がん診療ガイドラインと抗がん剤適正使用ガイドラインとの関連

厚生労働省委託事業として作成した「抗がん剤適正使用ガイドライン」(案)は2002年に公表(癌と化学療法,29:969-1094)されたが,厚生労働省及び患者団体からは,この案を更新し,早期に「抗がん剤適正使用ガイドライン」として完成し,公開することが求められた。このことを受けて,「早期の完成」を優先することから,がん診療ガイドラインの完成を待たずに,完成された分野から日本癌治療学会誌(International Jounal of Clinical Oncology:Int J Clin Oncol)に公表しているものである。

したがって,「抗がん剤適正使用ガイドライン」は,がん診療ガイドラインの薬物療法の標準的治療と位置づけられるものであり,がん診療ガイドラインの完成後は薬物療法として,組み入れられ,改訂されてゆくものである。

抗がん剤適正使用ガイドライン作成には,当該領域担当委員が兼務する形でワーキンググループ(WG)を本委員会内に設置し,それぞれの担当委員のもとに,領域学会・研究会から協力委員の推薦を得て,分科会を設置した。また,評価委員についても,各領域学会・研究会から推薦を得て,審査の体制を整えた。

「抗がん剤適正使用ガイドライン」(案)に該当しない領域(肝がん,口腔がん,小児がん,小児白血病,食道がん,胆道がん,頭頸部腫瘍,症状緩和)においては,新たに各領域のがん診療ガイドライン作成のなかで,薬物療法ガイドラインを作成するが,がん診療ガイドライン完成前に作成されたものは,公開時には古くなることを鑑み,抗がん剤適正使用ガイドラインとして日本癌治療学会誌に公表している。

参考として,これまでに「抗がん剤適正使用ガイドライン」として公表された領域を以下に示す。

(佐々木常雄)

総論,大腸がん,膵がん,泌尿器がん,皮膚悪性腫瘍: Int J Clin Oncol 9:SupplU Aug 2004.
造血器腫瘍,乳がん:Int J Clin Oncol:10 Suppl Jun 2005.
肝がん,胃がん: Int J Clin Oncol:11 Suppl Jun 2006.