Level 4)などについて,10〜20 例の報告がなされている。

これら手術手技全般および安全性の向上により,より進展した肝細胞癌に対する拡大切除の有効性も報告されてきている。下大静脈に癌が浸潤した症例に対して,必要であれば血管グラフトを用いた再建を伴う下大静脈合併切除の術式も報告されてきた(L3F0435512) Level 4,L3F0607413) Level 4)。一方,右肝切除を施行する際には右肝を脱転した後に肝切除を行うのが通例であるが,腫瘍が大きい場合には脱転を行うことが困難な場合が多い。このような場合に前方(腹側)からの肝切除を先行させる方法(前方アプローチ)も提唱され,通常の脱転先行の方法よりも短期・長期成績とも良好であったと報告されている(LF1114914) Level 1b)。また,肝臓の深部は肝静脈からの出血のコントロールが困難であるが,下大静脈前面の肝裏面にテープを通して肝を挙上させながら肝切離を行う方法が考案され,広く応用されている(L3H0000915) Level 4)。さらにこの方法を,前方アプローチによる右肝切除と組み合わせる術式の有効性も主張されている(L3F0500616) Level 2b)。

肝細胞癌は,進展するにつれて主要門脈枝に腫瘍栓を形成することが多い。このような場合に,腫瘍栓を含む門脈を合併切除して当該の肝領域を切除するのが通例であったが(LF0013617) Level 2b),この方法は拡大肝切除あるいは全肝切除(理論上の)を必要とし傷害肝での施行は困難であることが多い。これに対して門脈内壁から腫瘍栓のみを除去する肝切除の方法も報告され,通常の方法と長期成績に差がなかったとその有効性が主張されている(L3F0180018) Level 2b)。

【解 説】

肝切除そのものは1950 年代から記載されており,散発的に行われてきた。しかしCT,超音波などが使用できない時代に,肝内の脈管構造を個々の症例において把握することは事実上不可能であった。それゆえに,肝門部で同定できる脈管を処理したうえでの区域切除以上の肝切除が行われてきたに過ぎず,実際には外側区域切除,左右肝切除,肝辺縁の楔状切除が行われる術式の大半であった。CT,超音波が開発され臨床へ応用されるようになったのは1970 年代後半以降である。また,術中超音波の開発とその肝切除への応用によって,肝内の腫瘍と脈管構造との位置関係をリアルタイムに把握しながら手術を行うことが可能になり,1980 年代に入ってから肝切除の技術は飛躍的な進歩を遂げた。さらに,障害肝を有することが大半である肝細胞癌症例に対する肝切除では,肝表からの視触診が不可能である腫瘍を,小範囲のしかし系統的な術式により切除することが必要となり,この要求が肝切除の技術的な進歩のもう一つの促進要因となった。これら種々の肝切除の術式の開発,発展に対する本邦の外科医の貢献が多大であることは銘記する必要がある。

肝切除は,他の臓器の手術に比べて,切除する肝区域,領域の大きさにより,その術式は多岐にわたり,また,内部の構造が直接見えない実質を術中超音波を駆使しながら切除するという,技術的に高度な手術が多い。しかしながら,肝切除術の死亡率,出血量は過去20〜30 年間で大きく減少しており,手術の技術が確立され安定してきたことを示している。一方で,本CQ でも引用した論文のエビデンスレベルはLevel 4 のものが大半であり,種々の腫瘍条件に対する各術式の優劣については,今後のエビデンスの集積を待つ必要がある。

【参考文献】

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17) LF00136 Wu CC, Hsieh SR, Chen JT, Ho WL, Lin MC, Yeh DC, et al. An appraisal of liver and portal vein resection for hepatocellular carcinoma with tumor thrombi extending to portal bifurcation. Arch Surg 2000;135(11):1273-9.

18) L3F01800 Inoue Y, Hasegawa K, Ishizawa T, Aoki T, Sano K, Beck Y, et al. Is there any difference in survival according to the portal tumor thrombectomy method in patients with hepatocellular carcinoma? Surgery 2009;145(1):9-19.


CQ 21
腫瘍条件からみた肝切除の適応は?
推奨

肝切除の適応となる肝細胞癌は,肝臓に腫瘍が限局しており個数が3個以下のものである。腫瘍の大きさについての制限はない。門脈侵襲を伴う症例では一次分枝までに進展がとどまるものは手術の適応としてよい。 (グレードB)

【サイエンティフィックステートメント】

肝細胞癌の進展度についての分類は,日本肝癌研究会の提唱する取扱い規約を含め,いずれも腫瘍の大きさ,腫瘍の数,脈管侵襲の有無,あるいはその程度を構成要素としているのでこれらに沿って記載する。

腫瘍径について10 cm 以上の腫瘍に対する肝切除後の長期成績の報告が複数個あり,5年生存率は20〜30%程度と報告されている(LF003541) Level 2b,L3F062682) Level 2b,LF118363) Level 2b)。これを他の治療法あるいは自然経過と比較した検討はないが,この成績は推定される自然経過(L3H000084) Level 1a)よりも明らかに優ることから,腫瘍の大きさには適応の制限はないとしてよい。

腫瘍数については2 個以上の腫瘍数の症例に対する肝切除後の成績を,単発症例に対する切除成績と比較した検討,あるいは,他の治療法の成績と比較した検討が報告されている(L3F021745) Level 2b,L3F000356) Level 2b)。複数個になると単発症例に比較して長期成績は低下するが禁忌ではなく,また,他の非根治的治療法あるいは支持療法に比較して良好な成績であり,複数個の肝腫瘍は切除の適応外ではない。なお,これらの報告での複数個の症例の腫瘍数の大半は2 個である。切除適応という見地から腫瘍数の上限について検討したエビデンスレベルの高い報告はないが,局所療法などでも受け入れられている3 個以下までを適応とした。

門脈侵襲は,肝細胞癌の最も強力な予後因子であると一貫して報告されている。これを伴うような症例に対しての切除成績の報告も多い(LF001367) Level 2b,L3F060878) Level 2b,L3F018009) Level 2b)。腫瘍栓の門脈内の進展に伴い予後は不良になるが,一次分枝までにとどまる場合の術後の5年生存率は10〜40%であり,自然経過との比較,他の治療法の適応がないことを考慮すると手術の適応となる。門脈本幹まで腫瘍栓が進展している場合は,予後不良で一般的には手術適応外とされるが,その程度が軽度である場合には切除後の成績が一次分枝までにとどまる場合と同等であり,手術適応であるとする報告もある(L3F018009) Level 2b)。

【解 説】

本CQ では,肝切除の適応となる肝細胞癌の進展度の上限について記述した。典型的な多段階発癌の過程を経る肝細胞癌に対しては,どの段階(前癌状態あるいは早期肝癌)から切除を含む治療の介入の対象となるかというCQ は重要であるが,これについては他項に譲った。また,他の治療法も適応となる腫瘍条件内で,肝切除と他の治療法とどちらを選択すべきかというCQ は,特に手術と局所療法,手術と移植の選択という意味で重要であるが,これも他項に譲った。

大きさ,数,脈管侵襲のうち,大きさと脈管侵襲については癌の進行の指標であり,どこまで進行した癌に対して切除の適応となるかという問題と同義である。一般に,これらの因子により進行した症例に対しては代替治療がない。したがって,自然経過と比較してどの程度の生存利得があれば,手術による不利益(合併症,手術死亡等)を上回るかという最適解の問題に帰着する。これら進行した肝細胞癌に対する肝切除は,一般に技術的に難易度の高い手術となることが多く,したがって適応は各施設の練度によっても左右される。これに対して腫瘍数はおおまかには背景肝全体の発癌性の高さを示す指標である(部分的には肝内転移を表す指標でもある)。どこまでの腫瘍数に対して切除が適応となるかというCQ は,局所療法である手術の適応はどこまでかというCQ と同義であり,その意味において腫瘍数に関するラジオ波等の適応基準の議論と同等と考えられる。すなわち,移植や肝動脈化学塞栓療法(TACE)等の肝全体を対象とする治療法に対する個数からみた局所療法の適応の上限はいくつか? という議論となる。したがって,個数の上昇とともに適応は徐々にTACE 等に移行していくとするのが妥当であり,何個までという閾値の設定は微妙な問題である。また,4 個以上の腫瘍に対する切除と他の治療法との比較に関するエビデンスレベルの高い報告もないが,本CQ では3 個以下を良い適応とする,という従来の基準を遵守して記載した。

少数個の肝外転移(肺,副腎,リンパ節等)を伴う肝細胞癌に対して,これらとともに肝切除を行う手術治療が推奨されるかについては,散発的な報告があるのみであり,今回は記載しなかった。

【参考文献】

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7) LF00136 Wu CC, Hsieh SR, Chen JT, Ho WL, Lin MC, Yeh DC, et al. An appraisal of liver and portal vein resection for hepatocellular carcinoma with tumor thrombi extending to portal bifurcation. Arch Surg 2000;135(11):1273-9.

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9) L3F01800 Inoue Y, Hasegawa K, Ishizawa T, Aoki T, Sano K, Beck Y, et al. Is there any difference in survival according to the portal tumor thrombectomy method in patients with hepatocellular carcinoma? Surgery 2009;145(1):9-19.


第2節 予後因子

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CQ 22
肝切除後の予後因子は何か?
推奨

肝切除後の主な予後因子はStage 分類,脈管侵襲,肝機能,腫瘍数である。 (グレードB)

【サイエンティフィックステートメント】

肝切除後の生存率の検討では,腫瘍径5 cm 未満,単発,被膜形成あり,脈管侵襲なし,血清アルブミン値40 g/l未満,pTNM StageT・Ⅱが予後良好で,このうちpTNM Stage が最も信頼できる予後因子である(LF000731) Level 2a)。また,無再発生存率の検討においてStage分類,腫瘍径,脈管侵襲,腫瘍数,被膜形成が有意な予後因子として前者と同様であるが,このうち術後の全期間を通して生存予後に関与するのは脈管侵襲としている(LF007772) Level 2b)。術後2年未満の早期再発因子は非系統的切除,病理学的脈管侵襲あり,AFP 32 ng/ml 以上である(LF114293) Level 2b)。一方,腫瘍径に関しては予後に影響しないとする論文(LF006234) Level 2b,LF008535) Level 4,L3F018696) Level 2b)もあり,一概に巨大肝細胞癌であるというだけで予後不良とは断定できない。また,2 cm 以下の腫瘍においては,早期肝細胞癌の生存率が良好である(LF003787) Level 2a)。一方,門脈本幹または第一次分枝に腫瘍栓を伴う肝細胞癌切除例では,無腹水,プロトロンビン活性75%以上,腫瘍径5 cm 以下が予後良好であり(LF106198) Level 2b),肝予備能が限られた症例では,門脈腫瘍栓の引き抜き摘出を伴う肝切除により拡大肝切除と同様に予後が改善されるという報告もある(L3F018009) Level 2b)。

【解 説】

本ガイドライン2009 年版までに採用された予後因子関連論文37 編では,脈管侵襲,肝機能,腫瘍数,Stage 分類,腫瘍径などが有意な予後因子としてあげられていた。今回の改訂では,2008〜2011 年の英文論文より肝細胞癌,手術をキーワードに調べた原著論文2,898 編のうち,予後因子に関する論文は54 編で,このうち信頼度の高い38 編を検討した。そのなかには従来から報告されている因子に加えて肝炎ウイルスマーカー,遺伝子マーカーの報告が含まれていた。予後因子の内訳は脈管侵襲を有意とするものが最も多く(34%),次いで,肝機能(18%),腫瘍数(16%),腫瘍径(16%),Stage分類(11%)である。その他,腫瘍マーカー(24%),遺伝子マーカー(18%),肝炎ウイルスマーカー(11%)である。肝機能ではChild 分類や血清アルブミン値を有意とするものが多い。腫瘍径に関しては予後に影響しないとするものがあり,いまだ見解が一致していない。Stage 分類のうちStage 0 とされる早期肝癌の生存率は良好で,早期肝癌は予後因子ともいえる(LF003787) Level 2a)。PIVKA-ⅡやAFP-L3 分画が再発予測因子であるとする報告やcytochrome P450 1A2(CYP1A2)遺伝子が再発関連遺伝子であるとする報告(L3F0142910) Level 2b)など分子生物学的検討が増加していた。手術手技に関連する予後因子として低出血量,系統的切除を有意とする論文も散見された。一方,切除断端距離は有意でないとする論文が多い。

【参考文献】

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CQ 23
切除断端距離は予後に寄与するか?
推奨

肝切除において肝切除断端距離は必要最低限でよい。 (グレードB)

【サイエンティフィックステートメント】

肝切除断端の距離が1 cm 以上と1 cm 未満の2 群において,術後再発率に有意差を認めない(LF001281) Level 2a,LF007772) Level 2b)。肝切除断端の距離を5 mm 以上と未満で分けた比較検討でも術後再発率に有意差を認めない(LF006233) Level 2b,LF007284) Level 2b)。腫瘍と主要脈管が隣接しており断端距離がほとんど確保できない肝切除においても無再発生存,累積生存に有意差を認めない(L3F013895) Level 2b)。また,葉切除以上の拡大切除と縮小手術とを比較した報告で生存率に有意差を認めない(LF000336) Level 2b)。2 cm を確保したほうが1 cm よりも予後は良いというランダム化比較試験(RCT)があるが(LF117667) Level 1b),最も適切な距離が何cm かは不明である。したがって,切除断端距離は予後に寄与する可能性が低い。

【解 説】

本ガイドライン2009 年版では,肝細胞癌,手術をキーワードに調べた英文論文1,117 編(1980〜2007年)のうち,予後因子に関する原著論文は266 編で,このうち信頼度の高い74 編が検討されたが,今回の改訂期間内において切除断端に関連する論文は2 編にとどまった。従来,5 mm から1 cm の切除断端距離は予後に寄与しないとされていた。さらに,脈管に隣接する腫瘍を剥離して肝切除が施行された場合に,ほとんど断端距離が確保できなくても無再発生存,累積生存とも有意差を認めないと報告されている(L3F013895) Level 2b)。一方,香港のShi らは,単発で脈管侵襲のない肝細胞癌を切除断端1 cm と2 cm に割り付けたRCTを実施し,2 cm 群が予後良好であると報告した(LF117667) Level 1b)が,両群の患者平均は51 歳以下,ICG 15 分停滞率10%未満,B 型肝炎が80%以上と本邦の状況とは大きく異なっていた。一般に,切除断端は肝機能や腫瘍の位置・大きさにより制限され,2 cm 以上の確保は現実的には困難なことが多い。したがって,肝細胞癌の肝切除において,腫瘍縁から5〜10 mm の距離,脈管と隣接する場合は0 mm をとって切除すればよいと考える。

【参考文献】

1) LF00128 Poon RT, Fan ST, Ng IO, Wong J. Significance of resection margin in hepatectomy for hepatocellular carcinoma:A critical reappraisal. Ann Surg 2000;231(4):544-51.

2) LF00777 Arii S, Tanaka J, Yamazoe Y, Minematsu S, Morino T, Fujita K, et al. Predictive factors for intrahepatic recurrence of hepatocellular carcinoma after partial hepatectomy. Cancer 1992;69(4):913-9.

3) LF00623 Kawasaki S, Makuuchi M, Miyagawa S, Kakazu T, Hayashi K, Kasai H, et al. Results of hepatic resection for hepatocellular carcinoma. World J Surg 1995;19(1):31-4.

4) LF00728 Kosuge T, Makuuchi M, Takayama T, Yamamoto J, Shimada K, Yamasaki S. Long-term results after resection of hepatocellular carcinoma:experience of 480 cases. Hepatogastroenterology 1993;40(4):328-32.

5) L3F01389 Matsui Y, Terakawa N, Satoi S, Kaibori M, Kitade H, Takai S, et al. Postoperative outcomes in patients with hepatocellular carcinomas resected with exposure of the tumor surface:clinical role of the no-margin resection. Arch Surg 2007;142(7):596-602;discussion 603.

6) LF00033 Zhou XD, Tang ZY, Yang BH, Lin ZY, Ma ZC, Ye SL, et al. Experience of 1000 patients who underwent hepatectomy for small hepatocellular carcinoma. Cancer 2001;91(8):1479-86.

7) LF11766 Shi M, Guo RP, Lin XJ, Zhang YQ, Chen MS, Zhang CQ, et al. Partial hepatectomy with wide versus narrow resection margin for solitary hepatocellular carcinoma:a prospective randomized trial. Ann Surg 2007;245(1):36-43.


CQ 24
系統的切除は予後に寄与するか?
推奨

肝切除は系統的に施行することが推奨される。 (グレードB)

【サイエンティフィックステートメント】

5 cm 以下の肝細胞癌において,後ろ向き研究で系統的切除が部分切除に比較して生存率に優位性を示し,特に結節外転移を示す症例に有意差を認めた(LF001021) Level 2b)。無再発生存率の検討も同様に,系統的切除が部分切除に比較して優位性を示す(LF002532) Level 2b)。さらに,単発肝細胞癌では系統的区域および亜区域切除が部分切除に比較して生存率および無再発生存率は有意に良好であり(LF111483) Level 2b),日本肝癌研究会の全国追跡調査を用いた5,781 例の検討でも同様に系統的亜区域切除の優位性が報告された(L3F019744) Level 2a)。また,肝硬変がなく,浸潤のない腫瘍のみにおいて無再発生存率に相違を認めるとの報告もある(LF007285) Level 2b)。以上より,系統的切除は予後を向上させる可能性が高い。

【解 説】

経門脈性に進展する肝細胞癌は門脈侵襲や肝内転移を伴うことが多く,根治性の点から担癌領域の系統的切除が望ましい。しかし,慢性肝炎や肝硬変を伴う場合の拡大肝切除は過大侵襲となることがあり,癌根治性と肝機能温存の二律背反を克服する目的で系統的亜区域切除術が考案された。現在,部分切除と系統的切除との比較は,すべて後ろ向き研究により報告されている。Hasegawa らは,単発肝癌に対する肝切除を系統的切除群(n=156),非系統的切除群(n=54)に分類し予後を検討した(LF111483) Level 2b)。それによると5年生存率(66% vs. 35%,p=0.01),および無再発生存率(34% vs. 16%,p=0.006)は有意に系統的切除群が良好であった。Eguchi らは,腫瘍径別に系統的切除の意義を検討し,2〜5 cm において系統的切除群の無再発生存率が良好であった(L3F019744) Level 2a)。16 編の後ろ向き研究を集積した報告でも同様に系統的切除の優位性が指摘されているが,その内訳は日本から11 編,フランスと韓国から2 編ずつ,米国から1 編と日本発のデータが大半を占めている(L3F019886) Level 2b)。至適な肝切除術式を確立するためには,本邦の実情を反映し適切に計画されたRCT の報告が期待されている。

【参考文献】

1) LF00102 Yamamoto M, Takasaki K, Ohtsubo T, Katsuragawa H, Fukuda C, Katagiri S. Effectiveness of systematized hepatectomy with Glisson’s pedicle transection at the hepatic hilus for small nodular hepatocellular carcinoma:retrospective analysis. Surgery 2001;130(3):443-8.

2) LF00253 Imamura H, Matsuyama Y, Miyagawa Y, Ishida K, Shimada R, Miyagawa S, et al. Prognostic significance of anatomical resection and des-gamma-carboxy prothrombin in patients with hepatocellular carcinoma. Br J Surg 1999;86(8):1032-8.

3) LF11148 Hasegawa K, Kokudo N, Imamura H, Matsuyama Y, Aoki T, Minagawa M, et al. Prognostic impact of anatomic resection for hepatocellular carcinoma. Ann Surg 2005;242(2):252-9.

4) L3F01974 Eguchi S, Kanematsu T, Arii S, Okazaki M, Okita K, Omata M, et al;Liver Cancer Study Group of Japan. Comparison of the outcomes between an anatomical subsegmentectomy and a non-anatomical minor hepatectomy for single hepatocellular carcinomas based on a Japanese nationwide survey. Surgery 2008;143(4):469-75.

5) LF00728 Kosuge T, Makuuchi M, Takayama T, Yamamoto J, Shimada K, Yamasaki S. Long-term results after resection of hepatocellular carcinoma:experience of 480 cases. Hepatogastroenterology 1993;40(4):328-32.

6) L3F01988 Zhou Y, Xu D, Wu L, Li B. Meta-analysis of anatomic resection versus nonanatomic resection for hepatocellular carcinoma. Langenbecks Arch Surg 2011;396(7):1109-17.


第3節 周術期管理

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CQ 25
周術期の血液製剤の積極的な投与は推奨されるか?
推奨

同種赤血球輸血はできるだけ避ける。 (グレードB)

凍結血漿は必ずしも必要としない。 (グレードB)

【サイエンティフィックステートメント】

癌の再発を促進する可能性や高ビリルビン血症や肝不全を来しやすい,ヘマトクリット値が低いほうが肝の微小循環に望ましいことなどから,肝切除術周術期の同種輸血はできるだけ避けるべきであるとの報告が多い(L3F013631) Level 4,L3F017242) Level 3)。一方,輸血の有無により再発率は変わらないとの報告もある(LF000313) Level 3)。

自己血輸血は安全で,癌の再発を高めることなく,肝合成能を高め,同種赤血球輸血を回避するために有効な方法であると報告されている(LF000313) Level 3,L3H000034) Level 2a)。

新鮮凍結血漿の投与は,肝切除後の経過に影響は与えないとの報告があり,特に肝機能が比較的良好な症例では,大量出血や低アルブミン血症がなければ,凍結血漿は必ずしも必要としない(L3F024615) Level 3,L3F024756) Level 2a)。

【解 説】

一般に,輸血のない手術が推奨される。特に癌の手術において,輸血の有無が問題になるのは,輸血による免疫抑制状態導入の可能性が考えられるからである。輸血の有無による再発率の違いはさまざまな癌の手術において報告されており,肝細胞癌においても同様であるが(L3F013631) Level 4,L3F017242) Level 3),再発率に差がないとの報告もみられる。この際,自己血輸血によって有害事象を起こさずに同種赤血球輸血を回避しうる可能性がある。

無輸血で周術期を乗り切るため最低維持すべきヘマトクリット値に関しては,循環動態が保たれる限り20%までの低下は受容できると報告されている(LF009177) Level 3)が,エビデンスの高いデータはない。

従来,凝固因子の補充や有効血漿量,血漿浸透圧の維持などのため,新鮮凍結血漿の投与が推奨されてきた(LF009177) Level 3)。しかし,新鮮凍結血漿の投与が必ずしも術後経過に影響を与えず(L3F024615) Level 3),Child-Pugh 分類A で術中出血量が1,000 ml 未満症例を対象としたコホート研究によって,術後2日目の血清アルブミン値が2.4 g/dl より高値であれば,新鮮凍結血漿を必要とせず(L3F024756) Level 2a),過度の投与は呼吸器合併症を増加させるとの報告がみられる(L3F017242) Level 3)。なお,一般に大量出血のない場合での血漿製剤投与は推奨されていない(L3H000158) Level 1a)。

【参考文献】

1) L3F01363 Katz SC, Shia J, Liau KH, Gonen M, Ruo L, Jarnagin WR, et al. Operative blood loss independently predicts recurrence and survival after resection of hepatocellular carcinoma. Ann Surg 2009;249(4):617-23.

2) L3F01724 Shiba H, Ishida Y, Wakiyama S, Iida T, Matsumoto M, Sakamoto T, et al. Negative impact of blood transfusion on recurrence and prognosis of hepatocellular carcinoma after hepatic resection. J Gastrointest Surg 2009;13(9):1636-42.

3) LF00031 Kwon AH, Matsui Y, Kamiyama Y. Perioperative blood transfusion in hepatocellular carcinomas:influence of immunologic profile and recurrence free survival. Cancer 2001;91(4):771-8.

4) L3H00003 Ishizawa T, Hasegawa K, Tsuno NH, Tanaka M, Mise Y, Aoki T, et al. Predeposit autologous plasma donation in liver resection for hepatocellular carcinoma:toward allogenic blood-free operations. J Am Coll Surg 2009;209(2):206-14.

5) L3F02461 Tomimaru Y, Wada H, Marubashi S, Kobayashi S, Eguchi H, Takeda Y, et al. Fresh frozen plasma transfusion does not affect outcomes following hepatic resection for hepatocellular carcinoma. World J Gastroenterol 2010;16(44):5603-10.

6) L3F02475 Yamazaki S, Takayama T, Kimura Y, Moriguchi M, Higaki T, Nakayama H, et al. Transfusion criteria for fresh frozen plasma in liver resection:a 3+3 cohort expansion study. Arch Surg 2011;146(11):1293-9.

7) LF00917 Makuuchi M, Takayama T, Gunven P, Kosuge T, Yamazaki S, Hasegawa H. Restrictive versus liberal blood transfusion policy for hepatectomies in cirrhotic patients. World J Surg 1989;13(5):644-8.

8) L3H00015 Roback JD, Caldwell S, Carson J, Cavenport R, Drew MJ, Elder A, et al. Evidence-based practice guidelines for plasma transfusion. Transfusion 2010;50(6):1227-39.


CQ 26
肝流入血流遮断や中心静脈圧低下は,肝切離中出血量を減少させるか?
推奨

肝流入血流遮断は肝切離中出血量減少に有効である。 (グレードA)

中心静脈圧(CVP)低下は肝切離中出血量減少に有効である。 (グレードC1)

【サイエンティフィックステートメント】

肝流入血流遮断に関するRCT によって,間欠的肝流入血流遮断法(プリングル法)は,肝機能に影響を与えずに肝切離中出血量を減少させることが示されている(LF004341) Level 1b,L3F025302) Level 1b)。また,片葉流入血流遮断法の有効性を示す報告(LF018623) Level 2b,L3F024884) Level 1b)や,15 分間と30分間の間欠的肝流入血流遮断法では,protease inhibitor の投与により肝機能に対する影響に差がないとの報告がみられる(L3F025045) Level 1b)。

肝下部下大静脈遮断や薬剤を用いて肝切離中の中心静脈圧(CVP)を5 cm 水柱以下に低下させることにより,出血量が減少し,循環動態が安定することがRCT によって示されている(L3F025246) Level 1b,L3F025287) Level 1b)。一方,CVP 低下によっても出血量が減少しなかったとの報告もみられる(L3F025038) Level 1b)。なお,肝下部下大静脈遮断により肺塞栓がみられたとの報告もあり,注意を要する(L3F025246) Level 1b)。

【解 説】

肝切離中の出血を減少させるために間欠的肝流入血流遮断法が広く行われており,その安全性も確認されている。切除範囲が片葉内に限局される場合は,片葉流入血流遮断法が勧められる。

肝切離中の出血の多くは肝静脈由来であるため,CVPを低下させることは妥当であると考えられ,その有用性が報告されているが,否定的な論文もみられる。CVPを低下させるには下大静脈遮断や薬剤による方法があるが,下大静脈遮断の際には肺塞栓に注意を要する。引き続き安全性を含めた検討が必要である。

【参考文献】

1) LF00434 Man K, Fan ST, Ng IO, Lo CM, Liu CL, Wong J. Prospective evaluation of Pringle maneuver in hepatectomy for liver tumors by a randomized study. Ann Surg 1997;226(6):704-11.

2) L3F02530 Scatton O, Zalinski S, Jegou D, Compagnon P, Lesurtel M, Belghiti J, et al. Randomized clinical trial of ischaemic preconditioning in major liver resection with intermittent Pringle manoeuvre. Br J Surg 2011;98(9):1236-43.

3) LF01862 Makuuchi M, Mori T, Gunvén P, Yamazaki S, Hasegawa H. Safety of hemihepatic vascular occlusion during resection of the liver. Surg Gynecol Obstet 1987;164(2):155-8.

4) L3F02488 Fu SY, Lau WY, Li GG, Tang QH, Li AJ, Pan ZY, et al. A prospective randomized controlled trial to compare Pringle maneuver, hemihepatic vascular inflow occlusion, and main portal vein inflow occlusion in partial hepatectomy. Am J Surg 2011;201(1):62-9.

5) L3F02504 Kim YI, Fujita S, Hwang YJ, Chun JM, Song KE, Chun BY. Successful intermittent application of the Pringle maneuver for 30 minutes during human hepatectomy:a clinical randomized study with use of a protease inhibitor. Hepatogastroenterology 2007;54(79):2055-60.

6) L3F02524 Rahbari NN, Koch M, Zimmermann JB, Elbers H, Bruckner T, Contin P, et al. Infrahepatic inferior vena cava clamping for reduction of central venous pressure and blood loss during hepatic resection:a randomized controlled trial. Ann Surg 2011;253(6):1102-10.

7) L3F02528 Ryu HG, Nahm FS, Sohn HM, Jeong EJ, Jung CW. Low central venous pressure with milrinone during living donor hepatectomy. Am J Transplant 2010;10(4):877-82.

8) L3F02503 Kato M, Kubota K, Kita J, Shimoda M, Rokkaku K, Sawada T. Effect of infra-hepatic inferior vena cava clamping on bleeding during hepatic dissection:a prospective, randomized, controlled study. World J Surg 2008;32(6):1082-7.


CQ 27
肝切除において腹腔ドレーン留置は必要か?
推奨

待機的肝切除において腹腔ドレーンは必ずしも必要としない。 (グレードB)

【サイエンティフィックステートメント】

待機的肝切除の際の腹腔ドレーン留置に関するRCT によると,ルーチンのドレーン留置は不必要であるか,禁忌であるとの報告がある。ドレーン留置により,創部合併症,敗血症や感染性液体貯留の頻度が高くなり,在院日数が有意に増加することが理由としてあげられている(L3F026931) Level 1b,L3F027772) Level 1b,L3F025633) Level 1b)。一方,門脈圧亢進症を伴う肝硬変症例においては,腹腔ドレーン留置により術後腹水に関連した合併症が減少し,在院日数が短くなるため,ドレーン留置を勧める報告もある(L3F026344) Level 1b)。また,ドレーン留置による胆汁漏や腹腔内液体貯留に対する治療上の有用性(L3F026805) Level 4),ドレーン排液中のビリルビン濃度モニタリングによる胆汁漏予測の可能性(L3F027816) Level 4)や,胆道再建症例や主要グリソン鞘露出例,術中胆汁漏確認例など胆汁漏の高危険群に限っての留置を勧める報告もある(L3F026567) Level 3)。また,生体肝移植ドナー肝切除では,腹腔ドレナージは必須でないとの報告がある(L3F026928) Level 4)。

ドレーンの抜去時期に関して,早期抜去が望ましいとの報告が散見される(L3F026567) Level 3)。しかし,高いエビデンスに基づいた検証はない。

【解 説】

CDC(Center for Disease Control and Prevention:米国疾病管理予防センター)の手術部位感染予防のガイドラインでは,「もしドレーンが必要なら,閉鎖式ドレーンを使用し,できるだけ早期に抜去する」ことが推奨されている(L3H000149))。しかし,肝切除は他の腹腔臓器の手術と異なり,慢性肝障害を伴っていることが多く,胆汁漏や難治性腹水に留意する必要がある。待機的肝切除の際のドレーン留置の是非については,1990 年代からRCT が施行されているが,症例数が少ないことや評価法に問題がみられる報告があり,併存する肝障害の程度や切除術式を考慮した検証が必要である。健康人に施行される生体肝移植ドナー手術にはより慎重な対応が求められ,また,近年増加している腹腔鏡下肝切除においても,ドレーン留置の是非を検討する必要がある。

【参考文献】

1) L3F02693 Liu CL, Fan ST, Lo CM, Wong Y, Ng IO, Lam CM, et al. Abdominal drainage after hepatic resection is contraindicated in patients with chronic liver diseases. Ann Surg 2004;239(2):194-201.

2) L3F02777 Sun HC, Qin LX, Lu L, Wang L, Ye QH, Ren N, et al. Randomized clinical trial of the effects of abdominal drainage after elective hepatectomy using the crushing clamp method. Br J Surg 2006;93(4):422-6.

3) L3F02563 Belghiti J, Kabbej M, Sauvanet A, Vilgrain V, Panis Y, Fekete F. Drainage after elective hepatic resection. A randomized trial. Ann Surg 1993;218(6):748-53.

4) L3F02634 Fuster J, Llovet JM, Garcia-Valdecasas JC, Grande L, Fondevila C, Vilana R, et al. Abdominal drainage after liver resection for hepatocellular carcinoma in cirrhotic patients:a randomized controlled study. Hepatogastroenterology 2004;51(56):536-40.

5) L3F02680 Kyoden Y, Imamura H, Sano K, Beck Y, Sugawara Y, Kokudo N, et al. Value of prophylactic abdominal drainage in 1269 consecutive cases of elective liver resection. J Hepatobiliary Pancreat Sci 2010;17(2):186-92.

6) L3F02781 Torzilli G, Olivari N, Del Fabbro D, Gambetti A, Leoni P, Gendarini A, et al. Bilirubin level fluctuation in drain discharge after hepatectomies justifies long-term drain maintenance. Hepatogastroenterology 2005;52(64):1206-10.

7) L3F02656 Hirokawa F, Hayashi M, Miyamoto Y, Asakuma M, Shimizu T, Komeda K, et al. Re-evaluation of the necessity of prophylactic drainage after liver resection. Am Surg 2011;77(5):539-44.

8) L3F02692 Liu CL, Fan ST, Lo CM, Chan SC, Yong BH, Wong J. Safety of donor right hepatectomy without abdominal drainage:a prospective evaluation in 100 consecutive liver donors. Liver Transpl 2005;11(3):314-9.

9) L3H00014 Mangram AJ, Horan TC, Pearson ML, Silver LC, Jarvis WR. Guideline for prevention of surgical site infection, 1999. Hospital Infection Control Practices Advisory Committee. Infect Control Hosp Epidemiol 1999;20(4):250-78.


第4節 補助療法

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CQ 28
術前補助化学療法は肝切除後の予後を改善するか?
推奨

肝細胞癌肝切除後の予後改善を目的とした術前補助化学療法として推奨できるものはない。 (グレードC2)

【サイエンティフィックステートメント】

全身化学療法を術前補助化学療法として施行し,その有効性を検証したエビデンスレベルの高い報告はほとんど認めない。術前補助化学療法として肝動脈塞栓療法(TAE)/肝動脈化学塞栓療法(TACE)を施行した場合,単回では肝機能の低下もわずかで合併症罹患率も低く,腫瘍壊死や縮小効果により,進行肝細胞癌で切除率を向上させる可能性はあるが,予後改善効果については一定の見解は得られていない(LF000181) Level 4,L3F009312) Level 4,LF001423) Level 3,LF003734) Level 2b:有効,L3F028025) Level 3,LF003506) Level 2b,LF004977) Level 2b,LF120288) Level 2b,LF005379) Level 1b,L3F0280610) Level 1b,L3F0280511) Level 1a:無効)。術前肝動注化学療法についても,再発抑制や生存率の改善に対する有効性は認められていない(LF1006512) Level 1a)。

【解 説】

TAE/TACE を術前補助化学療法として有効とする論文のほとんどが2000 年前後までに発表されているが,エビデンスレベルの高い論文は少ない。一方,無効とする論文には,2000 年以降のエビデンスを伴ったRCT やメタアナリシスが含まれており,一定の見解は得られていないものの術前補助化学療法としては推奨しなかった。

【参考文献】

1) LF00018 Minagawa M, Makuuchi M, Takayama T, Ohtomo K. Selection criteria for hepatectomy in patients with hepatocellular carcinoma and portal vein tumor thrombus. Ann Surg 2001;233(3):379-84.

2) L3F00931 Choi SB, Kim KS, Park YN, Choi JS, Lee WJ, Seong J, et al. The efficacy of hepatic resection after neoadjuvant transarterial chemoembolization(TACE)and radiation therapy in hepatocellular carcinoma greater than 5 cm in size. J Korean Med Sci 2009;24(2):242-7.

3) LF00142 Zhang Z, Liu Q, He J, Yang J, Yang G, Wu M. The effect of preoperative transcatheter hepatic arterial chemoembolization on disease-free survival after hepatectomy for hepatocellular carcinoma. Cancer 2000;89(12):2606-12.

4) LF00373 Di Carlo V, Ferrari G, Castoldi R, De Nardi P, Bergamo C, Taccagni G, et al. Pre-operative chemoembolization of hepatocellular carcinoma in cirrhotic patients. Hepatogastroenterology 1998;45(24):1950-4.

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6) LF00350 Paye F, Jagot P, Vilgrain V, Farges O, Borie D, Belghiti J. Preoperative chemoembolization of hepatocellular carcinoma:a comparative study. Arch Surg 1998;133(7):767-72.

7) LF00497 Harada T, Matsuo K, Inoue T, Tamesue S, Inoue T, Nakamura H. Is preoperative hepatic arterial chemoembolization safe and effective for hepatocellular carcinoma? Ann Surg 1996;224(1):4-9.

8) LF12028 Choi GH, Kim DH, Kang CM, Kim KS, Choi JS, Lee WJ, et al. Is preoperative transarterial chemoembolization needed for a resectable hepatocellular carcinoma? World J Surg 2007;31(12):2370-7.

9) LF00537 Yamasaki S, Hasegawa H, Kinoshita H, Furukawa M, Imaoka S, Takasaki K, et al. A prospective randomized trial of the preventive effect of pre-operative transcatheter arterial embolization against recurrence of hepatocellular carcinoma. Jpn J Cancer Res 1996;87(2):206-11.

10) L3F02806 Zhou WP, Lai EC, Li AJ, Fu SY, Zhou JP, Pan ZY, et al. A prospective, randomized, controlled trial of preoperative transarterial chemoembolization for resectable large hepatocellular carcinoma. Ann Surg 2009;249(2):195-202.

11) L3F02805 Wang X, Li J, Peng Y, Dai Y, Xu W. Influence of preoperative transarterial chemoembolization on the prognosis for patients with resectable hepatocellular carcinoma:a meta-analysis of randomized trials. Hepatogastroenterology 2011;58(107-108):869-74.

12) LF10065 Mathurin P, Raynard B, Dharancy S, Kirzin S, Fallik D, Pruvot FR, et al. Meta-analysis:evaluation of adjuvant therapy after curative liver resection for hepatocellular carcinoma. Aliment Pharmacol Ther 2003;17(10):1247-61.


CQ 29
術後補助化学療法は肝切除後の予後を改善するか?
推奨

肝細胞癌肝切除後の予後改善を目的とした術後補助化学療法として推奨できるものはない。 (グレードC2)

【サイエンティフィックステートメント】

術後補助化学療法として全身化学療法は肝機能良好例では有用であったとの報告がみられるが,逆に肝機能を悪化させ予後が不良となったとの報告もあり,一定の見解を得るには至っていない(LF005021) Level 1b,L3F006452) Level 1b:有効,LF000323) Level 1a,LF003514) Level 1b,LF105555) Level 1b:無効)。肝動注化学療法やTAE,TACE などの経肝動脈的治療も術後補助化学療法として施行されているが,無再発生存では有意差を認めるものの累積生存では差がなかったとする報告が多い(累積生存に関して,L3H000176) Level 1b:有効,LF026707) Level 1b,LF005228) Level 1b,LF003514) Level 1b:無効)。4 編のRCT を含むメタアナリシスでは,経肝動脈的治療は再発率を抑制し,生存率を改善したと報告されたが(LF100659) Level 1a),投与薬剤や方法が全て異なっており,慎重な評価が必要である。特殊な例では,門脈腫瘍栓合併例では術後の経門脈的治療やTACE が有効であったとする報告が認められる(L3F0049710) Level 3,L3F0282011) Level 1b)。131I-リピオドールの肝動脈内投与については短期予後の改善が報告されたが(LF0031612) Level 1b),続報で長期予後に対する効果は否定された(L3F0071713) Level 1b)。

【解 説】

術後の補助化学療法として,全身化学療法ではテガフール,carmofur やカペシタビンなどが,経肝動脈的治療ではドキソルビシン,シスプラチンや5-FU などを用いた報告が認められる。術前補助化学療法と異なり,術後補助化学療法ではエビデンスを伴った報告を認めるが,投与経路・方法にかかわらず標準的なプロトコールは確立しておらず,有効とするプロトコールのさらなる検証が必要である。今後に期待される術後補助化学療法剤として,経口分子標的治療薬であるソラフェニブがあげられる。現在,術後補助化学療法としてのソラフェニブの効果を評価するSorafenib as adjuvant treatment in the prevention of recurrence of hepatocellular carcinoma(STORM)試験が日本を含む国際共同試験で行われており,結果の開鍵が待たれている。

【参考文献】

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第5節 肝移植

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はじめに

肝細胞癌に対する肝移植は,1980 年代に切除不能な腫瘍に対して行われたが,そのほとんどの症例が数年以内に再発死亡したという経験から,多くの肝移植施設が肝細胞癌症例は肝移植の適応外としてきた。その後,1990 年代に入り肝細胞癌に対する肝移植においてある一定の腫瘍条件(たとえばミラノ基準など)が整えば,末期の良性肝疾患に対する肝移植成績と遜色のないことが判明し,肝細胞癌は肝移植の適応として受け入れられるようになってきた。

一方,肝細胞癌の多くはB 型肝炎ウイルス(HBV)またはC 型肝炎ウイルス(HCV)の持続感染を伴っており,肝細胞癌に対する移植は単に癌治療のみならず,抗ウイルス療法の適否もあわせて考慮しなければならなくなった。これら抗ウイルス療法を必要とする肝移植の適応や治療方針は過去20 年間で急速に変化しており,特にB型肝炎に対する移植の適応は,抗ウイルス薬と中和抗体の導入によりその成績は劇的に変化した。

一般に,新しい治療は実験的な段階から始められ,症例が積み重ねられて大まかなコンセンサスに至るのが常で,RCT の結果によるエビデンスの確立は,相当の時間が経過し治療法がある程度定着した後の最後の段階に行われる。その意味で肝細胞癌に対する肝移植は比較的新しい治療であり,Level 1b の論文は皆無である。さらに,肝移植の特殊性から,肝移植と他の治療を比較するRCT や異なった移植適応基準を比較するRCT は行いがたい。こうした意味からは,この領域はエビデンスレベルの高い論文の結果によりCQ に対する推奨に至るという,通常のガイドライン作成の手順がややなじまないことを最初に明記しておく。

今回の改訂では,前版(2009 年版)とCQ の内容を大きく変更した。2009 年版では,CQ27「肝移植前の肝細胞癌に対する治療は予後を改善するか?」,CQ28「肝移植後の予後因子は? またどのような腫瘍条件で肝移植が推奨されるか?(肝細胞癌移植候補患者の選択基準は何が適当か?),CQ29「肝細胞癌症例のうち,手術適応,移植の適応となる症例,また手術と移植の双方が適応となる症例は,どの程度存在するのか? さらに双方の治療が可能となる症例はどちらが良好な成績であるのか?」,CQ30「背景肝疾患の相違(HBV,HCV,alcohol,PBC,cryptogenic)により移植後の成績に差はあるのか? また,適応は変わるのか?」の4 つのCQ を設けた。今回の改訂では,これらをシンプルに「肝移植前のダウンステージングは肝移植の予後を改善するか?」と「肝細胞癌に対する肝移植の適応基準は何か?」の2 つのCQ にまとめ,よりわかりやすい内容にした。


CQ 30
肝移植前のダウンステージングは肝移植の予後を改善するか?
推奨

肝移植前の肝細胞癌に対するダウンステージングが予後を改善する十分な科学的根拠はない。 (グレードC1)

【背 景】

肝細胞癌合併肝硬変肝不全症例では肝移植施行の有無が予後を最も大きく左右する因子である。しかし,脳死ドナーの深刻な不足や生体ドナーのリスクから,肝細胞癌に対する肝移植は,移植後再発のリスクを規定する主要因である腫瘍進行度(Stage)に制約が設けられている。以下のステートメントは,移植前治療により肝細胞癌をダウンステージングした場合に移植後の予後が改善するか,という観点に限局し論じた。

【サイエンティフィックステートメント】

ミラノ基準を提唱したMazzaferro らの報告中の48 例のうち,28 例において待機中に治療〔TACE 26 例,経皮的エタノール注入(PEI)1 例,肝切除1 例〕が施行されているが,施行群の4 年生存率は79%であり,非施行群の69%に対し有意差を認めていない(LF005401) Level 2a)。ただし,この報告では治療の奏効率には言及されていない。肝移植前にTACE を施行した100 例と施行しなかった100 例を比較したDecaensらによるフランスの多施設共同後ろ向き症例対照研究によれば(LF108692) Level 2b),TACE を施行した群と施行しなかった群の5 年生存率はそれぞれ59.4%,59.3%であり,移植後3 カ月以上生存した症例に限っての無再発生存率の検討においても5 年の時点でそれぞれ67.5%,64.1%と,有意な差は認められなかった。ミラノ基準内の症例に限っての検討ではTACE 施行74 例に対し非施行症例は68例であったが,5 年生存率はそれぞれ68.8%,67.1%であり,ここでも有意な差は認められていない。摘出肝における80%以上の壊死が確認されたTACE 施行群30 例では5 年生存率が63.2%であり,対照群の54.2%と比較して若干良好であるが,統計学的な有意差は認められていない。

ミラノ基準内に対しTACE を施行した68 例の検討では,良好な反応を示した62 例の5 年生存率は73.3%であったのに対し,不変もしくは進行を示した症例の2年生存率は40%であり,5 年生存者は認めなかったとしている(LF120913) Level 4)。本報告では比較群間の症例数の偏りが大きく,また,完全壊死を示した症例(24 例)と部分的な壊死を示した症例(38 例)の間の比較では有意差は生じていない。部分的な肝移植前の選択的TACE 30例との効果を,479 例のなかから腫瘍条件を揃え抽出された全肝TACE 3 例とケースコントロール研究の形で検討した多施設共同研究では,選択的TACE を施行した群において腫瘍の完全壊死の割合が高く,5 年無再発生存率が良好である傾向があったと述べられているが,統計的有意差は示されていない(選択的TACE 群87%に対し,全肝TACE 群64%)(LF108764) Level 3)。移植適応外Stage の症例に対し補助療法を行い,適応内にダウンステージングした後に移植を行う前向き研究の結果も報告されている(L3F018705) Level 4)。一定の腫瘍条件を満たす例をTACE,ラジオ波焼灼療法(RFA)などでミラノ基準内にダウンステージングした後に移植を行った35 例で,4 年生存率92.1%と良好な成績が報告されているが,対照群との比較は行われていない。一方,ミラノ基準内の肝細胞癌症例に対しexception points を与える米国のMELD score に基づいた臓器配分方式(HCC adjusted MELD organ allocation scheme)の下では,臓器配分システムによる肝細胞癌症例に対する待機期間短縮の効果が,治療の奏功の影響を上回るという報告もある(LF108726) Level 3)。脳死肝移植では,臓器配分システムや待機期間の影響を考慮に入れたうえでの諸報告の解釈が重要であると考えられる。

本邦では,待機期間を要しない生体肝移植が主体であるが,本ガイドラインが今回対象とした論文検索の範囲内では,移植前の治療が予後を改善するとする十分な科学的根拠は示されていない。

【参考文献】

1) LF00540 Mazzaferro V, Regalia E, Doci R, Andreola S, Pulvirenti A, Bozzetti F, et al. Liver transplantation for the treatment of small hepatocellular carcinomas in patients with cirrhosis. N Engl J Med 1996;334(11):693-9.

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CQ 31
肝細胞癌に対する肝移植の適応基準は何か?
推奨

非代償性肝硬変を伴い,他治療で制御不能な肝細胞癌に対し,肝移植が考慮される。腫瘍条件としては,腫瘍径や腫瘍数,腫瘍マーカー,脈管侵襲,腫瘍の分化度が強い再発予知因子であり,術前に評価できる因子は腫瘍径と腫瘍数,腫瘍マーカーである。ミラノ基準を超えた拡大適応も多く提唱されているが,現時点ではミラノ基準が妥当である。 (グレードB)

【背 景】

肝切除や局所療法,TACE などが発達している本邦においては,非代償性肝硬変のような背景肝障害のために他治療が施行不可能,あるいは制御不能となった肝細胞癌に対し,肝移植が行われることがほとんどである。

肝細胞癌に対する肝移植は,肝内の腫瘍をすべて摘出できるのみならず,術後の異時性多中心性発癌(secondary de novo cancer)も解決できる理想的な治療法である。しかし,他治療に比べ高い周術期死亡率や生体ドナーの必要性・リスクという問題がある。したがって,再発率の低い適応基準であることが望ましく,肝細胞癌に対する肝移植後の予後因子を知ることが重要となる。さらに,移植適応基準としては,採血や画像診断などにより術前に評価できる予後因子であることが必須である。

【サイエンティフィックステートメント】

肝細胞癌移植後の再発を規定する因子としては,腫瘍数と腫瘍径が報告されており(LF007391) Level 4),現在これらによる適応基準(ミラノ基準:単発では腫瘍径5 cm 以下,多発では3 個以下で腫瘍径が3 cm 以下)が広く使用されている(LF005402) Level 2a)。これらの因子に加え,摘出した肝臓の病理組織学的因子として,脈管侵襲と腫瘍の分化度が独立予後因子であると報告されている(LF000173) Level 4,LF000654) Level 4,LF003425) Level 4,LF000266) Level 4)。移植後の肝細胞癌の再発は理論上転移によるものであり,脈管侵襲が一貫した予後因子となるのは医学的に妥当な結果で,他の因子(数,大きさ,分化度)は脈管侵襲の代替因子であると考えられる。

さらに,腫瘍の生物学的悪性度を反映するAFP やPIVKA-Ⅱが移植後の肝細胞癌再発の独立予後因子であるという結果が報告されている。以前からの報告(LF000947) Level 4,LF111448) Level 2b,LF116029) Level 4)に加え,Todoらは,日本における653 例の肝移植例の解析より,AFP とPIVKA-Ⅱが独立予後因子であったと報告した(LF1212810) Level 2b)。またTakada らは,腫瘍数と腫瘍径,PIVKA-Ⅱが独立予後因子であると報告した(L3F0214311) Level 2b)。Fujiki らは,PIVKA-Ⅱ高値例で有意に脈管侵襲と低分化型肝細胞癌が多く,肝移植においてもPIVKA-Ⅱがこれらの代替因子であることを報告した(L3F0204912) Level 2b)。Toso らは,腫瘍の体積の和であるtotal tumor volume とAFP が(L3F0143313) Level 2b,L3F0214814) Level 2b),DuBay らはAFP が独立予後因子であるとそれぞれ報告した(L3F0132815) Level 2b)。移植の適応を決定するという点では,術前計測可能因子である数,大きさ,腫瘍マーカーの臨床的意義は大きい。

同様に術前評価という点では,移植前のTACE や局所療法に反応した症例では予後が良いとの報告がある(LF1087316) Level 4,L3F0203217) Level 2b)。また,移植前FDG-PET 検査陽性が独立予後因子であったとの報告もある(L3F0137818) Level 2b,L3F0428619) Level 2b)。

ミラノ基準発表後,数や大きさを拡大した拡大適応でもミラノ基準と成績に有意差がないとの報告が多くの施設からなされてきた(L3F0216520) Level 2a,L3F0205521) Level 2a,L3F0214122) Level 2b,L3F0145323) Level 2b)。ミラノ基準を提唱したMazzaferro らも,Up to seven 基準(腫瘍最大径と数の和が7 以下)内であればミラノ基準内と成績に有意差がないと報告したが,病理学的脈管侵襲陰性例での後ろ向き研究である(L3F0210024) Level 2b)。さらに,上記腫瘍マーカーを適応基準に組み込むことにより,数と大きさを拡大しても悪性度の高い肝細胞癌を術前に除外できるという根拠で,拡大適応の有用性も報告されている(L3F0214325) Level 2b,L3F0143326) Level 2b,L3F0208027) Level 2b)。

肝細胞癌治療後の再発に対する移植成績に関しては,肝切除後再発に対して肝移植を施行した症例と,肝切除以外の前治療後再発に対して肝移植を施行した症例,前治療なしの3 群間で,移植後生存率と再発率を比較検討したところ,ともに有意差を認めなかったという報告がある(L3F0167128) Level 2b)。背景肝に関しては,C 型肝炎陽性症例と陰性症例の移植後生存率,無再発生存率を比較検討した結果,C 型肝炎陽性症例では陰性症例に比べ,移植後の生存率,無再発生存率とも有意に不良であったとの報告がある(LF1150829) Level 2b)。

【解 説】

病理学的な脈管侵襲と腫瘍の分化度は,一貫して強い予後規定因子であるが,これらを術前に評価することは事実上不可能であり,移植適応症例の選択基準という観点からは,これらの代替因子としての腫瘍径と腫瘍数の意味は大きい。同様の理由でAFP,PIVKA-Ⅱ,さらには移植前のTACE への反応性も因子として検討すべきかもしれない。最近では,自験例での成績を根拠に,移植適応をミラノ基準からさらに拡大しようという主張も多くなされているが,これも代替因子としての数と大きさと腫瘍マーカーに依拠する基準である。ただ,これらの拡大適応の妥当性を立証するためには,大規模な前向き非劣性試験においてミラノ基準と比較して同等であることを証明する必要がある。したがって,現時点では肝細胞癌に対する肝移植の適応はミラノ基準が妥当といえよう。

ただ,肝移植の領域でこのような前向き非劣性試験を行うことは困難であり,ましてや肝移植症例数の少ない日本においては事実上不可能に近い。そもそも,どの程度まで進行した症例を移植の適応とするかという問題は,医学的な問題というよりも,むしろどの程度までの生存率と再発率を許容するかという社会的な問題である。また,肝切除や局所療法,TACE などが発達している本邦においては,非代償性肝硬変のような背景肝障害のために他治療が施行不可能,あるいは制御不能となった肝細胞癌に対して行われることがほとんどである。そのため,他に治療手段がなく,最後の砦として肝移植が行われているのが現状である。さらに,脳死肝移植が主体の欧米とは異なり,近年脳死肝移植が増加したとはいえ,肝細胞癌に関してはほとんど脳死肝移植が行われることのない日本では,脳死ドナーの公平分配の問題は考慮する必要がない。したがって,肝細胞癌に対する生体肝移植適応は,肝移植による根治性と生体ドナーのリスクのバランスで決定されるものであり,本ガイドラインとしての推奨はミラノ基準内としても,生体ドナーの安全性と低い再発率が担保できれば,各施設の適応基準は許容すべきであろう。

肝細胞癌に対する肝移植成績を検討した報告のなかで,前治療後再発例や背景肝疾患の相違に着目して比較検討したものは少ない。今後,症例数を蓄積し,遠隔成績を比較検討する必要がある。

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