GIST 〜診療ガイドライン

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目次:

画 像 診 断

Ⅰ.初回画像診断の方針

  1. 検診やスクリーニングのX 線造影検査や内視鏡検査で粘膜下腫瘍が疑われた時には,腫瘍の大きさや形状,占拠部位,随伴する潰瘍や陥凹の有無をみる。GIST を含む間葉系腫瘍が疑われる場合は,特に大きさがその後の治療方針の目安となるので,必ず計測する。
  2. 内視鏡による生検は必須である。
  3. 腫瘍径2 cm未満の間葉系腫瘍で,半球状を呈し,輪郭が比較的平滑であり,潰瘍や陥凹を伴っていなければ,年1〜2 回のフォローアップを行う。フォローアップで急速な増大傾向を示す,あるいは潰瘍形成や辺縁不整を呈し悪性病変が疑われる時には,CT,超音波内視鏡(EUS)や超音波内視鏡下穿刺吸引生検法(endoscopic ultrasonography guided fine needle aspiration biopsy;EUS-FNAB)による精査を行う。
    腫瘍径2cm 以上,5cm 以下のものについては,CT, EUSおよび可能であればEUS-FNAB により精査を行う。
    腫瘍径5.1cm 以上の病変,有症状または生検でGIST と診断された病変については,手術を前提としてstaging を目的とした画像診断を行う。
  4. 腫瘍径2cm 以上の病変について,良悪性の鑑別診断・病期診断の目的でCT による精査が行われる。
    一般に5.1cm 以上の病変では周囲の消化管との関係が重要であり,一方2cm 前後の病変では消化管が伸展されていない状態では病変自体の検出が困難であるため,CT 検査においては希釈したガストログラフィン,水や発泡剤などの経口造影剤の併用が望ましい。
    また,経静脈性造影剤も可能な限り用いることが望ましく,腫瘍と周囲臓器との間によりコントラストをつけ,消化管壁の層構造を描出できる効果があり,病変の鑑別診断を行い,病変と消化管の辺縁血管との関係等をみることを可能にする。同時に周囲臓器浸潤,肝転移,腹膜播種,リンパ節転移等をみるためにも1 回の撮像であれば門脈相にあわせて撮像するのがよい。CT 撮像の条件はスライス厚/スライス間隔は5mm スライス厚以下の連続スキャンを標準とする。
  5. CT による病変の性状の検討では,大きさ,内部濃度,腫瘍内部の均一性,充実性・嚢胞性成分の多寡,腫瘍の増強効果(vascularity の把握),管腔外発育の形態,浸潤の有無などの評価が重要である。GIST は大きさが増大するにつれ出血や壊死を生じ,ときに石灰化することがある。また,大きさにかかわらず,壊死により嚢胞変性(単房性または多房性)を生じることも多く,他の嚢胞性病変との鑑別に注意が必要である。
COMMENT
  1. 1.粘膜下腫瘍様の形態を呈する病変としては,以下のような疾患が挙げられる。
    腫瘍性病変
    (非上皮性腫瘍)

    間葉系腫瘍(GIST,平滑筋腫や平滑筋肉腫,神経系原性腫瘍など)・血管原性腫瘍(血管腫,グロームス腫瘍,血管肉腫,Kaposi 肉腫など)・脂肪腫・脂肪肉腫・悪性リンパ腫・悪性黒色腫など。

    (上皮性腫瘍)

    カルチノイド・粘膜下腫瘍様形態を呈する癌腫(リンパ球浸潤性髄様癌,未分化型または低分化腺癌, 膠様腺癌,異所性胃腺から発生した癌,内分泌細胞癌,胃型形質をもつ管状腺癌など)・転移性腫瘍など。

    非腫瘍性病変

    異所性膵・炎症性線維性ポリープ(IFP)・粘膜下層の異所性腺管や嚢腫。
    X 線造影や内視鏡では腫瘍の大きさや形状,輪郭,潰瘍や表面の陥凹の有無をみる。腫瘍の硬さ,移動性をみることも鑑別に役立つ。潰瘍や表面に陥凹を伴っている場合は,良悪性の鑑別に参考になる。
    壁外の腫瘤による圧排との鑑別は,空気量や体位を変化させる,あるいは呼吸性移動を観察することにより判定する。X 線造影では圧迫法を用いること,内視鏡では鉗子等で移動性をみることも有用である。しかし,壁外発育型の腫瘤との鑑別は難しく,その場合はCTが有用である。

  2. 2.カルチノイドや粘膜下腫瘍様形態を呈する胃癌などは,表面に潰瘍や陥凹を伴っている場合があり,潰瘍の辺縁や表面の陥凹部から生検を行う。間葉系腫瘍でも潰瘍形成がある場合には生検で診断できることがある。
  3. 3.超音波内視鏡は腫瘍径が数cm 以下の小さな病変に特に有用である。消化管の壁構造が描出できるので,どの層由来の腫瘍であるか,さらに病変の主座がどこにあるかを判定できる。間葉系腫瘍は筋層とほぼ同様の内部エコーを呈し,また第4 層(筋層)と連続性をもつので診断できることが多い。しかし,GIST と確定診断することはできない。
    超音波内視鏡で内部構造を観察することにより良悪性の鑑別ができることがある。悪性を疑う所見としては,大きな腫瘍サイズ,辺縁の不整,不均一な内部エコー,潰瘍形成,嚢胞変性,高エコースポットの存在などが挙げられる。
    生検についてはボーリング生検や,被覆する粘膜をエタノールやレーザー,粘膜切除術で除去して粘膜下から採取する方法もあるが,確実に組織を採取することはできない。近年,より確実な組織の採取方法としてEUS-FNAB が開発され,免疫組織化学的検索を組み合わせることにより,GIST の術前診断がほぼ確実に行えるようになった。EUS-FNAB は合併症が少なく,また2cm 前後の小さな病変でもほぼ確実に組織が採取できるので,今後,高悪性度が疑われる病変や切除すべきか迷う症例については必須の検査法になるかも知れない。しかし,専用の内視鏡装置,熟練した手技,採取した検体が適切な病変の組織であることを確認するために病理医あるいは細胞診技師の同席が必要なことから,一般の施設で簡単に行える検査ではないことが問題である。Jhala らは膵など壁外を含む消化管腫瘤に209 回EUS-FNAB を行い,96%において診断に十分な組織が得られたとしている。さらに,大きさが25mm 以下であっても,それ以上の大きさの病変とほとんど変わらない組織採取率であり,ほとんどの場合5 回以内の穿刺で組織が得られたとしている1)。また,合併症について有馬らは胃粘膜下腫瘍で1 例のみ出血があったが,重篤なものではなかったとしている2)
    なお,壁外性に発育したものを腹腔鏡などで生検することは,播種の危険があるので行ってはいけない。
  4. 4.CT の精査には経口造影剤の併用が望ましく,そのため,検査前1 食は絶食にする必要がある(飲水は可)。鎮痙剤の併用は,MDCT を使用する場合はスキャン時間が短いため消化管の蠕動を抑える意味合いは少ないが,消化管を弛緩させる作用においては意味がある。これは,局在診断に加え,腫瘍の大きさの正確な測定に重要となる。
    経静脈性造影剤は,上述のごとく,病変の局在診断,鑑別診断,消化管の辺縁血管との関係等をみるために必須である。同時に門脈相にあわせて撮像することにより病期診断も兼ねることが望ましい。ただし,GIST に関して単純CTが必須かどうか,何相の撮像がよいか,造影のどの撮像タイミングが最も有効であるかに関するまとまった報告はない。
    CT のスライス厚/スライス間隔は5mm スライス厚以下の連続スライスを標準とするが,可能であればMDCT を用いて2mm スライス厚以下の3 次元データを取得するのが望ましい。また,病期診断(腹腔内播種や腹水をみる)のためには上腹部から骨盤までを含んだ範囲の経口・経静脈性の造影CT が原則的に必要となる。さらに,肝転移のより正確な評価(特に多血性のGIST)・鑑別診断には造影前と動脈相・門脈相・遅延相を撮影する多相撮像が推奨されている。
  5. 5a.CT またはMRI を用い内部の濃度・信号強度などの情報から比較的特異的に鑑別できるのは静脈瘤・脂肪腫・血管腫・リンパ管腫・貯留性嚢胞などである。多血性の性状からグロームス腫瘍・傍神経節腫・カルチノイドなどが診断できることもある。しかし,多くはその発育・進展形式や発生部位(異所性膵など)から組織型を推定していくことになる。GIST が嚢胞性変化を示した場合,変性した神経鞘腫や重複腸管との鑑別に注意が必要なこともある。ただし,脂肪変性を呈することは極めて稀である。GIST が石灰化を呈するのは変性に伴うことが多く,鑑別診断には有用ではない。また大きさが増すにつれ壁外性発育をより示すようになり,辺縁は平滑から結節状を呈することも多く,腸間膜由来の間葉系腫瘍との鑑別が困難となる。
    CT は腹部全体にわたり病変部の描出に優れ,病変と周囲臓器や組織・脈管との位置関係を描出することが可能である。GIST の診断においては特に消化管の層構造に気をつけ,病変が消化管のどの層と連続性があるかを診断することが重要であるが,実際の症例においてはCT 上,層構造の分離が困難であったり,腫瘍の大半が漿膜下層に壁外性発育を呈している場合も多い。後者の場合には漿膜下層を長軸方向に走る辺縁動静脈が腫瘍により筋層から離れる方向に偏位していれば筋層・粘膜下層に由来すると考えてよい。また小さなGIST では逆に消化管内腔にのみ突出した粘膜下腫瘍として描出されることもある。MDCT を用いた場合,矢状断・冠状断像の再構成のみならず,消化管の長軸・短軸に沿って観察し,病変と腸管の位置関係・局所の消化管の層構造の変化を3 次元的によく観察することが有用である。ただしGIST はしばしば不整形や複雑な形を呈するため腫瘍最大径をどの断層像で計測するかは非常に難しく,治療効果判定においても安定した方法という意味で軸位断における最大割面での最大径を測定・記載することが望ましい。
    腫瘍の悪性度は初診時のCT 所見からもある程度推察することが可能である。一般に下部消化管由来(小腸・大腸)のGIST は上部消化管由来(食道・胃)のものより悪性度が高い。GIST の悪性度を予測するうえで重要な初診時のCT 所見は,腫瘍長径が11cm 以上,境界不明瞭,表面凹凸,偏心性のepicenter,不均一な増強効果(内部の出血・壊死 / 粘液腫様変性による),腸間膜や消化管壁への浸潤,肝転移の存在と報告されている。これらの所見のうち,予後に密接に関与する所見は,腫瘍長径が11cm 以上,消化管壁への浸潤,肝転移の存在である3)4)。ただし,周囲臓器への浸潤は癒着との鑑別が画像上困難な場合がみられる。そのほか,腹腔内播種,潰瘍・瘻孔形成,腹壁播種・転移,リンパ節転移,多血性,経過観察中の増大傾向などの所見にも注意する。リンパ節転移の診断に確実な基準はないため,一般的に短径1cm 以上を陽性とするが,病変のリンパ還流領域に1cm 未満のリンパ節が集簇している場合も陽性とすることが多い(ただしGIST のリンパ節転移の頻度は少ない)。2cm 前後の腫瘍では鑑別診断が(しばしば存在診断も)困難な場合が多いが,内部の壊死・出血,辺縁不整,多血性の所見が得られた場合は悪性を疑う所見として注意する。
    そのほかの部位への転移(肺・胸膜・骨・皮下など)に関しては症状がある場合のみ,精査が行われるのが通例である。
  6. 5b.MRI も消化管の層構造をみるには有用であるが,撮像時間が長いため,消化管の蠕動運動の影響を受けやすい。さらに空間分解能はあまり高くないため,小さな病変の描出には限界がある。また,任意の撮像面の設定が可能であるが,腹部において3 次元データの収集はまだ一般的でないため,検査後に任意の断面で観察することは困難な場合が多い。しかし,その高いコントラスト分解能により造影剤の使用なしで周囲臓器との関係を明瞭に描出することも可能であり,肝転移・骨盤部病変などの描出には優れている。ただし腫瘍の信号強度のパターンに必ずしも特異性はなく,GIST の鑑別に有用とされる所見は知られていない。MRI はGIST の嚢胞変性をよりよく描出し,内容液の出血の有無に対しても敏感である。またGIST では,T2 強調画像で高信号を示し一見嚢胞性にみえる部分が造影効果を示すことがあるが,その場合には浮腫や粘液腫様変性を示す充実性成分をもつと考えられる。
  7. 5c.全身18F-FDG-PET は,早期の初発GIST の検出に優れているとの報告があるが,検査コストが高いことや,その普及率の点から,初期診断に用いることは一般的ではなかった。しかし,2010 年4 月の保険適用の改訂により,他の画像診断により病期診断が困難な場合にはGIST において18F-FDG-PET を用いることがわが国においても可能となった。大多数の未治療のGIST が18F-FDG の有意な取り込み上昇を示すといわれているが,空間分解能以下の腫瘍の検出は困難であり,low risk 群の腫瘍は弱い集積を示す。全身18F-FDG-PET では腹膜播種病変の診断に有用性が高く,腹膜への結節状集積や腸管外集積が特徴的である。全身18F-FDG-PET では肝転移は腫瘍の形態学的特徴によりばらつきのある18F-FDG 集積を見せることが多い。

Ⅱ.GIST の再発・転移の画像モニタリング

  1. 原発腫瘍を切除した後の再発・転移の画像モニタリングの時期・頻度については非常に重要な問題であるものの,欧米およびわが国においても未だ議論のあるところで一定の結論が得られていない。その方法に関しても,どの画像検査をどういう方法・頻度で行うべきかについてはっきりとしたエビデンスは確立されていない。
  2. GIST の術後経過観察においては,局所再発に加え,転移・播種の診断も必要となるため,横隔膜から鼠径部までを含めた腹部全体の撮像が必要となる。そのため,US やMRI では短時間に全範囲の検査を終えることは難しく,実用的にはCT,近年では特にMDCT が用いられることが多い。従って本ガイドラインでは,装置の普及性・簡便性も考慮し,経口・経静脈性造影を行ったCT による経過観察を中心とし,その撮像頻度をリスクにより分ける。そのほか,基本的には術前の病期診断の手法に準ずるが,検出率・被曝の点から肝臓の多相撮像をどの程度行うのがよいかに関し定まった見解はない。
  3. 術後の経過観察では正常解剖の変化や術後変化によりCT による観察が困難な場合も多いため,2010 年4 月から保険適用になった全身18F-FDG-PET(またはPET/CT)が有用になる症例も増加してくるものと思われる。ただし,18F-FDG を取り込まないGIST も20%程度存在することが報告されており,再発診断に用いるには術前に18F-FDG の腫瘍への取り込みをみておくことが必須である。
COMMENT

National Comprehensive Cancer Network(NCCN)のGIST 診療ガイドライン2004 では,CT を主としたGIST の原発腫瘍切除後の再発・転移のモニタリングの頻度として,最初の3〜5 年は3〜6 カ月に1 回,その後1 年に1 回としている5)。また,超低リスクのGIST では,より低い頻度でのフォローアップが適切との考えを示している。一方, European Society of Medical Oncology(ESMO)のコンセンサスレポート2005 では,中・高リスク群には最初の3 年は3〜4 カ月に1回,5 年までは6 カ月に1回,その後は1 年に1 回とし,超低・低リスク群には5 年間6 カ月に1 回が妥当としている。また,イマチニブに良好な反応を示した場合,モニタリングの頻度は3〜4 カ月に1 回が適切としている6)。わが国においてはGIST が発見される過程・発見時の大きさ・症状の有無などが海外とは大きく異なり,画像モニタリングの頻度も自ずと異なると考えられるが,現在,専門家の間でもまだコンセンサスが得られていない。しかし,欧米のコンセンサスと同様,リスクの高い症例ほど,より高頻度にモニタリングを実施すべきであるという立場は日本においても変わらない。従って,具体的にはリスク分類,および初発か再発かによって頻度を変えるべきである。本ガイドラインでは,初発かつ超低リスク〜低リスクで完全切除が得られた症例については,6 カ月〜1 年に1 回のモニタリングで十分と考え,中・高リスクあるいは臨床的悪性症例で完全切除が得られた症例では4〜6 カ月に1回のCT 検査(症例によっては18F-FDG-PET/CT)を推奨する。切除不能例(播種・腫瘍破裂などを含む)の場合はより高頻度(3 カ月に1 回またはそれ以下)のモニタリングが適切であるとする。


Ⅲ.GISTのイマチニブ投与後の治療効果判定

  1. GIST の初期治療で切除不能・残存病変がある場合,または再発・転移病変が画像的に捉えられた場合,イマチニブの投与が行われる。一般にそれらの病変に対する治療効果判定では,RECIST1.1 の基準に従い,CT などの断層画像上で長径10mm 以上(CT のスライス厚が5mm 以下の場合)の測定可能病変を定め,その腫瘍最大径の変化を観察する。しかし,GIST ではイマチニブ治療に反応していても腫瘍体積・最大径に変化がなく,治療抵抗性であるようにみえることもあり,逆に治療後に出血・壊死・嚢胞/粘液腫様変性により低吸収域となり新たな病変が出現したようにみえたり,出血・変性などで増大傾向を示す病変もある(図1)。そのため,大きさの計測に 加え新たな評価基準が必要とされていたが,CT においては治療前後でのCT値の変化を測定する方法が考案されている7)。ただし,イマチニブのGIST に対する治療効果のCT での判定基準は現在まだ明確にされておらず,腫瘍径の縮小と腫瘍内のdensity の低下などを併せて総合的な判定が行われている(Q and A 参照)。
  2. 18F-FDG-PET は腫瘍の代謝変化を捉えることが可能で,イマチニブの治療によりviable tumor cells が減少し腫瘍全体の代謝が低下すればその取り込みも減少し,再発すれば亢進する8)9)図2)。効果判定を行う際の基準が,European Organization for Research and Treatment of Cancer (EORTC)によって定義されており,ベースラインと比較したStandardized uptake value(SUV)変化に基づいて判定する10)。Viable tumor が18F-FDG-avid な腫瘍であることが前提であり,治療前後の撮像方法やROI の取り方,SUV 値の換算の仕方,サイズの変化も同時に記載するなどといった詳細な方法が記載されている。Positron Emission Tomography Response Criteria In Solid Tumors(PERCIST 1.0)というRECIST に準拠した判定基準も存在する11)。治療の回数やPET 施行の間隔はレジメによって異なるが,化学療法後の一過性集積減弱(化学療法の効果に関わらず,一過性の血流低下などにより18F-FDG の集積が減少する所見)やフレア現象(化学療法後,治療が奏効しているにも関わらず,周囲の免疫細胞などの活動性の亢進のため,18F-FDG の集積が増加する現象)を考慮し,治療後の検査は少なくとも10 日以上間隔を開けることが推奨されている。PET を使用した半定量的指標を加味した基準が分子標的治療の効果をモニターするために必要となっている。
    ただし,18F-FDG-PET は2010 年4 月にGIST の病期診断,転移・再発診断に対する保険適用が認められたものの,治療効果判定に対してはまだ認可されていない。
  3. イマチニブ継続投与中の画像検査によるモニタリング間隔についてはまだ結論が出ていない。本ガイドラインでは投与開始直後は1〜2 カ月毎,その後無増悪・無症状であれば3-6 カ月毎のCT による経過観察を推奨する。イマチニブの効果がいったんみられた後の再発を疑わせる画像所見として,①変性壊死した腫瘍内の結節,②新たな病変,③縮小していた腫瘍の再増大,④それらの混合型,の4 パターンが報告されており,なかでも①腫瘍内の結節,が最も重要であるとされている12)
図1:イマチニブ投与前   図1:イマチニブ投与後1カ月後
イマチニブ投与前   イマチニブ投与後1 カ月後

図1.66 歳女性,胃原発のGIST の肝転移に対しイマチニブ投与開始(臨床試験にて600mg/body)。治療後1 カ月目の造影CT で,肝に多発性にみられていた転移巣は低濃度化しより明瞭に認められる。特にS7に存在する腫瘍は腫瘍径が全体として大きくなっているが,充実部は認められず,ほぼ完全に嚢胞化していると考えられる。

(大阪大学放射線医学講座 金 東石先生のご厚意による)

図2:イマチニブ投与前   図2:イマチニブ投与後約6 カ月後
イマチニブ投与前   イマチニブ投与後約6 カ月後
図2:イマチニブ投与前   図2:イマチニブ投与後約6 カ月後
イマチニブ投与前   イマチニブ投与後約6 カ月後

図2.48 歳男性,胃原発のGIST に対する胃噴門側切除後,約4 カ月後に肝転移を生じ肝左葉外側区域・右葉部分切除を行った。その後腹腔内播種を認め,初診から1 年後にイマチニブ投与開始(臨床試験にて600mg/body)。治療後6 カ月目の検査で,播種巣の著明な縮小と18F-FDG の取り込みの消失がみられる。

(前獨協医科大学病院PET センター 村上康二先生のご厚意による)

COMMENT
  1. GIST ではイマチニブ治療に反応していても早期には(治療開始後2 カ月)CT 上,腫瘍体積・最大径に変化がない,または増大傾向を示し,治療抵抗性であるようにみえる病変もある。また,MRI のT2 強調画像で高信号化したりする病変もある(通常,治療後の高信号の持続は治療抵抗性を意昧する)。このような場合,CT ではCT 値が低下して一見,嚢胞に似た画像を呈することが多い。そのため,CT による治療効果判定には大きさの計測に加え,治療前後でのCT 値の変化を測定する方法が推奨されている。
  2. NCCN のGIST 診療ガイドラインでは,18F-FDG-PET によるモニタリングが積極的に考慮される症例として,①他の検査法では明らかにならない転移巣の検出,②原発巣が不明の場合の原発巣の探索,③治療方針決定に際してイマチニブ治療に対する反応モニタリングが重要な情報となる場合,④CT では結論が得られないか,あるいはその結果が臨床所見と一致しない場合,などが挙げられている5)。また,ESMO のコンセンサスレポートでは,18F-FDG-PET のベースラインにおける適応として,イマチニブ治療に対する腫瘍反応の早期確認が必要な症例(腫瘍縮小後に手術を考慮する場合など)を挙げており,CT 所見が臨床像と一致しないか,CT 所見のみで断定できない場合にも18FDg-PETによる詳細な評価を実施するとしている6)。ただし,viable tumor が18F-FDg-avid な腫瘍であることが前提であり,治療前後の撮像方法やROI の取り方,SUV 値の換算の仕方,サイズの変化も同時に記載する必要がある。また,18F-FDG-PET は2014 年3 月時点のわが国ではまだ治療効果判定に対する保険適用は認められていない。さらにNCCN およびESMO のいずれにおいても,最初に行う画像診断としては造影CT を推奨しており,18F-FDG-PET はCT を補完することができるがCT に代わるものではないとしている5)6)13)。そのほか,dynamic CT/MRI で造影早期に増強される充実性部分の割合の変化をみることも試みられているが,単純CTと造影CTを注意深く比較して出血・壊死・変性とviableな組織を鑑別することが最も重要である。
  3. GIST のCT 所見はイマチニブ投与開始後,1〜2 カ月で急激に変化する。また,再進行があると急激に腫瘍の増大がみられることがある。このため検査間隔については,イマチニブ投与開始直後は1〜2 カ月毎,その後は画像所見の変化や症状がない限り3-6 カ月毎,画像上再発を疑う所見がみられた時は1〜2 カ月毎に短縮する,といった設定が有効と考えられる。

Q and A
Q1.GIST の確定診断に有効な画像検査は何か。

CT が確定診断に有効という証拠はないが,現在用いられている画像診断の中では存在診断・病期診断に最も有効と考える(特に3 次元データを取得できるMDCT)。
<推奨度:グレードC1

GIST の質的診断(確定診断)には小さなGIST に対しても超音波内視鏡ガイド下穿刺生検が有効であるが,現時点では施行できる施設の数は限られる。
<推奨度:グレードC1

上部消化管造影や消化管内視鏡による消化管がん検診が広く行われているわが国では,腫瘍径2cm 以下の無症状の粘膜下腫瘍が多く発見されている。その中に,GIST も含まれているので診断に寄与はしているが,上部消化管造影や内視鏡検査のみでGIST と確定診断をつけることはできない。 ただし,内視鏡検査では,腫瘍が潰瘍を伴っている時は生検で粘膜下腫瘍の組織を採取し,確定診断に導くことが可能であり,他の粘膜下腫瘍様の形態を呈する癌やカルチノイド,悪性リンパ腫との鑑別にも必須である。(推奨度:グレードC1)

超音波検査は放射線被曝がなく侵襲性も低くスクリーニングには最適であるが,症状のないGIST を腹部・骨盤超音波検査で偶然発見することはあっても,その確実性は乏しい。また,質的診断についても特異性はない。ただし,肝転移の診断や経過観察には簡便に行えるので有用である。(推奨度:グレードC2)

超音波内視鏡は小さな病変でも描出することができ,腫瘍が腸管壁のどの層由来であるか,内部構造がどのようなものであるかがわかるので非常に有用である。また,超音波内視鏡ガイド下穿刺生検(EUS-FNAB)は術前に組織診断が安全にかつ確実につけられる唯一の方法であり,非常に有用ではあるが,施行できる施設の数は限られる。EUS-FNAB の診断におけるエビデンスレベルを論じることは難しいが,Matsui らは外科切除が行われ最終の病理組織診断がつけられた上部消化管粘膜下腫瘍15 例中14 例(93%)でEUS-FNAB の診断が正しかったとしている14)。また,Okubo らによると,切除により最終の病理組織診断まで確定したGIST 21 例中18 例でEUS-FNAB にて免疫組織学的染色による診断が可能な組織が得られている。さらに悪性度についてはmitotic activity をみるのは組織が小さすぎて困難であるが,MIB-1 labeling index を用いることにより,悪性度の診断能が向上すると述べている15)。(推奨度:グレードC1)

現在臨床的に汎用される画像検査の中で,CT はその普及度,短い検査時間,空間分解能,低侵襲性,費用などの点からGIST の存在診断に最も有効であると考えられる。また,GIST の診断においては原発巣および播種性転移巣の診断が重要なため,腹部・骨盤部を一度に検査できる利点も大きい。しかしスクリーニングとして行うには放射線被曝,普及率,経済性の問題がある。また精査として行うには小さな播種巣を見逃さないためにも,経口造影剤・経静脈性造影剤を併用し,5mm スライス厚以下の連続スライスが得られる装置で撮像することが推奨される。(推奨度:グレードC1)

MRI はその高いコントラスト分解能・被曝のない点・撮像方向の自由度からGIST の診断においてしばしば用いられてきた。しかし,MDCT の登場により3 次元データを用いMRI よりもさらに自由に多方向からの観察が可能となった現在では,MRI がCT よりも優れるという報告はない。ただしその高いコントラスト分解能により骨盤部の検査には非常に有用である。今後,腹部全体を撮影可能なwhole body scan の普及やdiffusion weighted imaging の応用(特に腹腔内播種の検出)が期待される。(推奨度:骨盤部病変ではグレードC1,その他はC2)

GIST の再発・転移形式は局所再発・腹腔内播種・肝転移が主であり,肺転移の頻度は末期を除き非常に低い。そのため胸部X 線写真は麻酔のための術前検査として行われる意味は大きいが,その際に肺転移をチェックしておくことも必要である。(推奨度:グレードC2)

18F-FDG-PET では一般的にGIST では18F-FDG の取り込みが亢進しており,高率に検出できることが報告されているが,実際に腫瘍全例で取り込まれるわけではなく,嚢胞化し充実部の少ない腫瘍では取り込みも少なく,小さな病変では空間分解能の点から描出されにくい。従って,術前検査としてCT での転移・播種巣の見逃しを防ぐという補助的意味合いはあるものの,この検査のみでの存在診断・鑑別診断・病期診断は困難である。(推奨度:グレードC2)

Q2.イマチニブのGIST 治療効果判定に有効な画像検査は何か。

CT が治療効果判定に有効という証拠はないが,現在用いられている画像診断の中では最も有効と考える。ただし大きさの変化のみでは判定が難しく,治療前後のCT 値の変化を考慮した診断基準が提唱されている。
<推奨度:グレードC1

18F-FDG-PET による治療効果判定は,症例によっては鋭敏であるが,2014 年3 月現在,わが国では治療効果判定目的の保険適用は認められていない。
<推奨度:グレードC2

上部消化管造影や消化管内視鏡は腫瘍の大きさや形状の変化はわかるが,内部の変化については判定ができない。(推奨度:グレードC2)

超音波検査は被曝もなく簡便に繰り返すことができるため,同定できるGIST の病変に関し,大きさの変化をみてイマチニブの治療効果判定を行うことは可能であるが,定量化の方法は確立されていない。また,イマチニブ治療後のGISTでは大きさは変化しなくても内部の嚢胞化・血流低下として効果が現れることがあるため,その点にも注意が必要である。イマチニブの治療効果判定に超音波ガイド下穿刺生検を用いたという報告はなく,患者への侵襲や診断可能な組織が採取できるかということを考えると有効とはいえない。(推奨度:グレードC2)

腹部・骨盤CT にてRECIST1.1 による治療効果判定基準に従いその病変の大きさの変化を計測することは容易である。しかしイマチニブのGIST 治療効果では大きさの変化はなくても腫瘍血流低下・嚢胞化として治療効果が得られている場合が無視できないため注意が必要である。CT ではCT 値の測定により絶対的な定量化がかなり可能であるため,血流低下・嚢胞化などに伴う腫瘍の低濃度化を数値化する方法が前述のごとく提唱されている7)。しかし,この数値の変化を大きさの変化とどう関連させるかについては決定されていない。

この問題に対し,2007 年Choi らはCT における腫瘍の大きさの変化とCT 値の変化(治療前後での門脈相CT の腫瘍のCT 値の変化)を加味した新しい基準を提案した16)。RECIST1.0 による判定では最大腫瘍径の総和が30%以上減少しないとPRとならないが,彼らの基準では10%以上の腫瘍径の減少か,または15%以上のCT 値の変化があればPR とみなしてよいとしている(表1)。また,この基準をイマチニブ投与開始後2カ月で適用した場合,18F-FDG-PET による治療反応良好群(SUVmax の70%以上の低下,または絶対値で2.5 未満)と反応不良群の鑑別の予測に対し感度97%,特異度100%の結果を示し,治療効果の予測にPET と同等に有効であったと述べている。この基準の有効性については今後の多施設間における評価を待つ必要がある。(推奨度:グレードC1)

表1:CT による治療効果判定の修正基準(Choi et al., 200716)
反応 定義(標的病変の最大径の総和はRECIST1.0 の基準による)
完全奏効(CR) すべての病変が消失し、新出病変がない
部分奏効(PR) 腫瘍径が10%以上の減少または腫瘍のCT 値が15%以上の低下を示し、新出病変はなく、計測困難な病変にも明らかな進行がない
安定(SD) CR, PR, PD の基準を満たさず、腫瘍の進行によると思われる症状の悪化がない
進行(PD) 次のいずれかの所見を示す
  • 腫瘍径の10%以上の増加があり、腫瘍のCT 値の変化がPRの定義を満たさない
  • 新出病変がある
  • 新たな壁在結節の出現、または既にあった壁在結節の径の増加が見られる

Adapted from Choi H, et al: J Clin Oncol 25 (13), 2007: 1753-1759.
© 2007 American Society of Clinical Oncology. All rights reserved.
Readers are encouraged to read the entire article for the correct context atjco.ascopubs.org.
The authors, editors, and ASCO are not responsible for errors or omissions in translations.

MRI で着目した病変の大きさ・内部構造の変化・血流の多寡を経過観察することは可能であるが,治療効果判定においてMRI がCT に優る有用性は被曝がない点以外は明らかではない。(推奨度:グレードC2)

胸部X 線写真は肺転移がみつかった場合,治療効果判定として大きさの変化をみるのには簡便かつ正確で,20mm 以上の病変は測定可能病変として扱われる。(推奨度:グレードC2)

18F-FDG-PET はイマチニブにより生じたGIST 内部の代謝・血流の変化を鋭敏に反映し得ることが知られている。解糖系代謝の著しい低下が治療開始後早期に起こり,形態学的に腫瘍が縮小するタイミングよりも先行する。18F-FDG-PET が腫瘍縮小をより早期に予測できるという点で,イマチニブや他のプロテインキナーゼ阻害剤による治療をモニターするための有益なツールになりうる。しかし2014 年3 月現在,GIST の治療効果判定に対しわが国では18F-FDG-PET の保険適用がまだ認められていない。(推奨度:日本では未認可のためグレードC2)

Q3.イマチニブによるGIST 治療の早期治療効果判定にどのようなものが有効か。

早期治療効果判定にCT,18F-FDG-PET などを用いた手法が試みられているが,有効という証拠はない。
<推奨度:グレードC2

早期治療効果判定においていくつかの手法が提唱されているが,有効性の定まったものはない。血流低下・嚢胞化などを反映したCT での低濃度化は上述のごとく定量化されており,有効であるとの報告がある。また18F-FDG-PET の取り込みをSUV 値により定量化する報告がなされている。SUV 値は装置の性能や被検者の体重,血糖値,投与量,待機時間,収集時間,画像再構成法などさまざまな因子によって影響を受けるため,治療効果判定のための画質を担保するためには,これらの影響を加味した撮像条件の標準化が必要である。さらにCT/MRI においては,造影剤を急速静注しながら同一レベルで何枚ものスキャンを繰り返し撮像し,そのtime-density(intensity) curve を基に血流量を定量化するfunctional CT/MRI の手法が応用可能である。ただし,現時点でその定量性の再現性は十分吟味されているとはいえない。(推奨度:グレードC2)

【文献】

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4) Kim HC, Lee JM, Kim KW, et al:Gastrointestinal stromal tumors of the stomach:CT findings and prediction of malignancy. AJR Am J Roentgenol 183(4):893-898, 2004.

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8) Antoch G, Kanja J, Bauer S, et al:Comparison of PET, CT, and dual-modality PET/CT imaging for monitoring of imatinib(STI571)therapy in patients with gastrointestinal stromal tumors. J Nucl Med 45(3):357-365, 2004.

9) Gayed I, Vu T, Iyer R, et al:The role of 18FDg-PET in staging and early prediction of response to therapy of recurrent gastrointestinal stromal tumors. J Nuc Med 45(1):17-21, 2004.

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13)Demetri GD, von Mehren M, Antonescu CR, et al. NCCN Task Force report: update on the management of patients with gastrointestinal stromal tumors. J Natl Compr Canc Netw. 8 Suppl 2:S1-S41, 2010.

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15) Okubo K, Yamao K, Nakamura T, et al:Endoscopic ultrasound-guided fine-needle aspiration biopsy for the diagnosis of gastrointestinal stromal tumors in the stomach. J Gastroenterol 39(8):747-753, 2004.

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病 理 診 断

Ⅰ.病理診断の基本

組織像は紡錘形細胞からなる場合が最も多いが,類上皮様細胞からなる場合,両者が混在する場合もある。通常のHE 染色のみでは平滑筋腫瘍や神経鞘腫などと類似した組織像を呈し鑑別困難なことがあり,免疫染色用いた鑑別が必要である(アルゴリズム7 参照)。平滑筋腫瘍および神経鞘腫以外でGIST と鑑別を要する消化管の間葉系腫瘍としては,Desmoid やInflammatory myofibroblastic tumor, Solitary fibrous tumor などがある。KIT はGIST の95%前後に陽性を示し,HE 染色でGIST として矛盾がなく,免疫染色で特異的にKIT が陽性と判断されればGIST と診断される1)。不用意な賦活化処理などによっては偽陽性を起こすことがあり,また組織固定の条件などによっては偽陰性となることもあり,免疫染色におけるKIT陽性所見の特異性を判断する場合には注意を要する。CD34 はGIST の70〜80%に陽性であり,KIT 陰性,CD34 陽性の腫瘍の一部はGIST と判定される2)。最近,DOG1 がGIST の特異的マーカーとして使用されている。DOG1 はGIST においてKIT と同等の陽性率を示し,KIT 陰性のGIST に対する相補的なマーカーとして有用とされる3)。Desmoid では特徴的な腫瘍細胞像と核のβ-catenin 陽性像が,Inflammatory myofibroblastic tumor では強い炎症細胞浸潤像と半数の症例で腫瘍細胞にALK が陽性になることが,GIST との鑑別に有用である。

免疫染色を行った後にもGIST か否かの確定診断に至らない場合は,GIST 病理診断の専門家へのコンサルトを考慮する。また,Ⅲに記載するような特殊なGIST の症例を除きGIST の大部分にはc-kit遺伝子またはPDGFRA 遺伝子に機能獲得性変異が検出されることから,これらの遺伝子検索がGIST の診断に有用である。


Ⅱ.GIST のリスク分類

転移を示したGIST は悪性と断定できるが,腫瘍径の小さい,もしくは核分裂像が目立たないGIST でも転移を示すことがあり,腫瘍径が小さいから,または増殖能が目立たないから良性であると断定することは困難である。転移のみられないGIST の場合には,良性または悪性と診断するのではなく,腫瘍径や細胞増殖能などの指標を組み合わせたリスク分類が行われる。細胞増殖能の指標としては核分裂像数が一般的に用いられており4〜6),早くからいわゆるFletcher 分類(表1)が用いられてきた4)。細胞増殖能の指標としては免疫染色によるKi-67 陽性率(MIB-1 labeling index))5)7)8)・腫瘍壊死像の有無も有用であるとの報告もある。GIST においては以前から,腫瘍発生部位により予後が異なることが示唆されており,腫瘍径および核分裂像数とともに発生部位を考慮に入れた,いわゆるMiettinen 分類も再発リスクを推定する基準として用いられている(表29)。さらに最近では,Fletcher 分類を改変し,Miettinen 分類でも考慮されている胃と小腸・十二指腸・大腸の間でのリスクの違いを採用し,さらに再発がほぼ必発である腫瘍被膜破裂症例を高リスクとしたmodified Fletcher分類(いわゆるJoensuu 分類)(表3)が,再発高リスク群のみを他のリスク群から効率的に選択する分類法として有用と報告されている10)。これらの各リスク分類を用いて個別の症例を評価した場合,異なったリスク群に振り分けられるGIST 症例が出てくるが,上記のリスク分類のいずれにおいても基本的には高リスク群を効率的に抽出できるものと考えられ,現状ではいずれの分類を用いることも許容範囲内と考えられる。病理組織診断書には再発リスクの評価をどの分類に従って行ったのかを明示することが求められ,実際には最大腫瘍径・部位とともに対物レンズ40 倍で50 視野を観察した核分裂像数(およびKi-67 陽性率)を記載しておけば,いずれのリスク分類にも対応が可能である。

表1 から表3 によるリスク評価が非連続的である(境界領域付近の大きさや核分裂像数を持つ症例でリスク評価が大きく変わる)のに対して,世界の多数症例のGIST の予後調査から最大腫瘍径と核分裂像数・部位・腫瘍被膜破裂の有無を指標として作成されたContour maps は連続的な指標として評価されており,患者に対し再発の頻度を具体的に説明するうえで有用とされている(図110)

表1. GIST のリスク分類(1)(いわゆるFletcher 分類,NIH コンセンサス分類)
  大きさ(cm) 核分裂像数/50HPFs
超低リスク

<2cm

<5

低リスク

2〜5cm

<5

中リスク

<5cm
5〜10cm

6〜10
<5

高リスク

>5cm
>10cm
Any

>5
Any
>10

(Fletcher, et al 4), 2002)

表2. GISTのリスク分類(2)
Mitotic index Size 小腸 十二指腸 大腸
5以下/50HPFs 2cm以下

None
(0%)

None
(0%)

None
(0%)

None
(0%)

5 以下/50HPFs 2cm 超5cm 以下

Very low
(1.9%)

Low
(4.3%)

Low
(8.3%)

Low
(8.5%)

5 以下/50HPFs 5cm 超10cm 以下

Low
(3.6%)

Moderate
(24%)

Insuff.
data

Insuff.
data

5 以下/50HPFs 10cm<

Moderate
(10%)

High
(52%)

High
(34%)

High
(57%)

>5/50HPFs 2cm 以下

None

High

None

High
(54%)

>5/50HPFs 2cm 超5cm 以下

Moderate
(16%)

High
(73%)

High
(50%)

High
(52%)

>5/50HPFs 5cm 超10cm 以下

High
(56%)

High
(85%)

Insuff.
data

Insuff.
data

>5/50HPFs 10cm<

High
(86%)

High
(90%)

High
(86%)

High
(71%)

(Miettinen et al, 20069)

表3. Modified Fletcher 分類(いわゆるJoensuu 分類)
リスク分類 腫瘍径(cm) 核分裂像数(/50HPFs) 原発部位
超低リスク

≤2.0

≤5

低リスク

2.1〜5.0

≤5

中リスク

≤5.0
5.1〜10.0

6〜10
≤5

高リスク

腫瘍破裂あり

>10.0

>5.0


>10
>5

≤5.0
5.1〜10.0

>5
≤5

胃以外

Joensuu H. Hum. Pathol 39; 1411, 2008
Rutkowski P. et al. Eur J Surg Oncol. 37; 890, 2011

図1. Contour maps(術後10 年での再発確率)
図1:Contour maps(術後10年での再発確率)

Joensuu H at al. Lancet Oncol 13, 265, 2012

(メモ)

核分裂像数の記載に際し,顕微鏡の接眼レンズの視野の広さに注意すべきことが指摘されている。近年一般に使用されている光学顕微鏡と以前に使用されていた顕微鏡では同じ倍率でも視野の広さが異なっており,以前の顕微鏡を用いて対物レンズ40 倍で観察した場合の視野の面積は,近年の顕微鏡を用いて対物レンズ40 倍で観察した場合の視野の面積の半分程度しかない。以前に報告されている多くの論文などでは核分裂像数の評価が視野の狭い顕微鏡で行われていることから,同等の評価をするためには数値もしくは計測する視野の数を補正する必要がある。例えば,いわゆるMiettinen 分類で記載されている対物レンズ40 倍での50 視野の面積は約5mm2 (接眼レンズ視野数14 程度)とされており,接眼レンズ視野数20 の顕微鏡を用いた場合には対物レンズ40 倍での50 視野の面積は約10mm2 となることから,核分裂像数は24 視野相当で記載するとMiettinen 分類の基準に一致することになる。表4 に接眼レンズ視野数と視野面積などの換算表を記載した。なお,Europian Society for Medical Oncology (ESMO) の最新のGIST のClinical Practice Guideline では,顕微鏡間での差異をなくすべく,5mm2 換算での核分裂像数の記載が推奨されている。

表4.顕微鏡の接眼レンズ視野数と視野面積の関係
顕微鏡
視野数
視野直径
(mm)
1 視野面積
(mm2)

上段:Miettinen 分類の50 視野 (4.8mm2) 相当の
各視野数での視野の数

下段:各視野数の50 視野での計測値の
Miettinen 分類の50 視野相当への換算値

14 0.35 0.096

50 (Miettinen 分類での基準面積)
×1.00

16 0.40 0.126

38
×0.76

18 0.45 0.159

30
×0.60

20 0.50 0.196

24
×0.48

22 0.55 0.238

20
×0.40

24 0.60 0.283

17
×0.34

26 0.65 0.332

14
×0.28


Ⅲ.特殊なGIST

c-kit およびPDGFRA 遺伝子のどちらにも変異のないGIST が少数(5-10%)存在しているが,その多くは免疫染色でKIT が強陽性を示すことから,診断上はあまり問題とはならない。このようなGIST の代表例は神経線維腫症(NF1)患者に発生するGIST で,しばしば十二指腸以下の消化管に多発する11)。多発腫瘍を腹膜播種と間違えないように注意すべきである。30歳前後までの患者の胃にしばしば数個の腫瘍結節を持つ,“いわゆる若年GIST”もc-kit・PDGFRA 遺伝子に変異がないことが多い12)。NF1 患者と同様,腹膜播種と間違えないように注意すべきである。また,Carney triad と呼ばれる胃GIST・傍神経節腫・肺軟骨腫を3 主徴とし,10 歳代の女児に好発する稀な非遺伝性の病態におけるGIST でも,c-kit・PDGFRA 遺伝子に変異はない13)。3 主徴が同時にみられないことも多く,“いわゆる若年GIST”との鑑別が困難なことがある。さらに,傍神経節腫とGIST を主徴とし,succinate dehydrogenase(SDH)のsubunit A, B, C, D のgermline の遺伝子変異を原因とする常染色体優性遺伝を示す病態としてCarney-Stratakis 症候群があるが,このGIST にもc-kit・PDGFRA 遺伝子の変異がみられない14)。また,c-kit・PDGFRA 遺伝子のどちらにも変異のない成人のGIST の中にはBRAF 遺伝子のexon 15 に点突然変異を持つ症例が報告されている15)

“いわゆる若年GIST”とCarney triadやCarney-Stratakis 症候群に発生したGIST はSDH のB subunit(SDHB)の免疫染色が陰性となる共通の特徴を有しており,SDH の機能異常とそれに関連したInsulin-like growth factor 1 receptor(IGF1R)の高発現がこれらのGIST 発生の病態に関与していることが示唆されている。NF1 患者に発生するGIST およびBRAF 遺伝子変異をもつGIST を含め,これらの特殊なGIST はいずれもイマチニブの効果が期待し難く,イマチニブでの治療を考慮する場合には遺伝子変異検索を含めたこれら特殊GIST の病態の把握が重要である。

稀な病態として、c-kit 遺伝子にgermline の変異をもつ多発GIST 家系が存在し、世界で20 家系以上が報告されている。GIST の起源細胞とされるカハールの介在細胞のびまん性過形成を基盤に胃・十二指腸・小腸にGIST が多発するが、この病態も腹膜播種と間違えないように注意すべきである。なおこの病態には、しばしば外陰部や口囲、指先部に色素沈着が見られ、マスト細胞性腫瘍の合併や嚥下困難の症状がみられることがある。germline のc-kit 遺伝子変異検索がこの病態の確定に重要である。

Q and A

本項では推奨度をつけ難いため省略した。

Q1.GIST はHE 染色のみで診断できるか。

可能な場合が多いが,KIT を含めた免疫組織化学を行って確認すべきである。

多くのGIST はHE 染色のみでもかなりの確率で正しい診断を得ることができると考えられるが,HE 染色のみでは他の消化管間葉系腫瘍などと見誤ることがある。上皮型のGIST の場合には,低分化腺癌・未分化癌・カルチノイドなどとの鑑別が必要なこともある。GIST を疑う症例は基本的には全例にKIT を含めた免疫組織化学を行って確認をすべきと考えられる。HE 染色でGIST として矛盾がなく,かつKIT が陽性であれば,そのほかの免疫染色は必須ではない。生検等の小さな標本で判断する場合は特に注意が必要である。

Q2.GIST の診断にKIT 免疫染色は有効か。

有効である。

GIST の95%以上がKIT 陽性となり,KIT 免疫染色は一般的に入手可能な診断マーカーの中で信頼性が極めて高いものの一つとされている。もう一つの信頼性の高いマーカーとしてDOG1 が用いられており,同様に95%以上が陽性となることから,特にKIT 陰性のGIST に対する相補的なマーカーとして有用とされる3)

Q3.GIST 以外の腫瘍にKIT の発現はみられるか。

頻度は低いが,さまざまな腫瘍でKIT 陽性となることが報告されている。

例えば,悪性黒色腫や精上皮腫,乳癌,Ewing 腫瘍/PNET,神経内分泌癌,adenoidcystic carcinoma, teratocarcinoma などでKIT が陽性となることがあると報告されており,胸腺癌での陽性率は高い。これらの腫瘍が消化管に転移してGIST との鑑別が必要となることは少なく,またこれらの腫瘍が肝などへの転移性腫瘍としてGIST の転移かどうかの鑑別が必要となることも少ないが,そのようなケースがあり得ることは念頭におく必要がある。

Q4.KIT の陽性像が一部,もしくは弱くしかみられない場合の診断はどうするか。

原則としてGIST と診断する。

免疫染色でのKIT の染色性の判断は,明らかに陽性と判断される部分があれば(染色の妥当性が確保されたうえで),その範囲が狭くても,また弱陽性であっても,基本的に陽性とする。しかし,これはHE 染色でGIST として矛盾がないことが条件となる。そのためにはGIST のとり得る組織像を十分に認識しておく必要があるが,GIST が稀な腫瘍であることから十分な診断能力を身につけることが困難なことが多い。評価に迷った場合はGIST 病理診断の専門家にコンサルトすることが推奨される。KIT の免疫染色が部分的であったり弱陽性であることは,PDGFRA 遺伝子に突然変異をもつGIST においてしばしばみられる。非特異的な陽性所見(偽陽性)を陽性と判断することがないように,その特異性については慎重に判断する必要があり,偽陽性像をもってGIST と誤診することがあってはならない。

Q5.KIT 陰性のGIST(KIT, CD34, desmin, S-100 蛋白がすべて陰性のGIST を含む)の診断はいかにすべきか。

KIT 陰性のGIST の診断は,GIST 病理診断の専門家へのコンサルトやc-kit, PDGFRA 遺伝子検索などを通して慎重になされることが推奨される16) 17)

KIT 陰性のGIST のうち,CD34 が陽性でかつ組織学的にGIST とみなされる場合はGIST と診断して問題ないと考えられるが,KIT,CD34,desmin,S-100 蛋白がすべて陰性のものを含め,KIT 陰性のGIST については慎重にされるべきである。最近,DOG1 がGIST の特異的マーカーとして使用されており,KIT と同等の陽性率を有することからKIT 陰性のGIST に対する相補的なマーカーとして有用とされる3)

Q6.GIST は臓器別に頻度や生物学的特徴に違いはあるか。

GIST は部位による頻度や生物学的特徴に違いが報告されている。

GIST は胃に最も多く発生し(50〜70%),小腸(20〜30%),大腸(約10%)にも発生する。食道発生のGIST は稀で,大網や腸間膜での発生も頻度は低い。臓器別のGIST の生物学的特徴として,例えば胃と小腸のGIST にはその発現蛋白や遺伝子変異型の頻度の違い,予後の違いなどが報告されている。

Q7.KIT 免疫染色とc-kit 遺伝子異常との関係は?

KIT 免疫染色の程度とc-kit 遺伝子異常の有無には基本的には関係がない。

しかし,以下のような特徴はある。c-kit 遺伝子変異をもつGIST は基本的にKIT の発現がほとんどの場合明らかに認められる。逆に,例えば若年者のGIST のようにKIT の免疫染色はほとんどの場合検出できるものの,c-kit遺伝子変異がみられないものがある。また,通常PDGFRA 遺伝子に変異をもつGIST ではc-kit 遺伝子に変異をみることはなく,KIT の免疫染色で陰性もしくは弱陽性を示すことが多い16)〜18)

Q8.GIST の組織学的悪性度診断はいかに行なうか。

GIST の再発リスクを推定する基準として,腫瘍径と組織標本上の単位視野当たりの核分裂像数を組み合わせたリスク分類が行われており,腫瘍径・核分裂像数とともに腫瘍発生部位や腫瘍被膜破裂も考慮に入れた分類も用いられている。

GIST の良悪性をHE 染色で判定することは必ずしも容易ではないため,現在一般的には悪性度(再発リスク)を推定する基準として腫瘍径と組織標本上の単位視野当たりの核分裂像数を組み合わせたリスク分類が行われている(表1)。核分裂像数の代わりにKi-67 陽性細胞率や腫瘍壊死像を細胞増殖能の指標にするリスク分類も提唱されている。また,最近では発生部位により悪性度が異なることが報告されるようになり,腫瘍径・核分裂像数とともに発生部位も考慮に入れたリスク分類も用いられている(表2)。また,腫瘍径・核分裂像数,発生部位を考慮に入れ,さらに腫瘍被膜破裂症例を高リスク群に分類する方法も示されている(表3)。どの分類も効率的に高リスク群を選択できるものと考えられる。

Q9.生検でGIST の診断・悪性度診断ができるか。

可能な場合がある。

一般に通常の内視鏡下生検ではGIST の組織は採取され難く,診断は困難である。潰瘍形成部から組織採取をした場合に,GIST 組織が含まれることがある。このような場合,肉芽組織との鑑別が困難な場合があり注意を要する。最近では,超音波内視鏡にの穿刺吸引により,組織/細胞を採取する施設も増加している。いずれの場合も十分な組織が採取されれば,免疫組織化学を併用してGIST を診断することは可能であるが,組織量の問題,腫瘍のheterogeneity の問題などからその悪性度の判断(リスク分類)は困難なことがある。

Q10.KIT 陰性GIST の診断にc-kit 遺伝子変異の検索は有効か。

KIT 陰性GIST の診断にc-kit 遺伝子変異の検索が有用なことがある。

KIT 陰性GIST には,免疫染色の問題でKIT の陽性像が得られなかったGIST やPDGFRA 遺伝子変異をもつGIST などが含まれる。また,免疫染色でKIT 陰性と判断された場合でもc-kit 遺伝子に変異が検出されるものがあり,KIT 陰性の消化管間葉系腫瘍にc-kit 遺伝子やPDGFRA 遺伝子の突然変異が検出されれば基本的にGIST と診断してよい(GIST,マスト細胞性腫瘍,精上皮腫,悪性黒色腫以外でc-kit 遺伝子の変異が検出されることはないと考えても差し支えない)19)

Q11.イマチニブ治療効果予測にc-kit 遺伝子変異の検索は有効か。

c-kit 遺伝子変異部位とイマチニブの効果に関連があることが報告されている。

例えば,c-kit 遺伝子のexon 11 の変異は一般にイマチニブの効果が高いが,c-kit 遺伝子のexon 9 の変異はイマチニブの効果がやや悪い。c-kit 遺伝子検索をすることで,ある程度のイマチニブの効果は予測可能と考えられる20)21)。また,c-kit 遺伝子およびPDGFRA 遺伝子のどちらにも変異のないGIST はイマチニブの効果が期待しがたいことが知られている。

Q12.イマチニブ治療効果予測にPDGFRA 遺伝子変異の検索は有効か。

PDGFRA 遺伝子変異部位とイマチニブの効果には関連があることが報告されている。

例えばin vitro ではPDGFRA 遺伝子のexon 12 の変異は一般にイマチニブの効果が高いが,PDGFRA 遺伝子のexon 18 の変異の多くを占めるコドン842 番の点突然変異はイマチニブ抵抗性である。PDGFRA 遺伝子検索をすることで,再発治療やアジュバント治療の有効性の評価・必要性に対する情報を与えることが可能と考えられる17)21)Q and A11 に記載したように,PDGFRA 遺伝子にもc-kit 遺伝子にも変異のないGIST はイマチニブの効果が期待しがたいことが知られている。

【文献】

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外 科 治 療

Ⅰ.手術の原則

組織診断がついており切除可能な原発GIST(アルゴリズム2.外科治療a)治療の第一選択は外科治療である1)2)。外科治療の原則を表1 にまとめた(エビデンスレベルⅥ)。切除可能なGIST の治療の原則は,肉眼的断端陰性の完全切除であり,偽被膜を損傷することなく外科的に安全な切除断端を確保し完全に切除することが必要である。リンパ節の郭清はリンパ節転移が疑われる場合や明らかなリンパ節転移が証明された場合以外は推奨されない4)。原則として臓器や臓器機能の温存を目指した部分切除が推奨される。しかし腫瘍が進行しGIST が隣接臓器に強く癒着あるいは浸潤している場合,癒着あるいは浸潤している隣接臓器は,無理な剥離に伴う偽被膜損傷や腫瘍細胞の腹腔内散布や流出を防ぐために,可能であれば腫瘍とともに一括切除するべきである。

COMMENT
  1. 外科治療に関してはエビデンスに足る臨床研究に基づく文献が少ないため,日本癌治療学会がん診療ガイドライン評価委員会の提案に従い,consensus-based guidelines とした。
  2. 良性の経過をたどるGIST の存在証明は現時点ではない。また,良性の経過をたどるGIST が存在したとして,良性の経過をたどるGIST と悪性の経過をたどるGIST の鑑別を臨床的あるいは病理組織学的に正確に行うことは困難である。現時点では良悪性の鑑別の診断根拠がないことから,多くのGIST は治療対象と考えられる。しかし,消化管の粘膜下腫瘍や腫瘤がすべてGIST とは限らず,外科手術の適応を考える際には,慎重に術前診断をすべきである。組織学的なGIST の診断は重要で,術前に組織学的診断をつける試みは必要であるものの,現実は,必ずしもすべての症例に対して術前診断が可能なわけではない。術前診断がつかず手術に至った場合,粘膜下腫瘍の形態をとる腺癌やカルチノイド,良性疾患の可能性もあり,術中に切除標本による迅速病理診断を行い,組織を確認すべきである。特にわが国では粘膜下腫瘍の形態をとる胃癌の鑑別が臨床上重要である。
  3. GIST の転移は多くの場合,血行性転移(肝転移)か腹膜播種であり,局所リンパ節に転移することは稀である4)(エビデンスレベルⅣa)。また,リンパ節の系統的かつ予防的郭清が予後を改善するという報告はない。転移を疑うリンパ節の郭清においても,系統的リンパ節郭清の臨床的意義は認められておらず,リンパ節の郭清は転移リンパ節のpick-up 郭清で十分と考えられる4)
  4. GIST の手術においては核出術(shell-out 切除)は避けるべきである(エビデンスレベルⅥ)。例外的に,同じ粘膜下腫瘍の一つではあるが良性の経過をたどることの多い食道平滑筋腫は,予後や機能温存を考え核出術を行う場合がある。ただし,このような場合においても,GIST は無論のこと,腫瘍性SMT の外科治療に核出術を用いることは望ましくなく,例外的に用いる際には,患者に十分な説明による同意を取るべきである。内視鏡下に腫瘍性SMT をESD の手法や経口内視鏡を用いて全層で切除する報告があるが5, 6, 7),現時点では確立された方法では無く,積極的に勧められる治療方法ではない(エビデンスレベルⅤ;推奨度C2)。臨床試験レベルの医療であり,患者に十分な説明による同意を取るべきである。
  5. GIST の外科治療においては,臓器機能を可及的に温存した部分切除で根治が可能であれば部分切除を,部分切除で一括切除が不可能であれば,全摘ないしは周囲臓器切除を伴う拡大切除を行う。切除断端が陽性であることが生存期間を損なうことになる,とは完全には証明されていないが8),局所再発や腹膜再発のハイリスクとなり得る。従って,肉眼的断端陰性は確保すべきである。腫瘍内,病巣内で切除され肉眼的断端陽性で,完全切除可能で,腫瘍破裂,漿膜浸潤や播種のない症例については追加切除を考慮すべきである。GIST の手術においては,肉眼的断端陰性かつ組織学的断端陰性が望ましい。肉眼的断端陰性かつ組織学的断端陽性(R1)の臨床的意義は不明であるが,現時点では追加切除を積極的に考慮すべき根拠はない1)8)(エビデンスレベルⅣa)。
表1.外科治療の原則
  1. 切除可能GIST の治療の第一選択は外科的完全切除。
  2. 偽被膜を損傷することなく外科的に安全なマージンを確保,肉眼的断端陰性とする。
  3. 臓器機能温存を考慮した部分切除が推奨される。
  4. 予防的あるいは系統的リンパ節郭清術は不要である。
  5. イマチニブの術前使用にあたっては,病理組織学的にGIST であること,1 カ月前後での早期のイマチニブ有効性の確認が必要である〔アルゴリズム6.GIST の術前治療(臨床試験)〕。

Ⅱ.腹腔鏡下手術

GIST の外科治療において,腹腔鏡下手術は開腹術に比較し,短期成績では同等ないしはそれ以上の手術成績(出血量,手術合併症,入院期間,予後等々)をもつ可能性があると言うretrospective analysis が幾つか存在する9)〜14)(エビデンスレベルⅣa)。GIST や他の消化管SMT に対する腹腔鏡下手術は,腫瘍の大きさ,形態,部位,手術チームにより,腹腔鏡下手術の適応や方法がしばしば異なり,がんの集学的診断治療チームにより適応を検討することが望ましい15)〜17)。腫瘍の部位によっては,術中内視鏡併用が推奨され,切除した腫瘍を摘出する際にはバッグに入れ摘出することが推奨される1)2)16)17) (エビデンスレベルⅣb)。

前向きの無作為比較臨床試験はなく,腹腔鏡下手術が安全で長期的にも腫瘍学的にも開腹術と同等ないしそれ以上かどうかは現時点では確立されていない。

COMMENT

GIST の腫瘍性格を熟知し,腹腔鏡下手術に慣れた医師が行えば,胃ならびに小腸のGIST は安全に腹腔鏡下に切除できると推測される。腹腔鏡補助下手術も手術時間の短縮,安全性,機能温存の面から症例により考慮される(エビデンスレベルⅥ)。注意点として,腫瘍自体を直接鉗子等で把持しないこと,画像上血流が豊富なGIST の場合,被膜が脆弱なGIST の場合,臨床的に悪性度の高いGIST の場合は開腹術を推奨する。


Ⅲ.術後フォローアップ

National Institutes of Health (NIH)のコンセンサス・カンファレンスのリスク分類,Armed Forces Institute of Pathology(AFIP)のリスク分類(Miettinen のリスク分類),Joensuu 等のmodified Fletcher リスク分類(病理診断,表1〜3)は再発リスクを鋭敏に反映する(エビデンスレベルⅣa)。術後フォローは,これらのリスク分類に基づいて行うことが望ましい1)2)アルゴリズム2.外科治療)。高リスクまたはClinically malignant GIST 症例では(アルゴリズム2.外科治療c),適切なフォローアップCT は,最初3 年は4〜6 カ月に1 回,5 年までは6 カ月に1 回,その後10 年までは年に1 回程度とする。中間リスク,低リスクあるいは超低リスクのGIST 症例では,術後5年間は6〜12 カ月毎の,以後,術後10 年まで年1 回程度の腹部CTによるフォローが勧められる(エビデンスレベルⅥ;推奨度C1)。

COMMENT
  1. 術前補助療法については,3 つの第2 相臨床試験が行われている(アルゴリズム6.GIST の術前治療(臨床試験):エビデンスレベルⅢ;推奨度C1)。これまでの結果では,イマチニブによる術前治療,その後の術後治療自体は比較的安全であるとの報告があるが18),治療完了後の再発率増加が報告されている19)。術前補助療法に関連して,術前組織診断,術前イマチニブ治療期間,休薬期間,手術自体の安全性,臓器機能温存率,術後治療の必要性とその期間,予後改善効果等に関しては確立されていない。
  2. 術後補助療法に関しては,幾つか臨床試験結果の報告を認める20)-22)。詳細は内科治療を参照。
  3. 術後のフォローアップに関して,文献的に推奨され信頼すべきデータはない。進行GIST 術後に再発を早期に発見し,イマチニブを早期に投与し,治療を開始することが,これら再発症例の予後を改善するか否かの報告もない。
  4. 現時点で,本ガイドラインで推奨される観察間隔は再発パターンからの推測であり,この期間が再発の早期発見に適切であるかどうかは不明である。
  5. 術後フォローの原則はNIH のコンセンサスカンファレンス等のリスク分類に原則基づくものの,腫瘍破裂・血行性転移・播種病変・他臓器浸潤の所見を一つでも伴うGIST(Clinically malignant GIST:臨床的悪性GIST)(アルゴリズム2.外科治療c)は,高リスクGIST 以上に再発率が高く23),高リスクGIST 同等以上(最初3 年は4 カ月に1 回のCT,5 年までは6 カ月に1回,その後10 年までは年に1 回程度)の綿密なフォローアップが必要と考えられる(エビデンスレベルⅣa)。
  6. フォローアップの手段としては,切除後の再発は腹腔内がほとんどであり,簡便性があり,腹腔内を広く短時間に撮影できるCT が適切と考えられる。GIST での18F-FDG-PET の陽性率は必ずしも100%ではなく,転移や播種の検出率もCT より必ずしも高いわけではなく,PET 単独では有用とは言えない。
  7. PET-CT は,最も感度が高い検査で臨床診断上推薦されるが24),保険適用の問題,コストやavailability,全例がPET 陽性になる訳ではないことから,日常的診療検査手段になっていない。

Ⅳ.再発治療

再発GIST の治療の原則はイマチニブ投与である(アルゴリズム4.再発治療a)。ごく稀であるが,不完全切除に伴う局所だけの再発は再手術の適応であり,外科治療が推奨される事がある(アルゴリズム4.再発治療b:エビデンスレベルⅥ;推奨度C1)。

COMMENT
  1. 単発あるいはごく少数の切除可能肝転移 - 特に,初回手術から2 年以上経過した後の肝転移再発は比較的再切除後の予後が良いため,術後2 年以上経過した完全切除可能な肝転移-の一部は外科切除の適応があるかも知れない。しかし,肝転移再発の切除成績をみると,術後80〜90%以上が再々発しており,外科手術だけでは完全治癒は望めない25)〜27)(エビデンスレベルⅣb)。播種病変に関しても,イマチニブ以前のデータで20 カ月以上の無再発期間がある症例のごく一部(<20%)に予後改善の可能性が認められるが,イマチニブ以上の延命効果があるかどうかは不明であり,このような症例は原則外科手術単独では治癒しない。
  2. 肝転移巣はラジオ波焼灼療法(radiofrequency ablation: RFA)による治療も考慮されるが,ラジオ波焼灼に関する安全性(合併症や腫瘍散布等を含む),予後改善等を示す十分なデータはない(エビデンスレベルⅤ)。転移巣がこれらの処置でイマチニブ以上にコントロールされ予後改善される,という臨床試験に基づく報告はない。
  3. 血行性転移あるいは播種再発を含め転移性再発は全身病と考えられ,治療の原則はイマチニブ投与である。例外的な局所再発を除き,切除可能な転移性再発の外科切除を行った場合には,綿密なフォローとイマチニブの併用が推奨される。

Ⅴ.耐性GIST の外科治療

イマチニブ耐性GIST に対する治療手段は限られている。部分耐性病変に関しては,欧米のガイドラインでは,耐性GIST に対する治療手段が限られている理由から,耐性病変の外科的治療〔外科切除,肝動脈塞栓術(Transcatheter arterial embolization;TAE),RFA〕もオプションとして考慮されている(エビデンスレベルⅤ)。しかし,現時点でその安全性・有効性を示す報告はない。本治療法も専門病院での研究レベルの治療である。

COMMENT
  1. イマチニブ耐性GIST の治療は,①スニチニブへの切り替え28)(エビデンスレベルⅡ),②イマチニブ増量29)30)(エビデンスレベルⅢ),③切除可能な部分耐性GIST に対しては外科切除が考慮される(エビデンスレベルⅣa)。わが国では現時点で,イマチニブ増量は保険適用ではないが,スニチニブは2008 年6 月13 日より本邦使用が可能となった(内科治療参照)。イマチニブ耐性は出現様式から,部分耐性(後にすべて全身耐性となると考えられるが,耐性の初期にごく一部(1〜2 個)の病変のみがイマチニブ抵抗性を獲得した状態)と全身耐性(数個〜多数のイマチニブ治療病変がほぼ同時にイマチニブ耐性を獲得した状態)に分けて考えたほうが臨床的に治療方針を決定するうえで有用であろう。
  2. 全身耐性に対しては,原則,外科的適応はない。イマチニブ使用以前のデータから27)(エビデンスレベルⅣb),耐性病変が肝転移のみの場合のTAE は,病勢コントロール上有用である可能性がある。ただし,イマチニブ耐性肝転移GIST に対するTAE の安全性と有効性は確認されていない。

Ⅵ.臨床試験段階の治療

局所進行GIST 症例〔アルゴリズム6.術前治療(臨床試験)a〕で,併存症や(拡大)手術により相当な確率で術後合併症が予想される切除可能局所進行GIST 症例に対するイマチニブの術前補助療法は低いレベルではあるが安全性と治療効果に関する報告がある〔エビデンスレベルⅢ;推奨度:C1。内科治療参照〕18)19)。術前治療及び術前治療後の術後補助療法の忍容性に関しては,許容範囲内と報告されている20)〜22)。切除可能局所進行GIST,あるいは機能や臓器温存目的の食道,十二指腸,直腸GIST に対するイマチニブによる術前療法の有用性は十分には確認されていない〔アルゴリズム6.術前治療(臨床試験)c〕。しかし術前イマチニブ投与により,CR などで腫瘍が存在診断不能なレベルまで縮小した場合はイマチニブ投与によるフォローアップでよいと考えられる〔アルゴリズム6.術前治療(臨床試験)d;エビデンスレベルⅥ〕。術前治療を考慮する場合,早期(1 月以内)のイマチニブ治療効果判断が必要である。イマチニブの効果は,CT における造影効果消失,MRI における腫瘍血流の低下ないし消失,18F-FDG-PETでの18F-FDG の取り込み低下ないし消失により判定する〔アルゴリズム6.術前治療(臨床試験)e;エビデンスレベルⅣb〕。イマチニブによりPR ないしSD の効果が得られ術前切除不能病変が外科切除可能となった場合,局所進行GIST 症例が安全に手術できるようになった場合には,完全切除目的の外科切除は,本来切除可能原発GIST の治療の第一選択は外科切除であり,イマチニブ単独では,GIST は完治しないこと,ほかに有効な治療法がないことを考えあわせると,現時点では安全に行えるなら行ってもよい,と考える〔アルゴリズム6.術前治療(臨床試験)f;エビデンスレベルⅥ〕。術前イマチニブ+外科手術で完全切除を行えた場合でも,このような進行GIST の再発率は高く,術後補助療法としてのイマチニブ投与は外科的完全切除後も継続すべきであろう。術前術後のイマチニブ投与量は標準治療量の400mg/日が推奨される。

局所進行GIST に対するイマチニブの術前投与に関する有効性に関しては高いエビデンスはなく,研究段階で,肉腫チームを持つ専門病院での臨床試験レベルの治療であり,一般臨床での安易な使用は勧められない。

COMMENT
  1. イマチニブ術前治療の対象となる可能性のあるGIST は,腫瘍の局所進行あるいは術前併存症に伴いかろうじて切除が可能なGIST,ないし,直接手術を行った場合かなりの確率で合併症を起こすと予想されるGIST である。
  2. イマチニブ術前治療ではベースラインCT(±18F-FDG-PET)を実施し,早期に(4 週以内)イマチニブの有効性を判定すべきである[エビデンスレベルⅤ;推奨度C1]。
  3. 術前補助療法については,既に報告された臨床研究18)19)や現在進行中の臨床試験の結果を参考にすべきで,本治療はまだ専門病院での臨床試験レベルの治療である。イマチニブがこれら局所進行GIST に対して治療効果をもてば,血流低下,腫瘍縮小,切除率の向上,さらに縮小手術や臓器(機能)温存が期待されるが,術前補助療法の有効性と安全性に関しては現在進行中の臨床試験の結果も参考にしなければならない。イマチニブの術前補助療法にあたっては,事前に病理組織学的にGIST であることを確認する必要がある。また,イマチニブの術前補助療法の際には,治療開始後1 カ月以内の早期に,イマチニブ有効性を判定することが重要である。この早期の有効性判定には,18F-FDG-PET(PET-CT)が最も有用であり(但し,効果判定には保険適用外なので注意を要す。画像診断参照),functional MRI での血流低下や造影CT での低吸収化も有用である。
  4. 術後補助療法と術前補助療法以外に,イマチニブ治療下での外科治療にはエビデンスは無く,一般病院での治療としては勧められない(エビデンスレベルⅣa以下;推奨度:C2)。イマチニブ治療中の外科治療介入としては,①切除不能進行GIST 症例で切除不能病巣がイマチニブで制御され切除可能となった場合(コメント5),②減量手術(Debulking Surgery), 或いは,救済手術(Salvage Surgery)(コメント7),③GIST ならびにイマチニブによる合併症に対する外科治療(コメント8),④耐性GIST の外科的治療,が報告されている。いずれも,その治療の効果や安全性に関しては未確認で,研究段階あるいは臨床試験レベルの治療で,一般臨床では勧められない。
    イマチニブによりPR ないしSD の効果が得られ,術前病変が外科切除可能となった場合の二次耐性出現予防目的の手術に関しては,retrospective study で,残存腫瘍の完全切除が行われた場合には,二次耐性の出現が抑制される可能性が報告されている31〜35) (エビデンスレベルⅣa)。しかし,患者選択によるバイアス等の可能性もあり,確立した治療ではない。進行GIST,転移GIST あるいは再発GIST は外科治療単独でも,イマチニブ治療単独でも完治を望むことは難しい。これらに対してイマチニブと外科治療を併用した集学的治療が考えられるが,専門病院での臨床研究レベルの治療で,この治療法の適応,安全性そして有効性は確認されていない。
  5. 切除不能進行GIST 症例で切除不能病巣がイマチニブで制御され切除可能となった場合に,イマチニブ中に外科手術という治療手段が推奨されるかどうかは不明である。少数例のretrospective study の検討では,イマチニブに反応後の手術の安全性は認められており,無再発生存期間(RFS)の延長が認められている2)31)〜34)(エビデンスレベルⅣa)。イマチニブ反応後の手術時期は,イマチニブが最大の効果を示した時点が望ましいと考えられている。但し,本治療は,専門病院で経験を積んだ肉腫の集学的診断治療チームによってなされるべき臨床研究レベルの医療であり,患者には治療前に,期待される効果とリスク,そして代替えとなりうる治療案を示し,臨床試験レベルの医療であることを十分に説明したうえで行われるべきである。
  6. イマチニブ治療中に部分耐性になった病巣に対し外科切除を行ったと言うretrospective study の結果が報告されている32)〜36)(エビデンスレベルⅣa)。NCCN やESMO のガイドラインでも,部分耐性GIST に対する外科治療をオプション治療として提示している1)2)。但しこの様な報告では,患者選択によるバイアスの可能性もあり,その安全性や有効性は確立していない。本治療は専門チームによる臨床研究レベルの医療で,患者には治療前に十分に説明のうえ,経験を積んだがんの集学的診断治療チームによってなされるべきである。スニチニブ治療中の部分耐性病変に対する外科治療も,同様に考えるべきである37)。イマチニブ治療中の肝転移巣やイマチニブ治療中に部分耐性になった肝転移巣が,RFA の対象となる場合もあるが,RFA に関する安全性(合併症や腫瘍散布等を含む),予後改善等を示すデータはない(エビデンスレベルⅤ)。また,肝転移巣やイマチニブ治療中に部分耐性になった肝転移巣に選択的 TAE が行われることがあるが,本治療に関してもその有効性は確認されていない(エビデンスレベルⅤ)。骨転移に対し放射線治療が除痛に有効とする意見もあるが,現在臨床試験中で,その効果や安全性は不明である(エビデンスレベルⅤ)。
  7. イマチニブ治療中の減量手術に関する有効性や安全性は確認されていない。耐性病変の出現は,イマチニブ治療対象となっている腫瘍残存量に比例すること21),ランダマイズされていないretrospective study では,イマチニブ奏効後の外科切除が無再発進行期間(progression-free survival:PFS)を延長し,耐性獲得時期の遅延を促すことを示す報告21)22)もあり,耐性獲得時期の延長を目指す減量手術の可能性を考える向きがある。しかし,一方で,不完全切除ではPFS の延長が見られないという報告もある。いずれにしても,一般病院でのこのような治療は勧められない(エビデンスレベルⅤ;推奨度C2)。
  8. GIST ならびにイマチニブによる合併症に対する外科的治療のごく少数例の症例報告がある(エビデンスレベルⅤ)。イマチニブ投与中に腫瘍出血,消化管出血,消化管穿孔,腫瘍によるイレウス等が起こることがあるが,これらが事前に予想された場合,あるいは発生した後,同部に対し安全に外科治療(手術や出血に対するTAE 等)を行い,これら合併症に伴う重篤な状態や死亡を回避できる可能性はあるかもしれない。このようにGIST 進行に伴う合併症により生命予後が危機に曝されたり,イマチニブの内服ができず腫瘍の進行を招くと考えられる場合は,合併症に対する外科的治療を考慮する(エビデンスレベルⅤ,推奨度C1)。

Q and A
Q1.2cm 未満の胃粘膜下腫瘍は経過観察にしてよいか。

2cm 未満で無症状,臨床的悪性所見(−)の胃粘膜下腫瘍は経過観察にしてよい。
<推奨度:グレードC1

2cm 未満で,無症状かつ生検陰性で,悪性所見がない胃粘膜下腫瘍は,経過観察にしてよい(エビデンスレベルⅤ)。

Q2.2cm 未満の胃粘膜下腫瘍の経過観察期間と方法はどのようにすべきか。

経過観察期間は年1〜2 回の内視鏡検査±超音波内視鏡検査とする。
<推奨度:グレードC1

NCCN のガイドラインでは超音波内視鏡での定期的フォローを勧めている(エビデンスレベルⅥ)。

Q3.2cm 以上,5cm 以下の胃粘膜下腫瘍は切除すべきか。

臨床症状のある場合と臨床的悪性所見のある場合は外科切除すべきである。
<推奨度:グレードC1

診断的治療である腹腔鏡下手術による相対的手術適応が考慮されるが,CT, EUS, FNAB により悪性所見が認められない場合はフォローアップも可能である(エビデンスレベルⅤ)。FNABで他の粘膜下腫瘍と診断された場合は当該腫瘍のガイドラインに従う。FNAB でGIST と診断された場合は手術適応である(エビデンスレベルⅥ)。

Q4.2cm 以上,5cm 以下の胃粘膜下腫瘍切除における腹腔鏡(補助)下手術は適応か。

2〜5cm の胃粘膜下腫瘍は,慣れた外科医が行えば腹腔鏡(補助)下手術は適応である。
<推奨度:グレードC1

GIST の腫瘍性格を熟知し,腫瘍発生部位を考慮,腹腔鏡下手術に慣れた医師が行えば,5cm 以下の胃ならびに小腸のGIST は安全に切除できる。腹腔鏡補助下手術も手術時間の短縮,安全性の面から症例により考慮される(エビデンスレベルⅣa)。注意点として,腫瘍自体を直接鉗子等で把持しないこと,画像上血流が豊富なGIST の場合,偽被膜が脆弱なGIST の場合,臨床的に悪性度の高いGIST の場合は,5cm 以下でも開腹術を推奨する。

Q5.5.1cm 以上の胃粘膜下腫瘍は切除すべきか。

切除すべきである。
<推奨度:グレードC1

5.1cm 以上の胃粘膜下腫瘍は,GIST ないし悪性胃粘膜下腫瘍の可能性が高いので切除すべきである(エビデンスレベルⅥ)。

Q6.5.1cm 以上の胃粘膜下腫瘍切除における腹腔鏡(補助)下手術は適応か。

5.1cm 以上の胃粘膜下腫瘍切除に対し,腹腔鏡(補助)下手術の適応は,専門病院のがんの集学的診断治療チームにより個々に決定されるべきである。
<推奨度:グレードC2

5.1cm 以上の胃粘膜下腫瘍切除では腹腔鏡下に機能温存手術を計った場合,偽被膜損傷をきたす可能性が高く,臨床的にも悪性度の高い腫瘍の可能性が高い。腹腔鏡(補助)下手術を積極的に勧める根拠は乏しく,その適応はがんの集学的診断治療チームにより,腫瘍の部位,壁在性,悪性度,チームの経験に基づき個々に決定されるべきであろう(エビデンスレベルⅤ)。腹腔鏡(補助)下手術を行う場合は,事前に患者に十分なIC が必要である。

Q7.GIST に対する胃切除術(全摘,幽門側切除,噴門側切除)は必要か。

部分切除で不十分の場合,幽門側切除,噴門側切除または全摘を行う。
<推奨度:グレードC1

局所切除により著しい胃変形が予測される場合,局所切除により断端陽性のリスクがある場合,噴門・幽門に近接して通過障害が予測される場合は,胃切除術(全摘,幽門側切除,噴門側切除)の適応となる(エビデンスレベルⅥ)。

Q8.GIST に対する系統的リンパ節郭清は有効か。

系統的リンパ節郭清の臨床的意義は確認されていない。
<推奨度:グレードC2

GIST のリンパ節転移は稀であり,予後因子でもなく,リンパ節郭清においても,系統的リンパ節郭清の臨床的意義は認められておらず,リンパ節の郭清は転移を疑うリンパ節のpick-up 郭清で十分と考えられる4)(エビデンスレベルⅥ)。

Q9.高度局所進行GIST の姑息切除は有効か。

姑息切除の臨床的意義は認められていない。
<推奨度:グレードC2

高度局所進行GIST の姑息切除が有効であるとのエビデンスはない(エビデンスレベルⅣa)。

Q10.GIST の肝転移巣切除は有効か。

外科切除のみでは根治は望めない。
<推奨度:グレードC2

単発あるいはごく少数の切除可能肝転移 - 特に,初回手術から2 年以上経過した後の肝転移再発-の一部は外科切除の適応があるかもしれない。しかし,イマチニブ登場以前の肝転移の切除成績をみると,術後80〜90%以上が再々発しており,外科手術だけでは完治は望めない25)26) (エビデンスレベルⅣa)。逆に,イマチニブ単独治療でも完治は望めず,切除可能な肝転移の予後改善には,外科切除とイマチニブ治療を組み合わせる必要がある可能性がある1)2)27)-32)(エビデンスレベルⅣa)。

Q11.播種病変を伴う初発GIST の外科治療は有効か。

外科手術単独では有効とはいえない。
<推奨度:グレードC2

播種病変に関しては,イマチニブ以前のデータで20 カ月以上の無再発期間がある症例のごく一部(<20%)に予後改善の可能性が認められるが,イマチニブ以上の延命効果があるかどうかは不明であり,このような症例では原則外科手術単独治療は有効とはいえない27)(エビデンスレベルⅣb)。

Q12.GIST の肝転移巣に対するRFA は有効か。

RFA による安全性,有効性は確認されていない。
<推奨度:グレードC2

肝転移巣はRFA による治療も考慮されるが,RFA に関する安全性(合併症や腫瘍散布等を含む),予後改善等を示すデータはない(エビデンスレベルⅤ)。転移巣がRFA によりイマチニブ以上にコントロールされ予後改善される,という報告はない。

Q13.肝転移以外の遠隔転移を有するGIST の姑息切除は有効か。

遠隔転移を有するGIST に対する姑息切除は有効ではない。
<推奨度:グレードC2

血行性転移あるいは播種再発を含めGIST の転移性再発は全身病と考えられ,一部の腫瘍を取り除いても完治はなく,予後改善を示す臨床的根拠はない。このようなGIST の治療の原則はイマチニブ投与が第一選択である1)2)(エビデンスレベルⅣb)。

Q14.GIST 切除においては切除断端を確保すべきか。

少なくとも肉眼的断端陰性は確保すべきである。
<推奨度:グレードC1

切除断端が陽性であることが生存期間を損なう,ということは完全には証明されていないが,局所再発や腹膜再発のリスクとなり得る。従って,肉眼的断端陰性は確保すべきである。腫瘍内,病巣内で切除され肉眼的断端陽性で,完全切除可能な転移や播種のない症例については追加切除を考慮すべきである。GIST の手術においては,肉眼的断端陰性かつ組織学的断端陰性が望ましい1)2)。肉眼的断端陰性かつ組織学的断端陽性の臨床的意義は不明であるが,retrospective studyでは組織学的断端陽性とその間に全生存で差はなく追加切除を積極的に考慮すべき根拠はない1)8)(エビデンスレベルⅣb)。

Q15.GIST 根治手術後のフォローアップの間隔・検査方法はどのようにすべきか。

リスク分類に応じた頻度で,CT フォローが望ましい。
<推奨度:グレードC1

NIH のコンセンサスカンファレンスのリスク分類,Armed Forces Institute of Pathology (AFIP) のリスク分類(Miettinen のリスク分類),Joensuu 等のmodified Fletcher リスク分類(病理診断,表1〜3)は再発リスクを鋭敏に反映するため,術後フォローは,これらのリスク分類に基づいて行うことが望ましい1)2)病理診断参照)。高リスク,またはClinically Malignant のGIST 症例では,適切なフォローアップは腹部CT で行い,その間隔は,最初3 年は4〜6 カ月に1 回,5 年までは6 カ月に1回,その後10 年までは年に1 回程度とする。中リスク,低リスクあるいは超低リスクのGIST 症例では,術後5年間は6〜12 カ月毎の,以後,術後10 年目まで年1 回程度の腹部CT によるフォローが勧められる(エビデンスレベルⅥ;推奨度C1)。イマチニブによる術後補助化学療法の有用性に関しては内科治療の項を参照のこと20)21)22)

Q16.再発GIST に対する外科治療はどのような症例に適応があるか。

局所再発のみのGIST と一部の切除可能肝転移に適応がある可能性はあるが,原則,再発GIST の治療として外科切除は勧められない。
<推奨度:グレードC2

局所再発のみのGIST は手術適応と考えられる。血行性転移あるいは播種再発を含めGIST の転移性再発は全身病と考えられる。単発または数個までの切除可能肝転移 - 特に,初回手術から2 年以上経過した後の肝転移再発-の一部は外科切除の適応があるかも知れない(エビデンスレベルⅣb)。イマチニブ使用以前のデータでは肝転移再発の切除後80〜90%以上が再々発しており,外科手術だけでは完治は望めず25)〜27),歴史的比較ではあるが,肝転移に対する単独外科切除はイマチニブ治療以上の成績を示していない。ただし,再発転移GIST はイマチニブ単独治療でも完治は望めない。切除可能な肝転移に対しては,外科切除とイマチニブ治療を組み合わせる必要があるかも知れない1)2)31)〜39)

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内 科 治 療

Ⅰ.切除不能・転移性GIST

薬物治療の原則
  1. 初診時に転移を有していたり,局所進行のため切除不能である場合,あるいは切除後に転移・再発をきたした場合には,内科的治療が第一に選択される。
  2. 転移部位は肝,腹膜が多く,そのほかに皮下,肺,骨などにも認められる1)
  3. 免疫染色によりKIT 陽性が確認された場合には,イマチニブ400mg/日の内服が標準治療である。朝1 回の内服を可能な限り継続する。NCI-CTCAE でGrade 3 以上の重篤な副作用が確認された場合には休薬・減量,または中止を行い,明らかな腫瘍増大の場合には中止する2)
  4. イマチニブ以前の治療成績と比較して,明らかな生存期間の延長が示されており,イマチニブ治療の選択が強く勧められる3)
  5. イマチニブの添付文書は医薬品医療機器総合機構のホームページで閲覧可能である。
    http://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/
COMMENT
  1. 転移巣が切除可能であっても転移性GIST は全身病と考えられるため,治療の原則はイマチニブである。治療効果を向上させるために,イマチニブの効果がある時に外科治療を加えることは,有効な選択肢になるかもしれない。しかし,外科治療の介入で予後が改善することを示す十分なデータは存在しておらず,現時点では研究段階の治療である。(外科治療Ⅴを参照)
  2. イマチニブ内服中の効果判定はCT を用いて1 カ月以降に評価し,以後3カ月毎に判定を行うことが勧められる(アルゴリズム3.内科治療b)。18F-FDG-PET はCT より早期に効果を反映するといわれているが,国内では検査実施施設が限られていたり,検査費用の点で使用が限られている。一般臨床ではCT での効果判定で大きな問題はないが,造影剤の禁忌例やCT で判定困難な場合の補助診断として18F-FDG-PET が考慮される。18F-FDG-PET は治療効果判定に保険適用はないことに注意を要する(画像診断を参照)。
  3. CT による効果判定は,通常のがんと異なり,嚢胞性変化,腫瘍内腫瘤影や腫瘍壁厚の変化を考慮して判定する必要がある。また,治療後に小病変のCT 値が低下することにより病変が顕在化する場合があるが,新病変かどうかは慎重に判断する必要がある(画像診断参照)。
  4. 忍容性により,イマチニブの減量が必要な場合には300mg/日まで可能である。
  5. CR,PR の効果が確認された場合でも,イマチニブは継続投与を行うことが推奨される。投与中止により増大することが報告されている4)
  6. 奏効例に対する転移巣の外科的切除に関しては,十分なデータは得られておらず,研究段階の治療である。
  7. イマチニブ耐性例に対する,イマチニブ増量に関する臨床試験として,EORTC によるB2223 試験(n=133)5)およびSWOG によるB2224 試験(n=77)6)の成績が報告されている。標準投与量(400r/日)抵抗例に対して800mg/日への増量でPR ないしはSD を得たケースが,それぞれ32.8%,39%あったと報告されている。米国FDA では800mg/日までの増量が承認されているが,わが国のイマチニブの承認用量は400mg/日であり,増量は保険適用外となる。
  8. 遺伝子変異とイマチニブの効果に相関が報告5)されているが,患者選択に遺伝子変異を考慮すべきとする十分なデータはない。遺伝子解析の結果からイマチニブの治療効果が高くないと予想されても,一次治療としてイマチニブ投与が推奨される。
  9. イマチニブ400mg(10,996 円)/日 4 週間投与における3 割負担の患者負担額は92,366 円であり,高額療養費制度の対象となる。

Ⅱ.イマチニブ耐性GIST

薬物療法の原則
  1. イマチニブ耐性例に対してスニチニブ投与が推奨される。2008 年6 月13 日からイマチニブ耐性GIST に対するスニチニブの使用が可能となった。本剤の標準投与量は50mg/日の4 週間投与2 週間休薬である7)。原則としてNCI-CTCAE でGrade 3 以上の副作用が出現した場合は37.5mg/日へ減量し,副作用のコントロールが不良であればさらに25mg/日へ減量する。しかし,25mg/日未満への減量は有効性が期待できないため行わない。
  2. スニチニブ投与中に画像診断で明らかな増大あるいは副作用によりスニチニブの投与ができなくなった場合,速やかに投与を中止し必要に応じて対症療法を中心とした緩和ケアを実施する。PS 低下や高度の有害事象を伴わず全身状態が維持されている場合には,レゴラフェニブの投与を検討する。全身状態が十分維持されていない場合には,BSC あるいはイマチニブの再投与を考慮する。
  3. スニチニブの添付文書は医薬品医療機器総合機構のホームページで閲覧できる。
    http://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/
COMMENT
  1. イマチニブ耐性GIST に対するスニチニブのプラセボ対照第Ⅲ相ランダム化二重盲検臨床試験では,無増悪生存期間はスニチニブ投与群がプラセボ群より良好(無増悪期間の中央値:スニチニブ群27.3 週,プラセボ群6.4 週,HR:0.33,two- sided p<0.0001)で,忍容性もあることからスニチニブがイマチニブ耐性GIST の標準治療となった。対象患者はECOG performance status(PS)が0 または1 の症例であり,PS2 以上の患者に対する有効性や安全性は明らかになっていない7)
  2. イマチニブ耐性GIST の治療の原則はスニチニブである。増悪病変が限られているイマチニブ耐性GIST に対して,手術,RFA,TAEといった局所療法を行うことで一定期間の疾患コントロールを得たという報告はあるものの,予後を改善させるという十分なデータは存在しない。しかし、現在,イマチニブ耐性GIST に有効な薬剤が限られていることから,治療後も薬物治療を継続することを前提として,外科切除,RFA,TAE といった局所療法も増悪病変が限られているイマチニブ耐性GIST に対しては選択される場合がある。(外科治療を参照)
  3. スニチニブ内服中の効果判定はCT を用いて定期的に行うことが勧められる。18F-FDG-PET は,造影剤の禁忌例やCT で耐性の判定が困難な場合の補助診断や肺,骨・軟部組織など全身への転移の検索として考慮されるが,18F-FDG-PET による治療効果判定は保険適用外である。
  4. スニチニブはマルチキナーゼ阻害剤であるため,手足皮膚反応,高血圧,倦怠感,甲状腺機能低下,タンパク尿や骨髄抑制など多彩な副作用が起こりうる。投与コースにより出現する副作用の種類やグレードが異なるため,50mg/日から25mg/日までの間で各コースの投与量を調節して長期の腫瘍コントロールを目指す。投与や休薬の期間は4 週間投与,2 週間休薬を原則とするが,薬剤強度を高く保つことを意識しながら投与量,投薬期間および休薬期間を調整する8)
  5. イマチニブ耐性GIST に対するスニチニブ37.5r の連続投与の第Ⅱ相試験が報告されている9)。臨床的有効率(CBR)は53%,無増悪生存期間および全生存期間の中央値はそれぞれ34 週と107 週であった。標準用法・用量の間欠投与と大きな差がない有害事象であった。イマチニブ耐性GIST の初回用量を37.5mg に減量して予定の休薬を入れない投与法は,標準的な間欠投与と同等の治療効果が得られる可能性はあるが,十分なデータの集積がされておらず推奨できない。
  6. スニチニブ耐性症例についてはレゴラフェニブ投与が推奨される。全身状態が不良な場合はBSC を考慮するが,投与による臨床的利益が見込まれる場合はイマチニブの再投与も検討する。
  7. スニチニブ50mg(28,647.2 円)/日 4週間投与における3割負担の患者負担額は240,636 円(薬剤費のみ2012 年9 月現在)であり,高額療養費制度の対象となる。

Ⅲ.スニチニブ耐性GIST

薬物療法の原則
  1. スニチニブ耐性例に対しては,レゴラフェニブの投与が推奨される。2013 年8 月20 日からスニチニブ耐性GIST に対するレゴラフェニブの使用が可能となった。本剤の標準投与量は160r/日であり,3 週間投与し,1 週間休薬する10)。Grade 3 以上の副作用が出現した場合は、適宜80r/日までを下限とする減量や休薬を行う。
  2. 投与コースにより出現する副作用の種類やグレードが異なるため,各コースで投与量を調節し長期の腫瘍コントロールを目指す。投与と休薬の期間は3週間投与,1 週間休薬を原則とするが,薬剤強度を高く保てるように投与量および投薬期間を調整する。
  3. レゴラフェニブ投与中に画像診断上で明らかな増大あるいは副作用によりレゴラフェニブの投与ができなくなった場合、速やかに投与を中止し対症療法を中心とした緩和ケアを実施する。PS 低下や高度の有害事象を伴わず全身状態が維持されている場合には,新薬治験やイマチニブまたはスニチニブの再投与も選択可能な場合がある。
    レゴラフェニブの添付文書は医薬品医療機器総合機構のホームページで閲覧できる。
    http://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/
COMMENT
  1. 少なくともイマチニブとスニチニブに耐性または不忍容を示す転移性あるいは切除不能GIST に対するレゴラフェニブのプラセボ対照第Ⅲ相ランダム化二重盲検臨床試験では,無増悪生存期間はレゴラフェニブ投与群がプラセボ群より良好(無増悪期間の中央値:レゴラフェニブ群4.8 ヶ月,プラセボ群0.9 ヶ月,HR:0.27,one- sided p<0.0001)であった。Grade3 以上でレゴラフェニブ群に多くみられた有害事象は、高血圧、手足皮膚反応、下痢であり、用量調節により対処が可能であることからレゴラフェニブがスニチニブ耐性GIST の標準治療となった。対象患者はECOG performance status(PS)が0 または1 の症例であり,PS2 以上の患者に対する有効性や安全性は明らかになっていない10)。スニチニブ未投与例に対する有効性は確立されていないため、イマチニブおよびスニチニブに耐性あるいは不忍容の患者に投与すべきである。
  2. レゴラフェニブは重篤な肝障害の報告があり、投与開始から8 週間(2 コースまで)は肝障害発現の可能性が高くなるため1 回/週の肝機能検査が必要である。その他の副作用は頻度や程度の差はあるもののスニチニブで経験される手足皮膚反応,高血圧,倦怠感,タンパク尿や骨髄抑制などが多く認められる。レゴラフェニブはイマチニブおよびスニチニブと異なり、食事により薬物血中濃度が影響されるため、高脂肪食後および空腹での服用は避ける。
  3. レゴラフェニブ投与中の効果判定はCT を用いて定期的に行うことが勧められる。病期が進行していることが多いため、転移の頻度が高い肝臓、腹膜以外の肺,骨・軟部組織など全身への転移が生じる可能性がある。自覚症状がなくともCT の条件を調整して骨、肺などへの転移を見落とさないように注意が必要である。
  4. レゴラフェニブ耐性症例については新規薬剤の治験への参加ないしBSC を検討する。臨床的な利益があると考えられれば,レゴラフェニブ継続またはイマチニブあるいはスニチニブ再開も選択肢であるが,臨床的な有用性は明らかではない。
  5. レゴラフェニブ160mg(21,697.2 円)/日 3 週間投与における3 割負担の患者負担額は136,692.36 円(薬剤費のみ2013 年9 月現在)であり,高額療養費制度の対象となる。

Ⅳ.術後補助化学療法

薬物療法の原則
  1. 完全切除されたGIST の中でFletcher 分類の高リスク群(腫瘍径が10cm を越える,強拡大50 視野での核分裂像数が10 を越える,腫瘍径が5cm を超えかつ強拡大50 視野での核分裂像数が5 を越える:病理診断,表1参照)あるいは腫瘍破裂を認める症例に対して,3 年間のイマチニブ治療が勧められる10)11)
  2. イマチニブ内服中にNCI-CTCAE でGrade 3 以上の副作用が確認された場合は,休薬・減量,または中止する。
  3. イマチニブ内服中の経過観察は,イマチニブにより再発リスクが低下することと「アルゴリズム2.外科治療の高リスク群の術後経過観察は4〜6 カ月毎」から6 カ月毎のCT 検査が勧められる。18F-FDG-PET はCT で判定困難な場合の補助診断として有用であるが,10〜20%に18F-FDG-PET 陰性のGIST が存在するため偽陰性となる可能性があることを考慮する必要がある(画像診断を参照)。
  4. イマチニブ内服中に転移・再発を認めた場合には,スニチニブに変更する。イマチニブ内服が終了した後に転移・再発を認めた場合には,原則イマチニブを再投与し1 カ月以降できるだけ早い時期に評価のCT 検査を行うことが勧められる。イマチニブの効果判定を行い,無効であればスニチニブ治療に変更する。
COMMENT
  1. プラセボ対照第Ⅲ相ランダム化二重盲検臨床試験では,3cm 以上KIT 陽性の完全切除GIST 症例を対象に1 年間のイマチニブ400mg/日が投与され,安全性が確認された。無再発生存期間(recurrence-free survival;RFS)はイマチニブ投与群が非投与群より良好であった(1 年RFS:イマチニブ群98%,プラセボ群83%,HR:0.35,one- sided p<0.0001)。ただし,有効中止となった後にプラセボ群の患者が補助化学療法としてイマチニブを内服したため,全生存期間の改善の有無は確認で出来ていない12)。国内においては,本試験成績を根拠に,2009 年7 月イマチニブの添付文書の【効能または効果】<効能又は効果に関連する使用上の注意>から“消化管間質腫瘍に対する術前及び術後補助療法における本剤の有効性及び安全性は確立していない”という文言は削除され,一般臨床での使用が可能となっている。日本人でも同様な結果が第二相臨床試験で報告されている13)
  2. Fletcher 分類の高リスク群あるいは腫瘍破裂を認める術後GIST 症例に対して,術後イマチニブ治療一年間と三年間を比較した第Ⅲ相ランダム化臨床試験が報告されている11)。三年間の補助療法の安全性が確認され,RFS は三年間治療群が一年間治療群より良好で,全生存(Overall survival: OS)も,経過観察期間が短いものの三年間治療群で良好であった。この結果より高リスク群あるいは腫瘍破裂を認める術後GIST 症例に対する補助化学療法の推奨期間は3 年である(アルゴリズム2.(1)外科治療:エビデンスレベルⅡ;推奨度B)。
  3. 補助化学療法の対象に関して,プラセボ対照試験では3cm 以上の症例に対するRFS の延長が示されたが,層別化解析では腫瘍サイズ(3〜6cm,6〜10cm,10cm 以上)で補助化学療法の有用性が異なることが示唆されている。Fletcher 分類の高リスク群以外の症例に対する術後補助化学療法に関しては,Joensuu のリスク分類やコントゥールマップ14)を参考にして症例毎のリスクを評価し,補助化学療法の適応を判断する必要がある(病理診断参照)。転移・再発GIST において,遺伝子変異とイマチニブの効果に相関が報告5)されているが,現時点で患者選択に遺伝子変異を考慮すべき十分なデータはない。但し,PDGFRA 変異例の後方視的検討からPDGFRA exon 18 D842V 変異を持つGIST に対するイマチニブの抑制効果は低いと考えられる15)
  4. 治療期間に関して,Fletcher 分類の高リスク群あるいは腫瘍破裂に対しては3 年間,3cm 以上のGIST に対しては1 年間のイマチニブ治療の安全性と有効性について報告されている11, 12)。補助化学療法終了後1〜2 年間で再発率の上昇が見られること,高リスクよりも腫瘍破裂において再発リスクが高いと報告されていること14, 16)から,再発リスクの高い症例に対して3 年を越えるイマチニブ治療の有効性が期待されるが,推奨する積極的なエビデンスはない。投与期間については,悪性度や安全性などを考慮しつつ症例毎に判断する必要がある。
  5. 補助化学療法患者に対する適正な経過観察期間に関する報告はない。補助化学療法行わない中リスクおよび高リスク患者に対する術後の経過観察期間について最初の3 年は4-6 カ月に1 回,3 年から5 年は6 カ月に1 回,5 年から10 年は1 年に1 回を推奨していた(外科治療を参照)。再発リスクが補助化学療法中は低くなり,補助化学療法終了後に高くなることから,補助化学療法中は6 カ月に1 回,補助化学療法終了後2 年間は4-6 カ月に1 回,その後は1 年に1 回の経過観察が推奨される。

Q and A
Q1.イマチニブの効果予測にKIT 染色は有効か。

KIT 陽性GIST 患者でイマチニブの奏効が確認されている。
<推奨度:グレードA

emetri らの報告2)では,進行性GIST 患者(KIT 陽性)147 例を無作為にイマチニブ400mg/日群と600mg/日群に割り付け臨床効果が検討された。奏効率はPR:79 例(54%),SD:41 例(28%),PD:20 例(14%),NE:7 例(5%)。奏効までの期間は13 週,奏効期間は46 週以上継続した。1 年生存率は88%であり,生存期間の中央値は到達していない。軽度から中等度の浮腫,下痢,倦怠感が認められたが耐容可能であった。消化管出血または腹腔内出血が約5%の症例で認められた。投与量間で毒性および有効性に有意な差は認められなかった。400mg 群(n=73)ではPR:36 例(49%),SD:23 例(32%),PD:12 例(16%),NE:2 例(3%)。600mg 群(n=74 例)ではPR:43 例(58%),SD:18 例(24%),PD:8 例(11%),NE:5 例(7%)。

EORTC-ISG-AGITG からの報告では,946 例のKIT 陽性GIST 患者で400mg と800mg の2 投与量で比較検討されたが,奏効率はCR:5%,PR:45%,SD:32%(400mg 群),CR:6%,PR:48%,SD:32%(800mg 群)で,ともに80%以上の臨床効果を示した。無再発生存期間では800mg が優れる成績であったが,生存期間では差を認めなかった。1 年生存率,2 年生存率はそれぞれ,85%,69%(400mg),86%,74%(800mg)と報告されている3)

以上より,イマチニブの臨床効果はKIT 陽性GIST で確認されており,治療法選択の上でもKIT 染色は必須である。

Q2.イマチニブの効果予測にc-kit の遺伝子解析は有効か。。

イマチニブに対する奏効率とc-kit およびPDGFRA 遺伝子の変異には相関がある。イマチニブ治療に対する効果予測に変異解析は有用である。
<推奨度:グレードB

B2222 試験(イマチニブ第Ⅱ相試験)での127 例のGIST 患者のc-kit の解析では,Exon 11 変異例(n=85)で奏効率83.5%,Exon 9 変異例(n=23)で47.8%(p=0.0006),c-kit やPDGFRA 遺伝子の変異のない例(n=9)では奏効率0%(p<0.0001)と報告されている17)。他のグループと比較してc-kit exon 11 変異例では高い奏効率と治療成功期間,生存期間の延長が示されている。このように,切除組織の遺伝子解析により効果予測が可能な場合や,治療抵抗時の薬剤選択に参考となる情報も得られることがある。可能な範囲で検討することが望ましい1819)。また,GIST がイマチニブ抵抗性を獲得した場合,同じc-kit 或いはPDGFRA 遺伝子のキナーゼ領域に二次遺伝子変異を伴う場合が多く,この二次遺伝子変異の部位とスニチニブの有効性が関連すると報告されている2021)

免疫組織学的診断でKIT(CD117)陰性と診断された場合でも,c-kit やPDGFRA 遺伝子の変異があればイマチニブに奏効する可能性も考えられ,遺伝子検索が推奨される。

Q3.イマチニブの投与量は400mg/日と800mg/日のどちらを選択すべきか。

N Engl J Med 2002(B2222 試験)2),Lancet 20043)より,初回投与量は400mg/日が推奨される。
<推奨度:グレードA

イマチニブの投与量に関しては,第Ⅰ相試験で1 日投与量として400mg,600mg,800mg,1,000mg が検討され,800mg/日までの忍容性が確認されている。その後の検討により,有害事象と有効性(奏効率,無増悪生存期間,全生存期間)の比較において600mg および800mg の有用性を認めることはできず,1 日投与量400mg で開始することが妥当とされている。

高投与量の妥当性に関しては,通常用量で治療抵抗例の3 割で腫瘍縮小,不変が実現されるとの報告があるが,わが国では適用外用量となる。

Q4.イマチニブ投与により奏効が得られた場合,イマチニブを続行すべきか。

BFR14 試験より,増悪(PD)または不耐容まで継続すべきとされている。
<推奨度:グレードA

切除不能・転移性GIST(KIT 陽性,またはc-kit あるいはPDGFRA 変異のある192 例に対し,イマチニブ400mg/日投与開始後12 カ月 以上経過した109 例中58 例をイマチニブ継続群と中断群に無作為化割り付けを実施。48 例(継続群23 例,中断群25 例)に関する解析結果が報告された4)。約8 カ月の観察で,継続群には死亡例,進行例は認めなかったが,中断群では進行を認め,無増悪期間の中央値は6 カ月であった。この結果より,中断群にイマチニブの再投与が実施されている。

以上より,イマチニブ投与にて奏効が得られた場合には(たとえCR でも),イマチニブの中断は推奨できず,明かな進行もしくは耐容不可となるまでは投与継続すべきとされている。

Q5.イマチニブの血中濃度測定は有効か。

血中濃度測定の臨床的意義は乏しく,日常臨床において測定の必要性は低い。
<推奨度:グレードC2

イマチニブの血中濃度と臨床効果に相関があることが報告されている21)

イマチニブの血中濃度測定は2012 年4 月より保険適応となったが,イマチニブの400mg を越える増量は保険適応となっていないため,イマチニブの血中濃度が低くとも増量することはできない。一方,イマチニブ400mg で副作用が出れば,血中濃度に関わらず300mg への減量を行なうこととなる。もし副作用のため300mg 投与もできない場合,血中濃度を測定し血中濃度が1,100ng/ml を越えれば300mg 未満の投与量も可能であるかもしれない。しかし内服90 日後の血中濃度は1 カ月後の血中濃度の約7割になることも報告22)されており,1 回測定した血中濃度のみで薬剤の適正投与量を判断することは困難である。血中濃度測定を臨床的判断の材料とするには更なるデータの集積が必要である。現時点では血中濃度が治療方針決定に寄与することが少ないため,日常的に測定する必要性は低い。

Q6.イマチニブ400mg/日投与中にPD になった症例に対して,投与量増加は有効か。

EORTC62005 試験(Zalcberg, ASCO 2004)5),S0033 試験(Rankin,ASCO 2004)6)により400mg から800mg への増量により,PR+SD が33%,38%に認められ,ともに4 カ月の効果持続が示された。

EORTC62005 試験は400mg 対800mg 群の比較試験で,400mg 群では800mg への増量が可能である5)。増量後の奏効度はSD:30.3%,PR:2.5%と33%の症例で高用量での症状コントロールが示された。初回投与時の奏効率(CR+PR+SD)は82%,86%であった。無増悪生存期間は800mg が有意に優れたが,全生存期間では差を認めなかった。

S0033 試験では,初回投与量400mg 対800mg で開始し,抵抗例となった時点で400mg 群を800mg に増量して高用量の効果について検討している6)。77 例中SD:32%,PR:6%と38%の症例で増量による症状コントロールが実現された。しかしながら,初回投与時には奏効率(CR+PR+SD)は同じ75%,74%と差を認めず,無増悪生存期間,全生存期間とも差を認めなかった。

これらのデータより,400mg 抵抗例に対する800mg への増量効果が期待されるが,承認用量外であり,一般臨床での使用は推奨できない。

推奨度は増量に対する保険適応がないため記載しない。

Q7.イマチニブはGIST 術後補助化学療法に有効か。

高リスクあるいは腫瘍破裂を認める術後GIST に対して,3 年間のイマチニブ投与が推奨される。
<推奨度:グレードB

Fletcher 分類の高リスクあるいは腫瘍破裂を認める術後GIST 症例に対して,術後イマチニブ治療1 年間と3 年間を比較した第Ⅲ相ランダム化臨床試験(SSG XVIII:Scandinavian Sarcoma Group XVIII)研究では,有害事象は許容範囲内で,約75%の患者さんが3 年間の術後イマチニブ治療を完了でき,主評価項目の無再発生存期間を延長し(5 年間の無再発生存率:1年イマチニブ群47.9%,3 年イマチニブ群65.6%,HR:0.46,two- sided p<0.0001),副次的評価項目の全生存期間も延長した(5 年生存率:1 年イマチニブ群81.7%,3 年イマチニブ群92.0%,HR:0.45,two-sided p=0.02)11)。現時点では,高リスクあるいは腫瘍破裂を認める GIST には,術後3年間のイマチニブによる術後補助化学療法が勧められる。

Q8.イマチニブはGIST 術前化学療法に有効か。

イマチニブ術前補助化学療法の有用性は明らかでない。
<推奨度:グレードC2(生存期間の延長)>
<推奨度:グレードC1(QOL の改善)>

RTOG0132 試験成績が報告されたが23),第Ⅱ相試験という試験デザイン,対象が50 例程度と少数の症例数,術後補助療法が実施されていること,イマチニブ投与量が600mg/日(保険適用外)などの点から,現時点で積極的に術前投与を推奨する根拠とはいえない。

従って,切除可能GIST に対する術前投与は探索的治療であり,生存期間の延長を目的とする術前化学療法は一般臨床で積極的に推奨できる治療ではない。(推奨度:グレードC2)

ただし,人工肛門の回避などの臓器機能温存,膵頭十二指腸切除などの侵襲の大きい手術を避ける目的でのイマチニブの術前投与は,治療の選択肢と考えられる。対象患者の選択,術前投与期間,術後のイマチニブ投与の必要性,術前の組織採取の方法やイマチニブ治療後の病理診断などに関する十分なデータは存在しておらず。症例に応じた判断が必要である。(推奨度:グレードC1)

Q9.スニチニブ不応症例の有効な治療は何か。

レゴラフェニブ:Placebo control 試験でイマチニブおよびスニチニブに耐性あるいは不忍容の症例に対する治療効果が検証された10)
<推奨度:グレードA

イマチニブとスニチニブに耐性または不忍容を示す転移性あるいは切除不能GIST に対するレゴラフェニブのプラセボ対照第Ⅲ相ランダム化二重盲検臨床試験10)では,レゴラフェニブ投与群とプラセボ群の無増悪期間の中央値はそれぞれ4.8ヶ月と0.9ヶ月で、レゴラフェニブ群が有意に良好であった(HR:0.27,two-sided p<0.0001)。レゴラフェニブの忍容性も認められることから、スニチニブ不応症例に対してレゴラフェニブ治療が推奨される。

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