2015 年版 発刊にあたって

 制吐薬適正使用ガイドライン第2 版をがん医療に従事されている皆様にお届けできますことを大変喜ばしく思うとともに,改訂ワーキンググループ委員長として改訂版作成にご尽力いただいた皆様に感謝申し上げます。

本ガイドラインの初版の発刊以来,抗がん薬の悪心・嘔吐に苦しむ多くのがん患者さんがその苦痛から随分解放されているようです。これはひとえに,本ガイドラインを活用してくださっている医療者の皆様の努力の賜物と存じます。

初版発刊後には制吐療法への関心の高まりから,質の高い臨床試験が国内でも複数実施されました。残念ながら,今回の改訂版では推奨治療として提言できるレベルには至りませんでしたが,本文中の解説のなかで十分議論のできる成績が示され,その多くを取り上げることができました。想い起こせば,初版作成時には,日本から発信された質の高い研究論文がほとんどないことに作成委員全員が落胆し,日本のこの領域におけるエビデンス創出力不足に危機感を覚えた記憶があります。幸い本改訂では,そういった危惧を払拭することができました。また,評価ワーキンググループも新たに立ち上がり,職種の壁を越えて改訂内容を評価していただいた点も素晴らしい進歩でした。

さらに2015 年に開催された第13 回日本臨床腫瘍学会学術集会においては,学会の壁を越えたコンセンサスミーティングの開催に至り,がん患者さんの代表からも貴重なご意見をいただきました。

ここに改めて,改訂のために多くの情熱と時間を割いていただいた改訂ワーキンググループの委員の皆様に深く感謝いたします。特に,田村和夫・相羽惠介両副委員長には,改訂版作成に率先して従事いただき,個人的にも多くの励ましをいただきました。また,評価ワーキンググループ委員長として公平な立場から,多くの貴重なご意見をいただいた齊藤光江先生にも,心より御礼申し上げます。

本最後に,日本癌治療学会事務局の織田美佐緒女史の粉骨砕身・献身的なサポートと金原出版編集部の佐々木瞳女史のガイドライン作りへの肝胆を砕く熱意とご支援に深謝いたします。

平成27 年10 月

制吐薬適正使用ガイドライン改訂ワーキンググループ委員長
制吐薬適正使用ガイドライン初版出版委員会委員長

佐 伯 俊 昭