本ガイドラインにおける基本事項

Ⅰ 進行期分類

日本産科婦人科学会では,進行期分類としてFIGO による手術進行期分類とUICC によるTNM 分類を,また術後分類としてFIGO による手術進行期分類とUICC のpTNM 分類を採用している。

FIGO は子宮体癌の進行期分類を2008 年に改訂した。そしてわが国では日本産科婦人科学会婦人科腫瘍委員会に改訂小委員会が設置され,日本病理学会,日本医学放射線学会,日本放射線腫瘍学会,日本婦人科腫瘍学会の協力のもと『子宮体癌取扱い規約 第3 版』が2012 年4 月に発刊された。その主な改訂点は,①0 期を削除,②筋層浸潤の程度による再分類を1/2 未満をⅠA 期,1/2 以上をⅠB 期とし,ⅠC 期を削除,③頸管腺のみへの進展はⅡ期とはせず,頸部間質浸潤をⅡ期と設定,④腹腔細胞診を進行期分類から除外,⑤所属リンパ節転移を骨盤リンパ節,傍大動脈リンパ節で再分類し,ⅢC1 期とⅢC2 期に設定,である。また,子宮体部肉腫に,後述する新たな進行期を設けている。

かつて子宮体癌の進行期は,治療前に決定されていた(臨床進行期分類〔日産婦1983,FIGO1982〕)。しかし予後とのよりよい相関を求めて1988 年に手術後分類が発表され,手術例は手術進行期分類(日産婦1995,FIGO1988)に従うようになった経緯がある。『子宮体がん治療ガイドライン 2013 年版』の本文中の進行期分類に関しては,原則として『子宮体癌取扱い規約 第3 版』(2012 年4 月)に記載されている手術進行期分類(日産婦2011,FIGO2008)に準じて記載している。本文中に,術前分類であった臨床進行期分類(日産婦1983,FIGO1982)は使用せず,「術前に〜期と推定される」という記述に統一している。進行期の細分類は,後述する取扱い規約に従い,旧分類では小文字a, b, cを用い,新分類では大文字A, B, C を用いている。

なお,日本産科婦人科学会婦人科腫瘍委員会への子宮体癌治療例の登録は,2012 年の症例より手術進行期分類(日産婦2011,FIGO2008)に基づいて行われている。

1.子宮内膜癌

(1)手術進行期分類(日産婦2011,FIGO2008)


T期:癌が子宮体部に限局するもの

ⅠA 期:癌が子宮筋層1/2 未満のもの

ⅠB 期:癌が子宮筋層1/2 以上のもの

Ⅱ期:癌が頸部間質に浸潤するが,子宮をこえていないもの*

* 頸管腺浸潤のみはⅡ期ではなくⅠ期とする。

Ⅲ期: 癌が子宮外に広がるが,小骨盤腔をこえていないもの,または所属リンパ節へ広がるもの

ⅢA 期:子宮漿膜ならびに/あるいは付属器を侵すもの

ⅢB 期:腟ならびに/あるいは子宮傍組織へ広がるもの

ⅢC 期:骨盤リンパ節ならびに/あるいは傍大動脈リンパ節転移のあるもの

ⅢC1 期:骨盤リンパ節転移陽性のもの

ⅢC2 期:骨盤リンパ節への転移の有無にかかわらず,傍大動脈リンパ節転移陽性のもの

Ⅳ期:癌が小骨盤腔をこえているか,明らかに膀胱ならびに/あるいは腸粘膜を侵すもの,ならびに/あるいは遠隔転移のあるもの

ⅣA 期:膀胱ならびに/あるいは腸粘膜浸潤のあるもの

ⅣB 期:腹腔内ならびに/あるいは鼠径リンパ節転移を含む遠隔転移のあるもの


[注1]
すべての類内膜腺癌は腺癌成分の形態によりGrade 1,2,3に分類される。
[注2]
腹腔洗浄細胞診陽性の予後因子としての重要性については一貫した報告がないので,ⅢA期から細胞診は除外されたが,将来再び進行期決定に際し必要な推奨検査として含まれる可能性があり,すべての症例でその結果は登録の際に記録することとした。
[注3]
子宮体癌の進行期分類は悪性ミュラー管混合腫瘍(癌肉腫)にも適用される。癌肉腫,明細胞腺癌,漿液性乳頭状腺癌においては横行結腸下の大網の十分なサンプリングが推奨される。
[注4]
再発リスクの低い子宮体癌では転移が疑われる骨盤リンパ節の切除のみでよい。一方,再発リスクの高いものでは骨盤リンパ節と傍大動脈リンパ節の系統的な郭清を行うべきである。

【分類にあたっての注意事項】

  1. 初回治療として手術がなされなかった症例(放射線や化学療法など)の進行期は,MRI,CT などの画像診断で日産婦2011 進行期分類を用いて推定する。
  2. 各期とも腺癌の組織学的分化度を併記する。
  3. 従来,子宮内膜異型増殖症は日産婦1995分類により0期として登録してきたが,FIGO2008 分類に従い0 期のカテゴリーを削除する。子宮内膜異型増殖症は別に登録を行う。
  4. 所属リンパ節とは骨盤リンパ節(基靱帯リンパ節,仙骨リンパ節,閉鎖リンパ節,内腸骨リンパ節,鼠径上リンパ節,外腸骨リンパ節,総腸骨リンパ節)と傍大動脈リンパ節をいう。
  5. 本分類は手術後分類であるから,従来Ⅰ期とⅡ期の区別に用いられてきた部位別掻爬などの所見は考慮しない。
  6. 子宮筋層の厚さは腫瘍浸潤の部位において測定することが望ましい。
  7. 腹水(洗浄)細胞診陽性は進行期決定には採用しないが,別に記録する。
  8. 従来Ⅱa 期であった頸管腺のみに癌が及ぶものは,新進行期ではⅠ期に分類する。
  9. 従来のⅠa 期(癌が子宮内膜に限局するもの)と筋層浸潤が1/2 未満のものを新進行期ではⅠA 期とし,筋層浸潤が1/2 以上のものをⅠB 期としている。

【子宮体部腺癌の組織学的分化度】

すべての類内膜腺癌は腺癌成分の形態によりGrade 1, 2, 3 に分類される。

Grade 1:
充実性増殖の占める割合が腺癌成分の5% 以下であるもの
Grade 2:
充実性増殖の占める割合が腺癌成分の6 〜50% のもの,
あるいは充実性増殖の割合が5% 以下でも細胞異型の著しく強いもの
Grade 3:
充実性増殖の占める割合が腺癌成分の50% をこえるもの,
あるいは充実性増殖の割合が6 〜50% でも細胞異型の著しく強いもの

【組織学的分化度に関する注意】

  1. 漿液性腺癌,明細胞腺癌,扁平上皮癌は核異型によりGradeを判定する。
  2. 扁平上皮への分化を伴う腺癌のGradeは腺癌成分によって判定する。

【参考】
臨床進行期分類(日産婦1983,FIGO1982)

0 期:子宮内膜異型増殖症,上皮内癌
組織所見が悪性を疑わせるが決定的ではない

Ⅰ期:癌が子宮体部に限局(子宮峡部を含む)。これを2 群に分ける。

Ⅰa 期:子宮腔長が8 cm 以下のもの(8 cm を含む)

Ⅰb 期:子宮腔長が8 cm をこえるもの

Ⅱ期:癌が体部および頸部に及ぶ

Ⅲ期:癌が子宮外に広がるが,小骨盤腔をこえていない

Ⅳ期:癌が小骨盤腔をこえるか,明らかに膀胱または直腸の粘膜を侵す

Ⅳa 期:膀胱,直腸,S 状結腸または小腸などの隣接臓器に広がったもの

Ⅳb 期:遠隔転移のあるもの

手術進行期分類(日産婦1995,FIGO1988)

0 期:子宮内膜異型増殖症

Ⅰ期:癌が子宮体部に限局するもの

Ⅰa 期:子宮内膜に限局するもの

Ⅰb 期:浸潤が子宮筋層1/2 以内のもの

Ⅰc 期:浸潤が子宮筋層1/ 2 をこえるもの

Ⅱ期:癌が体部および頸部に及ぶもの

Ⅱa 期:頸管腺のみを侵すもの

Ⅱb 期:頸部間質浸潤のあるもの

Ⅲ期: 癌が子宮外に広がるが,小骨盤腔をこえていないもの,または所属リンパ節転移のあるもの

Ⅲa期: 漿膜ならびに/あるいは付属器を侵す,ならびに/あるいは腹腔細胞診陽性のもの

Ⅲb 期:腟転移のあるもの

Ⅲc 期:骨盤リンパ節ならびに/あるいは傍大動脈リンパ節転移のあるもの

Ⅳ期:癌が小骨盤腔をこえているか,明らかに膀胱または腸粘膜を侵すもの

Ⅳa 期:膀胱ならびに/あるいは腸粘膜浸潤のあるもの

Ⅳb 期:腹腔内ならびに/あるいは鼠径リンパ節転移を含む遠隔転移のあるもの

(2) TNM 分類(UICC 第7 版)

TNM分類 FIGO分類  
TX   原発腫瘍が評価できないもの
T0   原発腫瘍を認めないもの
Tis   上皮内癌
T1 Ⅰ期 癌が子宮体部に限局するもの

T1 a

ⅠA 期

癌が子宮筋層1/2 未満のもの

T1 b

ⅠB 期

癌が子宮筋層1/2 以上のもの
T2 Ⅱ期 子宮頸部間質浸潤のあるもの
T3 ならびに/
あるいはN1
Ⅲ期 癌が子宮外に広がるが小骨盤腔をこえないもの,あるいは所属リンパ節転移のあるもの

T3 a

ⅢA 期

子宮漿膜ならびに/あるいは付属器を侵すもの

T3 b

ⅢB 期

腟ならびに/あるいは子宮傍組織へ広がるもの
N1

ⅢC 期

骨盤リンパ節転移ならびに/あるいは傍大動脈リンパ節転移のあるもの
 

ⅢC1 期

骨盤リンパ節転移のあるもの
 

ⅢC2 期

傍大動脈リンパ節転移のあるもの
T4

ⅣA 期

膀胱ならびに/あるいは腸粘膜に浸潤のあるもの
(胞状浮腫のみでT4へ分類しない。生検で確認すべきである)
M1

ⅣB 期

遠隔転移のあるもの

pT, pN, pM分類の内容についてはTNM分類に準ずる。

2.子宮体部肉腫

原発性子宮肉腫の進行期を決定するため,開腹所見による腫瘍の進行度の把握を原則とする。癌肉腫は,子宮体癌の進行期分類を使用する。なお,平滑筋肉腫/子宮内膜間質肉腫と腺肉腫ではT1の分類が異なる。また,ともに所属リンパ節は閉鎖リンパ節,内腸骨リンパ節,外腸骨リンパ節,総腸骨リンパ節,仙骨リンパ節,基靱帯リンパ節および大動脈周囲リンパ節(傍大動脈リンパ節)である。リンパ節郭清の未施行例では,触診,視診,画像診断を参考にして転移の有無を判断する。

(1)平滑筋肉腫/子宮内膜間質肉腫のTNM 分類とFIGO 分類

TNM分類 FIGO分類  
T1 Ⅰ期 腫瘍が子宮に限局するもの

T1 a

ⅠA 期

腫瘍サイズが5 cm 以下のもの

T1 b

ⅠB 期

腫瘍サイズが5 cm をこえるもの
T2 Ⅱ期 腫瘍が骨盤腔に及ぶもの

T2 a

ⅡA 期

付属器浸潤のあるもの

T2 b

ⅡB 期

その他の骨盤内組織へ浸潤するもの
T3 Ⅲ期 腫瘍が骨盤外へ進展するもの

T3 a

ⅢA 期

1 部位のもの

T3 b

ⅢB 期

2 部位以上のもの
N1

ⅢC 期

骨盤リンパ節ならびに/あるいは傍大動脈リンパ節転移のあるもの
T4

ⅣA 期

膀胱粘膜ならびに/あるいは直腸粘膜に浸潤のあるもの
M1

ⅣB 期

遠隔転移のあるもの
TX   原発腫瘍が評価できないもの

(2)腺肉腫のTNM 分類とFIGO 分類

TNM分類 FIGO分類  
T1 Ⅰ期 腫瘍が子宮に限局するもの

T1 a

ⅠA 期

子宮体部内膜,頸部内膜に限局するもの(筋層浸潤なし)

T1 b

ⅠB 期

筋層浸潤が1/2 以内のもの

T1 c

ⅠC 期

筋層浸潤が1/2 をこえるもの
T2 Ⅱ期 腫瘍が骨盤腔に及ぶもの

T2 a

ⅡA 期

付属器浸潤のあるもの

T2 b

ⅡB 期

その他の骨盤内組織へ浸潤するもの
T3 Ⅲ期 腫瘍が骨盤外に進展するもの

T3 a

ⅢA 期

1 部位のもの

T3 b

ⅢB 期

2 部位以上のもの
N1

ⅢC 期

骨盤リンパ節ならびに/あるいは傍大動脈リンパ節転移のあるもの
T4

ⅣA 期

膀胱粘膜ならびに/あるいは直腸粘膜に浸潤のあるもの
M1

ⅣB 期

遠隔転移のあるもの
TX   原発腫瘍が評価できないもの

【分類にあたっての注意事項】

  1. 初回治療として手術がなされなかった症例(放射線や化学療法など)の進行期は,MRI,CT などの画像診断で新進行期分類を用いて推定する。
  2. 子宮内膜間質肉腫は低悪性度,高悪性度に分類され,高悪性度はWHO 分類(2000)によると未分化子宮内膜肉腫とよばれ,子宮内膜間質腫瘍に含まれる。Adenosarcoma with sarcomatous overgrowthは腺肉腫に含まれる。
  3. 子宮内膜間質肉腫および腺肉腫については,子宮体部腫瘍と卵巣・骨盤内子宮内膜症を伴う卵巣・骨盤内腫瘍が同時に存在する場合,それぞれ独立した腫瘍として取り扱うことに注意する。

〔子宮体癌取扱い規約 第3 版(2012 年4 月,金原出版)より引用,一部改変〕

Ⅱ 手術術式

1.単純子宮全摘出術 simple (total) hysterectomy

腹式,腟式あるいは鏡視下に行われる。一般の単純子宮全摘出術に準ずるが,腫瘍性病変の存在する場合には子宮頸部組織を残さない術式が必要であり,筋膜内術式(Aldridge術式)は不適当である。病巣最外端と切創縁との間の距離をおくため,腟壁を多少なりとも切除する必要がある。腟壁の一部(cuff)を切除する場合に拡大単純子宮全摘出術という用語が用いられることもある。

2.準広汎子宮全摘出術 modified radical hysterectomy

広汎子宮全摘出術と単純子宮全摘出術の中間的な術式である。膀胱子宮靱帯の前層を切断し,尿管を側方に寄せた後に子宮傍組織と腟壁を子宮頸部からやや離れた部位で切断する。リンパ節郭清の有無を問わない。

3.広汎子宮全摘出術 radical hysterectomy with pelvic lymphadenectomy

子宮および子宮傍組織(parametrium),腟壁および腟傍組織の一部を摘出し,骨盤内所属リンパ節を郭清する術式である。子宮傍組織は前方の膀胱子宮靱帯(前層および後層),側方の基靱帯,後方の仙骨子宮靱帯,直腸腟靱帯に区分される。

諸種の術式のうち,欧米諸国ではWertheim 術式,わが国では岡林術式を基本として変遷を経た術式が汎用されている。岡林術式の特徴は膀胱子宮靱帯の前層を処理した後に,後層も切断して尿管と膀胱を完全に子宮・腟から分離して腟を十分に切除することにある。子宮頸癌に対する基本治療術式であり,一般に臨床進行期ⅠB 期とⅡ期の症例が適応となっている。また,子宮体癌の深い頸部間質浸潤例に対しても用いられることがある。

〔子宮体癌取扱い規約 第3 版(2012 年4 月,金原出版)より引用〕

Ⅲ 化学療法

1.AP 療法(CQ17CQ29

アドリアマイシン(ドキソルビシン塩酸塩)60 mg/m2(静注)
シスプラチン 50 mg/m2(点滴静注) 3 週毎

2.TC 療法(CQ17CQ29

パクリタキセル 175 mg/m2(点滴静注)
カルボプラチン AUC 5 〜6(点滴静注) 3 週毎

3.DP 療法(CQ17CQ29

ドセタキセル 70 mg/m2(点滴静注)
シスプラチン 60 mg/m2(点滴静注) 3 週毎

4.メトトレキサート単剤療法(CQ43

(1)5-day メトトレキサート療法

0. 4 mg/kg あるいは20 mg/body 5 日間筋注 2 週毎

(2)メトトレキサート-ホリナートカルシウム療法

メトトレキサート 1. 0 mg/kg 筋注(Day 1, 3, 5, 7)
ホリナートカルシウム(ロイコボリン)0. 1 mg/kg 筋注(Day 2, 4, 6, 8) 2 週毎

(3)weeklyメトトレキサート療法

メトトレキサート30 〜40 mg/m2 筋注 毎週1 回

5.アクチノマイシンD 単剤療法(CQ43

(1)5-day アクチノマイシンD 療法

アクチノマイシンD 10μg/kg あるいは0. 5 mg/body 5 日間静注 2 週毎

(2)アクチノマイシンD パルス療法

アクチノマイシンD 40 μg/kg あるいは1. 25 mg/m2 静注 2 週に1 回

6.EMA/CO 療法(CQ44

Day 1

メトトレキサート 300 mg/m2(12 時間 点滴静注)
エトポシド 100 mg/m2(60 分 点滴静注)
アクチノマイシンD 0. 5 mg/body(静注)

Day 2

エトポシド 100 mg/m2(60 分 点滴静注)
アクチノマイシンD 0. 5 mg/body(静注)
ホリナートカルシウム(ロイコボリン) 15 mg/body(12時間おきに4 回筋注)

Day 8

シクロホスファミド 600 mg/m2(60 分 点滴静注)
ビンクリスチン 0. 8 〜1. 0 mg/m2(静注)

* Day 1,Day 2とDay 8を毎週交互に繰り返す。

7.MEA 療法(CQ44

Day 1

メトトレキサート 300 mg/body(4 時間 点滴静注)
メトトレキサート 150 mg/body(静注)
エトポシド 100 mg/body(60分点滴静注)
アクチノマイシンD 0. 5 mg/body(静注)

Day 2

エトポシド 100 mg/body(60 分 点滴静注)
アクチノマイシンD 0. 5 mg/body(静注)
ホリナートカルシウム(ロイコボリン) 15 mg/body(12時間おきに3 回筋注)

Day 3 〜5

エトポシド 100 mg/body(60 分 点滴静注)
アクチノマイシンD 0. 5 mg/body(静注)

*2 〜3週毎

8.FA 療法(CQ44

Day 1 〜5

フルオロウラシル(5-FU) 1, 500 mg/body(8 時間 点滴静注)
アクチノマイシンD 0. 5 mg/body(静注)

*2 〜3週毎

9.EP/EMA 療法(CQ44

Day 1

エトポシド 150 mg/m2(60 分 点滴静注)
シスプラチン 75 mg/m2(12 時間 点滴静注)

Day 8

エトポシド 100 mg/m2(60 分 点滴静注)
メトトレキサート 300 mg/m2(12 時間 点滴静注)
アクチノマイシンD 0. 5 mg/body(静注)

Day 9

ホリナートカルシウム(ロイコボリン) 15 mg/body(12時間おきに4 回筋注)

* Day 1とDay 8, 9を毎週交互に繰り返す。

Ⅳ 放射線治療

1.放射線治療の分類

(1)根治的放射線治療 curative radiation therapy, definitive radiation therapy

根治的手術を行わずに治癒を目的として行われる放射線治療。

(2)術後照射 postoperative irradiation

根治的手術療法後に骨盤内再発の予防を目的として行われる放射線治療。術後再発の一定のリスクがある場合に行われる。不完全切除例のうち病理組織学的断端陽性例は含めるが,明らかな肉眼的残存が認められるものは「残存例の放射線治療」として扱う。

(3)同時化学放射線療法 concurrent chemoradiotherapy

放射線治療と化学療法を同時併用する治療方法。根治的放射線治療,術後照射の両者で適用される。

2.放射線治療の方法

(1)根治的放射線治療

原則として,外部照射と腔内照射の併用で行う。

①外部照射 external beam irradiation

肉眼的腫瘍体積(gross tumor volume;GTV)に加え,原則として全骨盤領域(子宮頸体部・子宮傍組織・腟・卵巣・骨盤リンパ節領域)を臨床標的体積(clinical target volume; CTV)とし,適切なマージンを加えて計画標的体積(planning target volume;PTV)とする。前後2門照射法,直交4門照射法,強度変調放射線治療法(intensity-modulated radiation therapy;IMRT)などの方法がある。

②腔内照射 intracavitary irradiation

原則として,外部照射を先行する。

高線量率(high dose rate;HDR) 腔内照射をIr-192 あるいはCo-60 を用いたremote afterloading systemにて行うことが望ましい。

原則として子宮内アプリケータ(チューブ)に線源を留置して行う。

治療ごとにアプリケータ位置確認画像の取得と計算を行う。2 方向のX 線画像による2 次元的計画,あるいはCT,MRI を用いた3 次元的計画を行う。

(2)術後照射

原則として,外部照射単独あるいは腔内照射併用で行う。腔内照射単独で行う場合もある。外部照射法は2.(1) 根治的放射線治療に準じる。外部照射のCTVは2.(1)①の定義から子宮頸体部を除いた範囲とする。腔内照射は腟内アプリケータ(オボイド)あるいは腟シリンダーアプリケータを用いる。

〔子宮体癌取扱い規約 第3 版(2012 年4 月,金原出版)より引用,一部改変〕

Ⅴ リンパ節の部位と名称

子宮体癌の所属リンパ節は,基靱帯リンパ節,内腸骨リンパ節,閉鎖リンパ節,外腸骨リンパ節,総腸骨リンパ節,仙骨リンパ節,傍大動脈リンパ節である。鼠径上リンパ節(大腿上リンパ節)は子宮体癌の所属リンパ節に含めてよい。鼠径リンパ節は子宮体癌の所属リンパ節には含まれてない。

1.傍大動脈リンパ節(腹部大動脈周囲リンパ節) para-aortic nodes
腹部大動脈および下大静脈に沿うもの。
1-1.b1 群(高位傍大動脈リンパ節)

左腎静脈下縁から下腸間膜動脈根部上縁までの大動脈周囲にあるリンパ節。この領域の下大静脈周囲のリンパ節も含む。高位の傍大動脈リンパ節である。

1-2.b2 群(低位傍大動脈リンパ節)

下腸間膜動脈根部から大動脈分岐部の高さまでの大動脈および下大静脈周辺のリンパ節。低位の傍大動脈リンパ節である。ただし下腸間膜動脈根部の高さに接するリンパ節もb2 群に含まれるものとする。

大動脈左側から下大静脈右側までのリンパ節を便宜上傍大動脈リンパ節とよぶが,細区分が必要な場合には,大動脈前面から左側にかけてのリンパ節を傍大動脈リンパ節,大動脈と下大静脈の間に存在するリンパ節を大動静脈間リンパ節,下大静脈前面から右側にかけてのリンパ節を下大静脈周囲リンパ節と記載する。

2.総腸骨リンパ節 common iliac nodes

総腸骨動静脈に沿うリンパ節。浅外側総腸骨リンパ節,深外側総腸骨リンパ節,内側総腸骨リンパ節に細区分される。

3.外腸骨リンパ節 external iliac nodes

外腸骨血管分岐部より足方で,外腸骨血管の外側あるいは動静脈間にあるもの。

4.鼠径上リンパ節 suprainguinal nodes(大腿上リンパ節 suprafemoral nodes)

外腸骨血管が鼠径靱帯下に入る直前にあるもの。

血管の外側にあって,外腸骨リンパ節に連絡し,深腸骨回旋静脈よりも末梢にあるものを外鼠径上リンパ節といい,血管の内側にあり,閉鎖リンパ節に連絡するものを内鼠径上リンパ節という。

5.内腸骨リンパ節 internal iliac nodes

内腸骨血管と外腸骨血管によって作られるいわゆる血管三角部および内腸骨動静脈に沿うもの。

6.閉鎖リンパ節 obturator nodes

外腸骨血管の背側で閉鎖孔および閉鎖神経,閉鎖動静脈周囲にあるもの。

7.仙骨リンパ節 sacral nodes

内腸骨血管より内側で仙骨前面とWaldeyer筋膜の間にあるもの。正中仙骨動静脈に沿うものを正中仙骨リンパ節,外側仙骨動静脈に沿うものを外側仙骨リンパ節という。

8.基靱帯リンパ節 parametrial nodes

基靱帯およびその周辺に存在するもの。子宮傍組織リンパ節,尿管リンパ節などと称された表在性のもの(頸部傍組織リンパ節 paracervical nodes),および基靱帯基部近くに存在する深在性のものすべてを含める。

9.鼠径リンパ節 inguinal nodes

鼠径靱帯より足方にあるもの

〔子宮体癌取扱い規約 第3 版(2012 年4 月,金原出版)より引用,一部改変〕

図1  子宮体癌治療に関係するリンパ節の名称と解剖学的指標

子宮体癌治療に関係するリンパ節の名称と解剖学的指標

* 1 〜9 は本文中の番号に対応

AO:腹部大動脈(abdominal aorta)
IVC:下大静脈(inferior vena cava)
IMA:下腸間膜動脈(inferior mesenteric artery)
DCIV:深腸骨回旋静脈(deep circumflex iliac vein)
ObN:閉鎖神経(obturator nerve)
UA:子宮動脈(uterine artery)
DUV:深子宮静脈(deep uterine vein)