皮膚悪性腫瘍 〜アルゴリズム
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Ⅱ.原発性皮膚リンパ腫の治療ガイドライン
1.原発性皮膚リンパ腫の診療アルゴリズム
(1)病期分類まで
2.原発性皮膚リンパ腫の診療アルゴリズム
(2)各病型の治療指針
1)菌状息肉症・Sézary 症候群の治療指針
表1 病期 Ⅰ, ⅡA に対して推奨される第一選択の局所療法注1)(KIM YH らCQ1-1))
治 療 | 推奨度 | CQ |
---|---|---|
無治療経過観察(病期 ⅠA のみ) | C1 |
|
ステロイド外用療法注2) | B |
|
ACNU 外用療法注3) | C1 |
|
BB-UVB 注2) | B |
|
NB-UVB | B |
|
PUVA | B |
|
局所放射線照射注4) | B |
- 注1)
- 初回治療として選択した局所療法に反応しない場合は病期 Ⅰ〜ⅡA に対して推奨される第二選択の治療(表2 Toro JR らCQ1-2))を行う前に他の第一選択の局所療法の適応を検討する。
- 注2)
- 病期IA/IB で紅斑期
- 注3)
- 小範囲,短期間
- 注4)
- Unilesional mycosis fungoides あるいは数個の病変が単一または近接した照射野内に限局している"minimal”な病期I A に対する根治的照射,および浸潤の強い局面,放射線療法以外の局所療法に抵抗性の局面に対する姑息的照射。
表2 病期 Ⅰ, ⅡA に対して推奨される第二選択の治療(Toro JR らCQ1-2))
治 療 | 推奨度 | CQ |
---|---|---|
*TSEB 注1) | B |
|
エトレチナート注2,3) | B-C1 |
|
IFN- α注2,4) | B-C1 |
|
IFN- γ注2) | B-C1 |
|
RePUVA 注2) | B |
|
IFN- α + PUVA 注2,4) | B |
|
IFN- γ + PUVA 注2) | B |
|
化学療法注5) | B |
* 全身皮膚電子線total skin electron beam
- 注1)
- 強い自覚症状を伴う広範囲の浸潤の強い局面,病理組織で毛包向性菌状息肉症あるいはlarge cell transformation が確認された病期 ⅠB/ⅡA(T2)に対してはTSEB 療法を第一選択としてもよい。
- 注2)
- 全身療法が必要な場合(B1,病理組織で毛包向性菌状息肉症あるいはlarge cell transformation が確認された場合)には第一選択としてもよい。BRM 療法(エトレチナート,IFN-α,IFN-γ)は単独あるいはPUVA との併用療法の他,PUVA 以外の局所療法との併用も検討する。
- 注3)
- エトレチナート内服療法単独の奏効期間は通常短く,併用療法を検討する。
- 注4)
- IFN- α療法は本邦での実施経験が少ない。
- 注5)
- 局所療法およびBRM 療法に抵抗性の病期 ⅠB/ⅡA に対する第三選択。
表3 病期ⅡB に対して推奨される第一選択の治療注1)(Zackheim HS らCQ1-3))
治 療 | 推奨度 | CQ |
---|---|---|
下記のBRM 療法と局所療法の併用 | ||
BRM 療法 | ||
エトレチナート | B-C1 |
|
IFN-α注2,3) | B-C1 |
|
IFN-γ注3) | B-C1 |
|
局所療法 | ||
PUVA + /- 局所放射線照射注4) | B |
|
局所放射線照射注4) | B |
|
* TSEB 注5 | B |
* 全身皮膚電子線total skin electron beam
- 注1)
- 初回治療に反応しない場合は治療抵抗性の病期UB に対して推奨される治療(表4 CQ1-4)を行う前に他の第一選択の治療の適応を検討する。
- 注2)
- IFN-αとPUVA の併用療法の推奨度はB。IFN-α療法は本邦での実施経験が少ない。
- 注3)
- IFN-α療法またはIFN- γ療法単独を第一選択としてもよい。
- 注4)
- 限局性の腫瘤に対する姑息的照射
- 注5)
- 病変の範囲が体表面積の10%未満の場合,TSEB 療法単独を第一選択としてもよい。
表4 治療抵抗性の病期ⅡB,Ⅲおよび病期Ⅳの菌状息肉症に対して推奨される治療(Kim YH らCQ1-4))
治 療 | 推奨度 | CQ |
---|---|---|
化学療法注1) | B |
- 注1)
- T 病期に応じた局所療法との併用も検討する。
表5 病期Ⅲに対して推奨される第一選択の治療注1)(Suzuki S らCQ1-5))
治 療 | 推奨度 | CQ |
---|---|---|
* ECP+/- IFN-α注2) | B |
|
** TSEB + ECP 注2,3) | B |
|
下記のBRM 療法と局所療法の併用 | ||
BRM 療法 | ||
・エトレチナート | B-C1 |
|
・IFN-α注2,4) | B-C1 |
|
・IFN-γ注4) | B-C1 |
|
局所療法 | ||
・PUVA | B |
|
・TSEB 注3) | B |
* 体外光化学療法extracorporeal photochemotherapy
** 全身皮膚電子線total skin electron beam
- 注1)
- 初回治療に反応しない場合は治療抵抗性の病期Ⅲに対して推奨される治療(表4 文献CQ1-4)を行う前に他の第一選択の治療の適応を検討する。
- 注2)
- ECP,IFN-α療法は本邦での実施経験が少ない。
- 注3)
- 病期ⅢA ではTSEB 療法単独を第一選択としてもよい。
- 注4)
- IFN-α療法またはIFN-γ療法単独を第一選択としてもよい。
表6 Sézary 症候群(病期T4 でⅣA1-ⅣB)に対して推奨される治療注1)(van Doom R らCQ1-6))
治 療 | 推奨度 | CQ |
---|---|---|
* ECP + /- IFN-α注2) | B |
|
** TSEB + ECP 注2) | B |
|
化学療法 + /- IFN-α注2) | B |
* 体外光化学療法extracorporeal photochemotherapy
* 全身皮膚電子線total skin electron beam
- 注1)
- Sézary 細胞数が少ない病期ⅣA1 のSézary 症候群に対しては病期ⅢB に準じて初回治療を選択してもよい(表5 文献CQ1-5)。
- 注2)
- ECP,IFN-α療法は本邦での実施経験が少ない。
表7 治療抵抗性の病期Ⅳに対して考慮される治療(Kim YH らCQ1-7))
治 療 | 推奨度 | CQ |
---|---|---|
同種造血幹細胞移植 | C1 |
|
自家造血幹細胞移植 | C2 |