G-CSF適正使用 〜資料ガイドライン

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目次:


  総 論

薬剤の治療における位置づけは,どのようなoutcome を評価の対象とするかで決定される。がん化学療法において一般的に評価対象となるoutcome は,患者側(patient outcome)と腫瘍側(cancer outcome)に分かれ,patient outcome には生存期間,quality of life(QOL)が,cancer outcome には奏効率,バイオマーカー等が含まれる1)。このうちpatient outcome が最も優先されるべきであり,patient outcome に直接影響を与える因子がそれに準ずることになる。

顆粒球コロニー刺激因子(granulocyte-colony stimulating factor: G-CSF)に対する評価項目としては,好中球減少程度,好中球減少期間,発熱性好中球減少症(febrile neutropenia: FN),感染症発症頻度,それらに伴う入院期間の延長,感染症関連死亡,早期死亡,化学療法の相対治療強度(relative dose intensity:RDI),無増悪生存期間(progression-free survival: PFS),全生存期間(overall survival: OS),医療費等が挙げられ,無作為化比較試験(randomizedcontrolled trial: RCT)ではこれらに対する評価が行われている。

G-CSF 使用により生存の改善が得られるとする報告はまれで,一部には感染症関連死亡を低下させるとするものはあるものの,OS,PFS に有意な影響を与えるものはないとする結果が大半である。したがって,G-CSF 使用のベネフィットはpatient outcome のうちFN 発症率の低下,QOL に置くことが多い。こうした治療効果が中等度以下であり,G-CSF 投与のコストが高くなる場合は,費用対効果の考慮が重要となる。この点は各国の医療制度により大きく異なり,欧米のガイドラインでも現時点では主要な評価の対象とはしていない。

G-CSF は化学療法においては支持療法に相当するが,単に支持療法に留まらず,dose-intense レジメン(1 回あたりの薬剤投与量の増量)またはdose-dense レジメン(治療間隔の短縮)など治療強度を高めることにより治療効果に直接の影響を与える可能性を持つ。治療強度を高める意義については,疾患,化学療法レジメンにより評価は異なる。以上より,欧米のG-CSF 使用に関するガイドラインではFN を主要な評価項目としていることが大半である。

FN 発症および重症化リスクは,疾患,レジメン,患者側のリスク因子,治療目的により異なる。疾患としてはリンパ腫,肺小細胞がんの化学療法において発症リスクが高く,白血病では白血病細胞の根絶を目指す強力な化学療法を行うためFN は必発に近い。化学療法レジメンについては,治療強度,使用薬剤によりFN 発症率が異なり,特に治療強度を高めたレジメンではFN が高率に発症する。患者側のリスク因子では年齢の他,白血球数,腎機能などいくつかの検査値異常が挙げられている2)。また,治療目的が治癒を目指すか,延命を図るか,また緩和を目的とするかにより治療強度は異なり,FN 発症頻度も異なる。

さらにG-CSF 使用のベネフィットが明確となる基準として,欧米のガイドラインでは現在FN 発症率20%を採用している。一定の治療強度が必要なレジメンにおいてFN 発症率がG-CSF により有意に下がることは,肺がん,乳がんを対象とした2 つのRCT により示されている3)4)。重篤な好中球減少,FN を予測するリスクモデルでも化学療法1 コース目のFN 発症率を高リスク20%,低リスク10%とした場合,80%の感度,59%の特異度でFN が予測できるとされており,20%の基準は妥当と考えられる2)

以上より,本ガイドラインにおいてもFN 発症率を主要な評価項目として,FN 発症および重症化リスクを総合的に考慮し,G-CSF 使用の推奨グレードを決定している。

最近の新規抗がん薬を含んだレジメンにおいて,治療強度を一定以上に保つ必要がある治療では,最初からG-CSF が組み込まれているか,もしくは好中球減少時にG-CSF の予防投与が規定されている場合が多い。最近ではG-CSF 非投与またはプラセボをコントロールとした前方向比較試験は少ない。また,日本にはG-CSF 投与に関する大規模RCT はほとんどなく,レジメン毎のFN発症率が記載された報告も少ない。したがって欧米のエビデンスを外挿して用いることはやむを得ず,本ガイドラインにおいても多くは欧米のエビデンスに基づき推奨グレードが決められている。

本ガイドラインは,優れた欧米のガイドラインを二次資料として活用し,それに最新のエビデンスおよび日本のエビデンスを加え作成されている。ガイドラインは,文献のエビデンスレベル,推奨のコンセンサスを記載としているものの,引用される文献の質は利用者が各々吟味した上で批判的に評価することが重要である。例えば小規模の試験のメタアナリシス結果は単一の大規模RCTの結果とわずかな一致しか示さなかったとする報告もあり,メタアナリシスはエビデンスレベルとしては必ずしもRCT を上回るものではないことも結果を解釈する上で重要なことである。また常に言われるように,診療ガイドラインはあくまで特定の対象と条件下での試験成績に基づき,その中での平均的なエビデンスを示したものにすぎず,実際の診療においては治療担当者が個々の患者の状況に応じて総合的に判断することが必要である。

わが国においては,G-CSF は化学療法による好中球減少に対し全般的に保険適応が認められている。したがって,本ガイドラインで推奨されないとされた場合でも保険適応内での使用は可能である。本ガイドラインは使用を規制する目的で作成されているものではなく,あくまで個々の患者に対するG-CSF 使用の得失に関する総合的な判断が優先されるべきではあるが,エビデンスに基づく適正な使用を十分に考慮することが必要である。

【引用文献】

1) American Society of Clinical Oncology: Outcomes of cancer treatment for technology assessment and cancer treatment guidelines. J Clin Oncol. 1996; 14: 671-9.

2) Lyman GH, Kuderer NM, Crawford J, et al. Predicting individual risk of neutropenic complications in patients receiving cancer chemotherapy. Cancer. 2011; 117: 1917-27.

3) Timmer-Bonte JN, de Boo TM, Smith HL, et al. Cost-effectiveness of adding granulocyte colony stimulating factor to primary prophylaxis with antibodies in small-cell lung cancer. J Clin Oncol. 2006; 24: 2991-7.

4) Vogel CL, Wojtukiewicz MZ, Carroll RR, et al. First and subsequent cycle use of pegfilgrastim prevents febrile neutropenia in patients with breast cancer: A multicenter, double-blind, placebo controlled phase Ⅲ study. J Clin Oncol. 2005; 23: 1178-84.


  発熱性好中球減少症の定義とリスク

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概 説

1
  発熱性好中球減少症の定義

化学療法に起因して生ずる好中球減少時の発熱は,その大半が感染症であり,しばしば重篤で致死的な合併症であり,広域スペクトラムの抗菌薬を用いたempiric therapy(経験的治療)が施行される。この病態を,発熱性好中球減少症(febrile neutropenia: FN)と呼び,発熱の程度と末梢血液中の好中球絶対数(absolute neutrophil count: ANC)の程度で定義される。種々のガイドラインで微妙に定義が異なり,好中球減少はANC が500/μL 未満の状態1),48 時間以内に500/μL 未満2)〜4)あるいは1,000/μL 未満の状態3)〜5)が提唱されている。発熱は,腋窩体温38.5℃以上が1 時間以上持続する症状1),口腔内体温38.3℃以上または38℃以上が1 時間持続する症状2)〜4),腋窩体温37.5℃以上5)が提唱されている。体温は,欧州ESMO1)と日本臨床腫瘍学会(JSMO)5)は腋窩体温で,米国IDSA は口腔体温2)〜4)を測定することを提唱しているが,化学療法で口腔粘膜炎発症時の口腔内体温測定は患者の苦痛が強いことを考えると腋窩体温が実地臨床に即している。各ガイドラインのFN の定義を表1にまとめた。本ガイドラインでは,多くの臨床試験で用いられる有害事象共通用語規準(Common Terminology Criteria for Adverse Events: CTCAE)v4.0 日本語訳JCOG 版とJSMO の定義を参考に,FN は「腋窩体温37.5℃以上でANC 500/μL 未満またはANC 1,000/μL 未満で48 時間以内に500/μL 未満を予測できる状態」とする。

表1 主なガイドラインにおける発熱性好中球減少症の定義(発熱かつ末梢好中球の程度で定義)
  ESMO IDSA NCCN CTCAEv4.0 JSMO
発熱の程度 腋窩体温>38℃が1 時間以上持続 口腔内体温≧38.3℃ or ≧38.0℃が1 時間以上持続 口腔内体温≧38.3℃ or ≧38.0℃が1 時間以上持続 体温≧38.3℃ or ≧38.0℃が1 時間以上持続 腋窩体温≧37.5℃ or 口腔内体温≧38℃
好中球数の程度 ANC<500/μL ANC<500/μL or 48 時間以内に≦500/μL を予測できる ANC<500/μL or ANC<1,000/μLで48 時間以内に≦500/μL を予測できる ANC<1,000/μL ANC<500/μL or ANC<1,000/μLで48 時間以内に≦500/μL を予測できる

CTCAE v4.0 : Common Terminology Criteria for Advanced Events version 4.0
JSMO: Japanese Society of Medical Oncology


2
  FN のリスク分類

1)FN 発症頻度を高めるリスク

FN は,患者の年齢,前治療で化学療法や放射線療法を受けたかどうか,骨髄抑制をきたす状態の有無,合併症などの因子(表2)を多く持つ患者ではFN 発症リスクは高い3)。また,患者の臨床的予後に関与する感染症関連の合併症や患者の状態にはFN が含まれる(表3)。

表2 発熱性好中球減少症(FN)発症に関するリスク因子
  1. 患者年齢65 歳以上
  2. 前治療として化学療法や放射線療法を有する
  3. 好中球減少症や腫瘍の骨髄浸潤を有する
  4. FN 発症前の合併症がある
    1. 1)好中球減少症
    2. 2)感染症や開放創がある
    3. 3)直近に手術療法を受けた
  5. Performance Status が悪い
  6. 腎機能の低下
  7. 肝機能障害特に高ビリルビン血症

(NCCN ver 1.2012 Myeloid Growth Factors)

表3 臨床的予後に関与する感染症関連の合併症と患者の状態
  1. 敗血症
  2. 患者年齢65 歳以上
  3. 重篤な好中球減少症(好中球絶対数<100/μL)
  4. 肺炎
  5. 侵潤性真菌感染症
  6. 臨床的に明らかな感染症
  7. 入院中の発熱
  8. 発熱性好中球減少症の既往

(NCCN ver 1.2012 Myeloid Growth Factors)


2)FN 発症時に重篤化するリスク分類

好中球減少時の感染症発症リスクは,原因病原体,患者の免疫状態,皮膚や粘膜障害の有無,好中球減少の程度と期間により増減する2)6)。感染症の症状,基礎となる悪性腫瘍の種類と状態,治療方法,合併症によりFN の高リスク患者と低リスク患者に分けられる1)2)7)

  1. 高リスク

    難治性のがん,慢性閉塞性肺疾患や臓器障害を有する患者,高齢者,急性骨髄性白血病の寛解導入療法や造血幹細胞移植の前処置治療を受ける患者は,FN の高リスク患者となる2)

    その他,化学療法により,ANC が100/μL 以下の,より重度な好中球減少が7 日間以上持続するか,重篤な合併症を有する患者が高リスクである。重篤な合併症には,低血圧,食事摂取が困難な口腔粘膜の炎症や重篤な下痢による消化管粘膜障害,神経症状,低酸素血症を伴う肺浸潤や慢性肺疾患,肝機能障害(正常値の5 倍を超える高トランスアミナーゼ血症),腎機能障害(クレアチニンクリアランス<30 mL/min)が含まれる。

    高リスク患者の治療は,適切な抗菌薬の経静脈的投与による入院加療を必要とする。

  2. 低リスク

    好中球減少期間が7 日以内,合併症がないかわずかな場合は,低リスク患者であり,抗菌薬の経口投与で,慎重な管理をしつつ外来治療が可能である。

  3. Multinational Association for Supportive Care in Cancer(MASCC)のリスク・インデックス7)によるリスク評価

    MASCC のリスク・インデックス(表4)によるリスク評価では,FN における各症状を点数化し,低リスク患者を的確に分類する試みが2000 年に提唱され7),2002 年にIDSAでその信頼性が裏打ちされている8)9)。高リスクの判別にも有用なことが示されており,合計点数21 未満は高リスク,21 以上は低リスクとし,上述の①②と合わせてリスク分類の把握に役立つ。表4 はKlastersky らのオリジナルではなく,解説のついたASCO,IDSA によるものである。

    例えば,70 歳(-2 点)の肺扁平上皮がん(固形腫瘍で減点なし)で慢性閉塞性肺疾患(-4 点)があるだけで,26-2-4=20 点(21 点未満)となり,喫煙歴がある高齢者の多い肺がん患者(80%が65 歳以上)の多くは高リスクとなる。

  4. 表4 がんの支持療法のための多国籍連合リスクインデックススコア
    項目
    Characteristic
    重みづけ
    Weight
    Burden of febrile neutropenia with no or mild symptoms*1
    無症状あるいは軽度の症状を伴う発熱性好中球減少症の負担
    5
    No hypotension(systolic blood pressure >90 mmHg)
    低血圧なし(収縮期血圧が90 mmHg を超えている)
    5
    No chronic obstructive pulmonary disease*2
    慢性閉塞性肺疾患なし
    4
    Solid tumor or hematologic malignancy with no previous fungal infection*3
    固形腫瘍である,あるいは真菌感染の既往のない血液悪性腫瘍
    4
    No dehydration requiring parenteral fluids
    補液を必要とする脱水なし
    3
    Burden of febrile neutropenia with moderate symptoms*1
    中等度の症状を伴う発熱性好中球減少症の負担
    3
    Outpatient status
    外来
    3
    Age <60 years
    60 歳未満
    2

    スコアの最大値は26 である。

    *1 発熱性好中球減少症の負担とは好中球減少症のエピソードの影響による患者の一般的な臨床状態を示す。以下のスケールで評価されるべきであり,無症状あるいは軽度の症状(スコア5),中等度の症状(スコア3),および重篤な症状や瀕死(スコア0)のスケールで評価され,この発熱性好中球減少症に関する3 と5 のスコアは累積されない。

    *2 慢性閉塞性肺疾患とは,活動性慢性気管支炎,肺気腫,強制呼気量の低下,発熱性好中球減少症のエピソード発現時に酸素療法および/またはステロイドおよび/または気管支拡張剤が必要なことを意味する。

    *3 真菌感染症既往とは,確定診断された真菌感染症または経験的に真菌感染症が疑われ治療を受けたことを意味する。

【検索式】

PubMed Clinical Queries で,[“Febrile neutropenia”and“High Risk”]のキーワードで検索し,2005 年10 月1 日〜2016 年10 月31 日の文献は,538 件ヒットした。さらに重要文献をハンドサーチで検索した。

【引用文献】

1) Crawford J, Caserta C, Roila F; ESMO Guidelines Working Group. Hematopoietic growth factors: ESMO Clinical Practice Guidelines for the applications. Ann Oncol. 2010; 21 Suppl 5: v248-51.(ガイドライン)

2) Freifeld AG, Bow EJ, Sepkowitz KA, et al. Clinical practice guideline for the use of antimicrobial agents in neutropenic patients with cancer: 2010 update by the Infectious Diseases Society of America. Clin Infect Dis. 2011; 52: e56-93.(ガイドライン)

3) NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology(NCCN Guidelines®), Myeloid Growth Factors Version 1. 2012 http://www.nccn.org/index.asp(ガイドライン)

4) Common Terminology Criteria for Adverse Events v4.0(CTCAE)-Publish Date: May 28, 2009(v4.03: Jun. 14, 2010)有害事象共通用語規準v4.0 日本語訳JCOG 版(CTCAE v.4.0-JCOG2011 年12 月17 日版http://www.jcog.jp/doctor/tool/CTCAEv4J_20111217.pdf(ガイドライン)

5) 日本臨床腫瘍学会編,発熱性好中球減少症(FN)診療ガイドライン.東京,南江堂,2012,2-3.(ガイドライン)

6) Viscoli C, Varnier O, Machetti M. Infections in patients with febrile neutropenia: epidemiology, microbiology, and risk stratification. Clin Infect Dis. 2005; 40 Suppl 4: S240-5.(Ⅰ)

7) Klastersky J, Paesmans M, Rubenstein EB, et al. The Multinational Association for Supportive Care in Cancer risk index: A multinational scoring system for identifying low-risk febrile neutropenic cancer patients. J Clin Oncol. 2000; 18: 3038-51.(Ⅳa)

8) Uys A, Rapoprt BL, Anderson R. Febrile neutropenia: a prospective study to validate the Multinational Association of Supportive Care of Cancer(MASCC)risk-index score. Support Care Cancer. 2004; 12: 555-60.(Ⅳa)

9) Klastersky J, Paesmans M, The Multinational Association of Supportive Care of Cancer(MASCC)risk-index score:10 years of use for indetifying low-risk febrile neutropenic cancer patients. Support Care Cancer. 2013; 21: 1487-95.(Ⅳb)


  一次予防的投与

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概 説

G-CSF の一次予防的投与とは,抗がん薬治療の1 コース目から,発熱性好中球減少症(febrile neutropenia: FN)を予防する目的で,好中球減少や発熱を確認することなくG-CSF を投与することである。

CQ
G-CSF の一次予防的投与は有用か?

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推奨
グレード
A
FN 発症率が20%以上のレジメンを使用するとき,FN を予防するために,G-CSF の一次予防的投与が推奨される。

推奨
グレード
B
FN 発症率が10〜20%のレジメンを使用するとき,FN 発症または重症化のリスクが高いと考えられる因子を持つ患者ではG-CSF の一次予防的投与が考慮されるが,それ以外の患者ではG-CSF の一次予防的投与は推奨されない。

推奨
グレード
D
FN 発症率が10%未満のレジメンを使用するとき,G-CSF の一次予防的投与は推奨されない。
【背景・目的】

G-CSF の一次予防的投与の有用性と,適応となるレジメンの基準について検討する。

【解 説】

ASCO ガイドライン(2015),EORTC ガイドライン(2010),NCCN ガイドライン(2015)において,FN 発症率が20%以上のレジメンを使用するときには,G-CSF 一次予防的投与が推奨されている。また,EORTC ガイドラインとNCCN ガイドラインにおいて,FN 発症率が10〜20%のレジメンを使用するときには,FN 発症のリスクが高いと考えられる因子を持つ患者においてG-CSF の一次予防的投与を考慮すべきとされている。本ワーキンググループでも,基本的な考え方はこれらのガイドラインに従うのが妥当であると判断された。

G-CSFの一次予防的投与の有用性を調べたメタアナリシスやシステマティックレビューでは,G-CSF の一次予防的投与により,FN 発症率や感染症の頻度を有意に減らせることが示されている1)〜5)。G-CSF として,フィルグラスチム,レノグラスチム,ペグフィルグラスチム,および,フィルグラスチムのバイオシミラーが評価されているが,G-CSF の種類によらず,一貫して有効性が示されている。個別の臨床試験でも,G-CSF の一次予防的投与によりFN 発症率が減少する傾向が一貫して認められている6)〜8)

国内では、乳がんに対するドセタキセル+シクロフォスファミド併用療法(TC療法)にペグフィルグラスチムを一次予防的投与で用いることの有用性を調べるプラセボ対照無作為化比較試験が行われ、FN発症率は、ペグフィルグラスチム群1.2%、プラセボ群68.8%と、ペグフィルグラスチム群で有意に低かった9)

ASCO ガイドラインでは,「他のアウトカムによらず,『FN の減少』自体が,G-CSF の使用を正当化する重要なアウトカムである」と明記されているが、全生存期間(OS)のアウトカムを重視してG-CSFの適応を判断すべきだという意見もある。個別の試験でOSの改善を示したものは少なく、メタアナリシスでは、感染関連死亡や,化学療法期間中の早期死亡が有意に減ったという報告がある3)が,死亡率に有意差がなかったという報告もある4)。2013年に論文化されたシステマティックレビューでは、G-CSF使用を前提に治療強度を増強したレジメンを評価する臨床試験を含む59の無作為化比較試験のメタアナリシスが報告され、G-CSF一次予防的投与使用群11,337 例とコントロール群13,456 例の比較で、全死亡の相対リスクは0.93 (95% 信頼区間: 0.90-0.96; P < 0.001)と、G-CSF一次予防的投与群で生存期間が長かった10)。ただし、このシステマティックレビューでも、化学療法のレジメン、用量、スケジュールが両群で同一の試験に限った解析での相対リスクは0.96 (P = 0.061)であった10)

G-CSF 未使用時のFN 発症率が20%以上であったレジメンにおいて,G-CSF 使用によるFN発症率の有意な減少が認められており1)〜3),G- CSF 未使用時のFN 発症率が24%であったレジメン(肺小細胞がんに対するシクロフォスファミド+ドキソルビシン+エトポシド[CDE 療法])においても,G-CSF 使用によるFN 発症率の有意な減少(24% vs. 10%)が認められている6)ことから,20%という閾値が設定されているが,この閾値は,厳密なエビデンスに裏打ちされたものではないため,注意が必要である。

G-CSF 未使用時のFN 発症率が17%であったレジメン(乳がんに対するドセタキセル100 mg/m2の3 週毎投与)において,ペグフィルグラスチ厶使用により,FN 発症率を有意に減少させた(17% vs. 1%)という報告もあり7),FN 発症率が20%未満のレジメンについてのG- CSF 使用の意義については,今後の検討課題であると考えられる。現時点では,FN 発症率が10〜20%のレジメンについては,FN 発症または重症化リスクに基づく個別の判断が重視される。

FN 発症リスク因子として,ASCOガイドラインでは,65 歳以上の高齢者,進行癌,化学療法または放射線療法施行歴,治療前の好中球減少または腫瘍の骨髄浸潤,感染の存在,開放創の存在または最近の手術施行歴,Performance Status(PS)不良または栄養状態不良,腎機能障害、肝機能障害(特にビリルビン高値),心血管疾患,複数の合併症,HIV 感染が挙げられている。EORTC ガイドラインでは,強いFN 発症リスク因子として,高齢(65 歳以上)が挙げられ,他に,進行がん,レジメンの異なる先行化学療法におけるFN の既往歴もリスク因子になりうるとされている。NCCN ガイドラインでは,FN 発症リスク因子として,高齢(65 歳以上),化学療法施行歴,放射線治療施行歴,治療前の好中球減少,腫瘍の骨髄浸潤,感染や開放創の存在,最近の手術施行歴,PS 不良,腎機能障害,肝機能障害(特にビリルビン高値),HIV感染(特にCD4細胞数の少ない患者)が挙げられている。

G-CSF の一次予防的投与の適応を判断する際には,これらのリスク因子も考慮して, 個別の症例におけるFN 発症リスクを評価する必要がある。FN 発症リスクが高いと判断されるとき,治療強度を下げてFN発症リスクを下げるという選択肢もあるが,治癒もしくは生存期間の延長を目的とする化学療法で,治療強度を下げることで予後の悪化が予想される場合には, G-CSF 一次予防的投与を行って,治療強度を維持することが推奨される。化学療法の目的が症状緩和である場合や,治療強度の低下で予後が悪化するという明確な根拠がない場合には,レジメン,用量,投与スケジュールの変更を考慮する。使用するレジメンのFN 発症リスクについて,EORTC ガイドライン,および,NCCN ガイドラインでは,20%以上(高リスク),10〜20%(中等度リスク),10%未満(低リスク)に分類し,各リスク分類に該当する代表的なレジメンが示されている。また,本ワーキンググループでは,各がん腫について,①日本において保険で承認され,広く用いられているレジメン,②日本のガイドラインで推奨されているレジメン,③日本で行われた第Ⅲ相試験で評価されたレジメン,のいずれかの条件を満たすレジメンを抽出し,そのFN 発症リスクを表にした(表1)。

表1 FN 発症頻度
1 造血器腫瘍 1)骨髄系腫瘍
対象疾患
(臓器がん)
レジメン FN 発症率(%)
G3+G4
Grade 3/4
neutropenia
(%)
Grade 4
neutropenia
(%)
対象Stage and Prior Therapy 出典
急性骨髄性白血病 JALSG AML201
IDR+Ara-C
78.2
 
100
初回寛解導入療法
DNR+Ara-C
77.4
 
100
初回寛解導入療法
大量Ara-C 療法
66.5
 
100
初回寛解後療法
多剤併用療法(MIT+Ara-C,
DNR+Ara-C,ACR+Ara-C,
Ara-C+ETP+VCR+VDS)
66.4
 
100
初回寛解後療法
  • 寛解導入療法中は,骨髄中の芽球<15%であれば,感染症を合併した時に救命目的にG-CSF の使用は許可された。
  • 寛解後療法では,白血病細胞は<10%に減少しており,好中球減少期には感染症の合併が多いため,治療後の積極的なG-CSF投与が推奨された。
急性リンパ性白血病 JALSG ALL-93
VCR+DXR+PSL+ASP+CPM+G-CSF       初回寛解導入療法
  • 寛解導入療法の化学療法投与直後より好中球>1,500/μL となるまでG-CSF が投与された。
Philadelphia 染色体陽性急性リンパ性白血病 JALSG ALL202
VCR+DXR+PSL+CPM+Imatinib+G-CSF    
100
初回寛解導入療法
  • 寛解導入療法の化学療法投与直後より好中球>5,000/μL となるまでG-CSF が投与された。
多発性骨髄腫 MPT    
16
初発MM
MP    
17
初発MM
PAD    
初発MM
VMP    
10
初発MM
MP    
15
初発MM
RAD    
再発・難治性MM
MPR
9.4
 
67.9
初発MM
BD+ASCT    
5
初発MM
VAD+ASCT    
10
初発MM
造血幹細胞移植同種HSCT RIC
59.5
 
100
生着前期
        生着後〜100日
        移植後100 日以降
MAC
89.6
 
100
生着前期
        生着後〜100日
        移植後100 日以降
  • 「造血細胞移植ガイドライン 移植後早期の感染管理 第2 版」日本造血細胞移植学会編(2012 年4 月発行)を参考にした。
  • G-CSF の予防的投与およびG-CSF の治療的投与の推奨が提示されている。

MM: multiple myeloma, IDR: idarubicin, Ara-C: cytarabine, DNR: daunorubicin, MIT: mitoxantrone, ACR: aclarubicin, ETP: etoposide, VCR: vincrisitine, VDS: vindesine, DXR: doxorubicin, PSL: predonisolone, ASP: L-asparaginase, CPM: cyclophosphamide, MPT: melphalan(L-PAM)+PSL+THAL(thalidomide), MP: melphalan+PSL, PAD: PS-341/(bortezomib: BOR)+Adriamycin®(DXR)+dexamethasone(DEX), VMP: Velcade®+L-PAM(melphalan)+PSL, RAD: Revlimid®(lenalidomide: LND)+Adriamycin®+DEX, MPR: melphalan+PSL+Revlimid®, BD: BOR+DEX, ASCT: autologous stem cell transplant, VAD: VCR+Adriamycin®+DEX, RIC: reduced-intensity conditioning, MAC: myeloablative conditioning.

出典①Blood. 2011 24; 117(8): 2358-65.
出典②Blood. 2011 24; 117(8): 2366-72.
出典③Leukemia. 2002; 16(7): 1259-66.
出典④J Clin Oncol. 2006 20; 24(3): 460-6.
出典⑤Lancet. 2006 11; 367(9513): 825-31.
出典⑥Br J Haematol. 2005; 129(6): 755-62.
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出典⑨J Clin Oncol. 2007 1; 25(28): 4459-65.
出典⑩J Clin Oncol. 2010 20; 28(30): 4621-9.
出典⑪Transpl Infect Dis. 2010; 12(5): 412-20.
1 造血器腫瘍 2)リンパ系腫瘍
対象疾患
(臓器がん)
レジメン FN 発症率(%)
G3+G4
Grade 3/4
neutropenia
(%)
Grade 4
neutropenia
(%)
対象Stage and Prior Therapy 出典
欧米のデータ
aggressive リンパ腫 CHOP-21
17-50
    初発
びまん性大細胞型B 細胞リンパ腫 R-CHOP-21
18-19
 
58
初発
バーキットリンパ腫 Hyper CVAD
86
    初発
ろ胞性リンパ腫 FC
10-35
    初発
FCR  
34
  初発
ホジキンリンパ腫 BEACOPP  
54
  初発
Stanford V  
25
  初発
ABVD
3-4
    初発
MOPP(+RT)    
22
初発
再発難治リンパ腫 DHAP
48
    再発・難治
ESHAP
30-64
    再発・難治
R-ESHAP
33.5
    再発・難治
ICE/R-ICE
11.5-24
    再発・難治
日本のデータ
びまん性大細胞型B
細胞リンパ腫
JCOG9809
CHOP-21(G-CSF+)    
84
初発
CHOP-14(G-CSF d 6-13)    
54
初発
ろ胞性リンパ腫 JCOG0203
R-CHOP-21(G-CSF+)    
85
初発
R-CHOP-14(G-CSF 6 days)    
37
初発
aggressive リンパ腫 JCOG9505
Bi-CHOP(G-CSF+)    
16
初発
dose escalated CHOP(G-CSF+)    
29
初発
ホジキンリンパ腫 JCOG8905
C-MOPP/ABVd    
19
初発
JCOG9305
ABVd  
80
45
初発
限局期鼻咽頭NK/T 細胞リンパ腫 JCOG0211-DI
2/3DeVIC+RT(G-CSF+)
15
93
26
初発
進行・再発NK/T 細胞リンパ腫 SMILE
39
 
92
初発
再発難治リンパ腫 CHASE
25
 
51
再発・難治

*CHOP-14 ではG-CSF をday 6-13 に投与。その他のレジメンでは,すべて好中球減少発現時はG-CSF 使用可とされている。
CHOP: cyclophosphamide(CPM)+hydroxydaunorubicin(DXR)+Oncovine®(vincristine: VCR)+prednisolone(PSL), R-CHOP: rituximab+CHOP, Hyper CVAD: CPM+VCR+Adriamycin®+dexamethasone(DEX), FC: fludarabine+CPM, FCR: FC+Rituximab, BEACOPP: bleomycin(BLM)+etoposide(ETP)+DXR+CPM+VCR+procarbazine(PCZ)+PSL, Stanford V: DXR+vinblastine(VLB)+mechlorethamine+VCR+BLM+ETP+PSL, ABVD: DXR+BLM+VLB+dacarbazine(DTIC), MOPP: mechlorethamine+VCR+PCZ+PSL, DHAP: DE X+cytarabine(Ara-C)+cisplatin(CDDP), ESHAP: E TP+Ara-C+CDDP+methylprednisolone, R-ESHAP: rituximab+ESHSP, ICE/R-ICE: IFM+carboplatin(CBDCA)+ETP/rituximab+ICE, Bi-CHOP: biweekly CHOP, C-MOPP/ABVd: CPM+VCR+PCZ+PSL/DXR+BLM+VLB+DTIC, DeVIC: DEX+ETP+IFM+CBDCA, RT: radiotherapy, SMILE: DEX+methotrexate+IFM+L-asparaginase+ETP, CHASE: CPA, 大量Ara-C, DEX, ETP

出典①Cancer. 2003; 98: 2402-9. N Engl J Med. 1993; 328: 1002-6.
出典②National Comprehensive Cancer Network. Myeloid growth factors.
出典③Lancet. 2007; 370: 230-9.
出典④Blood(ASH Annual Meeting Abstracts)2009; 114[abstract 535]
出典⑤N Engl J Med. 2003; 348: 2386-95.
出典⑥J Clin Oncol. 2005; 23: 9198-207.
出典⑦Tumor. 1994; 80: 453-8.
出典⑧N Engl J Med. 1992; 327: 1478-84.
出典⑨Blood. 1988; 71: 117-122.
出典⑩J Clin Oncol. 1994; 12: 1169-76.
出典⑪Haematologica. 2008; 93: 1829-36.
出典⑫Ann Oncol. 2011; 22(6): 1382-91.
出典⑬J Clin Oncol. 2011; 29(30): 3990-8.
出典⑭Ann Oncol. 2002; 13(9): 1347-55.
出典⑮Jpn J Clin Oncol. 2000; 30(3): 146-52.
出典⑯Int J Hematol. 2010: 92(5): 713-24.
出典⑰J Clin Oncol. 2009; 27(33): 5594-600.
出典⑱J Clin Oncol. 2011; 29(33): 4410-6.
出典⑲Int J Hematol. 2003; 77(5): 503-11.
2 乳がん
対象疾患
(臓器がん)
レジメン FN 発症率(%)
G3+G4
Grade 3/4
neutropenia
(%)
Grade 4
neutropenia
(%)
対象Stage and
Prior Therapy
出典
乳がん TAC(DTX 75+ADR 50+CPA 500)
(G-CSF なし)(GEICAM9805)
25.2
    術後(n−)
FEC(5FU 500+EPI 100+CPA 500 6 コース)(PACS001)
8.4
33.6
  術後(n+)
FEC-DTX(5FU 500+EPI 100+CPA 500 3 コース→DTX 100 3 コース)(PACS001)
11.2
28.1
  術後(n+)
FEC-DTX(5FU 500+EPI 100+CPA 500 4 コース→DTX 75 4 コース)(JBCRG)
20(FEC)
7(DTX)
44(FEC)
35(DTX)
  術前(日本人)
AC-weekly PTX(PTX 80)
(ECOG1199)
1
(PTX 投与中)
 
2
術後(n+)
AC-DTX q3weeks(DTX 100)
(ECOG1199)
16
(DTX 投与中)
 
46
術後(n+)
dose-dense AC(ADR 60+CPA 600 q2weeks)
→ dose-dense PTX (PTX 175 q2weeks)
(CALGB9741)
2
(全例でG-CSF 一次予防的投与あり)
 
9
(全例でG-CSF 一次予防的投与あり)
術後(n+)
TC(DTX 75+CPA 600 4 コース)
(US Oncology 9735)
5
10+51
51
術後(n+)
TC(DTX 75+CPA 600 4-6 コース)
68.8
 
100
術前後(日本人)
出典①N Engl J Med 2010; 363: 2200-2210.
出典②J Clin Oncol. 2006; 24: 5664-71.
出典③Breast Cancer Res Treat. 2008; 110: 531-9.
出典④N Engl J Med 2008; 358: 1663-71.
出典⑤J Clin Oncol. 2003; 21: 1431-9.
出典⑥J Clin Oncol. 2006; 24: 5381-7.
出典⑦Support Care Cancer 2015; 23: 1137-43.
3 泌尿器がん
対象疾患
(臓器がん)
レジメン FN 発症率(%)
G3+G4
Grade 3/4
neutropenia
(%)
Grade 4
neutropenia
(%)
対象Stage and
Prior Therapy
出典
膀胱がん MVAC
57
33
T2-T4a,N0,M0 術前
MVAC
24
82
65
進行がん
(ファーストライン)
GC
4.4
71
30
High-dose-intensity MVAC
(G-CSF併用)
10
20*
8**
gemcitabine(1000 mg/m2
50
進行がん
(セカンドライン,日本人)
前立腺がん DTX(75 mg/m2)×6cycle+
ADT
15
12
HSPC進行がん(転移性,もしくは局所進行)
DTX(75 mg/m2)×6cycle+
ADT
6.2
12
9
HSPC進行がん(転移性)
DTX(75 mg/m2)+PSL
(10mg/day)
3
32
CRPC進行がん,ファーストライン
DTX(70 mg/m2)+PSL
(10mg/day)
16.3
93
CRPC進行がん,ファーストライン(日本人)
Cabazitaxel (25mg/m2)+PSL
(10mg/day)
8
82
CRPC進行がん,セカンドライン
Cabazitaxel (25mg/m2)+PSL
(10mg/day)
54.5
100
CRPC進行がん,セカンドライン(日本人)
Cabazitaxel (20mg/m2)+PSL
(10mg/day)
2.1
41.8
CRPC進行がん,セカンドライン
Cabazitaxel (25mg/m2)+PSL
(10mg/day)
9.2
73.3
胚細胞腫瘍 BEP
73
34
進行期
(ファーストライン)
VIP
88
60

MVAC: methotrexate+vinblastine+doxorubicin+cisplatin,GC: gemcitabine+cisplatin,DTX: docetaxel,ADT: androgen deprivation therapy,CRPC: castration resistance prostate cancer,HSPC: hormone sensitive prostate cancer,BEP: bleomycin+etoposide+cisplatin,VIP: etoposide+ifosfamide+cisplatinn

*Grade3/4 leukopenia(%) **Grade 4 leukopenia(%)

出典①N Engl J Med. 2003; 349: 859-66.
出典②J Clin Oncol. 2000; 17: 3068-77.
出典③J Clin Oncol. 2001; 19: 2638-46.
出典④Jpn J Clin Oncol. 2007; 37: 201-6.
出典⑤Lancet. 2016; 387: 1163-1177.
出典⑥N Engl J Med. 2015; 373: 737-746
出典⑦N Engl J Med. 2004; 351: 1502-12.
出典⑧Jpn J Clin Oncol. 2008; 38: 365-72.
出典⑨Lancet. 2010; 376: 1147-54
出典⑩Int J Clin Oncol. 2015; 20: 1026-34.
出典⑪J Clin Oncol. 2016; 34: suppl: abstr 5008
出典⑫J Clin Oncol. 1998; 16: 2500-4.
4 肉腫
対象疾患
(臓器がん)
レジメン FN 発症率(%)
G3+G4
Grade 3/4
neutropenia
(%)
Grade 4
neutropenia
(%)
対象Stage and
Prior Therapy
出典
血管肉腫 weekly PTX(80 mg/m2
7
13
3
転移性
その他の軟
部肉腫
AI(doxorubicin 50 mg/m2+ifosfamide 5 g/m2
6
32
(leukopenia)
転移性
(ファーストライン)
GD(gemcitabine 900 mg/m2+docetaxel 100 mg/m2
5
16
転移性
Trabectedin(1.5 mg/m2
24-hour infusion
37
16
転移性
(セカンドライン)
Eribulin(1.4 mg/m2)day1, 8, 3
週毎
*
35
15
転移性
(セカンドライン)
骨肉腫 AC(doxorubicin 75 mg/m2+cisplatin 100 mg/m2
21(infection)
75
非転移性
(術前後)
AC+大量MTX(Doxorubicin 75 mg/m2, 第0,5 週+cisplatin 120 mg/m2,第0,5 週,大量MTX 12 g/m2,第3,4,8,9 週)
非転移性
(術前後)
Ewing 肉腫 VDC/IE 交代療法(vincristine 2 mg/body+doxorubicin 75 mg /m2+cyclophosphamide 1200 mg/m2/ifosfamide 1.8 g/m2 day 1-5+etoposide 100 mg/m2,day 1-5)
術前後または
ファーストライン

PTX: paclitaxel,AI: doxorubicin+ifosfamide,GD: gemcitabine+docetaxel,AC: doxorubicin+cisplatin,MTX: methotrexate,VDC/IE: vincristine+doxorubicin+cyclophosphamide/ifosfamide+etoposide

* 出展論文中に具体的な数値の記載はないが,“The incidence of grade 3 or higher febrile neutropenia was low in both populations”という記載があり。

出典①J Clin Oncol. 2008; 26: 5269-74.
出典②J Clin Oncol. 1995; 13: 1537-45.
出典③J Clin Oncol. 2007; 25: 2755-63.
出典④J Clin Oncol. 2016; 34: 786-793.
出典⑤Lancet. 2016; 387: 1629-1637.
出典⑥Lancet. 1997; 350: 911-7.
出典⑦J Clin Oncol. 2005; 23: 2004-11.
出典⑧N Engl J Med. 2003; 348: 694-701.
5 婦人科がん
対象疾患
(臓器がん)
レジメン FN 発症率(%)
G3+G4
Grade 3/4
neutropenia
(%)
Grade 4
neutropenia
(%)
対象Stage and Prior Therapy 出典
卵巣がん GEM
1
23
6
TC1 レジメン終了から1 年以内再発
PLD
0
6
1
TC or TP
70 歳以上: 5
70 歳以上: 37
NA
Ⅱb-Ⅳ期
70 歳未満: <1
70 歳未満: 28
NA
GEM
4
36
11
PTX 含む前治療後再発(プラチナ耐性)
PLD
4
19
5
GEM+CBDCA
1
70
29
再発(プラチナ感受性)
CBDCA
0
12
1
DC
11
17
NA
Ⅰc-Ⅳ期
TC
2
16
NA
GEM+CBDCA
9
69
17
再発(プラチナ感受性)
topotecan+CBDCA
(sequentialy)
13
70
56
Ⅲ-Ⅳ期
→TC
3
72
44
CBDCA→
5
4.7
NA
Ⅱb-Ⅳ期
PTX→
5
4.9
NA
topotecan(sequential)  
82
NA
TC
NA
89
72
オプティマル手術後Ⅲ期
TP
NA
93
78
TC
2
37
15
Ⅱ-Ⅳ期ファーストライン
TP
1
22
7
TC
2
50
24
Ⅰc-Ⅳ期ファーストライン
PLD-C
1
43
8
tri-weekly TC
3
60
24
Ⅰc-Ⅳ期ファーストライン
weekly TC
1
42
7
tri-weekly TC+ GCSF support (84%)
5
83
59
Ⅱc-Ⅳ期ファーストライン
dd-TC+ GCSF support (84%)
4
72
26
TC
2
15
NA
Ⅰc-Ⅳ期ファーストライン
TC+BEV (7.5mg/kg)
3
17
NA
TC
4
NA
58
Ⅲc-Ⅳ期ファーストライン
TC+BEV (15mg/kg)
5
NA
63
TC+BEV (15mg/kg)
→BEV (15mg/kg)
4
NA
63
TC
4
46
NA
再発(プラチナ感受性)
PLD-C
3
35
NA
GC
2
NA
22
再発(プラチナ感受性)
GC+BEV (15mg/kg)
2
NA
21
single agent chemotherapy
NA
17
NA
再発(プラチナ感受性)
single agent chemotherapy +
BEV(10 or 15mg)
NA
16
NA
PTX 175 mg/m2
q3w
22(GCSF−)
19(GCSF+)
NA
NA
再発(プラチナ感受性または抵抗性または不応性)
PTX 250 mg/m2
q3w
19(GCSF+
5μg/kg)
18(GCSF+
10μg/kg)
NA
NA
PTX
0
0
0
プラチナ・タキサン抵抗性またはプラチナ感受性
topotecan
4
77
NA
再発(プラチナ不応性または抵抗性または感受性)
PLD
0
12
NA
topotecan
10
97
78
再発(プラチナ不応性または抵抗性または感受性)
bleomycin + etoposide + cisplatin
11
NA
NA
卵巣胚細胞性腫瘍Ⅰ-Ⅲ期ファーストライン
子宮体がん TC
2
85
36
Ⅲ-Ⅳ期 がん肉腫
AP
0
47
23
放射線照射後 Ⅲ-Ⅳ期
TAP+G-CSF support
5
68
47
CAP
0
35
4
Ⅰc-Ⅲc 期
AP
6
95
67
Ⅲ-Ⅳ期
AP
2
89
50
Ⅲ-Ⅳ期または再発
TAP+G-CSF support
3
69
36
CBDCA+PLD
4
47
14
Ⅲ-Ⅳ期または再発
子宮頸がん TC
6
44
30
転移または再発
CDDP
8
1
1
Ⅳb 期または再発
CDDP+topotecan
18
70
46
TP またはT-topotecan
5
NA
26
再発または残存
TP またはT-topotecan
+ BEV (15mg/kg)
5
NA
35
子宮肉腫 GEM+DTX
4
21
8
進行・再発平滑筋肉腫
日本のデータ
卵巣がん TC
9
92
NA
Ⅱ-Ⅳ期
dose dense TC
9
88
NA
irinotecan
0
5
3
プラチナ抵抗性再発
TC
3
90
NA
Ⅰ-Ⅳ期明細胞腺癌
CPT-P
7
69
NA
子宮体がん DP
10
83
53
Ⅲ-Ⅳ期または再発
DC
7
90
63
TC
3
77
40
CAP
0
2
NA
Ⅰc-Ⅲc期
子宮頸がん irinotecan+CBDCA
11
73
45
ⅠB-Ⅳ期または再発
TP
16
86
NA
転移または再発
TC
7
76
NA

GEM: gemcitabine, PLD: pegylated liposomal doxorubicin, CBDCA: carboplatin, PTX: paclitaxel, CDDP: cisplatin, DTX, docetaxel, TC: paclitaxel+carboplatin,TP: paclitaxel+cisplatin,DC: docetaxel+carboplatin,AP: Adriamycin®+cisplatin,TAP: paclitaxel+Adriamycin®+cisplatin,CAP: cyclophosphamide+Adriamycin®+cisplatin,DP: docetaxel+cisplatin

出典①JCO. 2008; 26: 890-6.
出典②Ann Oncol. 2007; 18: 282-7.
出典③JCO. 2007; 25: 2811-8.
出典④JCO. 2006; 24: 4699-707.
出典⑤JNCI. 2004; 96: 1682-91.
出典⑥Gynecol Oncol. 2004; 92: 152-9.
出典⑦Gynecol Oncol. 2004; 94: 533-9.
出典⑧Br J Cancer. 2004; 90: 810-4.
出典⑨JCO. 2003; 21: 3194-200.
出典⑩JNCI. 2003; 95: 1320-30.
出典⑪JCO. 2011; 29:3628-35  MITO2.
出典⑫Lancet Oncol. 2014; 15:396-405  MITO7.
出典⑬NEJM. 2016; 374:738-48  GOG0262.
出典⑭NEJM 2011; 365:2484-96  ICON7.
出典⑮NEJM 2011; 365:2473-83 GOG0218.
出典⑯JCO 2010; 28; 3323-9 CALYPSO.
出典⑰JCO 2012; 30; 2039-45  OCEANS.
出典⑱Lancet Oncol. 2015; 16:928-36 AURELLIA.
出典⑲JCO. 2003; 21: 2843-8.
出典⑳JCO. 2002; 20: 2365-9.
出典㉑JCO. 2001; 19: 3312-22.
出典㉒JCO. 1996; 14: 3056-61.
出典㉓JCO. 1994; 12:701-6.
出典㉔JCO. 2010; 28: 2727-31.
出典㉕Gynecol Oncol. 2009; 112: 543-52.
出典㉖Br J Cancer. 2006; 95: 266-71.
出典㉗JCO. 2006; 24: 36-44.
出典㉘JCO. 2004; 22: 2159-66.
出典㉙Br J Cancer. 2007; 96: 1639-43.
出典㉚Int J Gynecol Cancer. 2009; 19: 777-81.
出典㉛JCO. 2005; 23: 4626-33.
出典㉜NEJM 2014; 370: 734-43 GOG0240.
出典㉝Gynecol Oncol. 2008; 109: 323-8.
出典㉞Lancet. 2009; 374: 1331-8.
出典㉟Gynecol Oncol. 2006; 100: 412-6.
出典㊱JCO. 2016; 34: 2881-7.
出典㊲Ann Oncol. 2011; 22: 636-42.
出典㊳Gynecol Oncol. 2008; 108: 226-33.
出典㊴Oncol. 2000; 58: 31-7.
出典㊵JCO 2015; 33: 2129-35 JCOG0505.
6 呼吸器がん
対象疾患
(臓器がん)
レジメン FN 発症率(%)
G3+G4
Grade 3/4
neutropenia
(%)
Grade 4
neutropenia
(%)
対象Stage and Prior Therapy 出典
肺小細胞がん CDDP/VP-16
92
65
進展型 初回治療
CDDP/CPT-11
65
25
AMR
14
93
79
進展型 既治療
NGT
3
87
43
肺非小細胞がん CDDP/CPT-11
14
84
45
進行期 初回治療
CBDCA/PTX
18
88
69
CDDP/GEM
2
63
23
CDDP/VNR
18
88
72
CDDP/DTX
74
35
進行期 初回治療
DTX
7
74
NA
進行期 既治療
DTX/Ram
34.0
90.4
NA
進行期 既治療
肺非小細胞がん
(非扁平上皮がん)
CBDCA/PTX+bev
8
91
73
進行期 初回治療
PEM
2
5
NA
進行期 既治療

CDDP: cisplatin,CBDCA: carboplatin,CPT-11: irinotecan,DTX: docetaxel,PTX: paclitaxel,GEM: gemcitabine,VNR: vinorelbine,PEM: pemetrexed,AMR: amrubicin,NGT: nogitecan,Ram: ramucirumab,bev: bevacizumab

出典①N. Engl J Med 2002; 346: 85-91.
出典②J Clin Oncol 2008; 26: 5401-6.
出典③Ann Oncol. 2007; 18: 317-23.
出典④J Clin Oncol. 2004; 22: 254-61.
出典⑤J Clin Oncol. 2008; 26: 4244-52.
出典⑥Lung cancer. 2016; 99: 186-93.
出典⑦Lung Cancer. 2012; 76: 362-7.
出典⑧J Clin Oncol. 2004; 22: 1589-97.
7 消化器
対象疾患
(臓器がん)
レジメン FN 発症率(%)
G3+G4
Grade 3/4
neutropenia
(%)
Grade 4
neutropenia
(%)
対象Stage and Prior Therapy 出典
胃がん S-1
0
6
  進行
5-FU
0
1
 
CDDP+CPT
9
65
 
S-1
1
11
  進行
S1+CDDP
3
40
 
Cape+CDDP
3
30
  進行
Cape+CDDP+Trastuzumab
5
27
 
DTX+CDDP
21
76
  進行
DTX+CDDP+5-FU
41
80
 
5-FU+MTX  
16.7
3
進行
weekly PTX  
32
6
進行
DTX
9.9
12.5
8.6
進行
S-1
0
4.5
  進行
S-1+DTX
2.9
29.0
 
CPT
9.1
39.1
  進行
Weekly PTX
2.8
28.7
 
Nab-PTX
0
49.1
20.9
進行
SOX
2
13.0
0
進行
CapeOx
1.6
18.8
  進行
Weekly PTX
2
19.0
3.0
進行
Weekly PTX+
Ramucirumab
3
41.0
19.0
Ramucirumab       進行
大腸がん FOLFOX4
0.8
50
  進行
FOLFIRI
6.3
24
9
進行
FOLFOX6
0
44
13
FOLFIRI
3.4
28.8
  進行
5-FU+LV
0.7
2.4
 
FOLFIRI+Cetuximab
3
28.2
  進行
FOLFIRI
2.2
24.6
 
FOLFIRI
3
23
  進行
FOLFIRI+
Panitumumab
2
20
 
FOLFOX4+
Panitumumab
2
42
  進行
FOLFOX4
2
41
 
FOLFOX4+
Cetuximab
 
30
  進行
FOLFOX4  
34
 
FOLFOX4
1.8
41.1
12.3
術後補助
5-FU+LV
0.2
4.7
1
FOLFIRI
0.9
52.1
  進行
IRIS
4.8
36.2
 
Bevacizumab+
FOLFOX6
2
35
7
進行
Bevacizumab+
FOLFIRI
5
45
15
Bevacizumab+
CapeOx
 
16
  進行
Bevacizumab+
5-FU+LV
2.8
11
  進行
Bevacizumab+
Capecitabine
2.5
0
  進行
UFT+LV  
0
  進行
CPT
6.4
25.4
  進行
Cetuximab  
0
  進行
CPT+Cetuximab  
9.4
 
Panitumumab       進行
TAS-102
4.0
38.0
  進行
Regorafenib       進行
FOLFIRI
3
28
11
進行
FOLFOXIRI
5
50
17
Bevacizumab+
FOLFOXIRI
8.8
50
  進行
Bevacizumab+
FOLFIRI
6.3
20.5
 
FOLFIRI
2.4
24
9
進行
FOLFIRI+
Ramucirumab
3
38
10
食道がん 5-FU+CDDP  
5
0
術後補助
DTX
18%
88
73
進行
DTX
32%
68
50
進行
PTX
4%
52.8
  進行
膵がん GEM
0
25.9
6.9
進行
GEM  
27
  進行
GEM+Erlotinib  
24
 
S-1  
0
0
進行
GEM+Nab-PTX
3.0
38.0
  進行
GEM
1.0
27.0
 
FOLFIRINOX
5.4
45.7
  進行
GEM
1.2
21.0
 
FOLFIRINOX
22.2
77.8
  進行
胆道がん GEM  
16.6
  進行
GEM+CDDP  
25.3
 
GEM  
38.1
9.5
進行
GEM+CDDP
0
56.1
17.1
S-1  
5
0
進行
肝がん Sorafenib       進行

CDDP: cisplatin, CPT: CPT-11(irinotecan),Cape: capecitabine,DTX: docetaxel,MTX: methotrexate,PTX: paclitaxel,FOLFOX: 5-FU+oxaliplatin+folinic acid,FOLFIRI: 5-FU+irinotecan+folinic acid,GEM: gemcitabine,Nab-PTX: nanoparticle albumin-bound paclitaxel,SOX: S-1+ Oxaliplatin, CapeOx: Capecitabine+ Oxaliplatin,IRIS:irinotecan+ S-1,FOLFOXIRI:5-FU+folinic acid+oxaliplatin+irinotecan,FOLFIRINOX: 5-FU+folinic acid+oxaliplatin+irinotecan

出典①Lancet Oncol. 2009; 10: 1063-39.
出典②Lancet Oncol. 2009; 9: 215-21.
出典③Lancet. 2010; 376: 687-97.
出典④J Clin Oncol. 2007; 25: 3217-23.
出典⑤Jpn J Clin Oncol. 2008; 358: 36-46.
出典⑥Gastric Cancer. 2006; 9: 14-8.
出典⑦Jpn J Clin Oncol. 2007; 37: 936-41.
出典⑧J Cancer Res Clin Oncol. 2014; 140 : 319-28.
出典⑨J Clin Oncol. 2013 ;31:4438-44.
出典⑩Cancer Sci. 2014 ;105:812-7.
出典⑪Ann Oncol. 2010 ;21:1001-5.
出典⑫Eur J Cancer 2012;48:518-526
出典⑬Lancet Oncol. 2014 ;15:1224-35.
出典⑭Lancet. 2014 ;383:31-9.
出典⑮J Clin Oncol. 2004; 22: 23-30.
出典⑯J Clin Oncol. 2004; 22: 229-37.
出典⑰Lancet. 2000; 355: 1041-7.
出典⑱N Engl J Med. 2009; 360: 1408-17.
出典⑲J Clin Oncol 2010; 28: 4706-13.
出典⑳J Clin Oncol. 2010; 28: 4697-705.
出典㉑J Clin Oncol. 2009; 27: 663-71.
出典㉒N Engl J Med. 2004; 350: 2343-51.
出典㉓Lancet Oncol. 2010;11:853-60
出典㉔Ann Oncol. 2016;27:1539-46.
出典㉕Gan To Kagaku Ryoho. 2011;38:561-9.
出典㉖J Clin Oncol. 2005; 23: 3502-08.
出典㉗J Clin Oncol. 2010; 28: 3191-98.
出典㉘J Clin Oncol. 2004; 22: 3466-74.
出典㉙J Clin Oncol. 2008; 26: 2311-19.
出典㉚N Engl J Med. 2004; 351: 337-45.
出典㉛J Clin Oncol. 2007; 25: 1658-64.
出典㉜N Engl J Med. 2015;372:1909-19.
出典㉝Lancet. 2013;381:303-12.
出典㉞J Clin Oncol. 2007 ;25:1670-76.
出典㉟N Engl J Med 2014;371:1609-18.
出典㊱Lancet Oncol. 2015;16:499-508.
出典㊲Ann Surg Oncol. 2012; 19: 68-74.
出典㊳Ann Oncol. 2004; 15: 955-9.
出典㊴Invest New Drugs. 2002; 20: 95-9.
出典㊵Cancer Chemother Pharmacol. 2011; 67: 1265-72.
出典㊶J Clin Oncol. 1997; 15: 2403-13.
出典㊷J Clin Oncol. 2007; 25: 1960-6.
出典㊸Cancer Chemother Pharmacol. 2009; 63: 313-9.
出典㊹N Engl J Med. 2013;369:1691-703.
出典㊺N Engl J Med. 2011;364:1817-25.
出典㊻Cancer Sci. 2014;105:1321-26.
出典㊼N Engl J Med. 2010; 362: 1273-81.
出典㊽Br J Cancer. 2010; 103: 469-74.
出典㊾Cancer Chemother Pharmacol. 2008; 62: 849-55
出典㊿N Engl J Med. 2008;359:378-90.
【検索式・参考にした二次資料】

2005 年10 月1 日〜2016 年10 月31 日の文献を,PubMed で下記の検索式により検索したところ373 件が該当した。

["granulocyte colony stimulating factor" & "neutropenia" ]Limits: Humans,Clinical Trial,Meta-Analysis, English,Japanese

これに加えて,下記の二次資料,および,その引用文献を参照した。

① ASCO recommendations for the use of white blood cell growth factors: 2015 update

② EORTC guidelines for the use of granulocyte-colony stimulating factor: 2010 update

③ NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology-Myeloid growth factors: version 2.2014

【引用文献】

1) Lyman GH, Kuderer NM, Djulbegovic B. Prophylactic granulocyte colony-stimulating factor in patients receiving dose-intensive cancer chemotherapy: a meta-analysis. Am J Med 2002; 112: 406-11.(Ⅰ)

2) Bohlius J, Herbst C, Reiser M, et al. Granulopoiesis-stimulating factors to prevent adverse effects in the treatment of malignant lymphoma(Review). Cochrane Database Syst Rev 2008; 8: CD003189.(Ⅰ)

3) Kuderer NM, Dale DC, Crawford J, et al. Impact of primary prophylaxis with granulocyte colony-stimulating factor on febrile neutropenia and mortal ity in adult cancer patients receiving chemotherapy: a systematic review. J Clin Oncol. 2007; 25: 3158-67.(Ⅰ)

4) Sung L, Nathan PC, Alibhai SM, et al: Meta-analysis: effect of prophylactic hematopoietic colony-stimulating factors on mortality and outcomes of infection. Ann Intern Med 2007; 147: 400-11(Ⅰ)

5) Cooper KL, Madan J, Whyte S, et al: Granulocyte colony-stimulating factors for febrile neutropenia prophylaxis following chemotherapy: systematic review and meta-analysis. BMC Cancer. 2011; 11: 404.(Ⅰ)

6) Timmer-Bonte JN, de Boo TM, Smit HJ, et al. Prevention of chemotherapy-induced febrile neutropenia by prophylactic antibiotics plus or minus granulocyte colony-stimulating factor in small-cell lung cancer: a Dutch Randomized Phase Ⅲ Study. J Clin Oncol. 2005; 23: 7974-84.(Ⅱ)

7) Vogel CL, Wojtukiewicz MZ, Carroll RR, et al. First and subsequent cycle use of pegG-CSF prevents febrile neutropenia in patients with breast cancer: a multicenter, double-blind, placebo-controlled phase Ⅲ study. J Clin Oncol. 2005; 23: 1178-84.(Ⅱ)

8) Balducci L, Al-Halawani H, Charu V, et al. Elderly cancer patients receiving chemotherapy benefit from first-cycle pegfilgrastim. Oncologist. 2007; 12: 1416-24.(Ⅱ)

9) Kosaka Y, Rai Y, Masuda N, et al: Phase III placebo-controlled double-blind randomized trial of pegfilgrastim to reduce the risk of febrile neutropenia in breast cancer patients receiving docetaxel/cyclophosphamide chemotherapy. Support Care Cancer 2015; 23:1137-43 (Ⅱ)

10) Lyman GH, Dale DC, Culakova E, et al: The impact of the granulocyte colony-stimulating factor on chemotherapy dose intensity and cancer survival: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. Ann Oncol. 2013; 24: 2475-84.(Ⅰ)


CQ
化学療法の強度を増強または維持する目的でのG-CSF 一次予防的投与は妥当か?

Clinical Question 一覧へ


推奨
グレード
A
G-CSF の併用を前提に治療強度を増強したレジメンで,生存期間の延長が示されている場合は,そのレジメンとともにG-CSF の一次予防的投与が推奨される。

推奨
グレード
B
治癒もしくは生存期間の延長を目的とする化学療法において,治療強度が低下すると予後が不良となることが示されている場合には,治療強度を維持する目的でのG-CSF 一次予防的投与が推奨される。

推奨
グレード
C2
症状緩和を目的とする化学療法では,G-CSF 一次予防的投与は推奨されない。G-CSF を使用するよりも,レジメン,用量,投与スケジュールの変更を考慮すべきである。
【背景・目的】

化学療法の強度を増強または維持する目的でのG-CSF 一次予防的投与について検討する。

【解 説】

標準的な化学療法にG-CSF を併用することで,FN を予防し,より安全に化学療法を実施するというのが,これまでの一般的なG-CSF 一次予防的投与の目的であり,これについてのエビデンスは十分に確立している。次のステップとして,G-CSF 併用を前提に,標準的な化学療法よりも強度を増強することで,より高い有効性を目指す試みがなされている。治療強度を増強する方法としては,1 回投与量を増やす方法(dose-intense レジメン)と,投与間隔を3 週から2週にするなど,投与回数を増やす方法(dose-dense レジメン)がある。G-CSF 併用を前提に治療強度を増強したレジメンと,従来の標準的な化学療法とを比較した信頼度の高い臨床試験において,生存期間について前者の優越性が示されていれば,そのレジメンは,標準的治療とみなされ,そのレジメンを使用する際には,一次予防的投与としてのG-CSF の併用が推奨される。

G-CSF 併用を前提に治療強度を増強したレジメンを用いた臨床試験は数多く行われ,G-CSF 併用により比較的安全に治療強度を増強できることが報告されている。メタアナリシスでは、G-CSF 併用を前提に治療強度を増強したレジメンで生存期間が改善することが示されている1)が、個別の臨床試験で生存期間の改善が示されているものは必ずしも多くはない2)3),生存期間の延長が示されていないレジメンについては,その使用は推奨されない。生存期間の延長が示されたレジメンについても,代替の治療法も検討した上で,実際にそのレジメンを使用するかどうかを判断する必要がある。

治癒もしくは生存期間の延長を目的に化学療法を予定していて,何らかの理由により標準的化学療法の治療強度を下げることを検討しなければならないとき,その治療強度の変更によって予後の悪化が予想されるのであれば,治療強度を維持する目的でのG-CSF 一次予防的投与が推奨される。ただし,化学療法の目的が症状緩和である場合や,治療強度の低下で予後が悪化するという明確な根拠がない場合には,G-CSF を使用するよりも,レジメン,用量,投与スケジュールの変更を考慮すべきである。

また,たとえ10%未満でも,FN を合併した個人にとっては極めて重篤な合併症を経験したことになる。今後,理想的には化学療法に特異的なFN の発症頻度による選別ではなく,個々の患者が持つ特異性patients-specific(年齢,合併症,全身状態など)に基づき,個別化されたG-CSF 一次予防的投与基準が設けられるべきである。

【検索式・参考にした二次資料】

2005 年10 月1 日〜2016 年10 月31 日の文献を,PubMed で下記の検索式により検索したところ373 件が該当した。

["granulocyte colony stimulating factor" & "neutropenia" ]Limits: Humans,Clinical Trial,Meta-Analysis, English,Japanese

これに加えて,下記の二次資料,および,その引用文献を参照した。

① ASCO recommendations for the use of white blood cell growth factors: 2015 update

② EORTC guidelines for the use of granulocyte-colony stimulating factor: 2010 update

③ NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology-Myeloid growth factors: version 2.2014

【引用文献】

1) Lyman GH, Dale DC, Culakova E, et al: The impact of the granulocyte colony-stimulating factor on chemotherapy dose intensity and cancer survival: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. Ann Oncol. 2013; 24: 2475-84.(Ⅰ)

2) Citron ML, Berry DA, Cirrincione C, et al: Randomized trial of dose-dense versus conventionally scheduled and sequential versus concurrent combination chemotherapy as postoperative adjuvant treatment of node-positive primary breast cancer: First report of Intergroup Trial C9741/Cancer and Leukemia Group B Trial 9741. J Clin Oncol. 2003; 21: 1431-9.(Ⅱ)

3) Thatcher N, Girling DJ, Hopwood P, et al: Improving survival without reducing quality of life in small-cell lung cancer patients by increasing the dose-intensity of chemotherapy with granulocyte colony-stimulating factor support: Results of a British Medical Research Council Multicenter Randomized Trial-Medical Research Council Lung Cancer Working Party. J Clin Oncol. 2000; 18: 395-404.(Ⅱ)


  二次予防的投与

アルゴリズムへ


»
概 説

1
  G-CSF の二次予防的投与とは

G-CSF の二次予防的投与とは,抗がん薬治療において前コースで発熱性好中球減少症(febrile neutropenia: FN)を生じたり,遷延性の好中球減少症で投与スケジュールの延期が必要となったりした場合に,次コースで予防的にG-CSF を投与する場合を指す。

2
  G-CSF の二次予防的投与におけるエビデンス

G-CSF の二次予防的投与の目的は,抗がん薬の減量を避け,規定の投与量を維持することにある。治癒を目指した治療を行う場合,抗がん薬の減量やスケジュール変更を行うことが望ましくない患者において,二次予防的にG-CSF を投与すると,FN の発現や好中球回復までの期間,抗菌薬投与のために入院する期間を有意に減少させることができると報告されている1)2)。しかしながら,G-CSF を二次予防的に投与し,抗がん薬投与量を維持することで無増悪生存期間(progression-free survival: PFS)や全生存期間(overall survival: OS)の延長を示した報告はない。

3
  二次予防的投与の適応

緩和的化学療法で前コースにおいてFN を認めた場合,次コースの投与量減量もしくはスケジュール変更を検討するのが原則である。しかしながら,治癒率の向上が期待できる悪性リンパ腫や早期乳がん,胚細胞腫瘍のような抗がん薬の減量やスケジュール変更を行うことが望ましくない患者において,前コースでFNを認めた場合には,G-CSFの二次予防的投与を考慮する1)2)

【検索式・参考にした二次資料】

2005 年10 月1 日〜2016 年10 月31 日の文献を,PubMed で[#1: (neutropenia)OR(neu tropenic),#2: (granulocyte stimulating factor)OR(G-CSF),#3: (secondary prevention)OR(secondary preventive)OR(secondary prophylactic)OR(secondary prophylaxis),#4: #1 AND #2 AND #3,Limits: Humans,Clinical Trial,English,Japanese]の検索式により検索したところ36 件が該当した。加えて重要文献をハンドサーチで検索した。さらに以下の二次資料を参考にした。

【文献】

② EORTC guidelines for the use of granulocyte-colony stimulating factor: 2010 update

③ NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology-Myeloid growth factors: version. 1.2012

【引用文献】

1) Haim N, Shulman K, Goldberg H, et al. The safety of full-dose chemotherapy with secondary prophylactic granulocyte colony stimulating factor(G-CSF)following a prior cycle with febrile neutropenia. Med Oncol. 2005; 22: 229-32.(Ⅲ)

2) Gupta S, Singh PK, Bhatt ML, et al. Efficacy of granulocyte colony stimulating factor as a secondary prophylaxis along with full-dose chemotherapy following a prior cycle of febrile neutropenia. Biosci Trends. 2010; 4: 273-8.(Ⅲ)


CQ
前コースで発熱性好中球減少症を生じた場合,抗がん薬の減量もしくはスケジュール変更を行わずにG-CSF の二次予防的投与を行いながら次コースの治療を行うことは適切か?

Clinical Question 一覧へ


推奨
グレード
C2
前コースでFNを生じた場合,投与量減量など適切な処置をとらなければG-CSF の二次予防的投与を行ったとしても次コース以降でのFN 発症リスクは高いと考えられる1)2)。よって,抗がん薬の減量やスケジュール変更を行うことが望ましくない患者でなければ,原則として次コース以降は抗がん薬の減量もしくはスケジュール変更を検討すべきである。

化学療法により“ 治癒” を含む十分な効果が期待でき,治療強度を下げない方がいいと考えられる疾患の患者。例えば,ホジキンリンパ腫,非ホジキンリンパ腫(中,高悪性度),乳がん(術後化学療法),胚細胞腫瘍,絨毛がん,肺小細胞がん,急性白血病など。

【背景・目的】

前コースでFN を認めた場合,次コース以降のFN のリスクはどの程度かについて検討する。

【解 説】

Haim らの報告によると,前コースでFN を生じた51 例に対し,抗がん薬の減量を行わずにG-CSF の二次予防的投与を行った場合,次コースでのFN を出現頻度は51 例中8 例(16%)であった1)

一方,Gupta らは,前コースでFN を生じた50 例に対し,抗がん薬の減量を行わずG-CSFの二次予防的投与を行った。この報告によると,次コースでFN を生じたのは50 例中32 例(64%)であった2)

また,Timmer-Bonte らは,肺小細胞がんに対するシクロホスファミド,ドキソルビシン,エトポシドの3 剤併用療法において,抗菌薬単独予防投与群と抗菌薬+G-CSF による予防投与群とを比較し,FN の発症頻度や罹病期間を検討した3)。本試験において,前コースでFN を生じながらも治療を継続した場合,抗菌薬単独の予防投与群で20 例(24%)に,抗菌薬+G-CSF投与群で9 例(10%)に再びFN が生じた。

報告によりさまざまであるが,前コースでFN を生じ投与量減量など適切な処置をとらない場合,G-CSF の二次予防的投与下であっても次コース以降でのFN 発症リスクは,10〜60%と低くないと考えられる。

よって,前コースでFN を生じた場合,抗がん薬の減量やスケジュール変更を行うことが望ましくない患者でなければ,原則として次コース以降は抗がん薬の減量もしくはスケジュールの変更を検討することが望ましい。

【検索式・参考にした二次資料】

2005 年10 月1 日〜2016 年10 月31 日の文献を,PubMed で[#1: (neutropenia)OR(neu tropenic),#2: (granulocyte stimulating factor)OR(G-CSF),#3: (secondary prevention)OR(secondary preventive)OR(secondary prophylactic)OR(secondary prophylaxis),#4: #1 AND #2 AND #3,Limits: Humans,Clinical Trial,English,Japanese]の検索式により検索したところ36 件が該当した。加えて重要文献をハンドサーチで検索した。さらに以下の二次資料を参考にした。

① ASCO recommendations for the use of white blood cell growth factors: 2006 update

② EORTC guidelines for the use of granulocyte-colony stimulating factor: 2010 update

③ NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology-Myeloid growth factors: version 1.2012

【引用文献】

1) Haim N, Shulman K, Goldberg H, et al. The safety of full-dose chemotherapy with secondary prophylactic granulocyte colony stimulating factor(G-CSF)following a prior cycle with febrile neutropenia. Med Oncol. 2005; 22: 229-32.(Ⅲ)

2) Gupta S, Singh PK, Bhatt ML, et al. Efficacy of granulocyte colony stimulating factor as a secondary prophylaxis along with full-dose chemotherapy following a prior cycle of febrile neutropenia. Biosci Trends. 2010; 4: 273-8.(Ⅲ)

3) Timmer-Bonte JN, de Boo TM, Smit HJ, et al. Prevention of chemotherapy-induced febrile neutropenia by prophylactic antibiotics plus or minus granulocyte colony-stimulating factor in small-cell lung cancer: a Dutch Randomized Phase V Study. J Clin Oncol. 2005; 23: 7974-84.(Ⅱ)


CQ
前コースで発熱性好中球減少症を生じた場合,次コース以降で二次予防的にG-CSF を投与することは有効か?

Clinical Question 一覧へ


推奨
グレード
B
抗がん薬の減量やスケジュール変更を行うことが望ましくない患者において,前コースでFN を認めた場合,次コース以降でG-CSF の二次予防的投与を考慮する。

化学療法により“ 治癒” を含む十分な効果が期待でき,治療強度を下げない方がいいと考えられる疾患の患者。例えば,ホジキンリンパ腫,非ホジキンリンパ腫(中,高悪性度),乳がん(術後化学療法),胚細胞腫瘍,絨毛がん,肺小細胞がん,急性白血病など。

【背景・目的】

前コースでFN を生じた場合,次コース以降で予防的G-CSF 投与の有効性について検討を行う。

【解 説】

治癒を目的とした化学療法では,治療強度(dose intensity)の低下が生存期間の短縮につながる可能性が示唆されている。Bosly らは,非ホジキンリンパ腫に対する化学療法を行った240 例について後ろ向きに検討を行い,治療強度の高い群と低い群とでは生存期間中央値がそれぞれ5.38 年,2.24 年であり,治療強度の低い群で有意に短かったことを報告した1)。このような知見に基づき,G-CSF の予防投与を行い治療強度を高めることで予後を改善することが期待されている。

Riveraらは,乳がんに対する術後化学療法において1コース目にGrade 4 の好中球減少をきたした358 例にG-CSF の二次予防的投与を行い,その有効性について検討を行った2)。ヒストリカルコントロールとの比較を行ったところ,二次予防的投与によりFNの発症率や入院率の改善は認めなかったものの,治療強度の増加を認めた。

Gupta らは,前コースでFN を生じた50 例に対し,抗がん薬の減量を行わずG-CSF の二次予防的投与を行い,その有効性について検討した3)。この報告によると,二次予防的投与を行ったあとの1 コース目でのFN 発症率は64%,次コースでの発症率は14%,3 コース目の発症率は10%とコースを重ねるにつれて有意にFN を抑制することが明らかになり,さらに入院日数,抗菌薬の使用率なども有意に抑制していた。

これらの結果から,抗がん薬の減量やスケジュール変更を行うことが望ましくない患者において,前コースでFN を認めた場合,次コース以降でG-CSF の二次予防的投与を考慮することが望ましいと考えられる。

ASCO・EORTC・NCCN のG-CSF ガイドライン,日本臨床腫瘍学会のFN 診療ガイドラインでも同様の推奨がなされている。

【検索式・参考にした二次資料】

2005 年10 月1 日〜2016 年10 月31 日の文献を,PubMed で[#1: (neutropenia)OR(neu tropenic),#2: (granulocyte stimulating factor)OR(G-CSF),#3: (secondary prevention)OR(secondary preventive)OR(secondary prophylactic)OR(secondary prophylaxis),#4: #1 AND #2 AND #3,Limits: Humans,Clinical Trial,English,Japanese]の検索式により検索したところ36 件が該当した。加えて重要文献をハンドサーチで検索した。さらに以下の二次資料を参考にした。

① ASCO recommendations for the use of white blood cell growth factors: 2006 update

② EORTC guidelines for the use of granulocyte-colony stimulating factor: 2010 update

③ NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology-Myeloid growth factors: version 1.2012

【引用文献】

1) Bosly A, Bron D, Van Hoof A, et al. Achievement of optimal average relative dose intensity and correlation with survival in diffuse large B-cell lymphoma patients treated with CHOP. Ann Hematol. 2008; 87: 277-83.(Ⅳa)

2) Rivera E, Erder MH, Moore TD, et al; Risk Model Study Group. Targeted filgrastim support in patients with early-stage breast carcinoma: toward the implementation of a risk model. Cancer. 2003; 98: 222-8.(Ⅲ)

3) Gupta S, Singh PK, Bhatt ML, et al. Efficacy of granulocyte colony stimulating factor as a secondary prophylaxis along with full-dose chemotherapy following a prior cycle of febrile neutropenia. Biosci Trends. 2010; 4: 273-8.(Ⅲ)


CQ
G-CSFの二次予防的投与は,がん患者の生存期間を延長するか?

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推奨
グレード
C1
G-CSF の二次予防的投与により,生存期間のいずれも延長したという報告はこれまでにない。しかしながら,抗がん薬の減量やスケジュール変更を行うことが望ましくない患者において,G-CSF の二次予防的投与を行うことで治療強度を維持し,その結果,生存期間延長に寄与する可能性はある。
【背景・目的】

G-CSF の二次予防的投与により,無増悪生存期間・全生存期間を延長することができるかどうか検討する。

【解 説】

近年,抗がん薬の減量やスケジュール変更を行うことが望ましくない患者において,G-CSF の一次予防的投与を行うことで死亡率を減少させる可能性が示唆されている。Lymanらによると,25 の無作為化比較試験の系統的レビューにおいて,G-CSF の一次予防的投与を行い通常よりも投与量を増やした化学療法を行うことで,G-CSF 予防投与なしの通常化学療法よりも死亡率が低いことが示された1)。残念ながら二次予防的投与による生存期間の延長を明確に示した報告はこれまでにないが,非ホジキンリンパ腫に対する化学療法を行った240 例の後ろ向き検討では治療強度が高い群で全生存期間が長かったこと2),乳がんに対する術後化学療法においてG-CSFの二次予防的投与により治療強度の増加を認めたこと3)などの報告を考慮すると,G-CSFの二次予防的投与により治療強度を高めることで生存期間を延長する可能性はあると考えられる。

【検索式・参考にした二次資料】

2005 年10 月1 日〜2016 年10 月31 日の文献を,PubMed で[#1: (neutropenia)OR(neu tropenic),#2: (granulocyte stimulating factor)OR(G-CSF),#3: (secondary prevention)OR(secondary preventive)OR(secondary prophylactic)OR(secondary prophylaxis),#4: #1 AND #2 AND #3,Limits: Humans,Clinical Trial,English,Japanese]の検索式により検索したところ36 件が該当した。加えて重要文献をハンドサーチで検索した。さらに以下の二次資料を参考にした。

① ASCO recommendations for the use of white blood cell growth factors: 2006 update

② EORTC guidelines for the use of granulocyte-colony stimulating factor: 2010 update

③ NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology-Myeloid growth factors: version 1.2012

【引用文献】

1) Lyman GH, Dale DC, Wolff DA, et al. Acute myeloid leukemia or myelodysplastic syndrome in randomized controlled clinical trials of cancer chemotherapy with granulocyte colony-stimulating factor: a systematic review. J Clin Oncol. 2010; 28: 2914-24.(Ⅰ)

2) Bosly A, Bron D, Van Hoof A, et al. Achievement of optimal average relative dose intensity and correlation with survival in diffuse large B-cell lymphoma patients treated with CHOP. Ann Hematol. 2008; 87: 277-83.(Ⅳa)

3) Rivera E, Erder MH, Moore TD, et al; Risk Model Study Group. Targeted filgrastim support in patients with early-stage breast carcinoma: toward the implementation of a risk model. Cancer. 2003; 98: 222-8.(Ⅲ)


  治療的投与

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CQ
無熱性好中球減少症患者に,G-CSFの治療的投与をすべきか?

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推奨
グレード
C2
無熱性好中球減少症患者に対し,ルーチンにG-CSF の治療的投与をすべきでない。
【背景・目的】

化学療法の経過中に,発熱を伴わない好中球減少症をきたすことがある。この無熱性好中球減少症患者に対するG-CSF の治療的投与について検討した。

【解 説】

ASCO ガイドライン(2006)では,無熱性好中球減少症に対するG-CSF の治療的投与の有効性を示すデータは不十分であることから,ルーチンの投与は推奨していない。また,EORTCガイドライン(2010),およびNCCN ガイドライン(2012 ver. 1)においても,無熱性好中球減少症に対するG-CSF の治療的投与には言及されていない。一方,わが国では化学療法におけるG-CSF 製剤の効能・効果として,好中球数500/μL 未満が観察された時点での投与が認められている。上記ガイドライン発表以降,エビデンスとなる新たな研究結果は報告されておらず,現時点ではこの病態に対して,ルーチンにG-CSF の治療的投与を実施する根拠には乏しいと考えられる。

【検索式・参考にした二次資料】

2005 年10 月1 日〜2015 年10 月31 日の文献を中心に,PubMed で[G-CSF & afebrile neutropenia]のキーワードにより検索したところ8 件が該当した。加えて重要文献をハンドサーチで検索した。さらに以下の二次資料を参考にした。

① ASCO recommendations for the use of white blood cell growth factors: 2015 update

② EORTC guidelines for the use of granulocyte-colony stimulating factor: 2010 update

③ NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology-Myeloid growth factors: version 2.2016


CQ
発熱性好中球減少症患者に,G-CSFの治療的投与をすべきか?

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推奨
グレード
C1
発熱性好中球減少症患者に対し,ルーチンにG-CSF の治療的投与をすべきでない。
ただし,G-CSF の予防投与を受けていたFN 患者では,G-CSF の継続投与が勧められる。

推奨
グレード
C1
G-CSF の予防投与を受けていないFN 患者では,高リスクの場合,G-CSF の治療的投与を検討する。
【背景・目的】

化学療法の実施中に発症したFN の管理は,化学療法の安全で効果的な実施,継続において重要である。FN 患者に対するG-CSF の治療的投与の意義について検討した。

【解 説】

FN 患者に対するG-CSF の治療的投与については,予防投与に比べてエビデンスが乏しい。その中で2001 年に報告された試験では,210 名の高リスクの固形腫瘍患者を抗菌薬+G-CSF併用群と抗菌薬単独群の2 群に無作為化割付けを行い,比較している。G-CSF 併用群では,Grade 4 の好中球減少症の期間(中央値2 日vs. 3 日; p=0.0004),抗菌薬投与の期間(中央値5 日vs. 6 日; p=0.013),入院期間(中央値5 日vs. 7 日)を有意に短縮したことが示された1)。しかし生存期間には両群に有意差はなく,初期診断後の重篤なイベントの発症率は,G-CSF 併用群で10%,単独群で17%(p=0.12)であった。

FN を発症したがん患者のG-CSF/GM-CSF(GM-CSFは,わが国では承認されていない)を用いた治療についての,臨床試験のメタアナリシスは2 件の報告がなされている。Cochrane Library のメタアナリシスでは13 の臨床試験,1,518 名の患者について解析し,G-CSF/GM-CSF 投与群では入院期間短縮(HR=0.63; 95%CI,0.49-0.82; p=0.0006),好中球数回復までの期間短縮(HR=0.32; 95%CI,0.23-0.46; p<0.00001)を認めたが,全死亡率には有意差はなかった(p=0.10)2)。Berghmans らによるメタアナリシスでも,G-CSF 投与群と非投与群の間で,FN による死亡率に有意差は証明されず,他の臨床的項目での優位性も示されていない3)

上記のようにG-CSF の治療的投与では,生存期間の延長が証明されていないが,これはイベントの発生頻度が低いことによる検出力不足の可能性も考えられる。一方,好中球減少症の期間はFN 患者の重篤な合併症のリスク因子とされていることから4),高リスクの患者に対するG-CSF の治療的投与は,重篤な合併症発症の低減が期待できる。FN 患者における重篤な合併症のリスク因子についてはさまざまな報告がある。Kuderer らは,FN の入院患者の死亡率についての独立したリスク因子として,真菌感染症,グラム陰性菌敗血症,肺炎と他の肺疾患,脳血管障害,肝・腎機能障害を報告した5)。またNCCN ガイドライン(2016 ver. 2)では,感染合併症や予後不良のリスク因子として,65 歳以上,敗血症症候群,高度(ANC<100/μL)または遷延する(>10 日)好中球減少,肺炎,侵襲性真菌感染症あるいは臨床的に確認できる感染,入院,レジメンの異なる先行化学療法におけるFN の既往歴を挙げている。またMASCC が,FN における各症状を点数化(「2.発熱性好中球減少症の定義とリスク」表4 参照)し,高リスクと低リスクを的確に分類する試みを提唱している。これらのリスク因子を確認の上,G-CSF の予防投与を受けていないFN 患者について,G-CSF の治療的投与を検討することが望まれる。

わが国でも承認されたペグフィルグラスチムについては,本剤の予防投与を受けたFN 患者に対して追加のG-CSF 治療的投与の効果を示した臨床試験はない。NCCNガイドライン(2016 ver. 2)では,好中球減少期間でのペグフィルグラスチムの高い血中濃度を示す薬物動態のデータより追加のG-CSF は効果的ではない可能性から,追加のG-CSF 治療的投与は推奨していない。しかし好中球減少期間が長く遷延する患者では追加のG-CSF を考慮すると記載されている。

【検索式・参考にした二次資料】

2005 年10 月1 日〜2015 年10 月31 日の文献を中心に,[G-CSF & cancer chemotherapy &(febrile neutropenia or neutropenia with fever)& therapeutic use] ,Limits: Humans,Clinical Trial,English,Japanese のキーワードにより検索したところ182(filter なしで577)件が該当した。加えて重要文献をハンドサーチで検索した。さらに以下の二次資料を参考にした。

① ASCO recommendations for the use of white blood cell growth factors: 2015 update

② EORTC guidelines for the use of granulocyte-colony stimulating factor: 2010 update

③ NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology-Myeloid growth factors: version 2.2016

【引用文献】

1) Garcia-Carbonero R, Mayordomo JI, Tornamira MV, et al. Granulocyte coloney-stimulating factor in the treatment of high-risk febrile neutropenia: A multicenter randomized trial. J Natl Cancer Inst. 2001; 93: 31-8.(Ⅱ)

2) Clark OA, Lyman GH, Castro AA, et al. Colony-stimulating factors for chemotherapy-induced febrile neutropenia: a meta-analysis of randomized controlled trials. J Clin Oncol. 2005; 23: 4198-214.(Ⅰ)

3) Berghmans T, Paesmans M, Lafitte JJ, et al. Therapeutic use of granulocyte and granulocyte-macrophage colony-stimulating factors in febrile neutropenic cancer patients. A systematic review of the literature with meta-analysis. Support Care Cancer. 2002; 10: 181-8.(Ⅰ)

4) Klastersky J, Paesmans M, Rubenstein EB, et al. The Multinational Association for Supportive Care in Cancer risk index: A multinational scoring system for identifying low-risk febrile neutropenic cancer patients. J Clin Oncol. 2000; 18: 3038-51.(Ⅳa)

5) Kuderer NM, Dale DC, Crawford J, et al. Mortality, morbidity, and cost associated with febrile neutropenia in adult cancer patients. Cancer. 2006; 106: 2258-66.(Ⅳb)


  対象患者(高齢者・合併症を有する患者を含む)

CQ
高齢者に対してG-CSFを一次予防的に使用すべきか?

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推奨
グレード
A
65 歳以上の患者に対しては,リンパ腫に対するCHOP などの寛解導入化学療法の際には予防投与を行い,FN や感染のリスクを軽減することが望ましい。

推奨
グレード
C2
リンパ腫以外の患者に対しては,65 歳以上であるという理由だけで,G-CSF の予防投与を行うのは避けるべきであるが,65 歳以上の固形腫瘍の患者ではFN が重篤化する重要な因子であり,年齢以外のFN のリスク因子を勘案しながら,G-CSF の予防投与を慎重に考慮する。
【背景・目的】

高齢者や不良なPS,FN の既往歴,広範囲の放射線照射歴,放射線同時併用化学療法などのリスク因子を有する患者では,抗がん薬投与によりFN が発症する頻度が高いが,G-CSF を一次予防的に使用してよいかどうか検討した。

【解 説】

高齢は,乳がん領域などにおける多数の研究により,化学療法施行時に好中球減少をきたしやすい因子であることが報告されている1)〜3)。高齢の基準は報告によりさまざまで,60 歳,65 歳,70 歳,72 歳などとされている1)〜4)。高齢のリンパ腫患者においては,好中球減少により死亡率が上昇すると報告されている5)〜7)。高齢と化学療法による骨髄抑制の関連は,非ホジキンリンパ腫(non-Hodgkin lymphoma: NHL)の領域で研究がなされており,65 歳未満の患者では,有害事象として骨髄抑制の頻度が21%であるのに対し,65 歳以上では34%である8)。また,卵巣がん患者においても70 歳以上では70 歳未満に比較してFNの発症頻度が有意に高いことが示されている9)

【検索式・参考にした二次資料】

2005 年10 月1 日〜2016 年10 月31 日の文献を中心に,PubMed で[G-CSF &(risk factor or older patients or elderly patients or aging or PS)&(neutropenia or febrile neutropenia or infection)]Limits: Humans,Clinical Trial,English,Japanese のキーワードにより検索したところ711 件が該当した。加えて重要文献をハンドサーチで検索した。さらに以下の二次資料を参考にした。

① ASCO recommendations for the use of white blood cell growth factors: 2015 update

② EORTC guidelines for the use of granulocyte-colony stimulating factor: 2010 update

③ NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology-Myeloid growth factors: ver.2.2016

【引用文献】

1) Crivellari D, Bonetti M, Castiglione-Gertsch M, et al. Burdens and benefits of adjuvant cyclophosphamide, methotrexate, and fluorouracil and tamoxifen for elderly patients with breast cancer: the International Breast Cancer Study Group Trial Ⅶ. J Clin Oncol. 2000; 18: 1412-22.(Ⅱ)

2) Dees EC, O’Reilly S, Goodman SN, et al. A prospective pharmacologic evaluation of age-related toxicity of adjuvant chemotherapy in women with breast cancer. Cancer Invest. 2000; 18: 521-9.(Ⅲ)

3) Gelman RS, Taylor SG 4th. Cyclophosphamide, methotrexate, and 5-fluorouracil chemotherapy in women more than 65 years old with advanced breast cancer: the elimination of age trends in toxicity by using doses based on creatinine clearance J Clin Oncol. 1984; 2: 1404-13.(Ⅲ)

4) Kim YJ, Rubenstein EB, Rolston KV, et al. Colony-stimulating factors(CSFs)may reduce complications and death in solid tumor patients with fever and neutropenia. Proc Am Soc Clin Oncol. 2000; 19: 612a.(abstr 2411)

5) Armitage JO, Potter JF. Aggressive chemotherapy for diffuse histiocytic lymphoma in the elderly: increased complications with advancing age. J Am Geriatr Soc. 1984; 32: 269-73.(Ⅲ)

6) Doordujin J, Van Der Holt B, Van Der Kem F, et al. Randomized trial of colony-stimulating factor(G-CSF)added to CHOP in elderly patients withaggressive non-Hodikin’s lymphoma. Blood. 2000; 96: 133a.(Ⅲ)

7) Gómez H, Mas L, Casanova L, Pen DL, et al. Elderly patients with aggressive non-Hodgkin’s lymphoma treated with CHOP chemotherapy plus granulocyte-macrophage colony-stimulating factor: identification of two age subgroups with differing hematologic toxicity. J Clin Oncol. 1998; 16: 2352-8.(Ⅲ)

8) Morrison VA, Picozzi V, Scott S, et al; Oncology Practice Pattern Study Working Group. The impact of age on delivered dose intensity and hospitalizations for febrile neutropenia in patients with intermediate-Grade non-Hodgkin’s lymphoma receiving initial CHOP chemotherapy: a risk factor analysis. Clin Lymphoma. 2001; 2: 47-56.(Ⅲ)

9) Hilpert F, du Bois A, Greimel ER, et al. Feasibility, toxicity and quality of life of first-line chemotherapy with platinum/paclitaxel in elderly patients aged>or=70 years with advanced ovarian cancer--a study by the AGO OVAR Germany. Ann Oncol. 2007; 18: 282-7.(Ⅱ)


CQ
高齢以外に一次予防的投与を考慮すべきリスク因子はあるか?

Clinical Question 一覧へ


推奨
グレード
C1
リンパ腫以外の65 歳以上の患者に対しては,他のリスク因子を検討した上で,予防投与の適応を考慮するべきである。

推奨
グレード
C1
リスク因子としては,不良なPS,レジメンの異なる先行化学療法におけるFN の既往歴,広範囲の放射線照射などの前治療歴,放射線同時併用化学療法などが挙げられる。
【背景・目的】

FN を発症するリスク因子として,高齢以外にどのようなものがあるか検討した。

【解 説】

高齢以外にも,化学療法施行時にFN のリスクを高める因子として,不良なPS,レジメンの異なる先行化学療法におけるFN の既往歴,広範囲の放射線照射などの前治療歴,放射線同時併用化学療法,骨髄への腫瘍浸潤による造血機能障害,低栄養状態,開放創や活動的感染症の存在,進行がん,重篤な合併症,心血管疾患,複数の合併症,HIV 感染(特にCD4 細胞数が少ない患者),などが指摘されている1)〜10)。また最近,これらのリスク因子の数の合計11)や,各リスク因子の重み付けを行いその合計をスコア化して,PS より正確に化学療法の毒性発現を予測し得ることが報告されている12)

【検索式・参考にした二次資料】

2005 年10 月1 日〜2016 年10 月31 日の文献を中心に,PubMed で[G-CSF &(risk factor or older patients or elderly patients or aging or PS)&(neutropenia or febrile neutropenia or infection)]Limits: Humans,Clinical Trial,English,Japanese のキーワードにより検索したところ711 件が該当した。加えて重要文献をハンドサーチで検索した。さらに以下の二次資料を参考にした。

① ASCO recommendations for the use of white blood cell growth factors: 2015 update

② EORTC guidelines for the use of granulocyte-colony stimulating factor: 2010 update

③ NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology-Myeloid growth factors: version 2.2016

【引用文献】

1) Hilpert F, du Bois A, Greimel ER, et al. Feasibility, toxicity and quality of life of first-line chemotherapy with platinum/paclitaxel in elderly patients aged>or=70 years with advanced ovarian cancer--a study by the AGO OVAR Germany. Ann Oncol. 2007; 18: 282-7.(Ⅱ)

2) Pettengell R, Bosly A, Szucs TD, et al; Impact of Neutropenia in Chemotherapy-European Study Group(INC-EU). Multivariate analysis of febrile neutropenia occurrence in patients with non-Hodgkin lymphoma: data from the INC-EU Prospective Observational European Neutropenia Study. Br J Haematol. 2009; 144: 677-85.(Ⅲ)

3) S. R. Teegala, X. Zhou, A. Huen, et al. Risk factors for neutropenic fever in lymphoma patients receiving chemotherapy J Clin Oncol, 2007 ASCO Annual Meeting Proceedings(Post-Meeting Edition). Vol 25, No 18S(June 20 Supplement), 2007: 19616

4) Dranitsaris G, Rayson D, Vincent M, et al. Identifying patients at high risk for neutropenic complications during chemotherapy for metastatic breast cancer with doxorubicin or pegylated liposomal doxorubicin: the development of a prediction model. Am J Clin Oncol. 2008; 31: 369-74.(Ⅱ)

5) Shayne M, Culakova E, Poniewierski MS, et al. Dose intensity and hematologic toxicity in older cancer patients receiving systemic chemotherapy. Cancer. 2007; 110: 1611-20.(Ⅰ)

6) Moreau M, Klastersky J, Schwarzbold A, et al. A general chemotherapy myelotoxicity score to predict febrile neutropenia in hematological malignancies. Ann Oncol. 2009; 20: 513-9.(Ⅲ)

7) Schwenkglenks M, Pettengell R, Jackisch C, et al. Risk factors for chemotherapy-induced neutropenia occurrence in breast cancer patients: data from the INC-EU Prospective Observational European Neutropenia Study. Support Care Cancer. 2011; 19: 483-90.(Ⅲ)

8) Wieringa A, Boslooper K, Hoogendoorn M, et al. Comorbidity is an independent prognostic factor in patients with advanced-stage diffuse large B-cell lymphoma treated with R-CHOP: a population-based cohort study. Br J Haematol. 2014; 165: 489-96.(Ⅳa)

9) Chao C, Page JH, Yang SJ, et al. History of chronic comorbidity and risk of chemotherapy-induced febrile neutropenia in cancer patients not receiving G-CSF prophylaxis. Ann Oncol. 2014; 25 :1821-9.(Ⅳa)

10) Cortés de Miguel S, Calleja-Hernández MA, Menjón-Beltrán S, et al. Granulocyte colony-stimulating factors as prophylaxis against febrile neutropenia. Support Care Cancer. 2014 Oct 7. [Epub ahead of print](Ⅰ)

11) Lyman GH, Lyman CH, Agboola O. Risk models for predicting chemotherapy-induced neutropenia. Oncologist. 2005; 10: 427-37.(Ⅰ)

12) Hurria A, Togawa K, Mohile SG, et al. Predicting chemotherapy toxicity in older adults with cancer: a prospective multicenter study. J Clin Oncol. 2011; 29: 3457-65.(Ⅲ)


  放射線併用時

CQ
放射線を併用して化学療法を行う際や,単独で放射線療法を施行する際に,G-CSF を投与してよいか?

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推奨
グレード
D
放射線同時併用化学療法施行時,縦隔領域が照射内に含まれる場合は,G-CSF 使用は推奨されない。

推奨
グレード
C1
放射線療法施行時,好中球減少症により,放射線照射の遅延が長引くと予測される場合にG-CSF の治療的投与を考慮してもよい。
【背景・目的】

放射線同時併用化学療法施行時,また,放射線療法の単独施行時に生じるFN に対してのG-CSF 使用の適応と安全性について検討した。

【解 説】

放射線同時併用化学療法施行時,特に縦隔領域が照射内に含まれる場合は,血小板減少や肺毒性が高まる危険性があり,G-CSF を投与することは望ましくない。肺非小細胞がん患者で化学療法と放射線療法を併用した場合に,G-CSFを投与した群において,非投与群に比較して,血小板数が有意に減少していたと報告されている1)。また,肺小細胞がん患者で,GM-CSF 投与でも同様の結果が示されている2)。なお,縦隔以外の部位での照射においては,これらの毒性は証明されていない。また,放射線療法を単独で施行する際に,好中球減少症により放射線照射の遅延が長引くと予測される場合には,G-CSF/GM-CSFの治療的投与を考慮してもよいと報告されている(GM-CSF は,わが国では承認されていない)。

【検索式・参考にした二次資料】

2005 年10 月1 日〜2016 年10 月31 日の文献を中心に,PubMed で[G-CSF &(concurrent chemoradiotherapy or radiation)&(neutropenia or febrile neutropenia or infection)]Limits: Humans,Clinical Trial,English,Japanese のキーワードにより検索した。さらに重要文献をハンドサーチで検索したところ15 件が該当した。加えて以下の二次資料を参考にした。

① ASCO recommendations for the use of white blood cell growth factors: 2006 update

【引用文献】

1) Momin F, Kraut M, Lattin P, et al. Thrombocytopenia in patients receiving chemoradiotherapy and G-CSF for locally advanced non-small cell lung cancer(NSCLC)(meeting abstract), Proc Am Soc Clin Oncol. 1992; 11: 249.(abstr)

2) Bunn PA Jr, Crowley J, Kelly K, et al. Chemoradiotherapy with or without granulocyte-macrophage colony-stimulating factor in the treatment of limited-stage small-cell lung cancer: a prospective phase Ⅲ randomized study of the Southwest Oncology Group. J Clin Oncol. 1995; 13: 1632-41.(Ⅱ)


  投与量・投与法(保険診療)

»
概 説

造血幹細胞の末梢血中への動員,造血幹細胞移植時の好中球数の増加促進,白血病・固形腫瘍に対する化学療法による好中球減少症などのがん治療で使用する各G-CSF 製剤の投与量・投与法はその病態や対象疾患によって大きく異なり,注意が必要である。

国内で保険承認を得たG-CSF は,フィルグラスチム1)〜3),レノグラスチム4)5),ナルトグラスチム6)7)の3 種類の遺伝子組み換えヒトG-CSF 製剤と最近保険承認されたフィルグラスチムバイオシミラー,ペグフィルグラスチムがある。NCCN ガイドライン8)9)に準じて,末梢血造血幹細胞移植時の末梢血幹細胞の動員,造血細胞移植後の好中球の増加促進,化学療法による好中球減少症(造血器腫瘍および固形腫瘍),骨髄異形成症候群に対して,それぞれの用法用量に従い投与される。ただし,ナルトグラスチムは,末梢造血細胞の動員,急性骨髄性白血病,骨髄異形成症候群への保険適応はないので注意が必要である。これらのG-CSF 製剤の保険適応に従った使用方法を表1に示した。

表1 がん治療におけるG-CSF の保険適応
一般名 効能・効果
適応疾患
病態 用法・用量 コメント
フィルグラスチム

フィルグラスチム
バイオシミラー

レノグラスチム
造血幹細胞の末梢血液中への動員 同種(Allo)および自家(Auto)末梢血幹細胞(PBSC)採取時の単独投与による動員 成人・小児ともに,グラン400μg/m2/日,または,ノイトロジン10μg/kg/日を1 回または2 回に分割投与し,5 日間連日またはPBSC 採取終了時まで連日皮下投与。PBSC 採取は本剤投与開始後4〜6 日目を目処に施行する。 PBSC 採取終了前に白血球数(WBC)≧50,000/μL の場合は減量し,WBC=75,000/μL に到達した場合は投与を中止する。なお,状態に応じて適宜減量する。
自家PBSC 採取時のがん化学療法薬投与終了後の投与による動員 成人・小児ともに,がん化学療法薬投与終了翌日またはがん化学療法により好中球数(ANC)が最低値を経過後,グラン400μg/m2/日,または,ノイトロジン5μg/kg/日を1 回または2 回に分割投与し,5 日間連日またはPBSC採取終了時まで連日皮下投与。十分な動員効果が期待出来ない場合ノイトロジンは10μg/kg/日まで増量可能。 なお,状態に応じて適宜減量する。
フィルグラスチム

フィルグラスチム
バイオシミラー

レノグラスチム

ナルトグラスチム
造血幹細胞移植時の好中球数(ANC)の増加促進 Allo およびAuto 造血幹細胞移植施行後の対応 成人・小児ともに,造血幹細胞移植施行翌日ないし5 日後よりグラン300μg/m2 1 日1 回,または,ノイトロジン5μg/kg 1 日1 回,または,ノイアップ8μg/kg 1 日1 回点滴静注する。 ただし,ANC≧5,000/μL に増加した場合は,症状を観察しながら中止する。なお,本薬剤投与中止時期の指標となる,ANC が緊急時などで確認できない場合には,ANC=1/2WBCとして推定する。また,年齢・状態に応じて適宜増減する。
がん化学療法による好中球減少症 急性骨髄性白血病および急性リンパ性白血病 成人・小児ともに,がん化学療法薬投与終了後(翌日以降)で,骨髄中の芽球が十分に減少し,末梢血液中に芽球が認められない時点から,グラン200μg/m2 1 日1 回,または,ノイトロジン5μg/kg 1 日1 回静脈内投与(点滴静注を含む)する。出血傾向などがなければ,グラン100μg/m2/日を1 回,または,ノイトロジン2μg/kg 1 日1 回皮下投与する。ノイアップも,急性リンパ性白血病に限り2μg/kg 1 日1 回静脈内投与あるいは出血傾向などの問題がなければ,1μg/kg 1 日1 回皮下投与できる。(ノイアップは急性骨髄性白血病に適応なし) ただし,ANC が最低値を示す時期を経過後,5,000/μL に到達した場合は投与を中止する。なお,本薬剤投与中止時期の指標となる,ANC が緊急時などで確認できない場合には,ANC=1/2WBC として推定する。また,年齢・状態に応じて適宜増減する。
悪性リンパ腫,肺小細胞がん,胚細胞腫瘍(精巣腫瘍,卵巣腫瘍など),神経芽細胞腫,小児がん 成人・小児とも,がん化学療法薬投与終了後(翌日以降)から,グラン50μg/m2 1 日1 回,または,ノイトロジン2μg/kg 1 日1 回,または,ノイアップ1μg/kg 1 日1 回皮下投与する。出血傾向などで,皮下投与が困難な場合は,グラン100μg/m2を1 日1 回,または,ノイトロジン5μg/kg 1 日1 回,または,ノイアップ2μg/kg 1 日1 回静脈内投与(点滴静注を含む)する。
同上
その他のがん腫 成人・小児とも,がん化学療法によりANC<1,000/μL で,発熱(原則として38℃以上)あるいは,ANC<500/μL が観察された時点から,グラン50μg/m2 1日1回または,ノイトロジン2μg/kg 1 日1 回,または,ノイアップ1μg/kg 1 日1 回皮下投与する。出血傾向などで,皮下投与が困難な場合は,グラン100μg/m2を1 日1 回,または,ノイトロジン5μg/kg 1 日1 回,または,ノイアップ2μg/kg 1 日1 回静脈内投与(点滴静注を含む)する。また,がん化学療法によりANC<1,000/μL で,発熱(原則として38℃以上)あるいは,ANC<500/μL が観察され,引き続き同一の化学療法を施行する症例に対しては,次回以降のがん化学療法施行時には,ANC<1,000/μL が観察された時点から,グラン50μg/m2を1日1 回,または,ノイトロジン2μg/kg 1 日1 回,または,ノイアップ1μg/kg 1 日1 回皮下投与する。出血傾向などで,皮下投与が困難な場合は,グラン100μg/m2を1 日1 回,または,ノイトロジン5μg/kg,または,ノイアップ2μg/kg 1 日1回静脈内投与(点滴静注を含む)する。
同上
骨髄異形成症候群に伴う好中球減少症 成人骨髄異形成症候群 ANC<1,000/μL のとき,グラン100μg/m2 1 日1 回,または,ノイトロジン5μ/kg 1 日1 回静脈内投与(点滴静注を含む)する。 ただし,ANC≧5,000/μLに増加した場合は,症状を観察しながら減量,あるいは投与を中止する。なお,状態に応じて適宜増減する。
ペグフィルグラスチム がん化学療法による発熱性好中球減少症の発症抑制 成人のすべてのがん腫 成人にはがん化学療法剤投与終了後の翌日以降,ペグフィルグラスチム 3.6mg を化学療法1サイクルあたり1 回皮下投与する。 がん化学療法剤の投与開始14 日前から投与終了24 時間以内に本剤を投与した場合の安全性は確立していない。

好中球の絶対数(absolute neutrophil count: ANC),白血球数(white blood cell count: WBC),同種(allogenic: allo),自家(autologous: auto),末梢血幹細胞(peripheral blood stem cell: PBSC)

ペグフィルグラスチムは高額であるため、診断群分類(Diagnosis Procedure Combination; DPC)対象病院でも、出来高での算定となっている(2014年12月現在)。

G-CSF の使用にあたって,投与量・投与方法・投与期間に関する根拠論文は極めて少なく,白血病で研究された重篤と考えられる病態,すなわち高度な好中球減少に伴う感染症を避けることを目的としており,欧米のガイドラインと比較してわが国におけるG-CSF の適応範囲は広い。

G-CSF の投与法に関しても皮下投与と静脈内投与との無作為化比較試験はない。かろうじて,G-CSF の薬物動態*1(pharmacokinetics: PK)と好中球数を指標とした薬力学*2(pharmacodynamics: PD)が1 編報告されているに過ぎない10)。単回投与で同一用量であれば皮下注の方が血中濃度−時間曲線下面積*3(area under the blood concentration time curve: AUC)は低いのにもかかわらず,静注より効果的に好中球数を増加させる。PK/PD の矛盾は反復投与によってある程度は改善される。したがって静注の際は緩徐持続投与が望ましいと推定されている。

1μg/kg のG-CSF が皮下投与されたとき,最高血中濃度*4(maximum drug concentration: Cmax)もAUC も好中球数の増加に影響を及ぼさない。G-CSF は皮下注されたとき,血中への移行率に上限値の存在が推定されている11)。G-CSF はガラス,ポリビニルクロライド(polyvinylchloride),ポリプロピレン(polypropylene)に吸着することも報告されている12)が,血小板減少時や種々の出血傾向を伴う病態では持続静脈内投与も広く行われている。適応症として,造血幹細胞移植時,白血病治療時には点滴静注,固形腫瘍での好中球数減少時の使用では原則皮下注となっている(表213)〜16)


*1 薬物動態(pharmacokinetics: PK): 薬物代謝酵素やトランスポーターを介して“薬物が人体に与える影響” を検討するこ と。PK 試験とは,薬物がどのように生体内で処理されるのか(薬物の吸収,分布,代謝および排泄)を明らかにする試験で,血液中(尿中または組織中)の薬物およびその代謝物の濃度の経時的な測定が行われる。

*2 薬力学(pharmacodynamics: PD): 標的受容体を介して,“薬物が人体に与える影響” を検討すること。PD 試験とは, 個体に対する薬物の薬理学的または臨床的効果についての試験で,用量や薬物濃度と効果との関連を調べることを目的とする。

*3 血中濃度−時間曲線下面積(area under the blood concentration time curve: AUC): 薬物血中濃度を縦軸に濃度,横軸に時間となるようグラフ化したときの血中濃度曲線下の面積。

*4 最高血中濃度(maximum drug concentration: Cmax): 薬剤を投与した後,ピークとなる時の薬物血中濃度。

表2 わが国におけるG-CSFの薬物動態(各薬剤の添付文書に記載されている社内資料から)13)〜16)
  用量 例数 t1/2(h) AUC
(ng・h/mL)
Cmax
(ng/mL)
フィルグラスチム 静脈内 1.0μg/kg  
1.40
21.6
 
皮下 1.0μg/kg  
2.15
11.7
 
レノグラスチム 静脈内 40μg/body
3
1.00
23.3
皮下 40μg/body
4
4.39
6.1
0.478
ナルトグラスチム 静脈内 1.0μg/kg
3
1.26
33.3
>15.6
皮下 1.0μg/kg
3
8.96
12.7
1.52
ペグフィルグラスチム 皮下 3.6mg
9
29.3
13393
96.8

また,わが国での欧米のガイドラインと比較して広範囲にG-CSF の適応が認められているが,いくつかの問題点も指摘されている。

わが国の保険診療では悪性リンパ腫,肺小細胞がん(small cell lung cancer: SCLC),胚細胞腫瘍(精巣腫瘍,卵巣腫瘍など),神経芽細胞腫,小児がんに対する化学療法の翌日からG-CSF の一次予防的投与が認められている。しかしながら,この適応取得の背景には進展型SCLC に治療強度(dose intensity)を高めたシスプラチン(cisplatin),ビンクリスチン(vincristine),ドキソルビシン(doxorubicin),エトポシド(etoposide)療法(CODE 療法)にG-CSFを追加投与(一次予防的投与)することにより全生存期間(overall survival: OS)を延長したという報告16)がある。後に行われた無作為化比較試験で,このG-CSF を併用したCODE 療法はG-CSF の一次予防的投与を行わない標準治療に対して優越性を示すことができず17),現在G-CSF 併用CODE 療法(G-CSF の一次予防的投与)は標準治療とは言えなくなっている。適応症としてのこのG-CSF の一次予防的投与は既に医学的根拠も失っており,再検討が望まれる。

発熱性好中球減少症(febrile neutropenia: FN),Grade 3 以上の好中球減少症などに対するわが国のG-CSF の治療的投与基準も欧米と比較して広い。米国感染症学会(Infectious Diseases Society of America: IDSA)のガイドラインはFN を既に発症し抗菌薬使用中の患者にもG-CSF の使用を一般的には推奨していない。発症したFN で,G-CSF の好中球減少期間,有熱期間,在院日数短縮効果を認めながら,実地臨床での利益は明らかでないとしている。ただし,高齢者,あるいはレジメンの異なる先行化学療法におけるFN の既往歴,栄養状態不良,PS 不良,抗菌薬予防投与なし,好中球減少による重篤な感染症や発熱の危険性が明らかな病態が存在すれば特別にG-CSF投与が考慮されるべきとしている18)。米国臨床腫瘍学会(American Society of Clinical Oncology: ASCO)のガイドライン(2006)でもFN 患者に対するG-CSF の投与を“一律”には推奨していないが,感染症に関連した合併症を生じる危険性が高い,あるいは予後不良となる予測因子を有するFN 患者にはG-CSF の投与が考慮されるべきとされている19)

わが国の保険診療では1,000/μL 未満の好中球減少を伴う38℃以上の発熱あるいは500/μL未満の好中球減少でG-CSF は使用可能であり,原則として好中球数5,000/μL になるまで使用可能である。さらに,初回化学療法でGrade 4 の好中球減少あるいはFN が出現したとき,次回からの化学療法時好中球絶対数(absolute neutrophil count: ANC)が1,000/μL 未満を観察した時点からのG-CSF の投与が認められている。この適応は本来の二次予防的投与とは異なるが,化学療法の治療強度と関係なく“発熱などの臨床症状を伴わない患者”に対してもG-CSF の投与が可能で,日本独特の投与方法と言える。これはregimen-specific ではなくpatients-specificな対応と言えるかもしれない。これらの適応は1960 年代に急性白血病患者で精力的に行われた好中球減少の程度とその期間が重篤な感染症発症に影響するという歴史的な報告に基づいていている20)。すなわちANC が1,000/μL 未満で感染症の頻度は急峻に増加し,500/μL 未満になると内因性微生物叢(口腔内,消化管)の制御が障害され,遷延する高度な好中球減少は敗血症を含む致死的な感染症を引き起こす。これらを防ぐ目的でG-CSF の使用を認めていると考えられる。わが国(日本人という人種)における好中球減少に対するG-CSF 使用の適応を肯定する無作為化比較試験はないが,明確にこの適応を否定する根拠もない。①無熱で臨床症状のないGrade 4 の好中球減少(好中球数が500/μL 未満),②初回化学療法でGrade 4 の好中球減少あるいはGrade 3 の好中球減少(好中球数が1,000/μL 未満)に発熱を伴う時,G-CSF の投与がわが国では広く保険診療範囲内で認められているが,化学療法レジメンの持つ治療強度に対する骨髄毒性の程度と期間,化学療法の対象としている疾患の根治度,患者の全身状態や臓器機能,重篤な基礎疾患の有無,社会的背景などが勘案されておらず,今後の問題と言える。

米国でのG-CSF の実地臨床での現状もわが国と同じ状況にあるようで,G-CSF は一次予防的投与の方が二次予防的投与より優れているが21),無熱性好中球減少症,FN に対する治療,化学療法の治療強度を弱めないための二次予防的投与として使用されることが多い。

米国の日常臨床の前向き試験22)では,肺非小細胞がん(non-small cell lung cancer: NSCLC)とSCLCの初回化学療法(1コース目)から相対治療強度*5(relative dose intensity: RDI)が85%未満に減量された症例はNSCLC で3.3%,SCLC で23.8%いるにもかかわらず,各々57.4%と74.2%のFN あるいは発熱/感染症を伴わない重篤な好中球減少症[severe neutropenia(SN): ANC<500/μL without fever/infection]を経験している。SCLC では17.9%が3 回以上のFN を経験したと報告されている。37%が65 歳以上,43.5%がECOG PS1 以上,27%が合併症を持つ患者集団で,他の腫瘍系を含めた全体で検討すると,初回化学療法(1コース目)でFN またはSN を経験すると77.8%の患者が次回の化学療法(2 コース目)よりG-CSF の二次予防的投与)を,さらにASCO もNCCN のガイドラインも認めていないSN を経験しただけでも56.6%の患者がG-CSF の二次予防的投与を受けている。この初回化学療法(1コース目)でのFN の発症は次回からの化学療法(2 コース目以降)に重大な影響(化学療法の減量,遅延,G-CSF の二次予防的投与)をもたらしている。

Potosky ら23)は米国での実地臨床でのG-CSF の一次予防的投与の状況を,NCCN のガイドラインに沿って調査し,low-risk regimens で10%,intermediate-risk regimens で18%,ガイドラインで推奨していないにもかかわらずG-CSF が投与され,G-CSF が推奨されているhigh-risk regimens(FN>20%)ではわずか17%しかG-CSF の一次予防的投与が実施されていないことを報告している。low-risk regimens,intermediate-risk regimensでの一次予防的投与,SN 後の二次予防的投与はガイドラインに従っているとは言えず,実地臨床でのG-CSF 使用の96%がガイドラインに沿っていないという衝撃の報告をしている23)

実地臨床での多様性を勘案すると,患者に対して個々の患者特異的なリスク要因(patients-specific risk factor)をもう少し正確に決定する必要性があると考えられる。


* 5 相対治療強度(relative dose intensity:RDI):単剤の化学療法の比較のためにRelative dose intensity=Dose intensity in test regimen/Dose intensity in standard regimen が使用される。例えばdocetaxel 60 mg/m2/3 weeks のDI は20 mg/m2/week,docetaxel を45 mg/m2/3 weeks のDI は15 mg/m2/week でありRelative DI は15/20=0.75 となる。

【引用文献】

1) 小川一誠,正岡 徹,溝口秀昭,他.悪性リンパ腫化学療法後の好中球数減少に対するKRN8601(rhG-CSF)の第Ⅲ相試験 プラセボを対照とする多施設二重盲検比較試験.癌と化学療法 1990; 17: 365-73.(Ⅱ)

2) 大野竜三,白川 茂,正岡 徹,他.KRN8601(rhG-CSF)の再発ないし難反応性急性白血病における寛解導入療法後の好中球回復促進効果 無作為群間比較試験.医学のあゆみ 1990; 152: 789-96.(Ⅱ)

3) 外山圭助,高久史麿,三浦恭定,他.rhG-CSF(KRN8601)の骨髄異形成症候群(MDS)に対する臨床試験成績.臨床血液1990; 31: 937-75.(Ⅳa)

4) Takeshita A, Saito H, Toyama K, et al. Efficacy of a new formulation of lenograstim(recombinant glycosylated human granulocyte colony-stimulating factor)containing gelatin for the treatment of neutropenia after consolidation chemotherapy in patients with acute myeloid leukemia. Int J Hematol. 2000; 71: 136-43.(Ⅳa)

5) 吉田弥太郎,平嶋邦猛,浅野茂隆,他.14 日間連日投与法によるrecombinant human granulocyte colony-stimulating factor(rG-CSF)の骨髄異形成症候群に対する血液学的効果.臨床血液 1991; 32: 743-50.(Ⅳa)

6) 矢部普正,加藤俊一,正岡 徹,他.自家骨髄移植後の好中球減少に対するKW-2228 の臨床効果.今日の移植 1992; 5: 185-9.(Ⅳa)

7) 小川一誠,溝口秀昭,外山圭介,他.KW-2288 の初期第Ⅱ相臨床試験.臨床医薬 1991; 7: 1973-87.(Ⅳa)

8) NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology(NCCN Guidelines®), Myelodysplastic Syndromes Version 2. 2011 http://www.nccn.org/index.asp

9) NCCNClinical Practice Guidelines in Oncology(NCCN Guidelines®), Myeloid Growth Factors Version 1. 2011 http://www.nccn.org/index.asp

10) Sugiura M, Yamamoto K, Sawada Y, et al. Pharmacokinetic/pharmacodynamic analysis of neutrophil proliferation induced by recombinant granulocyte colony-stimulating factor(rhG-CSF): comparison between intravenous and subcutaneous administration. Biol Pharm Bull. 1997; 20: 684-9.(Ⅳa)

11) Hayashi N, Kinoshita H, Yukawa E, et al. Pharmacokinetic and pharmacodynamic analysis of subcutaneous recombinant human granulocyte colony stimulating factor(lenograstim)administration. J Clin Pharmacol. 1999; 39: 583-92.(Ⅳa)

12) Johnston TP. Adsorption of recombinant human granulocyte colony stimulating factor(rhG-CSF)to polyvinyl chloride, polypropylene, and glass: effect of solvent additives. PDA J Pharm Sci Technol. 1996; 50: 238-45.(Ⅳa)

13) グラン注射液75/グラン注射液150/グラン注射液M300/グランシリンジ75/グランシリンジ150/グランシリンジM300
http://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/GeneralList/3399405A1

14) ノイトロジン注50μg/ノイトロジン注100μg/ノイトロジン注250μg
http://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/GeneralList/3399406D1

15) ノイアップ注25/ノイアップ注50/ノイアップ注100/ノイアップ注250μg
http://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/GeneralList/3399407D1

16) ジーラスタ皮下注3.6mg
http://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/GeneralList/3399410G1

17) Fukuoka M, Masuda N, Negoro S, et al. CODE chemotherapy with and without granulocyte colony-stimulating factor in small-cell lung cancer. Br J Cancer. 1997; 75: 306-9.(Ⅱ)

18) Furuse K, Fukuoka M, Nishiwaki Y, et al. PhaseⅢ study of intensive weekly chemotherapy with recombinant human granulocyte colony-stimulating factor versus standard chemotherapy in extensive-disease small-cell lung cancer. The Japan Clinical Oncology Group. J Clin Oncol. 1998; 16: 2126-32.(Ⅱ)

19) Freifeld AG, Bow EJ, Sepkowitz KA, et al; Infectious Diseases Society of America. Clinical practice guideline for the use of antimicrobial agents in neutropenic patients with cancer: 2010 Update by the Infectious Diseases Society of America. Clin Infect Dis. 2011; 52: 427-31.

20) Smith TJ, Khatcheressian J, Lyman GH, et al. 2006 update of recommendations for the use of white blood cell growth factors: an evidence-based clinical practice guideline. J Clin Oncol. 2006; 24: 3187-205.

21) Bodey GP, Buckley M, Sathe YS, et al. Quantitative relationships between circulating leukocytes and infection in patients with acute leukemia. Ann Intern Med. 1966; 64: 328-40.(Ⅳa)

22) Kuderer NM, Dale DC, Crawford J, et al. Impact of primary prophylaxis with granulocyte colony-stimulating factor on febrile neutropenia and mortality in adult cancer patients receiving chemotherapy: a systematic review. J Clin Oncol. 2007; 25(21): 3158-3167.(Ⅰ)

23) Crawford J, Dale DC, Kuderer NM, et al. Risk and timing of neutropenic events in adult cancer patients receiving chemotherapy: the results of a prospective nationwide study of oncology practice. J Natl Compr Canc Netw. 2008; 6(2): 109-18.(Ⅲ)

24) Potosky AL, Malin JL, Kim B, et al. Use of colony-stimulating factors with chemotherapy: opportunities for cost savings and improved outcomes. J Natl Cancer Inst. 2011 103(12): 979-82.(Ⅲ)


  バイオシミラー

CQ
G-CSFバイオシミラーを先行バイオ医薬品G-CSFと同様と考えて投与してもよいか?

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推奨
グレード
B
現時点では先行バイオ医薬品G-CSF とG-CSF バイオシミラーの安全性と有効性は同等とされており,投与を行うよう勧められる。ただし,実地臨床における大規模で長期にわたる安全性の確認も必要である。
【背景・目的】

2008 年欧州医薬品庁(European Medicines Agency: EMA)によりG-CSF バイオシミラー(biosimilar)は最初に認可された。米国食品医薬品局(Food and Drug Administration: FDA)でも,このG-CSF バイオシミラーは公認後発薬(authorized generic drug)ではなく,生物製剤承認申請(Biologic License Application: BLA)で新薬開発に近い審査が行われ,2012 年に承認されている。わが国では,3 製剤(FSK0808,TKN732,EP2006)が承認されており,FSK0808 は国産,TKN732(XM02),EP2006 は海外からの導入品である。わが国におけるG-CSFバイオシミラーの安全性と有効性を検討する。

【解 説】

EORTC のG-CSF 使用に関するガイドライン(2010)のupdate では,G-CSF 製剤のフィルグラスチム,レノグラスチム,ペグフィルグラスチムに加え,XM02 を含むフィルグラスチムバイオシミラー2 製剤を取り上げ,いずれも臨床的に有効であり,発熱性好中球減少症(febrile neutropenia: FN)およびFN 関連合併症の予防に使用するよう推奨している。フィルグラスチムバイオシミラーXM02とG-CSF の標準製剤フィルグラスチム(Nuepogen®: 欧米での商品名, わが国ではグラン®)を比較した2 件の無作為化クロスオーバー試験における両剤の薬物動態学(pharmacokinetics: PK)および薬力学的(pharmacodynamics: PD)試験の結果,両者の効果と安全性プロファイルの同等性が証明されている1)2)。次いで,多国籍多施設共同第Ⅲ相無作為化比較試験において,乳がん,肺がん,非ホジキンリンパ腫患者を対象とした一次予防的投与が検討され,その結果,フィルグラスチムバイオシミラーXM02 とフィルグラスチムの臨床的有効性の同等性が確認された3)〜5)。安全性においては,両剤の有害反応は類似しており,忍容性はともに良好であったと報告されている3)〜5)。この3 試験をもとにしたメタアナリシスでもフィルグラスチムバイオシミラーXM02 の有効性と安全性が確認されている6)

欧州ではG-CSF バイオシミラーはすべてPK/PD 試験を伴う第Ⅰ相試験と有効性と安全性の検証された第Ⅲ相試験をもとに承認されている。しかしながら,承認時の長期投与の有効性,安全性,免疫原性(immunogenicity)の臨床成績は不十分と認識されており,主治医を含めて投与薬の患者を追跡できること(traceability)が保障され,市販後医薬品安全性監視(pharmacovigilance)が厳格に行われるべきと指摘されている3)

また,XM02 を含むG-CSF バイオシミラーによる末梢血幹細胞動員効果は小規模の無作為化比較試験で効果の同等性は報告されている7)が,長期間にわたる安全性の解析が乏しいと判断され,世界骨髄ドナー協会(World Marrow Donor Association: WMDA)は,健康成人ドナーにおける幹細胞動員にG-CSF バイオシミラーを使用することを推奨していない8)

欧州ではG-CSFバイオシミラーの大きな利点と考える医療費に対する効果の研究も報告されているが,医療制度の異なるわが国ではその成績は参考程度にしかならず,独自の検討も今後必要と考えられる。

わが国ではバイオ後続品の品質・安全性・有効性確保のための指針(2009)9),厚生労働省医薬食品局発信の指針・通知に従ってバイオシミラーの製造承認申請が進められ,3 製剤(FSK0808: フィルグラスチム(遺伝子組み換え)[フィルグラスチム後続1],TKN732: フィルグラスチム(遺伝子組み換え)[フィルグラスチム後続2],EP2006(遺伝子組み換え)[フィルグラスチム後続3])が承認されている。

承認申請における有効性と安全性に関して,先行バイオ医薬品であるフィルグラスチム(グラン®)とのPK,PD 特性(好中球絶対数,CD34 陽性細胞数)を比較する健康成人を対象とした国内臨床試験が実施され,それぞれ同等性/同質性が検証された10)〜15)

FSK0808: フィルグラスチム後続1 の安全性データは,国内で乳がんにおいて治療的投与で検討した非無作為化比較試験104 例のデータを基に,TKN732: フィルグラスチム後続2 は,欧州で販売されているフィルグラスチムバイオシミラーXM02 の導入品であることから,海外第Ⅲ相無作為化比較試験541例の安全性データ等が,EP2006:フィルグラスチム後続3についても海外臨床試験 170 例のデータ等が外挿され承認された。フィルグラスチムバイオシミラーにおいては,特に免疫原性の問題など後発品と異なる要素があるため,両製剤ともに製造販売後に安全性プロファイルなどについて引き続き600〜700 症例規模の調査をすることが承認要件とされている。

バイオシミラー医薬品一般に言えることであるが,後発品とは異なり先行バイオ医薬品と物質的に異なる。バイオシミラーと一括りにすることも危険であり,異なった臨床成績を持っている別の医薬品と考えるべきかもしれない。承認時の有効性,安全性,免疫原性の成績は十分な症例数をもとにしているとは言い難く,またその観察期間も短い。EORTC のガイドラインが指摘しているように,市販後医薬品安全性監視が厳重に行われ,投与薬の追跡可能性が保障され,長期にわたる有効性,安全性が検証されることが必要であり,実地臨床における大規模かつ長期にわたる観察によって製品特異的な有害反応が同定される可能性は否定できない。わが国で使用される3 種類のG-CSF バイオシミラーも全く異なった臨床成績を有しており,本ワーキンググループでは,薬剤ごとにエビデンスレベルを付けることとした。TKN732:フィルグラスチム後続2は3つの海外第Ⅲ相無作為化比較試験とメタ解析がありエビデンスレベル(Ⅰ),EP2006:フィルグラスチム後続3 は海外第Ⅲ相比較試験はあるがメタ解析はなくエビデンスレベル(Ⅱ),FSK0808:フィルグラスチム後続1は大規模な第Ⅲ相無作為化比較試験がないことからエビデンスレベル(Ⅲ)とした。G-CSF バイオシミラー製剤全体としては,わが国での安全性情報はまだ十分とは言えないが着実に症例は集積されつつあり,更にEORTC やNCCN,ASCO ガイドラインでの推奨状況を鑑み,推奨グレードをB とした。

【検索式・参考にした二次資料】

2005 年10 月1 日〜2016 年10 月31 日の文献を中心に,PubMed で[(“filgrastim”OR“G-CSF”)AND(“biosimilar”)]のキーワードにより検索したところ145 件が該当した。加えて重要文献をハンドサーチで検索した。さらに,以下のインターネットの検索を含む二次資料を参考にした。

① Multidisciplinary: Biosimilar.
http://www.ema.europa.eu/ema/index.jsp?curl=pages/regulation/general/general_content_000408.jsp&mid=WC0b01ac058002958c

② U. S. Government. Public Law No. 111-148(formerly H. R. 3590), the Patient Protection and Affordable Care Act, TITLE Z-IMPROVING ACCESS TO INNOVATIVE MEDICAL THERAPIES, Subtitle A-Biologics Price Competition and Innovation. Availablefrom: http://www.gpo.gov/fdsys/pkg/PLAW-111publ148/pdf/PLAW-111publ148.pdf

③ EORTC guidelines for the use of granulocyte−colony stimulating factor: 2010 update

【引用文献】

1) Lubenau H, Sveikata A, Gumbrevicius G, et al. Bioequivalence of two recombinant granulocyte colony-stimulating factor products after subcutaneous injection in healthy volunteers. Int J Clin Pharmacol Ther. 2009; 47: 275-282.(Ⅱ)

2) Lubenau H, Bias P, Maly AK, et al. Pharmacokinetic and pharmacodynamic profile of new biosimilar filgrastim XM02 equivalent to marketed filgrastim Neupogen: single-blind, randomized, crossover trial. BioDrugs. 2009; 23: 43-51.(Ⅱ)

3) del Giglio A, Eniu A, Ganea-Motan D, et al. XM02 is superior to placebo and equivalent to Neupogen in reducing the duration of severe neutropenia and the incidence of febrile neutropenia in cycle 1 in breast cancer patients receiving docetaxel/doxorubicin chemotherapy. BMC Cancer. 2008; 8: 332.(Ⅱ)

4) Gatzemeier U, Ciuleanu T, Dediu M, et al. XM02, the first biosimilar G-CSF, is safe and effective in reducing the duration of severe neutropenia and incidence of febrile neutropenia in patients with small cell or non-small cell lung cancer receiving platinum-based chemotherapy. J Thorac Oncol. 2009; 4: 736-740.(Ⅱ)

5) Engert A, Griskevicius L, Zyuzgin Y, et al. XM02, the first granulocyte colony-stimulating factor biosimilar, is safe and effective in reducing the duration of severe neutropenia and incidence of febrile neutropenia in patients with non-Hodgkin lymphoma receiving chemotherapy. Leuk Lymphoma. 2009; 50: 374-379.(Ⅱ)

6) Engert A, del Giglio A, Bias P, et al. Incidence of febrile neutropenia and myelotoxicity of chemotherapy: a meta-analysis of biosimilar G-CSF studies in breast cancer, lung cancer, and non-Hodgkin’s lymphoma. Onkologie. 2009; 32: 599-604.(Ⅰ)

7) Schmitt M, Xu X, Hilgendorf I, et al. Mobilization of PBSC for allogeneic transplantation by the use of the G-CSF biosimilar XM02 in healthy donors. Bone Marrow Transplant. 2013[Epub ahead of print](Ⅱ)

8) Shaw BE, Confer DL, Hwang WY, et al. Concerns about the use of biosimilar granulocyte colony-stimulating factors for the mobilization of stem cells in normal donors: position of the World Marrow Donor Association. Haematologica. 2011; 96(7): 942-7(Ⅳb)

9) バイオ後続品の品質・有効性・安全性確保のための指針.薬食審査発第0304007 号(平成21 年3 月4 日)

10) 長谷川節雄,三宅順子,塩井由美子,他: フィルグラスチムバイオ後続品TKN732 と市販製剤グランとの薬物動態比較試験.薬理と治療41(3): 251-260,2013(Ⅱ)

11) 長谷川節雄,三宅順子,塩井由美子,他: フィルグラスチムバイオ後続品TKN732 と市販製剤グランとの薬力学比較試験.薬理と治療41(3): 261-274,2013(Ⅱ)

12) 佐藤一彦,雷 哲明,福間英祐,他: 乳癌患者における補助化学療法中の好中球減少症に対するFSK0808 の有用性について(第50 日本癌治療学会学術集会).JSCO 2012; 47: 1254.

13) Sagara Y, Sato K, Fukuma E, et al. The Efficacy and Safety of FSK0808, Filgrastim Biosimilar: A Multicenter, Non-randmized Study in Japanese Patients with Breast Cancer. Jpn J Clin Oncol. 2013; 43(9): 865-73.(Ⅲ)

14)Gascon P, Fuhr U, Sörgel F, et al. Development of a new G-CSF product based on biosimilarity assessment. Ann Oncol. 2010; 21(7):1419-29.(Ⅲ)

15)Blackwell K, Semiglazov V, Krasnozhon D, et al. Comparison of EP2006, a filgrastim biosimilar, to the reference: a phase III, randomized, double-blind clinical study in the prevention of severe neutropenia in patients with breast cancer receiving myelosuppressive chemotherapy. Ann Oncol. 2015; 26(9):1948-53.(Ⅱ)


10
  ペグフィルグラスチム

CQ
ペグフィルグラスチムの予防的投与は有用か?

Clinical Question 一覧へ


推奨
グレード
A
FN 発症率が20%以上の,2 週毎または3 週毎投与レジメンを使用するとき,ペグフィルグラスチムを一次予防的に用いることは,FN 予防に有用である。

推奨
グレード
A
ペグフィルグラスチムの併用を前提に治療強度を増強したレジメンでの有効性が示されている場合は,そのレジメンとともにペグフィルグラスチムの一次予防的投与が推奨される。

推奨
グレード
B
二次予防的にG-CSF を使用する場合には,ペグフィルグラスチムの使用も考慮する。
【背景・目的】

ペグフィルグラスチムを予防投与で用いることの有用性を検討する。

【解 説】

ペグフィルグラスチムは,G-CSF であるフィルグラスチムのN 末端にポリエチレングリコール(polyethylene glycol: PEG)を化学的に結合させ,血中消失半減期を長期化した持続型製剤である。2 週毎または3 週毎投与レジメンの抗がん薬投与終了から24 時間以上経過したタイミングで、皮下注射により、1 サイクルあたり1 回のみ投与される。2002 年に米国および欧州で承認され,わが国でも、2014 年9 月に、「がん化学療法による発熱性好中球減少症の発症抑制」の効能効果で承認された。

ペグフィルグラスチムの一次予防的投与の意義を調べたプラセボ対照比較試験では,ペグフィルグラスチム使用により,有意にFN 発症を減らせることが示されている1)〜3)。一次予防的投与として,ペグフィルグラスチムのDay 2 の1 回投与と,フィルグラスチムのDay 2 以降連日投与とを比較した試験では,ペグフィルグラスチムのFN 予防効果は,フィルグラスチムと同等か,より優れていることが示されている4)〜8)。ペグフィルグラスチムとフィルグラスチムの効果を比較した試験のメタアナリシスでは,ペグフィルグラスチムが優れる傾向が示唆されている9)10)。また,乳がんに対するドセタキセル+ドキソルビシン+シクロフォスファミド併用療法(TAC 療法)の意義をみたGEPARTRIO 試験の試験期間中において,プロトコール改訂により,フィルグラスチムを併用した時期と,ペグフィルグラスチムを併用した時期があり,各時期の登録症例を比較したところ,フィルグラスチム併用例よりもペグフィルグラスチム併用例でFN 予防効果が高かったと報告されている11)

ペグフィルグラスチムは,抗がん薬投与終了翌日に投与されることが多いが,投与タイミングについて検討する比較試験がいくつか行われている。Day 1 に抗がん薬の投与が終了する2 週毎投与の化学療法において,Day 2 投与とDay 4 投与を比較した臨床試験では,Day 4 に投与した方がGrade 3 以上の白血球減少と感染の頻度が少ないという報告12)と,Day 2 投与 とDay 4 投与 で結果に有意差はなかったという報告13)がある。最適な投与タイミングについては,今後の検討課題である。なお、抗がん薬投与当日(Day 1)にペグフィルグラスチムを投与した試験では、Day 2投与と比較して、好中球減少期間が長くなり、FN 発症率が高くなる傾向が示されており14)、抗がん薬投与と同日のペグフィルグラスチム投与は推奨されない。毎週投与の化学療法との併用でペグフィルグラスチムを使用することについても、その安全性や有効性は確立しておらず、推奨されない。

ペグフィルグラスチムの海外での承認用量は,1 回6.0 mg であるが,乳がんに対するTAC 療法にペグフィルグラスチム(1 回1.8 mg,3.6 mg,6.0 mg の3 群を設定)を併用した国内第Ⅱ相試験では,重度の好中球減少の期間やFN 発症率について検討した結果,1 回3.6 mg が国内推奨用量とされた15)。乳がんに対するドセタキセル+シクロフォスファミド併用療法(TC療法)にペグフィルグラスチムを使用する意義を調べた国内第Ⅲ相試験では、FN発症率が、ペグフィルグラスチム群1.2%、プラセボ群68.8%と、ペグフィルグラスチム群で有意に低かった16)

悪性リンパ腫に対しては、国内で4 つの治験が行われた。このうち第Ⅱ相用量設定試験はCHASE(R)療法において行われ、推奨用量は乳がん同様3.6mg とされた17)。また悪性リンパ腫に対するペグフィルグラスチムのフィルグラスチム対照による第Ⅲ相比較試験はANC 500/μl 未満の日数を主要評価項目として2 試験が行われた。年齢20 歳以上の若年者に対してはCHASE(R)療法における非劣性が確認され18)、65 歳以上の高齢者に対しては(R)CHOP 療法においてペグフィルグラスチムの有効性と安全性が確認された19)。海外の試験では65 歳以上の高齢者に対するペグフィルグラスチムの第Ⅳ相試験において、一次予防的投与と二次予防的投与を比較するサブ解析が行われ、悪性リンパ腫患者におけるFN 発症割合は一次予防的投与群で有意に低く、入院割合は低い傾向がみられた20)

ペグフィルグラスチムの併用を前提に、治療強度を増強したレジメン(化学療法の投与間隔を3週毎から2週毎にする「dose-dense レジメン」など)での有効性が示されている場合は,そのレジメンとともにペグフィルグラスチムの一次予防的投与が推奨される。乳がん術後化学療法としてdose-dense レジメンの有効性を示した最初の臨床試験21)では、フィルグラスチムのDay 3 からDay 10 までの連日投与が規定されていたが、その後の第Ⅱ相試験では、同じレジメン(dose-dense AC-PTX)に対し、ペグフィルグラスチムをDay 2 に投与する方法で、同様の効果と安全性が示されている22)。乳がん術後化学療法の別の第Ⅲ相試験では、ペグフィルグラスチム使用を前提としたdose-dense レジメンにより、3 週毎投与レジメンと比較して、生存期間が延長することが示されている23)

【検索式・参考にした二次資料】

2005 年10 月1 日〜2016 年10 月31 日の文献を,PubMed で下記の検索式により検索したところ164 件が該当した。

“pegfilgrastim”AND(“humans”[MeSH Terms]AND(Clinical Trial[ptyp]OR Meta-Anal ysis[ptyp])AND(English[lang]OR Japanese[lang]))

これに加えて重要文献をハンドサーチで検索したほか,下記の二次資料,および,その引用文献を参照した。

① ASCO recommendations for the use of white blood cell growth factoes: 2015 update

② EORTC guidelinse for the use of granulocyte-colony stimulating factor: 2010 update

③ NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology-Myeloid growth factors: version 2.2014

【引用文献】

1) Vogel CL, Wojtukiewicz MZ, Carroll RR, et al. First and subsequent cycle use of pegfilgrastim prevents febrile neutropenia in patients with breast cancer: a multicenter, double-blind, placebo-controlled phase Ⅲ study. J Clin Oncol. 2005; 23: 1178-84.(Ⅱ)

2) Balducci L, Al-Halawani H, Charu V, et al. Elderly cancer patients receiving chemotherapy benefit from first-cycle pegfilgrastim. Oncologist. 2007; 12: 1416-24.(Ⅱ)

3) Hecht JR, Pillai M, Gollard R, et al. A randomized, placebo-controlled phaseⅡ study evaluating the reduction of neutropenia and febrile neutropenia in patients with colorectal cancer receiving pegfilgrastim with every-2-week chemotherapy. Clin Colorectal Cancer. 2010; 9: 95-101.(Ⅱ)

4) Green MD, Koelbl H, Baselga J, et al. A randomized double-blind multicenter phase Ⅲ study of fixed-dose single-administration pegfilgrastim versus daily filgrastim in patients receiving myelosuppressive chemotherapy. Ann Oncol. 2003; 14: 29-35.(Ⅱ)

5) Holmes FA, Jones SE, O’Shaughnessy J, et al. Comparable efficacy and safety profiles of once-per-cycle pegfilgrastim and daily injection filgrastim in chemotherapy-induced neutropenia: a multicenter dose-finding study in women with breast cancer. Ann Oncol. 2002; 13: 903-9.(Ⅱ)

6) Holmes FA, O’Shaughnessy JA, Vukelja S, et al. Blinded, randomized, multicenter study to evaluate single administration pegfilgrastim once per cycle versus daily filgrastim as an adjunct to chemotherapy in patients with high-risk stageⅡ or stage Ⅲ/Ⅳ breast cancer. J Clin Oncol. 2002; 20: 727-31.(Ⅱ)

7) Vose JM, Crump M, Lazarus H, et al. Randomized, multicenter, open-label study of pegfilgrastim compared with daily filgrastim after chemotherapy for lymphoma. J Clin Oncol. 2003; 21: 514-9.(Ⅱ)

8) Grigg A, Solal- Celigny P, Hoskin P, et al. Open-label, randomized study of pegfilgrastim vs. daily filgrastim as an adjunct to chemotherapy in elderly patients with non-Hodgkin’s lymphoma. Leuk Lymphoma. 2003; 44: 1503-8.(Ⅱ)

9) Pinto L, Liu Z, Doan Q, et al. Comparison of pegfilgrastim with filgrastim on febrile neutropenia, Grade Ⅳ neutropenia and bone pain: a meta-analysis of randomized controlled trials. Curr Med Res Opin 2007; 23: 2283-95.(Ⅰ)

10) Cooper KL, Madan J, Whyte S, et al. Granulocyte colony-stimulating factors for febrile neutropenia prophylaxis following chemotherapy: systematic review and meta-analysis. BMC Cancer. 2011; 11: 404.(Ⅰ)

11) von Minckwitz G, Kummel S, du Bois A, et al. Pegfilgrastim+/− ciprofioxacin for primary prophylaxis with TAC(docetaxel/doxorubicin/cyclophosphamide)chemotherapy for breast cancer. Results from the GEPARTRIO study. Ann Oncol. 2008; 19: 292-8.(Ⅲ)

12) Zwick C, Hartmann F, Zeynalova S, et al. Randomized comparison of pegfilgrastim day 4 versus day 2 for the prevention of chemotherapy-induced leukocytopenia. Ann Oncol. 2011; 22: 1872-7.(Ⅱ)

13) Loibl S, Mueller V, von Minckwitz G, et al. Comparison of pegfilgrastim on day 2 vs. day 4 as primary prophylaxis of intense dose-dense chemotherapy in patients with node-positive primary breast cancer within the prospective, multi-center GAIN study: (GBG 33). Support Care Cancer. 2011; 19: 1789-95.(Ⅱ)

14) Howard A. Burris Ⅲ, et al. Pegfilgrastim on the same day versus next day of chemotherapy in patients with breast cancer, non-small-cell lung cancer, ovarian cancer, and non-hodgkin’s lymphoma: results of four multicenter, double-blind, randomized phase Ⅱ studies. J Oncol Pract 2010; 6: 133-40.(Ⅱ)

15) Masuda N, Nakamura S, Ito Y, et al. A multicenter randomized phaseⅡ study of KRN125(pegfilgrastim)to determine the optimal dosage in Japanese breast cancer patients receiving TAC treatment. The 2011 European Multidisciplinary Cancer Congress(abstract 152), 2011(Ⅲ)

16) Kosaka Y, Rai Y, Masuda N, et al: Phase Ⅲ placebo-controlled double-blind randomized trial of pegfilgrastim to reduce the risk of febrile neutropenia in breast cancer patients receiving docetaxel/cyclophosphamide chemotherapy. Support Care Cancer, 2015; 23: 1137-43.(Ⅱ)

17) Ogura M, Tamura K, Hotta T. A multicenter randomized phase Ⅱ study of KRN125 (pegfilgrastim) to determine the optimal dose in lymphoma patients treated with CHASE (R) therapy. 2011 Pan Pacific Lymphoma Conference (Abst).(Ⅳa)

18) Miyazaki Y, Kubo K, Murayama T, et al. A multicenter, double blind, randomized phase Ⅲ study comparing KRN125 with filgrastim in lymphoma. Jpn J of Clin Hematol. 2013;54:1064 (Abst).(Ⅱ)

19) Yoshida I, Shinagawa A, Sawa M, et al. A multicenter, double blind, randomized study comparing KRN125 with filgrastim in elderly NHL. Jpn J of Clin Hematol. 2013;54: 1232 (Abst).(Ⅱ)

20) Balducci L, Al-Halawani H, Charu V, et al. Elderly cancer patients receiving chemotherapy benefit from first-cycle pegfilgrastim. Oncologist. 2007;12(12):1416-24.(Ⅳb)

21) Citron ML, Berry DA, Cirrincione C, et al: Randomized trial of dose-dense versus conventionally scheduled and sequential versus concurrent combination chemotherapy as postoperative adjuvant treatment of node-positive primary breast cancer: First report of Intergroup Trial C9741/Cancer and Leukemia Group B Trial 9741. J Clin Oncol. 2003; 21: 1431-9.(Ⅱ)

22) Burstein HJ, Parker LM, Keshaviah A, et al: Efficacy of pegfilgrastim and darbepoetin alfa as hematopoietic support for dose-dense every-2-week adjuvant breast cancer chemotherapy. J Clin Oncol. 2005; 23: 8340-7.(Ⅲ)

23) Del Mastro L, De Placido S, Bruzzi P, et al. Fluorouracil and dose-dense chemotherapy in adjuvant treatment of patients with early-stage breast cancer: an open-label, 2 × 2 factorial, randomised phase 3 trial. Lancet 2015; 385: 1863-1872.(Ⅱ)


11
  G-CSFの薬物有害反応

»
概 説

一般に,G-CSF は忍容性に優れており使用しやすい薬剤であるが,下記のような有害反応が報告されている。担当医は使用における適応・妥当性についての検討を行い,使用に際しては十分な観察が必要である。

1
  主な有害反応

以下の有害反応を認めることがあるが,いずれも一過性とされている。

①骨痛・腰背部痛(1〜3%)1)〜3)

骨痛・腰背部痛はG-CSF の投与を受けた患者の直接的な苦痛に関わる有害反応であり,約1〜3%に生じる1)〜3)。しかし,そのほとんどが一過性であり臨床的に問題にならないことが多い。症状の強さに応じて非麻薬性鎮痛剤(non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs :NSAIDs)を投与するなどの適切な処置を適宜行う。末梢血幹細胞の動員ドナーではG-CSF 投与により約半数に骨痛・腰背部痛が生じるとされており,注意が必要である。また,ペグフィルグラスチムでは背部痛 19.1%,関節痛 14.2%を認めており,通常のG-CSFと比較して頻度が高い可能性があるため,症状の発現に注意が必要である。

②その他

発熱(1〜2%)1)〜3)
LDH 上昇(2〜6%)1)〜3)
ALP 上昇(4〜5%)1)〜3)
ALT 上昇(1〜2%)1)〜3)
AST 上昇(1〜2%)1)〜3)

ペグフィルグラスチムにおいては,背部痛と同様にその他の有害反応についても,LDH上昇 (25.6%),ALP上昇 (9.7%),AST上昇 (7.1%),ALT上昇 (9.7%)と通常のG-CSFより高頻度に認めており,併せて注意が必要である。ペグフィルグラスチムと過去に報告されたフィルグラスチムの有害事象の差を検討するための国内第Ⅲ相試験が行なわれており、その結果が待たれる。

2
  重大な有害反応

以下に示す有害反応は,頻度は非常にまれと考えられるが重大なものであり,G-CSF 使用に際して注意が必要となる。

①間質性肺炎(頻度不明)4)〜7)

G-CSF 単独で間質性肺炎を起こしたという報告はないが,抗がん薬のような肺毒性を持つ薬剤の投与後にG-CSF が投与され間質性肺炎が発症したと報告されている。また,非ホジキンリンパ腫に対するCHOP 療法での肺障害は一般的に非常に少ないと考えられている6)が,G-CSF の予防投与を行いながらCHOP 療法を行った52 例の後方視的検討では,6 例(11.5%)に間質性肺炎が生じたと報告されている7)。以上より,現段階でG-CSFによって間質性肺炎を誘発する可能性は否定できない。このため,G-CSF 投与時には十分に観察を行い,発熱・咳嗽・呼吸困難および胸部X 線検査異常などが認められた場合,G-CSF 投与を中止し,副腎皮質ホルモン剤の投与などの適切な処置を行う。

②急性肺損傷/急性呼吸窮迫症候群(頻度不明)8)〜11)

間質性肺炎以外の肺障害として急性肺損傷(acute lung injury: ALI)/急性呼吸窮迫症候群(acute respiratory distress syndrome: ARDS)の発現する可能性が示唆されているが,その頻度は不明である。G-CSF を投与された血液幹細胞ドナー25 例の血液ガスを経時的にモニターしたところ,G-CSF 投与期間中の動脈血酸素分圧の低下を認め,G-CSF 投与終了とともに回復したとの報告がある9)。また,G-CSF 投与を受けた血液幹細胞ドナーにARDS を合併した症例報告もある10)。このため,G-CSF 投与中は観察を十分に行い,急速に進行する呼吸困難,低酸素血症,両側肺野にびまん性陰影などの異常が胸部X 線写真や胸部CT で認められた場合には本剤の投与を中止し,呼吸管理などの適切な処置を行う。特に好中球減少期間中の肺炎の合併はALI/ARDS 発症のリスク因子である可能性が示唆されており11),G-CSF 投与中にさらに注意深い観察が必要となる。

③脾破裂(頻度不明)12)〜14)

造血幹細胞の末梢血中への動員を目的としてドナーおよび患者にG-CSF を使用する場合には,過剰な作用に伴い脾破裂が発現する可能性があるので,血液学的検査値の推移に留意するとともに,腹部超音波検査などにより観察を十分に行い,脾臓の急激な腫大が認められた場合には,本剤の投与を中止し適切な処置を行う必要がある。非常に稀な有害事象と考えられ,その頻度は不明であるが,5,000〜10,000 例に1 例程度と推測されている。PubMed による検索ではこれまでに11 例が報告されている。

④二次的急性骨髄性白血病/骨髄異形成症候群発症リスクの増加(頻度不明)15)

固形腫瘍および悪性リンパ腫の化学療法においてG-CSF サポートを行った場合,行わなかった場合に比べ急性骨髄性白血病/骨髄異形成症候群の発症率が0.36%から0.79%に増加したとのメタアナリシスが報告されている。このようなリスクの増加がG-CSFそのものによる影響なのか,G-CSF サポートの結果抗がん薬の用量強度が高まった影響なのかについては不明だが,注意を要する。

3
  その他の有害反応

その他の有害反応として,頭痛,悪心,食欲不振,皮膚障害(Sweet 症候群など),血小板減少などさまざまな有害事象の報告があり,注意が必要となる。


好中球性皮膚症とも言われる。発熱・末梢血液中好中球増加・好中球浸潤性紅斑を三徴とする疾患である。原因は,感染・自己免疫疾患・悪性腫瘍・薬剤などであり,不明の場合もある。

【検索式】

2016 年10 月31 日に,PubMed で[#1: (granulocyte stimulating factor)OR(G-CSF),#2: pneumonitis OR(drug-induced pneumonia)OR(Pulmonary toxicity)OR(acute lung injury)OR(acute respiratory distress syndrome)OR(splenic rupture)OR(acute myeloid leukemia)OR(myelodysplastic syndrome),#3: #1 AND #2,Limits: Humans, Clinical Trial,English, Japanese]の検索式により検索したところ861 件が該当した(検索期間制限せず)。加えて重要文献をハンドサーチで検索した。

【引用文献】

1) グラン注射液75/グラン注射液150/グラン注射液M300/グランシリンジ75/グランシリンジ150/グランシリンジM300
http://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/GeneralList/3399405A1

2) ノイトロジン注50μg/ノイトロジン注100μg/ノイトロジン注250μg
http://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/GeneralList/3399406D1

3) ノイアップ注25/ノイアップ注50/ノイアップ注100/ノイアップ注250
http://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/GeneralList/3399407D1

4) Iki S, Yoshinaga K, Ohbayashi Y, et al. Cytotoxic drug-induced pneumonia and possible augmentation by G-CSF--clinical attention. Ann Hematol. 1993; 66: 217-8.(Ⅴ)

5) Matthews JH. Pulmonary toxicity of ABVD chemotherapy and G-CSF in Hodgkin’s disease: possible synergy. Lancet. 1993; 342: 988.(Ⅴ)

6) Fisher RI, Gaynor ER, Dahlberg S, et al. Comparison of a standard regimen(CHOP)with three intensive chemotherapy regimens for advanced non-Hodgkin’s lymphoma. N Engl J Med. 1993; 328: 1002-6.(Ⅱ)

7) Yokose N, Ogata K, Tamura H, et al. Pulmonary toxicity after granulocyte colony-stimulating factor-combined chemotherapy for non-Hodgkin’s lymphoma. Br J Cancer. 1998; 77: 2286-90.(Ⅳb)

8) Takatsuka H, Takemoto Y, Mori A, et al. Common features in the onset of ARDS after administration of granulocyte colony-stimulating factor. Chest. 2002; 121: 1716-20.(Ⅴ)

9) Yoshida I, Matsuo K, Teshima T, et al. Transient respiratory disturbance by granulocyte-colony-stimulating factor administration in healthy donors of allogeneic peripheral blood progenitor cell transplantation. Transfusion. 2006; 46: 186-92.(Ⅳa)

10) Arimura K, Inoue H, Kukita T, et al. Acute lung injury in a healthy donor during mobilization of peripheral blood stem cells using granulocyte-colony stimulating factor alone. Haematologica. 2005; 90: ECR10.(Ⅴ)

11) Rhee CK, Kang JY, Kim YH, et al. Risk factors for acute respiratory distress syndrome during neutropenia recovery in patients with hematologic malignancies. Crit Care. 2009; 13: R173.(Ⅳb)

12) Pihan G, Lowry PA, Stewart FM, et al. Spontaneous splenic rupture following administration of granulocyte colony-stimulating factor(G-CSF): occurrence in an allogeneic donor of peripheral blood stem cells. Becker PS, Wagle M, Matous S, Swanson RS. Biol Blood Marrow Transplant. 1997; 3: 45-9.(Ⅴ)

13) Aversa F, Minelli O, Tabilio A. Spontaneous rupture of spleen during peripheral blood stem-cell mobilisation in a healthy donor. Falzetti F, Lancet. 1999; 353: 555.(Ⅴ)

14) Tigue CC, McKoy JM, Evens AM, et al. Granulocyte-colony stimulating factor administration to healthy individuals and persons with chronic neutropenia or cancer: an overview of safety considerations from the Research on Adverse Drug Events and Reports project. Bone Marrow Transplant. 2007; 40: 185-92.(Ⅲ)

15) Lyman GH, Dale DC, Wolff DA, et al. Acute myeloid leukemia or myelodysplastic syndrome in randomized controlled clinical trials of cancer chemotherapy with granulocyte colony-stimulating factor: a systematic review. J Clin Oncol. 2010; 28: 2914-24.(Ⅰ)


CQ
G-CSF投与による骨痛に対してNSAIDs は有効か?

Clinical Question 一覧へ


推奨
グレード
C1
G-CSF 使用中の骨痛に対して,NSAIDs の投与を行うことを考慮する。
【背景・目的】

G-CSF 使用中に骨痛を生じた場合の対処方法について検討を行う。

【解 説】

Kirshner らは,主に固形腫瘍でG-CSF の投与を受けた510 例をプラセボ投与群とナプロキセン500 mg・1 日2 回投与群とに無作為化割り付けを行い,痛みについての評価を行ったが,ナプロキセン投与群において明らかに痛みの程度が低かった1)

以上より,G-CSF 投与中の骨痛に対して,NSAIDs 投与を考慮する。

【検索式】

2016 年10 月31 日に,PubMed で[#1: (bone pain)OR(muscular pain),#2: (granulocyte stimulating factor)OR(G-CSF),#3: #1 AND #2,Limits: Humans, Clinical Trial, English, Japanese]の検索式により検索したところ157 件が該当した(検索期間制限せず)。

【引用文献】

1) Kirshner JJ, Heckler CE, Janelsins MC, et al. Prevention of pegfilgrastim-induced bone pain: a phase Ⅲ double-blind placebo-controlled randomized clinical trial of the university of rochester cancer center clinical community oncology program research base. J Clin Oncol. 2012; 30: 1974-9.(Ⅱ)


12
  造血器腫瘍 1)骨髄系腫瘍

»
概 説

骨髄系腫瘍に対するG-CSF 治療の目的は,以下の4 つに集約される。

  1. 白血病や骨髄増殖症候群に対する末梢血幹細胞移植に必要な,造血前駆細胞を末梢血液への動員を目的とする。
  2. 造血幹細胞移植後の重篤な好中球減少症に対し,好中球の回復を促進・好中球増加を目的とする。
  3. 急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia: AML)の寛解導入療法・寛解後療法時の強力な化学療法による好中球減少症に対して,好中球の回復を促進・好中球増加を目的とする。
  4. 骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndrome: MDS)に伴う好中球減少症に対して,好中球の回復を促進・好中球増加を目的とする。

G-CSF は開発より20 年が経過し,骨髄系腫瘍に対するG-CSF 治療は2000 年および2006 年のASCOガイドライン1)2)に則り,種々の場面で広く臨床応用されている(表1)。なかでもAMLや慢性骨髄性白血病(chronic myeloid leukemia: CML)の骨髄性白血病やMDS に対する造血幹細胞移植における役割は重要である。造血幹細胞移植には,骨髄より採取された造血前駆細胞(hematopoietic progenitor cell: HPC)を用いる骨髄移植(bone marrow transplantation: BMT)と末梢血液中に動員されたHPC を用いる末梢血幹細胞移植(peripheral blood stem-cell transplantation: PBSCT)がある。後者ではG-CSF による造血幹細胞の末梢血採取がなされる。同種PBSCT では,健常者のドナーにG-CSF を投与し,自家PBSCT では,単独あるいは化学療法との併用でG-CSF が投与される。健常ドナーのHPC-末梢血採取目的に投与されるG-CSF は,Grade 2〜3 の骨痛(84%),頭痛(54%),全身倦怠感(31%),嘔気(13%)の有害事象が認められるが,投与中止は0.5%に留まり,安全性と耐容性が確認されている3)。しかし,G-CSF 投与による脾破裂の報告があり4),末梢血の白血球数が50,000/μL 以上でG-CSF 投与量を減量し,75,000/μL 以上となれば,G-CSF 投与を中止する。

表1 骨髄系腫瘍に対する顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)の使い方
治療目的 各種G-CSF の用法・用量 コメント
フィルグラスチム レノグラスチム ナルトグラスチム
1. 造血細胞の末梢血中への動員 同種および自家PBSCT 時の単独投与 末梢血造血細胞採取の4〜6 日前より投与開始: 400μg/m2/日を1 回or 2 回に分割,5 日間連日または末梢血造血細胞採取終了まで連日皮下投与する。(状態に応じて適宜減量) 末梢血造血細胞採取の4〜6 日前より投与開始: 10μg/kg/日を1 回or 2 回に分割,5 日間連日または末梢血造血細胞採取終了まで連日皮下投与する。(状態に応じて適宜減量) 保険適応なし WBC≧50,000/μL の場合は投与量減量。WBC≧75,000/μL の場合は投与中止。
  自家PBSCT時のがん化学療法後の投与 がん化学療法剤終了翌日あるいは好中球最低値を経過後より開始: 400μg/m2/日を1 回or 2 回に分割,5 日間連日または末梢血造血細胞採取終了まで連日皮下投与する。(状態に応じて適宜減量) がん化学療法剤終了翌日以降に開始: 5μg/kg/日を1回or 2 回に分割,5 日間連日または末梢血造血細胞採取終了まで連日皮下投与する。十分な動員効果が得られないと判断される場合は10μg/kg/日を上限として投与する。(状態に応じて適宜減量) 保険適応なし WBC≧50,000/μL の場合は投与量減量。WBC≧75,000/μ Lの場合は投与中止。
2. 造血幹細胞移植時の好中球数の増加促進 移植翌日ないし5 日後より開始: 300μg/m2/日を1 日1 回点滴静注する。(年齢・症状により適宜増減 移植翌日ないし5 日後より開始: 5μg/kg/日を1日1 回点滴静注する。(年齢・症状により適宜増減) 骨髄移植施行翌日ないし5 日後より開始: 8μg/kg/日を1 日1 回静脈内投与する。(年齢・症状により適宜増減) 好中球数≧5,000/μL の場合は中止。
3. AML の寛解導入療法・寛解 後療法による好中球減少症 化学療法終了後の翌日以降で骨髄中の芽球が減少し,末梢血液中に芽球が消失した時点より開始: 200μg/m2/日を1日1回点滴静注す る。出血傾向などの問題がなければ,100μg/m2/日を皮下投与する。(年齢・症状 により適宜増減) 化学療法終了後の翌日以降で骨髄中の芽球が減少し,末梢血液中に芽球が消失した時点より開始: 5μg/kg/日を1日1回点滴静注する。出血傾向などの問題がなければ,2μg/kg/日を皮下投与する。(年齢・症状により適宜増減) 保険適応なし 好中球の最低値となる時期(nadir)を経過後に好中球数≧5,000/μL に達する場合は投与中止。
4. 骨髄異形成症候群に伴う好中球減少症 好中球数<1,000/μL の時開始: 100μg/m2/日を1 日1 回点滴静注する。(年齢・症状により適宜増減) 好中球数<1,000/μL の時開始: 5μg/kg/日を1日1 回点滴静注する。(年齢・症状により適宜増減) 保険適応なし 好中球数≧5,000/μLに増加した場合は症状に応じて減量または中止。

PBSCT: peripheral stem-cell transplantation/末梢血造血細胞移植,G-CSF: granulocyte-corony stimulating factor/顆粒球コロニー刺激因子

大量化学療法に引き続いて施行される自家BMT あるいは自家PBSCT の主たる合併症は,感染症,遷延する骨髄抑制,大量化学療法の臓器毒性,および病気の再発である。加えて移植後の入院期間の延長により医療費は高価となる。同種BMT あるいは同種PBSCT では,上記の自家移植の合併症に加えて,移植片対宿主病(graft-versus-host disease: GVHD)が認められる。自家PBSCT 後のG-CSF 投与は,入院期間の短縮と医療費の削減効果がある5)。同種BMT/PBSCT 後のG-CSF 投与については,大規模な後方視的解析から,有害と有益の双方の見解が出された6)7)。しかし,対プラセボとのメタアナリシスにより,同種移植後早期(7日以内)のG-CSF 投与は,無白血病生存率(leukemia-free survival: LFS)や全生存率(overall survival: OS)など移植全体の成績の向上には寄与しないが,GVHD や移植関連有害事象のリスクを増加させることなく好中球減少期間を短縮できることが示された8)9)

G-CSF は,当初は臨床において,白血病発症のリスクを高めるとの懸念があった。白血病細胞は,その細胞表面にG-CSF/GM-CSF の受容体を有していること,AML やMDS の患者から抽出された芽球が,G-CSF/GM-CSF で増殖することがin vitro およびin vivo の実験で認められているからである10)。そのため,G-CSF 開発当初は,骨髄腫瘍に対するG-CSF の使用は禁忌とされていた。しかし,AML の寛解導入療法におけるG-CSF は,寛解導入中の早期死亡率を高めることなく安全に投与できること,AML 治療に伴う重篤な好中球減少症に対してG-CSF が有用であること示された11)12)。最近の国内外の代表的なグループによるAML の寛解導入療法の多くが,支持療法の一つとしてG-CSFを好中球減少時に適宜用いている13)〜(16)表2)。

表2 初発急性骨髄性白血病に対する国内および国外の最近の寛解導入療法
Group 報告年 薬剤の用法・用量 G-CSF 使用 評価可能
患者数
(年齢範囲)
完全
寛解率
早期
死亡率
Grade 3/4
好中球減少
患者数(率)
好中球数
<1000/μL
期間中央値
感染症/FN 発現率
JALSG 2011 IDR(12 mg/m2/div Days 1-3)+Ara-C(200 mg/m2/civ Days 1-7) 好中球減少時に適宜使用
532 人
(15〜64 歳)
78%
4.7%
>90%
28 日
8.7%(敗血症)
DNR(50 mg/m2/div Days 1-5)+Ara-C(200 mg/m2/civ Days 1-7) 好中球減少時に適宜使用
525 人
(15〜64 歳)
78%
2.1%
>90%
25 日
4.9%(敗血症)
ECOG 2009 DNR(45 mg/m2/div
Days 1-3)+Ara-C(100 mg/m2/civ Days 1-7)
骨髄抑制が重度の時適宜使用
293 人
(17〜60 歳)
57%
4.5%
97%
N/R
35%(FN)
DNR(90 mg/m2/div Days 1-3)+Ar a-C(100 mg /m2/civ Days 1-7) 骨髄抑制が重度の時適宜使用
289 人
(17〜60 歳)
71%
5.5%
93%
N/R
36%(FN)
HOVON/
AMLSG/
SAKK
2009 DNR(45 mg/m2/div Days 1-3)+Ara-C(200 mg/m2/civ Days 1-7) N/R
406 人
(60〜83 歳)
54%
12%
N/R
26 日
79%
(Grade 3/4 感染症)
DNR(90 mg/m2/div
Days 1-3)+Ara-C(200 mg/m2/civ Days 1-7)
N/R
397人
(60〜83 歳)
64%
11%
N/R
26 日
87% (Grade 3/4 感染症)
AMLCG 2009 Ara-C(3 g/m2/q12h/div×2/d Days 1,2 & 8,9) +MIT(10 mg/m2/div Days 3,4 & 10,11) Pegfilgrastim(6 mg/scq 10-12 days ANC>5 0 0/μL 以上の回復まで)
168 人
(18〜83 歳)
83%
7%
N/R
31 日
40%
(感染症)

FN: febrile neutropenia, JALSG: Japan Adult Leukemia Study Group, ECOG: Eastern Cooperative Oncology Group, HOVON: Dutch-Belgian Cooperative Trial Group for Hemato-Oncology, AMLSG: German AML Study Group, SAKK: Swiss Group for Clinical Cancer Research Collaborative Group, AMLCG: German AML Cooperative Group, IDR: idarubicin, Ara-C: cytrabine, DNR: daunorubicin, MIT: mitoxantrone, div: drip-intravenous infusion, civ: continuous intravenous infusion, q12h: every 12 hours, ANC: absolute neutrophil count, N/R: not related.

標準的な寛解後療法後のG-CSF 投与の役割は,重篤な好中球減少期間を短縮し感染症のリスクを下げ,感染症に対する抗菌薬使用頻度を減じることであるが,長期予後の改善への影響は少ない17)

再発・治療抵抗性AML 治療におけるG-CSF も,好中球減少期間の短縮効果と感染症発症リスクの軽減は得られる18)

G-CSF 治療で好中球数1,500/μL を超える回復が認められたら,G-CSF 投与は中止する。

MDS の臨床症状の一つである慢性の重篤な好中球減少症は,感染症を合併しMDS の死因の一つとなる。G-CSF は,好中球絶対数を増加させ,感染症の改善を図ることができる19)20)。ただし,実地臨床では,ヘモグロビン値/ヘマトクリット値の有意な改善は得られず,逆に血小板減少を呈することもある。

【検索式】

PubMed Clinical Queries で,[ ①“G-CSF”and Hematopoietic Stem-cell Transplantation”,②“G-CSF”and“Acute Myeloid Leukemia” or “acute myelogenous leukemia,③“G-CSF”and“Acute Lymphoblas-toid Leukemia”]Limits: Humans, Clinical Trial のキーワードで検索し,2005 年10 月1 日〜2016 年10 月31 日の文献は385 件が該当した。さらに重要文献をハンドサーチで検索した。

【引用文献】

1) Ozer H, Armitage JO, Bennett CL, et al. 2000 update of recommendations for the use of hematopoietic colony-stimulating factors: evidence-based, clinical practice guidelines. American Society of Clinical Oncology Growth Factors Expert Panel. J Clin Oncol. 2000; 18: 3558-85.(ガイドライン)

2) Smith TJ, Khatcheressian J, Lyman GH, et al. 2006 update of recommendations for the use of white blood cell growth factors: an evidence-based clinical practice guideline. J Clin Oncol. 2006; 24: 3187-205.(ガイドライン)

3) Anderlini P, Donato M, Chan KW, et al. Allogeneic blood progenitor cell collection in normal donors after mobilization with filgrastim: the M. D. Anderson Cancer Center experience. Transfusion. 1999; 39: 555-60.(Ⅲ)

4) Falzetti F, Aversa F, Minelli O, et al. Spontaneous rupture of spleen during peripheral blood stem-cell mobilisation in a healthy donor. Lancet. 1999; 353: 555.(Ⅴ)

5) McQuaker IG, Hunter AE, Pacey S, et al. Low-dose filgrastim significantly enhances neutrophil recovery following autologous peripheral-blood stem-cell transplantation in patients with lymphoproliferative disorders: evidence for clinical and economic benefit. J Clin Oncol. 1997; 15: 451-7.(Ⅱ)

6) Ringdén O, Labopin M, Gorin NC, et al. Treatment with granulocyte colony-stimulating factor after allogeneic bone marrow transplantation for acute leukemia increases the risk of graft-versus-host disease and death: a study from the Acute Leukemia Working Party of the European Group for Blood and Marrow Transplantation. J Clin Oncol. 2004; 22: 416-23.(Ⅳa)

7) Khoury HJ, Loberiza FR, Jr., Ringdén O, et al. Impact of posttransplantation G-CSF on outcomes of allogeneic hematopoietic stem cell transplantation. Blood. 2006; 107: 1712-6.(Ⅳa)

8) Dekker A, Bulley S, Beyene J, et al. Meta-analysis of randomized controlled trials of prophylactic granulocyte colony-stimulating factor and granulocyte-macrophage colony-stimulating factor after autologous and allogeneic stem cell transplantation. J Clin Oncol. 2006; 24: 5207-15.(Ⅱ)

9) Ho VT, Mirza NQ, Junco Dd D, et al. The effect of hematopoietic growth factors on the risk of graft-vs-host disease after allogeneic hematopoietic stem cell transplantation: a meta-analysis. Bone Marrow Transplant. 2003; 32: 771-5.(Ⅱ)

10) Baer MR, Bernstein SH, Brunetto VL, et al. Biological effects of recombinant human granulocyte colony-stimulating factor in patients with untreated acute myeloid leukemia. Blood. 1996; 87: 1484-94.(Ⅳa)

11) Heil G, Hoelzer D, Sanz MA, et al. A randomized, double-blind, placebo-controlled, phase Ⅲ study of filgrastim in remission induction and consolidation therapy for adults with de novo acute myeloid leukemia. The International Acute Myeloid Leukemia Study Group. Blood. 1997; 90: 4710-8.(Ⅱ)

12) Usuki K, Urabe A, Masaoka T, et al. Efficacy of granulocyte colony-stimulating factor in the treatment of acute myelogenous leukaemia: a multicentre randomized study. Br J Haematol. 2002; 116: 103-12.(Ⅱ)

13) Ohtake S, Miyawaki S, Fujita H, et al. Randomized study of induction therapy comparing standard-dose idarubicin with high-dose daunorubicin in adult patients with previously untreated acute myeloid leukemia: the JALSG AML 201 Study. Blood. 2011; 117: 2358-65.(Ⅱ)

14) Fernandez HF, Sun Z, Yao X, et al. Anthracycline dose intensification in acute myeloid leukemia. N Engl J Med. 2009; 361: 1249-59.(Ⅱ)

15) Löwenberg B, Ossenkoppele GJ, van Putten W, et al. High-dose daunorubicin in older patients with acute myeloid leukemia. N Engl J Med. 2009; 361: 1235-48.(Ⅱ)

16) Braess J, Spiekermann K, Staib P, et al. Dose-dense induction with sequential high-dose cytarabine and mitoxantone(S-HAM)and pegfilgrastim results in a high efficacy and a short duration of critical neutropenia in de novo acute myeloid leukemia: a pilot study of the AMLCG. Blood. 2009; 113: 3903-10.(Ⅲ)

17) Harousseau JL, Witz B, Lioure B, et al. Granulocyte colony-stimulating factor after intensive consolidation chemotherapy in acute myeloid leukemia: results of a randomized trial of the Groupe Ouest-Est Leucemies Aigues Myeloblastiques. J Clin Oncol. 2000; 18: 780-7.(Ⅱ)

18) Ohno R, Tomonaga M, Kobayashi T, et al. Effect of granulocyte colony-stimulating factor after intensive induction therapy in relapsed or refractory acute leukemia. N Engl J Med. 1990; 323: 871-7.(Ⅱ)

19) Negrin RS, Haeuber DH, Nagler A, et al. Maintenance treatment of patients with myelodysplastic syndromes using recombinant human granulocyte colony-stimulating factor. Blood. 1990; 76: 36-43.(Ⅲ)

20) Cazzola M, Anderson JE, Ganser A, et al. A patient-oriented approach to treatment of myelodysplastic syndromes. Haematologica. 1998; 83: 910-35.(レビュー)


CQ
自家末梢血幹細胞移植後のG-CSF 投与は有用か?

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推奨
グレード
A
自家PBSCT 後のG-CSF 投与は,入院期間の短縮と医療費の削減効果があり推奨される。
【背景・目的】

自家PBSCT は,大量化学療法による骨髄破壊的治療の後にあらかじめ採取した末梢造血幹細胞を輸注する治療法である。移植直後の骨髄は好中球を含む全ての血液細胞が枯渇しており,造血能の回復促進にG-CSF が投与される。これは予防的なG-CSF 投与である。

【解 説】

ASCO の2000 年および2006 年のガイドラインでは,PBSCT 後のG-CSF 治療は強く推奨されている1)2)。G-CSF 開発初期に,リンパ系腫瘍で自家PBSCT を受けた38 人を対象に,移植直後からのG-CSF(フィルグラスチム50μ/m2/日投与)とプラセボとの無作為化比較試験が行われた3)。その結果,G-CSF 投与群は非投与群に比べ,ANC>500/μL への回復日(中央値)が10 日vs. 14 日(p<0.001),ANC>1,000/μL に回復した日(中央値)が12 日vs. 16 日(p=0.002)と有意に短かった。好中球の回復が速やかなため,抗菌薬の投与が68% vs. 89%で,特に抗真菌薬アンホテリシンB の投与は16% vs. 58%(p=0.029)とG-CSF 投与群で有意に低かった。入院期間は,G-CSF 投与群では13 日(11〜18 日)で,非投与群の16 日(13〜23日)に比べて有意に短縮し(p=0.0003),医療費の軽減が図られた。実地臨床では,自家PBSCT 後のG-CSF 治療は広く施行されている。

【検索式】

PubMed Clinical Queries で,[“G-CSF”and“Autologous Peripheral-Blood Stem-Cell Transplantation”]Limits: Humans, Clinical Trial,English,Japanese のキーワードで検索し,2005 年10 月1 日〜2016 年10 月31 日の文献は150 件が該当した。さらに重要文献をハンドサーチで検索した。

【引用文献】

1) Ozer H, Armitage JO, Bennett CL, et al. 2000 update of recommendations for the use of hematopoietic colony-stimulating factors: evidence-based, clinical practice guidelines. American Society of Clinical Oncology Growth Factors Expert Panel. J Clin Oncol. 2000; 18: 3558-85.(ガイドライン))

2) Smith TJ, Khatcheressian J, Lyman GH, et al. 2006 update of recommendations for the use of white blood cell growth factors: an evidence-based clinical practice guideline. J Clin Oncol. 2006; 24: 3187-205.(ガイドライン))

3) McQuaker IG, Hunter AE, Pacey S, et al. Low-dose filgrastim significantly enhances neutrophil recovery following autologous peripheral-blood stem-cell transplantation in patients with lymphoproliferative disorders: evidence for clinical and economic benefit. J Clin Oncol. 1997; 15: 451-7.(Ⅱ)


CQ
同種造血幹細胞移植後のG-CSF 投与は勧められるか?

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推奨
グレード
B
骨髄破壊的同種造血幹細胞移植後早期(5〜7 日後)からのG-CSF 投与は,好中球減少期間短縮と感染症リスクの低下に寄与するので推奨される。
ただし,移植後8〜14 日のG-CSF は感染症コントロールの利点が少ない。
【背景・目的】

骨髄破壊的同種造血幹細胞移植は,大量化学療法(±全身放射線療法)による骨髄破壊的治療後にドナーから造血幹細胞を輸注する治療法である。移植直後の骨髄は好中球を含むすべての血液細胞が枯渇しており,造血機能の回復促進の目的でG-CSF は移植後早期より投与される。これは予防的なG-CSF 投与である。LFS やOS には寄与しないが,GVHD や移植関連有害事象のリスクを増加させることなく好中球減少期間を短縮させ,感染症発症リスクを低減する。

【解 説】

同種BMT/PBSCT 後のG-CSF 投与については,大規模な後方視的解析から,反対の結論が出された。EBMT(European Group for BMT)は,2,223 人の急性白血病に対する同種BMT/PBSCT の解析(1,789 人は同種BMT, 434 人は同種PBSCT)で1),G-CSF を移植後14 日以内に投与された患者群の好中球の回復は早かったが,血小板の回復が遅延し,GVHD の発症頻度が高かったとした。また,LFS とOS には影響がなかったが,G-CSF は同種BMT/PBSCT には用いるべきではないとした。

一方,CIBMTR(Center for International Blood and Marrow Transplant Research)は2),AML あるいはCML 患者で同種BMT/PBSCT が施行された2,719 人の解析で,移植後7 日以内にG-CSF 投与を行った患者群では,好中球減少期間が3〜5 日間短縮され,GVHD の発症頻度や移植関連死亡率が増えることはなく,G-CSF を同種BMT/PBSCT に用いて問題はないとした。これら2 つの解析は,G-CSF の投与開始時期(EBMT は14 日,CIBMTR は7 日)の違いが,異なる見解に結びついたと考えられる。

同種移植におけるG-CSF の役割を決定づける大規模な無作為化比較試験は存在しないため,種々のG-CSFとプラセボとの比較試験についてメタアナリシスが行われた3)4)。同種移植後早期(7 日以内)のG-CSF 投与は,LFS やOS など移植全体の成績の向上には寄与しないが,GVHD や移植関連有害事象のリスクを増加させることなく好中球減少期間を短縮できることを示した。

【検索式】

PubMed Clinical Queries で,[“G-CSF”and“Allogeneic Hematopoietic Stem-cell Transplantation”]Limits: Humans, Clinical Trial,English,Japanese のキーワードで検索し,2005 年10 月1 日〜2016 年10 月31 日の文献は58 件が該当した。さらに重要文献をハンドサーチで検索した。

【引用文献】

1) Ringdén O, Labopin M, Gorin NC, et al. Treatment with granulocyte colony-stimulating factor after allogeneic bone marrow transplantation for acute leukemia increases the risk of graft-versus-host disease and death: a study from the Acute Leukemia Working Party of the European Group for Blood and Marrow Transplantation. J Clin Oncol. 2004; 22: 416-23.(Ⅳa)

2) Khoury HJ, Loberiza FR, Jr, Ringdén O, et al. Impact of posttransplantation G-CSF on outcomes of allogeneic hematopoietic stem cell transplantation. Blood. 2006; 107: 1712-6.(Ⅳa)

3) Dekker A, Bulley S, Beyene J, et al. Meta-analysis of randomized controlled trials of prophylactic granulocyte colony-stimulating factor and granulocyte-macrophage colony-stimulating factor after autologous and allogeneic stem cell transplantation. J Clin Oncol. 2006; 24: 5207-15.(Ⅱ)

4) Ho VT, Mirza NQ, Junco Dd D, et al. The effect of hematopoietic growth factors on the risk of graft-vs-host disease after allogeneic hematopoietic stem cell transplantation: a meta-analysis. Bone Marrow Transplant. 2003; 32: 771-5.(Ⅱ)


CQ
急性骨髄性白血病における寛解導入療法・寛解後療法の好中球減少症にG-CSF 投与は有効か?

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推奨
グレード

寛解導入
療法では

B

寛解後療法では

A
AML 寛解導入療法における化学療法後の好中球減少症に対するG-CSF 投与は,寛解率,寛解期間,生存期間への利点は少ないが,入院期間の短縮および重篤な感染症発症頻度の低減が期待できる。55 歳以上の中高齢者AML の寛解導入療法では感染症コントロールの利点が大きい。AML 寛解後療法(地固め療法)では,感染症発症リスクを減じ,入院期間の短縮に寄与する臨床的利益を有するため,推奨される。
【背景・目的】

AML に対する初回寛解導入療法および寛解後療法では,根治を目的とした強力な化学療法が施行され,好中球数<100/μLとなる重篤な好中球減少症を呈する。好中球減少期間の短縮,FN の発症リスク低減,感染症罹患期間の短縮のためにG-CSF が投与される。これはG-CSF の一次予防的投与であり,ASCO のガイドライン(2006)1)で推奨されている。AML 初回治療におけるG-CSF の有効性は国内外の試験で報告されている。

【解 説】

AML の寛解導入療法・寛解後療法におけるG-CSF の安全性と有用性について,521 人を対象にプラセボとの大規模比較試験が国際的多施設共同研究で行われた2)

G-CSF 投与群と非投与群でCR,DFS,OS に有意差はなく,寛解導入療法後の好中球回復が5 日間短縮された。寛解後療法においても,G-CSF 群では好中球減少期間が短縮し,有熱期間や感染症罹患期間の短縮,感染症に対する抗菌薬投与量の減量,入院期間の短縮を認めた。

国内においても,AML 寛解導入療法時のG-CSF 効果を,プラセボとの無作為化比較試験で検討した3)。AML 寛解導入療法後48 時間からのG-CSF 投与群の好中球減少期間および発熱性好中球減少期間が有意に短縮され,安全性と有用性が確認され,国際試験と同じ結果が得られた。

【検索式】

PubMed Clinical Queries で,[“G-CSF”and“Acute Myeloid Leukemia”]Limits: Humans, Clinical Trial,English,Japanese のキーワードで検索し,2005 年10 月1 日〜2016 年10 月31 日の文献は86 件が該当した。さらに重要文献をハンドサーチで検索した。

【引用文献】

1) Smith TJ, Khatcheressian J, Lyman GH, et al. 2006 update of recommendations for the use of white blood cell growth factors: an evidence-based clinical practice guideline. J Clin Oncol. 2006; 24: 3187-205.(ガイドライン)

2) Heil G, Hoelzer D, Sanz MA, et al. A randomized, double-blind, placebo-controlled, phase Ⅲ study of filgrastim in remission induction and consolidation therapy for adults with de novo acute myeloid leukemia. The International Acute Myeloid Leukemia Study Group. Blood. 1997; 90: 4710-8.(Ⅱ)

3) Usuki K, Urabe A, Masaoka T, et al. Efficacy of granulocyte colony-stimulating factor in the treatment of acute myelogenous leukaemia: a multicentre randomized study. Br J Haematol. 2002; 116: 103-12.(Ⅱ)


CQ
骨髄異形成症候群におけるG-CSF投与は有効か?

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推奨
グレード
B
骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndrome: MDS)の臨床症状の一つである慢性的な好中球減少症の改善を図り,感染症の発症を抑制できる可能性があるが,すべてのMDS 患者に投与することは推奨されない。
【背景・目的】

MDS は,遺伝子異常を有する造血幹細胞のクローン性増殖に基づく無効性造血と前白血病状態を臨床的特徴とする疾患群である。無効造血の結果,貧血,二系統の血球減少,汎血球減少をきたす。好中球減少による感染症や血小板減少症による出血などの骨髄不全と白血病が主たる死因となる。慢性の重篤な好中球減少症は,致死的な感染症の合併リスクが高くなり,G-CSF の適応となる。ASCO の2000 年および2006 年のガイドライン1)2)で提示されたMDS に対するG-CSF の使用は,重篤な好中球減少症を呈する患者に対して間歇的に投与することを推奨している。これを支持するエビデンスは1990 年代の報告に限られる。

【解 説】

MDS の長期にわたる重篤な汎血球減少症は,感染症発症,臓器出血のリスクを増し,急性白血病への形質転化とともに,致死的な転帰をとる要因となる。この汎血球減少症のうち白血球減少症の改善を目的にG-CSF を連日皮下注で6〜8 週間投与し,治療前のレベルで,白血球数では1.6〜6.4 倍,好中球数では3.6〜16.3 倍の増加が図れた。好中球数の改善は,細菌性感染症の発症リスクを低減し,一部の患者では輸血頻度の軽減が図れたとしている3)

一方,4 つの臨床試験のレビューでは,G-CSFと経過観察の比較試験では,G-CSF は好中球数の有意な増加をもたらすが,ヘモグロビン値の改善は得られず,逆に有意に血小板数を減ずるとの指摘がなされた4)。また,G-CSF がOS の改善やAML への進展率の軽減には寄与しないことも示された。

【検索式】

PubMed Clinical Queries で,[“G-CSF”and“Myelodysplastic Syndrome”]Limits: Humans, Clinical Trial,English,Japanese のキーワードで検索し,2005 年10 月1 日〜2016 年10 月31 日の文献は38 件が該当した。さらに重要文献をハンドサーチで検索した。

【引用文献】

1) Ozer H, Armitage JO, Bennett CL, et al. 2000 update of recommendations for the use of hematopoietic colony-stimulating factors: evidence-based, clinical practice guidelines. American Society of Clinical Oncology Growth Factors Expert Panel. J Clin Oncol. 2000; 18: 3558-85.(ガイドライン)

2) Smith TJ, Khatcheressian J, Lyman GH, et al. 2006 update of recommendations for the use of white blood cell growth factors: an evidence-based clinical practice guideline. J Clin Oncol. 2006; 24: 3187-205.(ガイドライン)

3) Negrin RS, Haeuber DH, Nagler A, et al. Maintenance treatment of patients with myelodysplastic syn-dromes using recombinant human granulocyte colony-stimulating factor. Blood. 1990; 76: 36-43.(Ⅲ)

4) Cazzola M, Anderson JE, Ganser A, et al. A patient-oriented approach to treatment of myelodysplastic syndromes. Haematologica. 1998; 83: 910-35.(レビュー)


CQ
急性骨髄性白血病における寛解導入療法の直前および化学療法中のG-CSF 投与は有効か?

Clinical Question 一覧へ


推奨
グレード
C2
G-CSF による白血病細胞の細胞周期への誘導効果(priming effect)は,有効性と安全性が確立していない。
【背景・目的】

AML の寛解導入療法におけるG-CSF は,主として重度の好中球減少期間の短縮と感染症の軽減目的に使用されるが,実験的には,G-CSF は静止期の白血病幹細胞を細胞周期に導入して化学療法感受性を増強させる効果を有することが知られている1)。この作用を利用して,AML への殺細胞効果を増強し,治療成績を上げることを目的に,寛解導入療法前および治療中にG-CSF を投与するpriming 効果が検討された。

【解 説】

欧州の多施設共同無作為化比較試験では,18〜60 歳の若年・中年AML 患者を対象に,イダルビシン+Ara-C の寛解導入療法における,G-CSF 併用群(321 人)と非併用群(319 人)の治療成績が検討された2)。CR(79% vs. 83%)および4 年OS(40% vs. 35%)は,両群で有意差はないが,G-CSF 併用群では,CR 患者の再発率を減じて4 年DFS(42% vs.33%)を有意に高めると報告した。AML の予後中間群では,G-CSF の有用性が期待されるが,予後不良群での有用性は認められない。この研究グループは,後に,G-CSF によるシタラビン(Ara-C)感受性増強効果を検証するため,若年・中年AML 患者を対象にAra-C の標準量 vs. 高用量とG-CSF 併用 vs. 非併用の比較を行った。結果,G-CSF 併用によるAra-C 感受性増加効果を示すことはできなかった3)

一方,61 歳以上の高齢者AML においては,寛解導入療法および寛解後療法と同時のG-CSF 投与群では,CR 率は有意に高い(60% vs. 50%)が,無イベント生存率(event-free survival: EFS)やOS には寄与せず4),G-CSF の治療前および治療中の投与は,再発・難治性AML などのサルベージ以外は,推奨されない。

【検索式】

PubMed Clinical Queries で,[“G-CSF”and“Acute Myeloid Leukemia”]Limits: Humans, Clinical Trial,English,Japanese のキーワードで検索し,2005 年10 月1 日〜2016 年10 月31 日の文献は86 件が該当した。さらに重要文献をハンドサーチで検索した。

【引用文献】

1) Baer MR, Bernstein SH, Brunetto VL, et al. Biological effects of recombinant human granulocyte colony-stimulating factor in patients with untreated acute myeloid leukemia. Blood. 1996; 87: 1484-94.(Ⅳa)

2) Löwenberg B, van Putten W, Theobald M, et al. Effect of priming with granulocyte colony-stimulating factor on the outcome of chemotherapy for acute myeloid leukemia. N Engl J Med. 2003; 349: 743-52. (Ⅱ)

3) Pabst T, Vellenga E, van Putten W, et al. Favorable effect of priming with granulocyte colony-stimulating factor in remission induction of acute myeloid leukemia restricted to dose escalation of cytarabine. Blood. 2012; 119: 5367-73.(Ⅱ)

4) Amadori S, Suciu S, Jehn U, et al. Use of glycosylated recombinant human G-CSF(lenograstim)during and/or after induction chemotherapy in patients 61 years of age and older with acute myeloid leukemia: final results of AML-13, a randomized phase-3 study. Blood. 2005; 106: 27-34.(Ⅱ)


12
  造血器腫瘍 2)リンパ系腫瘍

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概 説

悪性リンパ腫の化学療法におけるFN 発症率が20%以上のレジメンについては「3.一次予防的投与」の表1を参照。

未治療悪性リンパ腫に対する標準治療としては,現在B 細胞リンパ腫ではR-CHOP-21(3週間隔)が,末梢T 細胞リンパ腫に対してはCHOP-21 等が代表的なレジメンである。欧米およびわが国での報告より,リンパ腫におけるFN 発症率20%以上の治療レジメンは,初発時の治療として非ホジキンリンパ腫ではCHOP-14,R-CHOP-14,Hyper CVAD,FCR 等,ホジキンリンパ腫ではBEACOPP,Stanford V 等がある。再発・再燃・治療抵抗例に対する救援療法としては(R-)DHAP,(R-)ESHAP,(R-)ICE,CHASE(-R)1),等がある。

わが国におけるaggressive 非ホジキンリンパ腫に対するJCOG9809 試験では,CHOP-21 群でGrade 4 好中球減少が84%,Grade 3 感染症が4%に認められ2),進行期低悪性度B 細胞リンパ腫に対するJCOG0203 試験ではR-CHOP-21 群でそれぞれ85%,34%生じている3)。限局期nasal NK/T 細胞リンパ腫に対する放射線同時併用化学療法(RT-2/3DeVIC 療法)ではGrade 4 好中球減少26%,Grade 3 感染症7%,FN 15%が生じている4)。しかし,わが国の上記試験では好中球減少時には必要に応じてG-CSF が使用されている。したがって,リンパ腫レジメン自体のFN 発症率は欧米の比較試験時のプラセボまたはG-CSF 非投与群のデータを参照せざるを得ないが,概ねわが国でも同等の発症頻度と推定される。

【検索式・参考にした二次資料】

2005 年10 月1 日〜2016 年10 月31 日の文献を中心に,PubMed で[G-CSF AND lymphoma AND chemotherapy AND (neutropenia OR infection)]のキーワードにより検索したところ286 件が該当した。加えて重要文献をハンドサーチで検索した。さらに以下の二次資料を参考にした。

① ASCO recommendations for the use of white blood cell growth factors: 2006 update

② EORTC guidelines for the use of granulocyte-colony stimulating factor: 2010 update

③ NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology-Myeloid growth factors: version 2.2016

【引用文献】

1) Ogura M, Kagami Y, Taji H, et al. Pilot phase Ⅰ/Ⅱ study of new salvage therapy(CHASE)for refractory or relapsed malignant lymphoma. Int J Hematol. 2003; 77: 503-11.(Ⅳa)

2) Ohmachi K, Tobinai K, Kobayashi Y, et al. Phase Ⅲ trial of CHOP-21 versus CHOP-14 for aggressive non-Hodgkin’s lymphoma: final results of the Japan Clinical Oncology Group Study, JCOG 9809. Ann Oncol. 2011; 22: 1382-91.(Ⅱ)

3) Watanabe T, Tobinai K, Shibata T, et al. Phase Ⅱ/Ⅲ study of R-CHOP-21 versus R-CHOP-14 for untreated indolent B-cell non-Hodgkin’s lymphoma: JCOG 0203 trial. J Clin Oncol. 2011; 29: 3990-8.(Ⅱ)

4) Yamaguchi M, Tobinai K, Oguchi M, et al. Phase Ⅰ/Ⅱ study of concurrent chemoradiotherapy for localized nasal natural killer/T-cell lymphoma: Japan Clinical Oncology Group Study JCOG0211. J Clin Oncol. 2009; 27: 5594-600.(Ⅳa)


CQ
悪性リンパ腫において化学療法時のG-CSF 一次予防的投与は勧められるか?

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推奨
グレード
A
FN 発症率が20%以上のレジメンでは,治癒もしくは生存期間の延長を目的とする場合,G-CSF 一次予防的投与が推奨される。

推奨
グレード
B
FN 発症率が10〜20%のレジメンでは,治癒もしくは生存期間の延長を目的とする場合で,FN 発症または重症化のリスクを有する患者ではG-CSF 一次予防的投与が勧められる。

推奨
グレード
C2
緩和的な化学療法の場合は,G-CSF 予防投与は勧められない。むしろ抗がん薬の減量または投与延期により有害事象発現の軽減を図るべきである。
【背景・目的】

欧米のガイドラインではG-CSF 予防投与の指標としてFN 発症率が採用され,その基準値は2000 年までのASCO ガイドラインでは40%以上とされていたが,2006 年のガイドラインではおよそ20%以上に変更された。2010 年のEORTC,2011 年のNCCN ガイドラインにおいても同じ基準の20%以上が採用されている。悪性リンパ腫におけるG-CSF 予防投与の有用性についてFN 発症率の他,種々の指標に関する検討が行われている。

【解 説】

治癒もしくは生存期間の延長を図ることを目的としたレジメンにおいて,FN等の有害事象に対し投与量の安易な減量は治療成績を低下させる可能性があり,計画通りの治療が必要とされる1)2)。ASCO ガイドライン(2006)ではG-CSF 投与の指標としてFN 発症率20%以上が基準とされた。その後も,悪性リンパ腫,固形腫瘍に対するG-CSF 予防投与についていくつかのメタアナリシスの結果が報告された。Kuderer らは,17 の無作為化比較試験における3,493 例について検討している。このうち6 試験はリンパ腫を対象としており,2 試験は若年の,4 試験は高齢のリンパ腫が対象であった。その結果,G-CSF 一次予防的投与によりFN 発症率,初期死亡,感染症関連死亡が有意に減少したと報告されている。しかし,相対治療強度(relativedose intensity: RDI)は有意に高まったが,DFS,OS への影響に対しては十分なデータがなかったとしている3)。また,Bohlius らはリンパ腫を対象とした13 の無作為化比較試験を用いてメタアナリシスを行い,G-CSF/GM-CSF 予防投与はFN 発症率,好中球減少,感染症発症率を有意に低下させたが,治療成功期間(freedom from treatment failure: FFTF),OS に対しては有意な改善はなかったとしている4)。Sung らは,G-CSF/GM-CSF(GM-CSF は,わが国では承認されていない)の予防投与に関し148 試験のメタアナリシスを行い,G-CSF/GM-CSF の予防投与によりFN 発症率が44%から22%に,感染症発症率が29%から24%に低下したが,死亡率は同等であったと報告している5)。以上より,FN 発症率20%以上のレジメンにおけるG-CSF 予防投与の有用性が確認された。

FN 発症率10〜20%のレジメンの場合は,FN 発症または感染関連合併症の重症化のリスク(「2.発熱性好中球減少症の定義とリスク」表2表3 参照)を考慮して判断する。その因子は,疾患としては白血病,リンパ腫,また65 歳以上の高齢等が重要なリスク因子であり,G-CSF 予防投与が推奨される6)。一方,緩和的,QOL 維持を目的とした化学療法においては,FN 発症時の重症化リスクが高い患者ではG-CSF 投与を考慮すべきであるが,過度に好中球を減少させることのないようレジメンの減量,延期を行うのが妥当である。

【検索式・参考にした二次資料】

2005 年10 月1 日〜2016 年10 月31 日の文献を中心に,PubMed で[G-CSF AND lymphoma AND chemotherapy AND (neutropenia OR infection) AND prophylaxis]のキーワードにより検索したところ114 件が該当した。加えて重要文献をハンドサーチで検索した。さらに以下の二次資料を参考にした。

① ASCO recommendations for the use of white blood cell growth factors: 2006 update

② EORTC guidelines for the use of granulocyte-colony stimulating factor: 2010 update

③ NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology-Myeloid growth factors: version 2.2016

【引用文献】

1) Bosly A, Bron D, Van Hoof A, et al. Achievement of optimal average relative dose intensity and correlation with survival in diffuse large B-cell lymphoma patients treated with CHOP. Ann Hematol. 2008; 87: 277-83.(Ⅳa)

2) Terada Y, Nakamae H, Aimoto R, et al. Impact of relative dose intensity(RDI)in CHOP combined with rituximab(R-CHOP)on survival in diffuse large B-cell lymphoma. J Exp Clin Cancer Res. 2009; 28: 116.(Ⅳa)

3) Kuderer NM, Dale DC, Crawford J, et al. Impact of primary prophylaxis with granulocyte colony-stimulating factor on febrile neutropenia and mortality in adult cancer patients receiving chemotherapy: a systematic review. J Clin Oncol. 2007; 25: 3158-67.(Ⅰ/Ⅳa

4) Bohlius J, Herbst C, Reiser M, et al. Granulopoiesis-stimulating factors to prevent adverse effects in the treatment of malignant lymphoma. Cochrane Database Syst Rev. 2008; (4): CD003189.(Ⅰ)

5) Sung L, Nathan PC, Alibhai SM, et al. Meta-analysis: effect of prophylactic hematopoietic colony-stimulating factors on mortality and outcomes of infection. Ann Intern Med. 2007; 147: 400-11.(Ⅰ)

6) Lyman GH, Kuderer NM, Crawford J, et al. Predicting individual risk of neutropenic complications in patients receiving cancer chemotherapy. Cancer. 2011; 117: 1917-27.(Ⅳa)


CQ
悪性リンパ腫の化学療法において治療強度を増強あるいは維持する目的でのG-CSF 一次予防的投与は勧められるか?

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推奨
グレード
A
治療強度を増強した化学療法レジメンにより予後の改善が期待される場合(バーキットリンパ腫,リンパ芽球性リンパ腫,マントル細胞リンパ腫など)はG-CSF の一次予防的投与が推奨される。

推奨
グレード
C1
CHOP 類似化学療法ではdose-dense レジメンによる有効性の評価は分かれるが,リンパ腫患者の年齢,予後リスクによっては考慮される。

推奨
グレード
D
R-CHOP 療法では,dose-dense レジメンの有効性は認められず,勧められない。

推奨
グレード
B
治癒もしくは生存期間の延長を目指す化学療法において,標準的治療強度の減弱が予後不良に繋がる場合,G-CSF 投与が勧められる。
【背景・目的】

治療成績を向上させるため,dose-intense(投与量の増量)レジメン,dose-dense(投与間隔の短縮)レジメンが数多く試みられ,その有効性,安全性が検討されてきた。リンパ腫領域においてもCHOP 療法を基本としてdose-intense またはdose-dense レジメンが考案されたが,その場合にはG-CSF の予防投与が最初からレジメンに組み込まれている。一方,治療強度の標準以下への減弱は,予後に悪影響を与えるとされている。dose-intense またはdose-dense レジメンにおいてG-CSF 投与の有用性が検討された。

【解 説】

びまん性大細胞型B 細胞リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma:DLBCL)に対し,CHOP 療法のdose-intense レジメンであるintensified CHOP(I-CHOP)療法については,標準的CHOP 療法(CHOP-21: 3 週間隔)に比べて有意な生存率の改善は得られていない1)。一方,dose-dense レジメンとしては2 週間隔のCHOP-14 とCHOP-21 の比較試験が行われている。日本のJCOG9809 試験ではCHOP-14 とCHOP-21 の間ではPFS で有意差は示されていない2)。しかし,ドイツのグループからはCHOP療法にエトポシドを加え治療強度を高めたCHOEP-21,CHOEP-14 が,低・中等度リスクの若年者においてEFS でCHOP-21 より優れており,高齢者においてはCHOP-14 がCHOP-21 よりEFS で優れていたと報告している3)4)。以上のように,CHOP 療法類似のレジメンでは,標準以上に治療強度を高めることの有用性は確立されていない。また,このようなdose-intense またはdose-denseレジメンにおいては最初からG-CSF が組み込まれており,CHOP-14とCHOP-21 の比較ではGrade 4 好中球減少の発生頻度はCHOP-21 の方が高く,感染症発症率はほぼ同等とされている1)〜3)。一方,I-CHOP では感染症発症率は4 倍高く1),dose-escalated CHOPでもG-CSF 投与にもかかわらず好中球減少はCHOP-14 より高率に生じていることから,高用量のCHOP 療法は推奨されない。

近年,B 細胞リンパ腫は,リツキシマブの併用により治療成績が向上し,最も患者数の多いDLBCL ではR-CHOP 療法が標準として確立している5)。R-CHOP-21とdose-denseレジメンのR-CHOP-14 との無作為化比較試験では,DLBCL に対しては2 年OS で差はなく6),低悪性度B 細胞リンパ腫に対しても,6 年OS,PFS で有意差は出ていない7)。R-CHOP-14 ではG-CSF がレジメンに組み込まれており,Grade 4 好中球減少,Grade 3 感染症はR-CHOP-21 より合併頻度が低い7)。またR-CHOP-21とCHOP-21 のFN 発症率はほぼ同等と報告されている5)。以上より,リツキシマブ併用化学療法ではdose-dense レジメンは生存の改善に寄与しておらず,有効性の点ではG-CSF投与は勧められない。一方,バーキットリンパ腫,リンパ芽球性リンパ腫,マントル細胞リンパ腫などでは,通常量CHOP 療法の成績は不良であり,治療強度を高めた化学療法が推奨される。

以上より,標準のレジメンでは十分な治療効果を期待できないリンパ腫や特殊な病型に対し,G-CSF 投与により治療強度を増強することで治療成績の改善が得られる場合はG-CSF 投与が推奨されるが,DLBCL に対するR-CHOP 療法ではdose-dense レジメンは一般的には推奨されない。

一方,標準的CHOP またはR-CHOP 療法よりさらに治療強度を減弱することは治療成績を低下させると報告されており8)〜10),標準投与量を保つことができない高齢等のリスク11)を持った患者ではG-CSF 投与が推奨される。

【検索式・参考にした二次資料】

2005 年10 月1 日〜2016 年10 月31 日の文献を中心に,PubMed で[G-CSF AND lymphoma AND chemotherapy AND (neutropenia OR infection) AND(dose-dense OR dose-intense)]のキーワードにより検索したところ147 件が該当した。加えて重要文献をハンドサーチで検索した。さらに以下の二次資料を参考にした。

① ASCO recommendations for the use of white blood cell growth factors: 2006 update

② EORTC guidelines for the use of granulocyte-colony stimulating factor: 2010 update

③ NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology-Myeloid growth factors: version 2.2016

【引用文献】

1) Verdonck LF, Notenboom A, de Jong DD, et al. Intensified 12-week CHOP(I-CHOP)plus G-CSF compared with standard 24-week CHOP(CHOP-21)for patients with intermediate-risk aggressive non-Hodgkin lymphoma: a phase 3 trial of the Dutch-Belgian Hemato-Oncology Cooperative Group(HOVON). Blood. 2007; 109: 2759-66.(Ⅱ)

2) Ohmachi K, Tobinai K, Kobayashi Y, et al. Phase Ⅲ trial of CHOP-21 versus CHOP-14 for aggressive non-Hodgkin’s lymphoma: final results of the Japan Clinical Oncology Group Study, JCOG 9809. Ann Oncol. 2011; 22: 1382-91.(Ⅱ)

3) Pfreundschuh M, Trümper L, Kloess M, et al. Two-weekly or 3-weekly CHOP chemotherapy with or without etoposide for the treatment of young patients with good-prognosis(normal LDH)aggressive lymphomas: results of the NHL-B1 trial of the DSHNHL. Blood. 2004; 104: 626-33.(Ⅱ)

4) Pfreundschuh M, Truümper L, Kloess M, et al. Two-weekly or 3-weekly CHOP chemotherapy with or without etoposide for the treatment of elderly patients with aggressive lymphomas: results of the NHL-B2 trial of the DSHNHL. Blood. 2004; 104: 634-41.(Ⅱ)

5) Pfreundschuh M, Trümper L, Osterborg A, et al. CHOP-like chemotherapy plus rituximab versus CHOP-like chemotherapy alone in young patients with good-prognosis diffuse large-B-cell lymphoma: a randomised controlled trial by the MabThera International Trial(MInT)Group. Lancet Oncol. 2006; 7: 379-91.(Ⅱ)

6) Cunningham D, Hawkes EA, Jack A, et al. Rituximab plus cyclophosphamide, doxorubicin, vincristine, and prednisolone in patients with newly diagnosed diffuse large B-cell non-Hodgkin lymphoma: a phase 3 comparison of dose intensification with 14-day versus 21-day cycles. Lancet. 2013;381:1817-26.(Ⅱ)

7) Watanabe T, Tobinai K, Shibata T, et al. Phase Ⅱ/Ⅲ study of R-CHOP-21 versus R-CHOP-14 for untreated indolent B-cell non-Hodgkin’s lymphoma: JCOG 0203 trial. J Clin Oncol. 2011; 29: 3990-8.(Ⅱ)

8) Bosly A, Bron D, Van Hoof A, et al. Achievement of optimal average relative dose intensity and correlation with survival in diffuse large B-cell lymphoma patients treated with CHOP. Ann Hematol. 2008; 87: 277-83.(Ⅳa)

9) Terada Y, Nakamae H, Aimoto R, et al. Impact of relative dose intensity(RDI)in CHOP combined with rituximab(R-CHOP)on survival in diffuse large B-cell lymphoma. J Exp Clin Cancer Res. 2009; 28: 116.(Ⅳa)

10) Hirakawa T, Yamaguchi H, Yokose N, et al. Importance of maintaining the relative dose intensity of CHOP-like regimens combined with rituximab in patients with diffuse large B-cell lymphoma. Ann Hematol. 2010; 89(9): 897-904.(Ⅳa)

11) Lyman GH, Dale DC, Friedberg J, et al. Incidence and predictors of low chemotherapy dose-intensity in aggressive non-Hodgkin’s lymphoma: a nationwide study. J Clin Oncol. 2004; 22: 4302-11.(Ⅳa)


CQ
悪性リンパ腫の化学療法においてG-CSF の二次予防的投与は勧められるか?

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推奨
グレード
B
前コースの化学療法時にG-CSF が投与されずFN を生じた患者で,治療強度の減弱が予後不良につながる可能性がある場合は,G-CSF の二次予防的投与が勧められる。
【背景・目的】

化学療法の前コースでGrade 4 好中球減少またはFN が生じた場合,次コースでのG-CSF 二次予防的投与について有用性を検討した。

【解 説】

Kuderer らのメタアナリシスにおいて,G-CSF 一次予防的投与の無作為化比較試験のうちコントロール群で次コース以降二次予防的投与の実施の有無が明記されている試験が3 つ(固形腫瘍を対象)あり,そのサブ解析では二次予防的投与により有意にFN 発症率が低下したとしている1)。また,FN 発症後の化学療法にG-CSF を併用した試験では,FN 発症率は次コースにおいて10〜16%に発現したのみとしている2)。しかしG-CSF 使用の有無にかかわらずFN は1コース目で有意に高く発症し,2 コース目以降は減少するという報告も多く,FN 減少はG-CSFによる効果か否かは必ずしも明確ではない3)

以上より,化学療法の前コースでGrade 4 の好中球減少またはFN が生じた場合で,治療強度の減弱が予後を不良にする場合は,G-CSF 二次予防的投与が勧められる。しかし,緩和的治療の場合は,抗がん薬の減量や投与延期が妥当な選択である。

【検索式・参考にした二次資料】

2005 年10 月1 日〜2016 年10 月31 日の文献を中心に,PubMed で[G-CSF AND lymphoma AND chemotherapy AND (neutropenia OR infection) AND secondary prophylaxis]のキーワードにより検索したところ22 件が該当した。加えて重要文献をハンドサーチで検索した。さらに以下の二次資料を参考にした。

① ASCO recommendations for the use of white blood cell growth factors: 2006 update

② EORTC guidelines for the use of granulocyte-colony stimulating factor: 2010 update

③ NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology-Myeloid growth factors: version 2.2016

【引用文献】下線はサブ解析のエビデンスレベルを示す

1) Kuderer NM, Dale DC, Crawford J, et al. Impact of primary prophylaxis with granulocyte colony-stimulating factor on febrile neutropenia and mortality in adult cancer patients receiving chemotherapy: a systematic review. J Clin Oncol. 2007; 25: 3158-67.(Ⅰ/Ⅳa

2) Haim N, Shulman K, Goldberg H, et al. The safety of full-dose chemotherapy with secondary prophylactic granulocyte colony stimulating factor(G-CSF)following a prior cycle with febrile neutropenia. Med Oncol. 2005; 22: 229-32.(Ⅳa)

3) Timmer-Bonte JN, de Boo TM, Smit HJ, et al. Prevention of chemotherapy-induced febrile neutropenia by prophylactic antibiotics plus or minus granulocyte colony-stimulating factor in small-cell lung cancer: a Dutch Randomized Phase Ⅲ Study. J Clin Oncol. 2005; 23: 7974-84.(Ⅱ)


CQ
急性リンパ性白血病の寛解導入療法,寛解後療法時におけるG-CSF の一次予防的投与は勧められるか?

Clinical Question 一覧へ


推奨
グレード
B
急性リンパ性白血病(acute lymphoblastic leukemia:ALL)の寛解導入療法,寛解後療法時におけるG-CSF の一次予防的投与は,FN 発症率の低下,一部では生存率の改善も示されることから勧められる。
【背景・目的】

ALL 治療は,小児では約80%の長期生存が得られており,若年成人ALL においても小児同様の治療強度を高めたレジメンが試みられ,治療成績の向上が報告されている。ALL 寛解導入時,寛解後療法(地固め療法)時のG-CSF 投与の妥当性について検討する。

【解 説】

ALLに対する成人プロトコールにおいて,好中球数の回復と感染症発症率を一次評価項目として行われた少なくとも6 つの比較試験の結果では,好中球数回復までの期間短縮が5 試験で認められ1)〜6),そのうち3 試験ではFN の減少,感染症発症率の低下およびプロトコール治療期間の短縮が認められている1)5)6)。日本の初期の試験でも,JALSG-ALL90 試験において好中球数回復までの期間短縮が認められている4)。有効性については,高齢者においてCR 率の改善傾向が1 試験で認められ3),2 年生存率の改善が1 試験で認められた5)。その後,成人ALLに対する5 つの比較試験347 例のデータを用いてG-CSF 投与と長期生存との関連について統合分析が行われた1)5)〜7)。その結果,G-CSF 投与群では5 年全生存率(OS)の改善傾向,5年無病生存率,寛解期間の有意な改善が認められ,サブ解析ではT 細胞ALL および若年者ALL(20〜41 歳)ではOS の改善が有意であった。小児ALL においては,6 試験332 例によるメタアナリシスが行われ,G-CSF 投与によりFN 発症数,入院期間,感染症発症率は有意に低下したが,好中球数回復期間や化学療法期間遅延に対する影響は認められなかった。また,追跡期間が短く,生存に関する結論は得られていない8)

ALL 細胞は,G-CSF 受容体を少量発現するという報告もあるが,AML に比しG-CSF は安全に使用可能である。ALL 寛解導入療法,地固め療法時におけるG-CSF 併用は好中球減少期間の短縮,FN 発症率の低下,感染症発症率の低下が一様ではないものの複数の試験で認められ,成人ALLでは長期生存の改善にも寄与することが示され,G-CSF 一次予防的投与は勧められる。

【検索式・参考にした二次資料】

2005 年10 月1 日〜2016 年10 月31 日の文献を中心に,PubMed で[G-CSF AND acute lymphoblastic leukemia AND chemotherapy AND (neutropenia OR infection)]のキーワードにより検索したところ37 件が該当した。加えて重要文献をハンドサーチで検索した。さらに以下の二次資料を参考にした。

① ASCO recommendations for the use of white blood cell growth factors:2006 update

② EORTC guidelines for the use of granulocyte-colony stimulating factor:2010 update

③ NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology-Myeloid growth factors:version 2.2016

【引用文献】

1) Geissler K, Koller E, Hubmann E, et al. G-CSF as an adjunct to induction chemotherapy for ALL-a randomized phase-Ⅲ study. Blood. 1997; 90: 590-6.(Ⅱ)

2) Ottmann OG, Hoelzer D, Gracien E, et al. Concomitant G-CSF and induction chemoradiotherapy in adult ALL: a randomized phase Ⅲ trial. Blood. 1995; 86: 444-50.(Ⅱ)

3) Larson RA, Dodge RK, Linker CA, et al. A randomized controlled trial of filgrastim during remission induction and consolidation chemotherapy for ALL: CALGB study 9111. Blood. 1998; 92: 1556-64.(Ⅱ)

4) Ohno R, Tomonaga M, Kobayashi T, et al. A randomized controlled study of G-CSF after intensive induction and consolidation therapy in patients with acute lymphoblastic leukemia(JALSG). Int J Hematol. 1993; 58: 73-81.(Ⅱ)

5) Holowiecki J, Giebel S, Krzemien S, et al. G-CSF administered in time-sequenced setting during remission induction and consolidation therapy of adult acute lymphoblastic leukemia has beneficial influence on early recovery and possibly improves long-term outcome: a randomized multicenter study. Leuk Lymphoma. 2002; 43: 315-25.(Ⅱ)

6) Thomas X, Boiron JM, Huguet F, et al. Efficacy of granulocyte and granulocyte-macrophage colony-stimulating factors in the induction treatment of adult acute lymphoblastic leukemia: a multicenter randomized study. Hematol J. 2004; 5: 384-94.(Ⅱ)

7) Giebel S, Thomas X, Hallbook H, et al. The prophylactic use of granulocyte-colony stimulating factor during remission induction is associated with increased leukaemia-free survival of adults with acute lymphoblastic leukaemia: a joint analysis of five randomised trials on behalf of the EWALL. Eur J Cancer. 2012; 48: 360-7.(Ⅰ)

8) Sasse EC, Sasse AD, Brandalise S, et al. Colony stimulating factors for prevention of myelosupressive therapy induced febrile neutropenia in children with acute lymphoblastic leukaemia. Cochrane Database Syst Rev. 2005; 20: CD004139.(Ⅰ)


CQ
高齢悪性リンパ腫患者に対する化学療法においてG-CSF 一次予防的投与は勧められるか?

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推奨
グレード
A
高齢悪性リンパ腫患者に対し,治癒を目指す化学療法時にはG-CSF の一次予防的投与が推奨される。
【背景・目的】

悪性リンパ腫の発症年齢中央値は60 歳代で,半数以上の患者は60 歳を超えるとされ,高齢者に対する至適な化学療法は重要な課題の一つである。ASCO ガイドライン(2006)でも高齢者におけるG-CSF 使用の項目が新たに設けられている。特に高齢悪性リンパ腫患者において十分な強度の化学療法時のG-CSF 投与の必要性について検討された。

【解 説】

年齢はFN 発症および重症化のリスク因子の一つとされており,加齢に伴いFN 発症率が上昇し,大半のFN が1 コース目に生ずると報告されている1)2)。60 歳以上の非ホジキンリンパ腫患者におけるCHOP 類似化学療法時のFN 発症率は27〜47%と報告されている。OsbyらはG-CSF 投与の有無による無作為化比較試験において,G-CSF 投与は入院を要するFN リスクを平均50%から33%に有意に低下させると報告しているが,OS に有意差はない3)。60〜80 歳のびまん性大細胞型B 細胞リンパ腫患者を対象とした標準量のR-CHOP 対CHOP 療法の第V相比較試験では,生存率はR-CHOP 療法の優位性が示されている。この試験ではGrade 4 の好中球減少またはFN を生じた場合,G- CSF 予防投与はともに組み込まれるが,Grade 3/4 の感染はそれぞれ12%,20%と報告され,G-CSF 予防投与は妥当と考えられる4)。また,80 歳超のびまん性大細胞型B 細胞リンパ腫を対象としてR-miniCHOP 療法(約1/2 の減量CHOP)試験が行われ,G-CSF 予防投与は医師の選択にまかせられた。この試験ではGrade 3/4 のFNは7%と安全で有効な成績と報告されており,80 歳超では適度な減量は妥当と考えられる5)

以上より,少なくとも60 歳以上80 歳以下の非ホジキンリンパ腫患者で標準量のCHOP 類似レジメンが可能な場合は,G-CSF 一次予防的投与が推奨される。

【検索式・参考にした二次資料】

2005 年10 月1 日〜2016 年10 月31 日の文献を中心に,PubMed で[G-CSF AND lymphoma AND chemotherapy AND (neutropenia OR infection) AND elderly]のキーワードにより検索したところ194 件が該当した。加えて重要文献をハンドサーチで検索した。さらに以下の二次資料を参考にした。

① ASCO recommendations for the use of white blood cell growth factors:2006 update

② EORTC guidelines for the use of granulocyte-colony stimulating factor:2010 update

③ NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology-Myeloid growth factors:version 2.2016

【引用文献】

1) Lyman GH, Dale DC, Friedberg J, et al. Incidence and predictors of low chemotherapy dose-intensity in aggressive non-Hodgkin’s lymphoma: a nationwide study. J Clin Oncol. 2004; 22: 4302-11.(Ⅳa)

2) Lyman GH, Kuderer NM, Crawford J, et al. Predicting individual risk of neutropenic complications in patients receiving cancer chemotherapy. Cancer. 2011; 117: 1917-27.(Ⅳa)

3) Osby E, Hagberg H, Kvaløy S, et al. CHOP is superior to CNOP in elderly patients with aggressive lymphoma while outcome is unaffected by filgrastim treatment: results of a Nordic Lymphoma Group randomized trial. Blood. 2003; 101: 3840-8.(Ⅱ)

4) Coiffier B, Lepage E, Briere J, et al. CHOP chemotherapy plus rituximab compared with CHOP alone in elderly patients with diffuse large-B-cell lymphoma. N Engl J Med. 2002; 346: 235-42.(Ⅱ)

5) Peyrade F, Jardin F, Thieblemont C, et al. Attenuated immunochemotherapy regimen(R-miniCHOP)in elderly patients older than 80 years with diffuse large B-cell lymphoma: a multicentre, single-arm, phase 2 trial. Lancet Oncol. 2011; 12: 460-8.(Ⅳa)


CQ
多発性骨髄腫治療において発熱性好中球減少症発症に対するG-CSF 予防投与は勧められるか?

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推奨
グレード
C1
多発性骨髄腫の化学療法において,大量化学療法時および治療抵抗性骨髄腫患者等のFN 発症リスクが高いと予想される場合には,G-CSF 予防投与が考慮される。
【背景・目的】

多発性骨髄腫では化学療法の進歩により,治癒は期待できないものの,寛解期間が延長しQOL の改善が可能となった。若年者(65 歳以下)では自家造血幹細胞移植併用大量化学療法は標準治療の一つと考えられているが,さらに近年新規薬剤が次々と導入され,治療の選択肢も増してきた。骨髄腫治療においてG-CSF 投与の必要性を検討した。

【解 説】

現在日本で実施されている多発性骨髄腫に対する一般的な治療としては,若年者(65 歳以下)ではメルファラン大量療法+自家末梢血幹細胞移植がある。大量化学療法前のG-CSF 投与は末梢血幹細胞動員目的で使用され,VAD(ビンクリスチン,ドキソルビシン,デキサメタゾン)療法時または大量シクロフォスファミド投与後に使用される1)。また,末梢血幹細胞移植後のG-CSF 投与も標準治療として推奨されている(CQ14 参照)。治療抵抗性骨髄腫に対する救援療法時等のFN 発症リスクが高い場合には,G-CSF 予防投与は妥当とされる2)。近年,多発性骨髄腫に対する新規薬剤としてサリドマイド,レナリドミド,ボルテゾミブが認可され,さまざまな併用療法も開発されている。このうちレナリドミドではGrade 3 以上の好中球減少が13〜35%に認められ3),レナリドミドとアルキル化剤との併用レジメンではGrade 3/4 の好中球減少が50%超と報告され,G-CSF の予防投与が勧められている。また,サリドマイドまたはボルテゾミブを含む3 剤または2 剤併用レジメンにおいても,FN 発症や重篤化のリスクが高い患者ではG-CSF 投与が考慮される4)。しかし,骨髄腫治療は延命を目的として行われ根治的ではないため,好中球減少を認める場合でも,その後は抗がん薬の減量,投与間隔の延長による対処も考慮すべきである。

【検索式・参考にした二次資料】

2005 年10 月1 日〜2016 年10 月31 日の文献を中心に,PubMed で[G-CSF AND myeloma AND (neutropenia OR infection)]のキーワードにより検索したところ88 件が該当した。加えて重要文献をハンドサーチで検索した。さらに以下の二次資料を参考にした。

① BCSH and UKMF Guidelines for supportive care in multiple myeloma:2011

② ASCO recommendations for the use of white blood cell growth factors:2006 update

③ NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology-Myeloid growth factors:version 2.2016

【引用文献】下線はサブ解析のエビデンスを示す

1) Bird JM, Owen RG, D’Sa S, et al. Guidelines for the diagnosis and management of multiple myeloma 2011; Haemato-oncology Task Force of British Committee for Standards in Haematology(BCSH)and UK Myeloma Forum. Br J Haematol. 2011; 154: 32-75.(レビュー)

2) Snowden JA, Ahmedzai SH, Ashcroft J, et al. Guidelines for supportive care in multiple myeloma 2011. Br J Haematol. 2011; 154: 76-103.(レビュー)

3) Dimopoulos MA, Chen C, Spencer A, et al. Long-term follow-up on overall survival from the MM-009 and MM-010 phase Ⅲ trials of lenalidomide plus dexamethasone in patients with relapsed or refractory multiple myeloma. Leukemia. 2009; 23: 2147-52.(Ⅰ/Ⅳa

4) Palumbo A, Bladé J, Boccadoro M, et al. How to manage neutropenia in multiple myeloma. Clin Lymphoma Myeloma Leuk. 2012; 12(1): 5-11.(レビュー)


略語一覧


ALI/ARDS acute lung injury/acute respiratory distress syndrome 急性肺損傷/急性呼吸窮迫症候群
ALL acute lymphoblastic leukemia 急性リンパ性白血病
Allo allogenic 同種
AML acute myeloid leukemia 急性骨髄性白血病
AMLCG AML Cooperative Group  
ANC absolute neutrophil count 好中球絶対数
ASCO American Society of Clinical Oncology 米国臨床腫瘍学会
AUC area under the blood concentration time curve 血中濃度−時間曲線下面積
Auto autologous 自家
BMT bone marrow transplantation 骨髄移植
CIBMTR Center for International Blood and Marrow Transplant Research  
civ continuous intravenous infusion 持続点滴静注
Cmax maximum drug concentration 最高血中濃度
CML chronic myeloid leukemia 慢性骨髄性白血病
CR complete remisssion 完全寛解
CR complete response(固形腫瘍) 完全奏効
CTCAE Common Terminology Criteria for Adverse Events 有害事象共通用語規準
DFS disease-free survival 無増悪生存期間
div drip-intravenous infusion 点滴静注
DLBCL diffuse large B-cell lymphoma びまん性大細胞型B 細胞リンパ腫
EBMT European Group for Blood and Marrow Transplantation 欧州骨髄移植学会
ECOG Eastern Cooperative Oncology Group  
EFS event-free survival 無イベント生存期間
EMA European Medicines Agency 欧州医薬品庁
EORTC European Organisation for Research and Treatment of Cancer がん品質の研究と治療のための欧州機関
ESMO European Society of Medical Oncology 欧州臨床腫瘍学会
FDA (U. S.)Food and Drug Administration 米国食品医薬品局
FFTF freedom from treatment failuren 治療成功期間
FN febrile neutropenia 発熱性好中球減少症
G-CSF granulocyte-colony stimulating factor 顆粒球コロニー刺激因子
GM-CSF granulocyte macrophage colony-stimulating factor 顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子
GVHD graft-versus-host disease 移植片対宿主病
HOVON Dutch-Belgian Cooperative Trial Group for Hemato-Oncology  
HPC hematopoietic progenitor cell 造血前駆細胞
HR hazard ratio ハザード比
IDSA Infectious Diseases Society of America 米国感染症学会
JALSG Japan Adult Leukemia Study Group 日本成人白血病治療共同研究グループ
JCOG Japan Clinical Oncology Group 日本臨床腫瘍研究グループ
JSMO Japanese Society of Medical Oncology 日本臨床腫瘍学会
LFS leukemia―free survival 無白血病生存期間
MASCC Multinational Association of Supportive Care in Cancer 国際癌支持療法学会
MDS myelodysplastic syndrome 骨髄異形成症候群
NCCN National Comprehensive Cancer Network 全米総合がん情報ネットワーク
NHL non―Hodgkin lymphoma 非ホジキンリンパ腫
NSAIDs non―Steroidal Anti―Inflammatory Drugs 非麻薬性鎮痛剤
OS overall survival 全生存期間
PBSC peripheral blood stem cell 末梢血幹細胞
PBSCT peripheral blood stem―cell transplantation 末梢血幹細胞移植
PD pharmacodynamics 薬力学
PEG polyethylene glycol ポリエチレングリコール
PFS progression―free survival 無増悪生存期間
PK pharmacokinetics 薬物動態学
PS Performance Status 全身状態
QALYs Quality Adjusted Life Years 生活の質を調整した生存年
QOL Quality of Life 生活の質
RCT randomized controlled trial 無作為化比較試験
RDI relative dose intensity 相対治療強度
SAKK Swiss Group for Clinical Cancer Research Collaborative Group