口腔がん 〜診療ガイドライン

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目次:

第4章 原発巣の治療

Ⅰa.外科療法−切除術

口腔癌は,舌,口底,頬粘膜,上顎歯肉,下顎歯肉,硬口蓋など解剖学的構造の異なった部位に発生するために,癌の病態や進展様式は各部位によって大きく異なる。そのため治療法も各部位によって異なってくる。口腔癌の外科切除では,咀嚼および摂食・嚥下,発音などの機能面ならびに顎顔面領域の整容面に及ぼす影響も大きいため,術後の患者のQOL を重視した治療体系が望まれ,欠損部については再建や,上顎では顎補綴も考慮した外科療法を行う必要がある。

本稿では,口腔癌のなかでも発生率の高い舌癌ならびに下顎歯肉癌を中心に,各部位における外科療法ならびに気管切開について解説する。また,口腔癌の原発巣切除に関する適切な安全域21)〜26)36)〜42)CQ4-1),pull-through operation の適応9)12)13)27)28)43)〜46)CQ4-2),ヨード生体染色の意義29)〜34)43)〜46)CQ4-3),顎骨切除(CQ4-4, 5)を解説する。

1 舌癌

舌癌は原発巣の大きさ,浸潤の深さ1)および周囲組織への進展により切除範囲が異なる。具体的には,口底浸潤2),舌根浸潤,下顎骨浸潤の有無,程度による3)〜6)。原発巣の切除範囲が大きければ,皮弁または筋皮弁による再建手術が必要となる。

舌癌T1N0, earlyT2N0 症例,表在性のlateT2N0, T3N0 症例は口内法による舌部分切除を行う。lateT2N0, T3N0, T4N0 症例は原発巣切除(舌部分切除,舌半側切除,舌亜全摘出など)とともに予防的頸部郭清を行うため,pull-through 法にて頸部郭清組織と一塊として切除することもある(CQ4-27)〜14)。T1N1〜3, earlyT2N1〜3 症例もpull-through 法にて原発巣組織と頸部郭清組織を一塊として切除する。lateT2N1〜3, T3, T4N1〜3 症例は舌部分切除,舌半側切除,舌亜全摘出,さらに癌浸潤の程度により下顎骨など周囲組織の合併切除などの原発巣切除と頸部郭清を同時に行う。

表4-1 舌癌の切除方法

①舌部分切除
partial glossectomy

舌可動部の一部の切除,あるいは半側に満たない切除をいう(図4-1a)。

②舌可動部半側切除
hemiglossectomy(oral tongue)

舌可動部のみの半側切除すなわち舌中隔までの切除をいう(図4-1b図4-2)。

③舌可動部(亜)全摘出
subtotal-total glossectomy(oral tongue)

舌可動部の半側を超えた切除(亜全摘出), あるいは全部の切除をいう(図4-3)。

④舌半側切除
hemiglossectomy

舌根部を含めた半側切除をいう(図4-4)。

⑤舌(亜)全摘出
subtotal-total glossectomy

舌根部を含めた半側以上の切除(亜全摘出),あるいは全部の切除をいう(図4-5)。

図4-1 舌部分切除(a)
舌可動部半側切除(b)

図4-2 舌可動部半側切除+口底部分切除

図4-3 舌可動部(亜)全摘出

図4-4 舌半側切除

図4-5 舌(亜)全摘出

舌半側切除+pull-through operation

舌半側切除+口底切除+下顎辺縁切除

舌半側切除+口底切除+下顎区域切除

図4-6 下顎合併切除
図4-7 舌癌の外科療法のアルゴリズム
2 口底癌15)〜20)

口底癌は正中型(前歯部相当)と側方型(臼歯部相当)に分けられ,多くは正中型である。側方に進展すると,口底粘膜下が疎性結合組織であるため深部に浸潤しやすいことが特徴である。内方に進展すると舌下面,外方に進展すると下顎歯肉・歯槽部や下顎骨に浸潤をきたす。深部に進展するとオトガイ舌筋,舌骨舌筋,顎舌骨筋への浸潤をきたす。また,内舌筋(下縦舌筋,横舌筋,垂直舌筋など)への浸潤をきたしたり,舌根(中咽頭)へ進展する。ワルトン管周囲への浸潤や,舌深動脈,舌下動脈,舌神経,舌下神経周囲への浸潤を示す。頸部リンパ節転移は両側に起こりやすい。

口底癌のT1N0,earlyT2N0 症例は口底部分切除(口内法)を行う。lateT2,T3,T4 症例は原発巣切除(口底全切除)と頸部郭清を同時に行う場合がある。また,舌や下顎骨に浸潤したものでは,舌や下顎骨の合併切除を行う(CQ4-4)。

3 頬粘膜癌18)〜20)

頬粘膜癌の亜部位は①上・下唇粘膜部,②頬粘膜部,③臼後部,④上・下頬歯槽溝に分類される。頬粘膜癌の外方進展は頬筋,皮下および皮膚浸潤である。内方進展は上・下顎歯肉や骨に浸潤し,前方進展は口角に,臼後部からの後方進展は粘膜下に沿って下顎骨・翼突下顎隙への浸潤をきたす。同様に,上方進展は上顎結節や翼口蓋窩へ至り,内方進展は軟口蓋,舌根への浸潤をきたす。

T1, T2 症例では頬粘膜切除あるいは放射線治療が行われる。進展例では頬粘膜切除,下顎合併切除,上顎合併切除,皮膚切除,あるいは臼後三角部より上・後方の拡大切除が行われる。

4 下顎歯肉癌

下顎歯肉癌は早期に下顎骨に浸潤し,骨破壊を呈する。特に下顎骨内に深く浸潤した場合は放射線治療での治癒が期待できず,高線量では放射線性骨壊死といった副作用も考慮する必要がある1)。また,抗腫瘍薬の骨への移行が悪いことから,外科的切除が基本となる。下顎骨内に進展した腫瘍は直接触知できないために,手術範囲の設定においてパノラマ,頭部後頭前頭方向,顎骨斜位方向,咬合法,口腔内X 線写真やCT,MR などの画像診断により,骨吸収の深達度,骨吸収型,周囲軟組織への進展状況を正確に把握し,治療計画を立てる必要がある2)〜6)

a.下顎歯肉癌の切除方法(表4-2図4-8

下顎歯肉癌の外科療法は原則的に下顎骨切除であり,切除範囲によって基本術式は表4-2のように分類される。その適応は腫瘍の進展範囲によって決定される2)3)5)〜10)。手術標本の病理組織学的所見とX 線所見との比較や,原発巣再発率や予後との関連から得られたretrospective な結果をもとに切除法の議論がなされてきた。T1 症例では辺縁切除が行われ,骨吸収が下顎管まで及んだ場合(口腔癌取扱い規約26):T4a)や深部軟組織進展症例のT4 症例では,区域切除や半側切除などが適応される6)。T2,T3 症例においては,特に骨吸収の深達度と骨吸収型との関連11)12)を考慮した次頁b. に示す選択基準により,下顎骨の辺縁切除か区域切除が選択される(CQ4-5)。

表4-2 下顎歯肉癌の切除方法

①歯肉切除
gingivectomy

歯肉粘膜・骨膜のみの切除で骨切除を行わない。

②下顎辺縁切除
marginal mandibulectomy

下顎骨の辺縁(通常下顎骨下縁)を保存し,下顎骨体を離断しない部分切除。

③下顎区域切除
segmental mandibulectomy

下顎骨の一部を歯槽部から下縁まで連続的に切除し,下顎体が部分的に欠損する切除。

④下顎半側切除
hemi-mandibulectomy

一側の関節突起を含めた(顎関節離断)下顎骨の半側切除。

⑤下顎亜全摘出
subtotal mandibulectomy
(with/without condylectomy)

下顎骨の半側を越える切除で,通常,下顎枝から対側下顎枝の範囲以上の切除。これに関節突起が温存されたか否かを追記する。

⑥下顎全摘出
total mandibulectomy

両側の関節突起を含めて下顎骨を摘出する切除。
図4-8 切除範囲の模式図
b.切除範囲の選択基準

(1)腫瘍の軟組織への進展

原発巣再発が切除後の骨断端よりも軟組織断端から起こっている報告が多く1)3)5)13)〜16)27),特に顎舌骨筋や咽頭側へ進展した症例では,辺縁切除では軟組織の切除が不十分となる可能性がある17)。したがって,下顎骨周囲の深部軟組織への進展症例に対しては,周囲軟組織を含めた区域切除が妥当と考えられる。

(2)骨吸収の深達度

下顎管に達した腫瘍は,下歯槽神経血管束に沿って進展していくため18)19),オトガイ孔,下顎管を含めた区域切除が必要である。X 線学的に下顎管に至らない症例の辺縁切除か区域切除かの適応においては,下顎管および骨髄腔内への組織学的浸潤が問題とされる2)12)20)。X 線学的に骨吸収が認められた下顎骨の手術標本の組織学的検索では,X 線像で骨吸収を認める部位から1cm 離れた部位には腫瘍を認めないことから,骨吸収部位から最低1cm の安全域をとる必要性が報告されている21)

(3)骨吸収型

X 線学的な骨吸収型(平滑型,虫喰い型,中間型)は予後因子とされていることから11)12)26),これらの吸収様式は骨吸収の深達度と関連して考慮すべきである。X 線学的に平滑型では,組織学的な骨浸潤範囲とX 線学的な浸潤範囲が一致するが,虫喰い型では,X 線の骨吸収像から腫瘍の組織学的骨浸潤を予測することは難しく,切除範囲を大きく設定する必要性がある22)。また,中間型は,平滑型と虫喰い型との中間的な病態として考慮される26)。歯槽骨内に限局した症例では辺縁切除を選択すべきであるが,歯槽骨の一部に限局した場合を除けば5),虫喰い型の骨吸収像を示す場合や,平滑型であっても下顎管に近接あるいは達する骨吸収を示す症例では,区域切除が妥当と考えられる3)5)6)

(4)下顎骨の垂直的高さ

辺縁切除では下顎下縁から1cm 以下になると骨折の可能性があることが指摘されており,無歯顎萎縮骨の場合では垂直的高さの点で区域切除が選択される場合が多い16)21)

(5)その他

組織学的悪性度に関しては高悪性度の方が再発率は高く,予後不良例が多いという報告23)24)や,腫瘍浸潤様式と下顎骨への浸潤状態との関連性を示す報告もある25)。また診断前に患部に抜歯などの外科処置が行われた場合には内向性の発育様式を示すものが多く,骨吸収型では虫喰い型を示すことが有意に高いという報告があり28),治療方針を立てるうえで考慮すべき点である。下顎歯肉癌の外科療法のアルゴリズムを図4-9 に示す。

図4-9 下顎歯肉癌の外科療法のアルゴリズム
5 上顎歯肉癌・硬口蓋癌

上顎歯肉癌は,下顎歯肉癌と比較して発生頻度は低く,硬口蓋癌はさらにその頻度は低いとされる。上顎歯肉癌(硬口蓋癌を含む)は,下顎歯肉癌と同様に,速やかに骨への浸潤をきたしやすい。解剖学的な特徴として,上方へは上顎洞,鼻腔などへの進展があり,後方では翼状突起,翼口蓋窩,側方では頬粘膜に進展する。硬口蓋癌では軟口蓋へ進展することから,切除による口腔機能への影響が大きい。また,他の口腔癌と異なり,原発巣と頸部リンパ節転移巣の一塊切除ができないという解剖学的特徴を有しているが,頸部リンパ節転移の頻度は下顎歯肉癌より低いとされる1)。進行癌では,整容的障害の点からも外科療法単独ではなく,放射線療法や超選択的動注などの化学療法を併用した集学的治療が用いられることが多い。切除範囲の決定には,解剖学的に複雑な構造をしているために,画像診断による顎骨への浸潤,鼻腔,上顎洞,翼口蓋窩など周囲組織への進展範囲の精査が重要である。また上顎と下顎では骨質の差異がX 線所見に影響するとの意見もある5)。外科的治療では,外向性の早期癌に対して骨膜を含めた歯肉切除がなされる場合もあるが2),多くは上顎部分切除や上顎亜全摘出が行われる2)〜4)。切除によって,上顎洞や鼻腔が交通する場合が多い。上顎洞内に大きく進行した場合には,上顎洞癌に準じた上顎全摘出や拡大上顎全摘出が適応となる3)4)表4-3)。欠損部に対しては整容的障害ならびに言語,摂食障害の点から,顎補綴や遊離組織移植による再建が行われる。

表4-3 上顎歯肉癌の切除方法4)6)

①歯肉切除
gingivectomy

歯肉粘膜・骨膜のみの切除で骨切除を行わない。

②上顎部分切除
partial maxillectomy

上顎歯肉部,上顎洞内の一部,上顎洞正中側,固有鼻腔の一部など,上顎骨の一部を切除する。

③上顎亜全摘出
subtotal maxillectomy

眼窩底のみを温存し上顎骨を切除する。

④上顎全摘出
total maxillectomy

上顎骨のすべてをその周囲組織を含めて切除する。

⑤上顎拡大全摘出
extended maxillectomy

上顎骨とともに,眼窩内容や頭蓋底を切除する。
付 気管切開

口腔癌の外科手術に際し気管切開がしばしば行われるが,その適応については各施設で異なっているのが現状である。一般的には舌原発巣の切除範囲が広い場合(可動部半側切除を越える場合),下顎骨の半側以上の切除を行った場合,両側の頸部郭清を行った場合および再建皮弁のボリュームなどで気道閉塞の可能性がある場合などに気管切開が行われることが多い1)。しかし,気管切開による合併症(出血,閉塞,局所の感染,肺炎,瘻孔形成,気道狭窄など)も問題であり安易に行うべきではない2)3)。最近,気管切開の適否を客観的に判定する目的で,危険因子のスコアリングによる判定法が報告されている4)。腫瘍の位置,下顎骨切除の有無,両側頸部郭清の有無,皮弁再建の状態から気管切開の適否を決定する試みである。また,最近,気管切開を行うにあたって参考となる“誰が,いつ,そしてどのようにして気管切開を実行するべきであろうか?”についてのレビュー報告もなされている5)

【参考文献はガイドライン誌『科学的根拠に基づく 口腔癌診療ガイドライン2013 年版』
(金原出版刊行物)添付CD-ROMに収録】


CQ 4-1
口腔癌の原発巣切除における適切な安全域は?
推奨グレードC1

口腔癌の切除では10 mm 以上の安全域をとることが推奨されるが明確な根拠はない。

【背 景】

口腔は硬組織,軟組織が混在し複雑な形状をしており,また腫瘍の進展方向によりその浸潤に違いがあるため,切除範囲,安全域を決定するのは単純ではない。口腔は極力機能温存が望まれるため,安全域は必要最小限にする必要がある。しかし,原発巣再発率,生存率などからみた安全域の設定に関する比較試験はない。

【解 説】

口腔癌の安全域について,舌癌では肉眼的に腫瘍からは10 mm,ルゴール不染域から5 mm の設定で切除を行い,原発巣再発率3.8%と良好な成績の報告がある1)[Ⅳ]。一方,浸潤型の舌癌で腫瘍縁が切除断端に近接することがあるため,安全域は10 mm 以上を必要とし,切除断端を迅速病理診断で確認すべきとする報告もある2)〜4)[Ⅳ]。口腔癌の切除断端の腫瘍陽性率は15%で,中・下咽頭癌,喉頭癌に比べて高いとの報告がある5)[Ⅳ]。また,腫瘍から5 mm 以内の安全域では術後の原発巣再発率は断端陽性の場合と変わらないとする報告6)や,5 mm を超えた十分な切除の5 倍の再発率(10%)との報告もみられる7)[Ⅳ]。口腔癌の摘出標本の縮小率は20〜30%とする報告8)や,30〜50%の縮小率を示すとの報告がある8)9)[Ⅲ]。標本上で5 mm 以上の安全域があると局所再発率が低いという事実から,手術標本の縮小を考えれば10 mm 以上という安全域は妥当と思われる10)〜16)[Ⅳ]。しかし,病理組織学的な浸潤様式の違いも考慮にいれる必要があり,すべての症例にあてはまるわけではない。

【参考文献】

1) 梅田正博,南川 勉,他:口腔扁平上皮癌の治療法と予後に関する臨床的検討−1. 手術例の原発巣制御について.口腔腫瘍 18:65-73,2006.[Ⅳ](追加論文)

2) 苦瓜知彦:舌癌に対するpull-through 手術.口咽科 15:353-355,2003.[Ⅳ](追加論文)

3) 三谷浩樹:T2 舌癌の切除と再建.口咽科 17:279-284,2005.[Ⅴ]

4) 寺田友紀,佐伯暢生,他:T2 舌癌の切除と再建.口咽科 17:271-278,2005.[Ⅳ](追加論文)

5) Lee, J.G.: Detection of residual carcinoma of the oral cavity, oropharynx, hypopharynx, and larynx: a study of surgical margins. Trans Am Acad Opthalmol Otolaryngol 78: 49-53, 1974.[Ⅳ](追加論文)

6) Looser, K.G., Shah, J.P., et al.: The significance of “positive” margins in surgically resected epidermoid carcinomas. Head Neck Surg 1: 107- 111, 1978.[Ⅳ](追加論文)

7) Vikram, B., Strong, E.W., et al.: Failure at the primary site following multimodality treatment in advanced head and neck cancer. Head Neck Surg 6: 720-723, 1984.[Ⅳ](追加論文)

8) Mistry, R.C., Qureshi, S.S., et al.: Post-resection mucosal margin shrinkage in oral cancer: quantification and significance. J Surg Oncol 91: 131-133, 2005.[Ⅲ]

9) Johnson, R.E., Sigman, J.D., et al.: Quantification of surgical margin shrinkage in the oral cavity. Head Neck 19: 281-286, 1997.[Ⅳ]

10) 野村武史,松原志津加,他:早期舌癌に対するヨード生体染色の有用性について.口科誌57:297-302,2008.[Ⅳ]

11) 新垣 晋:口腔粘膜表在性癌の外科的治療−切除範囲設定と予後.病理と臨床 26:562-566,2008.[Ⅳ](追加論文)

12) 矢島安朝,野間弘康,他:舌癌excisional biopsy におけるヨード生体染色の有用性.口腔腫瘍 13:277-282,2001.[Ⅳ](追加論文)

13) 内田正興,井上哲生:舌癌−どこまで切除するか.耳鼻と臨 34:1352-1355,1988.[Ⅳ](追加論文)

14) Nason, R.W., Binahmed, A., et al.: What is the adequate margin of surgical resection in oral cancer? Oral Surg Oral Med Oral Pathol Oral Radiol Endod 107: 625-629, 2009.[Ⅳ](追加論文)

15) Kurita, H., Nakanishi, Y., et al.: Impact of different surgical margin conditions on local recurrence of oral squamous cell carcinoma. Oral Oncol 46: 814-817, 2010.[Ⅳ]

16) Binahmed, A., Nason, R.W., et al.: The clinical significance of the positive surgical margin in oral cancer. Oral Oncol 43: 780-784, 2007.[Ⅳ]

【文献検索】

初版時
(1)医中誌

①検索期間:1997-2007

②検索日:2007/6/29

③検索式:
#1:(口腔腫瘍 OR 口腔癌) AND 安全域
#2:(口腔腫瘍 OR 口腔癌) AND 切除範囲
#3:(舌腫瘍 OR 舌癌) AND (舌切除術 OR 舌切除)
(PT=会議録除く)

④検索件数:56件,除外件数:53件,追加件数:0件

(2)PubMed

①検索期間:1997-2007

②検索日:2007/6/29

③検索式:
#1:oral cancer AND resection mouth floor
#2:oral cancer AND pull through operation
#3:oral cancer AND safety margin
#4:tongue cancer AND glossectomy
#5:tongue cancer AND surgical treatment

④検索件数:8件,除外件数:1件,追加件数:0件

改訂時
(1)医中誌

①検索期間:2007-2011

②検索日:2011/12/20

③検索式:((口腔腫瘍/TH OR 口腔腫瘍/AL) OR (口腔腫瘍/TH OR 口腔癌/AL) OR (舌腫瘍/TH OR 舌腫瘍/AL) OR (舌腫瘍/TH OR 舌癌/AL))OR (切除術/AL OR 切除/AL) OR (安全域/AL OR 切除範囲/AL)) AND (口腔腫瘍 OR 口腔癌) AND 安全域
(PT =会議録除く)

④検索件数:37 件,除外件数:36 件,追加件数:3 件

(2)PubMed

①検索期間:2007-2011

②検索日:2011/12/20

③検索式:oral cancer AND surgical margin AND surgical resection

④検索件数:67 件,除外件数:65 件,追加件数:1 件


CQ 4-2
Pull-through operation はどのような症例に適応されるか?
推奨グレードC1

Pull-through operation とは,下顎骨を温存し頸部郭清組織と原発巣組織を一塊として切除する方法で,舌癌や口底癌anyTN1〜3 症例に適応される。

【背 景】

従来,下顎骨を含めた口腔組織と頸部郭清組織を一塊として切除するcommand operation が基本であったが,現在は口腔から頸部へのリンパ流を考え,下顎骨を温存して舌および口腔周囲組織と頸部郭清組織を一塊として切除するpull-through operation が標準となっている。

【解 説】

Pull-through operation は舌,口底癌のN1〜3 症例において口腔原発巣から頸部へのリンパ流路を損傷することなく切除しようとする考えで,原発巣と頸部郭清組織を一塊として切除する1)〜4)6)〜8)[Ⅳ]。T1, earlyT2N0 症例の場合,多くは口内法の原発巣切除が行われる。予防的に頸部郭清を同時に行う場合,pull-through operation を支持するものが多い。anyTN1〜3 症例の場合,pull-through operation が基本となる5)[Ⅳ]

【参考文献】

1) 梅田正博,南川 勉,他:口腔扁平上皮癌の治療法と予後に関する臨床的検討− 1. 手術例の原発巣制御について.口腔腫瘍 18:65-73,2006.[Ⅳ](追加論文)

2) 寺田友紀,佐伯暢生,他:T2 舌癌の切除と再建.口咽科 17:271-278,2005.[Ⅳ](追加論文)

3) 松浦一登,林 隆一,他:舌扁平上皮癌一次治療症例(274 例)の手術治療成績.頭頸部癌 30:550-557,2004.[Ⅳ](追加論文)

4) 柴山将之,花満雅一,他:舌癌治療成績の検討.耳鼻咽喉科臨床 99:743-746,2006.[Ⅳ]

5) 朝蔭孝宏,海老原 敏,他:舌部分切除術,その術式の選択−口内法による治療成績.頭頸部腫瘍28:57-61,2002.[Ⅳ](追加論文)

6) Lim, Y.C., Choi, E.C.: Unilateral, clinically T2N0, squamous cell carcinoma of the tongue: surgical outcome analysis. Int J Oral Maxillofac Surg 36: 610-614, 2007.[Ⅳ]

7) Jahnke, V.: Surgery for squamous cell carcinoma of the tongue and floor of the mouth. Auris Nasus Larynx 12 Suppl 2: S5-9, 1985.[Ⅳ](追加論文)

8) Jahnke,V.: Surgery of the tongue and floor of the mouth(author’s transl). Arch Otorhinolaryngol 210: 275-291, 1975.[Ⅳ](追加論文)

【文献検索】

初版時
(1)医中誌

①検索期間:1997-2007

②検索日:2007/6/29

③検索式:
#1:(口腔腫瘍 OR 口腔癌) AND 安全域
#2:(口腔腫瘍 OR 口腔癌) AND pull through 切除
#3:(口腔腫瘍 OR 口腔癌) AND 切除範囲
#4:(舌腫瘍 OR 舌癌) AND (舌切除術 OR 舌切除)

④検索件数:17 件,除外件数:10 件,追加件数:0 件

(2)PubMed

①検索期間:1997-2007

②検索日:2007/6/29

③検索式:
#1:oral cancer AND resection mouth floor
#2:oral cancer AND pull through operation
#3:oral cancer AND safety margin
#4:tongue cancer AND glossectomy
#5:tongue cancer AND surgical treatment

④検索件数:12 件,除外件数:12 件,追加件数:3 件

改訂時
(1)医中誌

①検索期間:2007-2011

②検索日:2011/12/20

③検索式:(口腔癌 OR 口腔腫瘍 OR 舌癌)AND(pull through OR pull through 切除)

④検索件数:9 件,除外件数:9 件,追加件数:0 件

(2)PubMed

①検索期間:2007-2011

②検索日:2011/12/20

③検索式:(oral cancer OR lingual cancer) AND pull through operation

④検索件数:18 件,除外件数:17 件,追加件数:2 件


CQ 4-3
舌癌の周辺病巣に対してヨード生体染色を行ってヨード不染域を含めて切除した症例は,ヨード生体染色を行わずに切除した症例と比較して原発巣再発率が低いか?
推奨グレードB

ヨード生体染色の不染域描出による異型上皮の識別は特異度が高く,有効である。また,舌癌のT1 症例あるいはearlyT2 症例の表在性病変では,ヨード生体染色を行って切除を行った症例は行わなかった症例に比べ明らかに原発巣再発率は低い。

【背 景】

癌周囲の粘膜の異型上皮の存在の正確な診断は切除範囲決定に重要である。異型上皮の確認のためのヨード生体染色の有用性について検証した。

【解 説】

ヨード生体染色は上部消化管領域において広く用いられ,早期癌の発見には欠くことのできない補助診断法となっている1)[Ⅳ]。口腔領域において,ヨード染色は異型上皮を描出し,悪性病変や悪性化の可能性のある病変を識別できる5)8)〜12)[Ⅲ]。また,異形成を示す粘膜上皮と正常粘膜上皮の識別では,視診よりヨード染色の正確さが示されている6)8)〜12)[Ⅳ]。一方,口腔粘膜の生体染色でトルイジンブルーを用いた口腔扁平上皮癌の病変範囲の診断法は,浸潤性の扁平上皮癌の検出には優れるものの,上皮内癌や高度の異型上皮の病変断端の診断には有用ではないとの報告がある2)〜4)[Ⅳ]。局所切除の症例において,ヨード染色の有無により原発巣再発率を検討した結果,ヨード染色をした症例群で有意に原発巣再発率の低いことが示されている7)8)[Ⅲ]。しかし,広範囲に不染域を認めた場合,どこまで切除するかの判断が困難な場合もある。

【参考文献】

1) 幕内博康:食道のヨード染色.消化器内視鏡 8: 700-702,1996.[Ⅳ](追加論文)

2) Silverman, S. Jr., Migliorati, C., et al.: Toluidine blue staining in the detection of oral precancerous and malignant lesions. Oral Surg Oral Med OralPathol 57: 379-382, 1984.[Ⅳ]

3) Kerawala, C.J., Beale, V., et al.: The role of vital tissue staining in the marginal control of oral squamous cell carcinoma. Int J Oral Maxillofac Surg 29: 32-35, 2000.[Ⅳ]

4) Martin, I.C., Kerawala, C.J., et al.: The application of toluidine blue as a diagnostic adjunct in the detection of epithelial dysplasia. Oral Surg Oral Med Oral Pathol Oral Radiol Endod 85: 444-446, 1998.[Ⅳ]

5) Epstein, J.B., Scully, C., et al.: Toluidine blue and Lugol’s iodine application in the assessment of oral malignant disease and lesions at risk of malignancy. J Oral Pathol Med 21: 160-163, 1992.[Ⅳ]

6) Kurita, H., Kurashina, K.: Vital staining with iodine solution in delineating the border of oral dysplastic lesions. Oral Surg Oral Med Oral Pathol Oral Radiol Endod 81: 275-280, 1996.[Ⅳ]

7) 栗田 浩,畔上卓也,他:口腔粘膜病変におけるヨード溶液を用いた生体染色の有用性に関する検討−ヨード染色と通常視診による病変範囲の診断の比較.日口外誌 47:161-165,2001.[Ⅳ](追加論文)

8) 矢島安朝,野間弘康,他:舌癌excisional biopsyにおけるヨード生体染色の有用性.口腔腫瘍 13:277-282,2001.[Ⅲ]

9) Umeda, M., Shigeta, T., et al.: Clinical evaluation of Lugol’s iodine staining in the treatment of stage Ⅰ-Ⅱ squamous cell carcinoma of the tongue. Int J Oral Maxillofac Surg 40: 593-596, 2011.[Ⅳ]

10) Izumo, T.: Oral premalignant lesions: from the pathological viewpoint. Int J Clin Oncol 16: 15-26, 2011.[Ⅳ]

11) Petruzzi, M., Lucchese, A., et al.: Use of Lugol’s iodine in oral cancer diagnosis: an overview. Oral Oncol 46: 811-813, 2010.[Ⅳ]

12) 野村武史,松原志津加,他:早期舌癌に対するヨード生体染色の有用性について.口科誌 57:297-302,2008.[Ⅳ]

【文献検索】

初版時
(1)医中誌

①検索期間:1997-2007

②検索日:2007/6/29

③検索式:(上皮性異形成 OR 異形成)AND (口腔腫瘍 OR 口腔癌 )AND (ヨウ素 OR ヨード ) AND (切除) AND 生体染色 (PT=会議録除く)

④検索件数:8件,除外件数:5件,追加件数:0件

(2)PubMed

①検索期間:1997-2007

②検索日:2007/6/29

③検索式:dysplasia AND (oral cancer OR tongue cancer) AND (vital staining OR iodine staining) OR safety margin

④検索件数:3 件,除外件数:0 件,追加件数:2 件

改訂時
(1)医中誌

①検索期間:2007-2011

②検索日:2007/6/29

③検索式:(上皮性異形成OR 異形成)AND(口腔腫瘍 OR 口腔癌) AND (ヨウ素 OR ヨード OR 生体染色)(RT =会議録除く)

④検索件数:7 件,除外件数:6 件,追加件数:0 件

(2)PubMed

①検索期間:2007-2011

②検索日:2011/12/20

③検索式;dysplasia AND (oral cancer OR lingual cancer) AND(vital staining OR iodine staining)

④検索件数:6 件,除外件数:3 件,追加件数:0 件


CQ 4-4
下顎骨合併切除はどのような口底癌症例に必要か?
推奨グレードC1

臨床的に下顎歯槽歯肉への浸潤や骨浸潤を認める症例では,下顎骨の合併切除が必要となる。

【背 景】

口底癌は解剖学的特徴から下顎歯槽歯肉や顎骨に進展しやすいので,腫瘍切除や安全域の確保のため下顎骨の合併切除が必要となる場合がある。その際,機能温存の点から下顎骨の切除範囲が問題となる。

【解 説】

口底癌の下顎骨への進展様式には,直接,舌側歯肉より下顎骨に進展していく場合と,骨膜に沿って深部に浸潤していく場合がある1)〜3)[Ⅳ]。前者の場合,有歯部では歯根膜腔を介し,無歯部では歯槽頂から骨髄腔に進展していく1)〜3)[Ⅳ]

骨破壊を認める症例では,下顎歯肉癌と同様に下顎骨切除が必要である。明らかな下顎骨の破壊を認めない場合で,腫瘍と下顎骨の間に一層の正常な組織が介在している場合には,下顎骨の舌側骨膜を切除側に含めることで下顎骨切除は避けられる場合がある1)4)〜8)[Ⅳ]。腫瘍と下顎骨に癒着を認める場合には,臨床所見から下顎骨切除が行われることが多い1)5)7)9)〜13)[Ⅳ]

切除方法は,辺縁切除か区域切除かの適応が問題となる1)4)〜8)11)〜15)[Ⅳ]。癌の骨髄内浸潤がある場合,下顎骨周囲に癌が深部浸潤した場合,骨浸潤が軽度であっても無歯顎で顎堤吸収が著明な場合には区域切除が行われる16)[Ⅳ]。骨膜に腫瘍が進展している場合は区域切除を推奨する報告がある17)[Ⅴ]。一方,初期の骨吸収を示す症例であっても,組織学的に骨浸潤は比較的限局性であるとの報告もあり1)7),機能温存の面から,できるだけ辺縁切除により下顎骨の連続性を残そうとする報告が多い1)3)5)13)〜16)18)〜22)24)[Ⅳ]。辺縁切除症例と区域切除症例の比較検討から生存率,再発,転移に有意差はなかったとの報告12)[Ⅳ]や,口底癌の下顎骨合併切除に下顎辺縁切除を適応し,良好な結果を得たとの報告がある1)7)15)[Ⅳ]。辺縁切除においてはいわゆる歯槽頂を中心に部分切除を行うか,舌側皮質骨を中心に部分切除するかについて議論があるが3)22)23)[Ⅲ],口底癌の周囲軟組織への進展範囲,下顎骨への浸潤方向を考慮して下顎骨の切除範囲が決められる。

【参考文献】

1) 戸塚靖則,臼井康裕,他:口底扁平上皮癌に対する下顎骨辺縁切除術−適応に関する臨床的・病理組織学的検討.頭頸部腫瘍 16:44-47,1989.[Ⅳ]

2) Brown, J.S., Lowe, D., et al.: Patterns of invasion and routes of tumor entry into the mandible by oral squamous cell carcinoma. Head Neck 24: 370- 383, 2002.[Ⅳ](追加論文)

3) Barttelbort, S.W., Bahn, S.L., et al.: Rim mandibulectomy for cancer of the oral cavity. Am J Surg 154: 423-428, 1987.[Ⅳ](追加論文)

4) Marchetta, F.C., Sako, K., et al.: The periosteum of the mandible and intraoral carcinoma. Am J Surg 122: 711-713, 1971.[Ⅳ]

5) 天笠光雄,岩城 博,他:舌,口底癌における下顎骨の処理−特に腫瘍の浸潤範囲,手術術式,治療成績と術後機能について.頭頸部腫瘍 16:52-54,1989.[Ⅳ]

6) 戸塚靖則,臼井康裕,他:口底扁平上皮癌の治療成績の検討.日口外誌34:233-242,1988.[Ⅳ]

7) 戸塚靖則,臼井康裕,他:口底癌に対する下顎骨辺縁切除術について. 日口外誌34:907-919, 1988.[Ⅳ]

8) 奥 尚久,梅田正博,他:口底扁平上皮癌における下顎骨切除方法と原発巣再発との関係について.口科誌 45:263-268,1996.[Ⅳ](追加論文)

9) van den Brekel, M.W., Runne, R.W., et al.: Assessment of tumour invasion into the mandible: the value of different imaging techniques. Eur Radiol 8: 1552-1557, 1998.[Ⅳ]

10) Shaha, A.R.: Preoperative evaluation of the mandible in patients with carcinoma of the floor of mouth. Head Neck 13: 398-402, 1991.[Ⅳ]

11) 小宮善昭,内田育宏,他:口底癌30 例の治療法と治療成績.日口外誌 41:1071-1073,1995.[Ⅳ]

12) Wolff, D., Hassfeld, S., et al.: Influence of marginal and segmental mandibular resection on the survival rate in patients with squamous cell carcinoma of the inferior parts of the oral cavity. J Craniomaxillofac Surg 32: 318-323, 2004.[Ⅳ]

13) Shaha, A.R.: Marginal mandibulectomy for carcinoma of the floor of the mouth. J Surg Oncol 49: 116-119, 1992.[Ⅳ]

14) 木戸幸恵,野口 誠,他:口底癌の外科療法と治療成績.頭頸部腫瘍 21:99-104,1995.[Ⅳ]

15) Werning, J.W., Byers, R.M., et al.: Preoperative assessment for and outcomes of mandibular conservation surgery. Head Neck 23: 1024-1030, 2001.[Ⅳ](追加論文)

16) O’Brien, C.J., Adams, J.R., et al.: Influence of bone invasion and extent of mandibular resection on local control of cancers of the oral cavity and oropharynx. Int J Oral Maxillofac Surg 32: 492-497, 2003.[Ⅳ](追加論文)

17) Wax, M.K., Bascom, D.A., et al.: Marginal mandibulectomy vs segmental mandibulectomy: indications and controversies. Arch Otolaryngol Head Neck Surg 128: 600-603, 2002.[Ⅴ](追加論文)

18) 野口 誠,宮崎晃亘,他:口底癌の進展と悪性度に基づく切除法と治療成績.頭頸部腫瘍 26:23-28,2000.[Ⅳ]

19) 大関 悟:舌・口底癌における下顎骨の処理−下顎骨保存治療に対する術前照射および術前化学療法の有用性.頭頸部腫瘍 16:55-60,1989.[Ⅳ]

20) Dubner, S., Heller, K.S.: Local control of squamous cell carcinoma following marginal and segmental mandibulectomy. Head Neck 15: 29-32, 1993.[Ⅳ](追加論文)

21) Ord, R.A., Sarmadi, M., et al.: A comparison of segmental and marginal bony resection for oral squamous cell carcinoma involving the mandible. J Oral Maxillofac Surg 55: 470-477, 1997.[Ⅳ](追加論文)

22) Guerra, M.F., Campo, F.J., et al.: Rim versus sagittal mandibulectomy for the treatment of squamous cell carcinoma: two types of mandibular preservation. Head Neck 25: 982-989, 2003.[Ⅳ](追加論文)

23) Barttelbort, S.W., Ariyan, S.: Mandible preservation with oral cavity carcinoma: rim mandibulectomy versus sagittal mandibulectomy. Am J Surg 166: 411-415, 1993.[Ⅲ](追加論文)

24) Muscatello, L., Lenzi, R., et al.: Marginal mandibulectomy in oral cancer surgery: a 13- year experience. Eur Arch Otorhinolaryngol 267: 759-764, 2010.[Ⅳ]

【文献検索】

初版時
(1)医中誌

①検索期間:1983-2007

②検索日:2007/6/18

③検索式:

  1. #1:口底癌/AL AND (PT=症例報告, 会議録除く)
  2. #2:#1 AND (PT=症例報告除く, 会議録除くCK=ヒト)
  3. #3:#2 NOT (構音/TH OR 構音/AL)
  4. #4:#3 NOT (リハビリテーション/TH OR リハビリ/AL) NOT (動脈内投与/TH OR 動注/AL)
  5. #5:#4 NOT (再建/AL)

④検索件数:41件,除外件数:31件,追加件数:1件

(2)PubMed

①検索期間:1973-2007

②検索日:2007/6/18

③検索式:

  1. #1:mouth floor carcinomas OR mouth floor neoplasm Limits: Humans, English, Japanese
  2. #2:mandibulectomy OR mandibular resection NOT rehabilitation Limits: Humans, English, Japanese
  3. #3:#1 AND #2 Limits: Humans, English, Japanese
  4. #4:#3 NOT reconstruction Limits: Humans, English, Japanese

④検索件数:30件,除外件数:20件,追加件数:10件

改訂時
(1)医中誌

①検索期間:2007-2011

②検索日:2011/8/1

③検索式:

  1. #1:(口底癌/AL)and(PT =症例報告除く,会議録除く CK =ヒト)
  2. #2:#1 NOT(構音/TH OR 構音/AL)
  3. #3:#2 NOT (リハビリテーション/TH OR リハビリ/AL) NOT(再建/AL)

④検索件数:6 件,除外件数:6 件,追加件数:0 件

(2)PubMed

①検索期間:2007-2011

②検索日:2011/7/2

③検索式:

  1. #1:mouth floor carcinomas OR mouth floor neoplasm Limits: Humans, English, Japanese
  2. #2:mandibulectomy OR mandibular resection NOT rehabilitation Limits: Humans, English, Japanese
  3. #3:#1 AND #2 Limits: Humans, English, Japanese
  4. #4:#3 NOT reconstruction Limits: Humans, English, Japanese

④検索件数:6 件,除外件数:5 件,追加件数:0 件


CQ 4-5
下顎歯肉癌の骨浸潤(骨吸収)が歯槽部にとどまっている症例には,辺縁切除が適応できるか?
推奨グレードC1

T1 症例であれば適応可能である。T2,T3 症例でもX 線学的に骨吸収が歯槽部にとどまっている場合や,骨吸収型が平滑型の場合には辺縁切除が適応される。虫喰い型の場合,歯槽部にとどまっていても骨髄腔内への癌の浸潤が予想されるため,区域切除が適応となる。

【背 景】

下顎歯肉癌は容易に骨への浸潤を起こすことから,下顎骨切除が適応される。切除範囲は術前画像診断による骨吸収像を基に決定されるが,骨吸収の深達度に骨吸収型を考慮して切除範囲を決定する必要がある。その適応基準について検討した。

【解 説】

下顎歯肉癌の外科的切除においては,画像診断を基にした骨吸収深達度,骨吸収型,さらに腫瘍の軟組織への進展様相が下顎骨切除範囲の決定に重要である1)〜5)20)[Ⅳ]。骨吸収型は,X 線学的には平滑型(pressure type)と虫喰い型(moth-eaten type),その中間型(mixed type)に分類することができ6)〜9)21)[Ⅳ],病理組織学的には圧迫型(expansive type)と浸潤型(invasive type)に分類される8)

X 線学的平滑型は100%が病理組織学的に圧迫型骨浸潤像を示すが,X 線学的虫喰い型は病理組織学的圧迫型が55%,浸潤型が45%と報告されている8)[Ⅳ]。また病理組織学的圧迫型では骨吸収が癌浸潤よりも先行し,癌浸潤境界と骨吸収面の間に線維性結合組織が介在するが,病理組織学的浸潤型では骨破壊に先行して骨髄腔内に癌が進展することが多い8)10)[Ⅳ]。骨吸収深達度ならびに骨吸収型と原発巣制御との関連について統計分析を行い,推奨できる外科療法を検討した報告では,T1 では原則的に辺縁切除を行い,下顎管に至らないT2,T3 症例では,骨吸収型が平滑型であれば辺縁切除が推奨されている2)[Ⅳ]。他の報告でも平滑型では,骨内にて比較的限局して腫瘍が存在していることから,おおむね同様の適応基準がとられている1)3)11)〜14)22)[Ⅳ]。一方,歯槽部であっても骨吸収型が虫喰い型であれば,骨髄腔内への広範な浸潤の可能性があるので区域切除が原則的に推奨される2)[Ⅳ]。しかし,再発の多くは周囲軟組織から起こりやすいこと11)12)14)〜18)23)[Ⅳ]から,虫喰い型であっても歯槽部の一部に限局していれば,辺縁切除が可能との意見もある12)[Ⅳ]。なお,骨浸潤が歯槽部にとどまっている場合でも周囲軟組織に高度に進展した場合には,区域切除が選択される。無歯部の萎縮した下顎骨は,辺縁切除では骨折を起こす可能性があるため区域切除が適応となる17)19)[Ⅳ]

【参考文献】

1) Politi, M., Costa, F., et al.: Review of segmental and marginal resection of the mandible in patients with oral cancer. Acta Otolaryngol 120: 569-579, 2000.[Ⅴ]

2) 藤林孝司:下顎歯肉癌の下顎管分類および下顎管分類と骨吸収様式に基づく下顎切除法.口腔腫瘍16:35-48,2004.[Ⅳ]

3) Wong, R.J., Keel, S.B., et al.: Histological pattern of mandibular invasion by oral squamous cell carcinoma. Laryngoscope 110: 65-72, 2000.[Ⅳ]

4) Wax, M.K., Bascom, D.A., et al.: Marginal mandibulectomy vs segmental mandibulectomy: indications and controversies. Arch Otolaryngol Head Neck Surg 128: 600-603, 2002.[Ⅴ]

5) Genden, E.M., Rinaldo, A., et al.: Management of mandibular invasion: when is a marginal mandibulectomy appropriate? Oral Oncol 41: 776-782, 2005.[Ⅴ]

6) 日本口腔腫瘍学会学術委員会編:下顎歯肉癌取り扱い指針−ワーキンググループ案(第1 版).口腔腫瘍19:37-124,2007.(追加論文)

7) Swearingen, A.G., McGraw, J.P., et al.: Roentgenographic pathologic correlation of carcionoma of the gingiva involving the mandible. Am J Roentgenol Radium Ther Nucl Med 96: 15-18, 1966.[Ⅳ](追加論文)

8) 出雲俊之:下顎歯肉癌の外科病理−下顎骨浸潤様式.口腔腫瘍13:223-228,2001.[Ⅳ]

9) Hong, S.X., Cha, I.H., et al.: Mandibular invasion of lower gingival carcinoma in the molar region: its clinical implications on the surgical management. Int J Oral Maxillofac Surg 30: 130-138, 2001.[Ⅳ]

10) Totsuka, Y., Usui, Y., et al.: Mandibular involvement by squamous cell carcinoma of the lower alveolus: analysis and comparative study of histologic and radiologic features. Head Neck 13: 40-50, 1991.[Ⅳ](追加論文)

11) Totsuka, Y., Usui, Y., et al.: Results of surgical treatment for squamous carcinoma of the lower alveolus: segmental vs. marginal resection. Head Neck 13: 114-120, 1991.[Ⅳ]

12) Tei, K., Totsuka, Y., et al.: Marginal resection for carcinoma of the mandibular alveolus and gingiva where radiologically detected bone defects do not extend beyond the mandibular canal. J Oral Maxillofac Surg 62: 834-839, 2004.[Ⅳ]

13) Werning, J.W., Byers, R.M., et al.: Preoperative assessment for and outcomes of mandibular conservation surgery. Head Neck 23: 1024-1030, 2001.[Ⅳ]

14) Nomura, T., Shibahara, T., et al.: Patterns of mandibular invasion by gingival squamous cell carcinoma. J Oral Maxillofac Surg 63: 1489-1493, 2005.[Ⅳ]

15) Ord, R.A., Sarmadi, M., et al.: A comparison of segmental and marginal bony resection for oral squamous cell carcinoma involving the mandible. J Oral Maxillofac Surg 55: 470-477, 1997.[Ⅳ](追加論文)

16) 草間幹夫,堀越 勝,他:下顎歯肉扁平上皮癌予後不良例についての臨床的検討.日口外誌35:258-264,1989.[Ⅳ]

17) O’Brien, C.J., Adams, J.R., et al.: Influence of bone invasion and extent of mandibular resection on local control of cancers of the oral cavity and oropharynx. Int J Oral Maxillofac Surg 32: 492-497, 2003.[Ⅳ]

18) 小野貢伸,鄭 漢忠,他:下顎歯肉癌再発例の臨床的検討.口腔腫瘍12:39-46,2000.[Ⅳ]

19) Dubner, S., Heller, K.S.: Local control of squamous cell carcinoma following marginal and segmental mandibulectomy. Head Neck 15: 29-32, 1993.[Ⅳ]

20) Muscatello, L., Lenzi, R., et al.: Marginal mandibulectomy in oral cancer surgery: a 13-year experience. Eur Arch Otorhinolaryngol 267: 759-764, 2010.[Ⅳ](追加論文)

21) 日本口腔腫瘍学会(編):口腔癌取扱い規約,第1 版,金原出版,2010,33 頁.

22) Nanbu, H., Tanaka, A., et al.: Clinical study on squamous cell carcinoma of the lower gingiva.日口診断誌 23: 171-175, 2010.[Ⅳ]

23) Patel, R.S., Dirven, R., et al.: The prognostic impact of extent of bone invasion and extent of bone resection in oral carcinoma. Laryngoscope 118: 780-785, 2008.[Ⅳ]

【文献検索】

初版時
(1)医中誌

①検索期間:1983-2007

②検索日:2007/6/18

③検索式:

  1. #1:((下顎腫瘍/TH AND 歯肉腫瘍/TH) OR (下顎歯肉癌/AL) OR (下顎歯肉扁平上皮癌/AL) AND (PT=症例報告除く, 会議録除く)) NOT (再建/AL) NOT (動脈内投与/TH OR 動注/AL)
  2. #2:#1 NOT (嚥下/TH OR 嚥下/AL) NOT (看護/TH OR 看護/AL) NOT (疼痛/TH OR 疼痛/AL)
  3. #3:#AND (CK=ヒト)

④検索件数:79件,除外件数:58件,追加件数:11件

(2)PubMed

①検索期間:1970-2007

②検索日:2007/6/18

③検索式:

  1. #1:mandibular neoplasm OR mandibular carcinoma NOT reconstruction NOT osteoradionecrosis NOT rehabilitation AND mandibulectomy Limits: Humans, English, Japanese
  2. #2:mandibular neoplasm OR mandibular carcinoma AND mandibular canal AND bone invasion
  3. #3:#1 OR #2

④検索件数:70件,除外件数:43件,追加件数:3件

改訂時
(1)医中誌

①検索期間:2007-2011

②検索日:2011/8/1

③検索式:

  1. #1:(((下顎腫瘍 /TH OR 下顎腫瘍 /AL) AND (歯肉腫瘍/TH OR 歯肉腫瘍/AL)) OR ((下顎腫瘍/TH AND 歯肉腫瘍/TH) OR 下顎歯肉癌/AL) OR 下顎歯肉扁平上皮癌/AL NOT 再建/AL NOT (動注内投与/AL or (動脈内投与/TH or 動注/AL))) AND (DT = 2007:2011 PT =症例報告除く, 会議録除くCK =ヒト)
  2. #2:#1 NOT (嚥下/TH OR 嚥下/AL) NOT (看護/TH OR 看護/AL) NOT (疼痛/TH OR疼痛/AL) 26

④検索件数:26 件,除外件数:25 件,追加件数:1 件

(2)PubMed

①検索期間:2007-2011

②検索日:2011/7/2

③検索式:

  1. #1:mandibular neoplasm OR mandibular carcinoma NOT reconstruction NOT osteoradionecrosis NOT rehabilitation AND mandibulectomy Limits: Humans, English, Japanese
  2. #2:mandibular neoplasm OR mandibular carcinoma AND mandibular canal AND bone invasion Limits: Humans, English, Japanese
  3. #3:#1 OR #2

④検索件数:24 件,除外件数:23 件,追加件数:1 件


Ⅰb.外科療法−再建術

口腔癌治療において再建術を行う目的は,手術などで生じた組織欠損を修復することにより,術後の機能障害や整容障害をできるだけ軽減し,QOL を向上させることにある。口腔癌切除による組織欠損は軟組織や硬組織(顎骨)に生じ,さまざまな再建方法が報告されているが(表4-4),安全性が高く,長期的な機能・整容の回復に優れた方法が望まれる。しかし,再建術は適応やその評価方法など標準化が難しく,エビデンスを得るのは困難である。

再建を行う時期には,腫瘍切除と同時に行われる即時再建(一次再建)と,時期を異にして行われる二次再建がある。再建方法,再建時期は欠損の状態に応じて決定されるが,患者の年齢,全身状態,社会生活なども考慮される。

1 軟組織の再建方法(表4-4

軟組織の欠損修復で重要なことは,残存組織の機能維持が可能な方法を選択することである.そのため,小さな組織欠損の場合は,単純縫縮が術後機能にとって最も有用な方法であることも多い1)〜3)。しかし,単純縫縮により組織欠損部を閉鎖することが困難である場合や,組織移植が術後機能の向上に寄与すると考えられる場合には,再建手術を選択することになる。再建方法には,植皮,粘膜移植,局所粘膜弁,有茎(筋)皮弁,遊離組織移植などがある。現在でも有茎(筋)皮弁の有用性は高く評価されており,頸部島状皮弁,広頸筋皮弁,D-P 皮弁,大胸筋皮弁,広背筋皮弁などが用いられている。一方血管柄付き遊離組織移植は,顎口腔から遠隔領域の皮膚・筋肉・骨などを,大きさ・量を調節しながら移植することが可能であること,移植組織の自由度が高いこと,さらに血行が良好なことから,軟組織の再建に現在最も多く使用されている。口腔再建では,前腕皮弁,前外側大腿皮弁,腹直筋皮弁の使用頻度が高い4)〜9)

表4-4 現在使用される主な顎口腔再建材料
軟組織の再建 顎骨の再建
①自家組織片移植

皮膚移植
粘膜移植

②局所弁

舌弁
頬筋粘膜弁
口蓋弁
有茎脂肪体移植
鼻唇溝皮弁 など

③有茎(筋)皮弁

頸部島状皮弁
D-P 皮弁
広頸筋皮弁
大胸筋皮弁
広背筋皮弁 など

④血管柄付き遊離組織移植

前腕皮弁
前外側大腿皮弁
腹直筋皮弁
広背筋皮弁 など

①自家骨片移植

ブロック骨:腸骨
骨髄海綿骨細片(PCBM):腸骨,脛骨
処理自家骨:凍結骨,煮沸骨

②人工生体材料

金属:チタンプレート,チタンメッシュ*
高分子材料:ポリ-L-乳酸メッシュ*
*メッシュはPCBM の保持のために使用される。

③血管柄付き遊離骨(皮)弁

腓骨(皮)弁
肩甲骨(皮)弁
肩甲骨付き遊離広背筋皮弁
腸骨(皮)弁 など

再建組織の選択は,組織欠損量や形態に応じて決定される(CQ4-6)。舌癌では,舌半側切除の場合,残存舌の運動を障害しないことが術後機能に有利とされ,比較的薄い皮弁である前腕皮弁や前外側大腿皮弁などが用いられる3)11)。舌亜全摘出や舌全摘出では,再建舌と口蓋・咽頭との接触を容易にして構音,嚥下機能の回復を図ることが重要であるため,容量があり,かつ長期的形態維持が可能である腹直筋皮弁が最も有用である4)23)24)。舌の前方切除では再建を行っても機能障害は高度であり13),両側の舌骨上筋群・舌下神経切除例では,特に高齢者においては重篤な嚥下障害が残遺することがある14)。さらに,頬粘膜癌の皮膚進展例などでは口腔・皮膚側の全層再建が必要となるため,折り返した皮弁や2 皮島皮弁,または2 つの皮弁が同時に用いられる25)26)35)

2 顎骨の再建方法(表4-4

下顎および上顎再建における骨再建材料の中で,血管柄付き遊離骨弁は,living bone であるため感染に強く,放射線治療などにより移植床の血行が不良である場合や,顎骨の欠損量が大きい場合などに有利である15)。現在では,腓骨,肩甲骨,腸骨が顎骨再建に多く使用されているが,移植骨の選択には明確な基準はなく,それぞれの特徴をよく理解したうえで選択する必要がある16)〜18)。また,口腔癌では顎骨と共に軟組織が大きく合併切除されることが多いため,腓骨皮弁,肩甲骨皮弁,肩甲骨付き遊離広背筋皮弁など,複合組織移植として用いられることが多い(CQ4-7)。

自家骨片移植の場合,ブロックや骨髄海綿骨細片(particulate cancellous bone and marrow: PCBM)として用いられ,前腸骨稜,後腸骨稜などから採取される。PCBM の保持にはチタンメッシュやポリ-L-乳酸(poly L-lactic acid: PLLA)メッシュが使用される19)27)28)。再建プレートには主にチタンプレートが用いられ,骨移植までの暫間的な再建材料として利用される20)21)が,長期使用例もある。

下顎再建では,下顎辺縁切除後に歯科インプラントや顎義歯などによる最終的な咬合再建を目的として,二次的骨移植,骨延長28)などを併用した顎堤形成術などを行うことがある。下顎区域切除後は下顎骨の連続性が失われるため,下顎偏位による咀嚼障害や顔貌の変形を引き起こす。現在は下顎の一次再建では血管柄付き遊離骨皮弁移植が広く行われているが,再建プレートと軟組織(皮弁や筋皮弁)の併用,軟組織のみの移植も行われる23)30)〜35)CQ4-7)。自家骨片移植の即時再建では,感染のリスクを考慮して口腔粘膜側が確実に閉鎖されることが要件である。二次再建には自家骨片移植か血管柄付き遊離骨移植が主に用いられる21)22)。初回の手術時間は短縮できるが,複数回の手術となり,瘢痕拘縮のため下顎の位置や形態の回復が困難なことがある。また,血管柄付き遊離骨移植では,移植床に吻合用血管がないと再建そのものが不可能となる場合もある。下顎再建による機能回復に関しては,下顎の連続性が回復しても,上下歯列の咬合関係,周囲軟組織の可動状態,残存歯数などの因子がより強く反映されるため,症例ごとにその回復程度は異なる(図4-10:下顎再建アルゴリズム)。

上顎再建の場合,欠損部が大きいと軟組織再建のみでは皮弁の下垂や容量過多などから顎義歯が不安定となる36)〜38)。そのため,血管柄付き遊離骨皮弁を用いた再建が導入され39)〜42),歯科インプラントを併用することにより,顎義歯は飛躍的に安定性を増した38)43)44)。硬口蓋や歯槽部が残存し歯があれば,皮弁による閉鎖よりも顎義歯が有効であると考えられる40)45)〜47)

図4-10 下顎再建アルゴリズム

【参考文献はガイドライン誌『科学的根拠に基づく 口腔癌診療ガイドライン2013 年版』
(金原出版刊行物)添付CD-ROMに収録】


CQ 4-6
舌癌切除後欠損に対する再建方法で,遊離組織移植(血管柄付き組織移植)は有茎(筋)皮弁に比べて術後の機能は優れているか?
推奨グレードC1

舌癌の術後機能については,舌半側切除後の構音機能における前腕皮弁の有用性が報告されているが,遊離組織移植が有茎(筋)皮弁に比べて機能的に優れているとする高いレベルのエビデンスはない。

【背 景】

舌癌切除術後の機能回復には,舌半側までの切除では残存舌の可動性が重要とされている。一方,舌亜全摘出・舌全摘出では皮弁容量による再建舌と口蓋・咽頭接触が重要とされている1)〜3)[Ⅳ]。遊離組織移植は有茎皮弁に比べて皮弁位置の制限や下方への牽引が少なく皮弁デザインのバリエーションも多いため,再建上の工夫が容易であり術後機能回復にも有利と考えられている4)5)[Ⅴ]

【解 説】

舌半側切除後の100 音節発語明瞭度評価を行った報告6)では,縫縮:51.2%,D-P 皮弁:67.5%,有茎筋皮弁:77.1%,前腕皮弁:86.3%であり,前腕皮弁による再建群が良好であったが,有茎筋皮弁との間に統計学的有意差はなかったとしている[Ⅳ]。大胸筋皮弁と前腕皮弁による舌癌再建術後の機能評価では,発語機能は前腕皮弁が優れていたが,嚥下機能は再建方法よりも切除範囲による影響が大きかったとの報告がある7)[Ⅳ]。可動部舌半側切除の前腕皮弁,腹直筋皮弁,大胸筋皮弁による再建後の簡易機能評価法では,前腕皮弁が優れていた4)[Ⅴ]。一方,舌・中咽頭癌切除後に腹直筋皮弁,大胸筋皮弁,前外側大腿皮弁による再建と誤嚥防止術を行った症例の経口摂取の可否の判定では,舌根の切除範囲と年齢(60 歳以上)が影響し,再建材料による差は明らかではなかったとの報告がある8)[Ⅳ]。また,舌切除範囲をマッチングさせた症例の遊離皮弁と有茎筋皮弁の嚥下機能,構音機能を比較した結果,明らかな差は認められなかったとする報告もある9)[Ⅳ]

現在,舌癌切除後の再建には遊離組織移植が第一選択となることが多い。しかし,術後機能の改善には,切除範囲として欠損形態を考慮した再建が必要であり,有茎(筋)皮弁の有用性も高く,それぞれの再建材料の特性を理解して選択することが重要と考えられる。

【参考文献】

1) Bressmann, T., Sader, R., et al.: Consonant intelligibility and tongue motility in patients with partial glossectomy. J Oral Maxillofac Surg 62: 298-303, 2004.[Ⅳ](追加論文)

2) Hsiao, H.T., Leu, Y.S., et al: Tongue reconstruction with free radial forearm flap after hemiglossectomy: a functional assessment. J Reconstr Microsurg 19: 137-142, 2003.[Ⅴ]

3) Kimata, Y., Sakuraba, M., et al.: Analysis of the relations between the shape of the reconstructed tongue and postoperative functions after subtotal or total glossectomy. Laryngoscope 113: 905-909, 2003.[Ⅳ]

4) 川口浩司,佐藤淳一,他:可動部舌半側切除術に伴う再建法の評価. 頭頸部腫瘍30:105-110, 2004.[Ⅴ]

5) Uwiera, T., Seikaly, H., et al.: Functional outcomes after hemiglossectomy and reconstruction with a bilobed radial forearm free flap. J Otolaryngol 33: 356-359, 2004.[Ⅴ]

6) 今野昭義,花沢 秀,他:舌切除後の舌・口腔底再建術と術後の構音機能および咀嚼機能の評価.耳鼻と臨34:1393-1408,1988.[Ⅳ]

7) Su, W.F., Hsia, Y.J., et al.: Functional comparison after reconstruction with a radial forearm free flap or a pectoralis major flap for cancer of the tongue. Otolaryngol Head Neck Surg 128: 412-418, 2003.[Ⅳ]

8) 藤本保志,長谷川泰久,他:口腔・中咽頭がん広範囲切除における誤嚥防止術式の有用性と限界.日耳鼻101:307-311,1998.[Ⅳ](追加論文)

9) McConnel, F.M., Pauloski, B.R., et al.: Functional results of primary closure vs flaps in oropharyngeal reconstruction: a prospective study of speech and swallowing. Arch Otolaryngol Head Neck Surg 124: 625-630, 1998.[Ⅳ](追加論文)

【文献検索】

初版時
(1)医中誌

①検索期間 :1983-2007

②検索日:2007/6/10

③検索式: (舌腫瘍/TH OR 舌癌/AL) AND (外科的皮膚弁/TH OR 遊離皮弁/AL OR 有茎皮弁/AL) AND (PT=症例報告除く,会議録除く)

④検索件数:25件,除外件数:18件,追加件数:1件

(2)PubMed

①検索期間:1987-2007

②検索日:2007/6/18

③検索式:tongue neoplasms AND surgical flaps AND function* NOT laryngectomy, Limits: Humans, English

④検索件数:19件,除外件数:7件,追加件数:3件

改訂時
(1)医中誌

①検索期間 :2008-2011

②検索日:2011/10/10

③検索式: (舌腫瘍/TH OR 舌癌/AL) AND (外科的皮膚弁/TH OR 遊離皮弁/AL OR 有茎皮弁/AL) AND(PT =症例報告除く,会議録除く)

④検索件数:2 件,除外件数:0 件

(2)PubMed

①検索期間:2008-2011

②検索日:2011/10/10

③検索式:tongue neoplasms AND surgical flaps AND function* NOT laryngectomy, Limits: Humans, English

④検索件数:20 件,除外件数:7 件


CQ 4-7
血管柄付き骨移植を用いた下顎再建は他の方法と比較して優れているか?
推奨グレードC1

血管柄付き骨移植は,他の方法と比較して多くの利点を有し,特に下顎区域切除後の一次再建においては第一選択と考えられる。

【背 景】

下顎の一次再建では,成功率が高いこと,充分な骨量が得られること,欠損部位に応じて微細な形態付与が可能であること,術後の咬合再建が容易になることなど,多くの利点を有していることから,血管柄付き骨皮弁移植が最適と考えられる。しかし,患者の年齢や合併症,癌の進行度,術後機能,下顎骨や周囲組織の切除範囲などを考慮して,他の方法も選択される。

【解 説】

下顎の一次再建は,整容的,機能的回復を目的として,血管柄付き骨皮弁移植,下顎再建プレートと軟組織(皮弁や筋皮弁)の併用,軟組織のみの移植の3 方法に大別される。その中で,信頼性の高さや術後の咬合再建(インプラント等)の容易さ等から,血管柄付き骨皮弁による再建が第一選択とされる1)〜5)[Ⅳ]。肩甲骨,腓骨,腸骨など,再建骨の選択は,各骨弁の特徴および付随する皮弁の特徴を理解し,最も使いなれたものを選択すべきである6)[Ⅴ]。下顎区域切除後の再建では,患者の年齢や基礎疾患によって血管吻合や長時間手術が不可能な場合は,再建プレートと軟組織を併用した再建が行なわれる場合がある。この場合のプレート関連合併症は側方欠損では5〜33%,前方欠損では35〜56%と報告され,プレート露出や感染,破折が多く,下顎骨欠損は可及的に骨弁による再建を行うべきであるとの意見がある7)8)[Ⅳ]。プレート関連合併症を回避するための対策も報告されている9)10)[Ⅳ]。一方,全身状態不良例や下顎半側切除と軟組織の広範合併切除症例など,下顎再建全体の5%を遊離腹直筋皮弁のみで再建し,良好な顔貌と許容できる術後機能を得たとする報告もある11)[Ⅴ]。さらに,下顎骨後方切除(下顎体臼歯部から下顎枝)の機能障害は,骨欠損より軟組織欠損が主原因であるため,遊離腹直筋皮弁のみの充填で良いとする報告があり,良好な顔貌,構音,嚥下機能が得られている12)[Ⅴ]。しかし,オトガイを含む前方部欠損は,顔貌や口腔の機能,気道確保の点から下顎連続性再建は絶対的適応であり,プレート関連合併症の頻度の高さから,血管柄付き遊離骨皮弁移植が推奨されている13)14)[Ⅳ]

【参考文献】

1) Takushima A, Harii K., et al.: Mandibular reconstruction using microvascular free flaps: a statistical analysis of 178 cases. Plast Reconstr Surg 108: 1555-1563, 2001.[Ⅳ]

2) 櫻庭 実,浅野隆之,他:下顎再建の方法−選択と問題点. 日本マイクロ誌 20: 287-292,2007.[Ⅳ]

3) 中川雅裕,飯田拓也,他:下顎切除後の硬性再建を行なわない遊離皮弁単独再建.頭頸部癌 34: 482-487,2008.[Ⅳ]

4) 上田倫弘,山下徹郎,他:肩甲骨皮弁による下顎再建−下顎再建の範囲と咬合・摂食機能.頭頸部癌 35: 337-343,2009.[Ⅳ]

5) 小村 健,原田浩之,他:遊離血管柄付き骨による下顎再建.口腔腫瘍 22: 61-68,2010.[Ⅳ]

6) 又賀 泉:口腔癌切除後顎骨再建とインプラントの応用の現状.Hosp Dent (Tokyo) 14: 83-98,2002.[Ⅴ]

7) Boyd, J.B., Mulholland, R.S., et al.: The free flap and plate in oromandibular reconstruction: longterm review and indications. Plast Reconstr Surg 95: 1018-1028, 1995.[Ⅳ](追加論文)

8) Wei, F.C., Celik, N., et al.: Complications after reconstruction by plate and soft-tissue free flap in composite mandibular defects and secondary salvage reconstruction with osteocutaneous flap. Plast Reconstr Surg 112: 37-42, 2003.[Ⅴ]

9) Yokoo, S., Komori, T., et al.: Indications for vascularized free rectus abdominis musculocutaneous flap in oromandibular region in terms of efficiency of anterior rectus sheath. Microsurgery 23: 96- 102, 2003.[Ⅴ](追加論文)

10) Chepeha, D.B., Teknos, T.N., et al.: Lateral oromandibular defect: when is it appropriate to use a bridging reconstruction plate combined with a soft tissue revascularized flap? Head Neck 30: 709-717, 2008.[Ⅳ]

11) Disa, J.J., Pusic, A.L., et al.: Simplifying microvascular head and neck reconstruction: a rational approach to donor site selection. Ann Plast Surg 47: 385-389, 2001.[Ⅴ](追加論文)

12) Kroll, S.S., Robb, G.L., et al.: Reconstruction of posterior mandibular defects with soft tissue using the rectus abdominis free flap. Br J Plast Surg 51: 503-507, 1998.[Ⅴ](追加論文)

13) 櫻庭 実,浅野隆之,他:下顎再建プレートと遊離組織移植を用いた下顎再建例の検討.日本マイクロ誌 19: 357-362,2006.[Ⅳ]

14) Bianchi, B., Ferri, A., et al.: Reconstruction of anterior through and through oromandibular defects following oncological resections. Microsurgery 30: 97-104, 2010.[Ⅳ](追加論文)

【文献検索】

改訂時
(1)医中誌

①検索期間:1997-2011

②検索日:2011/9/1

③検索式:下顎再建(PT =症例報告除く,会議録除く)

④検索件数:96 件,除外件数:81 件

(2) PubMed

①検索期間:1997-2011

②検索日:2011/9/1

③検索式:oromandibular reconstruction AND bone AND soft-tissue AND plate, Limits: Humans, English, Cancer

④検索件数:11 件,除外件数:1 件,追加件数:5 件


Ⅱ.放射線療法

放射線治療を目的別に分類すると,単独で根治をねらう根治治療,術前に腫瘍の縮小や不活化をはかる術前治療,術後に腫瘍の再発を防ぐための術後療法,腫瘍の根治は望まないが,症状の緩和やQOL を上げるための緩和的・姑息的治療となる。ここでは,特に根治的放射線治療について記載する。

口腔癌の放射線治療を治療手段により分けると,外部照射と小線源治療とになる。外部照射単独の治療成績が外科手術に匹敵するという報告はほとんどなく(化学療法併用外部照射は別項で述べる),根治性を求めるうえでは小線源を主体とした治療が選択される1)〜4)。初診時に頸部リンパ節転移が存在する場合は,一般的には原発巣と頸部リンパ節を同時に治療できる手術が選択される。

1 小線源治療

小線源治療は機能・形態を温存できる治療法として定着している。

小線源治療には腫瘍に近接して線源を配置し照射するモールド照射,腫瘍内に線源を刺入する組織内照射,腔内にアプリケーターを挿入して照射する腔内照射がある5)〜7)。舌など軟部組織には組織内照射が行われる。口蓋や頬粘膜の表在性腫瘍にはモールド照射が行われる。小線源治療に先行して外部照射が行われることもある。

小線源治療は,線量率により,従来から使用されている低線量率治療4)8)と近年使用されるようになった高線量率治療8)に分けられる。

a.低線量率の組織内照射

1)針状線源

針状線源には192Ir,137Cs がある。通常は1 cm 以内の厚さの腫瘍であれば1 平面刺入,1 cm から2 cm 程の厚みの腫瘍であれば2 平面刺入,それ以上の厚みがあれば立体刺入を行う9)192Ir の場合は最初にガイドピンを挿入し線源配列を確認した後に本線源と置換する(後装填法)ため,術者の被曝は軽減される。しかし,半減期が74 日と短く,供給された直後には137Cs と比較して線量率が高いので,短時間での抜針が必要となる場合がある。通常,1 週間で70 Gy を照射するが,192Ir では線量率が変わっても70 Gy 照射すれば制御率は変わらないと報告されている10)。従来使用されていた226Ra の廃棄が勧告されたことや,137Cs 針の製造が中止されたために,192Ir による高線量率組織内照射に移行しつつある。

2)粒状線源

粒状線源には198Au グレインがある。198Au グレインは大きさがφ0.8 mm×2.5 mm で半減期が2.7日と短いために,永久刺入用線源として使用されている。舌の可動性も妨げず,針状線源の使用が難しい症例にも適応される。線量分布の均等性を保つために表在性の小さな腫瘍が適応となる11)〜14)

b.高線量率の組織内照射

高線量率組織内照射は,低線量率組織内照射の欠点である術者の被曝や,放射線管理病棟での患者管理等の短所を克服した治療法である4)15)〜18)。線源としては高線量の192Ir が使用される。分割方法,総線量,術式等はまだ確立されていないが,1 日2 回照射,1 回6 Gy,総線量60 Gy で良好な成績も報告されている18)

c.小線源治療の適応11)〜3)19)〜33)

一般的に,T1N0,earlyT2N0 で,腫瘍の厚さが1.0 cm を超えず,1 平面刺入で治療が可能な症例が適応となる。原発巣制御率は約 90%である1)〜3)19)〜26)CQ4-8)。T3N0 症例や腫瘍の厚さが1.0 cm を超える症例でも,外部照射単独と比較して制御率は高く,適応の可能性はあるが2)27)28),その適応については放射線治療医と検討すべきである。舌癌では有害事象もスペーサーの使用で予防可能となっている。

2 外部照射法

X 線やγ線を用いた従来型の外部照射単独で根治は期待できない。近年では高精度の強度変調照射法(IMRT)が開発され34)35),粒子線治療36)37)とともに進行癌の治療にも期待が寄せられている。

【参考文献はガイドライン誌『科学的根拠に基づく 口腔癌診療ガイドライン2013 年版』
(金原出版刊行物)添付CD-ROMに収録】


CQ 4-8
舌癌T1,T2 症例に対する組織内照射は手術療法と同等の原発巣制御率が得られるか?
推奨グレードB

1 平面刺入組織内照射が行える厚さ1 cm 未満の腫瘍であれば,手術療法と同等の90%程度の原発巣制御率が得られる。しかし,厚さが1 cm を超える腫瘍では,組織内照射より手術療法が勧められる。

【背 景】

組織内照射は舌の機能と形態を温存できる治療法として,従来から手術療法と同等に行われてきた。

【解 説】

舌癌の低線量率組織内照射で,T1 症例は86〜93%,T2 症例では65〜80%程度の原発巣制御率が報告されている1)〜8)10)〜14)[Ⅲ]。しかし,T2 症例では腫瘍の大きさにより制御率が異なり,early T2 では81〜83%,lateT2 では72〜80%となり,腫瘍が大きくなるにつれ原発巣制御率が低下するとの報告もある3)9)[Ⅳ]

また,192Ir を利用した高線量率組織内照射においても,低線量率組織内照射と同等の原発巣制御率を報告している施設もある2)5)[Ⅲ]

【参考文献】

1) Umeda, M., Komatsubara, H., et al.: A comparison of brachytherapy and surgery for the treatment of stage Ⅰ-Ⅱ squamous cell carcinoma of thetongue. Int J Oral Maxillofac Surg 34: 739-744, 2005.[Ⅳ]

2) Rudoltz, M.S., Perkins, R.S., et al.: High-dose-rate brachytherapy for primary carcinomas of the oral cavity and oropharynx. Laryngoscope 109: 1967-1973, 1999.[Ⅳ]

3) Fujita, M., Hirokawa, Y., et al.: Interstitial brachytherapy for stage Ⅰ and Ⅱ squamous cell carcinoma of the oral tongue: factors influencing local control and soft tissue complications. Int J Radiat Oncol Biol Phys 44: 767-775, 1999.[Ⅳ]

4) Matsuura, K., Hirokawa, Y., et al.: Treatment results of stage Ⅰ and Ⅱ oral tongue cancer with interstitial brachytherapy: maximum tumor thickness is prognostic of nodal metastasis. Int J Radiat Oncol Biol Phys 40: 535-539, 1998.[Ⅳ]

5) Inoue, T., Inoue, T., et al.: Phase Ⅲ trial of highvs low-dose-rate interstitial radiotherapy for early mobile tongue cancer. Int J Radiat Oncol Biol Phys 51: 171-175, 2001.[Ⅲ]

6) Dearnaley, D.P., Dardoufas, C., et al.: Interstitial irradiation for carcinoma of the tongue and floor of mouth: Royal Marsden Hospital Experience 1970-1986. Radiother Oncol 21: 183-192, 1991.[Ⅳ]

7) Harrison, L.B.: Applications of brachytherapy in head and neck cancer. Semin Surg Oncol 13: 177-184, 1997.[Ⅳ]

8) Pernot, M., Malissard, L., et al.: The study of tumoral, radiobiological, and general health factors that influence results and complications in a series of 448 oral tongue carcinomas treated exclusively by irradiation. Int J Radiat Oncol Biol Phys 29: 673-679, 1994.[Ⅳ]

9) Shibuya, H., Hoshina, M., et al.: Brachytherapy for stage Ⅰ & Ⅱ oral tongue cancer: an analysis of past cases focusing on control and complications. Int J Radiat Oncol Biol Phys 26: 51-58, 1993.[Ⅳ]

10) 児玉久幸,和田崎晃一,他:Ⅰ 期,Ⅱ 期舌癌に対する組織内照射の治療成績.広島医学 60:13-17,2007.[Ⅳ]

11) 中島寅彦,中村和正,他:早期舌癌に対する手術療法の治療成績−放射線治療との比較.日耳鼻113:456-462,2010.[Ⅳ]

12) Yamazaki, H., Yoshida, K., et al.: Age is not a limiting factor for brachytherapy for carcinoma of the node negative oral tongue in patients aged eighty or older. Radiat Oncol 5: 116, 2010.[Ⅳ]

13) Khalilur, R., Hayashi, K., et al.: Brachytherapy for tongue cancer in the very elderly is an alternative to external beam radiation. Br J Radiol 84: 747-749, 2011.[Ⅳ]

14) Oota, S., Shibuya, H., et al.: Brachytherapy of stage Ⅱ mobile tongue carcinoma. Prediction of local control and QOL. Radiat Oncol 1: 21, 2006.[Ⅳ]

【文献検索】

初版時
(1)医中誌

①検索期間:1987-2007

②検索日:2007/8/30

③検索式:(((舌腫瘍/TH OR 舌癌/AL) AND (放射線療法/TH OR 放射線治療/AL)) OR (口腔腫瘍/TH OR 口腔癌/AL)) AND ((近距離照射治療法/TH OR 小線源治療/AL) OR (近距離照射治療法/TH OR 組織内照射/AL))

④検索件数:9 件,除外件数:9 件,追加件数:0 件

(2)PubMed

①検索期間:1987-2007

②検索日:2007/5/21

③検索式:(oral cancer or tongue cancer) AND (scc or squamous cell carcinoma) AND (radiotherapy or radiationtherapy) AND (interstitial radiotherapy or brachyterapy)

④検索件数:199 件,除外件数:124 件,追加件数:7 件

改訂時
(1)医中誌

①検索期間:2007-2011

②検索日:2011/9/21

③検索式:(((舌腫瘍/TH OR 舌癌/AL) AND (放射線療法/TH OR 放射線治療/AL)) OR (口腔腫瘍/TH OR 口腔癌/AL)) AND ((近距離照射治療法/TH OR 小線源治療/AL) OR (近距離照射治療法/TH OR 組織内照射/AL))

④検索件数:23 件,除外件数:21 件,追加件数:0 件

(2)PubMed

①検索期間:2007-2011

②検索日:2011/9/21

③検索式:(oral cancer or tongue cancer) AND (scc or squamous cell carcinoma) AND (radiotherapy or radiationtherapy) AND (interstitial radiotherapy or brachyterapy)

④検索件数:33 件,除外件数:31 件,追加件数:1 件


Ⅲ.化学放射線療法

口腔癌の治療では咀嚼,嚥下,構音機能の温存や整容面から臓器温存が強く望まれる。近年では,進行癌に対して化学療法と放射線療法を同時に行う化学放射線療法(CCRT)を施行し,完全寛解が得られた場合には手術を回避し,効果が得られなかった場合にのみ救済手術を施行するという治療体系がとられるようになってきている(CQ4-9)。

切除可能進行例に対しては,口腔癌(舌癌)の原発巣に対する本療法の臨床的効果と組織学的効果の相関性が認められ,臨床的効果の高い症例での手術回避や縮小手術の可能性が示されており,臓器・機能温存療法として期待されている1)〜3)。また,下咽頭癌や喉頭癌においては,放射線療法単独に比べて生存率の向上は認められないものの,原発部位や頸部の臓器温存率が有意に上昇したという報告がある4)5)CQ4-10)。

一方,切除不能進行例に対しては,口腔癌を含む頭頸部癌において多数の第Ⅲ相比較試験があり,放射線療法単独に比べて粘膜炎や骨髄抑制などの副作用の増強は認められるが,原発巣・頸部制御率,生存率は有意に優れており,標準的治療法と考えられている6)7)CQ4-11)。

なお,化学療法のレジメンや放射線照射法については,各施設の医療倫理委員会の承認を得ることが望ましい。

1 併用方法

口腔癌を含めた頭頸部癌に対する併用方法としては,放射線と同時に化学療法を施行する同時併用(concurrent),放射線治療前もしくは後に施行する継続併用(sequential),そして放射線治療と交互に行う交替療法(alternating)の3 法があり,この中では同時併用法が最も有効とされている8)9)。特に切除不能症例や機能温存治療においては,CCRT が標準的治療法と考えられている6)10)

放射線照射の分割法では,多分割照射(hyperfractionation)との同時併用が有用との報告があるが7)11),結論を得るまでには至っていない。

2 併用される抗腫瘍薬

代謝拮抗剤として5-FU,UFT,テガフール,MTX などが使用されていたが,最近では,テガフールを基盤としたS-1 も用いられている。また,抗生物質ではBLM やPEP が,白金製剤ではCDDP,CBDCA,CDGP などが使用される。また,植物アルカロイドとしてはdocetaxel(DTX)が用いられるが,通常多剤が併用される。

現在,口腔癌を含む頭頸部癌においては,白金製剤をベースとするCCRT が,他剤をベースとするCCRT に比べて明らかに予後を改善することが示されている9)。しかし,CDDP 単独と多剤併用によるCCRT の十分な比較試験は行われていない。最近では分子標的治療薬との併用の臨床試験も行われており2)13)14),一部の頭頸部癌に放射線療法に対する上乗せ効果が示されている19)

3 投与方法

薬剤の投与方法としては,従来から経静脈的な全身投与と,浅側頭動脈等を介する動脈内投与が行われてきた。最近は抗腫瘍薬の腫瘍内濃度をより高くすることを目的に,腫瘍支配血管を経由した超選択的動注化学療法と放射線療法との併用が行われている。この超選択的動注化学放射線療法では臓器・機能温存が期待できるが,現時点では従来法との無作為化比較試験による検討はない15)〜18)CQ4-12)。カテーテルの挿入方法には,浅側頭動脈あるいは後頭動脈経由で挿入する方法と,大腿動脈からのSeldinger 法とがある。抗腫瘍薬としてCDDP をhigh dose で動注し,中和剤としてチオ硫酸ナトリウムを静注する。動注は週1 回,計4 回施行し,放射線は2 Gy/日で週5 回,計70 Gy を照射するRADPLAT 法が代表的な治療法である20)。支配血管が複数の場合には,カテーテルの入れ替えや2 経路からの動注等の工夫が必要となる21)22)

【参考文献はガイドライン誌『科学的根拠に基づく 口腔癌診療ガイドライン2013 年版』
(金原出版刊行物)添付CD-ROMに収録】


CQ 4-9
進行口腔癌において,化学放射線療法は根治治療として応用することが可能か?
推奨グレードB

化学放射線療法(CRT)は進行癌を中心に施行され,切除可能症例に対しては手術回避または縮小手術による臓器・機能温存療法として期待されている。また切除不能症例においては,放射線療法単独に比べて原発巣・頸部制御率,生存率ともに有意に優れているため,標準的治療法であると考えられる。

【背 景】

口腔癌を含む頭頸部癌に対する治療は従来から手術や放射線治療が中心に行われ,進行癌には手術,放射線,化学療法を組み合わせた集学的治療が行われている。進行癌における標準的治療は手術が主体となるが,最近CCRT の高い治療効果が多く報告され,CCRT の臓器・機能温存療法としての意義が高まっている。

【解 説】

放射線治療や化学療法の進歩とともに両者の併用によるCRT が広く行われ,切除可能進行症例においては,手術の回避や縮小手術による臓器・機能温存を目指す治療に応用されている。また,切除不能症例においては,CRT が原発巣・頸部制御率,生存率ともに放射線療法単独に比較して有意に優れていることから,CRT が標準的治療法と考えられている1)2)[Ⅱ]。併用方法からはCCRT が最も効果が高いことが報告されている3)4)[Ⅰ]。最近では,CCRT 前の導入化学療法も検討され,それによりCR 率が有意に向上することが報告されている7)[Ⅱ]。抗腫瘍薬としては,白金製剤が他剤に比べ明らかに予後の改善につながり4),白金製剤にdocetaxel や5-FU を組み合わせた多剤併用も行われている8)[Ⅱ]。また,腫瘍支配血管を経由した超選択的動注化学療法との併用も行われ,原発巣と頸部リンパ節における高い治療効果と,それに伴う臓器・機能温存の可能性および根治治療としての可能性が報告されている5)6)9)[Ⅲ]

【参考文献】

1) Wendt, T.G., Grabenbauer, G.G., et al.: Simultaneous radiochemotherapy versus radiotherapy alone in advanced head and neck cancer: a randomized multicenter study. J Clin Oncol 16: 1318-1324, 1998.[Ⅱ]

2) Adelstein, D.J., Li, Y., et al.: An intergroup phase Ⅲ comparison of standard radiation therapy and two schedules of concurrent chemoradiotherapy in patients with unresectable squamous cell head and neck cancer. J Clin Oncol 21: 92-98, 2003.[Ⅱ]

3) Pignon, J.P., Bourhis, J., et al.: Chemotherapy added to locoregional treatment for head and neck squamous-cell carcinoma: three meta-analyses of updated individual data. MACH-NC Collaborative Group. Meta-Analysis of Chemotherapy on Head and Neck cancer. Lancet 355: 949-955, 2000.[Ⅰ]

4) Browman, G.P., Hodson, D.I., et al.: Choosing a concomitant chemotherapy and radiotherapy regimen for squamous cell head and neck cancer: A systematic review of the published literature with subgroup analysis. Head Neck 23: 579-589, 2001.[Ⅱ]

5) Robbins, K.T., Kumar, P., et al.: Efficacy of targeted supradose cisplatin and concomitant radiation therapy for advanced head and neck cancer: the Memphis experience. Int J Radiat Oncol Biol Phys 38: 263-271, 1997.[Ⅳ]

6) Robbins, K.T., Kumar, P., et al.: Supradose intraarterial cisplatin and concurrent radiation therapy for the treatment of stage IV head and neck squamous cell carcinoma is feasible and efficacious in a multi-institutional setting: results of Radiation Therapy Oncology Group Trial 9615. J Clin Oncol 23: 1447-1454, 2005.[Ⅲ]

7) Vokes, EE.: Induction chemotherapy for head and neck cancer: recent data. Oncologist 15: Suppl 3: 3-7, 2010.[Ⅱ]

8) Paccagnella, A., Ghi, M.G., et al.: Concomitant chemoradiotherapy versus induction docetaxel, cisplatin and 5 fluorouracil (TPF) followed by concomitant chemoradiotherapy in locally advanced head and neck cancer: a phase Ⅱ randomized study. Ann Oncol 21: 1515-1522, 2010.[Ⅱ]

9) Mitsudo, K., Shigetomi, T., et al.: Organ preservation with daily concurrent chemoradiotherapy using superselective intraarterial infusion via a superficial temporal artery for T3 and T4 head and neck cancer. Int J Radiat Oncol Biol Phys 79: 1428-1435, 2011.[Ⅳ](追加論文)

【文献検索】

初版時
(1)医中誌

①検索期間:1997-2007

②検索日:2007/6/14

③検索式:(口腔腫瘍/TH OR 口腔癌/AL) OR (頭頸部腫瘍/TH OR 頭頸部癌/AL) AND (放射線化学療法/TH OR 化学放射線療法/AL) AND (根治療法/AL OR 臓器温存/AL) AND (DT = 1997 :2007 PT =症例報告除く,会議録除く)

④検索件数:16 件,除外件数:13 件,追加件数:0 件

(2)PudMed

①検索期間:1997-2007

②検索日:2007/6/14

③検索式:(oral cancer OR head and neck cancer) AND (chemoradiotherapy OR chemoradiation) AND(organ preservation OR organ-sparing)

④検索件数:136 件,除外件数:97 件,追加件数:0 件

改訂時
(1)医中誌

①検索期間:2007-2011

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③検索式:(口腔腫瘍/TH OR 口腔癌/AL) OR (頭頸部腫瘍/TH OR 頭頸部癌/AL) AND (放射線化学療法/TH OR 化学放射線療法/AL) AND (根治療法/AL OR 臓器温存/AL) AND (DT = 2007 :2011 PT =症例報告除く,会議録除く)

④検索件数:41 件,除外件数:34 件,追加件数:0 件

(2)PudMed

①検索期間:2007-2011

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③検索式:(oral cancer OR head and neck cancer) AND (chemoradiotherapy OR chemoradiation) AND(organ preservation OR organ-sparing)

④検索件数:219 件,除外件数:203 件,追加件数:1 件


CQ 4-10
切除可能進行口腔癌において,化学放射線療法の原発巣・頸部制御率および生存率は放射線療法および外科療法と比較して高いか?
推奨グレードC1

切除可能な進行口腔癌において,放射線療法や外科療法に比較して化学放射線療法が原発巣・頸部制御率や生存率を明らかに向上させるというエビデンスはない。しかし,化学放射線療法は非外科的治療を希望する患者の治療選択肢になりうる。

【背 景】

切除可能な進行口腔癌に対して臓器・機能温存や形態温存を目的に一次治療としてCCRT が施行されることがある。その有効性を検証する。

【解 説】

切除可能進行頭頸部癌(口腔癌を27%含む)に対して,CDDP を主体とするCCRT は術後放射線治療と比較して,原発巣・頸部制御率や生存率の向上は認めないものの,臓器・機能温存の可能性があることが示されている1)2)[Ⅰ]。同様に,放射線治療単独との比較(口腔癌を4%含む)においても,全生存期間に差は認めないものの,臓器温存率および5 年無再発生存率が有意に高いことが報告されている6)[Ⅱ]。また,舌癌においては,CCRT の臨床的効果が高い症例に対する縮小手術の可能性も示されている3)〜5)[Ⅲ]。しかし,CCRT は臓器・機能温存の可能性は示唆されているが,切除可能進行口腔癌において,原発巣・頸部制御率や生存率の向上に関するエビデンスはいまだ十分ではない。

【参考文献】

1) Pignon, J.P., Bourhis, J., et al.: Chemotherapy added to locoregional treatment for head and neck squamous-cell carcinoma: three meta-analyses of updated individual data. Lancet 355: 949-955, 2000.[Ⅰ]

2) Soo, K.C., Tan, E.H., et al.: Surgery and adjuvant radiotherapy vs concurrent chemoradiotherapy in stage Ⅲ/Ⅳ nonmetastatic squamous cell head and neck cancer: a randomised comparison. Br J Cancer 93: 279-286, 2005.[Ⅱ](追加論文)

3) Kirita, T., Shimooka, H., et al.: Prognostic value of response to preoperative chemoradiotherapy and residual tumor grades in tongue carcinoma. Oral Surg Oral Med Oral Pathol Oral Radiol Endod 91: 293-300, 2001.[Ⅳ](追加論文)

4) Kirita, T., Ohgi, K., et al.: Primary tumor resection of tongue carcinoma based on response to preoperative therapy. Int J Oral Maxillofac Surg 31: 267-272, 2002.[Ⅳ](追加論文)

5) Iguchi, H., Kusuki, M., et al.: Outcome of preoperative concurrent chemoradiotherapy and surgery for resectable lingual squamous cell carcinoma greater than 3cm: the possibility of less extensive surgery. Oral Oncol 42: 391-397, 2006.[Ⅲ](追加論文)

6) Adelstein, D.J., Lavertu, P., et al.: Mature results of a phase Ⅲ randomized trial comparing concurrent chemoradiotherapy with radiation therapy alone in patients with stage Ⅲ and Ⅳ squamous cell carcinoma of the head and neck. Cancer 88: 876-883, 2000.[Ⅱ]

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初版時
(1)医中誌

①検索期間:1997-2007

②検索日:2007/6/14

③検索式:(口腔腫瘍/TH OR 口腔癌/AL) OR (頭頸部腫瘍/TH OR 頭頸部癌/AL) AND (放射線化学療法/TH OR 化学放射線療法/AL) AND (根治療法/AL OR 臓器温存/AL) AND (DT = 1997 :2007 PT =症例報告除く,会議録除く)

④検索件数:16 件,除外件数:13 件,追加件数:0 件

(2)PudMed

①検索期間:1997-2007

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④検索件数:136 件,除外件数:97 件,追加件数:0 件

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(1)医中誌

①検索期間:2007-2011

②検索日:2011/9/14

③検索式:(口腔腫瘍/TH OR 口腔癌/AL) OR (頭頸部腫瘍/TH OR 頭頸部癌/AL) AND (放射線化学療法/TH OR 化学放射線療法/AL) AND (根治療法/AL OR 臓器温存/AL) AND (DT = 2007 :2011 PT =症例報告除く,会議録除く)

④検索件数:41 件,除外件数:34 件,追加件数:0 件

(2)PudMed

①検索期間:2007-2011

②検索日:2011/7/11

③検索式:(oral cancer OR head and neck cancer) AND (chemoradiotherapy OR chemoradiation) AND(organ preservation OR organ-sparing)

④検索件数:219 件,除外件数:203 件,追加件数:1 件


CQ 4-11
切除不能進行口腔癌において,化学放射線療法の原発巣・頸部制御率および生存率は放射線療法単独と比較して高いか?
推奨グレードA

切除不能の進行口腔癌に対するCRT は,放射線療法単独に比べて原発巣・頸部制御率,生存率ともに有意に優れている。

【背 景】

切除不能進行口腔癌には放射線療法が行われてきたが,その治療効果は低かった。より高い原発巣・頸部制御率を目指してCRT が行われるようになっている。そこでCRT の有効性について検証する。

【解 説】

口腔癌のみを対象とした無作為化比較試験はないものの,口腔癌を含む頭頸部癌症例での検討では,CRT は放射線療法単独に比べて原発巣・頸部制御率,生存率ともに優れている1)〜3)[Ⅱ]。切除不能進行頭頸部癌に対しては,従来から放射線療法が施行されてきたが,60〜70%が原発巣・頸部再発または遠隔転移をきたし,5 年生存率も25%以下と極めて不良であった。そのため,放射線療法に化学療法を同時併用するCCRT の検討が行われ,原発巣・頸部制御率は36〜70%と放射線単独に比べて有意に高く,生存率も37〜55%と有意に優れていたことから,現在では切除不能症例に対してはCCRT が標準的治療と考えられている。しかし,Grade 3 以上の粘膜炎や皮膚炎,骨髄毒性などの有害事象も38〜89%と高率に出現することが示されている1)〜4)[Ⅰ]

併用される化学療法としては,CDDP 100 mg/m2/3 week が推奨されている3)[Ⅱ]

また,最近では分子標的治療薬であるcetuximab と放射線療法との併用も検討され,放射線療法単独と比較して生存率が改善することが示されているが5),CDDP を主体とするCCRT を上回る有意性については明らかでない6)[Ⅰ]

【参考文献】

1) Adelstein, D.J., Li, Y., et al.: An intergroup phase Ⅲ comparison of standard radiation therapy and two schedules of concurrent chemoradiotherapy in patients with unresectable squamous cell head and neck cancer. J Clin Oncol 21: 92-98, 2003.[Ⅱ]

2) Wendt, T.G., Grabenbauer, G.G., et al.: Simultaneous radiochemotherapy versus radiotherapy alone in advanced head and neck cancer: a randomized multicenter study. J Clin Oncol 16: 1318-1324, 1998.[Ⅱ]

3) Browman, G.P., Hodson, D.I., et al.: Choosing a concomitant chemotherapy and radiotherapy regimen for squamous cell head and neck cancer: A systematic review of the published literature with subgroup analysis. Head Neck 23: 579-589, 2001.[Ⅱ]

4) Argiris, A., Karamouzis, M.V., et al.: Head and neck cancer. Lancet 371: 1695-1709, 2008.[Ⅰ]

5) Bonner, J.A., Harari, P.M., et al.: Radiotherapy plus cetuximab for locoregionally advanced head and neck cancer: 5-year survival data from a phase 3 randomised trial, and relation between cetuximabinduced rash and survival. Lancet Oncol 11: 21-28, 2010.[Ⅱ]

6) Frampton, J.E.: Cetuximab: a review of its use in squamous cell carcinoma of the head and neck. Drugs 70: 1987-2010, 2010.[Ⅰ]

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初版時
(1)医中誌

①検索期間:1997-2007

②検索日:2007/6/15

③検索式:((口腔腫瘍/TH OR 口腔癌/AL) OR(頭頸部腫瘍/TH OR 頭頸部癌/AL)) AND 切除不能/AL AND (放射線化学療法/TH OR 化学放射線療法/AL) AND (DT = 1997: 2007 PT =症例報告除く,会議録除く)

④検索件数:26 件,除外件数:22 件,追加件数:0 件

(2)PubMed

①検索期間:1997-2007

②検索日:2007/6/15

③検索式:(oral cancer OR head and neck cancer) AND squamous cell carcinoma AND (unresectable OR inoperable) AND treatment AND prognosis

④検索件数:250 件,除外件数:231 件,追加件数:0 件

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③検索式:((口腔腫瘍/TH OR 口腔癌/AL) OR (頭頸部腫瘍/TH OR 頭頸部癌/AL)) AND 切除不能/AL AND (放射線化学療法/TH OR 化学放射線療法/AL) AND (DT = 2007: 2011 PT =症例報告除く,会議録除く)

④検索件数:55 件,除外件数:45 件,追加件数:0 件

(2)PubMed

①検索期間:2007-2011

②検索日:2011/7/11

③検索式:(oral cancer OR head and neck cancer) AND squamous cell carcinoma AND (unresectable OR inoperable) AND treatment AND prognosis

④検索件数:323 件,除外件数:281 件,追加件数:0 件


CQ 4-12
超選択的動注化学放射線療法はどのような症例に有効か?
推奨グレードC1

超選択的動注化学放射線療法は,stage Ⅲ,Ⅳの進行癌に対する臓器温存を目指した治療や切除不能進行癌に対する治療法として期待できる。しかし現時点では,他の治療法と比較したエビデンスレベルの高い報告はない。

【背 景】

超選択的動注化学療法は,高濃度の抗腫瘍薬を癌組織に到達させ,癌組織内の抗腫瘍薬濃度を高めることができる優れた局所療法であり,放射線との併用により相乗効果が期待できる1)2)。現時点での超選択的動注化学放射線療法の適応と治療成績について検証する。

【解 説】

進行頭頸部癌(約1/3 は切除不能)における超選択的動注化学放射線療法では,原発巣再発率5.6%,頸部再発率2.6%,遠隔転移率17.9%であり,5 年累積生存率は全生存率38.8%,補正生存率(cancer-related)53.6%であり,原発巣・頸部制御率は74.3%であったと報告されている3)[Ⅲ]。また,stage Ⅳ症例(口腔癌を含む)に対する多施設共同研究では,原発巣のCR 率85%,頸部のCR 率88%,1 年および2 年原発巣・頸部制御率がそれぞれ66%と57%,1 年および2 年無病生存率が62%と46%と極めて高い治療効果が示されている4)[Ⅲ]。しかし,grade 3 以上の有害事象も86%と高率に認め,治療関連死も3%認めたことが報告されている。さらに切除不能頭頸部癌stage Ⅳ症例(口腔癌を含む)に対して本療法を施行し,原発巣のCR 率91%,頸部のCR 率90%,1 年および2 年原発巣・頸部制御率はそれぞれ82%および69%とする報告もある。この報告での治療関連死は3.8%とされている5)[Ⅲ]。本療法は,静注例との無作為化比較試験では原発巣・頸部制御率,生存率ともに有意差は認めないものの8)[Ⅱ],また外科療法を中心とした従来法との無作為化比較試験も行われていないものの,口腔癌を含む進行頭頸部癌において高い治療効果が報告されており,臓器温存療法としても,また切除不能進行癌に対する治療としても期待できる6)7)

【参考文献】

1) Robbins, K.T., Vicario, D., et al.: A targeted supradose cisplatin chemoradiation protocol for advanced head and neck cancer. Am J Surg 168: 419-422, 1994.[Ⅲ]

2) Tohnai, I., Fuwa, N., et al.: New superselective intra-arterial infusion via superficial temporal artery for cancer of the tongue and tumour tissue platinum concentration after carboplatin(CBDCA)infusion. Oral Oncol 34: 387-390, 1998.[Ⅳ](追加 論文)

3) Robbins, K.T., Kumar, P., et al.: Targeted chemoradiation for advanced head and neck cancer: analysis of 213 patients. Head Neck 22: 687-693, 2000.[Ⅲ]

4) Robbins, K.T., Kumar, P., et al.: Supradose intraarterial cisplatin and concurrent radiation therapy for the treatment of stage Ⅳ head and neck squamous cell carcinoma is feasible and efficacious in a multi-institutional setting: results of Radiation Therapy Oncology Group Trial 9615. J Clin Oncol 23: 1447-1454, 2005.[Ⅲ](追加論文)

5) Balm, A.J., Rasch, C.R., et al.: High-dose superselective intra-arterial cisplatin and concomitant radiation(RADPLAT)for advanced head and neck cancer. Head Neck 26: 485-493, 2004.[Ⅲ]

6) 岩井俊憲,光藤健司,他:下顎歯肉癌に対する浅側頭動脈と後頭動脈よりの超選択的動注法−顎動脈と顔面動脈へのカテーテル同時留置術.頭頸部癌 35:273-278,2009.[Ⅳ](追加論文)

7) Mitsudo, K., Shigetomi, T., et al.: Organ preservation with daily concurrent chemoradiotherapy using superselective intraarterial infusion via a superficial temporal artery for T3 and T4 head and neck cancer. Int J Radiat Oncol Biol Phys 79: 1428-1435, 2011.[Ⅳ]

8) Rasch, C.R., Hauptmann, M., et al.: Intra-arterial versus intravenous chemoradiation for advanced head and neck cancer: Results of a randomized phase 3 trial. Cancer 116: 2159-2165, 2010.[Ⅱ]

【文献検索】

初版時
(1)医中誌

①検索期間:1997-2007

②検索日:2007/6/12

③検索式:((口腔腫瘍/TH OR口腔癌/AL) OR(頭頸部腫瘍/TH OR 頭頸部癌/AL)) AND (放射線化学療法/TH OR 化学放射線療法/AL) AND 超選択的動注/AL AND (DT = 1997: 2007 PT =症例報告除く,会議録除く)

④検索件数:29 件,除外件数:16 件,追加件数:0 件

(2)PubMed

①検索期間:1994-2007

②検索日:2007/6/12

③検索式:(oral cancer OR head and neck cancer) AND squamous cell carcinoma AND (chemoradiotherapy OR chemoradiation) AND (meta-analysis[pt] OR randomized controlled trial[pt])

④検索件数:109 件,除外件数:88 件,追加件数:2 件

改訂時
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①検索期間:2007-2011

②検索日:2011/9/14

③検索式:((口腔腫瘍/TH OR口腔癌/AL) OR(頭頸部腫瘍/TH OR 頭頸部癌/AL)) AND (放射線化学療法/TH OR 化学放射線療法/AL) AND 超選択的動注/AL AND (DT = 2007: 2011 PT =症例報告除く,会議録除く)

④検索件数:29 件,除外件数:16 件,追加件数:1 件

(2)PubMed

①検索期間:2007-2011

②検索日:2011/9/14

③検索式:(oral cancer OR head and neck cancer) AND squamous cell carcinoma AND (chemoradiotherapy OR chemoradiation) AND superselective OR intra-arterial OR targeted

④検索件数:131 件, 除外件数: 116 件,追加件数:1 件


第5章 頸部転移巣の治療

口腔癌の頸部リンパ節転移の制御は予後を左右する重要な因子である。頸部リンパ節転移に対する治療は手術療法(頸部郭清術),放射線療法,化学療法,あるいはこれらの併用療法があるが,この中でも頸部郭清術は最も重要な位置を占めている。しかし,その術式の選択は施設により異なっているのが現状である1)2)

1 頸部リンパ節のレベル分類

頸部リンパ節はその部位により,Level Ⅰ〜Ⅳに分類される。さらにLevel Ⅰ,ⅡおよびⅤはA,B に分けられている3)〜5)図5-1)。一般的に口腔癌の所属リンパ節は Level Ⅰ〜Ⅴとされている。

Level Ⅰ:オトガイ下リンパ節(Level ⅠA),顎下リンパ節(Level ⅠB)
Level Ⅱ:上内頸静脈リンパ節(Level ⅡA:副神経より前方,Level ⅡB:副神経より頭側)
Level Ⅲ:中内頸静脈リンパ節
Level Ⅳ:下内頸静脈リンパ節
Level Ⅴ:副神経リンパ節(Level ⅤA),頸横リンパ節,鎖骨上窩リンパ節(Level ⅤB)
Level Ⅵ:前頸部リンパ節

図5-1 頸部リンパ節のレベル分類(Level Ⅳは省略)
2 頸部郭清術の基本術式(表 5-1

従来,頸部郭清は内頸静脈,胸鎖乳突筋,副神経を切除する根治的頸部郭清術(RND)6)が行われてきたが,術後の機能障害が大きい7)。そこで,RND の根治性を損なうことなく,より低侵襲の手術術式が検討され,根治的頸部郭清術変法(MRND)が行われるようになった8)〜10)。さらに原発部位とレベル別のリンパ節転移頻度が検討され,口腔癌ではLevel Ⅰ〜Ⅲの転移頻度が高いことが示された10)〜12)。そのため,治療的頸部郭清術の一部や予防的頸部郭清術においては,肩甲舌骨筋上頸部郭清術(SOHND)13)のような選択的(部分的)頸部郭清術14)15)36)37)が行われるようになっている。

表5-1 口腔癌における頸部郭清術の分類

(1)根治的頸部郭清術(radical neck dissection:RND)

Level Ⅰ〜Ⅴのリンパ節・組織を胸鎖乳突筋,内頸静脈,副神経を含めて郭清する。

(2)根治的頸部郭清術変法(modified radical neck dissection:MRND)

Level Ⅰ〜Ⅴのリンパ節・組織を郭清するが,胸鎖乳突筋(M),内頸静脈(V),副神経(N)のいずれか1 つは保存する。保存的頸部郭清術(conservative neck dissection)あるいは機能的頸部郭清術(functional neck dissection)とも表現される。保存した組織によりtype Ⅰ〜Ⅲに細分類される。

type Ⅰ:副神経を保存する。
type Ⅱ:内頸静脈と副神経を保存する。
type Ⅲ:胸鎖乳突筋,内頸静脈,副神経のいずれも保存する。

(3)選択的(部分的)頸部郭清術(selective neck dissection:SND)

頸部リンパ節の3 つあるいは4 つのレベルを選択的に郭清する。口腔癌ではLevel Ⅰ〜Ⅲが選択され ることが多いが,郭清範囲により下記のような術式がある。

(i)肩甲舌骨筋上頸部郭清術(supraomohyoid neck dissection:SOHND)

Level Ⅰ〜Ⅲのリンパ節・組織を郭清する。

(ii)拡大肩甲舌骨筋上頸部郭清術(extended supraomohyoid neck dissection:extended SOHND)

Level Ⅰ〜Ⅳのリンパ節・組織を郭清する。

(4)超選択的頸部郭清術(superselective neck dissection:SSND)

頸部リンパ節の1 つあるいは2 つのレベルを選択的に郭清する。

(i)舌骨上頸部郭清術(suprahyoid neck dissection:SHND)

Level Ⅰ,Ⅱのリンパ節・組織を郭清する。

(ii)顎下部郭清術(submandibular neck dissection:SMND)

Level Ⅰのリンパ節・組織を郭清する。

(5)拡大頸部郭清術(extended neck dissection)

Level Ⅰ〜Ⅴ以外のリンパ節・非リンパ組織を切除する。

3 頸部郭清術の適応

口腔癌のN0 症例に対する予防的頸部郭清術については,後発頸部リンパ節転移例の予後が悪いという意見や,予防的頸部郭清術に用いられるSOHND は機能障害が少なく,また病理学的病期の決定が可能で,術後の治療方針の立案に有用であるという理由から,これを推奨する意見がある。一方,予防的頸部郭清を行った場合と後発リンパ節転移に対して救済治療を行った場合で頸部制御率に差がないことから,厳重な経過観察を行い転移が明らかになった時点で頸部郭清を行う“wait and see”がよいとする意見もあり,統一した見解はない。しかし,原発巣切除や原発巣切除後の再建手術のために手術野が頸部に及ぶ症例では,予防的頸部郭清が行われる16)〜20)CQ5-1)。

舌癌ではT1N0 やearlyT2N0 症例に対して通常は経過観察が行われる。しかし,T1 やearlyT2 症例でも潜在性転移が強く疑われる場合や,潜在性転移率の高いlateT2 以上の症例に対しては予防的頸部郭清が行われる21)。また,原発巣が口底部にまで及ぶ症例や再建手術を必要とする症例に対しても予防的頸部郭清が行われる。その術式としては,口腔癌はLevel Ⅰ〜Ⅲに転移する頻度が高いことから,SOHND が選択される。最近では,飛び石転移によるLevel Ⅳへの転移も約16%認められることから,Level Ⅳを含めたextended SOHND を推奨する意見もある14)15)22)。一方で,口腔癌ではLevel ⅡB への頸部リンパ節転移が6%と非常に低いことが報告されたが,Level ⅡB の郭清の省略については議論の余地がある38)。T3 症例に対してもSOHND が推奨されているが21),RND/MRND を推奨する意見もある9)。また,T4 症例においてもMRND を推奨する意見がある23)。潜在性頸部リンパ節転移に関しては,T2 症例であっても4〜5 mm 以上の浸潤深度を示す舌癌では潜在性転移が高いことや24)〜30),E-cadherin の減弱や浸潤能の評価など潜在性リンパ節転移予測因子の研究が進んでいることから27)31)32),これらを参考にする必要がある。

最近では口腔癌の潜在性リンパ節転移の診断におけるセンチネルリンパ節生検の有用性に関する検討がなされている33)34)39)〜48)

N1〜3 症例に対する治療的頸部郭清ではRND/MRND を基本とするが,MRND は温存する臓器と癒着(被膜外浸潤)を認めないなど転移の状況を考慮する。また,Level ⅠのN1 症例ではSOHND が選択される場合もある(CQ5-2)。

【補足】センチネルリンパ節生検39)〜48)

口腔癌のT1, 2N0 症例の潜在性リンパ節転移に対して,精度の高い診断法としてセンチネルリンパ節生検について検討がなされ,その有用性に関する報告が増加している。センチネルリンパ節の同定法では色素法,放射線同位元素法,CT Lymphography を用いた方法などが検討され,概ね100%に近い同定がなされている。また,得られたセンチネルリンパ節の潜在性転移の検出法として,免疫組織学的評価法ならびに分子生物学的手法が検討され,さらに分子マーカーについては精度ならびに簡便性の両面から検討がなされている。欧州ではすでにガイドラインが作成されている49)

4 頸部郭清術の補助療法

リンパ節被膜外浸潤例,多発性リンパ節転移例などでは,頸部再発や遠隔転移をきたしやすく予後不良例が多いことから35),頸部郭清後に放射線療法,化学放射線療法が行われる。また遠隔転移を予防するために補助化学療法が行われることもある(CQ5-3)。

5 その他の治療法

頸部リンパ節転移に対しては原則として手術療法が行われるが,手術適応のない症例に対しては,放射線療法,化学放射線療法が行われる。

【参考文献はガイドライン誌『科学的根拠に基づく 口腔癌診療ガイドライン2013 年版』
(金原出版刊行物)添付CD-ROMに収録】


CQ 5-1
N0 症例に対する予防的頸部郭清術はどのような症例に適応されるか?
推奨グレードC1

予防的頸部郭清術はN0 症例のうち,潜在性リンパ節転移の存在が強く疑われる症例に適応される。また原発巣切除が頸部に及ぶ症例や,再建手術のために頸部の手術が行われる症例に適応される。その術式としては肩甲舌骨筋上頸部郭清術が推奨される。

【背 景】

潜在性頸部リンパ節転移に対して予防的頸部郭清を行うか,経過観察を行い後発頸部リンパ節転移を認めた時点で救済治療をするかに関しては,統一した見解が得られていないのが現状である。

【解 説】

予防的頸部郭清術は潜在性リンパ節転移の存在を予測して行う頸部郭清である。デシジョン・アナリシスでは,潜在性転移率が20%以上なら予防的頸部郭清を行う意義があると報告されている1)[Ⅰ]。口腔癌の潜在性転移率は8〜48.2%2)〜9)と報告に幅があるが,T1N0 症例では潜在性転移率は低いことから経過観察が行われる27)28)[Ⅳ]。予防的頸部郭清と経過観察との比較では,予防的頸部郭清群は経過観察群に比べて5 年無病生存率が高く2)〜4)29)[Ⅲ],頸部再発症例における生存率においても予防的頸部郭清群が有意に高いと報告されている10)[Ⅳ]。一方,T1, 2N0 症例の口腔癌では,5 年生存率において経過観察群と予防的頸部郭清群の間に有意差がないなど5)11)30)31)[Ⅱ],予防的頸部郭清術の適応に関して統一した結論は得られていない。

しかし,T1, 2N0 の舌癌症例に対して行われた経過観察か予防的頸部郭清かの無作為前向き試験の結果,5 年の疾病特異的生存率ではそれぞれ87%と89%と差が少ないため,経過観察を推奨する報告がある32)[Ⅱ]。一方,舌癌ではT1, 2N0 症例でも潜在性頸部リンパ節転移が26.8〜48.2%と高いことから,lateT2 以上の症例に対しては予防的頸部郭清を推奨する報告が多い6)[Ⅲ]。本邦における多施設共同研究では,N0 症例の後発頸部リンパ節転移はT1 で19%,earlyT2 で33%であったが救済治療が行い得たこと,lateT2N0 症例においては頸部転移死が23%と高率であったことから,lateT2N0 およびT3N0 症例においては予防的頸部郭清が推奨されている12)33)[Ⅳ]。またその際,lateT2 症例では腫瘍の厚み6 mm 以上を基準とすることを推奨している33)[Ⅳ]。予防的頸部郭清を有効な治療にするには,潜在性頸部リンパ節転移の高危険群を抽出することが重要である。初期口腔癌(T1, 2)の頸部リンパ節転移予測因子は舌癌での検討が多いが,腫瘍の厚みが4〜5 mm を超えるものを高危険群とする報告が多い7)13)〜17)34)35)[Ⅳ]。さらに予測因子としては,組織学的悪性度14)17)[Ⅳ],浸潤様式14)〜17)[Ⅳ],分化度,脈管侵襲や神経浸潤14)[Ⅳ],E-cadherin の低発現15)[Ⅳ],CD105,VEGF の発現18)[Ⅳ]などが報告されている。また,これらの予測因子を加味した治療体系もとられるようになってきている15)17)36)[Ⅲ]。今後,画像診断精度の向上,センチネルリンパ節生検の応用,転移予測因子の臨床データの集積と分析が必要と思われる。

対側に転移がない症例における対側頸部郭清に関しては,患側にリンパ節転移を認めるT3, 4 症例の進行口腔癌で原発巣が正中に近接している場合には,対側の頸部郭清を推奨する報告もある19)[Ⅳ]

手術術式では,口腔癌におけるリンパ節転移の多くはLevel Ⅰ〜Ⅲに認められ20)[Ⅳ],またN0 症例ではSOHND とMRND との間には5 年生存率,再発率に差がないことから21)22)[Ⅱ],現在ではSOHND が口腔癌の予防的頸部郭清術として広く用いられている6)22)23)37)38)[Ⅲ]。しかし,Level Ⅳを含むextended SOHND を推奨する意見もあり24)〜26),評価が分かれる[Ⅳ]

【参考文献】

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33) 朝蔭孝宏,岸本誠司,他:口腔癌N0 症例について −舌癌T2N0 症例の頸部リンパ節の取り扱いにつ いて.耳鼻と臨55:S45-S54,2009.[Ⅳ]

34) Mark Taylor, S., Drover, C., et al.: Is preoperative ultrasonography accurate in measuring tumor thickness and predicting the incidence of cervical metastasis in oral cancer? Oral Oncol 46: 38-41, 2010.[Ⅳ]

35) Patel, R.S., Clark, J.R., et al.: Prognostic factors in the surgical treatment of patients with oral carcinoma. ANZ J Surg 79: 19-22, 2009.[Ⅳ]

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37) Ferlito, A., Silver, C.E., et al.: Elective management of the neck in oral cavity squamous carcinoma: current concepts supported by prospective studies. Br J Oral Maxillofac Surg 47: 5-9, 2009.[Ⅳ]

38) Mishra, P., Sharma, A.K.: A 3-year study of supraomohyoid neck dissection and modified radical neck dissection type I in oral cancer: with special reference to involvement of level Ⅳ node metastasis. Eur Arch Otorhinolaryngol 267: 933-938, 2010.[Ⅳ](追加論文)

【文献検索】

初版時
(1)医中誌

①検索期間:1983-2007

②検索日:2007/6/18

③検索式:

  1. #1:(口腔腫瘍/TH OR 口腔癌/AL) AND (PT=症例報告除く,会議録除く)
  2. #2:#1 AND (CK=ヒト) AND (リンパ性転移/TH OR リンパ節転移/AL)
  3. #3:#2 AND (耳下腺/TH OR 耳下腺/AL) NOT (唾液腺腫瘍/TH OR 唾液腺腫瘍/AL) NOT (動脈内投与/TH OR 動注/AL)
  4. #4:#3 AND (頸部リンパ節郭清/TH OR 頸部郭清/AL)

④検索件数:130件,除外件数:54件,追加件数:0件

(2)PubMed

①検索期間:1990-2007

②検索日:2007/6/30

③検索式:

  1. #1:oral carcinoma OR oral neoplasm AND neck dissection Limits: Humans, English, Japanese
  2. #2:#2 AND elective NOT mucoepidermoid NOT parotid Limits: Humans, English, Japanese

④検索件数:177件,除外件数:92件,追加件数:1件

改訂時
(1)医中誌

①検索期間:2007-2011

②検索日:2011/8/1

③検索式:

  1. #1:((口腔腫瘍 /TH OR 口腔癌 /AL) AND(リンパ性転移/TH OR リンパ節転移/AL)) AND (DT = 2007:2011 PT =症例報告除く,会議録除く CK =ヒト)
  2. #2:#1 NOT (耳下腺/TH OR 耳下腺/AL) NOT
    (唾液腺腫瘍/TH OR 唾液腺腫瘍/AL) NOT
    (動脈内投与/TH OR 動脈内投与/AL)
  3. #3:#2 AND (頸部リンパ節郭清/TH OR 頸部郭清/AL)

④検索件数:43 件,除外件数:40 件,追加件数:0 件

(2)PubMed

①検索期間:2007-2011

②検索日:2011/7/6

③検索式:

  1. #1:oral carcinoma OR oral neoplasm AND neck dissection Limits: Humans, English, Japanese
  2. #2#1 AND elective NOT mucoepidermoid NOT parotid Limits: Humans, English, Japanese

④検索件数:54 件,除外件数:46 件,追加件数:1 件


CQ 5-2
Level Ⅰに転移した口腔癌N1 症例に対して,肩甲舌骨筋上頸部郭清術は応用できるか?
推奨グレードC2

肩甲舌骨筋上頸部郭清術(SOHND)は,症例を選択すれば,Level Ⅰに転移したN1 症例に対しても適応し得るが,さらに検討が必要である。

【背 景】

胸鎖乳突筋,内頸静脈,副神経を切除するRND は術後の機能障害が大きいことから,根治性を保ちつつ,より低侵襲の手術術式の検討がなされてきた。口腔癌のレベル別転移頻度や,N0 症例に対する頸部郭清術式別の生存率,再発率の検討から,現在,SOHND は口腔癌の予防的頸部郭清術として広く用いられている1)〜5)。同時に,治療的頸部郭清術としてのSOHND についても検討されている2)6)〜17)[Ⅲ]

【解 説】

N1 症例に対するSOHND については,その頸部再発率がMRND と比較して大差がないことから,N1 症例に対してもSOHND を推奨する報告もあるが,適応症例の選択基準等を含めた前向きランダム化試験による検討が必要とされている7)〜10)15)〜18)25)26)[Ⅲ]。なお,N1 症例に対するSOHND 後には放射線治療の必要性を示す報告が多い7)8)10)11)[Ⅲ]。一方,根治性からN1 症例でもLevel Ⅰ〜Ⅳ27)〜30)[Ⅳ]やLevel Ⅰ〜Ⅴまで郭清することを推奨する報告も多い6)13)14)19)20)30)31)[Ⅳ]

適応症例の選択基準に関しては,原発巣の大きさではT1, 2,転移リンパ節の大きさでは3 cm 以下,転移部位ではLevel Ⅰが提唱されている7)9)21)[Ⅳ]。本邦における舌癌の多施設共同研究からは,anyTN1 症例にSOHND が推奨されている18)32)[Ⅳ]。また,組織学的悪性度や浸潤様式なども考慮する必要があるとされている22)23)[Ⅳ]

一方,舌癌ではN0 症例であっても約16%にLevel ⅢまたはⅣへの飛び石転移が認められること24)[Ⅳ]や,口腔癌のN1 とN2b 症例に対して行った治療的SOHND 群の頸部再発率は,N0 症例に対して行ったSOHND 群と比較して6.3 倍も頸部再発率が高いとの報告もある21)[Ⅳ]

【参考文献】

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【文献検索】

初版時
(1)医中誌(CQ5-1 と共通)

①検索期間:1983-2007

②検索日:2007/6/18

③検索式:

  1. #1:(口腔腫瘍/TH OR 口腔癌/AL) AND (PT=症例報告除く,会議録除く)
  2. #2:#1 AND (CK=ヒト) AND (リンパ性転移/TH OR リンパ節転移/AL)
  3. #3:#2 AND (耳下腺/TH OR 耳下腺/AL) NOT (唾液腺腫瘍/TH OR 唾液腺腫瘍/AL) NOT (動脈内投与/TH OR 動注/AL)
  4. #4:#3 AND (頸部リンパ節郭清/TH OR 頸部郭清/AL)

④検索件数:130件,除外件数:54件,追加件数:0件

(2)PubMed

①検索期間:1987-2007

②検索日:2007/6/30

③検索式:

  1. #1:oral carcinoma OR oral neoplasm AND neck dissection Limits: Humans, English, Japanese
  2. #2:#1 AND level I Limits: Humans, English, Japanese
  3. #3:#2 AND N1 NOT mucoepidermoid NOT parotid Limits: Humans, English, Japanese

④検索件数:126件,除外件数:72件,追加件数:5件

改訂時
(1)医中誌(CQ5-1 と共通)

①検索期間:2007-2011

②検索日:2011/8/1

③検索式:

  1. #1:((口腔腫瘍 /TH OR 口腔癌 /AL) AND (リンパ性転移/TH OR リンパ節転移/AL))AND (DT = 2007:2011 PT =症例報告除く,会議録除く CK =ヒト)
  2. #2:#1 NOT (耳下腺/TH OR 耳下腺/AL)NOT (唾液腺腫瘍/TH OR 唾液腺腫瘍/AL)NOT (動脈内投与/TH OR 動脈内投与/AL)
  3. #3:#2 AND (頸部リンパ節郭清/TH OR 頸部郭清/AL)

④検索件数:43 件,除外件数:41 件,追加件数:0 件

(2)PubMed

①検索期間:2007-2011

②検索日:2011/7/6

③検索式:

  1. #1:oral carcinoma OR oral neoplasm AND neck dissection Limits: Humans, English, Japanese
  2. #2:#1 AND level Ⅰ Limits: Humans, English, Japanese
  3. #3:#2 NOT mucoepidermoid NOT parotid Limits: Humans, English, Japanese

④検索件数:37 件,除外件数:31 件,追加件数:0 件


CQ 5-3
頸部郭清術標本の病理組織学的検索では,どのような転移様相の場合に予後不良となるか?
推奨グレードB

頸部郭清術標本による病理組織学的検索において頸部リンパ節転移が認められた場合,多発性頸部リンパ節転移,複数レベル(多領域)のリンパ節転移,遠位レベルの転移,被膜外浸潤を有する場合に予後不良となる。

【背 景】

頸部リンパ節転移の制御は,原発巣制御とともに口腔癌の予後を左右する因子の1 つとして重要である1)[Ⅳ]。臨床病態と病理組織学的検索の積み重ねにより,頸部リンパ節転移の様相が予後に深く関係することが指摘されている。

【解 説】

頸部リンパ節転移は口腔癌の治療成績を左右する因子の1 つであり,N(+)症例は予後が不良であり,その転移様相により予後に差があるとされている2)[Ⅳ]

転移レベルに関して,舌癌の頸部再発には転移レベルが深く関与し,Level ⅣおよびⅤへの転移が予後不良の最大の因子であると報告され3),転移レベルの重要性が報告されている4)[Ⅳ]

複数レベル(多領域)の転移については,口腔癌では3 レベル(領域)以上に転移が及んでいる場合には,被膜外浸潤の有無にかかわらず頸部再発の危険性が高いと報告されている1)。また,対側へのリンパ節転移は予後不良の一因であるとする報告もある5)[Ⅳ]

また,被膜外浸潤は予後不良因子の1 つであると指摘されている6)7)[Ⅳ]

転移リンパ節の個数に関しては,3 個以上になると予後が不良になると報告されている8)9)[Ⅳ]

こうしたなか,早期舌癌における後発転移症例では,転移リンパ節の個数,レベル数,最遠位レベルが重要であり,また,リンパ節被膜の破壊程度は予後と関係するが,転移巣の大きさとは関係しないとの報告もある10)[Ⅳ]

なお,頭頸部癌の術後再発危険因子として,切除断端陽性,被膜外浸潤リンパ節転移,2 個以上の多発性頸部リンパ節転移が挙げられ,3 因子のいずれかを有する症例は予後が不良との報告もある11)〜13)[Ⅱ]

【参考文献】

1) 松永和秀,吉川博政,他:口腔癌における頸部郭清術後の頸部転移死亡例の検討.口腔腫瘍14:45-51,2002.[Ⅳ]

2) 岡本 学,大関 悟,他:口腔癌における頸部郭清術施行例の検討−頸部リンパ節転移様相と予後.日口外誌31:554-562,1985.[Ⅳ](追加論文)

3) 原田浩之,小村 健,他:舌扁平上皮癌の頸部非制御に関与する因子−頸部転移様相から.日口外誌48:301-305,2002.[Ⅳ]

4) Kowalski, L.P., Bagietto, R., et al.: Prognostic significance of the distribution of neck node metastasis from oral carcinoma. Head Neck 22: 207-214, 2000.[Ⅳ]

5) 栗田 浩,小林啓一,他:口腔扁平上皮癌における対側頸部リンパ節転移の検討.日口外誌49 :186-191, 2003.[Ⅳ]

6) Woolgar, J.A., Rogers, S.N., et al.: Cervical lymph node metastasis in oral cancer: the importance of even microscopic extracapsular spread. Oral Oncol 39: 130-137, 2003.[Ⅳ]

7) Shingaki, S., Nomura, T., et al.: The impact of extranodal spread of lymph node metastases in patients with oral cancer. Int J Oral Maxillofac Surg 28: 279-284, 1999.[Ⅳ]

8) 三谷浩樹,鎌田信悦,他:stage Ⅲ・Ⅳ舌癌の頸部治療成績について.耳展47:222-230,2004.[Ⅳ](追加論文)

9) 重松久夫,加賀谷雅之,他:口腔悪性腫瘍に対する頸部郭清とリンパ節転移に関する臨床的検討.日口診誌16:204-213,2003.[Ⅳ]

10) 木村幸紀,柳澤昭夫,他:Stage Ⅰ・Ⅱ舌扁平上皮癌の頸部リンパ節後発転移−転移の様相と予後との関係.頭頸部癌32:449-454,2006.[Ⅳ](追加論文)

11) Cooper, J.S., Pajak, T.F., et al.: Postoperative concurrent radiotherapy and chemotherapy for high-risk squamous-cell carcinoma of the head and neck. N Engl J Med 350: 1937-1944, 2004.[Ⅱ](追加論文)

12) Bernier, J., Domenge, C., et al.: Postoperative irradiation with or without concomitant chemotherapy for locally advanced head and neck cancer. N Engl J Med 350: 1945-1952, 2004.[Ⅱ](追加論文)

13) 清田尚臣,田原 信:頭頸部癌の化学療法.腫瘍内科1:584-591,2007.

【文献検索】

初版時
(1)医中誌

①検索期間:1997-2007

②検索日:2007/9/1

③検索式:

  1. #1:(舌腫瘍/TH OR 舌癌/AL) AND 頸部転移/ AL AND (PT=症例報告除く,会議録除く)
  2. #2:(口腔腫瘍/TH OR 口腔癌/AL) AND 頸部転移/AL AND (病態生理/TH OR 病態/AL) AND (PT=症例報告除く,会議録除く)
  3. #3:((@口腔腫瘍/TH AND @扁平上皮癌/TH) OR 口腔扁平上皮癌/AL) AND 頸部転移/AL AND (PT=症例報告除く,会議録除く)

④検索件数:41件,除外件数:28件,追加件数:3件

(2)PubMed

①検索期間:1997-2007

②検索日:2007/9/1

③検索式:

  1. #1:"oral cancer" "neck dissection" AND ("last 10 years" [PDat])
  2. #2:"oral cancer" "neck node metastasis" "progno-sis" AND ("last 10 years" [PDat])

④検索件数:62件,除外件数:59件,追加件数:1件

改訂時
(1)医中誌

①検索期間:2007-2011

②検索日:2011/10/13

③検索式:

  1. #1:(舌腫瘍 /TH OR 舌癌 /AL)AND 頸部転移 /AL AND(PT =症例報告除く,会議録除く)
  2. #2:(口腔腫瘍 /TH OR 口腔癌 /AL) AND 頸部転移/AL AND (病態生理/TH OR 病態/AL) AND (PT =症例報告除く,会議録除く)
  3. #3:((@ 口腔腫瘍/TH AND @ 扁平上皮癌/TH) OR 口腔扁平上皮癌/AL) AND 頸部転移/AL AND(PT=症例報告除く,会議録除く)

④検索件数:3 件,除外件数:1 件, 追加件数:0 件

(2)PubMed

①検索期間:2007-2011

②検索日:2011/10/13

③検索式:

  1. #1:"oral cancer" "neck dissection"
  2. #2:"oral cancer" "neck node metastasis" "prognosis"

④検索件数:32 件,除外件数:23 件, 追加件数:0 件


第6章 術前・術後の補助療法

遠隔転移のない進行例においては,治療効果を高める目的から,術前または術後に化学療法あるいは放射線療法,またはそれらの併用が補助療法として行われている。

1 術前補助療法

術前補助療法の目的は,手術の根治性を高め,潜在性微小転移を根絶することによって,生存率の改善を図ることである。また,腫瘍の縮小により口腔の機能温存を期待する。

a.化学療法

頭頸部癌は,抗腫瘍薬に対する感受性が高いこと,根治的治療前はperformance status が良いこと,原発巣・頸部の血管系が傷害されていないことなどから,高い殺細胞効果が期待できる。しかし,根治的治療後の遠隔転移率の低下はみられるものの,生存率の改善への寄与を示すエビデンスは乏しい1)2)。最近の口腔癌のみを対象としたランダム化比較試験では,術前化学療法によって,下顎骨合併切除や術後放射線治療の回避などの恩恵があることが示唆されている3)。標準的な化学療法としては,CDDP + 5-FU(PF 療法)が主なレジメンであるが,最近はDTX を加えたTPF 療法が増えている17)〜19)

b.放射線療法

原発巣・頸部に対する術前補助療法として放射線療法が用いられる。近年,進行頭頸部癌において,加速過分割照射法の原発巣・頸部制御率が標準照射法と比較して良好なことが示され,これを背景に術前にも加速過分割照射を適用する試みがなされている4)5)。しかし,原発巣・頸部制御率ならびに生存率の改善への寄与に関しては,さらなる研究成果が待たれる。

c.化学放射線療法

抗腫瘍薬を併用することで,放射線の治療効果を増強し,さらに潜在性転移を制御することを目的とする。併用方法には,同時併用,継続併用,交替療法があるが,同時併用療法が最も効果が高いことが報告されている1)

近年は原発巣・頸部制御率および生存率の改善,あるいは縮小手術の適用を目的として,外科療法の術前補助療法として用いられ6)〜8),その有用性が報告されているが,ランダム化比較試験はなされていないため今後の結果が待たれる(CQ6-1, 2)。

2 術後補助療法

術後補助療法の目的は術後の再発を予防するとともに,潜在性転移を根絶し,生存率の改善を図ることである。主に術後の再発高危険症例,すなわち切除断端陽性例や多発リンパ節転移例,被膜外浸潤を有する症例に対して施行される。近年,極めて高い原発巣・頸部制御効果が示されている化学放射線療法を補助療法として用い,原発巣・頸部制御率および生存率の改善が期待されている。

a.化学療法

術後化学療法は根治的手術の原発巣・頸部制御ばかりではなく,遠隔転移の制御を目的として用いられる。しかしながら,進行頭頸部癌を対象としたランダム化比較試験からは,遠隔転移率の低下は認められるものの,生存率の改善への寄与を示すエビデンスは得られていない9)

b.放射線療法

術後放射線療法は原発巣・頸部制御率の改善を目的に施行されているが,制御率は35〜70%で効果には差がある。切除断端陰性症例における微小な残存癌細胞の根絶には50 Gy が必要で,断端陽性などの術後再発高危険症例においては,より高線量の放射線が必要なことが示されている10)。しかし,63 Gy 以上の線量増加は原発巣・頸部制御率の改善に寄与しないことも示されている11)。また,加速分割照射法も術後放射線療法として試みられているが,ランダム化比較試験でも結果は一定ではない12)13)

c.化学放射線療法

進行頭頸部癌に対する術後補助化学療法の効果は,遠隔転移率の低下への寄与は認められたものの,生存率の改善には至っていない。術後照射群と化学放射線群(継続併用)の大規模ランダム化比較試験でも,化学放射線群では遠隔転移率の低下がみられたものの,生存率の改善には至っていない14)。しかし,サブグループ解析において,術後再発高危険症例(多発リンパ節転移,被膜外浸潤,切除断端陽性,脈管および神経浸潤)では,化学療法の併用により原発巣・頸部制御率および生存率の改善があったとされている。その後の大規模ランダム化比較試験によって,術後再発高危険症例における化学放射線療法の原発巣・頸部制御率および生存率の改善への寄与が示されている15)16)CQ6-3)。

以上のように,術後再発高危険症例に対し,化学放射線療法は標準的治療とされるが,有害事象の発生頻度や程度が高いことを考慮する必要がある。

【参考文献はガイドライン誌『科学的根拠に基づく 口腔癌診療ガイドライン2013 年版』
(金原出版刊行物)添付CD-ROMに収録】


CQ 6-1
切除可能進行口腔癌(stage Ⅲ,ⅣA)における術前治療は,原発巣・頸部制御率および生存率を改善するか?
推奨グレードC1

切除可能進行口腔癌に対する術前化学放射線同時併用療法(術前CCRT)は,原発巣・頸部制御率ならびに生存率を改善する可能性がある。

【背 景】

近年,高い抗腫瘍効果が示されている化学放射線療法を術前補助療法として用いる試みがなされている。切除可能進行口腔癌における術前療法の原発巣・頸部制御率ならびに生存率への寄与を検証する。

【解 説】

進行頭頸部癌(口腔癌を含む)に対する外科療法と術後照射による5 年生存率は,40%に満たないものであった1)2)[Ⅳ]。このことから,原発巣・頸部制御率ならびに生存率の改善を目的とした術前補助療法が試みられるようになった。CDDP と5-FU の複合化学療法(PF 療法)を中心とした進行頭頸部癌に対する大規模比較試験の結果は,原発巣に対する高い抗腫瘍効果および術後の遠隔転移率の低下はみられるものの,原発巣・頸部制御率ならびに生存率の改善は示されなかった3)4)[Ⅰ]。また,口腔癌のみを対象とした術前化学療法の効果に関するランダム化比較試験5)では,頭頸部癌を対象とした先行研究と同様に,生存率の改善は示されなかった[Ⅱ]

近年,白金製剤と放射線の同時併用療法(CCRT)が,切除不能進行頭頸部癌の治療や臓器温存療法として試みられるようになってきた6)〜9)[Ⅰ]。一方,CCRT の高い抗腫瘍効果を背景に,原発巣・頸部制御率ならびに生存率の改善を目的にして,これを術前補助療法として用いる試みもなされるようになった。DÖSAK による口腔癌および中咽頭癌を対象とした中規模ランダム化比較試験では,術前化学放射線療法群は外科療法単独群に比して,原発巣・頸部再発制御率ならびに生存率ともに有意な改善が示されている10)[Ⅱ]。また,後ろ向き検討ではあるものの,切除可能口腔癌に限った検討においても術前CCRT 群は,術後CCRT 群,外科療法単独群に比べ5 年生存率が良好であったことが報告されている12)13)[Ⅲ]。本邦における報告11)14)でも,口腔癌に対する術前CCRT と根治的手術により,高い原発巣・頸部制御率と生存率が得られたことが示されている[Ⅳ]

以上のことから,切除可能進行口腔癌に対する術前CCRT によって,原発巣・頸部制御率ならびに生存率の改善が期待できる。しかし,ランダム化比較試験はなされていないため,今後の結果が待たれる。

【参考文献】

1) Kramer, S., Gelber, R.D., et al.: Combined radiation therapy and surgery in the management of advanced head and neck cancer: final report of study 73-03 of the Radiation Therapy Oncology Group. Head Neck Surg 10: 19-30, 1987.[Ⅳ]

2) Kumar, P.P., Good, R.R., et al.: Outcome of locally advanced stage Ⅲ and Ⅳ head and neck cancer treated by surgery and postoperative external beam radiotherapy. Laryngoscope 97: 615-620, 1987.[Ⅳ]

3) El-Sayed, S., Nelson, N.: Adjuvant and adjunctive chemotherapy in the management of squamous cell carcinoma of the head and neck region: A meta-analysis of prospective and randomized trials. J Clin Oncol 14: 838-847, 1996.[Ⅰ]

4) Pignon, J.P., Bourhis, J. et al.: Chemotherapy added to locoregional treatment for head and neck squamous cell carcinoma: three meta-analyses of updated individual data. Lancet 355: 949-955, 2000.[Ⅰ]

5) Licitra, L., Grandi, C., et al.: Primary chemotherapy in resectable oral cavity squamous cell cancer: A randomized controlled trial. J Clin Oncol 21: 327-333, 2003.[Ⅱ]

6) Adelstein, D.J., Lavertu, P. et al.: Mature reslts of a phase Ⅲ randomized trial comparing concurrent chemoradiotherapy with radiation therapy alone in patients with stage Ⅲ and Ⅳ squamous cell carcinoma of the head and neck. Cancer 88: 876-883, 2000.[Ⅱ]

7) Forastiere, A.A., Goepfert, H., et al.: Concurent chemotherapy and radiotherapy for organ preservation in advanced laryngeal cancer. N Engl J Med 349: 2091-2098, 2003.[Ⅰ]

8) Wendt, T.G., Grabenbauer, G.G., et al.: Simultaneous radiochemotherapy versus radiotherapy alone in advanced head and neck cancer: A randomized multicenter study. J Clin Oncol 16: 1318-1324, 1998.[Ⅱ]

9) Adelstein, D.J., Li, Y., et al.: An intergroup phase Ⅲ comparison of standard radiation therapy and two schedules of concurrent chemoradiotherapy in patients with unresectable squamous cell head and neck cancer. J Clin Oncol 21: 92-98, 2003.[Ⅱ]

10) Mohr, C., Bohndorf, W., et al.: Preoperative radiochemotherapy and radical surgery in comparison with radical surgery alone. A prospective, multicentric, randomized DÖSAK study of advanced squamous cell carcinoma of the oral cavity and the oropharynx(a 3-year followup). Int J Oral Maxillofac Surg 23: 140-148, 1994. [Ⅱ]

11) Kirita, T., Ohgi, K., et al.: Preoperative concurrent chemoradiotherapy plus radical surgery for advanced squamous cell carcinoma of the oral cavity: An analysis of long-term results. Oral Oncol 35: 597-606, 1999.[Ⅳ]

12) Mücke, T., Konen, M., et al.: Low-dose preoperative chemoradiation therapy compared with surgery alone with or without postoperative radiotherapy in patients with head and neck carcinoma. Ann Surg Oncol 18: 2739-2747, 2011.[Ⅲ]

13) Klug, C., Berzaczy, D., et al.: Preoperative chemoradiotherapy in the management of oral cancer: a review. J Craniomaxillofac Surg 36: 75-88, 2008.[Ⅲ]

14) Nomura, T., Murakami, R., et al.: Phase Ⅱ study of preoperative concurrent chemoradiation therapy with S-1 in patients with T4 oral squamous cell carcinoma. Int J Radiat Oncol Biol Phys 76: 1347-1352, 2010.[Ⅳ]

【文献検索】

初版時
(1)医中誌

①検索期間:1987-2007

②検索日:2007/04/22

③検索式:

  1. #1:口腔癌 術前化学療法
  2. #2:口腔癌 術前化学放射線療法
  3. #3:口腔癌 術前治療
  4. #4:口腔癌 補助療法

④検索件数:187件,除外件数:137件,追加件数:0件

(2)PubMed

①検索期間:1987-2007

②検索日:2007/04/22

③検索式:

  1. #1:oral squamous cell carcinoma AND surgery AND preoperative therapy AND English [la]
  2. #2:oral squamous cell carcinoma AND surgery AND neoadjuvant therapy AND English [la]
  3. #3:oral squamous cell carcinoma AND chemoradiotherapy
  4. #4:adjuvant therapy AND head and neck cancer AND journal of clinical oncology [jour]
  5. #5:neoadjuvant therapy AND head and neck cancer AND journal of clinical oncology [jour]
  6. #6:adjuvant therapy AND head and neck cancer AND (meta-analysis [pt])
  7. #7:neoadjuvant therapy AND head and neck cancer AND (meta-analysis [pt] OR cochrane database syst rev [ta])
  8. #8:adjuvant therapy AND head and neck cancer AND (meta-analysis [pt] OR cochrane database syst rev [pt])
  9. #9:head and neck cancer AND accelerated radiotherapy AND randomized control trial

④検索件数:566件,除外件数:486件,追加件数:3件

改訂時
(1)医中誌

①検索期間:2007-2011

②検索日:2011/9/14

③検索式:(((口腔腫瘍/TH or 口腔癌/AL) or (頭頸部腫瘍/TH or 頭頸部癌/AL)) and (術前治療/AL or ((@ ネオアジュバント療法/TH and @ 放射線化学療法/TH) or 術前放射線化学療法/AL))) and (DT = 1987:2011 AB = Y CK =ヒト)132

④検索件数:132 件,除外件数:114 件,追加件数:0 件

(2)PubMed

①検索期間:2007-2011

②検索日:2011/9/14

③検索式:

  1. #1:oral squamous cell carcinoma AND surgery AND preoperative therapy AND English[la]
  2. #2:oral squamous cell carcinoma AND surgery AND neoadjuvant therapy AND English[la]
  3. #3:oral squamous cell carcinoma AND chemoradiotherapy
  4. #4:adjuvant therapy AND head and neck cancer AND journal of clinical oncology[jour]
  5. #5:neoadjuvant therapy AND head and neck cancer AND journal of clinical oncology[jour]
  6. #6:adjuvant therapy AND head and neck cancer AND(meta-analysis[pt])
  7. #7:neoadjuvant therapy AND head and neck cancer AND (meta-analysis [pt] OR cochrane database syst rev[ta])
  8. #8:adjuvant therapy AND head and neck cancer AND (meta-analysis [pt] OR cochrane database syst rev[pt])
  9. #9:head and neck cancer AND accelerated radiotherapy AND randomized control trial

④検索件数:381 件,除外件数:371 件,追加件数:0 件


CQ 6-2
局所進行口腔癌(T3, T4)に対する術前治療は縮小手術を可能とするか?
推奨グレードC1

術前治療によって,高い腫瘍縮小効果が得られた症例に対して,縮小手術の適用の可能性が示唆されているが,推奨できるだけの十分な根拠はない。

【背 景】

局所進行口腔癌に対する拡大根治切除後の口腔機能障害は著しく,患者のQOL を低下させる。術前療法によって原発巣を縮小させ,根治性を損なわない縮小手術が可能となれば,口腔の機能温存につながり,患者のQOL の面から意義が大きい。術前療法による縮小手術の可能性について検証した。

【解 説】

白金製剤と放射線による化学放射線同時併用療法は極めて高い治療効果を示し,切除不能頭頸部癌の標準的治療となっている1)[Ⅰ]。口腔癌に対する術前治療として化学放射線同時併用療法を行い,CR 率60.4%,pCR 率50.0%と高い治療効果が得られたことより,臓器温存療法あるいは縮小手術の適用の可能性を示唆している報告もある2)4)5)[Ⅲ]。また,長径3 cm 以上の舌癌に対して,pirarubicin の動注と5-FU の持続点滴および放射線外部照射による術前化学放射線療法を行い,CR 率100%と極めて高い治療効果を認め,術前療法による縮小手術の可能性に言及している報告3)[Ⅳ]や,舌癌(T2, T3)に対して動注化学療法でPR 以上の効果が得られた場合, 縮小手術の適応が可能であることを示唆している報告も見られる6)

以上のように局所進行口腔癌に対して,効果的な術前治療によって,縮小手術の適用の可能性が示唆されている。しかし,エビデンスレベルの高い報告は少ない。

【参考文献】

1) Adelstein, D.J., Lavertu, P., et al.: Mature results of a phase Ⅲ randomized trial comparing concurrent chemoradiotherapy with radiation therapy alone in patients with stage Ⅲ and Ⅳ squamous cell carcinoma of the head and neck. Cancer 88: 876-883, 2000.[Ⅰ]

2) Kirita, T., Ohgi, K., et al.: Preoperative concurrent chemoradiotherapy plus radical surgery for advanced squamous cell carcinoma of the oral cavity: An analysis of long-term results. Oral Oncol 35: 597-606, 1999.[Ⅳ]

3) Iguchi, H., Kusuki, M., et al.: Outcome of preoperative concurrent chemoradiotherapy and surgery for resectable lingual squamous cell carcinoma greater than 3 cm: The possibility of less extensive surgery. Oral Oncol 42: 391-397, 2006.[Ⅳ]

4) Kessler, P., Grabenbauer, G., et al.: Five year survival of patients with primary oral squamous cell carcinoma. Comparison of two treatment protocols in a prospective study. Strahlenther Onkol 183: 184-189, 2007.[Ⅲ](追加論文)

5) 桐田忠昭,山中康嗣,他:口腔進展癌に対する術前化学放射線同時併用療法の評価− CR 症例では本当に腫瘍が消失していたか.口腔腫瘍20:266-271,2008.[Ⅳ]

6) 長谷川 博,鹿野真人,他:舌癌に対するDOC,CDDP,PEP 動注・5-FU 静注化学療法後の縮小手術.頭頸部癌37:29-35,2011.[Ⅳ](追加論文)

【文献検索】

初版時
(1)医中誌

①検索期間:1987-2007

②検索日:2007/04/22

③検索式:

  1. #1:口腔癌 術前化学療法
  2. #2:口腔癌 術前化学放射線療法
  3. #3:口腔癌 術前治療
  4. #4:口腔癌 機能温存手術
  5. #5:口腔癌 縮小手術
  6. #6:頭頸部癌 縮小手術

④検索件数:167件,除外件数:112件,追加件数:0件

(2)PubMed

①検索期間:1987-2007

②検索日:2007/04/22

③検索式:

  1. #1:oral squamous cell carcinoma AND surgery AND preoperative therapy AND English [la]
  2. #2:oral squamous cell carcinoma AND surgery AND neoadjuvant therapy AND English [la]
  3. #3:oral squamous cell carcinoma AND chemoradiotherapy
  4. #4:oral squamous cell carcinoma AND organ preservation surgery
  5. #5:oral squamous cell carcinoma AND conservation surgery
  6. #6:oral squamous cell carcinoma AND surgery AND adjuvant therapy AND English [la]
  7. #7:adjuvant therapy AND head and neck cancer AND journal of clinical oncology [jour]
  8. #8:neoadjuvant therapy AND head and neck cancer AND journal of clinical oncology [jour]
  9. #9:adjuvant therapy AND head and neck cancer AND (meta-analysis [pt])
  1. #10:neoadjuvant thearpy AND head and neck cancer AND (meta-analysis [pt] OR cochrane database syst rev [ta])
  2. #11:adjuvant therapy AND head and neck cancer AND (meta-analysis [pt] OR cochrane database syst rev [pt])

④検索件数:762件,除外件数:661件,追加件数:0件

改訂時
(1)医中誌

①検索期間:2007-2011

②検索日:2011/9/14

③検索式:(((口腔腫瘍/TH or 口腔癌/AL) or (頭頸部腫瘍/TH or 頭頸部癌/AL)) and (術前治療/AL or ((@ ネオアジュバント療法/TH and @ 放射線化学療法/TH) or 術前放射線化学療法/AL))) and (縮小手術/AL or 機能温存手術/AL) and(DT=1987:2011 and AB = Y and CK =ヒト)

④検索件数:5 件,除外件数:3 件,追加件数:1 件

(2)PubMed

①検索期間:2007-2011

②検索日:2011/9/14

③検索式:

  1. #1:oral squamous cell carcinoma AND surgery AND preoperative therapy AND English[la]
  2. #2:oral squamous cell carcinoma AND surgery AND neoadjuvant therapy AND English[la]
  3. #3:oral squamous cell carcinoma AND chemoradiotherapy
  4. #4:oral squamous cell carcinoma AND organ preservation surgery
  5. #5:oral squamous cell carcinoma AND conservation surgery
  6. #6:oral squamous cell carcinoma AND surgery AND adjuvant therapy AND English[la]
  7. #7:adjuvant therapy AND head and neck cancer AND journal of clinical oncology[jour]
  8. #8:neoadjuvant therapy AND head and neck cancer AND journal of clinical oncology[jour]
  9. #9:adjuvant therapy AND head and neck cancer AND(meta-analysis[pt])
  1. #10:neoadjuvant thearpy AND head and neck cancer AND (meta-analysis [pt] OR cochrane database syst rev[ta])
  2. #11:adjuvant therapy AND head and neck cancer AND (meta-analysis [pt] OR cochrane database syst rev[pt])

④検索件数:47 件,除外件数:42 件,追加件数:1 件


CQ 6-3
口腔癌術後再発高危険症例において,術後補助療法は原発巣・頸部制御率および生存率を改善するか?
推奨グレードA

口腔癌術後再発高危険症例において,術後化学放射線同時併用療法は,原発巣・頸部制御率および生存率ともに向上させる。

【背 景】

進行口腔癌患者の根治的切除後の生存率は不良である。原発巣・頸部制御率ならびに生存率の改善の目的から,補助化学療法が試みられたが,生存率の改善はみられなかった。近年,頭頸部癌に対する高い抗腫瘍効果が認められている化学放射線療法を補助療法として用いる試みが行われている。

【解 説】

進行頭頸部癌患者の根治切除後の2 年無病生存率は70〜75%であるものの,5 年生存率は30〜35%と期待されたほどではなかった。その原因の多くは他病死によるものであったが,遠隔転移率も15〜20%と高いものであった1)[Ⅱ]。このため遠隔転移率の改善と生存率への寄与を期待して,根治的切除後の補助化学療法が試験された。しかし,大規模ランダム化比較試験からは,補助化学療法により遠隔転移率の低下はみられたものの,生存率の改善は示されなかった2)[Ⅱ]。また,術後化学放射線療法においても遠隔転移率の低下は認められたものの,生存率への寄与はみられなかった3)[Ⅱ]。しかしながら,局所進行頭頸部癌(口腔癌20〜28%含む)の根治的手術後の再発高危険症例に対する化学放射線同時併用療法の効果に関して行われた大規模ランダム化比較試験では4)〜6),原発巣・頸部制御の向上や全生存率,無病生存率,無再発生存率への寄与が認められた[Ⅰ]。レジメンとしては,総線量60 Gy 以上とCDDP 100 mg/m2×3 回(3 週毎)が標準となっているが,有害事象も強く現れることを考慮する必要がある4)5)[Ⅱ]

以上より,再発高危険症例における原発巣・頸部制御率ならびに生存率の改善には,術後化学放射線同時併用療法による補助療法が有効である。

【参考文献】

1) Ang, K.K., Trotti, A., et al.: Randomized trial addressing risk features and time factors of surgery plus radiotherapy in advanced head-andneck cancer. Int J Radiat Oncol Biol Phys 51: 571-578, 2001.[Ⅱ]

2) Adjuvant chemotherapy for advanced head and neck squamous carcinoma. Final Report of the Head and Neck Contracts Program. Cancer 60: 301-311, 1987.[Ⅱ]

3) Laramore, G.E., Scott, C.B., et al.: Adjuvant chemotherapy for resectable squamous cell carcinomas of the head and neck: report on Intergroup Study 0034. Int J Radiat Oncol Biol Phys 23: 705-713, 1992.[Ⅱ]

4) Bernier, J., Domenge, C., et al.: Postoperative irradiation with or without concomitant chemotherapy for locally advanced head and neck cancer. N Engl J Med 350: 1945-1952, 2004.[Ⅱ]

5) Cooper, J.S., Pajak, T.F., et al.: Postoperative concurrent radiotherapy and chemotherapy for high-risk squamous-cell carcinoma of the head and neck. N Engl J Med 350: 1937-1944, 2004.[Ⅱ]

6) Winquist, E., Oliver, T., et al.: Postoperative chemoradiotherapy for advanced squamous cell carcinoma of the head and neck: a systematic review with meta-analysis. Head Neck 29: 38-46, 2007.[Ⅰ]

【文献検索】

初版時
(1)医中誌

①検索期間:1987-2007

②検索日:2007/04/22

③検索式:口腔癌 補助療法

④検索件数:29件,除外件数:22件,追加件数:0件

(2)PubMed

①検索期間:1987-2007

②検索日:2007/04/22

③検索式:

  1. #1:oral squamous cell carcinoma AND chemoradiotherapy
  2. #2:oral squamous cell carcinoma AND surgery AND adjuvant therapy AND English [la]
  3. #3:adjuvant therapy AND head and neck cancer AND journal of clinical oncology [jour]
  4. #4:neoadjuvant therapy AND head and neck cancer AND journal of clinical oncology [jour]
  5. #5:adjuvant therapy AND head and neck cancer AND (meta-analysis [pt])
  6. #6:neoadjuvant thearpy AND head and neck cancer AND (meta-analysis [pt] OR cochrane database syst rev [ta])
  7. #7:adjuvant therapy AND head and neck cancer AND (meta-analysis [pt] OR cochrane database syst rev [pt])
  8. #8:head and neck cancer AND accelerated radiotherapy AND randomized control trial

④検索件数:511件,除外件数:455件,追加件数:3件

改訂時
(1)医中誌

①検索期間:2007-2011

②検索日:2011/7/11

③検索式:((口腔腫瘍/TH or 口腔腫瘍/AL) or (口腔腫瘍/TH or 口腔癌/AL)) or ((頭頸部腫瘍/TH or 頭頸部腫瘍/AL) or (頭頸部腫瘍/TH or 頭頸部癌/AL)) and (術後治療/AL or 術後補助療法/AL) and (DT = 1987:2011 AB = Y PT = 原著論文 CK =ヒト)

④検索件数: 47 件,除外件数:42 件,追加件数:0 件

(2)PubMed

①検索期間:2007-2011

②検索日: 2011/7/11

③検索式:

  1. #1:oral squamous cell carcinoma AND chemoradiotherapy
  2. #2:oral squamous cell carcinoma AND surgery AND adjuvant therapy OR postoperative therapy AND English[la]
  3. #3:adjuvant therapy AND head and neck cancer AND journal of clinical oncology[jour]
  4. #4:neoadjuvant therapy AND head and neck cancer AND journal of clinical oncology[jour]
  5. #5:adjuvant therapy AND head and neck cancer AND(meta-analysis[pt])
  6. #6:neoadjuvant thearpy AND head and neck cancer AND (meta-analysis [pt] OR cochrane database syst rev[ta])
  7. #7:adjuvant therapy AND head and neck cancer AND (meta-analysis [pt] OR cochrane database syst rev[pt])
  8. #8:head and neck cancer AND accelerated radiotherapy AND randomized control trial

④検索件数:1691 件,除外件数:1675 件,追加件数:0 件


第7章 支持療法とリハビリテーション

口腔癌では手術部位やその範囲に応じて機能障害を生じる。術後に生じる障害は,構音障害,摂食・嚥下障害および肩や上肢の障害など多様である1)2)

術後の機能障害は腫瘍の進展度,切除範囲,歯の残存状態,年齢,患者の意欲などが影響する。口裂閉鎖不全例や,液体や食塊の保持および搬送が障害されると嚥下が障害され,構音も同様に障害される3)。咀嚼機能においては,残存歯の歯数と状態が重要で,臼歯での咬合支持と顎堤が良好であれば良い顎補綴が可能となる12)。具体的には,舌半側以上の切除や口底の広範囲切除,舌骨上筋群を含めた下顎骨の半側以上の区域切除,軟口蓋に及ぶ広範囲の口蓋欠損の場合には口腔機能の回復に難渋する。顎堤の状態が不良で残存歯が乏しいか無歯顎の場合には,さらに機能回復が困難である。頸部郭清術を行った場合には,術式によっては肩の旋回や上肢の挙上障害が生じることがある。従来は患者自身にまかされていたが,現在では摂食・嚥下リハビリテーションと同様に十分な指導のもと,術後の訓練として行われるようになっている9)16)〜19)28)52)〜54)。一方,放射線療法では,粘膜炎,口腔乾燥,齲蝕および歯周病の管理等の支持療法が重要である35)57)58)

機能回復は個人差が大きく,意欲のある患者では,咬合の回復が十分でなくても経口摂取が可能な場合がある12)。治療後の障害をより軽度にとどめるには,治療開始時から口腔ケアおよび訓練を一連の治療として計画することが必要である1)8)〜10)26)27)

機能障害に対しては現状の記録,障害の予測,治療および評価を繰り返し行う。治療には医師,歯科医師のみならず,看護師,歯科衛生士,歯科技工士,薬剤師,理学療法士,言語聴覚士,心理療法士,管理栄養士や医療ソーシャルワーカー,臨床検査技師,診療放射線技師等の多職種参加によるチーム医療が望ましい1)11)〜16)28)34)。口腔癌の摂食・嚥下障害に対するリハビリテーションは,現状では,患者と医療者の努力に頼るところが大きい8)9)16)〜18)。しかし,最近では系統的な訓練が必要であることが報告されている9)27)28)52)54)55)〜57)

1 治療開始時からの摂食・嚥下リハビリテーションおよび術後の上肢挙上訓練の導入

患者は治療後にどのような状態になるのかのイメージがつかめないことが予測される。手術の場合には術前から精神的ケアを含め術後の状態を説明し18),摂食・嚥下機能訓練を導入することが術後の機能障害の軽減に有効で,具体的には舌の運動訓練,呼吸訓練,排痰訓練などが行われる8)10)17)〜19)27)28)53)54)56)。化学放射線療法の場合には,粘膜炎,味覚の変化および口腔乾燥や唾液の性状が変化することを説明し,治療後にも嚥下障害が遷延する場合には,訓練が必要となる59)

頸部郭清術後に生じる肩の旋回や上肢の挙上障害に対して,患者自身による機能回復が不十分である場合には,理学療法士によるリハビリテーションも行われる16)CQ7-1)。

2 治療開始時からの口腔ケア

口腔ケアには,口腔内の清掃と口腔内の刺激による機能の賦活という2 つの役目がある。治療開始時から口腔内を清潔に保つことは,創部感染や誤嚥性肺炎の予防22)〜25)に有用である。治療開始時から口腔ケアを開始することは,患者に口腔内の清潔を保つことを意識づけ,合併症のリスクを減少させる1)7)22)〜24)29)〜33)61)。特に化学放射線療法においては,全身的な副作用に加えて,感染や放射線治療に伴う口腔粘膜炎も強くなる傾向がある。歯の問題も含めた口腔内合併症に対しては,化学放射線療法を完遂させるためにも配慮が必要であり,特に粘膜炎や疼痛に対する支持療法が重要である35)58)60)CQ7-2)。

3 治療後のQOL 評価

QOL の評価を行うことは,一連のリハビリテーションを進めるうえで重要である8)10)。評価は繰 り返して行い,口腔の機能ならびにQOL を評価する8)10)18)〜20)36)〜39)53)62)〜64)CQ7-3)。

4 術後の摂食・嚥下リハビリテーションと舌接触補助床

摂食・嚥下訓練にあたっては,術後の障害の程度を把握し,肺炎などの合併症のリスクを把握したうえで,口唇閉鎖訓練,頬粘膜の訓練,舌のストレッチ,息こらえ嚥下などを繰り返して行い,嚥下の状態を評価しながら, 間接的機能訓練から食物を用いた直接的訓練へと移行する8)〜10)15)18)21)59)。舌口底部の腫瘍切除後に舌の容量が不足したり,舌の可動性が制限された場合には,良好な食塊の形成や搬送に舌接触補助床などの歯科補綴的アプローチやリハビリテーションが重要である3)〜6)40)41)65)〜67)CQ7-4)。

5 放射線治療と抜歯

根治的放射線治療の後に照射野に含まれた歯の抜去を行うことは,放射線性骨壊死の危険因子とされ禁忌とされていた42)〜45)。このことは現在でも変わらない。このため,抜歯を回避するためにも,齲蝕および歯周病に対する管理が重要である42)〜44)50)。しかし,抜歯が避けられない場合もある。抜歯が必要になった場合には,放射線治療の内容,抜歯部位,抜歯術式に考慮し,場合によっては高気圧酸素療法などの補助療法を検討する42)〜51)CQ7-5)。

【参考文献はガイドライン誌『科学的根拠に基づく 口腔癌診療ガイドライン2013 年版』
(金原出版刊行物)添付CD-ROMに収録】


CQ 7-1
摂食・嚥下リハビリテーションの導入は,術後の機能の向上に有用か?
推奨グレードB

口腔癌術後の摂食・嚥下リハビリテーションを行うと,患者が機能障害を理解しやすく,術後機能の向上に有用である。

【背 景】

手術療法の進歩によって拡大切除が可能となり,進行口腔癌でも長期生存が可能となってきた。しかし,術後の機能障害のため経口摂取が困難となり,社会復帰が遅れる場合も少なくない。近年,口腔癌切除患者に対する口腔機能リハビリテーションが導入されるようになり,その有効性が報告されている。

【解 説】

口腔癌に対する外科療法が選択され,原発巣の拡大切除と再建術が予定された場合,術後の機能障害について予測が難しいため,患者が精神的に不安に陥りやすいといわれている。再建手術により,治療成績が向上して長期生存が可能となってきているが,術後に生じる摂食・嚥下障害によってQOL が大きく損なわれる場合もみられる1)16)[Ⅳ]。近年,口腔癌切除後の機能回復のためのリハビリテーションが一部の施設で精力的に行われ始め,その有効性が報告されている2)〜6)14)15)19)〜21)[Ⅲ]。従来,口腔癌の治療は主に担当医が,術前後の治療の立案から説明まで一貫して行ってきたが,現在は手術医,放射線治療医,化学療法医,リハビリテーション医,補綴医,看護師,歯科衛生士,言語聴覚士,医療ソーシャルワーカー,歯科技工士,臨床検査技師等を含めた多職種によるチーム医療が行われ,その有効性が認められてきた7)〜12)15)[Ⅴ]。一方,そのプロトコルはいまだ確立されたものとはいえず,各施設で独自に行われているのが実状である。機能障害の評価を繰り返して行い,適切な訓練によって術後機能の早期回復を図ることが,在院日数の短縮と社会復帰への近道であることに疑問の余地はなく,系統的かつ適切な摂食・嚥下リハビリテーションのプロトコルの作成が待たれる6)13)17)18)[Ⅳ]

【参考文献】

1) 山本憲幸,光藤健司,他:口腔癌患者における手術後の社会生活変化に関する検討−術後機能障害及び社会的,経済的変化−.頭頸部腫瘍26:57-62,2000.[Ⅳ]

2) Kulbersh, B.D., Rosenthal, E.L., et al.: Pretreatment, preoperative swallowing exercises may improve dysphagia quality of life. Laryngoscope 116: 883-886, 2006.[Ⅴ]

3) Denk, D.M., Swoboda, H., et al.: Prognostic factors for swallowing rehabilitation following head and neck cancer surgery. Acta Otolaryngol 117: 769-774, 1997.[Ⅴ](追加論文)

4) Nguyen, N.P., Moltz, C.C., et al.: Impact of swallowing therapy on aspiration rate following treatment for locally advanced head and neck cancer. Oral Oncol 43: 352-357, 2007.[Ⅳ](追加論文)

5) 藤本保志:咽頭・喉頭・舌癌の術前リハ.臨床リハ13:129-134,2004.[Ⅴ]

6) 難波亜希子,山下夕香里,他:口腔癌術後患者への系統的嚥下訓練法の適用経験.口科誌50:122-129,2001.[Ⅴ]

7) 西川邦男:耳鼻咽喉科における術前・術後の管理と看護−口腔・咽頭癌手術.JOHNS 17:439-444,2001.[Ⅵ]

8) Machin, J., Shaw, C.: A multidisciplinary approach to head and neck cancer. Eur J Cancer Care(Engl) 7: 93-96, 1998.[Ⅵ]

9) 南 正高:口腔癌の治療成績の向上をめざして−術後欠損の補綴処置におけるQOL.歯科医学63:232-235,2000.[Ⅴ]

10) Ono, T., Hamamura, M., et al.: Collaboration of a dentist and speech-language pathologist in the rehabilitation of a stroke patient with dysarthria: a case study. Gerodontology 22: 116-119, 2005.[Ⅴ](追加論文)

11) 大部一成,金城亜紀,他:大学病院における摂食・嚥下障害患者への対応−摂食・嚥下機能支援外来の設立とチームアプローチの試み−.日摂食嚥下リハ8:167-172,2004.[Ⅴ]

12) 鬼塚哲郎,海老原 充,他:頭頸部腫瘍に対する多職種チーム医療.頭頸部癌31:118-123,2005.[Ⅵ](追加論文)

13) 道 健一:口腔・中咽頭癌手術の機能評価.口腔腫瘍13:59-73,2001.[Ⅵ](追加論文)

14) 高橋浩二:口腔癌手術後の口腔機能評価とリハビリ−難治性の摂食・嚥下障害を有する頭頸部癌術後患者の対応−経口摂取不能あるいは困難と他院で診断された頭頸部癌術後患者に対する入院加療.口腔腫瘍21:245-254,2009.[Ⅳ]

15) 飛永真希,力丸文秀,他:当科における舌癌治療後の嚥下障害に対する摂食嚥下リハビリテーションについて.耳鼻と臨 54:S199-S203,2008.[Ⅵ]

16) 大釜信政,大釜徳政,他:多重的問題を抱える口腔がん患者のRework Process 及びその影響要因に関する研究. ヒューマンケア研会誌 2:11-17,2011.[Ⅴ]

17) 高橋浩二:舌・口底癌患者に対する摂食・嚥下リハビリテーションの最前線.顎顔面補綴 33:70-72,2010.[Ⅴ]

18) 関谷秀樹,濱田良樹,他:口腔癌手術後の口腔機能評価とリハビリ−口腔悪性腫瘍術後の嚥下障害に対する評価とリハビリテーション−その標準化に向けて.口腔腫瘍21:237-244,2009.[Ⅳ]

19) Pauloski, B.R.: Rehabilitation of dysphagia following head and neck cancer. Phys Med Rehabil Clin N Am 19: 889-928, 2008.[Ⅳ]

20) Ahlberg, A., Engström, T., et al.: Early self-care rehabilitation of head and neck cancer patients. Acta Otolaryngol 131: 552-561, 2011.[Ⅴ]

21) van der Molen, L., van Rossum, M.A., et al.: A randomized preventive rehabilitation trial in advanced head and neck cancer patients treated with chemoradiotherapy: feasibility, compliance, and short-term effects. Dysphagia 26: 155-170,2011.[Ⅲ]

【文献検索】

初版時
(1)医中誌

①検索期間:1997-2007

②検索日:2007/9/1

③検索式:

  1. #1:(口腔腫瘍/TH OR 口腔癌/AL) AND (リハビリテーション/TH OR リハビリテーション/AL) AND (疾患/TH OR 障害/AL) AND (PT=症例報告除く, 会議録除く)
  2. #2:(口腔腫瘍/TH OR 口腔癌/AL) AND (患者ケアチーム/TH OR チーム医療/AL) AND (PT=症例報告除く,会議録除く)

④検索件数:64件,除外件数:24件,追加件数:2件

(2)PubMed

①検索期間:1997-2007

②検索日:2007/9/1

③検索式:

  1. #1:(oral cancer) AND rehabilitation AND (swallowing therapy) AND ("last 10 years" [PDat])
  2. #2:(swallowing rehabilitation) (preoperative) AND (head and neck cancer) AND ("last 10 years" [PDat] AND (humans [Mesh]) AND (English [lang] OR Japanese [lang]))

④検索件数:57件,除外件数:55件,追加件数:3件

改訂時
(1)医中誌

①検索期間:2007-2011

②検索日:2012/2/29

④検索式:

  1. #1:(口腔腫瘍 /TH OR口腔癌 /AL) AND(リハビリテーション/TH OR リハビリテーション/AL) AND(疾患/TH OR 障害/AL) AND (DT = 2007:2011 PT =症例報告除く, 会議録除く)

④検索件数:38 件,除外件数:28 件,追加件数:0 件

(2)PubMed

①検索期間:2007-2011

②検索日:2012/2/29

③検索式:

  1. #1:"head and neck" [All Fields] AND (("deglutition" [MeSH Terms] OR "deglutition" [All Fields] OR "swallowing" [All Fields]) AND ("exercise therapy"[MeSH Terms] OR ("exercise"[All Fields] AND "therapy"[All Fields]) OR "exercise therapy" [All Fields] OR("rehabilitation" [All Fields] AND "exercise"[All Fields]) OR "rehabilitation exercise"[All Fields])) AND ("humans"[MeSH Terms] AND English [lang] AND ("2007/9/30" [PDat]: "2011/12/31"[PDat]))

④検索件数:13 件,除外件数:7 件,追加件数:0 件


CQ 7-2
口腔癌治療における口腔ケアは合併症の予防に有用か?
推奨グレードA

口腔癌に対する手術療法や化学放射線療法を受ける患者に対して口腔ケアを積極的に行うことにより,合併症の発生を減少させることができる。

【背 景】

近年,高齢者の気道感染に対する口腔ケアの効果が報告されている。口腔癌に対する手術療法や化学放射線療法において,誤嚥が遷延化する場合には積極的に口腔ケアを行い,口腔内の衛生状態を良くすることにより全身的および局所的感染症の発生が予防され,治療を円滑に行うことができる可能性が報告されている。また,2012 年より口腔ケアは周術期口腔機能管理として保険導入され,口腔癌のみならずがん患者等の治療全般において,その重要性が認識されている。

【解 説】

口腔癌の手術は口腔内常在菌が存在するため,術野が細菌に曝露されるという状況での手術となる特徴がある。術後創感染や肺炎に対して,手術術式の工夫や合併症の有無,腫瘍病変部の細菌学的検索や抗菌薬の選択などの検討が行われてきたが,術後感染を著明に減少させることはできなかった1)〜3)[Ⅳ]。また,放射線療法において治療を中断なく完遂するためには,口腔ケアを含めた支持療法が重要であるとされている11)12)[Ⅳ]

肺炎の発症に口腔ケアがその発症率を減少させるとの報告がなされ,口腔ケアの重要性が認識されるようになった4)5)13)[Ⅰ]。食道癌手術患者や血液疾患患者の化学療法においても同様に口腔ケアの有用性が認められている6)14)[Ⅰ]。近年,口腔癌を含めた頭頸部癌に対する切除・再建手術や化学放射線療法において,口腔ケアを行うことにより感染の予防や経口摂取開始までの期間の短縮が報告されている7)〜9)15)〜20)[Ⅰ]。口腔癌の治療を円滑に進めるためには,歯科衛生士を含めた多職種による包括的なチーム医療も望まれている10)21)22)[Ⅵ]

【参考文献】

1) 寺田聡広,兵藤伊久夫,他:口腔癌患者の術後頸部感染の検討.耳鼻と臨50:S77-S80,2004.[Ⅳ]

2) 坂本春生,青木隆幸,他:周術期の感染制御−口腔外科.感染と抗菌薬8:161-168,2005.[Ⅳ]

3) Skitarelić, N., Morović, M., et al.: Antibiotic prophylaxis in clean-contaminated head and neck oncological surgery. J Craniomaxillofac Surg 35: 15-20, 2007.[Ⅳ]

4) Yoneyama, T., Yoshida, M., et al.: Oral care and pneumonia. Oral Care Working Group. Lancet 354: 515, 1999.[Ⅳ](追加論文)

5) Sumi, Y., Nakajima, K., et al.: Developing an instrument to support oral care in the elderly. Gerodontology 20: 3-8, 2003.[Ⅵ](追加論文)

6) 坪佐恭宏,佐藤 弘,他:食道癌に対する開胸開腹食道切除再建術における術後肺炎予防.日外感染症会誌3:43-47,2006.[Ⅳ]

7) Chandu, A., Stulner, C., et al.: Maintenance of mouth hygiene in patients with oral cancer in the immediate post-operative period. Aust Dent J 47: 170-173, 2002.[Ⅳ]

8) 古土井春吾,元村昌平,他:血管柄付き遊離皮弁を用いた口腔癌即時再建症例の術後感染に対する口腔ケアの効果. 日口感染症会誌14:19-26,2007.[Ⅳ]

9) 大田洋二郎:口腔ケア介入は頭頸部進行癌における再建手術の術後合併症率を減少させる−静岡県立静岡がんセンターにおける挑戦.歯界展望106:766-772,2005.[Ⅲ](追加論文)

10) 鬼塚哲郎,海老原 充,他:頭頸部腫瘍に対する多職種チーム医療.頭頸部癌31:118-123,2005.[Ⅵ]

11) 加藤健吾,松浦一登,他:化学放射線療法を行う頭頸部がん患者を対象とするクリニカルパスを用いた疼痛管理法−有効性/安全性評価試験.頭頸部癌37:153-157,2011.[Ⅳ](追加論文)

12) Zenda, S., Matsuura, K., et al.: Multicenter phase Ⅱ study of an opioid-based pain control program for head and neck cancer patients receiving chemoradiotherapy. Radiother Oncol 101: 410-414, 2011.[Ⅳ](追加論文)

13) Sjögren, P., Nilsson, E., et al: A systematic review of the preventive effect of oral hygiene on pneumonia and respiratory tract infection in elderly people in hospitals and nursing homes: effect estimates and methodological quality of randomized controlled trials. J Am Geriatr Soc 56 :  2124-2130, 2008.[Ⅰ](追加論文)

14) Scully, C., Epstein, J., et al: Oral mucositis: a challenging complication of radiotherapy, chemotherapy, and radiochemotherapy. Part 2: diagnosis and management of mucositis. Head Neck 26: 77-84, 2004.[Ⅰ]

15) 松本邦子,石田和子:口腔がん手術に対する周術期口腔ケアの有用性に関する検討.がん看護 16:433-438, 2011.[Ⅴ]

16) 山崎宗治,松浦一登,他:口腔ケアと再建手術術後合併症の検討. 頭頸部外 19:105-110,2009.[Ⅴ]

17) 志水大地,加籐洋史,他:口腔癌患者において術前口腔ケアは術後抗生物質の使用期間を入院期間を短縮できる.栃木県歯医誌 60:9-15,2008.[Ⅴ]

18) 片岡智子,梅田正博,他:口腔癌手術後肺炎に対する口腔ケアの予防効果について.日口診誌 21:1-6,2008.[Ⅴ]

19) Stokman, M.A., Spijkervet, F.K., et al.: Preventive intervention possibilities in radiotherapy-and chemotherapy-induced oral mucositis: results of meta-analyses. J Dent Res 85: 690-700, 2006.[Ⅰ]

20) Sato, J., Goto, J., et al.: Oral health care reduces the risk of postoperative surgical site infection in inpatients with oral squamous cell carcinoma. Support Care Cancer 19: 409-416, 2011.[Ⅴ]

21) 片倉 朗:がん治療の予後に大きく影響する口腔ケア(第2 回)−がん治療における口腔ケアの必要性とその効果.歯衛士 34:70-73,2010.[Ⅵ]

22) 奥井沙織,雨宮智美,他:歯科衛生士による「がん緩和ケア」としての専門的口腔ケアの確立に向けて.日歯衛会誌3:14-21,2009.[Ⅵ]

【文献検索】

初版時
(1)医中誌

①検索期間:1997-2007

②検索日:2007/9/1

③検索式:

  1. #1:(口腔腫瘍/TH OR 口腔癌/AL) AND (術後感染症/TH OR 術後感染/AL) AND (PT=症例報告除く,会議録除く)
  2. #2:(頭頸部腫瘍/TH OR 頭頸部癌/AL) AND (患者ケアチーム/TH OR チーム医療/AL) AND (口腔ケア/TH OR 口腔ケア/AL) AND (PT=症例報告除く,会議録除く)

④検索件数:20件,除外件数:8件,追加件数:1件

(2)PubMed

①検索期間:1997-2007

②検索日:2007/9/1

③検索式:

  1. #1:(oral cancer) AND (oral hygiene) AND ("last 10 years" [PDat])
  2. #2:(head and neck surgery) AND (surgical wound infection) and (oral hygiene) AND ("last 10 years" [PDat])

④検索件数:102件,除外件数:100件,追加件数:2件

改訂時
(1)医中誌

①検索期間:2007-2011

②検索日:2011/2/29

③検索式:((口腔腫瘍/TH OR 口腔癌/AL AND 口腔ケア/TH OR 口腔ケア/AL)) AND (DT =1997:2011 LA =日本語PT =症例報告除く,会議録除く)

④検索件数:47 件,除外件数:28 件,追加件数:1 件

(2)PubMed

①検索期間:2007-2011

②検索日:2012/2/29

③検索式:("mouth neoplasms"[MeSH Terms] OR ("mouth"[All Fields] AND "neoplasms"[All Fields]) OR "mouth neoplasms"[All Fields] OR ("oral"[All Fields] AND "cancer"[All Fields]) OR "oral cancer"[All Fields]) AND (("oral health"[MeSH Terms] OR ("oral"[All Fields] AND "health"[All Fields]) OR "oral health"[All Fields]) AND care[All Fields]) AND("infection" [MeSH Terms] OR "infection"[All Fields] OR "communicable diseases"[MeSH Terms] OR ("communicable"[All Fields] AND "diseases"[All Fields]) OR "communicable diseases"[All Fields]) AND ("humans"[MeSH Terms] AND English[lang] AND ("2007/9/30"[PDat]: "2011/12/31"[PDat]))

④検索件数:41 件,除外件数:38 件,追加件数:2 件


CQ 7-3
口腔癌治療後のQOL 評価にはどのような方法があるか?
推奨グレードC1

口腔癌の治療において,構音,摂食・嚥下などの機能障害やQOL はその程度により,個別に介入していく必要がある。機能障害は重複して発症しているため,その客観的評価は難しく,それぞれの評価を行いながら治療に反映していくことが重要である。QOL を評価するスケールとしては,頭頸部癌の疾患特異性を考慮したものとしてUW-QOL scale,EORTC QLQ-C30 and H&N35,FACT,PSS などがある。

【背 景】

手術療法の進歩によって拡大切除が可能となった反面,機能障害が後遺している場合も少なくない。また,放射線治療においても口腔粘膜の乾燥が長期にわたって後遺するためQOL に影響をもたらしている。

進行口腔癌でも長期生存が可能となってきた現在,治療後の機能障害を含めてQOL 評価を行い,リハビリテーションに役立てることが必要となってきた。口腔癌治療後の障害は,構音,摂食・嚥下などにとどまらず精神的,社会的観点からも評価することが望まれており,それに対応した評価スケールが報告されている。

【解 説】

口腔癌患者において,手術による顔貌の変化,摂食や会話などの障害や,放射線治療による口腔乾燥が後遺することがあり,QOL にも影響し,精神的および社会的にも影響する1)[Ⅳ]。術後の障害を評価することは以前からも行われているが,咀嚼や嚥下は複雑な機能であり検査にあたっては習熟を要し,時として煩雑であり,実際の摂食状況を正しく反映しないこともあった。最近,口腔癌に合わせたスクリーニング法も報告されている2)3)[Ⅴ]。近年,治療成績向上とともに,単に治癒を目指すだけでなくQOL の改善も重要な目標とされ,QOL の評価が必要となり,いくつかのスケールが報告されてきた13)14)[Ⅳ]。QOL を評価するスケールとしては,頭頸部癌の疾患特異性を考慮したものとしてUW-QOL scale4)〜6)15),EORTC QLQ-C30 and H&N35 5)6)13)16),FACT17),PSS18),などがある[Ⅳ]。QOL 評価には医療者が評価する方法と患者自身が評価する方法があるが,患者自身によって記入される調査票を用いる方が望ましいとされている13)20)[Ⅰ]。わが国でもアンケート調査を含め,嚥下,構音,咀嚼機能全般を含めたQOL に関しての報告がされている7)〜12)19)[Ⅳ]。QOL は患者の年齢,術前の状態,治療方法,併用療法,術後経過などが複雑に影響し,その評価を治療に結びつけていくことは容易ではない21)[Ⅳ]

【参考文献】

1) 光藤健司,林 康司,他:頭頸部癌における手術後の社会生活変化に関する検討−アンケートによる調査.口科誌50:1-9,2001.[Ⅳ](追加論文)

2) 松本浩一,篠崎泰久,他:口腔癌に対する機能温存手術と術後の口腔機能検査およびリハビリテーション.自治医大医紀27:183-197,2004.[Ⅴ]

3) 渡邉 哲,大重日出男,他:口腔癌術後嚥下障害のスクリーニング法について.頭頸部癌32:34-39,2006.[Ⅴ]

4) Rogers, S.N., Laher, S.H., et al.: Importance-rating using the University of Washington quality of life questionnaire in patients treated by primary surgery for oral and oro-pharyngeal cancer. J Craniomaxillofac Surg 30: 125-132, 2002.[Ⅳ]

5) Chandu, A., Sun, K.C., et al.: The assessment of quality of life in patients who have undergone surgery for oral cancer: a preliminary report. J Oral Maxillofac Surg 63: 1606-1612, 2005.[Ⅳ](追加論文)

6) Smith, G.I., Yeo, D., et al.: Measures of healthrelated quality of life and functional status in survivors of oral cavity cancer who have had defects reconstructed with radial forearm free flaps. Br J Oral Maxillofac Surg 44: 187-192, 2006.[Ⅳ]

7) 金城亜紀,大部一成,他:舌癌切除後の口腔機能に関する臨床的検討.日口外誌55:153-161,2006.[Ⅵ]

8) 道 健一:口腔・中咽頭癌手術の機能評価.口腔腫瘍13:59-73,2001.[Ⅵ]

9) 藤本保志,松浦秀博,他:口腔・中咽頭がん術後嚥下機能の評価−嚥下機能評価基準(Swallowing Ability Scale)の妥当性について−.日耳鼻100:1401-1407,1997.[Ⅳ](追加論文)

10) Matsui, Y., Ohno, K., et al.: Factors influencing postoperative speech function of tongue cancer patients following reconstruction with fasciocutaneous/myocutaneous flaps−a multicenter study. Int J Oral Maxillofac Surg 36: 601-609, 2007.[Ⅳ]

11) 熊倉勇美:舌機能と構音.音声言語医38:390-395,1997.[Ⅴ](追加論文)

12) 平井敏博,石島 勉,他:顎補綴診療における咀嚼機能評価法について.顎顔面補綴19:42-52,1996.[Ⅳ](追加論文)

13) トート ガーボル, 佃 守: 頭頸部癌患者のQuality of Life の評価,分析および解釈の重要性−日本におけるQOL 評価の可能性とその手段.耳展46:368-383,2003.[Ⅵ](追加論文)

14) Rogers, S.N.: Quality of life perspectives in patients with oral cancer. Oral Oncol 46: 445-447, 2010.[Ⅳ]

15) 吉本世一,木股敬裕,他:舌癌再建手術後の患者における横断的QOL 調査.頭頸部癌35:374-379,2009.[Ⅳ]

16) Infante-Cossio, P., Torres-Carranza, E., et al.: Impact of treatment on quality of life for oral and oropharyngeal carcinoma. Int J Oral Maxillofac Surg 38: 1052-1058, 2009.[Ⅳ]

17) Rogers, L.Q., Courneya, K.S., et al.: Physical activity and quality of life in head and neck cancer survivors. Support Care Cancer 14: 1012-1019, 2006.[Ⅳ](追加論文)

18) Gourin, C.G., McAfee W.J., et al: Effect of comorbidity on quality of life and treatment selection in patients with squamous cell carcinoma of the head and neck. Laryngoscope 115: 1371-1375, 2005.[Ⅴ](追加論文)

19) 望月裕美,小村 健,他:口腔がんの手術が施行される患者の心理特性と生活の質の経時的変化.口腔病会誌76:16-24,2009.[Ⅳ]

20) Kanatas, A.N., Rogers, S.N.: A systematic review of patient self-completed questionnaires suitable for oral and maxillofacial surgery. Br J Oral Maxillofac Surg 48: 579-590, 2010.[Ⅰ]

21) Boscolo-Rizzo, P., Stellin, M., et al: Long-term quality of life after treatment for locally advanced oropharyngeal carcinoma: surgery and postoperative radiotherapy versus concurrent chemoradiation. Oral Oncol 45: 953-957, 2009.[Ⅳ]

【文献検索】

初版時
1)医中誌

①検索期間:1997-2007

②検索日:2007/9/1

③検索式:

  1. (口腔腫瘍/TH OR 口腔癌/AL) AND (口/TH OR 口腔/AL) AND 機能検査/AL AND (PT=症例報告除く,会議録除く)

④検索件数:31 件,除外件数:19 件,追加件数:3 件

(2)PubMed

①検索期間:1997-2007

②検索日:2007/9/1

③検索式:

  1. (oral cancer) AND (QOL) questionnaire AND ("last 10 years" [PDat])

④検索件数:32 件,除外件数:20 件,追加件数:2 件(改訂時,2007 年度版の文献7)を削除して,13)を追加した)

改訂時
(1)医中誌

①検索期間: 2007-2011

②検索日:2012/2/29

③検索式:

  1. #1:((口腔腫瘍 /TH OR 口腔癌 /AL) AND(生活の質 /TH or QOL/AL)) AND(生活の質 /TH OR 生活の質/AL)) AND (DT =1997:2011 PT =症例報告除く, 会議録除く)
  2. #2:((口腔腫瘍/TH OR 口腔癌 /AL) AND 機能評価/AL) AND(DT= 1997:2011 PT=症例報告除く, 会議録除く)

④検索件数:24 件,除外件数:20 件,追加件数:0 件

(2)PubMed

①検索期間:2007-2011

②検索日:2012/2/29

③検索式:"head and neck cancer"[All Fields] AND "quality of life"[All Fields] AND ("questionnaires"[MeSH Terms] OR "questionnaires"[All Fields] OR "questionnaire"[All Fields]) AND ("humans"[MeSH Terms] AND English[lang] AND ("2007/9/1"[PDat]: "2011/12/31"[PDat]))

④検索件数:48 件,除外件数:43 件,追加件数:1 件


CQ 7-4
舌接触補助床は術後の機能改善に有用か?
推奨グレードB

舌口底部切除後で,舌の容量が減少した場合や舌の可動性が大きく障害された場合には,舌接触補助床(PAP:palatal augmentation prosthesis, palatal appliance)を用いて舌の機能を代償させることにより,構音機能や摂食・嚥下機能の回復が期待できる。

【背 景】

術後の機能訓練や口腔ケアに加えて,このPAP による歯科補綴的アプローチ1)[Ⅳ]が機能改善に貢献することがあると報告されている2)[Ⅱ]

【解 説】

舌口底部の腫瘍切除後に残存舌の容量が減少したり,舌の可動性が制限された場合には,舌が口蓋に接触しないために構音や口腔期の嚥下機能が障害されることがある。このような場合,舌と口蓋の間に生じる空隙をレジンによって補填する装置をPAP といい,この装置を用いたリハビリテーションが,構音機能や嚥下機能の回復に有用であることが報告されている2)〜5)10)11)13)[Ⅱ]。PAP は舌や再建皮弁と口蓋との接触を代償するとともに,機能訓練により舌の機能を賦活化する役割もあり6)[Ⅳ],脳血管障害患者にも応用されている7)[Ⅴ]。PAP は上顎に装着される補綴装置であるが,無歯顎でも装着が可能であり,口腔内の条件を比較的選ばないのが利点である。PAPは,歯科医師や言語聴覚士が構音や嚥下の状態を確認しながら作製する5)[Ⅳ]。PAP は訓練が開始される術後早期からの適用が望ましいとされている8)12)[Ⅳ]。PAP の効果は,年齢,社会復帰への意欲,コミュニケーションの必要度などにより影響を受けるとされている9)12)13)[Ⅳ]。一方,PAP の問題点としては装着による違和感,味覚低下,唾液分泌の亢進などが挙げられている。舌の前突機能の低下や口裂の閉鎖不全がみられる場合には唾液が貯留し,流涎が問題となることがある2)[Ⅱ]。「摂食・嚥下障害,構音障害に対する舌接触補助床(PAP)の診療ガイドライン」と「顎顔面補綴診療ガイドライン2009 年度版」が既に発表されており,臨床の現場で活用されている14)15)

【参考文献】

1) 小野高裕,堀 一浩,他:口腔腫瘍患者の補綴治療における系統的アプローチの構築−最近2 年間の治療実績をもとに. 大阪大歯誌44:44-56,1999.[Ⅳ](追加論文)

2) Marunick, M., Tselios, N.: The efficacy of palatal augmentation prostheses for speech and swallowing in patients undergoing glossectomy: a review of the literature. J Prosthet Dent 91: 67-74, 2004.[Ⅱ]

3) 永田智子,木佐俊郎,他:舌・口腔底再建術後の舌接触補助床の使用経験.島根医学25:179-183,2005.[Ⅴ]

4) 熊倉勇美:舌機能と構音.音声言語医38:390-395,1997.[Ⅴ]

5) 有岡享子,石田 瞭,他:口腔腫瘍術後の摂食・嚥下障害に対して舌接触補助床(PAP)適用した5 症例.日摂食嚥下リハ会誌9:76-82,2005.[Ⅳ]

6) 中島純子,唐帆健浩,他:舌部分切除症例における舌接触補助床装着による嚥下動態の変化−Manofluorography による解析の試み.日摂食嚥下リハ会誌9:206-212,2005.[Ⅳ]

7) Ono, T., Hamamura, M., et al.: Collaboration of a dentist and speech-language pathologist in the rehabilitation of a stroke patient with dysarthria: a case study. Gerodontology 22: 116-119, 2005.[Ⅴ]

8) 道 健一:補綴的発音補助装置(スピーチエイド)の適応と効果.音声言語医学43:219-237,2002.[Ⅳ]

9) Shimodaira, K., Yoshida, H., et al.: Palatal augmentation prosthesis with alternative palatal vaults for speech and swallowing: a clinical report. J Prosthet Dent 80: 1-3, 1998.[Ⅴ]

10) de Carvalho-Teles, V., Sennes, L.U., et al.: Speech evaluation after palatal augmentation in patients undergoing glossectomy. Arch Otolaryngol Head Neck Surg 134: 1066-70, 2008.[Ⅳ]

11) Okayama, H., Tamura, F.,et al.: Effects of a palatal augmentation prosthesis on lingual function in postoperative patients with oral cancer: coronal section analysis by ultrasonography. Odontology 96: 26-31, 2008.[Ⅴ]

12) 横尾 聡:口腔癌広範切除症例に対する嚥下機能再建の意義.口科誌 57:1-18,2008.[Ⅳ](追加論文)

13) 関谷秀樹,園山智生,他:口腔悪性腫瘍術後の摂食・嚥下障害に対する舌接触補助床(PAP)を用いた機能回復法の有効性の検討−嚥下・構音障害とPAP 形状の関係,その適応と限界:第3 報として.顎顔面補綴33:66-69,2010.[Ⅳ]

14) 日本老年歯科医学会,日本補綴歯科学会:摂食・嚥下障害,構音障害に対する舌接触補助床(PAP)の診療ガイドライン.http://www.hotetsu.com/s/doc/guideline_pap.pdf

15) 日本顎顔面補綴学会,日本補綴歯科学会,日本口腔外科学会合同委員会:顎顔面補綴診療ガイドライン 2009 年版.http://square.umin.ac.jp/jamfp/pdf/guideline.pdf

【文献検索】

初版時
(1)医中誌

①検索期間:1997-2007

②検索日:2007/9/1

③検索式:

  1. #1:舌接触補助床/AL AND (口腔腫瘍/TH OR 口腔癌/AL) AND (PT=症例報告除く,会議録除く)
  2. #2:(舌切除術/TH OR 舌切除/AL) AND (構音障害/TH OR 構音障害/AL) AND 舌接触補助床/AL AND (PT=会議録除く)

④検索件数:7 件,除外件数:2 件,追加件数:1 件

(2)PubMed

①検索期間:1997-2007

②検索日:2007/9/2

③検索式:

  1. palatal augmentation prosthesis AND ("last 10 years" [PDat] AND (humans [Mesh]) AND (English [lang] OR Japanese [lang]))

④検索件数:26 件,除外件数:23 件,追加件数:0 件

改訂時
(1)医中誌

①検索期間:2007-2011

②検索日:2012/2/29

③検索式:

  1. #1:舌接触補助床/AL AND (口腔腫瘍/TH OR 口腔癌/AL) AND (PT =症例報告除く, 会議録除く)

④検索件数:9 件,除外件数:7 件,追加件数:2 件

(2)PubMed

①検索期間: 2007-2011

②検索日:2012/2/29

③検索式:(("palate"[MeSH Terms] OR "palate"[All Fields] OR "palatal"[All Fields]) AND augmentation[All Fields] AND ("prosthesis implantation"[MeSH Terms] OR("prosthesis"[All Fields] AND "implantation"[All Fields]) OR "prosthesis implantation"[All Fields] OR "prosthesis"[All Fields] OR "prostheses and implants"[MeSH Terms] OR ("prostheses"[All Fields] AND "implants"[All Fields]) OR "prostheses and implants"[All Fields])) AND ("humans"[MeSH Terms] AND English[lang] AND("2007/9/1"[PDat]: "2011/12/31"[PDat]))

④検索件数:26 件,除外件数:24 件,追加件数:0 件


CQ 7-5
放射線照射野内の抜歯は避けるべきか?
推奨グレードA

放射線性骨壊死(以下,骨壊死)は抜歯を契機に発症することから原則的に禁忌である。

【背 景】

放射線治療の後に抜歯を行うことが骨壊死の危険因子とされているが,抜歯が避けられない場合がある1)[Ⅳ]

【解 説】

放射線治療後に照射野内の抜歯を行うと骨壊死が生じることが知られており3)4)[Ⅲ],長期的に予後不良の歯が存在した場合には放射線治療前に抜歯が行われてきたが,それでも骨壊死を回避できないこともある5)[Ⅳ]。放射線治療後に抜歯が避けられないこともある。放射線治療後の抜歯は原則的には禁忌であるが,骨壊死の研究より,最近では放射線治療の内容,抜歯部位,抜歯の適応,抜歯術式,補助療法を考慮することにより,放射線治療後の抜歯が必ずしも禁忌ではないとされている2)[Ⅱ]。口腔癌の放射線治療後に抜歯を行う場合,60 Gy 以上の照射6)[Ⅳ]および下顎の抜歯の方が骨壊死の発症率が高いとされている7)[Ⅱ]。骨壊死は,一旦発症すると長期間にわたって苦痛をもたらすため,抗菌薬の投与8)[Ⅳ],抜歯創の完全閉鎖9)[Ⅳ],高気圧酸素療法の併用2)3)[Ⅱ]など,抜歯の施行にあたっては骨壊死の予防に十分な配慮が望まれる。骨壊死は,外傷性潰瘍からの感染で生じることもある。

骨壊死を予防するためには,抜歯を回避することが重要と考えられるが,骨壊死のリスクは何年経過しても変わらないため,抜歯に至らせないための歯周病や齲蝕の歯科的管理が必要である3)10)11)[Ⅳ]

放射線治療の進歩は著しく,三次元治療計画,IMRT(intensity-modulated radiation therapy)などの導入により顎骨の線量が減少してくると,放射線治療後の抜歯適応は今までと変わってくる可能性がある12)[Ⅳ]

【参考文献】

1) Hancock, P.J., Epstein, J.B., et al.: Oral and dental management related to radiation therapy for head and neck cancer. J Can Dent Assoc 69: 585-590, 2003.[Ⅳ](追加論文)

2) Nabil, S., Samman, N.: Incidence and prevention of osteoradionecrosis after dental extraction in irradiated patients: a systematic review. Int J Oral Maxillofac Surg 40: 229-243, 2011.[Ⅱ]

3) Katsura, K., Sasai, K., et al.: Relationship between oral health status and development of osteoradionecrosis of the mandible: a retrospective longitudinal study. Oral Surg Oral Med Oral Pathol Oral Radiol Endod 105: 731-738, 2008.[Ⅳ]

4) Koga, D.H., Salvajoli, J.V.: Dental extractions and radiotherapy in head and neck oncology: review of the literature. Oral Dis 14: 40-44, 2008.[Ⅲ]

5) Chang, D.T., Sandow, P.R.: Do pre-irradiation dental extractions reduce the risk of osteoradionecrosis of the mandible? Head Neck 29: 528-536, 2007.[Ⅳ]

6) Thorn, J.J., Hansen, H.S.: Osteoradionecrosis of the jaws: clinical characteristics and relation to the field of irradiation. J Oral Maxillofac Surg 58: 1088-1093, 2000.[Ⅳ](追加論文)

7) Reuther, T., Schuster, T., et al.: Osteoradionecrosis of the jaws as a side effect of radiotherapy of head and neck tumour patients−a report of a thirty year retrospective review. Int J Oral Maxillofac Surg 32: 289-295, 2003.[Ⅱ](追加論文)

8) 松本義之:頭頸部癌根治照射例における後障害に対する研究.歯科医学 63: 15-22, 2000.[Ⅳ]

9) Harding, S.A., Hodder, S.C., et al.: Impact of perioperative hyperbaric oxygen therapy on the quality of life of maxillofacial patients who undergo surgery in irradiated fields. Int J Oral Maxillofac Surg 37: 617-624, 2008.[Ⅳ]

10) Craddock, H. L.: Treatment and maintenance of a dentate patient with 'radiation caries'. Dent Update 33: 462-464, 2006.[Ⅳ](追加論文)

11) 勝良剛詞,後藤早苗,他:頭頸部放射線治療後の歯科的健康状態維持における歯科管理の効果.頭頸部癌 35: 266-272, 2009.[Ⅳ]

12) Ben-David, M.A., Diamante, M., et al.: Lack of osteoradionecrosis of the mandible after intensitymodulated radiotherapy for head and neck cancer: likely contributions of both dental care and improved dose distributions. Int J Radiat Oncol Biol Phys 68: 396-402, 2007.[Ⅳ]

【文献検索】

改訂時
(1)医中誌

①検索期間:1997-2011

②検索日:2011/9/6

③検索式:((放射線療法/TH OR 放射線治療/AL) AND (抜歯/TH OR 抜歯/AL)) AND (DT =1997:2011 PT =会議録除く CK =ヒト)

④検索件数:8 件,除外件数:6 件,追加件数:0 件

(2)PubMed

①検索期間:2001-2011

②検索日:2011/09/30

③検索式:(("radiotherapy"[Subheading] OR "radiotherapy" [All Fields] OR "radiotherapy"[MeSH Terms]) AND extraction[All Fields] AND ("osteoradionecrosis"[MeSH Terms] OR "osteoradionecrosis"[All Fields]) AND ("Head Neck"[Journal] OR ("head"[All Fields] AND "and"[All Fields] AND "neck"[All Fields]) OR "head and neck"[All Fields]) AND("prevention and control"[Subheading] OR("prevention"[All Fields] AND "control"[All Fields]) OR "prevention and control"[All Fields] OR "prevention"[All Fields])) AND ("humans" [MeSH Terms] AND English[lang] AND "2001/10/04"[PDat]: "2011/10/01"[PDat])

④検索件数:16 件,除外件数:10 件,追加件数:4 件


第8章 治療後の経過観察

治療後の経過観察の目的は,(1)原発巣再発,(2)頸部再発および後発転移,(3)遠隔転移,(4)異時性重複癌などをできるだけ早期に発見し,速やかに適切な治療をすることにある。治療成績を向上させ,癌を治癒に導くためには,初回の治療法が最も重要であるが,術後の経過観察も同様に重要である。術後の経過観察期間(CQ8-1)については,原発巣再発,あるいは頸部再発・後発転移は5 年間で十分であるとする報告1)2)があり,癌の治療成績は5 年生存率に基づいて判断されることから,少なくとも術後5 年までは経過観察を慎重にすべきである。

治療後の経過観察においては,原発巣,頸部,遠隔転移,異時性重複癌などに対して注意深い診察と検査(CQ8-2)が必要である2)〜22)

【参考文献はガイドライン誌『科学的根拠に基づく 口腔癌診療ガイドライン2013 年版』
(金原出版刊行物)添付CD-ROMに収録】


CQ 8-1
口腔癌一次治療後の経過観察の間隔と期間はどのくらいか?
推奨グレードC1

経過観察の間隔としては,治療後1 年間は最低月1 回(可能であれば月2 回),1〜2 年では月1 回,2〜3 年では2 か月に1 回,3〜4 年では3 か月に1 回,4〜5 年では4 か月に1 回,5 年以降は6 か月に1 回の経過観察が推奨される。

【背 景】

口腔癌一次治療終了後の患者に対して,どれぐらいの間隔で診察すれば再発などが的確に把握できるかを論じた報告はほとんどない。したがって,主に治療成績に関する報告を参考に,経過観察の間隔と期間を検証する。

【解 説】

経過観察の間隔については,1)原発巣再発,2)頸部再発および後発転移,3)遠隔転移,4)異時性重複癌の早期発見を前提としたものでなければならない。したがって,それぞれの発現する期間に関する論文をまとめて以下に述べる。

原発巣再発および頸部リンパ節後発転移をきたす時期は,そのほとんど(77〜91%)が1 年以内である1)3)〜7)[Ⅴ]。米国のガイドラインでは,治療後1〜2 年では月1 回,2〜3 年では2〜3 か月に1回の経過観察を推奨している8)9)[Ⅳ]が,これよりも間隔を長くしても良いとする報告もある10)〜14)[Ⅱ]

頸部リンパ節後発転移の診査では,通常,US もしくはUS とCT の組み合わせで術後1〜2 年間は月1 回,それ以降は3〜6 か月に1 回を推奨するとの報告,15)〜18)がある[Ⅴ]

なお,術後の経過観察はいつまで行うべきかのコホート調査では,原発巣再発,および頸部リンパ節の再発・後発転移に関しては,5 年で十分と結論されている1)2)[Ⅳ]。しかし,異時性重複癌の発生は平均47 か月19)など,術後5 年以上経過後での発症例19)〜21)も多い[Ⅳ]

以上より,経過観察の間隔は,治療後1 年間は最低月1 回(可能であれば月2 回),1〜2 年では月1 回,2〜3 年では2 か月に1 回,3〜4 年では3 か月に1 回,4〜5 年では4 か月に1 回,5 年以降は6 か月に1 回の経過観察が推奨され10)〜13)18)[Ⅱ],術後5 年までは原発巣,頸部再発および頸部リンパ節後発転移の経過観察を行うべきであると考えられる。しかし,5 年以上経過して再発した報告19)や,口腔内多発癌さらに放射線誘発癌,異時性重複癌20)21)[Ⅳ]などが発生したという報告もある。

【参考文献】

1) Tewari, M., Rai, P., et al.: Long-term follow-up results of Nd: YAG laser treatment of premalignant and malignant(Stage Ⅰ) squamous cell carcinoma of the oral cavity. J Surg Oncol 95: 281-285, 2007.[Ⅴ]

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7) 黒川英雄,村田朋之,他:口腔扁平上皮癌の頸部後発転移に関する臨床病理学的検討.日口外誌43:661-666,1997.[Ⅴ]

8) Marchant, F.E., Lowry, L.D., et al.: Current national trends in the posttreatment follow-up of patients with squamous cell carcinoma of the head and neck. Am J Otolaryngol 14: 88-93, 1993.[Ⅳ]

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10) Szabo, G., Kreidler, J., et al.: Intra-arterial preoperative cytostatic treatment versus preoperative irradiation: A prospective, randomized study of lingual and sublingual carcinomas. Cancer 86: 1381-1386, 1999.[Ⅱ]

11) Zakotnik, B., Budihna, M., et al.: Patterns of failure in patients with locally advanced head and neck cancer treated postoperatively with irradiation or concomitant irradiation with Mitomycin C and Bleomycin. Int J Radiat Oncol Biol Phys 67: 685-690, 2007.[Ⅱ]

12) Zorat, P.L., Paccagnella, A., et al.: Randomized phase Ⅲ trial of neoadjuvant chemotherapy in head and neck cancer: 10-year follow-up. J Natl Cancer Inst 96: 1714-1717, 2004.[Ⅱ]

13) Hitt, R., Paz-Ares, L., et al.: Induction chemotherapy with paclitaxel, cisplatin and 5-fluorouracil for squamous cell carcinoma of the head and neck: long-term results of a phase Ⅱ trial. Ann Oncol 13: 1665-1673, 2002.[Ⅴ]

14) Dunphy, F.R., Dunleavy, T.L., et al.: Induction paclitaxel and carboplatin for patients with head and neck carcinoma. Analysis of 62 patients treated between 1994 and 1999. Cancer 91: 940-948, 2001.[Ⅴ]

15) Eida, S., Sumi, M., et al.: Combination of helical CT and Doppler sonography in the follow-up of patients with clinical N0 Stage neck disease and oral cancer. AJNR Am J Neuroradiol 24: 312-318, 2003.[Ⅴ]

16) Hayashi, T., Ito, J., et al.: The clinical significance of follow-up sonography in the detection of cervical lymph node metastases in patients with stage Ⅰ or Ⅱ squamous cell carcinoma of the tongue. Oral Surg Oral Med Oral Pathol Oral Radiol Endod 96: 112-117, 2003.[Ⅴ]

17) 林 孝文:頸部転移リンパ節の画像診断−モダリティの特徴と診断能−画像上の経時的変化と病理像との対比.口腔腫瘍10:282-287,1998.[Ⅴ]

18) Yuasa, K., Kawazu, T., et al.: Sonography for the detection of cervical lymph node metastases among patients with tongue cancer: criteria for early detection and assessment of follow-up examination intervals. AJNR Am J Neuroradiol 21: 1127-1132, 2000.[Ⅴ]

19) 大村あゆみ,大関 悟,他:口腔癌治療後,長期 経過して口腔内に腫瘍の再発をきたした症例の検 討.日口外誌40:1238-1248,1994.

20) Petit, T., Georges, C., et al.: Systematic esophageal endoscopy screening in patients previously treated for head and neck squamous-cell carcinoma. Ann Oncol 12: 643-646, 2001.[Ⅳ]

21) 山本哲也,片山慶馬,他:口腔癌患者における異所性重複癌の検討−特に他臓器癌に対するスクリーニング検査の重要性について.口科誌53:161-166,2004.

【文献検索】

初版時
(1)医中誌

①検索期間:2002-2007(ただしは1983-2007)

②検索日:2007/06/16

③検索式:

  1. #1:口腔癌 AND 頸部リンパ節転移
  2. #2:口腔癌 AND 経過観察
  3. #3:口腔癌 AND X線 CT AND 経過観察
  4. #4:口腔癌 AND 超音波 AND 経過観察
  5. #5:口腔癌 AND MRI AND 経過観察
  6. #6:口腔癌 AND 重複癌 AND 内視鏡
  7. #7:口腔癌 AND 経過観察 AND 腫瘍マーカー
  8. #8:口腔癌 AND 治療成績

④検索件数:166件,除外件数:135件,追加件数:2件

(2)PubMed

①検索期間:1997-2007

②検索日:2007/06/16

③検索式:

  1. #1:oral cancer AND optimal observation
  2. #2:head and neck cancer AND optimal observation
  3. #3:head and neck cancer AND interval AND outpatient
  4. #4:head and neck cancer AND on one month basis AND follow-up
  5. #5:oral cancer AND prognosis AND long-term
  6. #6:head and neck cancer AND prognosis AND long-term AND follow-up AND clinical trial
  7. #7:oral cancer AND computed tomography AND metastasis AND lymph node AND follow-up
  8. #8:oral cancer AND ultrasonography AND metastasis AND lymph node AND follow-up
  9. #9:oral cancer AND magnetic resonance imaging AND metastasis AND lymph node AND follow-up
  10. #10:oral cancer AND positron emission tomography AND metastasis AND lymph node AND follow-up
  11. #11:scc antigen AND oral cancer AND follow-up AND tumor marker
  12. #12:oral cancer AND endoscopy AND synchronous primary cancer

④検索件数:429件,除外件数:394件,追加件数:2件

改訂時
(1)医中誌

①検索期間:2008-2011

②検索日:2011/11/15

③検索式:

  1. #1:口腔癌AND 頸部リンパ節転移
  2. #2:口腔癌AND 経過観察
  3. #3:口腔癌AND X 線CT AND 経過観察
  4. #4:口腔癌AND 超音波AND 経過観察
  5. #5:口腔癌AND MRI AND 経過観察
  6. #6:口腔癌AND 重複癌AND 内視鏡
  7. #7:口腔癌AND 経過観察AND 腫瘍マーカー
  8. #8:口腔癌AND 治療成績

④検索件数:286 件,除外件数:256 件,追加件数:0 件

(2)PubMed

①検索期間:2008-2011

②検索日:2011/11/15

③検索式:

  1. #1:oral cancer AND optimal observation
  2. #2:head and neck cancer AND optimal observation
  3. #3:head and neck cancer AND interval AND outpatient
  4. #4:head and neck cancer AND on one month basis AND follow-up
  5. #5:oral cancer AND prognosis AND long-term
  6. #6:head and neck cancer AND prognosis AND long-term AND follow-up AND clinical trial
  7. #7:oral cancer AND computed tomography AND metastasis AND lymph node AND follow-up
  8. #8:oral cancer AND ultrasonography AND metastasis AND lymph node AND follow-up
  9. #9:oral cancer AND magnetic resonance imaging AND metastasis AND lymph node AND follow-up
  10. #10:oral cancer AND positron emission tomography AND metastasis AND lymph node AND follow-up
  11. #11:scc antigen AND oral cancer AND followup AND tumor marker
  12. #12:oral cancer AND endoscopy AND synchronous primary cancer

④検索件数:279 件,除外件数:235 件,追加件数:0 件


CQ 8-2
治療後の経過観察で推奨される検査法は何か?
推奨グレードC1

原発巣の診査は主に触診・視診が,頸部リンパ節後発転移には触診とともに超音波検査と造影CT が,遠隔転移には胸部X 線撮影,CT,PET,PET-CT が推奨される。

【背 景】

初回治療後の経過観察において原発巣・頸部再発,後発転移,遠隔転移,異時性重複癌などの早期発見のための診査法,画像診断,臨床検査などに関して検証した。

【解 説】

口腔癌の原発巣再発のチェックは,口腔領域が直視・触知が可能であることより,もっぱら視診・触診で対処している施設がほとんどである1)[Ⅴ]。頸部リンパ節診断において,触診,CT,US,MR,RI のsensitivity,specificity,positive predict value を検討した報告2)3)では,US(断層+ドプラ)と造影CT が有用であると述べている[Ⅳ]。さらに造影CT と単純CT の両者を撮像し比較をすれば,より診断精度が上昇するとの報告もある4)[Ⅴ]。頸部転移が疑われるときには超音波ガイド下での穿刺吸引細胞診を推奨する報告がある5)〜7)[Ⅴ]。検査の間隔では,US もしくはUS と造影CT の組み合わせで術後1〜2 年間は月1 回が推奨され,2 週間に1 回であれば大きさの変化が掌握可能であるとされている8)〜11)[Ⅴ]。一方,術後初回の経過観察時にUS と造影CT を同時に撮像し,以後,再来のたびにUS を行い,悪性度の高い症例では,術後1 年以内は3 か月に1 回の割合で造影CT 検査をすることが推奨されている2)4)[Ⅳ]

遠隔転移については肺転移の頻度が高いことから主に胸部X 線撮影が行われる。肺転移のチェックには胸部X 線撮影の有効性が低いとの報告12)13)もあるが,臨床の現場では進展度に応じて3〜6 か月に1 回の撮影[Ⅳ]が行われている。一方,胸部CT では,術後1 年目は6 か月に1 回,2 年目は年に1 回の割合で撮像することを推奨する13)[Ⅳ]。また,術後1 年までは3 か月に1 回の躯幹部CT が有効であるとする報告がある25)[Ⅳ]

異時性の重複癌では,年に2 回の上部消化管内視鏡検査で食道癌を発見できたが,予後には影響しなかったと述べている14)[Ⅴ]。経済効果を考えると果たして定期的な上部消化管内視鏡検査に妥当性があるか否かは議論の余地があると述べている14)15)[Ⅳ]

経過観察において一次治療終了後のPET は,重複癌,局所再発,頸部後発転移,遠隔転移の診断など治療後の経過観察に際して有用であるとする報告があるが,そのsensitivity は80%を下回っている16)26)〜34)[Ⅳ]。また,再発・転移腫瘍の診断に際してPET は高いsensitivity を示すものの,炎症にも集積を認めることからspecificity が低くなる点も問題であると指摘されている17)[Ⅳ]。撮像間隔としては,一次治療終了後は3〜6 か月に1 回31)32),また放射線療法あるいは化学療法後は2 か月に1 回26)〜30)の割合で施行することが推奨されている[Ⅳ]

腫瘍マーカーは,特にSCC 抗原が経過観察に有用であり18)〜20),腫瘍の再発の1〜2 か月前より上昇するとする報告18)や,IAP やsialic acid20)あるいはHER-2/neu21)と組み合わせるとさらに有効であるとの報告がある[Ⅳ]。しかし,すべての再発症例で増加するわけではなく,腫瘍マーカーに対して否定的な意見22)23)もあり[Ⅴ],口腔癌の発生部位での基準値に差がある24)[Ⅳ]。したがって,経過観察に腫瘍マーカーの使用の必要性を裏付ける強力な証拠はない。しかし,腫瘍マーカーと臨床経過が相関する症例が約1/3 であること19)より,治療前にSCC 抗原が高値で術後に減少した症例に限定して,SCC 抗原の変化を観察するのは有効かもしれない[Ⅴ]

【参考文献】

1) Tewari, M., Rai, P., et al.: Long-term follow-up results of Nd: YAG laser treatment of premalignant and malignant(Stage Ⅰ)squamous cell carcinoma of the oral cavity. J Surg Oncol 95: 281-285, 2007.[Ⅴ]

2) 神田重信,湯浅賢治,他:口腔癌頸部リンパ節転移に対する画像診断法のアプローチ.歯科放射線40:109-121,2000.[Ⅳ]

3) 神田重信,筑井 徹,他:口腔癌の頸部リンパ節転移に対する画像診断法とその診断能.口腔腫瘍16:75-84,2004.[Ⅳ]

4) Hayashi, T., Tanaka, R., et al.: Non-contrastenhanced CT findings of high attenuation within metastatic cervical lymph nodes in patients with stage Ⅰ or Ⅱ tongue carcinoma during a follow-up period. AJNR Am J Neuroradiol 24: 1330-1333, 2003.[Ⅴ]

5) van den Brekel, M.W., Reitsma, L.C., et al.: Sonographically guided aspiration cytology of neck nodes for selection of treatment and follow-up in patients with N0 head and neck cancer. AJNR Am J Neuroradiol 20: 1727-1731, 1999.[Ⅴ]

6) Nieuwenhuis, E.J., Castelijns, J.A., et al.: Wait-and-see policy for the N0 neck in early-stage oral and oropharyngeal squamous cell carcinoma using ultrasonography-guided cytology: is there a role for identification of the sentinel node? Head Neck 24: 282-289, 2002.[Ⅴ]

7) van den Brekel, M.W., Castelijns, J.A, et al.: Outcome of observing the N0 neck using ultrasonographic-guided cytology for follow-up. Arch Otolaryngol Head Neck Surg 125: 153-156, 1999.[Ⅴ]

8) Eida, S., Sumi, M., et al.: Combination of helical CT and Doppler sonography in the follow-up of patients with clinical N0 stage neck disease and oral cancer. AJNR Am J Neuroradiol 24: 312-318, 2003.[Ⅴ]

9) Hayashi, T., Ito, J., et al.: The clinical significance of follow-up sonography in the detection of cervical lymph node metastases in patients with stage Ⅰ or Ⅱ squamous cell carcinoma of the tongue. Oral Surg Oral Med Oral Pathol Oral Radiol Endod 96: 112-117, 2003.[Ⅴ]

10) 林 孝文:頸部後発転移症例の転移様相と治療成績.口腔腫瘍10:282-287,1998.[Ⅴ]

11) Yuasa, K., Kawazu, T., et al.: Sonography for the detection of cervical lymph node metastases among patients with tongue cancer: criteria for early detection and assessment of follow-up examination intervals. AJNR Am J Neuroradiol 21: 1127-1132, 2000.[Ⅴ]

12) Merkx, M.A., Boustahji, A.H., et al.: A half-yearly chest radiograph for early detection of lung cancer following oral cancer. Int J Oral Maxillofac Surg 31: 378-382, 2002.[Ⅴ]

13) Ong, T.K., Kerawala, C.J., et al.: The role of thorax imaging in staging head and neck squamous cell carcinoma. J Craniomaxillofac Surg 27: 339-344, 1999.[Ⅳ]

14) Petit, T., Georges, C., et al.: Systematic esophageal endoscopy screening in patients previously treated for head and neck squamous-cell carcinoma. Ann Oncol 12: 643-646, 2001.[Ⅴ]

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16) Kunkel, M., Förster, G.J., et al.: Detection of recurrent oral squamous cell carcinoma by[18F]-2-fluorodeoxyglucose-positron emission tomography: implications for prognosis and patient management. Cancer 98: 2257-2265, 2003.[Ⅴ]

17) 山中正文,飯田明彦,他:顎口腔領域癌患者における上部消化管内視鏡検査(GIF)のスクリーニングの有用性.日口外誌49:329-334,2003.[Ⅳ]

18) Krimmel, M., Hoffmann, J., et al.: Relevance of SCC-Ag, CEA, CA 19.9 and CA 125 for diagnosis and follow-up in oral cancer. J Craniomaxillofac Surg 26: 243-248, 1998.[Ⅴ]

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20) Kimura, Y., Fujieda, S., et al.: Conventional tumor markers are prognostic indicators in patients with head and neck squamous cell carcinoma. Cancer Lett 155: 163-168, 2000.[Ⅴ]

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23) Walther, E.K., Dahlmann, N., et al.: Tumor markers in the diagnosis and follow-up of head and neck cancer: role of CEA, CA 19-9, SCC, TK, and dTTPase. Head Neck 15: 230-235, 1993.[Ⅴ]

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25) 高橋 章,前田直樹,他:口腔顎顔面悪性腫瘍の遠隔転移評価における躯幹部CT 検査の位置づけ 四国歯誌 19:239-246,2007.[Ⅳ]

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32) Lee, J.C., Kim, J.S., et al.: F-18 FDG-PET as a routine surveillance tool for the detection of recurrent head and neck squamous cell carcinoma. Oral Oncol 43: 686-692, 2007.[Ⅳ]

33) Périé, S., Hugentobler, A., et al.: Impact of FDG-PET to detect recurrence of head and neck squamous cell carcinoma. Otolaryngol Head Neck Surg 137: 647-653, 2007.[Ⅳ]

34) Abgral, R., Querellou, S., et al.: Does 18F-FDG PET/CT improve the detection of posttreatment recurrence of head and neck squamous cell carcinoma in patients negative for disease on clinical follow-up? J Nucl Med 50: 24-29, 2009.[Ⅳ]

【文献検索】

CQ8-1 に同じ。


第9章 再発癌の治療

口腔癌の根治的治療後の原発巣および頸部での再発は,最も大きな予後不良因子であることは言うまでもない。各種根治的治療後の原発巣・頸部再発率は通常24〜48%1)〜3)と報告され,そのうち原発巣再発が半数以上を占めている2)。また,再発癌の75%以上は一次治療後2 年以内に認められており4)5),これらを考慮した経過観察が必要である。

再発癌の治療法としては,外科療法,放射線療法,化学療法,また最近では,分子標的治療薬を用いた治療や,癌特異的ペプチドや樹状細胞を用いた免疫療法なども試みられている。また,姑息的な放射線療法や化学療法を含む緩和治療が挙げられる。これらは,再発部位や再発時の進行度および一次治療内容,患者の全身状態によって選択されている(CQ9-1)。

1 外科療法

再発癌が切除可能と判断でき,患者の全身状態も良好であれば,通常はまず外科療法が選択される。特に放射線療法の既往がある症例においては,外科療法は第一選択であり,化学療法や放射線療法,化学放射線療法に比べ予後が良いことが報告されている2)6)。しかし,再発時に進行しているものや進行癌の再発例においては,一般的に予後不良である2)7)8)。また,原発巣と再発部位にも影響し,外科療法により最も予後が良好であるのは,頭頸部癌においては,喉頭癌での原発巣再発である。一方,咽頭癌の原発巣再発は一般的に不良で,口腔癌における原発巣再発はその中間であり,最も不良であるのは頸部再発であることが報告されている7)。口腔癌を含む頭頸部再発癌における外科療法の治療成績は15〜67%とされ2)幅が広いが,最近では,2 年無病生存率で44%,また,メタ・アナリシスでは,5 年生存率39%と報告されている7)

2 放射線療法,化学放射線療法

再発癌が切除不可能な場合や患者の全身状態により手術不能である場合,また再発癌手術後の補助療法として,放射線療法や化学放射線療法が選択されている。再発癌に対しては通常50〜60 Gy以上の高線量の外部照射か,または比較的小さな再発の場合は,組織内照射や体幹部定位放射線治療(stereotactic body radiation therapy: SBRT)が選択される場合もある9)10)17)〜19)。組織内照射では,組織壊死や骨髄炎,瘻孔形成,強度の組織線維化などの合併症が生じるため,合併症の比較的低い外部照射が選択される場合が多い9)

ただ,外部照射も再発癌の場合,既治療で放射線療法が施行されていることも多く,高線量の施行が困難であることもある。そこで,最近では化学療法を加えた化学放射線療法11)20),術中放射線照射21),SBRT19)22)〜24),強度変調放射線治療(IMRT)25),ホウ素中性子補捉治療(BNCT)26)により治療成績を向上させる工夫が行われている。化学放射線療法では,5-FU やS-1 との併用,5-FU と hydroxyurea(HU)との併用,CDDP と 5-FU との併用,CDDP と paclitaxel(PTX)との併用,CDDP と docetaxel(DTX),5FU との併用などが行われている11)

3 化学療法

既治療として根治線量(60〜70 Gy)の照射が施行された原発巣再発癌に対しては,再照射は困難で,また,切除不可能である場合は,必然的に化学療法が選択されることになる。化学療法は通常CDDP やCBDCA などの白金製剤,5-FU やS-1,PTX やDTX といったタキサン系をベースにした多剤併用療法が施行される場合が多く,単剤に比べて奏効率は高いものの,生存率を改善するまでには至っていない12)

4 分子標的治療,遺伝子治療

再発癌や切除不能な進行癌では放射線療法や化学療法に対し抵抗性をもつものが多く,それらに対する全く新しい治療法の開発が望まれている。その主なものとしては分子標的治療や遺伝子治療であり,現在phase Ⅰ,Ⅱ,Ⅲの臨床試験が頭頸部進行再発癌,転移性癌に対し行われている。

分子標的治療薬としては,MMP およびNF-κB の阻害薬,VEGF,VEGFR,およびEGFR などを分子標的とした治療薬があり,単独または化学療法や放射線療法との併用による効果が報告されているが,生存期間および生存率の改善までには至っていない13)〜15)。ただcetuximab はphase ⅡあるいはⅢの臨床試験で化学療法および放射線療法に対する上乗せ効果があり,生存期間の改善を示す報告がある27)〜31)

遺伝子治療は,増殖型アデノウイルスベクターを用いた頭頸部再発癌に対するphase Ⅱの臨床試験が行われ,14%の症例に腫瘍縮小効果を認めたという報告があるが,症例数が少なく評価するにはいまだ十分ではない16)

5 免疫療法

口腔癌の切除不能な再発症例や進行症例に対しては,癌特異的ペプチドや樹状細胞を用いた癌ワクチン療法が試みられており,phaseⅠの臨床試験も行われている。ペプチドにはsurvivin-2B,URLC10,TTK,WT1 が用いられており,特にsurvivin-2B を用いた場合には,一部の症例でPR や腫瘍マーカーの低下といった臨床効果がみられており,少なくとも多くの症例で特異的細胞傷害性T 細胞の誘導が確認されている32)。現状ではいずれの臨床成果も十分とはいえないが,有害事象が少ないことなどもあり,今後標準的治療としての役割が期待される。

【参考文献はガイドライン誌『科学的根拠に基づく 口腔癌診療ガイドライン2013 年版』
(金原出版刊行物)添付CD-ROMに収録】


CQ 9-1
口腔癌の根治的治療後の再発癌に対する治療法と治療成績は?
推奨グレードB

治療法としては,外科療法,放射線療法,化学療法,また最近では,分子標的治療薬なども試みられているが,現時点では,外科療法は他療法に比べ唯一予後の改善が認められる治療法である。

【背 景】

口腔癌を含む頭頸部再発癌の外科療法による治療成績は,2 年無病生存率で44%(口腔癌のみでは47%)であり,化学放射線療法では2 年生存率が10〜25.9%,5 年生存率では0〜14.6%,化学療法単独では,5 年生存率で5%以下であることが報告されている。

【解 説】

口腔癌の一次治療は,根治的手術,放射線療法,術前補助療法後の根治的手術,根治的化学放射線療法など多岐にわたっており,通常進行度と患者の全身状態により選択される。そのため,再発癌についても一次治療内容と再発部位や再発時の進行度によって治療法が異なる。主な治療オプションとしては,救済手術,放射線療法,化学療法であるが,最近ではMMP およびNFκB の阻害薬,VEGF,VEGFR,およびEGFR などを分子標的とした治療薬などの臨床試験が実施されている。

再発癌が切除可能で,かつ患者の状態が手術可能であれば,通常は外科療法が選択され1),他療法に比べ良好な予後が認められている2)3)[Ⅲ]。口腔癌を含む頭頸部再発癌の外科療法による治療成績は,無病生存中央値が18 か月,2 年無病生存率は44%(口腔癌のみでは47%)であり,再発時のstage が進行しているほど予後不良で,再発時stage Ⅰが73%,stage Ⅱが67%,stage Ⅲが33%,stage Ⅳが22%であり,再発部位では頸部での再発が最も不良であったという報告がある4)[Ⅰ]

放射線療法では,多くは化学放射線療法による報告が多いが,放射線外部照射による原発巣および頸部における2〜5 年の制御率は12〜36%,2 年生存率は10〜26%,5 年生存率は0〜15%と報告されている5)6)10)[Ⅲ]。放射線療法単独の場合,放射線外部照射の原発巣・頸部制御率は13〜33%,5 年生存率は13〜20%6),組織内照射の2 年および5 年生存率はそれぞれ13〜48%,1〜30%であるが,組織壊死や骨髄炎,瘻孔形成,強度の組織線維化などの合併症が5〜47%生じると報告されている8)。近年,精度の高い放射線照射が可能となり,照射歴のある再発口腔癌に対する定位放射線治療(SBRT)11)〜14)や強度変調放射線治療(IMRT)15),ホウ素中性子捕捉治療(BNCT)16)による治療が報告され良好な成績を得ている。また,切除可能な再発口腔癌に対する術中照射17)や組織内照射18)19)の報告もあり,生存期間を延長させる可能性はあるが,十分なエビデンスを得るまでには至っていない。

化学療法では,一般的に再発癌に対する化学療法単独での治療効果は低く,奏効率は10〜35%程度であり,5 年生存率も5%以下とされている7)8)20)〜30)。CDDP やCBDCA といった白金製剤,5-FUや S-1,paclitaxel(PTX)や docetaxel(DTX)といったタキサン系をベースとした多剤併用療法は他の化学療法に比べ治療成績は良いものの,おおむね生存期間中央値は6〜17 か月であり,1 年生存率は30〜60%,5 年生存率は5%以下である7)8)[Ⅰ]

分子標的治療薬を用いた臨床試験においては,進行癌の一次治療に際して放射線やCDDP と併用することにより,3 年原発巣・頸部制御率は71%,3 年生存率は76%,3 年無病生存率は56%であったが,再発癌に対しては一般的に効果は不良で,奏効率は11〜42%,生存期間中央値は6〜12 か月と報告されている9)。このように,再発癌に対しては生存期間および生存率の改善までには至っていないとする報告が多い31)〜36)Ⅱ]。一方,phase ⅡあるいはⅢの臨床試験で生存期間の改善を示す報告もみられ37)〜41),EGFR に対する抗体であるcetuximab をCDDP + 5-FU に併用すると,生存期間中央値が7 か月から10 か月まで有意に延長したという報告や,放射線療法にcetuximab を併用することにより,3 年および5 年生存率が放射線療法単独に比べ有意に改善したという報告がみられる40)41)[Ⅱ]。その他の分子標的治療薬は従来の治療法と非劣性を証明するに至るものは現時点ではなく,評価するにはまだ不十分である。

【参考文献】

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【文献検索】

初版時
(1)医中誌

①検索期間:1997-2007

②検索日:2007/6/14

③検索式:((口腔腫瘍 /TH OR 口腔癌 /AL) OR (頭頸部腫瘍 /TH OR 頭頸部癌/AL)) AND (再発 /TH OR 再発/AL) AND (治療/AL OR 治療/AL) AND (扁平上皮癌 /TH OR 扁平上皮癌/AL) AND (治療成績 /TH OR 治療成績/AL) AND (DT=1997:2007 PT=症例報告除く,会議録除く)

④検索件数:99件,除外件数:93件,追加件数:0件

(2)PubMed

①検索期間:1997-2007

②検索日:2007/6/14

③検索式:oral cancer AND recurrent AND squamous cell carcinoma AND treatment AND survival(oral cancer OR head and neck cancer) AND recurrent AND squamous cell carcinoma AND treatment AND survival AND prognosis

④検索件数:537件,除外件数:499件,追加件数:3件

改訂時
(1)医中誌

①検索期間:2008-2011

②検索日:2011/11/28

③検索式:((口腔腫瘍/TH OR 口腔癌/AL) OR (頭頸部腫瘍/TH OR 頭頸部癌/AL)) AND (再発/TH OR 再発/AL) AND (治療/AL OR 治療/AL) AND (扁平上皮癌/TH OR 扁平上皮癌/AL) AND (治療成績/TH OR 治療成績/AL) AND (DT = 1997:2007 PT =症例報告除く,会議録除く)

④検索件数:97 件,除外件数:83 件,追加件数:0 件

(2)PubMed

①検索期間: 2008-2011

②検索日:2011/11/28

③検索式:oral cancer AND recurrent AND squamous cell carcinoma AND treatment AND survival(oral cancer OR head and neck cancer) AND recurrent AND squamous cell carcinoma AND treatment AND survival AND prognosis

④検索件数:189 件,除外件数:115 件,追加件数:1 件


第10章 緩和医療

口腔癌を含むがん治療では,受診時の不安や告知後の抑うつに対する対応,術後や化学放射線療法施行時・後の疼痛管理やせん妄を含む精神症状のケアが必要となることが多く,早い段階から緩和医療を開始する必要がある。さらに,がんの終末期では,がん性疼痛,呼吸器症状,消化器症状,精神症状,出血などが生じるが,口腔癌ではそれ以外に気道狭窄による呼吸困難,嚥下障害による栄養障害,構音障害によるコミュニケーション障害,整容的な障害などを生じることがある。しかし,疼痛管理,呼吸器症状・消化器症状・精神症状の緩和を除いて,患者や家族のQOL の向上を図る系統的な支持療法は確立されておらず,経験や知識に基づいた個々の対応に委ねられてきた。近年,患者の意思を尊重した終末期医療のあり方が再検討され,支持療法の確立を目指した取り組みも必要である。

1 疼痛管理

口腔癌を含むがん性疼痛の制御は,終末期だけではなく治療中を含め早い段階から必要になることも多い。

基本的には,がん性疼痛の制御はWHO の提唱する3 段階の薬物療法を中心に行われており,「がんの痛みからの解放」第2 版が1996 年にWHO から出版された1)。がん性疼痛の治療は,第一に「痛みに妨げられない夜間の睡眠」,第二に「安静時の痛みの消失」,第三には「体動時の痛みの消失」を目標としている1)

しかし,骨転移などの体動時痛など疼痛制御が困難な場合もあり,患者および家族に対する適切な説明が必要となる。

WHO 方式がん性疼痛治療法は,「鎮痛薬使用の5 原則」および「三段階除痛ラダー」から構成されている。鎮痛薬使用の5 原則は,(1)経口的,(2)時間を決めて規則正しく,(3)除痛ラダーにそって効力の順に,(4)患者ごとの個別的な量で,(5)その上で細かい配置を,の5 点にしたがって鎮痛薬を使用するというものである。三段階除痛ラダーは,痛みの強さによる鎮痛薬の選択ならびに鎮痛薬の段階的使用法を示している。WHO 方式がん性疼痛治療法は,非オピオイド鎮痛薬およびオピオイド鎮痛薬の使用に加え,抗うつ薬や抗痙攣薬を含めた鎮痛補助薬の使用や副作用対策,心理社会的背景などを包括的に用いた除痛法である。がん治療(手術,放射線治療,化学療法など)や神経ブロックなどにより痛みの原因が除去されたり減少した場合には,鎮痛薬の漸減が必要となる1)

実際のがん性疼痛制御に関しては,様々な薬剤の使用および精神的な対応を含め緩和ケアチームや緩和ケア科および精神腫瘍科との密接な連携が必要となる(CQ10-1)。

2 出血

出血は,原発部位および頸部転移巣の皮膚浸潤部や動静脈からの出血として認められる。大量出血はショックや気道閉塞により死に直結し,また慢性持続性の出血は貧血をきたし,QOL の低下を招く。

腫瘍浸潤による出血を生じた場合は,用手的な圧迫や局所止血剤の貼付が有効であるが,腫瘍の栄養血管である外頸動脈の結紮や,IVR(Interventional Radiology)を応用して白金コイルやゼラチンスポンジ等を塞栓物質として用い,動脈塞栓術を要することもある2)

3 栄養療法

進行癌患者における栄養療法の目標は,症状緩和および快適性にある3)。終末期においても,摂食機能から導かれる口腔感覚や食べる喜びを維持することが望ましいが,口腔癌の存在や治療の影響により経口摂取が困難なことが多い。口腔癌患者では,咽頭より下部の消化器に異常を認めないことが多いため,経口摂取が困難な場合は経腸的な栄養摂取が好ましい。そのため,経口摂取が困難となることが予想される場合は,全身状況が悪化する前に経皮内視鏡的胃瘻造設(PEG)を行い,栄養摂取および薬剤投与のための経路を確保することが望ましい4)5)

4 がん合併症の管理・緊急医療

a.癌に随伴する症状

口腔癌治療においては,口腔のみならず,転移巣や治療による副作用が認められる臓器をも含めた全身的な管理が必要となる。悪液質や癌随伴症候群への対応も必要である。口腔癌でよくみられる高Ca 血症は,腫瘍による骨破壊もしくは副甲状腺ホルモン関連タンパクの異常産生によって引き起こされ,悪心・嘔吐,全身倦怠感,意識障害を生じる。

高Ca 血症の治療としては,生理食塩水による大量輸液を行い脱水を回避しながらCa の排泄を図るが,急激または重度な高Ca 血症では,ヒドロコルチゾンやカルシトニン,ビスフォスフォネート製剤を使用する。がん患者での低Na 血症は,低栄養によるNa 摂取不足および腫瘍による抗利尿ホルモンの異常産生などにより発症する。治療としては,NaCl を用い緩徐に経静脈的な補正を行う。骨転移による疼痛に関しては,放射線外部照射や放射性ストロンチウム(89Sr)の投与6),ビスフォスフォネート製剤7),抗RANKL 抗体8)が有効なことがある。

b.上気道閉塞

腫瘍や周囲組織の浮腫,治療後の気道の狭窄,あるいは出血,肺炎,気道分泌物の増加により呼吸困難を生じる際には,慎重な気道管理が必要である。原因や気道狭窄部位とその程度により対応を選択する。上気道閉塞の症状は咳から始まり,冷汗・頻呼吸・陥没呼吸・吸気時の高調喘鳴・チアノーゼを認める。呼吸苦への対応としては,体位や呼吸法の工夫,去痰法,酸素療法などがあり,また精神的ケアによる不安の軽減も必要である。浮腫に対してはステロイドの投与が有効な場合がある。気道異物により気道が閉塞している場合は,速やかに用手的に掻き出すか,ハイムリッヒ手技や腹部突き上げによる異物の除去を試みる。咽頭ならびに喉頭の浮腫や腫瘍浸潤,外方からの腫瘍による圧迫が原因で気道が閉塞し,重篤な状況やそれが予見される場合は,気管内挿管が可能か判断する。高度の気道浮腫や狭窄・閉塞などの気管内挿管が困難な場合は,気管切開を考慮する。気管切開を行うに際しては,生命予後と患者個々のQOL を考慮し,その適否を決める必要がある。なお気管切開の際には,腫瘍による気管の偏位に配慮する必要がある。

5 精神症状の緩和

約半数のがん患者が何らかの精神症状を有し,なかでも適応障害,うつ病とせん妄の頻度が高い。終末期で入院を要する患者ではせん妄の割合が増加し,30〜90%に及ぶことが示されている9)。がん患者の適応障害やうつ病の危険因子として,若年者,独居,進行がん・再発がん,痛みの存在,身体的機能の低下,うつ病の既往,神経質な性格傾向,周囲からの乏しい援助などが知られている。これらの中でもコントロールできない痛みの存在は不安や抑うつの最大の原因の一つであり,精神症状とがん性疼痛が同時に存在する場合には原則として除痛が優先される。せん妄は,軽度から中程度の意識混濁に,幻覚,妄想,興奮などの様々な精神症状を伴う特殊な意識障害であり,がんに関連して発現してくるストレス疾患として,適応障害やうつ病などとは異なる精神症状である。

a.適応障害への対応

医療者との良好な信頼関係を基礎とした支持的コミュニケーションが不可欠であり,効果が不十分な場合は薬物療法として半減期の短い抗不安薬を投与し対応する。

b.うつ病への対応

支持的コミュニケーションに加えて,薬物療法として抗うつ薬を投与する10)

c.せん妄への対応

原因となる薬剤,脱水,高Ca 血症,感染の除去を試み,薬物療法として抗精神病薬を併用することが多い。

【参考】

本邦では,「がん対策基本法」および「がん対策推進基本計画」により,すべてのがん診療に携わる医療関係者が緩和ケアの基本的な知識・技術・態度を習得することが義務規定となっている。そのため,日本緩和医療学会によって行われる「がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会(PEACE)」を受講し,緩和医療の基本を学ぶことが必要である。また,がん疼痛の薬物療法11)および苦痛緩和のための鎮静12)に関するガイドラインも作成されている。

【参考文献はガイドライン誌『科学的根拠に基づく 口腔癌診療ガイドライン2013 年版』
(金原出版刊行物)添付CD-ROMに収録】


CQ 10-1
口腔癌末期患者に対する有効な疼痛管理にはどのようなものがあるか?
推奨グレードA

口腔癌の疼痛管理は,WHO の提唱する3 段階の薬物療法を中心に行う。オピオイドの経口投与が困難な場合には,経管,経皮や経直腸,持続皮下注または持続静脈内投与を行う。適切な用量調整を行っても十分な疼痛管理を得られない場合には,鎮痛補助薬の使用,放射線療法,神経ブロックなどを行う。

【背 景】

口腔癌患者においては,嚥下障害に伴い内服が困難な場合があり,薬物投与法に工夫が必要である。また,口腔癌の疼痛は,神経浸潤や圧迫による疼痛,放射線治療や外科治療に伴う疼痛以外に,顔面の変形などによる心理的な因子も加わる特徴があり,薬物療法の原則に沿って適切な用量調整を行っても,十分な痛みのコントロールが得られない症例も存在する。

【解 説】

口腔癌の疼痛管理は,WHO の提唱する3 段階の薬物療法が中心で,以下の5 原則に基づき非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs),アセトアミノフェンおよびオピオイドが用いられる1)。予後不良なことが予想される場合は,患者および家族に対して適切な説明を行い,同意を得た上で,胃瘻の増設やCV ポートを留置し投与経路を確保することが望ましい。

鎮痛薬使用の5 原則とは,

  1. 経口的に:嘔気や嘔吐,嚥下困難等が認められない場合は,可能な限り簡便で,用量調整が容易で,安定して血中濃度を得られる経口投与が望ましい。
  2. 時間を決めて規則正しく:通常がん性疼痛は持続的であり,鎮痛薬の血中濃度が低下すると再び疼痛が生じるため,一定の間隔で投与する。加えて,突出痛に対しては,基本処方一日量の約1/6 を一回投与量とするレスキュードーズでの即効性製剤で対応するが,投与後の効果や眠気などを判断し適宜調整する必要がある。
  3. 除痛ラダーにそって効力の順に:予測される生命予後の長短に関わらず,痛みの程度に応じて躊躇せずに必要な鎮痛薬を選択することが重要である。①軽度の痛みである第一段階では,非オピオイド鎮痛薬を使用する。②非オピオイド鎮痛薬が十分な効果を示さない第二段階では,軽度から中等度の強さの痛みに対するオピオイドを併用する。③第二段階で痛みを制御できない場合は,非オピオイド鎮痛薬にモルヒネ,オキシコドン,フェンタニルなどの強オピオイドを併用する。強オピオイドは増量すればその分だけ鎮痛効果が高まるため有効限界はないが,呼吸抑制などの副作用を十分に熟知した上で使用する必要がある。しかし,実際のがん性疼痛の制御では,第二段階を経ずに第三段階へ移行することも多い。
  4. 患者ごとの個別的な量で:個々の患者に対する適切な鎮痛薬の種類および投与量を決めるためには,効果判定を繰り返しながら調整する必要がある。具体的には,レスキュードーズを使用しながら,十分な疼痛制御ができる量の定期投与量を決定する。
  5. その上で細かい配慮を:時刻を決めて規則正しく鎮痛薬を用いることの大切さと,予想される副作用と予防策に対する十分な説明が重要である。オピオイドの副作用により鎮痛効果を得られるだけのオピオイドを投与できない時や,鎮痛効果が不十分な時に,オピオイドローテーションとして投与中のオピオイドから他のオピオイドに変更する必要がある。また,痛みが変化し,異なる痛みが出現してきた場合は,再評価を行い,適切な鎮痛薬への変更および鎮痛補助薬の使用等も検討する。がん治療(手術,放射線治療,化学療法など)や神経ブロックなどにより痛みの原因が除去されたり,減少した場合には,鎮痛薬の漸減が必要となる。鎮痛補助薬としては,抗うつ薬,抗けいれん薬,局所麻酔薬,抗不整脈薬,NMDA 受容体拮抗薬,中枢性筋弛緩薬,コルチコステロイド,ベンゾジアゼピン系抗不安薬,骨痛に対してのビスフォスフォネート製剤9)[Ⅵ],抗RANKL 抗体10)[Ⅰ],その他がある。

モルヒネは,がん性疼痛の管理に最もよく用いられるオピオイドであり2)[Ⅰ],中等度から重度の痛みに対して用いられる。口腔癌患者においてモルヒネの内服が困難な場合には,経管投与,直腸内投与,経皮徐放製剤,持続皮下注または持続静脈内投与などの投与法を検討する3)4)[Ⅱ]。適切な用量調整を行っても十分な痛みのコントロールが得られない場合,患者の個人環境や病態に応じて,鎮痛補助薬の使用,放射線治療,神経ブロックなどを行う。

放射線療法が,疼痛緩和の手段として選択されることがある5)[Ⅱ]。疼痛を伴う骨転移は放射線療法の適応であり,複数のランダム化比較試験により80〜90%の疼痛緩和が認められている6)[Ⅱ]

低侵襲性の鎮痛法を試みても緩和できない患者に対して,局所麻酔薬または神経破壊薬を用いる神経ブロックが有用となることがある。持続性の効果を図るため,リドカインまたはブピバカインなどの薬物を,単独またはコルチコステロイドと併用すると,神経または神経根圧迫から局所疼痛の緩和が得られる。三叉神経節もしくは三叉神経末梢枝ブロックが,上顎癌や舌癌など三叉神経支配領域の疼痛に有効である7)8)[Ⅴ]。実際のがん性疼痛管理に関しては,様々な薬剤の使用および精神的な対応を含め,緩和ケアチームや緩和ケア科および精神腫瘍科との密接な連携が必要となる。

【参考文献】

1) World Health Organization Cancer Pain Relief, 2nd ed, World Health Organization, Geneva, 1996.

2) Hanks, G.W., Conno, F., et a1.: Morphine and alternative opioids in cancer pain: the EAPC recommendations. Br J Cancer 84: 587-593, 2001.[Ⅰ](追加論文)

3) Drexel, H., Dzien, A., et al.: Treatment of severe cancer pain by low-dose continuous subcutaneous morphine. Pain 36: 169-176, 1989.[Ⅱ](追加論文)

4) 占部一彦,鏡内 肇,他:口腔領域の末期癌患者におけるフェンタニルパッチの鎮痛効果.日口外誌50: 773-776,2004.[Ⅴ]

5) Salazar, O.M., Sandhu, T., et a1.: Fractionated halfbody irradiation(HBI)for the rapid palliation of widespread, symptomatic, metastatic bone disease: a randomized Phase Ⅲ trial of the International Atomic Energy Agency(IAEA). Int J Radiat Oncol Biol Phys 50: 765-775, 2001.[Ⅱ](追加論文)

6) Tong, D., Gi1lick, L., et al.: The palliation of symptomatic osseous metastases. final results of the Study by the Radiation Therapy Oncology Group. Cancer 50: 893-899, 1982.[Ⅱ](追加論文)

7) Varghese, B. T., Koshy, R. C., et al.: Combined sphenopalatine ganglion and mandibular nerve, neurolytic block for pain due to advanced head and neck cancer. Palliat Med 16: 447-448, 2002. [Ⅴ]

8) 原野 清,三溝慎次,他:知覚神経−ブロック三叉神経ブロック.ぺインクリニックl8:315-322,1997.[Ⅵ](追加論文)

9) 河野範男:ビスホスホネートによる骨転移治療,疼痛治療.癌の臨床54:627-631,2008.[Ⅵ](追加論文)

10) Lipton, A., Goessl. C.: Clinical development of anti-RANKL therapies for treatment and prevention of bone metastasis. Bone 48: 96-99, 2011.[Ⅰ](追加論文)

【文献検索】

初版時
(1)医中誌

①検索期間:1997-2007

②検索日:1997/6/17

③検索式:(口腔腫瘍/TH OR 口腔癌/AL) AND (癌性疼痛/TH OR 癌性疼痛/AL)AND(PT=会議録除く AND CK=ヒト)

④検索件数:13 件,除外件数:3 件,追加件数:1件

(2)PubMed

①検索期間:1997-2007

②検索日:1997/6/17

③検索式:(oral cancer /TH OR oral cancer/AL) AND (cancer pain/ TH OR cancer pain/AL) AND (palliative /TH OR palliative /AL) AND (CK=human)

④検索件数:10 件, 除外件数:7 件, 追加件数:4件

改訂時
(1)医中誌

①検索期間:2007-2011

②検索日:2012/1/10

③検索式:(口腔腫瘍/TH OR 口腔癌/AL)AND(癌性疼痛/TH OR 癌性疼痛/AL)AND(PT =会議録除くAND CK =ヒト)

④検索件数:37 件,除外件数:37 件,追加件数:4 件

(2)PubMed

①検索期間:2007-2011

②検索日:2012/1/10

③検索式:(oralcancer/TH OR oralcancer/AL) AND (cancer pain/TH OR cancer pain/AL) AND (palliative/TH OR palliative/AL) AND (OK = human)

④検索件数:153 件,除外件数:153 件,追加件数:3 件